JP2002234717A - ホモオキサカリックスアレーンによるc70の分離法 - Google Patents

ホモオキサカリックスアレーンによるc70の分離法

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JP2002234717A
JP2002234717A JP2001067726A JP2001067726A JP2002234717A JP 2002234717 A JP2002234717 A JP 2002234717A JP 2001067726 A JP2001067726 A JP 2001067726A JP 2001067726 A JP2001067726 A JP 2001067726A JP 2002234717 A JP2002234717 A JP 2002234717A
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JP2001067726A
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Naoki Komatsu
直樹 小松
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Tokyo Chemical Industries Co Ltd
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Tokyo Kasei Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】フラーレンC60,C70はその化学構造に起
因した,特徴的な物理的,化学的特性を有している。近
年,材料科学や,生化学などの分野において,産業化に
向けた研究が活発に行われている。フラーレンはクロマ
トグラフィーによる精製が一般的であったが,精製技術
の改良によりC60は比較的安価に入手可能となった。
しかしながらC70は未だ,C60と比べ格段に高価で
ある。本発明の課題はC70の大量精製に不可欠なC
70の分離法の確立である。 【解決手段】ヨウ素原子の持つ特異的な性質に着目し,
p−ヨードホモオキサカリックスアレーンをホスト化合
物として選択することにより,本発明の課題は解決され
た。すなわち,p−ヨードホモオキサカリックスアレー
ンはC70を含むフラーレン混合物から選択的にC70
のみと包接体を形成する。本発明はC70の大量精製法
に不可欠な分離技術である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はホモオキサカリック
スアレーンを用いて,C70を含むフラーレン混合物の
溶液からC70−ホモオキサカリックスアレーンの包接
体を選択的に形成させる方法に関するもので,材料科
学,生化学,およびその他の分野において要求されてい
るフラーレンの分離,精製に供するものである。
【0002】
【従来の技術】ダイヤモンド,グラファイトに次ぐ第3
の炭素同素体フラーレンは,大澤により30年以上前に
その存在の可能性が指摘されていた[大澤映二,化学,
25,854(1970)]。そして,1985年,
H.W.Kroto,R.E.Smalleyらはグラ
ファイトにレーザーを照射して生じる蒸気に,炭素数6
0からなる化合物を発見し,この化合物がサッカーボー
ル型をとることを予想した[H.W.Kroto,R.
E.Smalley,et al.,Nature,
18,162(1985)]。その後,1990年に
W.Kratschmer,D.R.Huffmanら
は,グラファイトのアーク放電により生じたススにフラ
ーレンC60が含まれることを発見し,C60の合成法
を確立した[W.Kratschmer,D.R.Hu
ffman,et al.,Nature,347,3
54(1990)]。
【0003】アーク放電による合成法の確立により,C
60は新たな炭素系素材として材料科学分野のみなら
ず,さまざまな分野で精力的な研究が行なわれることと
なった。例えば,R.C.Haddonらは,金属をド
ープしたC60が超伝導を示すことを報告している
[R.C.Haddon,et al.,Natur
e,350,320(1991)]。また,C60の特
徴的な構造に着目し,潤滑油の添加剤として用いること
も検討されている。生化学の分野では,C60が発がん
物質の作用を抑制することや,エイズウィルスの増殖を
抑制する生理活性を示すことが報告されている。さらに
60を化学修飾することで新たな機能の発現が期待さ
れ,多方面で研究されている。例えば,田畑らはポリエ
チレングリコール修飾C60ががん組織に特異的に集積
する性質に着目し,がんの光線力学治療法を検討してい
る[田畑泰彦ら,バイオインダストリー,14(7),
30(1997)]。
【0004】また,アーク放電により生成したススには
60の他に,C70やごく微量の高次フラーレンも含
まれている。特にC70はC60に次いで生成量が多い
こともあり,活発な研究が行われている。例えば,基板
にC70を蒸着させた積層型感光体は従来から知られて
いる有機感光体より高い感度を示す。そのため,実用化
に向けた研究が続けられている。また,生化学分野では
60と同様にC70の優れた光増感特性が注目されて
おり,がんの光線力学療法剤や抗ウィルス剤などの開発
を目的とした研究が展開されている[宮田直樹ら,薬学
雑誌,120,1007(2000)]。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一般的にアーク放電に
より生成したススはおおよそ12〜13%のフラーレン
を含有しており,そのフラーレンには約8:2の割合で
60とC70が存在する。さらに,若干量の高次フラ
ーレンが含まれる。これらのフラーレンを分離・精製す
る方法としては,カラムクロマトグラフィーによる精製
が一般的であった。しかしながら,カラムクロマトグラ
フィーによる手法は大量精製には不向きのため,精製さ
れたフラーレンは非常に高価であり,活発なフラーレン
研究に水を差す形となっていた。このような理由から,
カラム充填剤の改良,溶媒の選択,もしくはクロマト精
製以外のさまざまな方法が検討され,フラーレンの低価
格化への努力が行われてきた。
【0006】こうした動きの中で,1995年,新海ら
はtert−ブチルカリックス[8]アレーンを用いた
60の画期的分離・精製法を報告している[新海征治
ら,特開平7−237911]。すなわち,C60と選
択的に包接体を形成するカリックスアレーンを用い,フ
ラーレン混合物からC60のみを分離する方法である。
この分離法の確立により,フラーレン混合物から高純度
のC60を容易に入手することが可能となった。
【0007】しかしながら,C70についてはC60
ような画期的な分離,精製法が未だ確立しておらず,C
60と比べ格段に高価なのが現状である。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで,発明者は鋭意研
究を重ねた結果,本発明を完成するに至った。すなわ
ち,C70を含むフラーレン混合物に下記構造式に示さ
れるホモオキサカリックスアレーンを加え,選択的にC
70の包接体を形成させることを特徴とするC の分
離法である。本発明に係る分離法は,C70の大量精製
法を確立するために不可欠な技術である。
【0009】
【化2】
【0010】(ただし,nは3から6の整数。n=3の
場合,Rはヨウ素またはRである。3<n≦6の場
合,Rはヨウ素,Rのどちらか一方から選択される
か,もしくはRの一つ以上がヨウ素であり,他のR
はRである。Rはアルキル基,アルケニル基,アル
キニル基,芳香環,脂環,ヘテロ環,ハロゲンからそれ
ぞれ選ばれ,アルキル基,アルケニル基,アルキニル
基,芳香環,脂環,ヘテロ環は置換基を有していても良
い。)本発明に用いるホモオキサカリックスアレーンは
置換基としてヨウ素を持つことを特徴とする。ヨウ素原
子はハロゲンのなかでアスタチンにつぐ大きな原子半径
を有し,安定元素の中でも比較的大きな原子半径を持っ
ている。さらに,その原子価を拡張しオクテット則を超
える超原子価ヨウ素化合物を形成するなどの特異な性質
を有している。こうしたヨウ素を置換基として持つホモ
オキサカリックスアレーンは,新たな機能の発現が期待
できる。また,ヨウ素の部位は他の置換基への変換が容
易であるため,それらの前駆物質としても有用である。
【0011】
【実施例】以下に本発明の好ましい実施例を記載する
が,これは例示の目的であり,本発明を制限するもので
はない。本発明の範囲内では変形が可能なことは当業者
には明らかであろう。
【0012】実施例1 p−ヨードヘキサホモトリオキ
サカリックス[3]アレーンによる選択的C70包接体
形成 存在比がC60/C70=4/6のフラーレン混合物
(44.2mg)をトルエン(20ml)に溶解し,
p−ヨードヘキサホモトリオキサカリックス[3]アレ
ーン(12.6mg,0.016mmol)のトルエン
溶液(3ml)を加え1晩放置し,生じた黒色固体をろ
過することにより,包接体(35.1mg)を得た。 この包接体の主な物性を以下に示す: IR(KBr):3363cm−1,1473c
−1,1431cm−1,1242cm−1,120
5cm−1,1134cm−1,1083cm−1,8
83cm−1,794cm−1,727cm−1,67
3cm−1,577cm−1,536cm−1,457
cm−1
【0013】また,この包接体数mgを試験管に取り,
トルエンを加え十分に攪拌,包接体を分解し,HPLC
を用いてC60およびC70の存在量を測定した。 測定条件(カラム:Backy Prep(4.6mm
φ×250mm),流速:1.0ml/min,検出
器:UV 285nm,温度:40℃) C60およびC70の保持時間はそれぞれ8.5分,1
4.4分であった。ピークの積分値よりC60およびC
70の存在比は1/9と求められた。
【0014】
【発明の効果】上記のように,本発明はホモオキサカリ
ックスアレーンを用いて,C70を含むフラーレン混合
物の溶液からC70−ホモオキサカリックスアレーンの
包接体を選択的に形成する方法に関するものである。本
発明は材料科学,生化学,およびその他の分野で要求さ
れているC70の大量精製法の確立に不可欠な技術であ
る。本発明を用いた画期的なC70の大量精製法の確立
が期待できることから,本発明は極めて有用な分離法と
言える。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C70を含むフラーレン混合物に下記構造
    式 【化1】 (ただし,nは3から6の整数。n=3の場合,R
    ヨウ素またはRである。3<n≦6の場合,Rはヨ
    ウ素,Rのどちらか一方から選択されるか,もしくは
    の一つ以上がヨウ素であり,他のRはRであ
    る。Rはアルキル基,アルケニル基,アルキニル基,
    芳香環,脂環,ヘテロ環,ハロゲンからそれぞれ選ば
    れ,アルキル基,アルケニル基,アルキニル基,芳香
    環,脂環,ヘテロ環は置換基を有していても良い。)で
    示されるホモオキサカリックスアレーンを加え,選択的
    にC70の包接体を形成させることを特徴とするC70
    の分離法。
JP2001067726A 2001-02-05 2001-02-05 ホモオキサカリックスアレーンによるc70の分離法 Withdrawn JP2002234717A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004231105A (ja) * 2003-01-31 2004-08-19 Nissin Kogyo Co Ltd カップシールおよび液圧式マスタシリンダ
WO2005035442A1 (ja) * 2003-10-08 2005-04-21 Frontier Carbon Corporation フラーレンの分離方法及びフラーレンを有する錯体

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