JP2002234884A - スチルベン8量体化合物、その製造方法及びそれを含む製剤 - Google Patents

スチルベン8量体化合物、その製造方法及びそれを含む製剤

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JP2002234884A
JP2002234884A JP2001292399A JP2001292399A JP2002234884A JP 2002234884 A JP2002234884 A JP 2002234884A JP 2001292399 A JP2001292399 A JP 2001292399A JP 2001292399 A JP2001292399 A JP 2001292399A JP 2002234884 A JP2002234884 A JP 2002234884A
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JP2001292399A
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Munekazu Iinuma
宗和 飯沼
Toshiyuki Tanaka
稔幸 田中
Kenichi Nakaya
謙一 中屋
Hiroe Maruyama
広恵 丸山
Yoko Araki
陽子 荒木
Takashi Sakamoto
貴 坂本
Satoshi Mishima
敏 三島
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Gifu Prefecture
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API Co Ltd
Gifu Prefecture
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い抗酸化作用を発揮することができる新規
なスチルベン8量体化合物、その製造方法及びそれを含
む製剤を提供する。 【解決手段】 スチルベン8量体化合物は、下記化学式
(1)に示される有機化合物である。このスチルベン8
量体化合物は、フタバガキ科植物の樹皮を粉砕し、有機
溶媒で抽出処理を行った後、分子排除クロマトグラフィ
ーと吸着クロマトグラフィーとを組み合わせて精製する
ことによって製造されるのが好ましい。健康食品製剤、
美容製剤及び医薬品製剤はいずれも、前記スチルベン8
量体化合物を有効成分として含有している。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、分子式C112
8424、分子量1812の有機化合物であり、1分子中
に8個のレスベラトロール(Resveratrol)骨格を有する
スチルベン・オクタマーである新規なスチルベン8量体
化合物及びその製造方法、並びに前記スチルベン8量体
化合物を有効成分として含有する健康食品製剤及び美容
製剤に関するものである。より詳しくは、ヴァテリア・
インディカ(Vateria indica)等のフタバガキ科植物の
樹皮から単離精製されたスチルベン8量体化合物、その
製造方法及びそれを含む製剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、ブドウ科、フタバガキ科、マ
メ科又はカヤツリグサ科の植物から、レスベラトロール
骨格(3,5,4’−トリヒドロキシスチルベン(trihy
droxystilbene)骨格)を基本単位とする種々のスチルベ
ン・オリゴマーが単離されている。これらのスチルベン
化合物はポリフェノール類に分類され、抗酸化作用、抗
炎症作用、抗ガン作用等の様々な生理活性を有している
ことが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的とする
ところは、高い抗酸化作用を発揮することができる新規
なスチルベン8量体化合物、その製造方法及びそれを含
む製剤を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に記載の発明のスチルベン8量体化合物
は、下記化学式(1)に記載のものである。
【0005】
【化2】 請求項2に記載の発明のスチルベン8量体化合物の製造
方法は、フタバガキ科植物の樹皮を粉砕し、有機溶媒で
抽出処理を行った後、吸着クロマトグラフィーを用いて
請求項1に記載のスチルベン8量体化合物を精製するこ
とを特徴とするものである。
【0006】請求項3に記載の発明の健康食品製剤は、
有効成分として請求項1に記載のスチルベン8量体化合
物を含有することを特徴とするものである。請求項4に
記載の発明の美容製剤は、有効成分として請求項1に記
載のスチルベン8量体化合物を含有することを特徴とす
るものである。
【0007】請求項5に記載の発明の医薬品製剤は、有
効成分として請求項1に記載のスチルベン8量体化合物
を含有することを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、この発明を具体化した実施
形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態のス
チルベン8量体化合物は、下記化学式(1)に示される
有機化合物である。このスチルベン8量体化合物は、分
子式C1128424、分子量1812であり、1つの分
子中に8個のレスベラトロール(Resveratrol)(3,
5,4’−トリヒドロキシスチルベン)骨格を有するス
チルベン・オクタマーである。
【0009】
【化3】 このスチルベン8量体化合物は、フタバガキ科植物の樹
皮を原料として単離精製された天然有機化合物であるの
が好ましく、フタバガキ科植物であるヴァテリア・イン
ディカ(Vateria indica)の樹皮を原料として単離精製
された天然有機化合物であるのがより好ましい。また、
化学的に合成されたものであってもよい。このスチルベ
ン8量体化合物は、高い抗酸化作用を発揮することがで
きるうえ、抗炎症作用(抗菌作用)や抗ガン作用も発揮
することができる。
【0010】次に、上記スチルベン8量体化合物の製造
方法について記載する。上記スチルベン8量体化合物を
製造する際には、まず、原料としてのフタバガキ科植物
の樹皮を粉砕する。このとき、前記粉砕を容易に行うた
めに、フタバガキ科植物の樹皮を乾燥した後に粉砕する
のが好ましい。
【0011】次に、前記粉砕された樹皮をメタノール、
エタノール、ブタノール等のアルコール、アセトン、酢
酸エチル等の有機溶媒を用いて抽出処理を行うことによ
り有機溶媒抽出画分を得る。前記有機溶媒としては、ス
チルベン8量体化合物が抽出されやすいことからアセト
ンを用いるのがより好ましい。また、この抽出処理にお
いては、1種類の有機溶媒で抽出処理を行ってもよく、
2種類以上の有機溶媒での抽出処理を適宜組み合わせて
行ってもよい。さらに、その後の精製過程をより円滑に
進行させるために、前記抽出処理後の抽出液から溶媒を
除去した残渣に、上記有機溶媒を添加して再度抽出処理
を行うことによって、不溶性画分を充分に除去するのが
好ましい。
【0012】なお、前記抽出処理における有機溶媒の添
加量は、樹皮の重量(生木の重量)に対して5〜50倍
量(w/v)であるのが好ましい。この添加量が樹皮の
重量の5倍量未満の場合には、充分な量のスチルベン8
量体化合物を抽出することができない。逆に50倍量を
越える場合には、抽出処理に用いられる設備が巨大にな
るうえ、溶媒の除去作業の効率が低下することから好ま
しくない。
【0013】次に、前記有機溶媒抽出画分を公知の分画
方法に従って精製する。前記分画方法としては、分子排
除クロマトグラフィー及び吸着クロマトグラフィーから
選ばれる少なくとも1種が好適に使用される。さらに、
前記分子排除クロマトグラフィーと吸着クロマトグラフ
ィーとを組み合わせて精製するのがより好ましい。
【0014】前記分子排除クロマトグラフィーとして
は、種々のゲル濾過カラムクロマトグラフィーが挙げら
れる。また、前記吸着クロマトグラフィーとしては、シ
リカゲルカラムクロマトグラフィー(順相系又は逆相
系)、疎水クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィ
ー(TLC)等が好適に使用される。
【0015】また、スチルベン8量体化合物に対するモ
ノクローナル抗体又はポリクローナル抗体を作製し、そ
れらの抗体を結合させたクロマトグラフィー担体を用い
てアフィニティークロマトグラフィーを行ってもよい。
その他、公知のイオン交換クロマトグラフィー(陽イオ
ン交換クロマトグラフィー又は陰イオン交換クロマトグ
ラフィー)、ろ紙クロマトグラフィー、アルミナ吸着ク
ロマトグラフィー、ヒドロキシアパタイト吸着クロマト
グラフィー等の吸着クロマトグラフィー、ガスクロマト
グラフィーを適用してもよい。
【0016】さらに、前記分画方法としては、一度に大
量の処理を行うことができることから、分取用の(Prep
arative)クロマトグラフィーを使用するのが好まし
い。また、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を
使用してもよい。
【0017】本実施形態の健康食品製剤は、上記スチル
ベン8量体化合物を有効成分として含有するものであ
る。この健康食品製剤としては、上記スチルベン8量体
化合物を種々の食品素材又は飲料品素材に添加すること
によって、例えば、粉末状、錠剤状、液状(ドリンク剤
等)、カプセル状等の形状の健康食品製剤として使用さ
れる。また、基材、賦形剤、添加剤、副素材、増量剤等
を適宜添加してもよい。
【0018】本実施形態の美容製剤は、上記スチルベン
8量体化合物を有効成分として含有するものである。こ
の美容製剤としては、上記スチルベン8量体化合物を食
品素材、飲料品素材又は化粧品素材に添加することによ
って、例えば、液状、乳液状、半固形状(クリーム
状)、粉末状等の形状の美容食品、美容飲料又は化粧品
として使用される。また、これらの美容製剤は、目的や
用途に応じて、経口又は経皮投与することによって使用
される。前記化粧品は、化粧の種類に応じて、アルコー
ル類、油脂類界面活性剤、精製水等が適宜添加される。
【0019】本実施形態の医薬品製剤は、上記スチルベ
ン8量体化合物を有効成分として含有するものである。
この医薬品製剤は、抗酸化剤、抗炎症剤又は抗ガン剤と
して、常法に従って医薬品又は医薬部外品として利用さ
れる。医薬品としては、経口剤又は非経口剤として利用
され、医薬部外品としては、ドリンク剤、石鹸、歯磨き
粉等に配合されて利用される。
【0020】経口剤としては、錠剤、カプセル剤、散
剤、シロップ剤、ドリンク剤等が挙げられる。前記錠剤
及びカプセル剤に混和される場合には、結合剤、賦形
剤、膨化剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤等とともに用いる
ことができる。前記錠剤は、シェラック又は砂糖で被覆
することもできる。また、カプセル剤の場合には、上記
の材料にさらに油脂等の液体担体を含有させることがで
きる。シロップ剤及びドリンク剤の場合には、甘味剤、
防腐剤、色素香味剤等を含有させることができる。
【0021】非経口剤としては、軟膏剤、クリーム剤、
水剤等の外用剤が挙げられる。この外用剤の基材として
は、ワセリン、パラフィン、油脂類、ラノリン、マクロ
ゴールド等が好適に用いられ、通常の方法によって軟膏
剤やクリーム剤等とすることができる。
【0022】これらの医薬品製剤中におけるスチルベン
8量体化合物の含有量としては、0.01〜20重量%
であるのが好ましい。このスチルベン化合物の含有量が
0.01重量%未満の場合には、含有量が少なすぎるこ
とから必要量を摂取するのに非常に骨が折れる。逆に2
0重量%を越える場合には、医薬品製剤の安定性に寄与
している成分の含有量が相対的に低下することから、医
薬品製剤の安定性が低下する。一方、患者に投与する場
合には、1〜500mgを1日に1回又は数回投与する
のが好ましく、全日量(一日に摂取する総量)として2
〜1000mgを投与するのが好ましい。
【0023】上記実施形態によって発揮される効果につ
いて、以下に記載する。 ・ 実施形態のスチルベン8量体化合物は、上記化学式
(1)に示されるものである。このスチルベン8量体化
合物は、高い抗酸化作用を発揮することができる。ま
た、高い抗炎症作用(抗菌作用)及び抗ガン作用も発揮
することができる。
【0024】・ フタバガキ科植物の樹皮を粉砕し、有
機溶媒で抽出処理を行った後、吸着クロマトグラフィー
を用いてスチルベン8量体化合物を精製することによっ
て、高い抗酸化作用を発揮することができるスチルベン
8量体化合物を容易かつ確実に製造することができる。
【0025】・ 実施形態の健康食品製剤は、スチルベ
ン8量体化合物を有効成分として含有するものである。
このため、高い抗酸化作用を発揮することができること
から、体内での過酸化物質の生成を抑制して老化の進行
を抑えることができる。また、脳卒中、心筋梗塞、ガン
等の生活習慣病の予防効果も発揮することができる。
【0026】一方、実施形態の美容製剤及び医薬品製剤
は、いずれもスチルベン8量体化合物を有効成分として
含有していることから、前記健康食品製剤と同様の効果
を発揮することができる。
【0027】
【実施例】以下、前記実施形態を具体化した実施例につ
いて説明する。 <スチルベン8量体化合物の単離精製> (実施例1)インドにて採取したヴァテリア・インディ
カの樹皮1.0kgを乾燥した後に粉砕し、アセトン8
リットルを加え常温で12時間抽出処理を行った後にそ
の上清を分取した。続いて、前記上清を分取した後の残
渣にアセトン8リットルを加えて同様に抽出処理を行っ
た。そして、このアセトンによる抽出処理を合計5回行
った後のアセトン分取液を1つにまとめた。
【0028】次に、前記アセトンによる5回目の抽出処
理後の残渣に、メタノール8リットルを加え常温で12
時間抽出処理を行った後、その上清であるメタノール分
取液を得た。さらに、前記メタノールによる抽出処理後
の残渣に、70%メタノール8リットルを加え常温で1
2時間抽出処理を行った後、その上清である含水メタノ
ール分取液を得た。
【0029】次に、上記アセトン分取液、メタノール分
取液及び含水メタノール分取液をそれぞれ減圧下濃縮す
ることによって、アセトンエキス185g、メタノール
エキス80g及び含水メタノールエキス15gを得た
(いずれも粉末状)。これら各エキスを後述するリノー
ル酸モデル系による抗酸化活性試験に従って抗酸化活性
を測定することによりスクリーニングしたところ、全て
のエキスで抗酸化活性が発揮されたが、アセトンエキス
で最も高い抗酸化活性が発揮された。なお、以下の精製
過程においても同様のスクリーニング方法が適用され
る。
【0030】次に、前記アセトンエキス185gをアセ
トンに再溶解して可溶部と不溶部とに分離させた後、可
溶部130gについてのみ、乾式シリカゲルカラムクロ
マトグラフィーによる分画を行ったところ、1〜18の
フラクションが得られた。なお、前記カラムクロマトグ
ラフィーは、展開溶媒中のメタノール濃度を段階的に高
めることによって溶出させる方法を採用した。前記展開
溶媒としては、クロロフォルム:メタノールの量比を溶
出させる順に、10:0、10:1、5:1、0:10
と段階的に変化させた。
【0031】この得られた各フラクションについてスク
リーニングを行ったところ、フラクション17に最も高
い抗酸化活性が確認された。次に、このフラクション1
7を用いて、セファデックスLH−20(ファルマシア
社製)ゲル濾過担体によりゲル濾過カラムクロマトグラ
フィー(展開溶媒はメタノール)を行った後にスクリー
ニングを行った。
【0032】このゲル濾過カラムクロマトグラフィー及
びスクリーニングを合計3回行った後、シリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー(メルク(Merck)社製)及びスク
リーニングを行った。なお、前記カラムクロマトグラフ
ィーは、展開溶媒中のメタノール濃度を徐々に上昇させ
る(濃度勾配をかけて溶出させる)ことによって溶出さ
せる方法を採用した。溶出開始時点での展開溶媒はクロ
ロフォルム:メタノールの量比が10:1であり、溶出
終了時点での展開溶媒はクロロフォルム:メタノールの
量比が1:10である。
【0033】最後に、分取用TLC(メルク社製のカイ
ゼルゲル(Kisel-gel 60 F254)、展開溶媒は酢酸エチ
ル)と、オクタデシル(ODS)カラムクロマトグラフ
ィー(富士シリシア社製)とを用いて、スクリーニングを
行いながら抗酸化活性成分を精製することによって、褐
色粉末状の化合物96mgが得られた。
【0034】さらに、この得られた化合物を分析用TL
C(展開溶媒は、酢酸エチル:クロロフォルム:メタノ
ール=20:11:6)により分析することによって、
Rf値がほぼ0.3の位置に単一のスポットが確認され
た。また、この化合物は、後述するNMRやマススペク
トロメトリーにても夾雑物が含まれていないことが確認
された。
【0035】(実施例2)インドにて採取したヴァテリ
ア・インディカの樹皮1.0kgを乾燥した後に粉砕
し、エタノール10リットルを加え常温で12時間抽出
処理を行った後にその上清を分取した。続いて、前記上
清を分取した後の残渣にエタノール10リットルを加え
て同様に抽出処理を行った。そして、このエタノールに
よる抽出処理を合計6回行った後のエタノール分取液を
1つにまとめ、減圧下濃縮することによってエタノール
エキス155g(粉末状)を得た。
【0036】このエタノールエキスには抗酸化活性が確
認された。この得られたエタノールエキスの一部約20
gをセファデックスLH−20(展開溶媒はエタノー
ル)により分画及びスクリーニングを合計5回行ったと
ころ、褐色粉末状の化合物10mgが得られた。さら
に、この得られた化合物を実施例1と同様に、分析用T
LC、NMR及びマススペクトロメトリーを行った結
果、実施例1と同じ結果が得られたことから、実施例1
と同じ化合物が単離されたことが確認された。
【0037】<スチルベン8量体化合物の構造決定>上
記実施例1で単離精製された化合物について、質量分析
計(JEOL社製のJMS-DX-300,JMA3500system)を使用
した高速原子衝突イオン化法による質量分析法でその分
子量を測定した。その結果、この化合物の分子量は18
12であった。
【0038】続いて、測定装置(JEOL社製のα-50
0、EX-400、γ-300)を使用した核磁気共鳴分光法によ
り、プロトン及び13Cの核磁気共鳴スペクトル、H−H
cosyスペクトル、HMBCスペクトル及びHMQC
スペクトルを測定した。そして、核磁気共鳴スペクトル
を他のスペクトルと組み合わせて解析し、化合物の構造
決定を行った。化合物のケミカルシフトを表1及び表2
に、化合物の構造を図1に示す。なお、表1及び表2に
おいては、核磁気共鳴スペクトルのケミカルシフトはδ
で示し、このときの内部標準にはテトラメチルシラン
(TMS)を使用した。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】 構造決定においては、まずプロトン及び13Cの核磁気共
鳴スペクトルをH−Hcosyスペクトル及びHMQC
スペクトルと組み合わせて解析した。その結果、芳香族
を示す領域においては、8個の4-hydroxyphenyl基の存
在を示すシグナルが観測された。これは、図1に示した
化合物中におけるA1,B1,C1,D1,E1,F
1,G1及びH1の各芳香環を示すものである。同様に
して、3.5-dihydroxyphenyl基であるF2及びH2、3,5
-dioxygenated-1,2,4-trisubstituted benzene ringで
あるC2、3,5-dioxygenated-1,2,6-4-trisubstituted
benzene ringであるE2の各芳香環が示された。
【0041】脂肪族を示す領域においては、7b-8b-8c-7
c及び7e-8e-7g-8gの各位間にalphatic proton sequenc
e、7a-8a、7d-8d、7f-8f及び7h-8hの各位間にalphatic
methine protonの存在が示された。これに加え、ケミカ
ルシフトから見て、7a、7d、7f及び7hの各位の炭素
が酸素官能基に結合していると考えられる。そして、上
記の各部分構造は、レスベラトロール(resveratorol)
の8量体に相当するものであり、化合物の分子式として
1128424が示された。
【0042】A1〜H1と、A2〜H2の各芳香環にお
ける4級炭素の帰属及び水酸基の帰属はHMBCスペク
トルの解析によって行った。例えば、芳香環A1におけ
る2a(6a)位の水素と脂肪族中における7a位の炭素との間
にはHMBCスペクトルによるシグナルの相関が観察さ
れた。同様に、2b(6b)位と7b位、14b位と8b位、2c(6c)
位と7c位、14c位と8c位、2d(6d)位と7d位、14d位と8d
位、2f(6f)位と7f位、10f位と8f位、2g(6g)位と7g位、1
4g位と8g位、2h(6h)位と7h位及び10h(14h)位と8h位の
これら全てに、水素と炭素のシグナルの相関が観察され
た。特に、E1及びE2の両芳香環においては、7e位と
1e位、8e位と1e位、8e位と10e位及び8e位と14e位の間に
水素と炭素のシグナルの相関が観察され、1e,10e及び14
e位の芳香族炭素と、7e及び8e位の脂肪族プロトンとの
関係が示された。
【0043】上記した水素と炭素のシグナルの相関によ
りA1及びA2の芳香環と、それらの間に位置する7a及
び8a位のalphalic methine unitとによりレスベラトロ
ール(resveratrol)のA骨格が、同様にしてB1〜H
1及びB2〜H2の各芳香環と、それらの間のalphalic
methine unitとがレスベラトロール(resveratrol)の
B〜H骨格に帰属されるものと考えられる。
【0044】芳香環B2において、9b及び11b位の2個
の芳香族炭素に対して、8a位の水素から相関が観測され
たことにより、8a位の炭素は芳香環B2の10b位に結合
しており、A骨格は、芳香環B2と、dihydrobenzofura
n ringを形成するものと考えられる。また、芳香環A2
の9a及び11a位とB骨格の7b位、芳香環D2の9d及び11
d位と、C骨格の7c位で相関が観察され、7b及び7c位の
炭素はそれぞれ芳香環A2の10a位及び芳香環D2の10d
位に結合している。従って、A〜Dの4つの骨格によ
り、4量体(tetramer1)を形成していると考えられ
る。同様にして、E〜Hの4つの骨格により、4量体
(tetramer2)を形成していると考えられる。
【0045】上記のtetramer1及びtetramer2において、
tetramer1の13c位の炭素と、tetramer2の7e位の水素の
間にはシグナルの相関が観察された。同様に、tetramer
1の11c位の炭素と、tetramer2の7e位の水素の間にもシ
グナルの相関が観察された。このことから、tetramer1
の12c位と、tetramer2の7e位の間が結合していると決定
した。
【0046】また、NOESYスペクトル及びH−Hの
結合定数により、化合物内におけるtetramer1及びtetra
mer2の相対的な立体配置を決定した。これを図2に示
す。 <リノール酸モデル系による抗酸化活性試験>1.3%
リノール酸水溶液2.5ml、50mMリン酸緩衝液
2.5ml、実施例1のスチルベン8量体化合物を含む
エタノール溶液の各種濃度試料0.25ml、蒸留水
0.75ml及び46.6mM AAPH(2,2’−
アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩)水溶液
0.25mlを混合した反応液を栓付き試験管中でイン
キュベート(40℃、暗所)した。
【0047】24時間後、前記反応液を0.1mlと
り、これに75%エタノール4.7ml、30%チオシ
アン酸アンモニウム溶液0.1ml及び0.02M F
eCl2−3.5%塩酸水溶液0.1mlを加えてよく
撹拌し、4分後に500nmにおける吸光度を測定し
た。(ロダン鉄法) ロダン鉄法により500nmにおける吸光度を測定し、
コントロールに対する50%阻害濃度IC50(mM)を
求めた。また、上記実施例1のスチルベン8量体化合物
の代わりにアスコルビン酸を用いて、同様に50%阻害
濃度IC50(mM)を求めた。
【0048】その結果、実施例1のスチルベン8量体化
合物とアスコルビン酸の50%阻害濃度IC50は、それ
ぞれ0.030mMと0.160mMであった。従っ
て、実施例1のスチルベン8量体化合物は、公知の抗酸
化作用を有する比較対象物としてのアスコルビン酸と比
べて、5倍以上の抗酸化活性が発揮されたことが確認さ
れた。
【0049】<SOD活性測定による抗酸化活性試験>
スーパーオキシド・ジスムターゼ(SOD)測定用キッ
ト(SODテストワコー(和光純薬製))を用いて、実
施例1のスチルベン8量体化合物及びアスコルビン酸の
SOD活性を測定した。
【0050】すなわち、本検として、実施例1のスチル
ベン8量体化合物の各種濃度試料0.1ml、発色試薬
{0.1Mリン酸緩衝液(pH8.0)、0.40mM
キサンチン、0.24mMニトロブルーテトラゾリウム
(NO2−TB)}1.0ml及び酵素液(0.049
ユニット/mlキサンチンオキシダーゼ)1.0mlを
混合することによって反応液(Es)を調製した。ま
た、本検ブランクとして、前記本検に加えられた試料の
代わりに、蒸留水0.1mlを加えることによって反応
液(Ebl)を調製した。
【0051】さらに、比検として、前記本検に加えられ
た実施例1のスチルベン8量体化合物の各種濃度試料の
代わりに、アスコルビン酸の各種濃度試料0.1mlを
加えることによって反応液(Es)を調製した。また、
比検ブランクは前記本検ブランクと同じものが使用され
た。
【0052】一方、コントロールとして、前記本検に加
えられた酵素液の代わりに、0.1Mリン酸緩衝液1.
0mlを加えることによって反応液(Es-BL)を調製し
た。また、コントロール・ブランクとして、前記コント
ロールに加えられた試料の代わりに、蒸留水0.1ml
を加えることによって反応液(Ebl-bl)を調製した。
【0053】これら各反応液を37℃で20分間インキ
ュベートした後、69mMドデシル硫酸ナトリウム(反
応停止液)2.0mlを加えて反応を停止させた。これ
ら反応が停止された反応液について、蒸留水を対照とし
て560nmにおける吸光度を測定した。
【0054】そして、前記測定された吸光度より、以下
に示される計算式(1)を用いてSOD活性値(%)を
計算した。
【0055】
【数1】 さらに、前記計算されたSOD活性値を用いて、実施例
1のスチルベン8量体化合物及びアスコルビン酸につい
て、コントロールに対する50%阻害濃度IC 50(m
M)を求めた。
【0056】その結果、実施例1のスチルベン8量体化
合物とアスコルビン酸の50%阻害濃度IC50は、それ
ぞれ0.029mMと0.051mMであった。従っ
て、実施例1のスチルベン8量体化合物は、公知の抗酸
化作用を有する比較対象物としてのアスコルビン酸と比
較して、約1.8倍高いSOD活性が発揮されたことが
確認された。
【0057】<抗ヒアルロニダーゼ活性測定による抗炎
症活性試験>本検として、実施例1のスチルベン8量体
化合物を0.1M酢酸緩衝液(pH3.5)に溶解した
各種濃度試料0.125mlと、ヒアルロニダーゼ0.
125ml(1100ユニット)とを混合した反応液を
37℃で20分間インキュベートした。続いて、この反
応液に、ヒアルロニダーゼの反応基質としての化合物4
8/80(1mg/ml)を含む酢酸緩衝液を加え、37
℃でさらに20分間インキュベートした。次に、ヒアル
ロン酸カリウム(1.5mg/ml)を含む酢酸緩衝液
を加えて37℃で40分間反応させ、その反応を停止さ
せた後に発色させ、585nmにおける吸光度を測定し
た。
【0058】一方、比検として、前記実施例1のスチル
ベン8量体化合物の代わりに、公知の抗炎症作用を有す
るグロモグリク酸ナトリウム(DSCG)を加えた反応
液について、同様に吸光度を測定した。
【0059】また、コントロールとして、前記試料0.
125mlを加える代わりに、0.125mlの蒸留水
を加えた反応液について、同様に吸光度を測定した。こ
れら各反応液について、以下に示す計算式(2)により
ヒアルロニダーゼ活性の阻害率(%)を算出した。
【0060】
【数2】 さらに、算出された阻害率から50%阻害濃度IC
50(mM)を求めた。
【0061】その結果、実施例1のスチルベン8量体化
合物とDSCGの50%阻害濃度IC50は、それぞれ
0.004mMと0.05mMであった。従って、実施
例1のスチルベン8量体化合物は、公知の抗炎症作用を
有する比較対象物としてのDSCGと比較して、12.
5倍の抗ヒアルロニダーゼ活性が発揮されたことが確認
された。
【0062】<トポイソメラーゼII活性阻害測定による
抗ガン活性試験>トポイソメラーゼIIを0.75ユニッ
ト/mlとなるように、20mMトリス−塩酸緩衝液
(pH8.0)、0.3M塩化ナトリウム、140mM
2−メルカプトエタノール、50μg/mlウシ血清
アルブミン(BSA)で希釈した。
【0063】エッペンドルフチューブに、水11μl、
5倍のトポIIバッファー{5×TopoII buffer:250
mMトリス塩酸(pH7.9)、600mM KCl、
50mM MgCl2、2.5mM EDTA、2.5m
M ATP、2.5mM DTT、150μl/ml B
SA}4.0μl及びキネトプラストDNA(250n
g)4μlを入れて混合した。
【0064】本検として、エッペンドルフチューブに、
実施例1のスチルベン8量体化合物の各種濃度試料1.
0μlを加えて混合させた後、上記希釈された0.75
ユニット/μlトポイソメラーゼIIを1.0μl加えて
充分に混合した。本検ブランクとして、エッペンドルフ
チューブに、ジメチルスルフォキシド(DMSO)1.
0μlを加えて混合させた後、上記希釈された0.75
ユニット/μlトポイソメラーゼIIを1.0μl加えて
充分に混合した。
【0065】比検として、エッペンドルフチューブに、
ケルセチンの各種濃度試料1.0μlを加えて混合させ
た後、上記希釈された0.75ユニット/μlトポイソ
メラーゼIIを1.0μl加えて充分に混合した。比検ブ
ランクは、前記本検ブランクと同じものが使用される。
【0066】コントロールとして、エッペンドルフチュ
ーブに、DMSO1.0μlを加えて混合させた後、水
1.0μl加えて充分に混合した。これらのチューブを
37℃で30分間インキュベートした後、氷中でラウリ
ル硫酸ナトリウム(SDS)、プロテインキナーゼ(P
K)、ブロモフェノールブルー(BPB)をそれぞれ4
μlずつ加えた。その後、50℃で5分間インキュベー
トしてからボルテックス遠心後、再び50℃で5分間イ
ンキュベートし、アガロースゲル電気泳動用の試料を作
製した。そして、各電気泳動用試料18μlを用いてア
ガロースゲル電気泳動を行った。
【0067】最後に、電気泳動の結果を解析することに
より、トポイソメラーゼIIの活性を50%阻害する濃度
IC50(μM)を求めた。その結果、実施例1のスチル
ベン8量体化合物とケルセチンの50%阻害濃度IC50
は、それぞれ0.17μMと2.1μMであった。従っ
て、実施例1のスチルベン8量体化合物は、公知のトポ
イソメラーゼII活性抑制作用を有する比較対象物として
のケルセチンと比べて、12倍以上のトポイソメラーゼ
II活性抑制効果が発揮されたことが確認された。
【0068】<抗ウィルス活性測定による抗ガン活性試
験>Raji細胞(5×105個)を含む新しい完全培
地1mlに、TPA(12−0−テトラデカノイルホル
ボール−13−アセテート:2ng/5μlエタノー
ル)、n−酪酸ナトリウム(330μg/5μl滅菌
水)及び被験サンプル(5μlDMSO溶液)を加え、
炭酸ガスインキュベータ内で、37℃、48時間細胞培
養した。
【0069】ピペットマンを用いて、細胞懸濁液をガラ
ス遠心管内に収容した後、その一部(50μl)を別の
遠心管に移して細胞密度と生存率を計測する。すなわ
ち、前記細胞懸濁液50μlに0.2%トリパンブルー
・リン酸緩衝液50μlを加え、充分にボルテックス混
合させる。死滅した細胞は青色に染色されることから、
顕微鏡下で全細胞数に対する染色細胞数の割合を計測
し、細胞密度と合わせて細胞生存率を求め、被験サンプ
ルの細胞毒性の指標とする。
【0070】前記残った大部分の細胞懸濁液が収容され
た遠心管を1500r.p.m.、5分間遠心することにより
細胞を集めるとともに、上清を一部廃棄し、残った培養
液で再懸濁する。この濃縮された懸濁液をピペットで採
取し、スライドグラス上に滴下する。1時間風乾後、ア
セトンにて固定して塗沫標本とする。
【0071】次に、エプスタイン・バール(EB)ウィ
ルスのアーリイ・アンチジェン(Early Antigen;以下
EAと記載する)に対する1次抗体を滴下し、37℃で
30分間インキュベートする。染色バットにスライドグ
ラスを移し、リン酸緩衝液にて5分間2回洗浄する。続
いて、前記1次抗体と同様に2次抗体処理を行った後に
洗浄し、EBウイルス活性化により生じたEAの蛍光染
色を完成させる。
【0072】封入剤を標本部位に滴下した後、カバーグ
ラスをのせ、顕微鏡観察する。各種濃度の被験サンプル
について、全細胞中のEA産生細胞の割合を算出した結
果から、Raji細胞表面におけるEAの発現を50%
阻害する濃度IC50(μM)を求めた。
【0073】その結果、実施例1のスチルベン8量体化
合物とケルセチンの50%阻害濃度IC50は、それぞれ
1.1μMと21.0μMであった。従って、実施例1
のスチルベン8量体化合物は、公知の抗ガン活性を有す
る比較対象物としてのケルセチンと比べて、約20倍高
い抗ガン活性が発揮されたことが確認された。
【0074】<健康食品製剤、美容製剤又は医薬品製剤
の作製> (実施例3)実施例1のスチルベン8量体化合物を含む
エタノールエキス8.9g、粉砂糖20g及びシュガー
エステル1.1gを混合、打錠し、常法により直径10
mm、1錠300mgの健康食品製剤を得た。
【0075】(実施例4)実施例1のスチルベン8量体
化合物を含むエタノールエキス4.0g、アスコルビン
酸2.8g及び粉砂糖23.2gを加え、混合、打錠
し、300mgの健康食品製剤を得た。
【0076】(実施例5)実施例1のスチルベン8量体
化合物20mg、乳糖5.0g及びステアリン酸マグネ
シウム5.0gを原料とし、この混合物を常法によりハ
ードカプセルに充填し、1粒512mgのハードカプセ
ル剤を製造した。
【0077】(実施例6)実施例1のスチルベン8量体
化合物0.3g、オリーブ油10.5g及びレシチン
0.5gを混合し、常法により1錠500mgのソフト
カプセル錠を調製した。
【0078】(実施例7)モノステアリン酸ポリエチレ
ングリコール1.0g、親油型モノステアリン酸グリセ
リン2.0g、オリーブ油5.0g及びオレイン酸2.
0gを混合した後に加熱溶解した。得られた加熱溶解溶
液に、実施例1のスチルベン8量体化合物を0.5g、
ヒドロキシエチルセルロース0.2g、プロピレングリ
コール2.0g、グリチルリチン酸ジカリウム0.1g
及び精製水87.2gを混合した後、冷却することによ
って乳液を調製した。
【0079】(実施例8)スクワラン2.0g、みつろ
う8.0g、ワセリン0.5g、ソルビタンセスキオレ
ート0.8g及びポリオキシエチレンオレイルエーテル
1.2gを混合した後に加熱溶解した。得られた加熱溶
解溶液に、実施例1のスチルベン8量体化合物0.5
g、カルボキシビニルポリマー0.2g、プロピレング
リコール5.0g、水酸化カリウム溶解溶液0.1g及
び精製水78.7gを混合した後、冷却することによっ
て乳液を調製した。
【0080】(実施例9)ステアリン酸4.0g、セチ
ルアルコール3.0g、ステアリルアルコール1.0
g、流動パラフィン6.5g、ワセリン10g、ソルビ
タンモノステアレート1.5g及びポリオキシエチレン
モノステアレート3.0gを混合した後に加熱溶解し
た。得られた加熱溶解溶液に、実施例1のスチルベン8
量体化合物0.25g、 1,3−ブチレングリコール
5.0g、水酸化カリウム1.0g及び精製水65.2
mgを混合した後、冷却することによってクリームを得
た。
【0081】(実施例10)実施例1のスチルベン8量
体化合物1.0g、固体パラフィン10.0g、ビース
ワックス10.0g、スクワラン10.0g及びワセリ
ンを混合することによって100gの抗炎症剤を作製し
た。
【0082】<経皮投与試験>実施例7で得られた乳
液、実施例9で得られたクリーム及び実施例10で得ら
れた抗炎症剤を用いて、皮膚のかゆみを訴えるアレルギ
ー体質の被験者を対象に経皮投与試験を行った。すなわ
ち、それぞれ1例ずつを対象に、原則として他の外用剤
を使用せず、患部に1日1〜3回、1週間連続して塗布
するように指示して経過を見た。
【0083】1週間後、自覚症状として掻痒の改善効果
について聞き取り調査を行ったところ、全ての例におい
て症状の改善が認められたことが分かった。特に、抗炎
症剤においては顕著な改善効果が認められた。さらに、
全ての例において、使用感についての苦情は全く聞かれ
なかった。
【0084】なお、本実施形態は、次のように変更して
具体化することも可能である。・ 上記実施形態のスチ
ルベン8量体化合物を、染料、漂白剤の製造、蛍リン光
体に用いること。或いは、上記実施形態のスチルベン8
量体化合物を、電子写真感光体に用いること。
【0085】さらに、前記実施形態より把握できる技術
的思想について以下に記載する。 (1) フタバガキ科植物の樹皮を粉砕し、有機溶媒で
抽出処理を行った後、吸着クロマトグラフィーとゲル濾
過クロマトグラフィーとを組み合わせて請求項1に記載
のスチルベン8量体化合物を精製することを特徴とする
スチルベン8量体化合物の製造方法。
【0086】(2) 前記フタバガキ科植物はヴァテリ
ア・インディカであることを特徴とする請求項2又は前
記(1)に記載のスチルベン8量体化合物の製造方法。
【0087】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれ
ば、次のような効果を奏する。請求項1に記載の発明の
スチルベン8量体化合物によれば、高い抗酸化作用を発
揮することができる。
【0088】請求項2に記載の発明のスチルベン8量体
化合物の製造方法によれば、高い抗酸化作用を発揮する
ことができるスチルベン8量体化合物を容易に製造する
ことができる。
【0089】請求項3に記載の発明の健康食品製剤、請
求項4に記載の発明の美容製剤及び請求項5に記載の発
明の医薬品製剤によれば、高い抗酸化作用を発揮させる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例のスチルベン8量体化合物の構造決定
における参考図。
【図2】 実施例のスチルベン8量体化合物の構造決定
における参考図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 稔幸 岐阜県各務原市那加不動丘1丁目1番地 岐阜県保健環境研究所 内 (72)発明者 中屋 謙一 岐阜県各務原市那加不動丘1丁目1番地 岐阜県保健環境研究所 内 (72)発明者 丸山 広恵 岐阜県岐阜市加納桜田町1丁目1番地 ア ピ 株式会社内 (72)発明者 荒木 陽子 岐阜県岐阜市加納桜田町1丁目1番地 ア ピ 株式会社内 (72)発明者 坂本 貴 岐阜県岐阜市加納桜田町1丁目1番地 ア ピ 株式会社内 (72)発明者 三島 敏 岐阜県岐阜市加納桜田町1丁目1番地 ア ピ 株式会社内 Fターム(参考) 4C037 UA08 4C086 AA01 AA03 BA10 NA14 ZB11 ZB26 ZC02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記化学式(1)に記載のスチルベン8
    量体化合物。 【化1】
  2. 【請求項2】 フタバガキ科植物の樹皮を粉砕し、有機
    溶媒で抽出処理を行った後、吸着クロマトグラフィーを
    用いて請求項1に記載のスチルベン8量体化合物を精製
    することを特徴とするスチルベン8量体化合物の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 有効成分として請求項1に記載のスチル
    ベン8量体化合物を含有することを特徴とする健康食品
    製剤。
  4. 【請求項4】 有効成分として請求項1に記載のスチル
    ベン8量体化合物を含有することを特徴とする美容製
    剤。
  5. 【請求項5】 有効成分として請求項1に記載のスチル
    ベン8量体化合物を含有することを特徴とする医薬品製
    剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2004028498A1 (en) * 2002-09-24 2004-04-08 The Boots Company Plc Dental compositions and methods

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