JP2002231288A - 燃料電池システム - Google Patents

燃料電池システム

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JP2002231288A
JP2002231288A JP2001025045A JP2001025045A JP2002231288A JP 2002231288 A JP2002231288 A JP 2002231288A JP 2001025045 A JP2001025045 A JP 2001025045A JP 2001025045 A JP2001025045 A JP 2001025045A JP 2002231288 A JP2002231288 A JP 2002231288A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 原燃料ガスの温度が変化しても改質触媒の温
度を所定温度に保つことで、燃料電池を適切な状態で運
転することのできる燃料電池システムを提供。 【解決手段】 燃料ガスとカソード空気を供給されて電
気を発生させる燃料電池と、燃料電池から排出される排
気ガスを燃焼させ、この燃焼熱を利用して液体原燃料を
蒸気化させると共に、改質に供される改質空気を原燃料
噴射量と原燃料ガスの温度に応じて流量調節して蒸発器
に供給する空気導入手段たる改質空気量制御弁V1及び
制御手段CUと、原燃料ガスを改質して燃料ガスを生成
する改質器を備えた燃料電池システムとした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭化水素系の原燃
料を改質した改質ガスを燃料ガスとして燃料電池に供給
して発電を行う燃料改質型の燃料電池システムに関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、電気自動車の動力源などとして、
クリーンでエネルギ効率の優れた燃料電池(固体高分子
型燃料電池)が注目されている。この燃料電池は、燃料
ガス(水素)及び酸化剤ガス(空気)が供給されると電
気化学的に発電する一種の発電機である。
【0003】燃料電池を搭載した燃料電池電気自動車
は、1回の燃料補給で走行することのできる距離を長く
する必要がある。このため、燃料電池電気自動車には、
水素容器を備える代わりにメタノールなどの液体原燃料
の容器を備え、炭化水素系の液体原燃料を改質して水素
を含む改質ガスを生成させ、これを燃料ガスとして発電
を行う燃料電池システムを搭載したものがある。
【0004】以下、図12を参照して改質器103を搭
載した従来の燃料電池システムの構成及び動作を説明す
る。液体原燃料タンクTに貯蔵された水・メタノール混
合液(以下「液体原燃料」という)は、ポンプPにより
蒸発器102に送出される。蒸発器102では、液体原
燃料が図示しない原燃料噴射装置から蒸発器102に噴
射され、燃料電池101のオフガスを触媒燃焼した燃焼
熱を利用して蒸発される。また、蒸発器102には空気
圧縮機104から改質用の空気(以下「改質空気」とい
う)が供給される。液体原燃料の蒸気及び改質空気は、
蒸発器102の内部で加熱混合されて原燃料ガスとな
り、改質器103に供給される。
【0005】改質器103の内部にはオートサーマル反
応(ATR)用の触媒が充填されており、改質器103
に供給された原燃料ガスを改質し、水素を含む改質ガス
を生成する。なお、改質器103で生成した改質ガスに
は少量(1%程度)の一酸化炭素が含まれるので、燃料
電池101の触媒保護のため、生成した改質ガスは図示
しないCO除去器に供給され、一酸化炭素を二酸化炭素
に転換することで一酸化炭素が除去される。一酸化炭素
を除去した改質ガス(燃料ガス)は、燃料電池101に
供給される。
【0006】次に、燃料電池101には、アノード極
(水素極)に改質器103からの改質ガスが供給され、
カソード極(酸素極)に空気圧縮機104からの空気が
供給される。そして、燃料電池1は、その内部で改質ガ
ス中の水素と空気中の酸素を電気化学的に反応させて発
電する。なお、燃料電池101のアノード極から排出さ
れた未反応の水素を含むオフガスと、カソード極から排
出された未反応の酸素を含むオフガスは、混合されて蒸
発器102における熱源とされる。
【0007】ところで、このような燃料改質型の燃料電
池システムが出力増加要求に応じて発電量を増して出力
増加する場合は、燃料電池101へ供給される改質ガス
の増加に遅れが発生する。つまり、改質ガスが燃料電池
101に供給されるまでには、蒸発器102による液体
原燃料の蒸発、改質器103による原燃料ガスの改質、
図示しないCO除去器によるCOの除去というような複
数の工程を経るため、蒸発や改質などの遅れ及びシステ
ム体積などの関係から、直ちに出力増加要求にマッチし
た量の改質ガスを生成することができない。このため、
燃料電池101がいわゆるガス欠にならないように、改
質ガスの増加の遅れに見合った発電遅れ量(レート、無
駄時間、1次遅れなどという)を固定して、発電量の増
加に遅れを生じさせる制御を行っている。
【0008】一方、出力減少要求に応じて発電量を減じ
て出力減少する場合は、燃料電池へ供給される改質ガス
の減少に遅れが発生する。つまり改質ガスを増加する場
合と同様に改質ガスを減少する場合も、直ちに出力減少
要求にマッチした量の改質ガスを生成することができな
い。このため、余剰な改質ガス(余剰水素)が発生す
る。したがって、改質ガスの減少の遅れに見合った発電
遅れ量(レート、無駄時間、1次遅れなどという)を固
定して、発電量の減少に遅れを生じさせる制御を行って
いる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、発電遅
れ量を設定すると、それが燃料電池システムの出力増加
時における応答性や効率を低下させる。また、出力減少
時にも、発電遅れ量により要求出力に対する応答性及び
効率を低下させる。また、発電遅れ量を設定せざるを得
ない場合、従来は、発電遅れ量を改質ガスの供給遅れが
最大になるポイント(燃料電池の最大出力)に合わせ
て、一定に設定していた。このため、出力増減幅が小さ
くても大きくてもどのような状況でも、要求出力に対す
る応答性及び効率が低いまま一定である。
【0010】そこで、本発明は、出力増加時には応答性
及び効率を向上し、出力減少時には余剰水素の有効利用
を図りつつ応答性を向上する燃料電池システムを提供す
ることを主たる課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記課題に鑑み、本発明
者らは鋭意研究を行い、改質器と燃料電池の間に圧力制
御用のバルブを設け、バルブの上流側のシステム体積を
ガスバッファとして利用することなどに着目し、本発明
を完成するに至った。また、本発明者らは、発電遅れ量
を可変として適宜設定すれば前記課題を解決できること
などに着目し、本発明を完成するに至った。即ち、前記
課題を解決した本発明の請求項1に記載の燃料電池シス
テムは、燃料ガスである改質ガスと酸化剤ガスとを供給
されて発電する燃料電池と、燃料電池の排気ガスを燃焼
させ、この熱により前記改質ガスの原料を蒸発させる蒸
発手段と、蒸気化した原料を改質して前記改質ガスを生
成する改質手段とを備える。そして、前記燃料電池と前
記改質手段との間にバルブを設け、前記燃料電池システ
ムに対する要求出力に基づいて前記バルブの開度を調節
し、前記改質ガスの流量を調整する構成を有することを
特徴とする燃料電池システム。
【0012】この構成では、バルブの開度を閉じる方向
に調節するとバルブの上流側の圧力(背圧)が高くな
る。この際、生成した改質ガスがシステム体積を利用し
て蓄えられる(蓄圧される)。仮に、燃料電池システム
に対して出力減少要求があった場合は、バルブの開度を
閉じる方向に調整する。すると、燃料電池に供給される
改質ガスの量を減らすことができる(改質器における改
質ガスの生成量よりも改質ガスの量を少なくして燃料電
池に供給することができる)。当然、燃料電池の手前に
設けられたバルブで改質ガスの供給量を減らすので応答
性がよい。このため、燃料電池(スタック)に対する余
剰水素を作ることがない。また、燃料電池システムとし
ての効率もよい。一方、バルブの開度を開く方向に調節
するとバルブの上流の圧力が低くなる。この際、バルブ
の上流側に蓄えられている改質ガス(アシストガス)
が、圧力の低下量に相当する分、下流側にある燃料電池
に供給される。仮に、燃料電池システムに対して出力増
加要求があった場合は、バルブの開度を開く方向に調整
する。すると、燃料電池に供給される改質ガスの量を増
やすことができる(アシストガスにより改質ガスの生成
量よりも燃料電池に供給される改質ガスの量を多くする
ことができる)。当然、燃料電池の手前に設けられたバ
ルブで改質ガスの量を増やすので応答性がよい。また、
燃料電池システムとしての効率もよい。
【0013】なお、燃料電池システムに対する要求出力
とは、改質手段(蒸発手段)に対する要求出力や燃料電
池に対する要求出力などを含んで意味する。例えば、後
記する発明の実施の形態における燃料電池システムで
は、ドライバがスロットルペダルを踏み込むことにより
生成されるスロットル開度信号が、燃料電池システムに
対する要求出力に該当する。また、スロットル開度信号
を入力することにより派生する種々の信号類、例えば、
目標発電電流値や目標原燃料噴射量なども燃料電池シス
テムに対する要求出力に該当する。
【0014】また、前記課題を解決した本発明の請求項
2に記載の燃料電池システムは、燃料ガスである改質ガ
スと酸化剤ガスとを供給されて発電する燃料電池と、燃
料電池の排気ガスを燃焼させ、この熱により前記改質ガ
スの原料を蒸発させる蒸発手段と、蒸気化した原料を改
質して前記改質ガスを生成する改質手段とを備える。そ
して、前記燃料電池と前記改質手段との間にバルブを設
け、前記燃料電池システムへの出力値に応じて前記バル
ブの開度を調節し、前記バルブの上流圧力を所定値に維
持すると共に、前記燃料電池システムへの要求出力に対
する応答性を可変設定する構成を有することを特徴とす
る。
【0015】この構成は、従来固定されていた発電遅れ
量(応答性)を可変とするものである。この際、バルブ
の上流側の圧力は所定値に維持される。このため、改質
ガスの流量が増加するとバルブの開度は開く方向に調節
され、改質ガスの流量が減少するとバルブの開度は閉じ
る方向に調節される。
【0016】また、請求項3に記載の発明は、前記燃料
電池の出力とスロットルの要求出力との差又はその差の
時間微分に応じて、前記バルブの上流圧力の設定圧を一
時的に再設定することにより、前記スロットルの要求出
力の変化から前記燃料電池の出力応答までの時間を最短
とする構成を有することを特徴とする請求項1又は請求
項2に記載の燃料電池システム。
【0017】燃料電池の出力とスロットルの要求出力と
の差(スロットルの要求出力に対する燃料電池の出力の
不一致)は、(1)燃料電池の出力増加時に、スロット
ルの要求出力の増加に対して燃料電池の出力が低い場
合、(2)燃料電池の出力減少時に、スロットルの要求
出力の減少に対して燃料電池の出力が高い場合など、主
として燃料電池の出力状態が変化する過渡期に生じる。
また、バルブの上流圧力(背圧)を一時的に再設定する
とは、バルブの背圧が一時的に増加するように設定した
り、減少するように設定したりすることである。例え
ば、所定の背圧制御を行っているときに、一時的に背圧
が減少するように設定すると、燃料電池に供給される改
質ガスの量が一時的に増加する。一方、所定の背圧制御
を行っているときに、一時的に背圧が増加するように設
定すると、燃料電池に供給される改質ガスの量が一時的
に減少する。なお、燃料電池の出力とスロットルの要求
出力との差の時間微分は、差の変化速度である。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の燃料電池システム
の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1
は、本実施形態の燃料電池システムの構成を示すブロッ
ク図である。
【0019】図1に示すように、燃料電池システムは、
燃料電池1、蒸発器2、改質器3aとCO除去器3bか
ら構成される改質器3、空気圧縮機4、液体原燃料タン
クT、改質空気量制御弁V1,CO除去空気量制御弁V
2、背圧制御弁BPV及び制御装置6を含んで構成され
る。なお、この燃料電池システムは燃料電池電気自動車
に搭載され、走行モータ5(図2参照)や補機類に電力
を供給する。
【0020】本実施形態での燃料電池1は、固体高分子
型であるPEM型の燃料電池であり、電解膜を挟んで酸
素極及び水素極などから構成される膜電極構造体(ME
A)をセパレータでさらに挟み込んだ単セルを、300
枚程度積層した積層構造を有している。この燃料電池1
は、水素極(アノード極)に水素を含んだ改質ガスを供
給し、酸素極(カソード極)に空気を供給すると、水素
と酸素を電気化学的に反応して発電する。ここで、PE
Mとは、Proton Exchange Membraneの略であり、MEA
とは、Membrane Electrode Assemblyの略である。
【0021】なお、燃料電池1から取り出される電流の
量は、VCU(リミッタ機能付き電力調整器、図2参
照)により制御される。VCUを介して燃料電池1から
取り出された電流は、図示しないキャパシタと走行モー
タ5に供給される。キャパシタは、電力の生成と消費に
おけるエネルギーバッファの役割を有する。ちなみに、
燃料電池1は、改質ガス及び空気が充分供給されても、
燃料電池1から電流を取り出さなければ発電しない。そ
の一方、供給される改質ガス及び空気の量が少ないにも
かかわらず、多くの電流を燃料電池1から抜き出そうと
すると、いわゆるガス欠になり、燃料電池1を破損する
原因になる。
【0022】蒸発器2は、液体原燃料タンクTからの液
体原燃料(水・メタノール混合液)を加熱蒸発させ、改
質器3aに供給する。このため、蒸発器2は、液体原燃
料を蒸発する蒸発器2a、液体原燃料を蒸発器2aに所
定量噴射する原燃料噴射装置2b、及び液体原燃料を蒸
発させる熱源となる触媒燃焼器2cを備える。蒸発器2
aは、図示しない熱媒チューブをその内部に多数有す
る。熱媒チューブ内には、触媒燃焼器2cで触媒燃焼さ
れた高温ガスが通流し、噴射された液体原燃料を蒸発さ
せるようになっている。原燃料噴射装置2bは、送液ポ
ンプPにより圧送された液体原燃料タンクTからの液体
原燃料を図示しないインジェクタから噴射するものであ
る。インジェクタは、制御装置6からの噴射制御信号に
より間欠的に弁を開閉駆動するものである。触媒燃焼器
2cは、燃料電池1のオフガス(水素極から排出される
未利用の水素を含むガスと酸素極から排出される未利用
の酸素を含むガスを混合したもの)を触媒燃焼する燃焼
器である。
【0023】また、蒸発器2aは、空気導入口を有し、
空気圧縮機4から供給される空気が蒸発器2a内に導入
されるようになっている。この蒸発器2aに導入された
空気は、改質空気として原燃料蒸気に混合され、原燃料
ガスとして改質器3aに供給されるようになっている。
なお、空気圧縮機4から供給される空気の量は、図示し
ない調圧弁と改質空気量制御弁V1により調節されるよ
うになっている。この改質空気量制御弁V1はゲート弁
であり、制御装置6からの弁開度信号により弁の開度が
制御される。このように、改質空気を蒸発器2aに供給
するのは、原燃料蒸気と空気を良好に混合して、均質な
原燃料ガスを得るためである。
【0024】改質器3aは、内部にオートサーマル反応
(ATR)用の改質触媒を保持した薄型プレート形状の
ハニカム状触媒層を有しており、このハニカム状触媒層
に原燃料ガスを通流することで、下記〔1〕〜〔4〕の
反応により水素を含む改質ガスを生成する。 〔1〕水蒸気改質反応;CH3OH+H2O→3H2+C
2 〔2〕酸化反応 ;CH3OH+3/2O2→2H2
O+CO2 CH3OH+1/2O2→2H2+CO2 〔3〕熱分解反応 ;CH3OH→2H2+CO 〔4〕シフト反応 ;CO+H2O→H2+CO2
【0025】CO除去器3bは、内部に選択酸化反応用
の触媒が充填されており、改質ガスに1%程度含まれる
一酸化炭素を選択酸化して二酸化炭素に転換し、一酸化
炭素を除去する(100ppm以下)。なお、選択酸化
反応には酸素を必要とする。このため、空気圧縮機4か
ら図示しない調圧弁とCO除去空気量制御弁V2により
選択酸化用の空気が供給されるようになっている。CO
除去空気量制御弁V2は、例えばゲート弁であり、制御
装置6からの弁開度信号により弁の開度が制御される。
これら改質空気量及びCO除去空気量の制御は、弁以外
に、例えばインジェクタを使用してもよい。ちなみに、
CO除去器3bにおける不要な反応(逆シフト反応、メ
タネーション反応)により水素を消耗するのを防止する
ため、図示しない熱交換器が改質器3aとCO除去器3
bの間に設けられ、CO除去器3bに供給される原燃料
ガスの温度は250℃以下(100℃程度)に冷却され
る。また、CO除去器3bにおける選択酸化反応は発熱
反応であり、燃料ガスの温度が150℃以上に上昇す
る。一方、燃料電池1の作動温度は100℃以下であ
る。このため、CO除去器3bと燃料電池1(アノード
極側)の間に図示しない熱交換器が設けられ、燃料電池
1に供給される燃料ガスの温度を燃料電池1が好適に作
動できるような温度(例えば80℃)に調節している。
【0026】本実施形態での背圧制御弁BPVは、CO
除去器3bの後段側(かつ図示しない熱交換器の後段
側)に設けられる。背圧制御弁BPVは、例えばゲート
弁であり、制御装置6からの弁開度信号により弁の開度
が制御される。なお、液体原燃料が蒸発している状況、
つまり改質ガスが生成されている状況で背圧制御弁BP
Vの開度を閉じる方向に調整すると、燃料電池1に供給
される改質ガスの流量は減少する。同時に、背圧制御弁
BPVの上流側は圧力が高くなり、改質ガスが蓄えられ
る(蓄圧される)。この状況から背圧制御弁BPVの開
度を開く方向に調整すると、燃料電池1に供給される改
質ガスの流量は増加する。
【0027】なお、背圧制御弁BPVの上流側の圧力
(背圧)や燃料電池1に供給される改質ガスの流量は、
圧力センサや流量センサにより測定され、測定信号が制
御装置6に出力されるようになっている。
【0028】空気圧縮機4は、図示しないモータにより
駆動するスーパーチャージャなどであり、図示しないエ
アフィルタを介して外気から空気を取り込んで燃料電池
1(カソード極)に供給する。この空気圧縮機4は、燃
料電池1の要求出力が増加したときは、制御装置6から
の制御信号に基づいてモータの回転速度を速くし、要求
出力に応じた空気を燃料電池1に供給するようになって
いる。なお、燃料電池1と空気圧縮機4の間には図示し
ない加湿器及び熱交換器が設けられ、空気を加湿すると
共に温度調節して燃料電池1に供給するようにしてい
る。ちなみに、空気を加湿するのは、燃料電池1の電解
膜が乾燥しプロトン導電率が低下するのを防止するため
である。
【0029】制御装置6は、CPU、メモリ、入出力イ
ンターフェイス、A/D変換器、バスなどから構成さ
れ、燃料電池1に供給する改質ガス及びカソード空気の
量、並びに改質空気及びCO除去空気の量を制御する。
また、燃料電池1から抜き出す電流値(発電量)の制御
を行う。
【0030】なお、燃料電池電気自動車は、走行モータ
5(図2参照)として、三相ブラシレスモータを備え
る。燃料電池1が発電した電力は、インバータを備える
PDU(Power Drive Unit)を介して走行モータ5に供
給される。なお、走行モータ5は、回生発電も行う。回
生電流は、キャパシタに充電される。
【0031】以下、図2及び図3を参照して制御装置6
の構成を説明する。図2は、制御装置の構成を示す機能
ブロック図である。
【0032】図2に示すように、制御装置6は、走行モ
ータ目標出力設定手段61、走行モータ制御手段62、
補機電力演算手段63、加算手段64、目標発電電流値
設定手段65、発電遅れ量制御手段66、背圧制御弁制
御手段67、空気圧縮機制御手段68、原燃料噴射装置
制御手段69、改質器空気制御弁制御手段70及びCO
除去空気制御弁制御手段71などから構成される。
【0033】走行モータ目標出力設定手段61は、スロ
ットル開度信号θthと車速信号VSPを入力し、マップ
に基づいて走行モータ目標出力信号を設定する。マップ
は、スロットル開度信号θthが大きくなれば走行モータ
目標出力信号が大きくなるようになっている。また、車
速信号VSPが大きくなれば走行モータ目標出力信号は
小さくなるように補正されている。走行モータ目標出力
信号は、走行モータ制御手段62と加算手段64に出力
される。
【0034】走行モータ制御手段62は、走行モータ目
標出力信号を入力して該走行モータ目標出力に応じた走
行モータ制御信号を生成し、PDUに出力する。これに
より、走行モータ5の駆動は、スロットル開度信号θth
と車速信号VSPに応じたものになる。
【0035】補機電力演算手段63は、補機に供給され
る電流Isubと電圧Vsubから補機の消費電力を演算す
る。演算結果は補機消費電力信号として、加算手段64
に出力される。なお、補機とは、走行モータ5を除いた
電力を消費する機器類の総称である。
【0036】加算手段64は、走行モータ目標出力信号
及び補機消費電力を加算し、加算値をシステム電力信号
として目標発電電流値設定手段に出力する。なお、シス
テム電力信号は、燃料電池システム及び走行モータ5を
含む燃料電池電気自動車で消費される全電力を示す。
【0037】目標発電電流値設定手段65は、システム
電力信号とキャパシタの開放電圧Vcapoを入力し、マッ
プに基づいて燃料電池1から取り出す電流値である目標
発電電流値を設定する。マップは、システム電力信号が
大きくなれば目標発電電流値が大きくなるようになって
いる。その一方、キャパシタ開放電圧Vcapoが大きくな
れば、目標発電電流値は小さくなるように補正されてい
る。なお、キャパシタ開放電圧Vcapoはキャパシタの充
電量(充電残量)を示し、これが大きいとキャパシタに
は沢山の電力が蓄えられている。
【0038】発電遅れ量制御手段66は、目標発電電流
値を入力してその増減幅(変化量)からマップに基づい
て発電遅れ量を設定する。そして、発電遅れ量に基づい
て補正した目標発電電流値をVCUに出力する。VCU
は、目標発電電流値に基づいて燃料電池1から取り出す
電流を制御する。これにより、燃料電池から取り出され
る電流は、走行モータ5に供給される電力及び補機類が
消費する電力に応じたもの、つまり燃料電池電気自動車
が消費する全電力に応じたものになる。なお、発電遅れ
量の制御を、目標発電電流値の増減幅ではなく、目標発
電電流値(出力値)に基づいて行う場合もある。この発
電遅れ量制御の詳細については後記する。
【0039】背圧制御弁制御手段67は、目標発電電流
値を入力し、マップに基づいて目標背圧を設定する。そ
して、目標背圧に応じた弁開度信号を生成し、背圧制御
弁BPVの駆動回路に出力する。なお、背圧制御弁制御
手段67は、実際の背圧Pbkを入力してフィードバック
制御を行う。この背圧制御の詳細については後記する。
【0040】空気圧縮機制御手段68は、目標発電電流
値とカソード利用率から燃料電池1に供給すべき空気の
量を演算する。この演算結果に基づいてマップにより目
標空気供給量を設定する。そして、目標空気供給量にマ
ッチした空気圧縮機4の回転速度信号を生成し、空気圧
縮機4の駆動回路に出力する。なお、目標空気供給量
は、改質空気量及びCO除去空気量を加味するように補
正される。これにより、空気圧縮機4は、目標発電電流
値並びに改質空気量及びCO除去空気量にマッチした量
の空気を燃料電池1に供給する。結果として、目標発電
電流値が大きくなれば目標空気供給量も多くなるように
設定される。ここで、カソード利用率は、燃料電池1の
カソード極(酸素極)で消費された空気の量/カソード
極に供給された空気の量で定義される。
【0041】原燃料噴射装置制御手段69は、目標発電
電流値とアノード利用率から燃料電池1に供給すべき改
質ガスの量(改質器に対する要求負荷)を演算する。こ
の演算結果に基づいてマップにより目標原燃料噴射量を
設定する。そして、目標原燃料噴射量に応じた噴射制御
信号を生成し、原燃料噴射装置2bの駆動回路に出力す
る。これにより、原燃料噴射装置2bは、目標発電電流
値にマッチした液体原燃料を蒸発器2aに噴射する。結
果として、目標発電電流値が大きくなれば目標原燃料噴
射量も多くなるように設定される。ここで、アノード利
用率は、燃料電池1のアノード極(水素極)で消費され
た改質ガスの量/アノード極に供給された改質ガスの量
で定義される。なお、目標原燃料噴射量は、改質空気制
御弁制御手段70及びCO除去空気制御弁制御手段71
に出力される。
【0042】改質空気制御弁制御手段70は、目標原燃
料噴射量を入力し、マップに基づいて目標改質空気量を
設定する。そして、目標改質空気量に応じた弁開度信号
を生成し、改質空気制御弁V1の駆動回路に出力する。
これにより、目標原燃料噴射量にマッチした量の改質空
気が改質器3aに供給される。なお、マップは、目標原
燃料噴射量が大きくなると改質空気量も多くなるように
設定されている。
【0043】CO除去空気制御弁制御手段71は、目標
原燃料噴射量を入力し、マップに基づいて目標CO除去
空気量を設定する。そして、目標CO除去空気量に応じ
た弁開度信号を生成し、CO除去空気制御弁V2の駆動
回路に出力する。これにより、目標原燃料噴射量にマッ
チした量のCO除去空気がCO除去器3bに供給され
る。なお、マップは、目標原燃料噴射量が大きくなると
CO除去空気量も多くなるように設定されている。
【0044】次に、前記した構成の燃料電池システムに
おける背圧制御及び発電遅れ量制御を説明する。
【0045】≪第1実施形態≫第1実施形態を説明す
る。第1実施形態の燃料電池システムは、燃料電池1の
出力が大きくなると背圧を小さくする背圧制御を行う。
かつ、燃料電池1の出力の増減幅にかかわらず発電遅れ
量を一定にする発電遅れ量制御を行う。図3は、第1実
施形態の(a)背圧制御マップと(b)発電遅れ量制御
マップを示す図である。図4の(a)は制御装置に入力
されるスロットル開度信号、(b)は目標発電電流値
(発電遅れ量制御前)、(c)は燃料電池に供給される
実際の改質ガス量、(d)は目標発電電流値(発電遅れ
量制御後)を示す。
【0046】図3(a)に示すように、背圧制御マップ
は、目標発電電流値が大きくなると目標背圧を小さくす
るように設定されている。また、図3(b)に示すよう
に、発電遅れ量制御マップは、目標発電電流値の増減幅
にかかわらず発電遅れ量が一定になるように設定されて
いる。
【0047】この第1実施形態の燃料電池システムの動
作を、図1〜図4を参照して説明する。
【0048】〔出力増加時〕ドライバが燃料電池電気自
動車のスロットルペダルを踏み込むと、スロットル開度
信号θthが増加する。すると走行モータ目標出力設定手
段61が、該増分に見合った大きな走行モータ目標出力
を設定する。これに対応して、目標発電電流値設定手段
65が大きな目標発電電流値を設定する。目標発電電流
値は、発電遅れ量制御手段66、背圧制御弁制御手段6
7、空気圧縮機制御手段68及び原燃料噴射装置制御手
段69に出力される。また、原燃料噴射量制御手段69
で設定された目標原燃料噴射量が、改質器空気制御弁制
御手段70及びCO除去空気制御弁制御手段71に出力
される。
【0049】これにより、燃料電池1に供給される空気
の量が増加する。同時に、原燃料噴射量、改質空気量及
びCO除去空気量が増加し、改質ガスの生成量が増す。
第1実施形態では、生成した改質ガスは、背圧制御弁制
御手段67により目標発電電流値が大きくなると背圧が
小さくなる(図3(a)参照)。このため、背圧制御弁
BPVは、目標発電電流値が大きくなると弁開度は大き
くなる(背圧を一定にする場合よりも弁開度は大きくな
る)。
【0050】なお、第1実施形態では、発電遅れ量制御
手段66は、目標発電電流値の増加幅(増減幅)にかか
わらず発電遅れ量を一定にしている。
【0051】これを、図4を参照して説明する(一点鎖
線で囲った出力増加時参照)。例えば、ドライバがスロ
ットルペダルを急激に踏み込むと、制御手段6に入力さ
れるスロットル開度信号θthが急激に増加する(図4
(a))。すると、スロットル開度信号θthに応じて目
標発電電流値も大きく設定される(図4(b))。ま
た、目標発電電流値に基づいて目標原燃料噴射量及び目
標空気量が大きく設定される。また、目標原燃料噴射量
に基づいて目標改質空気量及び目標CO除去空気量も大
きく設定される。さらに、目標発電電流値に基づいて図
3のように背圧及び発電遅れ量(図4(d))が設定さ
れる。
【0052】ところで、燃料電池1に供給される改質ガ
スの量は目標原燃料噴射量通りにはならず、通常目標値
に対して遅れが生じる(図4(c))。しかし、第1実
施形態によれば、急激に目標発電電流値が増加しても、
背圧制御弁BPVにより蓄えられていた分の改質ガス
(図3(a)のΔP参照)が応答性よく燃料電池1に供
給される。したがって、燃料電池1に供給される改質ガ
スの量が不足することがない(ガス欠になることがな
い、図4(c))。
【0053】〔出力減少時〕一方、ドライバが燃料電池
電気自動車のスロットルペダルの踏み込みを開放する
と、スロットル開度信号θthが減少する。すると走行モ
ータ目標出力設定手段61が、該減少に見合った小さな
走行モータ目標出力を設定する。これに対応して、目標
発電電流値設定手段65が小さな目標発電電流値を設定
する。目標発電電流値は、発電遅れ量制御手段66、背
圧制御弁制御手段67、空気圧縮機制御手段68及び原
燃料噴射装置制御手段69に出力される。また、原燃料
噴射量制御手段69で設定された目標原燃料噴射量が、
改質器空気制御弁制御手段70及びCO除去空気制御弁
制御手段71に出力される。
【0054】これにより、燃料電池1に供給される空気
の量が減少する。同時に、原燃料噴射量、改質空気量及
びCO除去空気量が減少し、改質ガスの生成量が減る。
第1実施形態では、生成した改質ガスは、背圧制御弁制
御手段67により目標発電電流が小さくなると背圧が大
きくなる(図3(a)参照)。このため、背圧制御弁B
PVは、目標発電電流値が小さくなると弁開度は小さく
なる(背圧を一定にする場合よりも弁開度は小さくな
る)。
【0055】なお、第1実施形態では、発電遅れ量制御
手段66は、目標発電電流値の減少幅(増減幅)にかか
わらず発電遅れ量を一定に設定する。
【0056】これを、図4を参照して説明する(一点鎖
線で囲った出力減少時参照)。例えば、ドライバがスロ
ットルペダルの踏み込みを急激に開放すると、制御手段
6に入力されるスロットル開度信号θthが急激に減少す
る(図4(a))。すると、スロットル開度信号θthに
応じて目標発電電流値も小さく設定される(図4
(b))。また、目標発電電流値に基づいて目標原燃料
噴射量及び目標空気量が小さく設定される。また、目標
原燃料噴射量に基づいて目標改質空気量及び目標CO除
去空気量も小さく設定される。さらに、目標発電電流値
に基づいて図3のように背圧及び発電遅れ量(図4
(d))が設定される。
【0057】ところで、燃料電池1に供給される改質ガ
スの量は目標原燃料噴射量通りにはならず、通常目標値
に対して遅れが生じる。しかし、第1実施形態によれ
ば、急激に目標発電電流値が減少しても、背圧制御弁B
PVにより生成した改質ガスを迅速に蓄えることが可能
である。このため、燃料電池1に供給される改質ガスを
適切な量にすることができる。よって、余剰な改質ガス
が発生することがない。
【0058】したがって、第1実施形態の燃料電池シス
テムによれば、適切な状態で燃料電池1を運転すること
ができると共に、改質ガスに無駄を生じさせることがな
い。このため、燃料電池1を長時間安定して運転するこ
とができると共に、燃費を向上させることができる。
【0059】≪第2実施形態≫第2実施形態を説明す
る。第2実施形態の燃料電池システムは、燃料電池1の
出力にかかわらず、背圧を一定にする背圧制御を行う。
かつ、燃料電池1の出力の増減幅が大きくなれば発電遅
れ量を大きくする発電遅れ量制御を行う。図5は、第2
実施形態の(a)背圧制御マップと(b)発電遅れ量制
御マップを示す図である。図6は、(a)が制御装置に
入力されるスロットル開度信号、(b)が目標発電電流
値(発電遅れ量制御前)、(c)が燃料電池に供給され
る実際の空気量、(d)が燃料電池に供給される実際の
改質ガス量、(e)が目標発電電流値(発電遅れ量制御
後)を示す。
【0060】図5(a)に示すように、背圧制御マップ
は、目標発電電流値にかかわらず目標背圧が一定になる
ように設定されている。また、図5(b)に示すよう
に、発電遅れ量制御マップは、目標発電電流値の増減幅
が大きくなると発電遅れ量も大きくなるように設定され
ている。なお、発電遅れ量は、目標発電電流値が増加す
るときの方が、減少するときよりも大きな値になるよう
に設定されている。
【0061】このような背圧制御マップと発電遅れ量マ
ップを用いるのは、背圧が一定の場合、燃料電池1に供
給される改質ガスの量は、目標発電電流値の増減幅が大
きいほど遅れが大きくなるからである。
【0062】この第2実施形態の燃料電池システムの動
作を、図1、図2、図5及び図6を参照して説明する。
【0063】〔出力増加時〕ドライバが燃料電池電気自
動車のスロットルペダルを踏み込むと、スロットル開度
信号θthが増加する。すると走行モータ目標出力設定手
段61が、該増分に見合った大きな走行モータ目標出力
を設定する。これに対応して、目標発電電流値設定手段
65が大きな目標発電電流値を設定する。目標発電電流
値は、発電遅れ量制御手段66、背圧制御弁制御手段6
7、空気圧縮機制御手段68及び原燃料噴射装置制御手
段69に出力される。また、原燃料噴射量設定手段69
で設定された目標原燃料噴射量が、改質器空気制御弁制
御手段70及びCO除去空気制御弁制御手段71に出力
される。
【0064】これにより、燃料電池1に供給される空気
の量が増加する。同時に、原燃料噴射量、改質空気量及
びCO除去空気量が増加し、改質ガスの生成量が増す。
第2実施形態では、生成した改質ガスは、背圧制御弁制
御手段67により背圧が一定になるように制御されつつ
燃料電池1に供給される(図5(a)参照)。このた
め、背圧制御弁BPVは、目標発電電流値が大きくなる
と弁開度も大きくなる。
【0065】発電遅れ量制御手段66は、目標発電電流
値の増加幅が大きいほど発電遅れ量を大きく設定する。
これは、燃料電池1に供給される改質ガス及び空気の量
の遅れを考慮したものである。
【0066】これを、図6を参照して説明する(一点鎖
線で囲った出力増加時参照)。例えば、ドライバがスロ
ットルペダルを急激に踏み込むと、制御手段6に入力さ
れるスロットル開度信号θthが急激に増加する(図6
(a))。すると、スロットル開度信号θthに応じて目
標発電電流値も大きく設定される(図6(b))。ま
た、目標発電電流値に基づいて目標原燃料噴射量及び目
標空気量が大きく設定される。また、目標原燃料噴射量
に基づいて目標改質空気量及び目標CO除去空気量も大
きく設定される。さらに、目標発電電流値に基づいて図
5のように背圧及び発電遅れ量(図6(d))が設定さ
れる。
【0067】しかし、実際に空気圧縮機4から燃料電池
1に供給される空気量は、目標空気量通りにはならず、
目標値に対して遅れが生じる。同様に、燃料電池1に供
給される改質ガスの量も目標原燃料噴射量通りにはなら
ず、目標値に対して遅れが生じる。その結果、燃料電池
1には、図6(c)及び(d)に示すような空気量及び
改質ガス量で供給される。この状況で、目標発電電流値
設定手段65が設定する目標発電電流通りに燃料電池1
から電流を取り出すと、燃料電池1が発電できる電力以
上の電力を取り出すことになってしまう。
【0068】そこで、第2実施形態では、発電遅れ量制
御手段66により、目標発電電流値の増減幅に応じて発
電遅れ量を設定する(図6(e))。これにより、出力
増加時、燃料電池1から適切な量だけ電流を抜き出すこ
とができる。
【0069】〔出力減少時〕ドライバが燃料電池電気自
動車のスロットルペダルの踏み込みを開放すると、スロ
ットル開度信号θthが減少する。すると走行モータ目標
出力設定手段61が、該減少に見合った小さな走行モー
タ目標出力を設定する。これに対応して、目標発電電流
値設定手段65が小さな目標発電電流値を設定する。目
標発電電流値は、発電遅れ量制御手段66、背圧制御弁
制御手段67、空気圧縮機制御手段68及び原燃料噴射
装置制御手段69に出力される。また、原燃料噴射量制
御手段69で設定された目標原燃料噴射量が、改質器空
気制御弁制御手段70及びCO除去空気制御弁制御手段
71に出力される。
【0070】これにより、燃料電池1に供給される空気
の量が減少する。同時に、原燃料噴射量、改質空気量及
びCO除去空気量が減少し、改質ガスの生成量が減る。
第2実施形態では、生成した改質ガスは、背圧制御弁制
御手段67により背圧が一定になるように制御されつつ
燃料電池1に供給される(図5(a)参照)。このた
め、背圧制御弁BPVは、目標発電電流値が小さくなる
と弁開度も小さくなる。
【0071】発電遅れ量制御手段66は、目標発電電流
値の増加幅が大きいほど発電遅れ量を大きく設定する。
これは、燃料電池1に供給される改質ガス及び空気の量
の遅れを考慮したものである。但し、出力増加時よりも
発電遅れ量は小さく設定されている。
【0072】これを、図6を参照して説明する(一点鎖
線で囲った出力減少時参照)。例えば、ドライバがスロ
ットルペダルの踏み込みを急激に開放すると、制御手段
6に入力されるスロットル開度信号θthが急激に減少す
る(図6(a))。すると、スロットル開度信号θthに
応じて目標発電電流値も小さく設定される(図6
(b))。また、目標発電電流値に基づいて目標空気量
及び目標改質ガス量が設定される。
【0073】しかし、実際に空気圧縮機4から燃料電池
1に供給される空気量は、目標空気量通りにはならず、
目標値に対して遅れが生じる。同様に、燃料電池1に供
給される改質ガスの量も目標原燃料噴射量通りにはなら
ず、目標値に対して遅れが生じる。その結果、燃料電池
1には、図6(c)及び(d)に示すような空気量及び
改質ガス量で供給される。この状況で、目標発電電流設
定手段65が設定する目標発電電流通りに燃料電池1か
ら取り出す電流を減らすと、余剰水素(余剰な改質ガ
ス)が発生してしまう。
【0074】そこで、第2実施形態では、発電遅れ量制
御手段66により、目標発電電流値の増減幅に応じて発
電遅れ量を設定する(図6(e))。これにより、出力
減少時の余剰な改質ガスが消費される。なお、余剰な改
質ガスを消費して発電した電力は、キャパシタに蓄電さ
れる。
【0075】したがって、第2実施形態の燃料電池シス
テムによれば、適切な状態で燃料電池1を運転すること
ができると共に、改質ガスに無駄を生じさせることがな
い。このため、燃料電池1を長時間安定して運転するこ
とができると共に、燃費を向上させることができる。
【0076】≪第3実施形態≫第3実施形態を説明す
る。第3実施形態の燃料電池システムは、背圧を、燃料
電池1の低出力側では燃料電池1の出力が大きくなると
小さくなるようにし、燃料電池1の高出力側では燃料電
池1の出力にかかわらず一定になるようにする背圧制御
を行う。かつ、燃料電池1の出力値(目標発電電流値)
が大きくなると発電遅れ量を大きくする発電遅れ量制御
を行う。ここで、図7は、第3実施形態の(a)背圧制
御マップと(b)発電遅れ量制御マップを示す図であ
る。
【0077】図7(a)に示すように、背圧制御マップ
は、目標発電電流値が小さい低出力側では、目標発電電
流値が大きくなると目標背圧が小さくなるように設定さ
れている。かつ、目標発電電流値が大きい高出力側で
は、目標発電電流値の大きさにかかわらず目標背圧が一
定になるように設定されている。また、図7(b)に示
すように、発電遅れ量制御マップは、目標発電電流値が
大きくなると発電遅れ量も大きくなるように設定されて
いる。なお、発電遅れ量は、目標発電電流値が増加する
出力増加時の方が、減少する出力減少時よりも大きな値
になるように設定されている。ここで、発電遅れ量制御
マップが目標発電電流値(出力値)に基づいたものにな
っているのは、低出力側と高出力側で制御状態を切り分
けるためである。
【0078】この第3実施形態の燃料電池システムの動
作を、図1、図2、図7を参照して説明する。また、適
宜図3〜図6を参照する。なお、第1実施形態及び第2
実施形態と共通する部分については、その説明を省略す
る。
【0079】〔低出力側〕第3実施形態の燃料電池シス
テムは、低出力側での背圧制御は、第1実施形態のよう
に動作する(動作の詳細については説明を省略する)。
したがって、低出力側で急激にスロットルペダルが踏み
込まれても、蓄えられた改質ガスを、背圧を低減するこ
とで燃料電池1に応答性よく供給することができる。逆
に、急激にスロットルペダルの踏み込みが開放されて
も、背圧を増すことで供給量を制限し、適切な量の改質
ガスを燃料電池1に供給することができる。よって、低
出力側では、出力増加時及び出力減少時とも適切な改質
ガスが燃料電池に供給されるので(図4(c)参照)、
燃料電池システムにおける応答性を高めることができ
る。なお、低出力側での発電遅れ量制御は、図7(a)
に示す発電遅れ量制御マップに基づいて、小さな発電遅
れ量になっている。
【0080】〔高出力側〕一方、高出力側の背圧制御
は、第2実施形態のように動作する(動作の詳細につい
ては説明を省略する)。したがって、高出力側では、図
5(d)に示すように改質ガス供給量の遅れが生じる。
しかし、この改質ガス供給量の遅れは、図5(e)に示
すように発電遅れ量制御により手当てされる。しかも、
発電遅れ量は、図7(b)に示すように高出力側で大き
くなっている。したがって、燃料電池1がガス欠になる
ことがない。
【0081】ちなみに、この第3実施形態の燃料電池シ
ステムは、次のようにして燃料電池電気自動車に適用す
ることができる。
【0082】例えば、出力60KWの燃料電池1の出力
30KWを境にして、低出力側と高出力側に分け、アイ
ドリング状態における背圧を100kPe(PeはPa
ゲージである)、そこから出力30KWまで出力に応じ
て背圧を50kPeにまで減少し、出力30KW以上を
背圧50kPeで一定にする背圧制御パターンを設定す
る(図7(a)の背圧マップに相当)。
【0083】すると、出力30KW以下の低出力側は、
背圧の増減により、燃料電池1に応答性よく改質ガスを
供給することができる。この場合、アイドリング状態に
おける背圧を100kPe、そこから出力60KWまで
出力に応じて背圧を50kPeにまで減少するのと異な
り、低出力側での改質ガス供給の応答性をより高めるこ
とができる。つまり、第3実施形態は、低出力側におけ
る応答性を重視して燃料電池システムを運転することが
できる。
【0084】≪第4実施形態≫第4実施形態を説明す
る。第4実施形態の燃料電池システムは、背圧を、燃料
電池1の低出力側では燃料電池1の出力にかかわらず一
定になるようにし、燃料電池1の高出力側では燃料電池
1の出力が大きくなると小さくなるようにする背圧制御
を行う。かつ、燃料電池1の出力値(目標発電電流値)
が大きくなると発電遅れ量を小さくする発電遅れ量制御
を行う。ここで、図8は、第4実施形態の(a)背圧制
御マップと(b)発電遅れ量制御マップを示す図であ
る。
【0085】図8(a)に示すように、背圧制御マップ
は、目標発電電流値が小さい低出力側では、目標発電電
流値の大きさにかかわらず目標背圧が一定になるように
設定されている。かつ、目標発電電流値が大きい高出力
側では、目標発電電流値が大きくなると目標背圧が小さ
くなるように設定されている。また、図8(b)に示す
ように、発電遅れ量制御マップは、目標発電電流値が大
きくなると発電遅れ量が小さくなる設定されている。こ
の点、第3実施形態における図7(b)とは逆の発電遅
れ量になっている。また、発電遅れ量は、目標発電電流
値が増加する出力増加時の方が、減少する出力減少時よ
りも大きな値になるように設定されている。ここで、発
電遅れ量制御マップが目標発電電流値(出力値)に基づ
いたものになっているのは、第3実施形態と同様に、低
出力側と高出力側で制御状態を切り分けるためである。
【0086】この第4実施形態の燃料電池システムの動
作を、図1、図2、図8を参照して説明する。また、適
宜図3〜図6を参照する。なお、第1実施形態〜第3実
施形態と共通する部分については、その説明を省略す
る。
【0087】〔低出力側〕第4実施形態の燃料電池シス
テムは、低出力側での背圧制御は、第2実施形態のよう
に動作する(動作の詳細については説明を省略する)。
したがって、低出力側では、図5(d)に示すように改
質ガス供給量の遅れが生じる。しかし、この改質ガス供
給量の遅れは、図5(e)に示すように発電遅れ量制御
により手当てされる。しかも、発電遅れ量は、図8
(b)に示すように低出力側で大きくなっている。した
がって、燃料電池1がガス欠になることがない。
【0088】〔高出力側〕一方、高出力側の背圧制御
は、第1実施形態のように動作する(動作の詳細につい
ては説明を省略する)。したがって、高出力側で急激に
スロットルペダルが踏み込まれると、蓄えられた改質ガ
スを、背圧を低減することで燃料電池1に応答性よく供
給することができる。逆に、急激にスロットルペダルの
踏み込みが開放されても、背圧を増すことで供給量を制
限し、適切な量の改質ガスを燃料電池1に供給すること
ができる。よって、高出力側では、出力増加時及び出力
減少時とも適切な改質ガスが燃料電池に供給されるので
(図4(c)参照)、燃料電池システムにおける応答性
を高めることができる。なお、高出力側での発電遅れ量
制御は、図8(a)に示す発電遅れ量制御マップに基づ
いて、小さな発電遅れ量になっている。
【0089】ちなみに、この第4実施形態の燃料電池シ
ステムは、次のようにして燃料電池電気自動車に適用す
ることができる。
【0090】例えば、出力60KWの燃料電池1の出力
30KWを境にして、低出力側と高出力側に分け、アイ
ドリング状態から出力30KWまでの背圧を100kP
e(PeはPa単位のゲージ圧である)で一定にする。
そして、出力30KWから出力60KWまでの背圧を、
出力に応じて背圧が50kPeにまで減少する背圧制御
パターンを設定する(図8(a)の背圧マップに相
当)。
【0091】すると、出力60KW以上の高出力側は、
背圧の増減により、燃料電池1に応答性よく改質ガスを
供給することができる。この場合、アイドリング状態に
おける背圧を100kPe、そこから出力60KWまで
出力に応じて背圧を50kPeにまで減少するのと異な
り、高出力側での改質ガス供給の応答性をより高めるこ
とができる。つまり、第4実施形態は、第3実施形態と
は異なり、高出力側における応答性を重視して燃料電池
システムを運転することができる。
【0092】なお、第3実施形態の制御と第4実施形態
の制御を、ドライバ側がスイッチで切り替えるようにす
ることができる。例えば、第3実施形態の制御を、低出
力側を重視したノーマルモードとし、第4実施形態の制
御を、高出力側を重視したスポーツモードとし、これを
ドライバが適宜スイッチで切り替えるような実施形態と
することができる。また、第3実施形態の制御と第4実
施形態の制御を、自動的に判断し装置側で切り替えるよ
うにすることができる。例えば、通常第3実施形態の制
御を行い、高出力(30KW以上)になったとき、自動
的に第4実施径形態の制御に切り替えることができる。
【0093】≪第5実施形態≫第5実施形態を説明す
る。第5実施形態の燃料電池システムは、第1実施形態
の変形例である。第1実施形態では、燃料電池1の出力
が大きくなると背圧を小さくする背圧制御を行ったが、
第5実施形態では、出力の急激な変化があった場合に一
時的に新たな背圧を設定する。ここで、図9は、第5実
施形態の(a)背圧制御マップと(b)背圧の変化を示
すタイムチャートである。
【0094】第5実施形態では、スロットル開度信号θ
thの変化量(変化の絶対値又は変化速度)が所定の閾値
以上になるような出力急増時、一時的に小さな新たな目
標背圧を設定し、この小さな目標背圧に基づいて背圧制
御を行う。背圧は、図9(b)のように変化する。これ
により、通常よりも多くの改質ガスが燃料電池1に供給
される。したがって、出力急増時における改質ガス供給
量の応答性を高めることができる。
【0095】一方、出力急増時とは逆の出力急減時は、
一時的に大きな新たな目標背圧を設定し、この大きな目
標背圧に基づいて背圧制御を行う。これにより、通常よ
りも燃料電池1に供給される改質ガスの量が少なくな
る。したがって、出力急減時における改質ガス供給量の
応答性を高めることができる。なお、スロットル開度信
号θthの変化量は、θthから派生した目標発電電流値の
変化量であってもよい。
【0096】≪第6実施形態≫第6実施形態を説明す
る。第6実施形態の燃料電池システムは、背圧を可変制
御することで、発電遅れ量が最小になるようにする実施
形態である。ここで、図10は、第6実施形態の(a)
背圧制御マップと(b)発電遅れ量制御マップである。
【0097】図10(a)に示す背圧制御マップは、目
標発電電流値が大きく、かつその増減幅が大きいほど実
線と破線で囲まれた範囲内で目標背圧変化線が右側に移
行する。つまり、低速走行から急激にスロットルペダル
を踏み込んだ際には、燃料電池システムは高い目標背圧
をスロットルペダルの踏込み量から求まる目標発電電流
値などの大きさに応じて維持した後に、所定の変化率で
ある目標背圧変化線に従って背圧を減少させ、その後低
い目標背圧を維持するように働く。逆に、目標発電電流
値が小さく、かつその増減幅が小さいほど実線と破線で
囲まれた範囲内で目標背圧変化線が左側に移行する。
【0098】図10(b)に示す発電遅れ量マップは、
第2実施形態などよりも発電遅れ量が小さくなってい
る。これは、以下の理由による。すなわち、例えば、第
2実施形態などでは、燃料電池1の出力にかかわらず背
圧を一定にする背圧制御を行っているが、この場合必ず
しも発電遅れ量が最小になる制御ではない。一方、この
第6実施形態では、目標発電電流値や目標発電電流値の
増減幅を変えるごとに、発電遅れ量が都度最小になる目
標背圧値及び目標背圧カーブを実験から求め決定するこ
とにより、結果として得られたマップに応じて背圧を可
変制御することで発電遅れ量が最小になる形態を得てい
るからである。
【0099】この第6実施形態によれば、目標発電電流
値(出力値)やその増減幅に応じて、発電遅れ量を最小
にすることができる。
【0100】≪第7実施形態≫第7実施形態を説明す
る。第7実施形態は、燃料電池1への要求出力(目標発
電電流値)に応じて、その増減幅に対して積極的に背圧
制御を行い、発電遅れ量が最小になるようにする実施形
態である。ここで、図11は目標背圧及び発電遅れ量を
設定する構成を説明する機能ブロック図であり、(a)
は出力増加時に係る部分で、(b)は出力減少時に係る
部分である。なお、この図11の構成は、図2の発電遅
れ量設定手段66における発電遅れ量の設定及び背圧制
御弁制御手段67における目標背圧の設定に関するもの
である。
【0101】〔出力増加時〕まず、図11(a)を参照
して、出力増加時における目標背圧及び発電遅れ量の設
定を説明する。
【0102】図11(a)に示すように、要求出力とし
ての目標発電電流値が入力されると、出力増加幅が求め
られる(S0)。この出力増加幅に基づいて圧力減少ポ
イントがマップから設定される(S1)。このマップ
は、過渡時の燃料電池1のガス入力に対する出力の特性
を実験から把握し、例えば、出力増加幅が大きいほど顕
著に見られる出力増加終了時のセル電圧低下を抑制でき
るように、出力増加幅が大きくなると圧力減少ポイント
も大きくなるように設定しておく。これにより、前記出
力増加終了時に改質ガスが充分に供給されるようにな
り、セル電圧低下が回避される。なお、圧力減少ポイン
トは、目標発電電流値から目標背圧を設定するS4のマ
ップのA点に該当する。
【0103】また、出力増加幅に基づいて背圧減少幅が
マップから設定される。背圧減少幅は、S4のマップに
おけるBの幅に該当する。この圧力減少ポイント及び背
圧減少幅から、どのポイントから背圧をどの程度落とせ
ばよいかが決定される。なお、S1及びS2におけるマ
ップは、どのような特性を燃料電池システムに持たせる
かのコンセプトにより設定される。
【0104】また、燃料電池1の性能などを考慮して、
背圧下限及び背圧減少レートリミットによる制限が加え
られる(S3)。これは、S4のマップにおけるCの傾
斜に該当するものである。これにより、目標発電電流値
から目標背圧を設定するマップが完成する。したがっ
て、目標発電電流値が入力されれば、目標背圧が設定さ
れる。
【0105】一方、発電遅れ量を設定する構成として、
出力増加幅に基づいて発電遅れ量(基本値)がマップに
より設定される(S5)。このマップは、出力増加幅が
大きくなると発電遅れ量(基本値)も大きくなるように
なっている。
【0106】S6では、背圧減少幅に基づいて係数がマ
ップにより設定される。そして、この係数は、発電遅れ
量(基本値)に乗じられる(S7)。これにより、出力
増加時における発電遅れ量が設定される。
【0107】〔出力減少時〕次に、図11(b)を参照
して、出力減少時における目標背圧及び発電遅れ量の設
定を説明する。
【0108】図11(b)に示すように、要求出力とし
ての目標発電電流値が入力されると、出力減少幅が求め
られる(S10)。この出力減少幅に基づいて背圧上限
リミット及び背圧増加レートリミットによる制限が加え
られる(S11)。これにより、目標背圧が設定され
る。
【0109】一方、発電遅れ量を設定する構成として、
出力減少幅に基づいて発電遅れ量(基本値)がマップに
より設定される(S12)。このマップは、出力増加幅
が大きくなると発電遅れ量(基本値)も大きくなるよう
になっている。
【0110】S13では、背圧増加幅に基づいて係数が
マップにより設定される。そして、この係数は、発電遅
れ量(基本値)に乗じられる(S14)。これにより、
出力減少時における発電遅れ量が設定される。
【0111】この第7実施形態によれば、第3実施形
態、第4実施形態、第6実施形態のような制御状態を容
易に作り出すことができる。しかも、出力増減幅に対し
て積極的に背圧制御を行い、発電遅れ量を最小化するこ
とができる。もちろん、改質ガスを応答性よく燃料電池
1に供給することができる。
【0112】なお、本発明は前記した発明の実施の形態
(第1実施形態〜第7実施形態)に限定されることな
く、幅広く変形実施することができる。例えば、原燃料
はメタノールに限定されるものではなく、液化石油ガス
やガソリンなど炭化水素系の原燃料にも適用することが
できる。また、オートサーマル反応ばかりでなく、部分
酸化反応による改質にも適用することができる。また、
キャパシタ(あるいはバッテリなど)は、必ずしも必要
ではない。
【0113】
【発明の効果】以上説明した本発明のうち請求項1に記
載の燃料電池システムによれば、燃料電池に供給される
改質ガスの供給量における応答性を自由に設定すること
が可能になる。したがって、出力増加時には応答性及び
効率を向上し、出力減少時には余剰水素の有効利用を図
りつつ応答性を向上する燃料電池システムを提供するこ
とができる。また、請求項2に記載の燃料電池システム
によれば、例えばバルブの上流側の圧力(背圧)を高く
維持した状態でも燃料電池がガス欠になることなく運転
することが可能である。また、背圧を低く維持した状態
でも燃料電池がガス欠になることなく運転することが可
能である。例えば、この高く維持した背圧を、燃料電池
システムの所定の運転状態で開放すると、蓄えられてい
た改質ガス(アシストガス)により、改質ガスの供給量
を大幅に増やすことができるようになる。また、低く維
持した背圧を、燃料電池の所定の運転状態で高くする制
御を行うと、改質ガスの供給量を大幅に減らすことがで
きる。したがって、出力増加時には応答性及び効率を向
上し、出力減少時には余剰水素の有効利用を図りつつ応
答性を向上する燃料電池システムを提供することができ
る。また、請求項3に記載の燃料電池システムによれ
ば、急激な出力変化要求に対して適切に対処することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る実施形態の燃料電池システム
の構成を示すブロック図である。
【図2】 図1の燃料料電池システムにおける制御装
置の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】 本発明に係る第1実施形態の(a)背圧制
御マップと(b)発電遅れ量制御マップを示す図であ
る。
【図4】 (a)は制御装置に入力されるスロットル
開度信号、(b)は目標発電電流値(発電遅れ量制御
前)、(c)は燃料電池に供給される実際の改質ガス
量、(d)は目標発電電流値(発電遅れ量制御後)を示
す。
【図5】 本発明に係る第2実施形態の(a)背圧制
御マップと(b)発電遅れ量制御マップを示す図であ
る。
【図6】 (a)は制御装置に入力されるスロットル
開度信号、(b)は目標発電電流値(発電遅れ量制御
前)、(c)は燃料電池に供給される実際の空気量、
(d)は燃料電池に供給される実際の改質ガス量、
(e)は目標発電電流値(発電遅れ量制御後)を示す。
【図7】 本発明に係る第3実施形態の(a)背圧制
御マップと(b)発電遅れ量制御マップを示す図であ
る。
【図8】 本発明に係る第4実施形態の(a)背圧制
御マップ(b)発電遅れ量制御マップを示す図である。
【図9】 本発明に係る第5実施形態の(a)背圧制
御マップと(b)背圧の変化を示すタイムチャートであ
る。
【図10】 本発明に係る第6実施形態の(a)背圧制
御マップと(b)発電遅れ量制御マップである。
【図11】 本発明に係る第7実施形態の目標背圧及び
発電遅れ量を設定する構成を説明する機能ブロック図で
あり、(a)は出力増加時に係る部分で、(b)は出力
減少時に係る部分である。なお、この図11の構成は、
図2の発電遅れ量設定手段66における発電遅れ量の設
定及び背圧制御弁制御手段67における目標背圧の設定
に関するものである。
【図12】 従来例の燃料電池システムの構成を示すブ
ロック図である。
【符号の説明】
1…燃料電池 2…蒸発器(蒸発手段) 3a…改質器 BPV…背圧制御弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今泉 浩昭 東京都江東区豊洲三丁目1番15号 石川島 播磨重工業株式会社東京エンジニアリング センター内 (72)発明者 福地 泰彦 東京都江東区豊洲三丁目1番15号 石川島 播磨重工業株式会社東京エンジニアリング センター内 (72)発明者 水澤 実 東京都江東区豊洲三丁目2番16号 石川島 播磨重工業株式会社東京エンジニアリング センター内 (72)発明者 中島 伸高 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 小谷 保紀 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 安藤 章二 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 Fターム(参考) 5H027 AA06 BA01 BA09 BA10 BA16 KK00 KK51 KK52 MM09 5H115 PA12 PC06 PG04 PI18 SE06

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料ガスである改質ガスと酸化剤ガス
    とを供給されて発電する燃料電池と、燃料電池の排気ガ
    スを燃焼させ、この熱により前記改質ガスの原料を蒸発
    させる蒸発手段と、蒸気化した原料を改質して前記改質
    ガスを生成する改質手段と、を備えた燃料電池システム
    において、 前記燃料電池と前記改質手段との間にバルブを設け、前
    記燃料電池システムに対する要求出力に基づいて前記バ
    ルブの開度を調節し、前記改質ガスの流量を調整する構
    成を有することを特徴とする燃料電池システム。
  2. 【請求項2】 燃料ガスである改質ガスと酸化剤ガス
    とを供給されて発電する燃料電池と、燃料電池の排気ガ
    スを燃焼させ、この熱により前記改質ガスの原料を蒸発
    させる蒸発手段と、蒸気化した原料を改質して前記改質
    ガスを生成する改質手段と、を備えた燃料電池システム
    において、 前記燃料電池と前記改質手段との間にバルブを設け、前
    記燃料電池システムの出力に応じて前記バルブの開度を
    調節し、前記バルブの上流圧力を所定値に維持すると共
    に、前記燃料電池システムへの要求出力に対する応答性
    を可変設定する構成を有することを特徴とする燃料電池
    システム。
  3. 【請求項3】 前記燃料電池システムの出力とスロッ
    トルの要求出力との差又はその差の時間微分に応じて、
    前記バルブの上流圧力の設定圧を一時的に再設定するこ
    とにより、前記スロットルの要求出力の変化から前記燃
    料電池の出力応答までの時間を最短とする構成を有する
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の燃料電
    池システム。
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