JP2002230280A - 金利リスクと信用リスクの統合評価システム及び統合評価方法 - Google Patents

金利リスクと信用リスクの統合評価システム及び統合評価方法

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JP2002230280A
JP2002230280A JP2001026147A JP2001026147A JP2002230280A JP 2002230280 A JP2002230280 A JP 2002230280A JP 2001026147 A JP2001026147 A JP 2001026147A JP 2001026147 A JP2001026147 A JP 2001026147A JP 2002230280 A JP2002230280 A JP 2002230280A
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Masaaki Kijima
正明 木島
Yukio Muromachi
幸雄 室町
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポートフォリオの金利リスクと信用リスクを
統合して評価するための新しいシミュレーションシステ
ム及びシミュレーション方法を提供する。 【解決手段】 デフォルト・フリー金利過程モデルと、
デフォルト過程モデルとに基いて、現在からリスク・ホ
ライズンまでのシナリオを多数発生させ、発生させた個
々のシナリオに対してリスク・ホライズンにおけるポー
トフォリオの価格及び個別資産の価格を算出し、その算
出された価格に基いてポートフォリオの将来の価格分布
及び/又は個別資産の将来の価格分布を求めることによ
って、ポートフォリオの金利リスクと信用リスクとを統
合して評価する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポートフォリオの
金利リスクと信用リスクの統合評価システム及び統合評
価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、投資機関や投資会社にとって金融
資産のリスク管理はますます重要なものとなってきてい
る。このリスク管理のための主要な手段がバリュー・ア
ット・リスク(以下「VaR」と略す)である。VaR
は金融資産のポートフォリオの被る損失の可能性を予測
する。VaRが一般的によく用いられているのは、市場
リスクを構成するいくつかの要素を一つの数値に統合さ
せて示せるからである。
【0003】しかしながら、取引行為によってもたらさ
れる市場リスクは、典型的な投資機関がさらされるリス
ク全体のほんの一部でしかない。そこで、信用リスクを
計測するための何らかの指標を、市場リスクをも含んだ
形で統合的に計量することが望まれている。なお、多数
の数値計算を通して、信用リスクに依存する将来のポー
トフォリオの値は、しばしば単峰形でないことが観測さ
れ、通常の市場リスクの評価に用いられる手法で計算さ
れたVaRでは正しい金融リスクを表現できない可能性
がある。
【0004】ところで、個々の資産の信用リスクに依存
する価格評価は文献において広範に考察されてきた。Ja
rrow and Turnbull(1995)モデル(”Pricing derivativ
es on financial securities subject to credit ris
k” Journal of Finance, 50,53-86)では、デフォルト
時のペイオフは、その資産がデフォルト・フリーな場合
のペイオフのある割合(この割合は外生的に定まる)と
して表現できると仮定し、ある規則的な条件下では、価
格はリスク中立確率の下で割り引いたペイオフの期待値
によって与えられることを示した。Duffie and Singlet
on(1999)モデル(“Modeling term structures of defau
ltable bonds”, Review of FinancialStudies, 12、68
7−720)では、ペイオフは信用リスクを反映するように
調整された金利によって割り引かれるという異なるモデ
ルを提唱している。Jarrow, Lando and Turnbull(1997)
モデル(“A Markov model for the term structure ofc
redit risk spread”, Review of Financial Studies,
10, 481-523)は、Jarrow and Turnbull(1995)モデルに
よって与えられた計量方法に格付け情報を組み入れるた
めに、信用リスクスプレッドの期間構造のためのマルコ
フ連鎖モデルを開発している。本願発明者らによるKiji
ma and Komoribayashi(1998)モデルは、上述のマルコフ
連鎖モデルにいくつかの修正及び拡張を行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ポート
フォリオにおける信用リスクを計量しようとしたときに
は、上記した価格評価モデルのいずれも直接用いること
はできない。その理由は、ポートフォリオには多数の資
産が含まれているので、ポートフォリオ全体の価格につ
いて議論するには、そのポートフォリオに含まれている
個々の資産のデフォルトが同時発生するかどうか(デフ
ォルトの同時分布)について考えなければならないから
である。例えば、ポートフォリオがA、Bの2つの資産
で構成されているとすると、Aがデフォルトするときは
必ずBもデフォルトするというケースと、AとBは決し
て共にはデフォルトしないというケースとでは、ポート
フォリオの価値(Aの価格+Bの価格)の分布は異なる
ものとなる。
【0006】一方、JPモルガン銀行は1997年に、
任意の確率レベルでVaRが求められるように、ポート
フォリオの将来の価格分布を計量するための、CreditMe
trics(JPモルガン銀行の商標)と呼ばれる信用リス
ク評価モデルを発表した。その後、Credit Suisse Fina
ncial Products社は同様の目的であるが異なった方法論
による信用リスク評価モデルCREDITRISKを発表した。
【0007】これらの2つのモデルは、いずれも信用リ
スクについての優れた理解に基づいて構築されている
が、いくつかの明らかな欠点も有している。例えば、Cr
editMetricsでは、計算された現在の資産価格は信用リ
スクにのみ基づいており、特に重要なのは、金利リスク
は明白に組み入れられていないということである。この
ことは、信用リスク以外のリスクはポートフォリオの評
価に影響を与えないので、このようにして求められた資
産価格は市場で観測される価格と一致しない可能性があ
る、ということを意味する。一方、CREDITRISKでは、
信用リスクはデフォルトによる損失のみによるものと仮
定する。その仮定によってモデルを相当単純化し、損失
額の分布を解析的に計算することが可能になる。しかし
ながら、例えば、評価が市場で観測される価格と一致す
ることが必要であるときや、個別企業の抱える個別リス
クについて評価することが求められたとき、などには、
この仮定では不適当である。
【0008】本発明は、かかる問題にかんがみてなされ
たものであり、その目的は、デフォルト・フリー金利過
程とデフォルト過程を用いて、ポートフォリオの金利リ
スクと同様に信用リスクを評価するための新しいシミュ
レーションモデルを提供することにある。
【0009】投資機関は彼らが保有するすべての資産に
ついて統一的な方法で管理できることが重要である。従
って、それぞれの資産が単一の無裁定価格評価理論のフ
レームの下に評価されるべきである。無裁定価格を使う
ことは、すべての資産における裁定機会が存在しないこ
とを意味する。この方法により、各資産の現在価値のみ
ならず将来の価格が計量されるべきである。この無裁定
評価フレームモデルに加えて、このシミュレーションモ
デルについて特に求められる特性を下記(1)〜(5)
に列記する。 (1)典型的な投資機関は多くの資産からなるポートフ
ォリオをかかえている。それらの資産のデフォルトの発
生には、統計的に関連性がある。例えば、景気が悪いと
全体的にデフォルト率は上昇する。また、業種によって
デフォルト発生率の変動が深く関連しているものもあれ
ば、ほとんど関係しないものもある。それらの関係は、
デフォルトのデータを統計的に分析すると相関として検
出される。従って、ポートフォリオに含まれるそれぞれ
の資産のデフォルト過程間の相関を考慮することは重要
である。デフォルト・フリー金利とデフォルト過程間の
相関もまた重要である。将来のキャッシュフローをデフ
ォルト・フリー金利で割り引く必要があるからである。 (2)計算された現在価値には、信用リスクだけでな
く、市場リスク、流動性リスクなどすべての金融リスク
が反映されることが望まれる。CreditMetricsの検討に
おいて指摘したように、信用リスクのみを考慮して計算
された現在価値は、他のリスクを無視しているために市
場で観測される価格と異なってしまう可能性がある。そ
のような不一致は出来れば避けるべきである。 (3)Moody’s Investors Services(1995)によると、
デフォルト率の期間構造の形状は、格付けによって異な
る。例えば、Fons(1994)が指摘したように、高い格付け
の資産は時間と共にデフォルトが発生しやすくなる(I
HR:increasinghazard rate)傾向を有し、低い格付け
の資産は時間と共にデフォルトが発生しにくくなる(D
HR:decreasing hazard rate)傾向を有している。こ
れらの実証的な結果はリスク評価モデルに組み入れるべ
きである。 (4)VaRは、投資機関が市場リスクを評価する有効
な手段として認められているようである。しかしなが
ら、資産から発生する将来のキャッシュフロー(ペイオ
フ)がデフォルトによって変わるとき、将来のポートフ
ォリオ価値の典型的な分布は単峰形にならない。そのよ
うな場合、通常の計測方法で求められたVaRは信用リ
スクについての正しい情報を提供できないかもしれな
い。ポートフォリオの金融リスクを理解するためには、
分布全体が必要とされるだろう。もし分布全体が入手で
きたら、マージナルリスクや任意のオーダー(次数)の
モーメントのような他のリスク指標を計算することがで
きる。これらのリスク指標はリスク低減行動の順序付け
や信用リスクリミットの設定を議論するために用いられ
る。なお、リスク低減行動とは、リスクを低くするため
に資産を売却したり、保険・担保をつけたりする行動を
いい、信用リスクリミットとは、企業への貸出限度額の
ことをいう。 (5)実際問題として、計算についての問題は重要であ
る。一般に、規模の大きなポートフォリオの信用リスク
の評価には膨大な量の計算が要求される。もし個々の資
産のすべての価格が解析的な式で与えられるならば、シ
ミュレーションに要する時間を大幅に削減できる。この
目的のために、正規分布型モデルが展開される必要があ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に記載に発明は、ポートフォリオの金利リ
スクと信用リスクとを統合して評価する新しいフレーム
ワークによるシステムを提供するものであり、データ又
は命令を入力するための入力手段と、入力されたデータ
又は命令に基く演算結果を出力する出力手段と、評価し
ようとするポートフォリオを構成する各資産のクーポン
レート・満期日及び利払日を含む属性に関するデータと
市場価格のデータと資産の格付けのデータとを含む資産
の詳細データを記憶する資産データ記憶手段と、市場金
利・国債及び社債を含む金融商品の市場価格・過去のデ
フォルト発生率及び回収率・企業及び/又は金融商品の
格付けを含む信用リスクの評価に用いる市場データを記
憶する市場データ記憶手段と、デフォルトフリー金利の
将来の変動を記述する方程式で表現されたデフォルト・
フリー金利過程モデルに基いて現在からリスク・ホライ
ズンまでの金利変動の時間的変化を描いたシナリオと、
デフォルトの発生率の将来の変動を記述する方程式で表
現されたデフォルト過程モデルに基いて現在からリスク
・ホライズンまでのデフォルト発生状況の時間的変化を
描いたシナリオとを、入力あるいは記憶されたデータに
基いて多数発生させる将来の状況シナリオ発生手段と、
将来の状況シナリオ発生手段により発生させた個々のシ
ナリオに対して、入力あるいは記憶された資産データ及
び市場データに基いて、リスク・ホライズンにおけるポ
ートフォリオの価格及び個別資産の価格を算出する、リ
スク・ホライズンの資産価格算出手段と、リスク・ホラ
イズンの資産価格算出手段によりシナリオごとに算出さ
れたリスク・ホライズンにおけるポートフォリオの価格
及び個別の資産価格に基いて、ポートフォリオの将来の
価格分布及び/又は個別資産の将来の価格分布を求める
将来の価格分布算出手段と、を備え、将来の価格分布算
出手段により算出された将来のポートフォリオの価格分
布及び/又は個別資産の将来の価格分布に基いて、金利
リスクと信用リスクとを統合して評価することを特徴と
する。
【0011】また、上記課題を解決するために、請求項
2に記載の発明は、ポートフォリオの金利リスクと信用
リスクを統合して評価する新しいフレームワークによる
方法を提供するものであり、デフォルトフリー金利の将
来の変動を記述する方程式で表現されたデフォルト・フ
リー金利過程モデルに基いて現在からリスク・ホライズ
ンまでの金利変動の時間的変化を描いたシナリオと、デ
フォルトの発生率の将来の変動を記述する方程式で表現
されたデフォルト過程モデルに基いて現在からリスク・
ホライズンまでのデフォルト発生状況の時間的変化を描
いたシナリオとを、入力あるいは記憶されたデータに基
いて多数発生させる第1のステップと、第1のステップ
により発生させた個々のシナリオに対して、入力あるい
は記憶された資産データ及び市場データに基いて、リス
ク・ホライズンにおけるポートフォリオの価格及び個別
資産の価格を算出する第2のステップと、第2のステッ
プによりシナリオごとに算出されたリスク・ホライズン
におけるポートフォリオの価格及び個別の資産価格に基
いて、ポートフォリオの将来の価格分布及び/又は個別
資産の将来の価格分布を求める第3のステップと、第3
のステップにより算出された将来のポートフォリオの価
格分布及び/又は個別資産の将来の価格分布に基いて、
金利リスクと信用リスクとを統合して評価し、評価結果
を出力する第4のステップとを実行する。
【0012】請求項3に記載に発明は、請求項1に記載
の金利リスクと信用リスクの統合評価システムまたは請
求項2に記載の金利リスクと信用リスクの統合評価方法
において、リスク指標を算出するシステムあるいは方法
を提供するものであり、将来の価格分布算出手段又は第
3のステップに基いて算出された将来のポートフォリオ
の価格分布及び/又は個別資産の将来の価格分布に基い
て、リスク・ホライズンにおける将来の価格及び/又は
将来の収益率の標準偏差・VaR・CVaR・下方部分
積率を含むリスク指標を算出するリスク指標算出手段ま
たは第5のステップを備えまたは実行する。
【0013】請求項4に記載の発明は、請求項1に記載
の金利リスクと信用リスクの統合評価システムまたは請
求項2に記載の金利リスクと信用リスクの統合評価方法
において、リターン指標を算出するシステムあるいは方
法を提供するものであり、将来の価格分布算出手段又は
第3のステップに基いて算出された将来のポートフォリ
オの価格分布及び/又は個別資産の将来の価格分布に基
いて、リスク・ホライズンにおける期待収益率を含むリ
ターン指標を算出するリターン指標算出手段または第6
のステップを備えまたは実行する。
【0014】請求項5に記載の発明は、請求項1に記載
の金利リスクと信用リスクの統合評価システムまたは請
求項2に記載の金利リスクと信用リスクの統合評価方法
において、デフォルトフリー金利の将来の変動を記述す
る方程式と、デフォルトの発生率の将来の変動を記述す
る方程式とのモデルを提供し、リスクホライズンまでの
サンプルパスの発生及び処理を行うための将来の状況シ
ナリオ発生手段あるいは方法を提供するもので、将来の
状況シナリオ発生手段または第1のステップは、 デフォルトフリー金利過程r(t)を記述する確率微分方
程式 dr(t)=μ0(r(t),t)dt+σ0(r(t),t)dz
0(t),t≧0 μ0:r(t)のドリフト σ0:r(t)の ボラティリティ 但し、z0(t):観測確率の下での標準ブラウン運動 に基いて、観測確率の下で現在からリスク・ホライズン
T(T>0)までのサンプルパスを発生させ、r(T)を求
める第1の処理手段またはステップAと、デフォルト過
程h(t)=(h(t),h(t),・・・,h
(t))を記述する確率微分方程式 dh(t)=μ(h(t),t)dt+σ(h(t),t)
dz(t),t≧0,j=1,・・・,n μ:h(t)のドリフト σ:h(t)の ボラティリティ 但し、z0(t)、z(t)、z(t)、・・・z
(t):観測確率の下での標準ブラウン運動 dz(t)dz(t)=ρjk(t)dt, j,k=0,1,・・・,n に基いて、観測確率の下で現在からリスク・ホライズン
Tまでのサンプルパスを発生させ、h(T)を求める第2
の処理手段またはステップBと、時刻tにおいてデフォ
ルトしていない企業jのデフォルト時点をτとしたと
き、サンプルパス毎に、リスク・ホライズンTにおける
企業jの観測確率の下での生存確率P{τ>T}を に基いて求め、リスク・ホライズンTまでにデフォルト
する確率 に応じて、リスク・ホライズンTにおける企業jのデフ
ォルト/非デフォルト状態をサンプルパス毎に定める第
3の処理手段またはステップCと、を備えまたは実行す
る。
【0015】請求項6に記載の発明は、請求項5に記載
の金利リスクと信用リスクの統合評価システムまたは金
利リスクと信用リスクの統合評価方法において、ポート
フォリオを構成する金融商品の種類を限定せずに、一般
的に資産の価格を評価できるリスク・ホライズンの資産
価格算出手段あるいは方法を提供するもので、特にリス
ク中立評価法を用いて価格評価を行う例であり、リスク
・ホライズンの資産価格算出手段または第2のステップ
は、企業j(j=0は国を含むデフォルトフリーな団体
を指す)の発行したi番目の金融商品の満期をT
その商品の時刻tまでの累積キャッシュフローをX
(t)、ポートフォリオを構成する金融商品中で最も遠い
満期をTmax、企業jの発行した金融商品の満期中で最
も遠い満期をTmax、jとしたとき、前記第1の処理手
段または前記ステップAにより発生させたr(T)と、前
記第2の処理手段または前記ステップBにより発生させ
たh(T)をそれぞれ初期値として、 と dh(t)=μ(h(t),t)dt+σ(h(t),t)
dz(t),t≧0, j=1,・・・,n μ:h(t)のドリフト σ:h(t)の ボラティリティ 但し、z(t)、z(t)、z(t)、・・・z
(t):観測確率の下での標準ブラウン運動 dz(t)dz(t)=ρjk(t)dt, j,k=0,1,・・・,n と h^(t)=h(t)+ξ(t) 但し、ξ(t)は時刻tの確定的な関数 とに基いて、リスク中立確率の下でサンプルパスを、r
(t)は満期Tmaxまで、h^(t)はTmax、jまで発生
させる第4の処理手段またはステップEと、金融商品が
デフォルトフリーである場合には、X (t)を、r
(s)(T≦s≦t)と、満期日及び利払日及びクーポンレ
ートを含む商品属性とを用いて表現することにより、リ
スク・ホライズンTにおけるその金融商品の価格p
0(T、T )を、リスク中立評価法 に基いて求める第5の処理手段またはステップFと、前
記第3の処理手段または前記ステップCにより、企業j
がリスク・ホライズンTまでにデフォルトしていないと
された場合は、サンプルパス毎に、時刻t(T<t≦T
)までにデフォルトする確率 に応じて、企業jの時刻tにおけるデフォルト/非デフ
ォルト状態を定め、X (t)を、r(s)(T≦s≦t)
と、h^(s)(T≦s≦t)と、企業jの時刻s(T≦
s≦t)におけるデフォルト/非デフォルト状態と、満
期日及び利払日及びクーポンレート及び回収率を含む商
品属性と、を用いて表現することにより、リスク・ホラ
イズンTにおける価格p j,nondef(T、T
)を、リスク中立評価法 に基いて求める第6の処理手段またはステップGと、前
記第3の処理手段または前記ステップCにより、企業j
がリスク・ホライズンTまでにデフォルトしているとさ
れた場合は、リスク・ホライズンTにおける価格p
j,def(T、T ,τ)を、デフォルト時刻τ
と、満期日及び利払日及びクーポンレート及び回収率を
含む商品属性とに基いて求める第7の処理手段またはス
テップHと、リスク・ホライズンTにおけるポートフォ
リオの価格π(T)を に基いて求める第8の処理手段またはステップIとを備
えまたは実行し、前記第1乃至第7または前記第1乃至
第8の処理手段による処理あるいは前記ステップA乃至
ステップHまたは前記ステップA乃至ステップIを十分
なシナリオ数が得られるまで繰り返し、得られたシナリ
オの結果を集計して、個別資産のリスク・ホライズンT
における将来の価格の分布や、ポートフォリオのリスク
・ホライズンTにおける将来の価格π(T)の分布を求め
る。
【0016】請求項7に記載の発明は、請求項5に記載
の金利リスクと信用リスクの統合評価システムまたは金
利リスクと信用リスクの統合評価方法において、ポート
フォリオを構成する金融商品の種類を限定せずに、一般
的に資産の価格を評価できるリスク・ホライズンの資産
価格算出手段あるいは方法を提供するもので、特にフォ
ワード中立評価法を用いて価格評価を行う例であり、リ
スク・ホライズンの資産価格手段または第2のステップ
は、企業j(j=0は国を含むデフォルトフリーな団体
を指す)の発行したi番目の金融商品の満期をT
その商品の時刻tまでの累積キャッシュフローをX
(t)、ポートフォリオを構成する金融商品中で最も遠い
満期をTmax、企業jの発行した金融商品の満期中で最
も遠い満期をTmax、jとしたとき、前記第1の処理手
段または前記ステップAにより発生させたr(T)と、前
記第2の処理手段または前記ステップBにより発生させ
たh(T)をそれぞれ初期値として、 と dh(t)=μ(h(t),t)dt+σ(h(t),t)
dz(t),t≧0, j=1,・・・,n μ:h(t)のドリフト σ:h(t)の ボラティリティ 但し、z(t)、z(t)、z(t)、・・・,z
(t):観測確率の下での標準ブラウン運動 dz(t)dz(t)=ρjk(t)dt, j,k=0,1,・・・,n と h (t)=h(t)+ξ(t) 但し、ξ(t)は時刻tの確定的な関数 とに基いて、サンプルパスを、リスク中立確率およびフ
ォワード中立確率の下で、r(t)は満期Tmaxまで、h
(t)はTmax、jまで発生させる第4の処理手段ま
たはステップEと、金融商品がデフォルトフリーである
場合には、X (t)を、r(s)(T≦s≦t)と、満期
日及び利払日及びクーポンレートを含む商品属性とを用
いて表現することにより、リスク・ホライズンTにおけ
るその金融商品の価格p0(T、T )を、フォワード
中立評価法 に基いて求める第5の処理手段またはステップFと、特
に、金融商品がデフォルトフリーの割引債である場合に
は、リスク・ホライズンTにおける価格v0(T、s)
を、リスク中立評価法 に基いて求める第6の処理手段またはステップGと、前
記第3の処理手段または前記ステップCにより、企業j
がリスク・ホライズンTまでにデフォルトしていないと
された場合は、サンプルパス毎に、時刻t(T<t≦T
)までにデフォルトする確率 に応じて、企業jの時刻tにおけるデフォルト/非デフ
ォルト状態を定め、X (t)を、r(s)(T≦s≦t)
と、h (s)(T≦s≦t)と、企業jの時刻s(T≦
s≦t)におけるデフォルト/非デフォルト状態と、満
期日及び利払日及びクーポンレート及び回収率を含む商
品属性と、を用いて表現することにより、リスク・ホラ
イズンTにおける価格p j,nondef(T、T
)を、フォワード中立評価法 に基いて求める第7の処理手段またはステップHと、前
記第3の処理手段または前記ステップCにより、企業j
がリスク・ホライズンTまでにデフォルトしているとさ
れた場合は、リスク・ホライズンTにおける価格p
j,def(T、T ,τ)を、デフォルト時刻τ
と、満期日及び利払日及びクーポンレート及び回収率を
含む商品属性とに基いて求める第8の処理手段またはス
テップIと、リスク・ホライズンTにおけるポートフォ
リオの価格π(T)を に基いて求める第9の処理手段またはステップJとを備
えまたは実行し、前記第1乃至第8または前記第1乃至
第9の処理手段による処理あるいは前記ステップA乃至
ステップIまたは前記ステップA乃至ステップJを十分
なシナリオ数が得られるまで繰り返し、得られたシナリ
オの結果を集計して、個別資産のリスク・ホライズンT
における将来の価格の分布や、ポートフォリオのリスク
・ホライズンTにおける将来の価格π(T)の分布を求め
る。
【0017】請求項8に記載の発明は、請求項5に記載
の金利リスクと信用リスクの統合評価システムまたは金
利リスクと信用リスクの統合評価方法において、ポート
フォリオを構成する金融商品が割引債である場合に、リ
スク・ホライズンの資産価格算出手段あるいは方法を提
供するもので、特にリスク中立評価法を用いて価格を評
価する例であり、リスク・ホライズンの資産価格算出手
段または第2のステップは、ポートフォリオを割引債で
構成し、企業j(j=0は国を含むデフォルトフリーな
団体を指す)の発行したi番目の割引債の満期を
、ポートフォリオを構成する割引債中で最も遠い
満期をTmax、企業jの発行した割引債の満期中で最も
遠い満期をTmax、jとしたとき、前記第1の処理手段
または前記ステップAにより発生させたr(T)と、前記
第2の処理手段または前記ステップBにより発生させた
h(T)をそれぞれ初期値として、 と dh(t)=μ(h(t),t)dt+σ(h(t),t)
dz(t),t≧0, j=1,・・・,n μ:h(t)のドリフト σ:h(t)の ボラティリティ 但し、z(t)、z(t)、z(t)、・・・z
(t):観測確率の下での標準ブラウン運動 dz(t)dz(t)=ρjk(t)dt, j,k=0,1,・・・,n と h^(t)=h(t)+ξ(t) 但し、ξ(t)は時刻tの確定的な関数 とに基いて、リスク中立確率の下でサンプルパスを、r
(t)は満期Tmaxまで、h^(t)はTmax、jまで発生
させる第4の処理手段またはステップEと、割引債がデ
フォルトフリーである場合には、リスク・ホライズンT
における割引債の価格v0(T、T )を、リスク中立
評価法 に基いて求める第5の処理手段またはステップFと、前
記第3の処理手段または前記ステップCにより、企業j
がリスク・ホライズンTまでにデフォルトしていないと
された場合は、リスク・ホライズンTにおける価格v
j,nondef(T、T )を、リスク中立評価法に
より、 に基いて求める第6の処理手段またはステップGと、前
記第3の処理手段または前記ステップCにより、企業j
がリスク・ホライズンTまでにデフォルトしているとさ
れた場合は、リスク・ホライズンTにおける価格v
j,def(T、T )を、 に基いて求める第8の処理手段またはステップIとを備
えまたは実行し、前記第1乃至第7または前記第1乃至
第8の処理手段による処理あるいは前記ステップA乃至
ステップHまたは前記ステップA乃至ステップIを十分
なシナリオ数が得られるまで繰り返し、得られたシナリ
オの結果を集計して、個別資産のリスク・ホライズンT
における将来の価格の分布や、ポートフォリオのリスク
・ホライズンTにおける将来の価格π(T)の分布を求め
る。
【0018】請求項9に記載の発明は、請求項5に記載
の金利リスクと信用リスクの統合評価システムまたは金
利リスクと信用リスクの統合評価方法において、ポート
フォリオを構成する金融商品が割引債である場合に、リ
スク・ホライズンの資産価格算出手段あるいは方法を提
供するもので、特にフォワード中立評価法を用いて価格
を評価する例であり、リスク・ホライズンの資産価格算
出手段または第2のステップは、ポートフォリオを割引
債で構成し、企業j(j=0は国を含むデフォルトフリ
ーな団体を指す)の発行したi番目の割引債の満期をT
、ポートフォリオを構成する割引債中で最も遠い満
期をTmax、企業jの発行した割引債の満期中で最も遠
い満期をTmax、jとしたとき、前記第1の処理手段ま
たは前記ステップAにより発生させたr(T)と、前記第
2の処理手段または前記ステップBにより発生させたh
(T)をそれぞれ初期値として、 と dh(t)=μ(h(t),t)dt+σ(h(t),t)
dz(t),t≧0, j=1,・・・,n μ:h(t)のドリフト σ:h(t)の ボラティリティ 但し、z(t)、z(t)、z(t)、・・・z
(t):観測確率の下での標準ブラウン運動 dz(t)dz(t)=ρjk(t)dt, j,k=0,1,・・・,n と h (t)=h(t)+ξ(t) 但し、ξ(t)は時刻tの確定的な関数 とに基いて、サンプルパスを、リスク中立確率の下でr
(t)は満期Tmaxまで、満期sのデフォルトフリーな割
引債をニューメレールとするフォワード中立確率の下で
(t)はTmax、jまで発生させる第4の処理手段
またはステップEと、割引債がデフォルトフリーである
場合には、リスク・ホライズンTにおける割引債の価格
0(T、T )を、リスク中立評価法 に基いて求める第5の処理手段またはステップFと、前
記第3の処理手段または前記ステップCにより、企業j
がリスク・ホライズンTまでにデフォルトしていないと
された場合は、リスク・ホライズンTにおける価格v
j,nondef(T、T )を、フォワード中立評価
法により、 に基いて求める第6の処理手段またはステップGと、前
記第3の処理手段または前記ステップCにより、企業j
がリスク・ホライズンTまでにデフォルトしているとさ
れた場合は、リスク・ホライズンTにおける価格v
j,def(T、T )を、 に基いて求める第8の処理手段またはステップIとを備
えまたは実行し、前記第1乃至第7または前記第1乃至
第8の処理手段による処理あるいは前記ステップA乃至
ステップHまたは前記ステップA乃至ステップIを十分
なシナリオ数が得られるまで繰り返し、得られたシナリ
オの結果を集計して、個別資産のリスク・ホライズンT
における将来の価格の分布や、ポートフォリオのリスク
・ホライズンTにおける将来の価格π(T)の分布を求め
る。
【0019】請求項10に記載の発明は、請求項1に記
載の金利リスクと信用リスクの統合評価システムまたは
請求項2に記載の金利リスクと信用リスクの統合評価方
法において、正規分布型モデルによって将来の状況シナ
リオを発生させる一般的な手段または方法を提供するも
ので、将来の状況シナリオ発生手段または第1のステッ
プは、デフォルトフリー金利過程r(t)及びデフォルト
過程h(t)を記述する確率微分方程式 dh(t)=(b(t)―a(t))dt+σdz
(t) t≧0,j=0,1,・・・,n a、σ:非負の定数 b(t):時刻tの確定的な関数 但し、z(t):観測確率の下での標準ブラウン運動 dz(t)dz(t)=ρjk(t)dt, j,k=0,1,・・・,n に基いて定められる(2n+1)変量正規分布に従う乱数 0≦s≦T,j=1,2,・・・,nを発生させること
によって将来の状況シナリオを得る。
【0020】請求項11に記載の発明は、請求項1に記
載の金利リスクと信用リスクの統合評価システムまたは
請求項2に記載の金利リスクと信用リスクの統合評価方
法において、正規分布型モデルによって将来の状況シナ
リオを発生させる手段または方法であって、特にT時点
のみわかればいい場合の簡便法を用いた例を提供するも
ので、将来の状況シナリオ発生手段または第1のステッ
プは、デフォルトフリー金利過程r(t)及びデフォルト
過程h(t)を記述する確率微分方程式 dh(t)=(b(t)―a(t))dt+σdz
(t),t≧0,j=0,1,・・・,n a、σ:非負の定数 b(t):時刻tの確定的な関数 但し、z(t):観測確率の下での標準ブラウン運動 dz(t)dz(t)=ρjkdt, j,k=0,1,・・・,n に基いて、 に基いて求めたH(t、T)の平均M(t、T)と、 に基いて求めたh(t)とH(0、t)の共分散Cij
(t)と、の分散共分散行列をもつ(2n+1)変量正規分
布に従って、乱数r(T)、h(T)及びH(0、T)、
j=1,2,・・・,nを発生させることによって将来
の状況シナリオを得る。
【0021】請求項12に記載の発明は、請求項10又
は請求項11に記載の金利リスクと信用リスクの統合評
価システムまたは金利リスクと信用リスクの統合評価方
法において、ポートフォリオを構成する金融商品の種類
を限定せずに、一般的に資産の価格を評価できるリスク
・ホライズンの資産価格算出手段あるいは方法を提供す
るもので、特にリスク中立評価法を用いて価格評価を行
う例であり、リスク・ホライズンの資産価格算出手段ま
たは第2のステップは、企業j(j=0は国を含むデフ
ォルトフリーな団体を指す)の発行したi番目の金融商
品の満期をT 、その商品の時刻tまでの累積キャッ
シュフローをX (t)、ポートフォリオを構成する金
融商品中で最も遠い満期をTmax、企業jの発行した金
融商品の満期中で最も遠い満期をTmax、jとしたと
き、請求項10または請求項11に記載の将来の状況シ
ナリオ発生手段または第1のステップにより発生させた
r(T)とh(T)をそれぞれ初期値として、 dh^(t)=(φ(t)―a^(t))dt+σ
dz^(t), t≧T,j=0,1,・・・,n a、σ:非負の定数 φ(t):時刻tの確定的な関数 但し、z^(t):リスク中立確率の下での標準ブラウ
ン運動 h^(t)=r(t) dz^(t)dz^(t)=ρjk(t)dt, j,k=0,1,・・・,n とに基いて、リスク中立確率の下でサンプルパスを、r
(t)は満期Tmaxまで、h^(t)はTmax、jまで発生
させる第1の処理手段またはステップAと、金融商品が
デフォルトフリーである場合には、X (t)を、r
(s)(T≦s≦t)と、満期日及び利払日及びクーポンレ
ートを含む商品属性とを用いて表現することにより、リ
スク・ホライズンTにおけるその金融商品の価格p
0(T、T )を、リスク中立評価法 に基いて求める第2の処理手段またはステップBと、企
業jがリスク・ホライズンTまでにデフォルトしていな
いサンプルパスの場合は、時刻t(T<t≦T )まで
にデフォルトする確率 に応じて、企業jの時刻tにおけるデフォルト/非デフ
ォルト状態を定め、X (t)を、r(s)(T≦s≦t)
と、h^(s)(T≦s≦t)と、企業jの時刻s(T≦
s≦t)におけるデフォルト/非デフォルト状態と、満
期日及び利払日及びクーポンレート及び回収率を含む商
品属性と、を用いて表現することにより、リスク・ホラ
イズンTにおける価格p j,nondef(T、T
)を、リスク中立評価法 に基いて求める第3の処理手段またはステップCと、企
業jがリスク・ホライズンTまでにデフォルトしている
サンプルパスの場合は、リスク・ホライズンTにおける
価格p j,def(T、T ,τ)を、デフォルト
時刻τと、満期日及び利払日及びクーポンレート及び
回収率を含む商品属性とに基いて求める第4の処理手段
またはステップDとを備えまたは実行し、請求項10又
は請求項11に記載の将来の状況シナリオ発生手段によ
る処理または第1のステップと、前記第1乃至第4の処
理手段による処理または前記ステップA乃至ステップD
とを十分なシナリオ数が得られるまで繰り返し、得られ
たシナリオの結果を集計して、リスクホライズンにおけ
る個別資産の将来の価格の分布やポートフォリオの将来
の価格の分布を求める。
【0022】請求項13に記載の発明は、請求項10又
は請求項11に記載の金利リスクと信用リスクの統合評
価システムまたは金利リスクと信用リスクの統合評価方
法において、ポートフォリオを構成する金融商品の種類
を限定せずに、一般的に資産の価格を評価できるリスク
・ホライズンの資産価格算出手段あるいは方法を提供す
るもので、特にフォワード中立評価法を用いて価格評価
を行う例であり、リスク・ホライズンの資産価格算出手
段または第2のステップは、企業j(j=0は国を含む
デフォルトフリーな団体を指す)の発行したi番目の金
融商品の満期をT 、その商品の時刻tまでの累積キ
ャッシュフローをX (t)、ポートフォリオを構成す
る金融商品中で最も遠い満期をTmax、企業jの発行し
た金融商品の満期中で最も遠い満期をTmax、jとした
とき、請求項10または請求項11に記載の将来の状況
シナリオ発生手段または第1のステップにより発生させ
たr(T)とh(T)をそれぞれ初期値として、 dr(t)=(φ(t)―ar(t))dt+σdz
(t), t≧T a,σ:非負の定数 φ(t):時刻tの確定的な関数 但し、z^(t):リスク中立確率の下での標準ブラウ
ン運動 と dh (t)=(φ (t)―a (t))dt+σ
dz (t) t≧T,j=0,1,・・・,n a、σ:非負の定数 φ (t):時刻tの確定的な関数 但し、z (t):満期sのデフォルトフリーな割引債
をニューメレールとするフォワード中立確率の下での標
準ブラウン運動 h (t)=r(t) dz (t)dz (t)=ρjk(t)dt, j,k=0,1,・・・,n dz^(t)dz (t)=ρ0k(t)dt, k=0,1,・・・,n とに基いて、サンプルパスを、リスク中立確率あるいは
フォワード中立確率の下でr(t)は満期Tmaxまで、フ
ォワード中立確率の下でh(t)はTmax、jまで発生
させる第1の処理手段またはステップAと、金融商品が
デフォルトフリーである場合には、X (t)を、r
(s)(T≦s≦t)と、満期日及び利払日及びクーポンレ
ートを含む商品属性とを用いて表現することにより、リ
スク・ホライズンTにおけるその金融商品の価格p
0(T、T )を、フォワード中立評価法 に基いて求める第2の処理手段またはステップBと、特
に、金融商品がデフォルトフリーの割引債である場合に
は、リスク・ホライズンTにおけるその金融商品の価格
0(T、s)を、リスク中立評価法 に基いて求める第3の処理手段またはステップCと、企
業jがリスク・ホライズンTまでにデフォルトしていな
いサンプルパスの場合は、時刻t(T<t≦T )まで
にデフォルトする確率 に応じて、企業jの時刻tにおけるデフォルト/非デフ
ォルト状態を定め、X (t)を、r(s)(T≦s≦t)
と、h (s)(T≦s≦t)と、企業jの時刻s(T≦
s≦t)におけるデフォルト/非デフォルト状態と、満
期日及び利払日及びクーポンレート及び回収率を含む商
品属性と、を用いて表現することにより、リスク・ホラ
イズンTにおける価格p j,nondef(T、T
)を、フォワード中立評価法 に基いて求める第4の処理手段またはステップDと、企
業jがリスク・ホライズンTまでにデフォルトしている
サンプルパスの場合は、リスク・ホライズンTにおける
価格p j,def(T、T ,τ)を、デフォルト
時刻τと、満期日及び利払日及びクーポンレート及び
回収率を含む商品属性とに基いて求める第5の処理手段
またはステップEとを備えまたは実行し、請求項10又
は請求項11に記載の将来の状況シナリオ発生手段によ
る処理または第1のステップと、前記第1乃至第5の処
理手段による処理または前記ステップA乃至ステップE
とを十分なシナリオ数が得られるまで繰り返し、得られ
たシナリオの結果を集計して、リスクホライズンにおけ
る個別資産の将来の価格の分布やポートフォリオの将来
の価格の分布を求める。
【0023】請求項14に記載の発明は、請求項10又
は請求項11に記載の金利リスクと信用リスクの統合評
価システムまたは金利リスクと信用リスクの統合評価方
法において、ポートフォリオを構成する金融商品が割引
債である場合に、リスク・ホライズンの資産価格算出手
段あるいは方法を提供するもので、特にリスク中立評価
法を用いて価格を評価する例であり、リスク・ホライズ
ンの資産価格算出手段または第2のステップは、ポート
フォリオを割引債で構成し、企業j(j=0は国を含む
デフォルトフリーな団体を指す)の発行したi番目の割
引債の満期をT 、ポートフォリオを構成する割引債
中で最も遠い満期をTmax、企業jの発行した割引債の
満期中で最も遠い満期をTmax、jとしたとき、請求項
10または請求項11に記載の将来の状況シナリオ発生
手段または第1のステップにより発生させたr(T)とh
(T)をそれぞれ初期値として、 dh^(t)=(φ(t)―a^(t))dt+σ
dz^(t),t≧T,j=0,1,・・・,n a、σ:非負の定数 φ(t):時刻tの確定的な関数 但し、z^(t):リスク中立確率の下での標準ブラウ
ン運動 h^(t)=r(t) dz^(t)dz^(t)=ρjk(t)dt, j,k=0,1,・・・,n とに基いて、割引債がデフォルトフリーである場合に
は、リスク・ホライズンTにおけるその割引債の価格v
0(T、T )を、リスク中立評価法を用いて に基いて求める第1の処理手段またはステップAと、企
業jがリスク・ホライズンTまでにデフォルトしていな
いサンプルパスの場合は、リスク・ホライズンTにおけ
る割引債価格v j,nondef(T、T )を、リ
スク中立評価法を用いて に基いて求める第2の処理手段またはステップBと、企
業jがリスク・ホライズンTまでにデフォルトしている
サンプルパスの場合は、リスク・ホライズンTにおける
割引債価格v j,def(T、T )を、 に基いて求める第3の処理手段またはステップCとを備
えまたは実行し、請求項10又は請求項11に記載の将
来の状況シナリオ発生手段による処理または第1のステ
ップと、前記第1乃至第3の処理手段による処理または
前記ステップA乃至ステップCとを十分なシナリオ数が
得られるまで繰り返し、得られたシナリオの結果を集計
して、リスクホライズンにおける個別資産の将来の価格
の分布やポートフォリオの将来の価格の分布を求める。
【0024】請求項15に記載の発明は、請求項10又
は請求項11に記載の金利リスクと信用リスクの統合評
価システムまたは金利リスクと信用リスクの統合評価方
法において、ポートフォリオを構成する金融商品が割引
債である場合に、リスク・ホライズンの資産価格算出手
段あるいは方法を提供するもので、特にリスク中立評価
法を用いて価格を評価する他の例であり、リスク・ホラ
イズンの資産価格算出手段または第2のステップは、ポ
ートフォリオを割引債で構成し、企業j(j=0は国を
含むデフォルトフリーな団体を指す)の発行したi番目
の割引債の満期をT 、ポートフォリオを構成する割
引債中で最も遠い満期をTmax、企業jの発行した割引
債の満期中で最も遠い満期をTmax、jとしたとき、請
求項10または請求項11に記載の将来の状況シナリオ
発生手段または第1のステップにより発生させたr(T)
とh(T)をそれぞれ初期値として、 dh(t)=(b(t)―a(t))dt+σdz
(t),t≧T,j=0,1,・・・,n a、σ:非負の定数 b(t):時刻tの確定的な関数 但し、z(t):観測確率の下での標準ブラウン運動 h(t)=r(t) dz(t)dz(t)=ρjk(t)dt, j,k=0,1,・・・,n と h^(t)=h(t)+ξ(t),t≧T,j=1,・
・・,n 但し、ξ(t)は時刻tの確定的な関数 とに基いて、割引債がデフォルトフリーである場合に
は、リスク・ホライズンTにおけるその割引債の価格v
0(T、T )を、リスク中立評価法を用いて に基いて求める第1の処理手段またはステップAと、企
業jがリスク・ホライズンTまでにデフォルトしていな
いサンプルパスの場合は、リスク・ホライズンTにおけ
る割引債価格v j,nondef(T、T )を、リ
スク中立評価法を用いて に基いて求める第2の処理手段またはステップBと、企
業jがリスク・ホライズンTまでにデフォルトしている
サンプルパスの場合は、リスク・ホライズンTにおける
割引債価格v j,def(T、T )を、 に基いて求める第3の処理手段またはステップCとを備
えまたは実行し、請求項10又は請求項11に記載の将
来の状況シナリオ発生手段による処理または第1のステ
ップと、前記第1乃至第3の処理手段による処理または
前記ステップA乃至ステップCとを十分なシナリオ数が
得られるまで繰り返し、得られたシナリオの結果を集計
して、リスクホライズンにおける個別資産の将来の価格
の分布やポートフォリオの将来の価格の分布を求める。
【0025】請求項16に記載の発明は、請求項10又
は請求項11に記載の金利リスクと信用リスクの統合評
価システムまたは金利リスクと信用リスクの統合評価方
法において、ポートフォリオを構成する金融商品が割引
債である場合に、リスク・ホライズンの資産価格算出手
段あるいは方法を提供するもので、特にフォワード中立
評価法を用いて価格を評価する例であり、リスク・ホラ
イズンの資産価格算出手段または第2のステップは、ポ
ートフォリオを割引債で構成し、企業j(j=0は国を
含むデフォルトフリーな団体を指す)の発行したi番目
の割引債の満期をT 、ポートフォリオを構成する割
引債中で最も遠い満期をTmax、企業jの発行した割引
債の満期中で最も遠い満期をTmax、jとしたとき、請
求項10または請求項11に記載の将来の状況シナリオ
発生手段または第1のステップにより発生させたr(T)
とh(T)をそれぞれ初期値として、 dr(t)=(φ(t)―ar(t))dt+σdz
(t),t≧T a、σ:非負の定数 φ(t):時刻tの確定的な関数 但し、z^(t):リスク中立確率の下での標準ブラウ
ン運動 と dh (t)=(φ(t)―a (t))dt+σ
dz (t),t≧T,j=1,・・・,n a、σ:非負の定数 φ(t):時刻tの確定的な関数 但し、z (t):満期sのデフォルトフリーな割引債
をニューメレ−ルとするフォワード中立確率の下での標
準ブラウン運動 dz (t)dz (t)=ρjk(t)dt, j,k=1,・・・,n dz^(t)dz (t)=ρ0k(t)dt, k=1,・・・,n とに基いて、割引債がデフォルトフリーである場合に
は、リスク・ホライズンTにおけるその割引債の価格v
0(T、T )を、リスク中立評価法を用いて に基いて求める第1の処理手段またはステップAと、企
業jがリスク・ホライズンTまでにデフォルトしていな
いサンプルパスの場合は、リスク・ホライズンTにおけ
る割引債価格v j,nondef(T、T )を、フ
ォワード中立評価法を用いて に基いて求める第2の処理手段またはステップBと、企
業jがリスク・ホライズンTまでにデフォルトしている
サンプルパスの場合は、リスク・ホライズンTにおける
割引債価格v j,def(T、T )を、 に基いて求める第3の処理手段またはステップCとを備
えまたは実行し、請求項10又は請求項11に記載の将
来の状況シナリオ発生手段による処理または第1のステ
ップと、前記第1乃至第3の処理手段による処理または
前記ステップA乃至ステップCとを十分なシナリオ数が
得られるまで繰り返し、得られたシナリオの結果を集計
して、リスク・ホライズンにおける個別資産の将来の価
格の分布やポートフォリオの将来の価格の分布を求め
る。
【0026】請求項17に記載の発明は、請求項10又
は請求項11に記載の金利リスクと信用リスクの統合評
価システムまたは金利リスクと信用リスクの統合評価方
法において、ポートフォリオを構成する金融商品が割引
債である場合に、リスク・ホライズンの資産価格算出手
段あるいは方法を提供するもので、特にフォワード中立
評価法を用いて価格を評価する他の例であり、リスク・
ホライズンの資産価格算出手段または第2のステップ
は、ポートフォリオを割引債で構成し、企業j(j=0
は国を含むデフォルトフリーな団体を指す)の発行した
i番目の割引債の満期をT 、ポートフォリオを構成
する割引債中で最も遠い満期をTmax、企業jの発行し
た割引債の満期中で最も遠い満期をTmax、jとしたと
き、請求項10または請求項11に記載の将来の状況シ
ナリオ発生手段または第1のステップにより発生させた
r(T)とh(T)をそれぞれ初期値として、 dr(t)=(φ(t)―ar(t))dt+σdz
(t),t≧T a、σ:非負の定数 φ(t):時刻tの確定的な関数 但し、z^(t):リスク中立確率の下での標準ブラウ
ン運動 と dh(t)=(b(t)―a(t))dt+σdz
(t) t≧T,j=1,・・・,n a、σ:非負の定数 b(t):時刻tの確定的な関数 但し、z(t):観測確率の下での標準ブラウン運動 dz(t)dz(t)=ρjk(t)dt, j,k=1,・・・,n dz^(t)dz(t)=ρ0k(t)dt, k=1,・・・,n と h (t)=h(t)+ξ(t),t≧T,j=1,・
・・,n 但し、ξ(t)は時刻tの確定的な関数 とに基いて、割引債がデフォルトフリーである場合に
は、リスク・ホライズンTにおけるその割引債の価格v
0(T、T )を、リスク中立評価法を用いて に基いて求める第1の処理手段またはステップAと、企
業jがリスク・ホライズンTまでにデフォルトしていな
いサンプルパスの場合は、リスク・ホライズンTにおけ
る割引債価格v j,nondef(T、T )を、フ
ォワード中立評価法を用いて に基いて求める第2の処理手段またはステップBと、企
業jがリスク・ホライズンTまでにデフォルトしている
サンプルパスの場合は、リスク・ホライズンTにおける
割引債価格v j,def(T、T )を、 に基いて求める第3の処理手段またはステップCとを備
えまたは実行し、請求項10又は請求項11に記載の将
来の状況シナリオ発生手段による処理または第1のステ
ップと、前記第1乃至第3の処理手段による処理または
前記ステップA乃至ステップCとを十分なシナリオ数が
得られるまで繰り返し、得られたシナリオの結果を集計
して、リスクホライズンにおける個別資産の将来の価格
の分布やポートフォリオの将来の価格の分布を求める。
【0027】請求項18に記載の発明は、請求項10乃
至請求項17のいずれかに記載の金利リスクと信用リス
クの統合評価システムまたは金利リスクと信用リスクの
統合評価方法において、デフォルトフリーな金利と企業
のハザード率との相関係数及び企業間のハザード率の相
関係数を求める手段または方法を提供するもので、デフ
ォルトフリー金利過程r(t)及びデフォルト過程h(t)
を記述する確率微分方程式 dh(t)=(b(t)―a(t))dt+σdz
(t),t≧0,j=0,1,・・・,n a、σ:非負の定数 b(t):時刻tの確定的な関数 z(t):観測確率の下での標準ブラウン運動 但し、dz(t)dz(t)=ρjkdt, j,k=0,1,・・・,n h(t)=r(t) に基いて、等間隔Δtのm+1個の時点t=t
,・・・,t,t=0,t<t<・・・<
における、t=t,t,・・・,tの各時点
で、国債と社債を含む債券価格データに基いて、国債か
らはデフォルトフリーな金利期間構造(ゼロクーポン・
イールド・カーブ)を推定し、社債からは当該企業のデ
フォルトリスクのある金利期間構造(ゼロクーポン・イ
ールド・カーブ)を推定し、それらの金利期間構造(のy
切片)から、デフォルトフリーな瞬間的なスポットレー
トr(t)と、当該企業のデフォルトリスクのある瞬間的
なスポットレートr(t)を求める処理手段(イ)また
はステップ(イ)と、t=0におけるデフォルトフリ
ーな金利期間構造とデフォルトリスクのある金利期間構
造から、リスクプレミア調整率ξ(t)を求める処理手
段(ロ)またはステップ(ロ)と、t=t,t,・
・・,tの各時点で、 h(t)=(r(t)―r(t))/(1−δ)―ξ
(t), j=1,・・・,n に基いて、観測確率の下での企業jのハザード率h
(t)を求める処理手段(ハ)またはステップ(ハ)と
を備えまたは実行し、前記処理手段(イ)乃至(ハ)ま
たはステップ(イ)乃至(ハ)によって求めたデフォル
トフリーな瞬間的なスポットレートr(t)と、当該企業
のデフォルトリスクのある瞬間的なスポットレートr
(t)と、リスクプレミア調整率ξ(t)と、企業jのハ
ザード率h(t)とから、デフォルトフリーな金利r
(t)と企業jのハザード率h(t)の相関係数ρ
(j=1,・・・,n)を に基いて求める。
【0028】請求項19に記載の発明は、請求項10乃
至請求項18のいずれかに記載の金利リスクと信用リス
クの統合評価システムまたは金利リスクと信用リスクの
統合評価方法において、3パラメータ・ワイブル分布ま
たは一般化ワイブル分布を用いてハザード率および累積
ハザード率の平均を求める例を提供するもので、将来の
状況シナリオ発生手段およびリスク・ホライズンの資産
価格算出手段または第1のステップおよび第2のステッ
プは、デフォルト過程をh(t)=(h(t),h
(t),・・・,h(t))としたとき、 m(t)= E[h(t)]= λ γ (t+η)
γj―1 j=1,・・・,n 但し、λ 、γ:正の定数、 η:非負の定数 に基いて、累積ハザード率 に基いて求める。
【0029】請求項20に記載の発明は、コンピュータ
に金利リスクと信用リスクとを統合して評価するための
演算を実行させるためのプログラムを提供するものであ
り、コンピュータに、デフォルトフリー金利の将来の変
動を記述する方程式で表現されたデフォルト・フリー金
利過程モデルに基いて現在からリスク・ホライズンまで
の金利変動の時間的変化を描いたシナリオと、デフォル
トの発生率の将来の変動を記述する方程式で表現された
デフォルト過程モデルに基いて現在からリスク・ホライ
ズンまでのデフォルト発生状況の時間的変化を描いたシ
ナリオとを、入力あるいは記憶されたデータに基いて多
数発生させる第1のステップと、第1のステップにより
発生させた個々のシナリオに対して、入力あるいは記憶
された資産データ及び市場データに基いて、リスク・ホ
ライズンにおけるポートフォリオの価格及び個別資産の
価格を算出する第2のステップと、第2のステップによ
りシナリオごとに算出されたリスク・ホライズンにおけ
るポートフォリオの価格及び個別の資産価格に基いて、
ポートフォリオの将来の価格分布及び/又は個別資産の
将来の価格分布を求める第3のステップと、第3のステ
ップにより算出されたポートフォリオの将来の価格分布
及び/又は個別資産の将来の価格分布に基いて、金利リ
スクと信用リスクとを統合して評価した評価結果を出力
する第4のステップと、を実行させるためのプログラム
を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であ
る。
【0030】請求項21に記載の発明は、コンピュータ
を、ポートフォリオの金利リスクと信用リスクとを統合
して評価する評価システムとして機能させるための演算
を実行させるためのプログラムを提供するものであり、
コンピュータに、デフォルトフリー金利の将来の変動を
記述する方程式で表現されたデフォルト・フリー金利過
程モデルに基いて現在からリスク・ホライズンまでの金
利変動の時間的変化を描いたシナリオと、デフォルトの
発生率の将来の変動を記述する方程式で表現されたデフ
ォルト過程モデルに基いて現在からリスク・ホライズン
までのデフォルト発生状況の時間的変化を描いたシナリ
オとを、入力あるいは記憶されたデータに基いて多数発
生させる第1のステップと、第1のステップにより発生
させた個々のシナリオに対して、入力あるいは記憶され
た資産データ及び市場データに基いて、リスク・ホライ
ズンにおけるポートフォリオの価格及び個別資産の価格
を算出する第2のステップと、第2のステップによりシ
ナリオごとに算出されたリスク・ホライズンにおけるポ
ートフォリオの価格及び個別の資産価格に基いて、ポー
トフォリオの将来の価格分布及び/又は個別資産の将来
の価格分布を求める第3のステップと、第3のステップ
により算出されたポートフォリオの将来の価格分布及び
/又は個別資産の将来の価格分布に基いて、金利リスク
と信用リスクとを統合して評価した評価結果を出力する
第4のステップと、を実行させるプログラムである。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明によるリスク評価システム
における基本的な考え方は、現在保有しているポートフ
ォリオの抱えるリスクを、与えられた将来時点(リスク
・ホライズン)におけるポートフォリオの価格の不確実
性としてとらえ、リスク・ホライズンにおけるポートフ
ォリオの価格分布を算出し、それに基づいてリスクやリ
ターンの尺度を計算して、定量的なポートフォリオ管理
を行おうとするものである。
【0032】まず、図1及び図2を参照しながら、本実
施の形態によるポートフォリオのリスク評価システムの
概要について説明する。図1はポートフォリオのリスク
評価システムの概要を示したものであり、図2は、この
リスク評価システムを実施するためのハードウェア構成
(以下、「ポートフォリオリスク評価装置」という)を
示している。先に、図2を用いて、ハードウェア構成に
ついて説明する。
【0033】図2に示すように、ポートフォリオリスク
評価装置1は、プログラムを実行するために命令を取出
し解読し指令を出すなど装置全体を制御する制御装置と
演算を実行する演算装置とを含むCPU11と、電源投
入時に装置を起動させるためのプログラム等が記憶され
ているROM12と、主記憶装置として機能するデータ
やプログラムを一時的に格納するRAM13と、データ
の入力を行うキーボードやマウス等の入力装置15と、
データを表示しあるいは出力するディスプレイやプリン
タ等の出力装置16と、データの入出力を制御するため
のインターフェイス回路14と、データやプログラムを
保存するための外部記憶装置17とを有している。
【0034】外部記憶装置17には、本発明によるポー
トフォリオのリスク評価システムを実行するための演算
プログラムファイル21、資産データファイル22、市
場データファイル23が含まれる。
【0035】演算プログラムファイル21には、本発明
によるポートフォリオのリスク評価システムを実行する
ために必要な将来の状況シナリオ発生ツール32、価格
評価ツール33、リターン評価ツール51、リスク評価
ツール52などが含まれている。演算プログラムファイ
ル21に含まれるプログラムファイルのうち、本発明に
おいて最も重要なものは、将来の状況シナリオ発生ツー
ル32および価格評価ツール33である。
【0036】資産データファイル22には、評価しよう
とするポートフォリオに関するデータ、例えば、ポート
フォリオを構成する各資産の詳細データ、すなわち、ク
ーポンレート・満期日及び利払い日を含む属性に関する
データなどが記憶されている。また、市場データファイ
ル23には、市場金利や国債・社債を含む金融商品の市
場価格・過去のデフォルトの発生率や回収率及び企業及
び/又は債券の格付けに関するデータが含まれている。
【0037】なお、図2においては、本発明をコンピュ
ータ単体で実施するための構成が示されているが、例え
ば外部記憶装置17に格納されているデータ等をデータ
ベースサーバが有しており、該データベースサーバがユ
ーザーの操作するコンピュータと通信回線で接続される
ことによって、ユーザーのコンピュータからのリクエス
トにより必要なデータ等がダウンロードされてユーザー
のコンピュータで演算を行ったりあるいはすべての処理
をサーバ側で行いその結果をユーザー側のコンピュータ
に表示させるなど、本発明はクライアントサーバシステ
ムを用いて実行することも可能である。また、市場デー
タや資産データは、図2に示したような外部記憶装置1
7にデータファイルとして保持せずに、入力装置15か
ら何らか手段(例えば、キーボードやマウス、光学的読
み取り装置、通信手段によるダウンロード、など)によ
り入力してもよい。
【0038】次に、図1を用いて、本実施の形態に係る
ポートフォリオのリスク評価を実行するための手段につ
いて説明する。このリスク評価モデルは、以下の3つの
主要な機能、すなわち、(1)不確実性を表現するため
の確率的なシナリオの発生、(2)現在のポートフォリ
オの価値の評価、及び(3)将来のポートフォリオの価
格分布の評価、を有している。そして、この3つの機能
を実現するために、リスク評価装置1は、以下の4つの
ツール、すなわち、将来の状況(金利、デフォルト率な
ど)シナリオ発生ツール32、価格評価ツール33、リ
ターン評価ツール51、リスク評価ツール52を備えて
いる。また、以上のツールは、共に確率過程としてモデ
ル化されたデフォルト・フリー金利過程モデル311及
びデフォルト過程モデル312に基づいて演算またはシ
ミュレーションを行うものである。
【0039】次に、本実施の形態に係るポートフォリオ
のリスク評価の手順の概略〜を説明する。 デフォルト・フリー金利過程モデル311及びデフ
ォルト過程モデル312に基づいて将来の状況シナリオ
発生ツール32が、現在からリスク・ホライズンまでの
金利変動やデフォルト発生等の状況の時間変化を描いた
シナリオを多数発生させる。 価格評価ツール33により、で発生させた個々の
シナリオに対して、リスク・ホライズンにおける各資産
の価格を算出する。全資産価格の合計がポートフォリオ
の価格である。 で求めたポートフォリオの価格を集計し、将来の
ポートフォリオの価格分布を求める。各資産毎に価格を
集計すれば、資産別の価格分布が得られる。 で得られた将来のポートフォリオの価格分布に基
づいて、リスク評価ツール52により、ポートフォリオ
及び個別資産のリスク・ホライズンにおける将来の価格
及び/又は将来の収益率の標準偏差、VaR(Value-at
-Risk)、CVaR(Conditional-VaR)、下方部分積率
や、個別資産の限界標準偏差、限界VaR、限界CVa
Rなどのリスク指標を算出する。 と同時に、リターン評価ツール51により、ポー
トフォリオ及び個別資産の期待収益率などのリターン指
標を算出する。
【0040】以下、本実施の形態に係るポートフォリオ
のリスク評価モデルを構成する各要素について説明す
る。 [観測確率とリスク中立確率]本実施の形態では、ポー
トフォリオの価格について無裁定評価法を採用するの
で、リスク中立確率と、実際に市場で観測される確率
(以下、「観測確率」という)とを厳密に区別すること
が重要である。まず、これについて簡単に説明する。
【0041】現在時刻をtとして、ある資産の価格につ
いて考える。一般に、その資産の保有者が将来受け取る
キャッシュフローは確率変数と考えられる。デリバティ
ブの価格評価に用いられる無裁定理論によると、その資
産の時刻tにおける価格は、将来のキャッシュフローの
割引現在価値の、リスク中立確率の下における条件付期
待値(「時刻tまでの情報」を既知としたときの期待
値)に等しい。つまり、価格には、将来のキャッシュフ
ローや割引に使う金利などの確率変数の分布が反映され
ることになる。ただし、そこで反映されるのはリスク中
立確率の下での分布であり、現実の世界における分布で
はない。このことは、将来時点T(T>t)、における
価格についても同様で、リスク中立確率の下での条件付
き期待値(「時刻Tまでの情報」を既知とたときの期待
値)が時刻Tにおける価格となる。ところで、その期待
値に付いている条件、「時刻Tまでの情報」、とは時刻
Tまでに現実に観測される情報のことなので、当然それ
らは現実世界の確率(観測確率)に従って発生する。
【0042】このように考えると、結局、時刻tにおい
て将来時刻Tの価格分布を求めるためには、下記の
(1)〜(3)の手順をとらなければならないことがわ
かる。 (1)現在時刻tまでの情報をもとに、観測確率の下で
「時刻Tまでの情報」を発生させる。 (2)その「時刻Tまでの情報」を既知として、時刻T
以降のキャッシュフローの割引現在価値の条件付き期待
値を、リスク中立確率の下で求める。その値が将来価格
のサンプルである。 (3)上の手順を十分な回数だけ繰り返し、得られた多
数の将来価格のサンプルを統計処理する。
【0043】しかし、これまでの市場リスク評価モデル
では、この2つの確率は明示的に区別して使われること
がなかった。その理由の一つは、リスク・ホライズンま
での期間が数日間と非常に短いため、2つの確率の差は
小さく、一方を他方の近似と思っても問題が生じなかっ
たからである。しかし、信用リスク評価では、リスク・
ホライズンが年単位と非常に長くなるため、状況が一変
する。例えば、国債と社債の価格から今後一年間のデフ
ォルト確率を格付けごとに推定する(インプライド・デ
フォルト確率を求める)と、低格付けではデフォルト確
率の観測値をはるかに上回る値が得られることが知られ
ている。このインプライド・デフォルト確率が上でいう
リスク中立確率であり、これと観測確率の違いは決して
無視できない。このような理由から、本実施の形態で
は、この2つの確率を明確に区別して使用することを基
本方針としている。本実施の形態では、唯一のリスク中
立確率P^が存在すると仮定する。リスク中立確率P^
と区別するために、観測確率はPで表示される。リスク
中立確率P^は、金融資産の価格付けのためのみに利用
される擬似確率である。 [正規分布型モデルを用いた説明用の事例]次に、本実
施の形態で用いる正規分布型モデルによるリスク評価方
法を、1つのデフォルト・フリー割引債と1つのデフォ
ルトリスクのある割引債とからなるポートフォリオを例
に用いて説明する。
【0044】観測確率Pの下で、デフォルト・フリース
ポットレートr(t)は、下記の線形確率微分方程式、数
1に従って変動しているとする。
【0045】
【数1】dr(t)=(b−ar(t))dt+σdz
(t), t≧0 ここで、a、b及びσは正の定数である。また、
は観測確率Pに関する標準ブラウン運動である。こ
れらのパラメータの値は例えば既存の文献に開示された
方法により求めることができる。数1の解は、下記の数
2により与えられることはよく知られている。
【0046】
【数2】 但し、b(t)=b である。r(t)の解は、ガウス
−マルコフ過程であり、正規分布に従う。
【0047】次に、デフォルトリスクのある割引債につ
いて考察する。τはその割引債のデフォルト時点を示
し、h(t)は、観測確率Pに関するその割引債のハザー
ド過程とする。ハザード率h(t)は、時点tにおいて、
それ以前にはデフォルトしていないという条件の下で、
次の瞬間にデフォルトが発生する率を示している。した
がって、観測確率Pに関するハザード率は下記の数3で
定義される。
【0048】
【数3】 数3において、Pは情報Fが与えられた観測確率P
に関する条件付き確率を示している(ここで、Fはt
までのすべての情報を指す、と考える。そのため、F
が与えられたときは、t以前のことはすべて既知とな
る。同様に、標準ブラウン運動も、ふつうは確率変数だ
が、Fが与えられたときは、tまでは具体的にどのよ
うな値をとってきたか既知である、と考える)。ハザー
ド率h(t)とスポットレートr(t)とは相関があり得
るが、デフォルト時点τは数3によって与えられるハザ
ード率のみによって決定される。言いかえると、デフォ
ルト時点τはハザ−ド過程を通してデフォルト・フリー
金利過程と相関をもつ。
【0049】一方、ハザード率は、下記の線形確率微分
方程式数4に従って変動すると仮定する。
【0050】
【数4】dh(t)=(b(t)−ah(t))dt+σ
dz(t), t≧0 ここで、aとσは、正の定数であり、b(t)は時
間tについての確定的な関数である。数1における標準
ブラウン運動z(t)と、数4における標準ブラウン運
動z(t)との相関は常に一定で、dz(t)dz
(t)=ρdtで示される。
【0051】数4は線形確率微分方程式なので、その解
は適当なパラメータを用いることによって数2に従って
解くことができる。平均ハザード率であるm(t)=E
[h(t)]は下記の数5によって与えられる。
【0052】
【数5】 ここで、平均回帰レベルb(t)は、市場で観測される
平均ハザード率m(t)の期間構造をもとに決定される。
この点については、数値データを用いて後段で説明す
る。
【0053】次に、割引債の価格の評価について説明す
る。β(t),j=0,1はj番目のリスクz(t)に
連動するリスクの市場価格を示す。Tが0より十分に
大きい値であるとき、z^(t)は、下記の数6で示さ
れるリスク中立確率P^に関する標準ブラウン運動であ
る。
【0054】
【数6】 リスクの市場価格β(t)は、z^(t)の全過程に従
属するかもしれないが、β(t)は時刻tの確定的な関
数であり、b(t)=bとして、ある確定的な関数φ
(t)を用いて、下記の数7によって与えられると仮定
する。
【0055】
【数7】 ブラウン運動z^(t)の分散/共分散構造は、Pから
P^への確率測度の変更によっては変化しない。
【0056】デフォルト・フリー割引債については、リ
スク中立確率P^に関するデフォルト・フリースポット
レートr(t)のための線形確率微分方程式は、数1、
数6及び数7から、下記の数8で与えられる。
【0057】
【数8】dr(t)=(φ(t)−ar(t))dt+σ
dz^(t), 0≦t≦T 数8は、文献Hull and White (1990)(“Pricing intere
st-rate-derivative securities” Review of Financia
l Studies, 3, 573-592)による拡張Vasicekモデルであ
る。Hull and White (1990)において、満期がTである
デフォルト・フリー割引債のt時点における価格v
(t,T)は下記の数9によって与えられた。
【0058】
【数9】 文献Inui and Kijima(1998)(“A Markovian framework
in multi-factor Heath-Jarrow-Morton models”, Jour
nal of Financial and Quantitative Analysis, 33, 42
3-440)によれば、数8に示されたHull-Whiteモデルは、
Heath, Jarrowand Morton (HJM)モデル(1992)(“B
ond pricing and the term structureof interest rate
s: A new methodology for contingent claims valuati
on” Econometrica, 60, 77-105)から導出することがで
き、関数φ(t)は、下記の数10で示すように、市場
で観測されるデフォルト・フリー金利の現時点における
期間構造と一致するように決定することができる。
【0059】
【数10】 数10において、f(t,T)は、デフォルト・フリ
ー割引債v(t,T)のフォワード・レートである。
ここで、リスクの市場価格β(t)は数7によって定義
することができる。
【0060】次に、満期がTであるデフォルトリスクの
ある割引債のt時点における価格をv(t,T)とす
る。数4、数6及び数7から、リスク中立確率P^に関
するハザード率h(t)を求める確率微分方程式は、下
記の数11によって与えられる。
【0061】
【数11】dh(t)=(φ(t)−ah(t))dt
+σdz^(t),0≦t≦T ここで、デフォルトリスクのある割引債の回収率が一定
であるとして、当該回収率をδ、0≦δ<1とし、債権
者は割引債が満期前にデフォルトしたときでも、満期T
において常に現金δを受け取るとする。このJarrow and
Turnbull (1995)(Pricing derivatives on financial
securities subject to credit risk”,Journal of Fin
ance, 50, 53-86)モデルでは、v(t,T)は、下記
の数12によって与えられる。なお、数12中、A
(t,T)及びB(t,T)の定義については、後述
する[正規分布型モデルの実施の形態]の項で説明され
ている。
【0062】
【数12】 このモデルの重要な特性は、関数φ(t) は、市場で
観測されるデフォルト・フリー金利の現行期間構造と一
致するように決定することができることである。すなわ
ち、関数φ(t) は、下記の数13によって与えられ
る。
【0063】
【数13】 関数g(t,T)は、回収率δで調整された、デフォ
ルト・フリー割引債とデフォルトリスクのある割引債と
のフォワード・スプレッドである。ここで、特にδ=0
であると、下記の数14のようになる。
【0064】
【数14】 数14において、f(t,T)は、デフォルトリスク
のある割引債v(t,T)のフォワード・レートであ
る。よって、リスクの市場価格β(t)は数7により
定義される。
【0065】次に、将来の割引債の価格について述べ
る。ここで、現在時点を0、リスクホライズンT(T>
0)とする。このリスクホライズンは、リスクが評価さ
れる期間である。ここで、リスクホライズンTを経過し
た後でも、リスクの市場価格は数7によって与えられる
とした。すなわち、リスクホライズンTにおけるデフォ
ルト・フリー金利の実現値r(T)が与えられると、リ
スクホライズンT経過後のデフォルト・フリー金利r
(t)は、リスク中立確率P^に関する数8と同様の確率
微分方程式に従う。同様に、リスクホライズンTにおけ
るハザード率の実現値h(T)が与えられると、リスク
ホライズンT経過後のハザード率h(t)は、リスク中
立確率P^に関する数11と同様の確率微分方程式に従
う。r(T)とh(T)の値が与えられると、満期T
(T>T)であるデフォルトリスクのある割引債の
リスクホライズンTの価格は、下記の数15で与えられ
る。
【0066】
【数15】 数15において、1は、事象Aが真ならば1=1、
事象Aが偽ならば1=0、を意味する定義関数であ
る。従って、デフォルト・フリーの割引債の将来の価格
(T,T)は、r(T)、h(T)及び1{τ>T}
の実現値に依存する確率変数である。これらの確率変数
は観測確率Pに基づいて取得されるもので、リスク中立
確率P^に基づくものではない。一方、数3から、事象
{τ>T}はH(0,T)の実現により下記の数16よ
り、独立に決定される。
【0067】
【数16】 よって、割引債の価格v(T,T)は、実際には観
測確率Pに基づく確率変数r(T)、h(T)及び1
{τ>T}の関数である。これらの確率変数は、同時正
規分布に従う。
【0068】数15における割引債の価格v(T,T
)は、対数正規確率変数と条件付き対数正規確率変数
の和である。従って、この分布の解析的な解を求めるこ
とは出来ない。この分布を評価する1つの方法は、モン
テカルロシミュレーションを適用することである。この
ためには、同時正規分布の乱数r(T)、h(T)、H
(0,T)を発生させる。r(T)、h(T)、H(0,T)
の平均ベクトルと共分散行列については、後述する[正
規分布型モデルの実施の形態]の項で説明されている。
【0069】事象{τ>T}は数16によって独立的に
決定される。図3は、様々な回収率(δ=0.1は(a)
で、δ=0.3は(b)で、δ=0.5は(c)で、δ=
0.7は(d)で示されている)でのシミュレーションに
よって得られたv(T,T )の分布を描いている。
その分布は、回収率の周辺で分離したピークを有してい
ることが明白に観測される。
【0070】以上、1つのデフォルト・フリー割引債と
1つのデフォルトリスクのある割引債とを例に用いて、
本実施の形態で用いるための確率モデルを説明したが、
以上の説明で、このようなシンプルな設定であっても、
デフォルトが信用リスクの解析的な評価を非常に複雑な
ものにすることが理解される。 [一般化したモデルについての実施の形態]以下では、本
実施の形態によるポートフォリオのリスク評価モデルに
用いるための各構成要素について、前述の例より一般化
した形で説明する。説明の順番として、まず、デフォル
ト・フリー金利過程モデル311と、デフォルト過程モ
デル312について説明し、次いでポートフォリオの現
在価格の評価について説明し、さらにポートフォリオの
将来の価格分布について説明する。また、将来の状況シ
ナリオを発生させるモンテカルロシミュレーションにつ
いて説明する。 [デフォルト・フリー金利過程]まず、デフォルト・フリ
ー金利過程モデル311について説明する。観測確率P
の下でのデフォルト・フリースポットレートr(t)は、
下記の確率微分方程式、数17に従って変動していると
する。
【0071】
【数17】dr(t) = μ (r(t),t)dt+σ(r
(t),t)dz(t), t≧0ここで、z(t)は、観
測確率Pの下での標準ブラウン運動である。リスク中立
確率P^の下でのデフォルト・フリースポットレート
は、リスクの市場価格β (t)を導入することによっ
て、下記の確率微分方程式、数18によって与えられ
る。
【0072】
【数18】dr(t) = μ^(r(t),t)dt+σ(r
(t),t)dz^(t),0≦t≦T 但し、 μ^(r(t),t) =μ(r(t),t) −β
(t)σ(r(t),t)とする。
【0073】数18におけるz^(t)は、下記の数1
9で定義されるリスク中立確率P^の下での標準ブラウ
ン運動である。
【0074】
【数19】dz^(t)=dz(t)+β(t)dt なお、数18におけるボラティリティ関数は、数17に
おけるボラティリティ関数と同じである。T時点が満期
であるデフォルト・フリーの割引債のt時点における価
格v(t,T)は、下記の数20で与えられる。な
お、数20においてE^は、リスク中立確率P^の下
で情報F(時刻tまでの全ての情報)が与えられたと
きの条件付期待値である。
【0075】
【数20】 [デフォルト過程]次に、デフォルト過程モデル312に
ついて説明する。デフォルト過程モデル312の構成は
非常に複雑である。このモデルにおいて、デフォルトは
ハザード過程(ハザード率を時間とともに変動する確率
過程としてとらえたもの)によって生成されると仮定す
る。いま、n個の別々の会社によって発行されたデフォ
ルトリスクのある資産からなるポートフォリオを有して
いるとする。τは企業jのデフォルト時点を示し、h
(t)は観測確率Pの下でのハザード過程とする。ハザ
ード率h(t)は、t時点において、それ以前にはデフ
ォルトしていないという条件の下で次の瞬間にデフォル
トが発生する率を示している。数3におけるτをτ
置きかえると、下記の数21を得る。したがって、観測
確率Pの下でのハザード率h(t)は下記の数21で
定義される。
【0076】
【数21】 いま、h(t)=(h(t),h(t),・・・,h
(t)), t≧0 とし、h(t)=r(t)とす
る。観測確率Pの下でのハザード過程h(t)は、下記
の数22の確率微分方程式に従って変動すると仮定す
る。
【0077】
【数22】dh(t)=μ(h(t),t)dt+σ
(h(t),t)dz(t),j=1,2,・・・n ここで、μとσは、それぞれh(t)のドリフト項
とボラティリティを示しており、(z(t),・・・,
(t))は、観測確率Pの下でのn次元の標準ブラウ
ン運動である。また、従来技術の項で述べた経験に基づ
く発見を組み入れるために、平均ハザード率E[h
(t)]はそのような経験的な結果を満足すると仮定す
る。
【0078】ハザード過程h(t)の実現のみではデフ
ォルト時点τの同時分布を決定することはできないの
はよく知られている。同時分布は、互いに独立な場合を
除き、それらの周辺分布から構成することはできないか
らである。そこで、さらなる仮定が必要となる。本実施
の形態では、τは基本的な確率過程の実現値が与えら
れたときに、条件付き独立であると仮定する。この条件
付き独立の内容については、モンテカルロシミュレーシ
ョンについて説明する後段で明らかにする。
【0079】この点をより明示的に説明するために、P
>t,・・・,τ>t}がデフォルト時点
の同時生存確率であるとする。条件付き独立とは、t≧
maxという条件で情報Fが与えられたとき、
デフォルト時点τは互いに独立であることであり、下
記の数23で示される。
【0080】
【数23】 一方、ハザード率の定義より、条件付き生存確率は下記
の数24により与えられる。
【0081】
【数24】 ここで、ハザード率が確率微分方程式数22により特定
されると、下記の数25が得られる。
【0082】
【数25】 この条件付独立は下記の数26で示される通常の独立を
意味しない。
【0083】
【数26】 このモデルにおける相関構造は、標準ブラウン運動z
(t)間の相関によって導かれる。すなわち、下記の数
27を仮定する。
【0084】
【数27】dz(t)dz(t)=ρjk(t)dt,
j,k=0,1,・・・,n ここで、ρjj(t)=1である。
【0085】このようにして、観測確率Pの下でのデフ
ォルト時点τの確率の構造は完全に構成される。 [ポートフォリオの価格評価]次に、ポートフォリオの現
在価格の評価について説明する。いま、説明を簡単にす
るために、割引債でのみ構成されたポートフォリオを想
定する。デフォルトリスクのある割引債の価格は、文献
Jarrow and Turnbull(1995), (“Pricing derivatives
on financial securities subject to credit risk”,
Journal of Finance, 50, 53-86)中で、開示されてい
る。その結果をより一般的なポートフォリオについて展
開することができる。例えば、クレジット・デリバティ
ブのような金利感応(interest-sensitive)資産は、そ
れらのペイオフが企業債やデフォルト・フリー債で決定
される限り、ポートフォリオに含めることができる。
【0086】v(t,T)は、企業jによって発行され
た、満期がTであるデフォルトリスクのある割引債のt
時点における価格を示す。その割引債の回収率を、その
満期に関わらず、δ(0≦δ<1)とする。特定の
条件の下で、文献Jarrow andTurnbull(1995)は、企業j
によって発行されたi番目の割引債の満期をT とし
たとき、当該割引債の価格v(t,T )は、下記の
数28によって示されることを開示した。
【0087】
【数28】 満期T におけるペイオフは、デフォルトしていれば
δであり、デフォルトしなければ1であるので、数2
8の価格式は、リスク中立評価法に基づく価格式であ
る。
【0088】なお、割引債の具体的な価格評価式は、満
期T までにデフォルトしたときに受け取る額、すな
わち、デフォルト時のペイオフの設定の違いに応じて変
わる。以下では、三種類の代表的なペイオフの設定方法
を紹介する。
【0089】第一は、Jarrow and Turnbull (1995)フレ
ームワークで、満期T までにデフォルトしていなけ
れば満期T に1、満期T までにデフォルトして
いれば満期T にδ を受け取る、という設定であ
る。これは、満期T までにデフォルトしている場
合、デフォルト時点τに、τにおける満期T
デフォルト・フリーな割引債価格のδ 倍のキャッシ
ュを受け取り、その後デフォルト・フリーな割引債で満
期T まで運用することと同じである。Duffieand Si
ngleton (1999)によると、この設定はRT(Recovery o
f Treasury)と呼ばれる。
【0090】第二は、Duffie and Singleton (1999)が
採用したフレームワークで、満期T までにデフォル
トしていなければ満期T に1、満期T までにデ
フォルトしていれば、デフォルト時点τに、τ直前
の当該割引債の市場価格のδ 倍を受け取る、という
設定である。Duffie and Singleton (1999)によると、
この設定はRMV(Recovery of Market Value)と呼ば
れる。
【0091】第三は、満期T までにデフォルトして
いなければ満期T に1、満期T までにデフォル
トしていれば、デフォルト時点τに、当該割引債の額
面のδ 倍を受け取る、という設定である。Duffie a
nd Singleton (1999)によると、この設定はRFV(Rec
overy of Face Value)と呼ばれる。
【0092】Pは、リスク中立確率測度P^と同値な
フォワード中立確率を示すものとする。フォワード中立
確率は、特定の資産価格をc(t)としたとき、確率過
程c(t)/v(t,T),t≦T をマルチンゲ−ル
にするような確率である。ここで、リスク中立確率P^
が存在し、唯一のものであると想定しているので、文献
German, El Karoui and Rochet (1995) (“Changes of
numeraire, changes ofprobability measure and optio
n pricing” Journal of Applied Probability,32, 443
-458)によれば、数28の割引債の価格は、下記の数2
9によって与えられる。
【0093】
【数29】 数29において、P は、フォワード中立確率P
関する情報Fが与えられたときの条件付き確率を示
す。
【0094】数29において、生存確率P
T}は下記のように求められる。h (t)は、フォ
ワード中立確率Pに関するリスク調整済みハザード率
であり、h(t)は実際に観測されるハザード過程と
したとき、下記の数30を満たすリスクプレミア調整率
ξ (t)が存在すると仮定する。
【0095】
【数30】 一般的に、それぞれのリスクプレミア調整率ξ
(t)は、全履歴と満期Tに依存するが、このモデ
ルでは、リスクプレミア調整率ξ (t)は時点tの
確定的な関数であり、満期とは独立と仮定するので、ξ
(t)と表示する。
【0096】
【数31】 リスクプレミア調整率ξ(s)は、計算されたv
(0,t)がデフォルトリスクのある割引債の現在の
市場価格に一致するように決定される。v(0,t)
はデフォルト・フリー割引債の現行期間構造であり、v
(0,t)は、企業jによって発行されたデフォルト
リスクのある割引債の現行期間構造である。数29及び
数31から、下記の数32を得る。
【0097】
【数32】 数32をリスクプレミア調整率ξ(t)に関して解く
と、下記の数33を得る。
【0098】
【数33】 数33の右辺の全ての項は市場データから入手すること
ができる。リスクプレミア調整率ξ(t)(または、
(t,T)でも同じ)は、観測確率とフォワード中
立確率との間の差を調整する(数31参照)。また、金
利リスクや信用リスク以外のリスクもまた、この項によ
って調整される。デフォルト・フリースポットレートr
(t)とハザード率h(t)との相関も、リスクプレミ
ア調整率ξ (t)に内在する。 [将来のポートフォリオの価格分布]次に、ポートフォリ
オの将来の価格分布について説明する。リスクホライズ
ンをTで表示し、モデルはこれまで説明した仮定を満足
するものとする。満期がT である企業jによって発
行されたi番目のデフォルトリスクのある割引債のリス
クホライズンTにおける将来価格は、t=Tとすること
によって、数29及び数31によって、下記の数34に
示すように求めることができる。
【0099】
【数34】 もし、事象{τ≦T}が起きたとき、支払いは常に満
期T に行われると仮定しているので、将来の価格は
割引回収率δで与えられる。すなわち下記の数35の
ように示される。
【0100】
【数35】 従って、数34及び数35より、デフォルトリスクのあ
る割引債のリスクホライズンTにおける将来価格は、下
記の数36によって与えられる。
【0101】
【数36】 リスクホライズンTは、将来の基準点であるので、将来
の価格v(T,T )はv(T,T )、h
(T)及びτに依存する確率変数である。
【0102】リスクホライズンTにおけるポートフォリ
オの価格が下記の数37で与えられるとする。
【0103】
【数37】 数37において、j=0は、δ=1である、デフォル
ト・フリー割引債を意味する。また、数37において、
は、ポートフォリオに含まれる、企業jによって発
行された割引債(又は、j=0であるデフォルト・フリ
ー割引債)の数であり、wijは企業jによって発行さ
れた割引債iの保有量を示す。数37においては、リス
ク・ホライズンTまでポートフォリオを変更しないとい
うことを暗黙のうちに仮定している。v(T,
)とP>T }1{τj >T}の同時分
布は、もとにしている確率的な構造(確率過程など)か
ら得ることができる。しかしながら、一般的に、この同
時分布を解析的に計算するのは非常に困難である。従っ
て、もとにする確率的構造をより簡潔なものとするか、
モンテカルロシミュレーションによるアプローチを採用
する必要がある。
【0104】次に、モンテカルロシミュレーションにつ
いて説明する。いま、時間が離散的なデフォルト・フリ
ー金利過程r(kΔt)のモデルと時間が離散的なハザ
ード過程h(kΔt)のモデル(j=1,2,・・
・,n,k=0,1,2,・・・であって、Δtは固
定)が与えられたとする。離散時間モデルによって、連
続時間モデルを近似させるので、十分に小さな時間の変
化量Δtを選択する。
【0105】r(t)及びh(t)(j=1,2,・・
・,n)が、リスクホライズンTまで特定の相関構造を
持ちながら生成されるとする。条件付き独立という仮定
のもとでは、(r(t),h(t),・・・,h
(t))但し0≦t≦T,の実現値が与えられると、そ
れぞれのデフォルト事象{τ≦T}は独立に下記の数
38で示す確率で起きる(数24参照)。
【0106】
【数38】 (t)は独立的ではないが、実際のデフォルトは
(r(t),h(t),・・・,h(t),但し0≦t
≦T)の実現値が与えられれば独立に生成されるのであ
る。
【0107】リスクホライズンTの後は、(r(T),h
(T),・・・,h(t))の実現値と、これまでと
同じ相関構造が与えられれば、数18によって生成され
たスポットレート過程r(t),t≧Tから割引率v
(T,t)が求められ、数22によって生成されたハザ
ード過程h(t)とリスクプレミア調整率 このようにして、下記(1)〜(6)の信用リスクを評
価するためのシミュレーションアルゴリズムが得られ
る。 (1)観測確率Pの下で、現在t=0からリスクホライ
ズンt=Tまでのサンプルパス(r(t),h(t),・
・・,h(t))0≦t≦Tを発生させる。 (2)生存確率P>T}を計算し、数38を用
いて事象{τ≦T}を独立に決定する。 (3)(1)で与えられたr(T)をもとに、T≦t≦
maxi,j 間のr(t)を発生させて、割引率
(T,t)を求める。 (4)(1)で与えられたh(T)をもとに、T≦t
≦max 間のh (t)を発生させて、これと
リスクプレミア調整率ξ(t)とから、 (5)数36を用いてそれぞれの割引債についてのv
(T,T )を計算し、それから数37を用いてポー
トフォリオの価格π(T)を計算する。 (6)この処理を十分なシナリオ数が得られるまで(す
なわち、分布の形が安定するまで)繰り返す。
【0108】ところで、以上で述べた一般的な設定の下
で将来価格の分布を求めるモンテカルロシミュレーショ
ンの手順では、モンテカルロシミュレーションを二重の
入れ子構造で使用しなければならない。第1段階のシミ
ュレーションは(1)〜(2)で、これは将来の状況の
分布を作成するために行う。第2段階のシミュレーショ
ンは(3)〜(4)で、これは将来時点の個別資産の価
格を求めるために行う。各段階で必要とされるシナリオ
数が非常に多い場合、この計算は非常に時間がかかるこ
とが予想される。
【0109】そこで、本発明のさらなる実施の形態とし
て、本願発明者は、計算時間を大幅に削減するための正
規分布型モデルを開発した。正規分布型モデルでは解析
的な価格評価が可能なので、計算時間を大幅に短縮する
ことができる。以下、この正規分布型モデルについて説
明する。 [正規分布型モデルの実施の形態]この正規分布型モデル
では、観測確率Pの下でのデフォルト・フリー金利過程
311及びデフォルト過程312が下記の数39で示す
線形確率微分方程式に従うと仮定する。
【0110】
【数39】dh(t)=(b(t)−a(t))dt
+σdz(t),t≧0; j=0,1,・・・
・,n 但し、数39において、r(t)=h(t)、aとσ
は正の定数、b(t)は時刻tの確定的な関数であ
る。
【0111】また、z(t)間の相関は一定で下記の
数40で与えられるとする。
【0112】
【数40】dz(t)dz(t)=ρijdt,i,
j=0,1,・・・,n 但し、ρii=1 ここで、数39は線形なので、h(t)の解は下記の数
41で与えられる。
【0113】
【数41】 (t)(j=0,1,・・・,n)の解は、ガウス
−マルコフ過程であり、下記の数42で示す平均m
(t)及び下記の数43で示す分散s (t)をもつ
正規分布に従う。
【0114】
【数42】
【0115】
【数43】 (t)と h(t)間の共分散は下記の数44で与え
られる。
【0116】
【数44】 リスク・ホライゾンにおけるポートフォリオの信用リス
クを評価するためには、企業のデフォルト時点τの同
時分布を知る必要がある。累積ハザード率を下記の数4
5で表すと、数41から下記の数46を得る。
【0117】
【数45】
【0118】
【数46】 ここで、H(t,T)は、下記の数47で示す平均M
(t,T)及び下記の数48で示す分散S (t,
T)をもつ正規分布に従う。
【0119】
【数47】
【0120】
【数48】 (t,T)とH(t,T)との共分散は下記の数4
9で与えられる。
【0121】
【数49】 数49において、Sjj(t,T)=S (t,T)で
ある。数25から、デフォルト時刻τの同時生存関数
は下記の数50で与えられる。
【0122】
【数50】 [正規分布型モデルにおけるデフォルトリスクのある割
引債の価格評価]ここでは、デフォルトリスクのある割
引債の価格をJarrow-Turnbullフレームワーク(1995)
の下で求める。β(t)をj番目のリスクz(t)に
連動するリスクの市場価格とすると、数6に示されるよ
うに、下記の数51で示すリスクz^(t)は、リスク
中立確率P^の下での標準ブラウン運動である。
【0123】
【数51】 この正規分布型モデルにおいて、リスクの市場価格β
(t),t≧0、が時刻tの確定的な関数であり、数7
で与えられると仮定する。そうすると、リスク中立確率
P^の下でのh(t)の確率微分方程式は下記の数52
で与えられる。
【0124】
【数52】dh(t)=(φ(t)−a(t))
dt+σdz^(t),0≦t≦T;j=1,
2,・・・,n なお、数52において、T=maxi,j であ
る。
【0125】v(t,T)を満期がTである企業jか
ら発行されたデフォルトリスクのある割引債のt時点に
おける価格とすると、Kijima, M(1999)”A Gaussian te
rm structure model of credit risk spreads and valu
ation of yield-spread options”, Working Paper, To
kyo Metropolitan Universityから、v(t,T)は下
記の数53で表すことができる。
【0126】
【数53】 数53において、j=1,2,・・・,n,であり、B
(t,T)は数46により与えられ、A(t,T)は
下記の数54で与えられる。
【0127】
【数54】 このモデルの重要な特性は、モデルが市場で観測される
デフォルトリスクある金利の現行期間構造と整合するよ
うに関数φ(t)を決定できることである。数33にお
けるリスクプレミア調整率ξ(t)は以下に述べるよう
にリスクの市場価格β(t)と関連する。数50から、
下記の数55が与えられる。
【0128】
【数55】 数7、数33、数47及び数53から、下記の数56が
導かれる。
【0129】
【数56】 ここで、相関ρ0jはS0j(0,t)とβ(t)とに現
れる。Kijima, M(1999)”A Gaussian term structure m
odel of credit risk spreadsand valuation of yield-
spread options”, Working Paper, Tokyo Metropolita
n Universityから、企業jによって発行されたデフォル
トリスクのある割引債のスポットレートr(t)は、下
記の数57によって与えられる。
【0130】
【数57】r(t)=r(t)+(1−δ)h
(t),t≧0;j=1,2,・・・,n この設定において、回収率δは一定であるので、標準
偏差σ、相関係数ρ ij及び係数aを、スポットレ
ート過程r(t)及びr(t)の時間的変動を観測するこ
とによって決定することができる。
【0131】[ポートフォリオの将来の価格分布]ここ
では、この正規分布型モデルにおける、ポートフォリオ
の将来の価格分布の求め方について述べる。まず、現在
時刻を0とし、リスクホライゾンをT>0と仮定する。
数15に示されるように、満期がT である、企業j
によって発行されたi番目のデフォルトリスクのある割
引債のリスクホライズンTにおける将来価格は下記の数
58によって与えられる。
【0132】
【数58】 将来の価格v(T,T )は、観測確率Pの下での
r(T)、h(T)及びH(0,T)の実現値に基く
確率変数である。正規分布型モデルにおいて、これらの
(2n+1)個の確率変数は同時正規分布に従う。
【0133】ここで、数37における将来のポートフォ
リオ価格π(T)の分布を考察する。この分布を数値的
に評価する一つの方法は、モンテカルロシミュレーショ
ンを適用することである。このために、同時正規分布に
従う乱数r(T)、h(T)及びH(0,T)、j=
1,2,・・・,n,を発生させ、そこから将来のポー
トフォリオ価格π(T)が計算される。一般的なモデル
に対して、正規分布型モデルはh(t),j=0,
1,・・・,n,0<t<Tのサンプルパスを発生させ
る必要がない。確率変数の平均と共分散とは、数42〜
数44及び数47〜数49及び下記の数59を用いて得
ることができる。但し、下記の数59は、h(t)と
(0,t)との共分散である。
【0134】
【数59】 数59において、ρii=1である。
【0135】下記の正規分布型モデルによるシミュレー
ションアルゴリズムを一般的なモデルの項で述べたアル
ゴリズムと比較すれば、計算時間が大幅に短縮できるの
は明らかである。 (1)数42及び数47で求めた平均と、数43〜数4
4・数48〜数49及び数59で求めた分散共分散行列
をもつ(2n+1)変量正規分布に従って、乱数r
(T)、h(T)及びH(0,T)、j=1,2,・
・・,n,を発生させる。 (2)数16から求めた生存確率に従って、事象{τ
>t}を独立に決定する。 (3)数58及び数37を用いて将来の価格を計算す
る。 (4)この処理を十分なシナリオ数が得られるまで繰り
返す。
【0136】
【実施例】既に説明した正規分布型モデルの有用性を示
すため、2つの数値例を挙げる。最初の例では、Mood
y’s Investors Service(ムーディーズ・インベスター
ズ・サービス、米国の有名な格付け機関、以下、ムーデ
ィーズ社と書く。特にムーディーズ社にこだわるわけで
はなく、例として挙げただけで、他の格付け、社内の格
付けを使ってもかまわない。)のAaaからBまでの6段階
(Aaa, Aa, A, Baa, Ba, B)の格付けから各々1社ず
つ、合計6社(n=6)を選び、その各社が発行した5
年満期(T =5)、回収率δ=0.4(40%)の割
引債1銘柄ずつ(N=1)からなるポートフォリオ
(つまり、割引債6銘柄)を扱う。次の例では、同じく
ムーディーズ社の6段階の格付けから各々10社ずつ、合
計60社(n=60)を選び、その各社が発行した5年
満期(T =5)、回収率δ=0.4(40%)の割引
債1銘柄ずつ(N=1)からなるポートフォリオ(つ
まり、割引債60銘柄)を扱う。最初の例では、単純な
ポートフォリオを使い、信用リスクの特性を示す。次の
例では、実際により近いポートフォリオに正規分布型モ
デルを適用した場合の例について示す。なお、以下の例
では、リスク・ホライズンはT=1年とする。
【0137】数1のデフォルト・フリー・スポットレー
トのパラメータは、a=0.018、b=0.05
4aとし、数1の初期時点(t=0)の値はr(0)=
(0,0)とする。初期時点(t=0)のフォワー
ドレートf(0,t)は、JPMorgan銀行のホームペー
ジのデータから求めた(後掲の表2参照)。市場リス
ク、ここでは金利リスクのこと、の影響を明らかにする
ために、ボラティリティσは次の3つのケースを想定
する。
【0138】ケース(a):σ=0(信用リスクのみ評
価するケース) ケース(b):σ=0.005 ケース(c):σ=0.01 なお、σは、金利リスクの大きさをコントロールする
パラメータである。金利リスクは、将来の金利が確定的
でないことによるリスクであり、数1では右辺第二項で
表現されている。最も実際のデータに近いと思われるの
はケース(c)である。
【0139】ハザード過程h(t)に関しては、平均
ハザード率m(t)=E[h(t)]を下記の数60と
してモデル化する。
【0140】
【数60】 数60の関数は、一般化ワイブル分布(または、3パラ
メータ・ワイブル分布)のハザード関数であり、γ
形状パラメータ、λは尺度パラメータ、ηは位置パ
ラメータである。ワイブル分布は生存解析の分野でよく
研究されている分布関数の一つであり、その特徴は、ハ
ザード率の期間構造のさまざまな形状を表現できること
である。γ>1のときはIHR(tとともにハザード率
が増加していく)、γ<1のときはDHR(tとともに
ハザード率が減少していく)、γ =1のときはCHR(c
onstant hazard rate、tによらずハザード率は一定)
となり、これらを使えば実証分析の結果をモデルに取り
込むことができる。この一般化ワイブル分布のパラメー
タ推定に関する統計的な問題はよく研究されている。こ
れに関しては、例えば、Hoyland and Rausand (1994)を
参照されたい。このとき、aが既知ならば、数5よ
り、平均回帰水準b(t)は下記の数61から得られ
る。
【0141】
【数61】 パラメータσとρijの推定法は発明の実施の形態の
正規分布型モデルの項で述べている。
【0142】ハザード過程のパラメータとしては、a
=0(ランダムウォーク・モデル)と仮定し、各企業の
パラメータγ、λ、ηはその格付けに応じて決ま
る、と仮定する。すると、標準的な方法を使うことによ
って、数60のm(t)のパラメータは、デフォルト
・データから推定される。不必要な統計処理を避けるた
め、パラメータの推定にはムーディーズ社(1997)のデフ
ォルト・データを利用した。その結果は下記の表1に示
すが、このうちボラティリティσ(j≠0)は、a
=0として分析したときの誤差項から推定した。表1に
よると、B格だけは形状パラメータがγ<1であり、
これはFons (1994)の分析とも整合的である。観測確率
Pの下での平均回帰水準b(t)は、数61より得られ
る。
【0143】
【表1】 リスク中立確率P^の下でのハザード過程の平均回帰水
準φ(t)を得るには、市場で観測される初期時点の
フォワードレートカーブ(フォワードレートの期間構
造)f(0,t)が必要である。このために、1998年
8月のJPMorgan銀行のホームページのデータを利用し
て、通常の最小二乗法を用いて、次の二次関数である数
62のパラメータc 、c 、c を求めた。
【0144】
【数62】f(0,t)=c +c t+c
,t≧0 推定値を下記の表2に示し、格付け別ゼロ・イールド・
カーブを図4に示す。
【0145】
【表2】 平均回帰水準φ(t)は、初期時点の金利期間構造と
矛盾しないように決められる。ハザード率の初期値h
(0)は、数57、すなわち、r(t)=r(t)+(1
−δ)h(t),t≧0; j=1,2,・・・,
n から決まるが、デフォルトリスクのある割引債の初
期時点(t=0)のスポットレートはr (0)=f
(0、0)なので、下記の数63から求められる。
【0146】
【数63】 ここの数値例では、6段階の格付け(のハザード率)や
デフォルト・フリー金利の期間構造の相関には、一貫し
て下記の相関行列、数64を使用する。
【0147】
【数64】 数64において、1行目はデフォルトフリー金利、2行
目以降は、2行目がAaaのハザード率、3行目がAaのハ
ザード率、...、7行目がBのハザード率を示してお
り、列側も同様である。例えば、2行3列の0.7は、
Aaa格とAa格のハザード率の相関係数を示す。ここでは
ρ0j=0、つまり、デフォルト・フリー金利とハザー
ド率は独立と仮定する。この仮定は、ハザード率と金利
との相関を考えない(独立とする)ことにより、市場リ
スクの影響だけに焦点を当てて観察するために設定し
た。相関行列は正定値(positive definite、正方行列
(行と列の数が等しい行列)の一種で、ゼロでない任意
のベクトルに関する二次形式が必ず正になるものを指
す)でなければならないが、それ以外はこの相関行列は
任意に選択できる。ここまでで、将来のポートフォリオ
価値π(T)をシミュレートする準備ができた。以下の
シミュレーション実験では、シミュレーションで発生さ
せるサンプル(=シナリオ)の数は50,000とする。図5
に、リスク・ホライズンにおける6資産(n=6)のとき
の将来価値の分布を、ケース(a)から(c)について示す。
σ=0のケース(a)では、分布は2つの孤立した鋭い
峰となっている。大きな峰は、デフォルトが発生しなか
ったサンプルにおける分布で、小さな峰は、幾つかのデ
フォルトが発生したサンプルにおける分布である。ただ
し、デフォルトの発生は条件付き独立としたので、リス
ク・ホライズン以前に2つ以上の資産がデフォルトする
確率は非常に小さい(実際、シミュレーションでもわず
か30サンプル足らずしかなかった)ため、図5でそれら
の峰を確認するのは小さすぎて難しい。もし、シミュレ
ーションで2件のデフォルトが発生するサンプルが多け
れば、分布には3つの孤立した峰が見られたはずであ
る。
【0148】図5で、将来価値が(少し)分散している
(広がっている)のは、全てのケースでσ≠0として
いるために生じるクレジット・スプレッドの変動(ハザ
ード率の確率的な変動)の影響である。この分布は、ポ
ートフォリオの信用リスク評価モデルとして有名なCred
itMetricsTMのテクニカル・ドキュメント(1997)に出て
くるヒストグラムに非常に似ている。これは、CreditMe
tricsTMは金利リスクを考慮していないからである。σ
=0.005のケース(b)では、金利リスクのため、
2つの峰は幅が広がり、裾の部分は重なり合っている。
σ=0.01のケース(c)では、変動幅はより大きく
なり、小さな峰は大きな峰の裾に飲み込まれている。な
お、市場リスク(金利リスク)は、割引債の満期は5年
でリスク・ホライズンが1年であることから生じる。1
年後のリスク・ホライズンでは、デフォルトリスクのあ
る割引債は4年満期となるが、それらのデュレーション
のために市場リスクが発生する。もともと、債券価格の
金利リスクに対する感応度の大きさを表す指標がデュレ
ーションであり、これがゼロでないということは、金利
が変動すれば価格が変動する、つまり、金利リスクを抱
えていることになる。1年後のリスクホライズンにおい
て、割引債はまだ満期前なので、デュレーションは決し
てゼロにはならない。統合リスク(信用リスク+市場リ
スク)から市場リスクを分けて示すため、全くデフォル
トが発生しないという条件の下で、ポートフォリオの将
来価値の分布を計算する。図6に、そのような条件下に
おけるケース(a)から(c)の分布を示す。ケース(b)と(c)
の分布は、対数正規分布に似ているが、これは市場リス
クが信用リスクを圧倒しているからである。ここで注意
しておくが、デフォルトしないとした場合でも、σ
0なのでハザード率の確率的な変動、すなわちクレジッ
ト・スプレッドの変動は考慮されるので、その分の信用
リスクは評価されている。その影響がケース(a)に見ら
れるが、ケース(b)や(c)では市場(金利)リスクの影響
の方が圧倒的に大きい。
【0149】求められた分布をもとにすれば、ポートフ
ォリオのVaRは容易に計算できる。以下の表3にその結
果をまとめる。
【0150】
【表3】 表3において、VaR1は、初期の価格から100(1−
α)-パーセント点を引いた値で、VaR2は、将来の平均
価格から100(1−α)-パーセント点を引いた値であ
る。金利リスクσが大きくなるほど、すべてのリスク
指標は大きくなることが期待されるが、95%-VaRではそ
うなっておらず、この結果は直観に反する。しかし、分
布の形状を注意深く見てみると、次のような理由が見え
てくる。ケース(a)と(b)では、5パーセント点は小さな
峰の右側に位置している。金利リスクが大きくなるにつ
れて、その峰は平均をほぼ変えずに平坦化し、それが95
%-VaRを右に押しやるのである。このケースが暗示する
ように、信用リスクをたった一つのVaRの値(特にこの
場合は95%-VaR)で評価すると、実際の金融リスクの大
きさを見誤ることになるかもしれない。
【0151】図7に、(a)から(c)の3つのケースについ
て、ポートフォリオおよび個々の割引債の将来価値の標
準偏差(SD)を示す。金利リスクが大きくなるほど、
各資産の将来価値の標準偏差は高くなる。しかし、Aaa
格付けの標準偏差の増加量はB格の増加量に比べて非常
に大きい。ポートフォリオの標準偏差は、ケース(c)で
はケース(a)に比べて2倍以上になっているが、B格の
標準偏差はわずか5%しか増加していない。このような
結果から、高格付け資産の主要なリスクファクター(リ
スクの要因)は市場リスクであり、低格付け資産の主要
リスクファクターは信用リスクであることがわかる。
【0152】次に、60の異なる企業が発行した60銘柄の
割引債からなるポートフォリオの場合について考える。
この60の企業は、6段階の格付けのそれぞれから10企業
ずつ選ばれており、すべての割引債の回収率と満期は前
の例と同じであるとする。各企業のパラメータはその企
業の格付けにのみ依存するので、あとは同じ格付けに属
する企業の債券(金利)の期間構造の相関を特定すれ
ば、ポートフォリオの将来価値をシミュレートすること
ができる。この相関は任意に設定できるが、ここでは0.
8であるとする。そのときのポートフォリオのVaRの計算
結果を、下記の表4に示す。6資産の場合とは異なり、
金利リスクσが大きくなるほど、すべてのリスク指標
は大きくなる。このような結果になるのは、ポートフォ
リオ効果(分散投資効果)が大きいため、つまり、中心
極限定理が使えるような状況になったためかもしれな
い。しかし、次に示す計算結果からわかるように、この
説明は厳密には正しくない。
【0153】
【表4】 最後に、ポートフォリオの分布の非正規性(正規分布で
ないこと)がどのようにVaRに影響するかを理解するた
めに、シミュレーションで得られたVaRを正規分布で近
似して得られるVaRと比較する。さらに、各々のポート
フォリオの分布は強い歪度(skewness)と尖度(kurtos
is)を持っているので、4次のモーメントまで用いたコ
ーニッシュ・フィッシャー展開を用いた近似による結果
とも比較する。(ここで、歪度と尖度は、正規分布から
のズレを表すのによく使われる指標であり、正規分布で
は歪度はゼロ、尖度は3になる。また、歪度は分布の3
次のモーメント、尖度は4次のモーメントと関連する。
コーニッシュ・フィッシャー展開は、任意の分布のパー
セント点を、その分布のモーメントと標準正規分布のパ
ーセント点(既知)を使って近似する方法で、適当な次
数のモーメントまで使うことができる。ここでは4次ま
でを用いた。コーニッシュ・フィッシャー展開の具体的
な方法については、実施例の記載中末尾に[コーニッシ
ュ・フィッシャー展開について]の項を設けて説明して
ある。)表5にこれらの結果をまとめる。
【0154】
【表5】 VaRを正確に近似するにはコーニッシュ・フィッシャー
展開でさえもまだ不十分であるが、これは驚くべきこと
ではない。数値実験の結果、デフォルトが主要なリスク
でない場合(例えば、ポートフォリオが低格付けの債券
をほとんど含んでいない場合)には、ポートフォリオの
サイズが大きくなるにつれて、次第に正規性が現れてく
る(正規分布に近付いてくる)ことがわかる。そのよう
な場合には、VaRは良いリスク指標になり、また正規分
布近似やコーニッシュ・フィッシャー展開による近似
は、もし必要ならば、ポートフォリオのVaRを求めるた
めに使うことができる。 [コーニッシュ・フィッシャー展開について]コーニッ
シュ・フィッシャー展開を説明するために、確率変数Y
を下記数65に従って定義する。
【0155】
【数65】 また、π(t)とYの分布関数を、それぞれGπ,n (x)
とGY,n (x)で示すと、0<α<1の任意のαに対して、
下記の数66となる。
【0156】
【数66】 ただし、G−1 π,n (α)とG−1 Y,n (α)は、それぞ
れπ(t)とYnの100α-パーセント点である。ここで、ポ
ートフォリオに含まれている資産数nが十分に大きいな
らば、下記の数67となる
【0157】
【数67】 ただし、Zαは標準正規分布の100α-パーセント点で、
0(x)はxより高位の無限小であることを示す。
【0158】もしも数67の右辺第一項が他の項よりも
十分に大きい場合には、下記の数68と近似できる。
【0159】
【数68】 と近似できる。これは、中心極限定理が適用できること
を意味する。数67の展開式は、π(t)が独立で同一な
分布に従う確率変数Xi, i=1,2,…,nの和で近似できると
きに有効である。ただし、この分布関数の期待値と標準
偏差は、数65のμとσで与えられるものとする。 さ
らに、数67のパラメータγ3とγ4は確率変数X1の歪度
と尖度超過係数であり、それぞれ下記の数69で与えら
れる。
【0160】
【数69】 これらのパラメータは、π(t)の3次または4次のモー
メントから計算することができる。もしも数67の展開
式でさらに多くの項が必要ならば、それらはπ(t)のよ
り高次のモーメントから求めることができる。
【0161】h(t)とH(0,t)は同時正規分布
に従う確率変数なので、将来のポートフォリオの価値π
(t)の任意のモーメントを計算することができる。例え
ば、数9より、下記の数70が与えられる。
【0162】
【数70】 また、数58より、下記の数71が導かれる。
【0163】
【数71】 数71の期待値の部分は、全確率の公式より、下記の数
72となる。
【0164】
【数72】 B0(t,T)h0(t)+ Bj(t,T)hj(t)+Hj(0,t)は、平均が下記の
数73、分散が下記の数74の正規分布に従うので、数
71の平均E[vj(t,T)]はこれらより得られる。その他の
モーメントも同様にして得られる。
【0165】
【数73】
【0166】
【数74】
【発明の効果】本発明により、デフォルト・フリー金利
過程とデフォルト過程を用いて、ポートフォリオの金利
リスクと信用リスクを評価するための新しいシミュレー
ションモデルが提供される。なお、発明の実施の形態や
実施例の項では、ポートフォリオを構成する資産として
割引債を取り上げて記載したが、本発明による金利リス
クと信用リスクの統合評価システム及び統合評価方法
は、ポートフォリオを構成する国債・社債などを含む種
々の金融商品に適用することが可能であり、その具体的
なシステムは発明の課題を解決する手段の項で明らかに
した通りである。
【0167】以下に本発明による具体的な効果を列記す
る。 (1)全ての資産を一つの尺度、すなわち、無裁定価格
評価モデルで評価する。評価の対象となる企業の資本の
構成については何らの仮定を必要としない。デフォルト
・フリー金利過程としては、金融工学の文献で提案され
たリスク性資産の無裁定価格を導出するためのどのよう
な金利モデルをも用いることができる。 (2)ポートフォリオ効果、すなわち資産価格間の相関
関係(特にデフォルト確率の相関と、デフォルト確率と
金利の相関)の及ぼす効果を考慮できる。具体的には、
デフォルトに関しては、ハザード過程、すなわち、その
時点まではデフォルトしていないという条件の下で次の
瞬間にデフォルトするという条件付き密度の確率過程に
よって定式化される。ハザード過程は多次元拡散過程に
従うと仮定し、それによって、デフォルトによる相関効
果を取込める(多次元拡散過程:本願発明において提唱
するモデルはブラウン運動を使って記述されるが、その
ブラウン運動は、物理でいう拡散現象を表現するために
使われるモデルでもあるのでこのように呼ばれる。な
お、ブラウン運動で記述される確率変数は正規分布に従
うので、これは多次元(または多変量)正規分布と関連
する。相関は、多次元正規分布の相関係数によって扱
う)。その結果、デフォルトの同時分布は、条件付き独
立という仮定の下に構成される。ここで、条件付き独立
とは、デフォルトが発生するかしないかは、企業ごとに
独立して決まる、という仮定である。例えば、A、Bと
いう2社があるとき、A社のデフォルト率とB社のデフ
ォルト率には相関関係があるとしても、実際にA社がデ
フォルトするかどうかは、B社がデフォルトするかどう
かとは無関係である、ということである。 (3)観測される市場価格と整合的である。すべての資
産の将来価格のみならず現在価格もリスク中立評価法の
下で評価され、それに応じて、将来のポートフォリオの
価値の分布も求められる。これを行うためには、計算さ
れた現在の価値をデフォルトリスクのある割引債の観測
される市場価格と一致させるために、リスクプレミア調
整率が導入される。 (4)金利とデフォルト率(ハザード率)を独立でなく
ても取り扱える。従来公刊されていた、割引債などの商
品の価格式を閉じた形で与えるどのような文献もすべて
金利とデフォルト率(ハザード率)は独立としており、
独立でなければ閉じた解は求められないと思われてい
た。実際にも金利とデフォルト率は何らかの相関を持つ
ものと考えることができる。例えば、簡単な例として、
景気が良いと金利が高く、デフォルト率は低い、景気が
悪いと金利が低く、デフォルト率は高い。これはいわゆ
る逆相関である。これをシミュレーションモデルに反映
させることは、特にポートフォリオのリスク評価におい
ては非常に重要である。なぜならば、ポートフォリオの
リスク評価では、分散投資効果(資産価格の変動間の相
関関係)によってどの程度リスクが低減されるかが決ま
るからである。 (5)正規分布型モデルでは、特にハザード率に平均回
帰性を持たせることによってより実用的なモデルを提供
している。平均回帰性とは、値がどんどん広がって拡散
していかないで、ある平均的なレベル(平均回帰水準)
の周辺に留まることをいう。具体的には、数39におい
て、a>0が平均回帰性のある場合である。平均回帰
性をもたないと、時間がたつほどに金利やハザード率が
負になる確率がどんどん大きくなっていってしまう。実
際には、金利やハザード率が負になることはないから、
平均回帰性を持たせることによって、金利やハザード率
が負になる確率を低いままに抑えることができる。 (6)個別資産の収益率分布の非対称性、非正規性を適
切に表現できる。 (7)将来価格や収益率などの分布が具体的に得られ
る。 (8)計算負荷がそれほど重くならない。特に、正規分
布型モデルでは、大幅に計算負荷が削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるポートフォリオのリスク評価モデ
ルの概要を示すブロック図である。
【図2】本発明によるポートフォリオのリスク評価モデ
ルを実施するためのハードウェア構成を示したブロック
図である。
【図3】デフォルトリスクのある割引債のリスクホライ
ズンTにおける価格の分布を示したグラフである。
【図4】実施例による、各付け別ゼロ・イールドカーブ
を示すグラフである。
【図5】実施例による、リスク・ホライズンにおける6
資産のときのポートフォリオの将来価値の分布を示す図
である。
【図6】実施例による、デフォルトが発生しないという
条件の下で計算した、リスク・ホライズンにおける6資
産のポートフォリオの将来価値の分布を示す図である。
【図7】実施例による、ポートフォリオ及び個々の割引
債の将来価値の標準偏差を示す図である。
【符号の説明】
1 信用リスク評価装置 11 CPU 12 ROM 13 RAM 14 インターフェイス回路 15 入力装置 16 出力装置 21 演算プログラムファイル 22 資産データファイル 23 市場データファイル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G06F 17/13 G06F 17/13 19/00 110 19/00 110

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 データ又は命令を入力するための入力手
    段と、 入力されたデータ又は命令に基く演算結果を出力する出
    力手段と、 評価しようとするポートフォリオを構成する各資産のク
    ーポンレート・満期日及び利払日を含む属性に関するデ
    ータと市場価格のデータと資産の格付けのデータとを含
    む資産の詳細データを記憶する資産データ記憶手段と、 市場金利・国債及び社債を含む金融商品の市場価格・過
    去のデフォルト発生率及び回収率・企業及び/又は金融
    商品の格付けを含む信用リスクの評価に用いる市場デー
    タを記憶する市場データ記憶手段と、 デフォルトフリー金利の将来の変動を記述する方程式で
    表現されたデフォルト・フリー金利過程モデルに基いて
    現在からリスク・ホライズンまでの金利変動の時間的変
    化を描いたシナリオと、デフォルトの発生率の将来の変
    動を記述する方程式で表現されたデフォルト過程モデル
    に基いて現在からリスク・ホライズンまでのデフォルト
    発生状況の時間的変化を描いたシナリオとを、入力ある
    いは記憶されたデータに基いて多数発生させる将来の状
    況シナリオ発生手段と、 将来の状況シナリオ発生手段により発生させた個々のシ
    ナリオに対して、入力あるいは記憶された資産データ及
    び市場データに基いて、リスク・ホライズンにおけるポ
    ートフォリオの価格及び個別資産の価格を算出する、リ
    スク・ホライズンの資産価格算出手段と、 リスク・ホライズンの資産価格算出手段によりシナリオ
    ごとに算出されたリスク・ホライズンにおけるポートフ
    ォリオの価格及び個別の資産価格に基いて、ポートフォ
    リオの将来の価格分布及び/又は個別資産の将来の価格
    分布を求める将来の価格分布算出手段と、を備え、将来
    の価格分布算出手段により算出された将来のポートフォ
    リオの価格分布及び/又は個別資産の将来の価格分布に
    基いて、金利リスクと信用リスクとを統合して評価する
    ことを特徴とする、金利リスクと信用リスクの統合評価
    システム。
  2. 【請求項2】 デフォルトフリー金利の将来の変動を記
    述する方程式で表現されたデフォルト・フリー金利過程
    モデルに基いて現在からリスク・ホライズンまでの金利
    変動の時間的変化を描いたシナリオと、デフォルトの発
    生率の将来の変動を記述する方程式で表現されたデフォ
    ルト過程モデルに基いて現在からリスク・ホライズンま
    でのデフォルト発生状況の時間的変化を描いたシナリオ
    とを、入力あるいは記憶されたデータに基いて多数発生
    させる第1のステップと、 第1のステップにより発生させた個々のシナリオに対し
    て、入力あるいは記憶された資産データ及び市場データ
    に基いて、リスク・ホライズンにおけるポートフォリオ
    の価格及び個別資産の価格を算出する第2のステップ
    と、 第2のステップによりシナリオごとに算出されたリスク
    ・ホライズンにおけるポートフォリオの価格及び個別の
    資産価格に基いて、ポートフォリオの将来の価格分布及
    び/又は個別資産の将来の価格分布を求める第3のステ
    ップと、 第3のステップにより算出された将来のポートフォリオ
    の価格分布及び/又は個別資産の将来の価格分布に基い
    て、金利リスクと信用リスクとを統合して評価し、評価
    結果を出力する第4のステップとを実行する、金利リス
    クと信用リスクの統合評価方法。
  3. 【請求項3】 前記将来の価格分布算出手段又は前記第
    3のステップに基いて算出された将来のポートフォリオ
    の価格分布及び/又は個別資産の将来の価格分布に基い
    て、リスク・ホライズンにおける将来の価格及び/又は
    将来の収益率の標準偏差・VaR・CVaR・下方部分
    積率を含むリスク指標を算出するリスク指標算出手段ま
    たは第5のステップを備えまたは実行する、請求項1に
    記載の金利リスクと信用リスクの統合評価システムまた
    は請求項2に記載の金利リスクと信用リスクの統合評価
    方法。
  4. 【請求項4】 前記将来の価格分布算出手段又は前記第
    3のステップに基いて算出された将来のポートフォリオ
    の価格分布及び/又は個別資産の将来の価格分布に基い
    て、リスク・ホライズンにおける期待収益率を含むリタ
    ーン指標を算出するリターン指標算出手段または第6の
    ステップを備えまたは実行する、請求項1に記載の金利
    リスクと信用リスクの統合評価システムまたは請求項2
    に記載の金利リスクと信用リスクの統合評価方法。
  5. 【請求項5】 前記将来の状況シナリオ発生手段または
    前記第1のステップは、 デフォルトフリー金利過程r(t)を記述する確率微分方
    程式 dr(t)=μ0(r(t),t)dt+σ0(r(t),t)dz
    0(t),t≧0 μ0:r(t)のドリフト σ0:r(t)の ボラティリティ 但し、z0(t):観測確率の下での標準ブラウン運動 に基いて、観測確率の下で現在からリスク・ホライズン
    T(T>0)までのサンプルパスを発生させ、r(T)を求
    める第1の処理手段またはステップAと、 デフォルト過程h(t)=(h(t),h(t),・・
    ・,h(t))を記述する確率微分方程式 dh(t)=μ(h(t),t)dt+σ(h(t),t)
    dz(t),t≧0,j=1,・・・,n μ:h(t)のドリフト σ:h(t)の ボラティリティ 但し、z0(t)、z(t)、z(t)、・・・z
    (t):観測確率の下での標準ブラウン運動 dz(t)dz(t)=ρjk(t)dt, j,k=0,1,・・・,n に基いて、観測確率の下で現在からリスク・ホライズン
    Tまでのサンプルパスを発生させ、h(T)を求める第2
    の処理手段またはステップBと、 時刻tにおいてデフォルトしていない企業jのデフォル
    ト時点をτとしたとき、サンプルパス毎に、リスク・
    ホライズンTにおける企業jの観測確率の下での生存確
    率P{τ>T}を に基いて求め、リスク・ホライズンTまでにデフォルト
    する確率 に応じて、リスク・ホライズンTにおける企業jのデフ
    ォルト/非デフォルト状態をサンプルパス毎に定める第
    3の処理手段またはステップCと、を備えまたは実行す
    る、請求項1に記載の金利リスクと信用リスクの統合評
    価システムまたは請求項2に記載の金利リスクと信用リ
    スクの統合評価方法。
  6. 【請求項6】 前記リスク・ホライズンの資産価格算出
    手段または前記第2のステップは、 企業j(j=0は国を含むデフォルトフリーな団体を指
    す)の発行したi番目の金融商品の満期をT 、その
    商品の時刻tまでの累積キャッシュフローをX
    (t)、ポートフォリオを構成する金融商品中で最も
    遠い満期をTmax、企業jの発行した金融商品の満期中
    で最も遠い満期をTmax、jとしたとき、 前記第1の処理手段または前記ステップAにより発生さ
    せたr(T)と、前記第2の処理手段または前記ステップ
    Bにより発生させたh(T)をそれぞれ初期値として、 と dh(t)=μ(h(t),t)dt+σ(h(t),t)
    dz(t),t≧0, j=1,・・・,n μ:h(t)のドリフト σ:h(t)の ボラティリティ 但し、z(t)、z(t)、z(t)、・・・z
    (t):観測確率の下での標準ブラウン運動 dz(t)dz(t)=ρjk(t)dt, j,k=0,1,・・・,n と h^(t)=h(t)+ξ(t) 但し、ξ(t)は時刻tの確定的な関数 とに基いて、リスク中立確率の下でサンプルパスを、r
    (t)は満期Tmaxまで、h^(t)はTmax、jまで発生
    させる第4の処理手段またはステップEと、 金融商品がデフォルトフリーである場合には、X
    (t)を、r(s)(T≦s≦t)と、満期日及び利払日
    及びクーポンレートを含む商品属性とを用いて表現する
    ことにより、リスク・ホライズンTにおけるその金融商
    品の価格p0(T、T )を、リスク中立評価法 に基いて求める第5の処理手段またはステップFと、 前記第3の処理手段または前記ステップCにより、企業
    jがリスク・ホライズンTまでにデフォルトしていない
    とされた場合は、 サンプルパス毎に、時刻t(T<t≦T )までにデフ
    ォルトする確率 に応じて、企業jの時刻tにおけるデフォルト/非デフ
    ォルト状態を定め、 X (t)を、r(s)(T≦s≦t)と、h^(s)(T
    ≦s≦t)と、企業jの時刻s(T≦s≦t)におけるデ
    フォルト/非デフォルト状態と、満期日及び利払日及び
    クーポンレート及び回収率を含む商品属性と、を用いて
    表現することにより、リスク・ホライズンTにおける価
    格p j,nondef(T、T )を、リスク中立評
    価法 に基いて求める第6の処理手段またはステップGと、 前記第3の処理手段または前記ステップCにより、企業
    jがリスク・ホライズンTまでにデフォルトしていると
    された場合は、 リスク・ホライズンTにおける価格p
    j,def(T、T ,τ)を、デフォルト時刻τ
    と、満期日及び利払日及びクーポンレート及び回収率
    を含む商品属性とに基いて求める第7の処理手段または
    ステップHと、 リスク・ホライズンTにおけるポートフォリオの価格π
    (T)を に基いて求める第8の処理手段またはステップIとを備
    えまたは実行し、 前記第1乃至第7または前記第1乃至第8の処理手段に
    よる処理あるいは前記ステップA乃至ステップHまたは
    前記ステップA乃至ステップIを十分なシナリオ数が得
    られるまで繰り返し、得られたシナリオの結果を集計し
    て、個別資産のリスク・ホライズンTにおける将来の価
    格の分布や、ポートフォリオのリスク・ホライズンTに
    おける将来の価格π(T)の分布を求める、請求項5に記
    載の金利リスクと信用リスクの統合評価システムまたは
    金利リスクと信用リスクの統合評価方法。
  7. 【請求項7】 前記リスク・ホライズンの資産価格算出
    手段または前記第2のステップは、 企業j(j=0は国を含むデフォルトフリーな団体を指
    す)の発行したi番目の金融商品の満期をT 、その
    商品の時刻tまでの累積キャッシュフローをX
    (t)、ポートフォリオを構成する金融商品中で最も
    遠い満期をTmax、企業jの発行した金融商品の満期中
    で最も遠い満期をTmax、jとしたとき、 前記第1の処理手段または前記ステップAにより発生さ
    せたr(T)と、前記第2の処理手段または前記ステップ
    Bにより発生させたh(T)をそれぞれ初期値として、 と dh(t)=μ(h(t),t)dt+σ(h(t),t)
    dz(t),t≧0, j=1,・・・,n μ:h(t)のドリフト σ:h(t)の ボラティリティ 但し、z(t)、z(t)、z(t)、・・・,z
    (t):観測確率の下での標準ブラウン運動 dz(t)dz(t)=ρjk(t)dt, j,k=0,1,・・・,n と h (t)=h(t)+ξ(t) 但し、ξ(t)は時刻tの確定的な関数 とに基いて、サンプルパスを、リスク中立確率およびフ
    ォワード中立確率の下で、r(t)は満期Tmaxまで、h
    (t)はTmax、jまで発生させる第4の処理手段ま
    たはステップEと、 金融商品がデフォルトフリーである場合には、X
    (t)を、r(s)(T≦s≦t)と、満期日及び利払日
    及びクーポンレートを含む商品属性とを用いて表現する
    ことにより、リスク・ホライズンTにおけるその金融商
    品の価格p0(T、T )を、フォワード中立評価法 に基いて求める第5の処理手段またはステップFと、 特に、金融商品がデフォルトフリーの割引債である場合
    には、リスク・ホライズンTにおける価格v0(T、s)
    を、リスク中立評価法 に基いて求める第6の処理手段またはステップGと、 前記第3の処理手段または前記ステップCにより、企業
    jがリスク・ホライズンTまでにデフォルトしていない
    とされた場合は、 サンプルパス毎に、時刻t(T<t≦T )までにデフ
    ォルトする確率 に応じて、企業jの時刻tにおけるデフォルト/非デフ
    ォルト状態を定め、 X (t)を、r(s)(T≦s≦t)と、h (s)(T
    ≦s≦t)と、企業jの時刻s(T≦s≦t)におけるデ
    フォルト/非デフォルト状態と、満期日及び利払日及び
    クーポンレート及び回収率を含む商品属性と、を用いて
    表現することにより、リスク・ホライズンTにおける価
    格p j,nondef(T、T )を、フォワード中
    立評価法 に基いて求める第7の処理手段またはステップHと、 前記第3の処理手段または前記ステップCにより、企業
    jがリスク・ホライズンTまでにデフォルトしていると
    された場合は、 リスク・ホライズンTにおける価格p
    j,def(T、T ,τ)を、デフォルト時刻τ
    と、満期日及び利払日及びクーポンレート及び回収率
    を含む商品属性とに基いて求める第8の処理手段または
    ステップIと、 リスク・ホライズンTにおけるポートフォリオの価格π
    (T)を に基いて求める第9の処理手段またはステップJとを備
    えまたは実行し、 前記第1乃至第8または前記第1乃至第9の処理手段に
    よる処理あるいは前記ステップA乃至ステップIまたは
    前記ステップA乃至ステップJを十分なシナリオ数が得
    られるまで繰り返し、得られたシナリオの結果を集計し
    て、個別資産のリスク・ホライズンTにおける将来の価
    格の分布や、ポートフォリオのリスク・ホライズンTに
    おける将来の価格π(T)の分布を求める、請求項5に記
    載の金利リスクと信用リスクの統合評価システムまたは
    金利リスクと信用リスクの統合評価方法。
  8. 【請求項8】 前記リスク・ホライズンの資産価格算出
    手段または前記第2のステップは、 ポートフォリオを割引債で構成し、企業j(j=0は国
    を含むデフォルトフリーな団体を指す)の発行したi番
    目の割引債の満期をT 、ポートフォリオを構成する
    割引債中で最も遠い満期をTmax、企業jの発行した割
    引債の満期中で最も遠い満期をTmax、jとしたとき、 前記第1の処理手段または前記ステップAにより発生さ
    せたr(T)と、前記第2の処理手段または前記ステップ
    Bにより発生させたh(T)をそれぞれ初期値として、 と dh(t)=μ(h(t),t)dt+σ(h(t),t)
    dz(t),t≧0, j=1,・・・,n μ:h(t)のドリフト σ:h(t)の ボラティリティ 但し、z(t)、z(t)、z(t)、・・・z
    (t):観測確率の下での標準ブラウン運動 dz(t)dz(t)=ρjk(t)dt, j,k=0,1,・・・,n と h^(t)=h(t)+ξ(t) 但し、ξ(t)は時刻tの確定的な関数 とに基いて、リスク中立確率の下でサンプルパスを、r
    (t)は満期Tmaxまで、h^(t)はTmax、jまで発生
    させる第4の処理手段またはステップEと、 割引債がデフォルトフリーである場合には、リスク・ホ
    ライズンTにおける割引債の価格v0(T、T )を、
    リスク中立評価法 に基いて求める第5の処理手段またはステップFと、 前記第3の処理手段または前記ステップCにより、企業
    jがリスク・ホライズンTまでにデフォルトしていない
    とされた場合は、 リスク・ホライズンTにおける価格v
    j,nondef(T、T )を、リスク中立評価法に
    より、 に基いて求める第6の処理手段またはステップGと、 前記第3の処理手段または前記ステップCにより、企業
    jがリスク・ホライズンTまでにデフォルトしていると
    された場合は、リスク・ホライズンTにおける価格v
    j,def(T、T )を、 に基いて求める第8の処理手段またはステップIとを備
    えまたは実行し、 前記第1乃至第7または前記第1乃至第8の処理手段に
    よる処理あるいは前記ステップA乃至ステップHまたは
    前記ステップA乃至ステップIを十分なシナリオ数が得
    られるまで繰り返し、得られたシナリオの結果を集計し
    て、個別資産のリスク・ホライズンTにおける将来の価
    格の分布や、ポートフォリオのリスク・ホライズンTに
    おける将来の価格π(T)の分布を求める、請求項5に記
    載の金利リスクと信用リスクの統合評価システムまたは
    金利リスクと信用リスクの統合評価方法。
  9. 【請求項9】 前記リスク・ホライズンの資産価格算出
    手段または前記第2のステップは、 ポートフォリオを割引債で構成し、企業j(j=0は国
    を含むデフォルトフリーな団体を指す)の発行したi番
    目の割引債の満期をT 、ポートフォリオを構成する
    割引債中で最も遠い満期をTmax、企業jの発行した割
    引債の満期中で最も遠い満期をTmax、jとしたとき、 前記第1の処理手段または前記ステップAにより発生さ
    せたr(T)と、前記第2の処理手段または前記ステップ
    Bにより発生させたh(T)をそれぞれ初期値として、 と dh(t)=μ(h(t),t)dt+σ(h(t),t)
    dz(t),t≧0, j=1,・・・,n μ:h(t)のドリフト σ:h(t)の ボラティリティ 但し、z(t)、z(t)、z(t)、・・・z
    (t):観測確率の下での標準ブラウン運動 dz(t)dz(t)=ρjk(t)dt, j,k=0,1,・・・,n と h (t)=h(t)+ξ(t) 但し、ξ(t)は時刻tの確定的な関数 とに基いて、サンプルパスを、リスク中立確率の下でr
    (t)は満期Tmaxまで、満期sのデフォルトフリーな割
    引債をニューメレールとするフォワード中立確率の下で
    (t)はTmax、jまで発生させる第4の処理手段
    またはステップEと、 割引債がデフォルトフリーである場合には、リスク・ホ
    ライズンTにおける割引債の価格v0(T、T )を、
    リスク中立評価法 に基いて求める第5の処理手段またはステップFと、 前記第3の処理手段または前記ステップCにより、企業
    jがリスク・ホライズンTまでにデフォルトしていない
    とされた場合は、 リスク・ホライズンTにおける価格v
    j,nondef(T、T )を、フォワード中立評価
    法により、 に基いて求める第6の処理手段またはステップGと、 前記第3の処理手段または前記ステップCにより、企業
    jがリスク・ホライズンTまでにデフォルトしていると
    された場合は、 リスク・ホライズンTにおける価格v
    j,def(T、T )を、 に基いて求める第8の処理手段またはステップIとを備
    えまたは実行し、 前記第1乃至第7または前記第1乃至第8の処理手段に
    よる処理あるいは前記ステップA乃至ステップHまたは
    前記ステップA乃至ステップIを十分なシナリオ数が得
    られるまで繰り返し、得られたシナリオの結果を集計し
    て、個別資産のリスク・ホライズンTにおける将来の価
    格の分布や、ポートフォリオのリスク・ホライズンTに
    おける将来の価格π(T)の分布を求める、請求項5に記
    載の金利リスクと信用リスクの統合評価システムまたは
    金利リスクと信用リスクの統合評価方法。
  10. 【請求項10】 前記将来の状況シナリオ発生手段また
    は前記第1のステップは、 デフォルトフリー金利過程r(t)及びデフォルト過程h
    (t)を記述する確率微分方程式 dh(t)=(b(t)―a(t))dt+σdz
    (t) t≧0,j=0,1,・・・,n a、σ:非負の定数 b(t):時刻tの確定的な関数 但し、z(t):観測確率の下での標準ブラウン運動 dz(t)dz(t)=ρjk(t)dt, j,k=0,1,・・・,n に基いて定められる(2n+1)変量正規分布に従う乱数 0≦s≦T,j=1,2,・・・,nを発生させること
    によって将来の状況シナリオを得る、請求項1に記載の
    金利リスクと信用リスクの統合評価システムまたは請求
    項2に記載の金利リスクと信用リスクの統合評価方法。
  11. 【請求項11】 前記将来の状況シナリオ発生手段また
    は前記第1のステップは、 デフォルトフリー金利過程r(t)及びデフォルト過程h
    (t)を記述する確率微分方程式 dh(t)=(b(t)―a(t))dt+σdz
    (t),t≧0,j=0,1,・・・,n a、σ:非負の定数 b(t):時刻tの確定的な関数 但し、z(t):観測確率の下での標準ブラウン運動 dz(t)dz(t)=ρjkdt, j,k=0,1,・・・,n に基いて、 に基いて求めたH(t、T)の平均M(t、T)と、 に基いて求めたh(t)とH(0、t)の共分散Cij
    (t)と、の分散共分散行列をもつ(2n+1)変量正規分
    布に従って、乱数r(T)、h(T)及びH(0、T)、
    j=1,2,・・・,nを発生させることによって将来
    の状況シナリオを得る、請求項1に記載の金利リスクと
    信用リスクの統合評価システムまたは請求項2に記載の
    金利リスクと信用リスクの統合評価方法。
  12. 【請求項12】 前記リスク・ホライズンの資産価格算
    出手段または前記第2のステップは、 企業j(j=0は国を含むデフォルトフリーな団体を指
    す)の発行したi番目の金融商品の満期をT 、その
    商品の時刻tまでの累積キャッシュフローをX
    (t)、ポートフォリオを構成する金融商品中で最も
    遠い満期をTmax、企業jの発行した金融商品の満期中
    で最も遠い満期をTmax、jとしたとき、 請求項10または請求項11に記載の将来の状況シナリ
    オ発生手段または第1のステップにより発生させたr
    (T)とh(T)をそれぞれ初期値として、 dh^(t)=(φ(t)―a^(t))dt+σ
    dz^(t),t≧T,j=0,1,・・・,n a、σ:非負の定数 φ(t):時刻tの確定的な関数 但し、z^(t):リスク中立確率の下での標準ブラウ
    ン運動 h^(t)=r(t) dz^(t)dz^(t)=ρjk(t)dt, j,k=0,1,・・・,n とに基いて、リスク中立確率の下でサンプルパスを、r
    (t)は満期Tmaxまで、h^(t)はTmax、jまで発生
    させる第1の処理手段またはステップAと、 金融商品がデフォルトフリーである場合には、X
    (t)を、r(s)(T≦s≦t)と、満期日及び利払日
    及びクーポンレートを含む商品属性とを用いて表現する
    ことにより、リスク・ホライズンTにおけるその金融商
    品の価格p0(T、T )を、リスク中立評価法 に基いて求める第2の処理手段またはステップBと、 企業jがリスク・ホライズンTまでにデフォルトしてい
    ないサンプルパスの場合は、時刻t(T<t≦T )ま
    でにデフォルトする確率 に応じて、企業jの時刻tにおけるデフォルト/非デフ
    ォルト状態を定め、 X (t)を、r(s)(T≦s≦t)と、h^(s)(T
    ≦s≦t)と、企業jの時刻s(T≦s≦t)におけるデ
    フォルト/非デフォルト状態と、満期日及び利払日及び
    クーポンレート及び回収率を含む商品属性と、を用いて
    表現することにより、リスク・ホライズンTにおける価
    格p j,nondef(T、T )を、リスク中立評
    価法 に基いて求める第3の処理手段またはステップCと、 企業jがリスク・ホライズンTまでにデフォルトしてい
    るサンプルパスの場合は、リスク・ホライズンTにおけ
    る価格p j,def(T、T ,τ)を、デフォル
    ト時刻τと、満期日及び利払日及びクーポンレート及
    び回収率を含む商品属性とに基いて求める第4の処理手
    段またはステップDとを備えまたは実行し、請求項10
    又は請求項11に記載の将来の状況シナリオ発生手段に
    よる処理または第1のステップと、前記第1乃至第4の
    処理手段による処理または前記ステップA乃至ステップ
    Dとを十分なシナリオ数が得られるまで繰り返し、得ら
    れたシナリオの結果を集計して、リスクホライズンにお
    ける個別資産の将来の価格の分布やポートフォリオの将
    来の価格の分布を求める、請求項10又は請求項11に
    記載の金利リスクと信用リスクの統合評価システムまた
    は金利リスクと信用リスクの統合評価方法。
  13. 【請求項13】 前記リスク・ホライズンの資産価格算
    出手段または前記第2のステップは、 企業j(j=0は国を含むデフォルトフリーな団体を指
    す)の発行したi番目の金融商品の満期をT 、その
    商品の時刻tまでの累積キャッシュフローをX
    (t)、ポートフォリオを構成する金融商品中で最も
    遠い満期をTmax、企業jの発行した金融商品の満期中
    で最も遠い満期をTmax、jとしたとき、 請求項10または請求項11に記載の将来の状況シナリ
    オ発生手段または第1のステップにより発生させたr
    (T)とh(T)をそれぞれ初期値として、 dr(t)=(φ(t)―ar(t))dt+σdz
    (t), t≧T a,σ:非負の定数 φ(t):時刻tの確定的な関数 但し、z^(t):リスク中立確率の下での標準ブラウ
    ン運動 と dh (t)=(φ (t)―a (t))dt+σ
    dz (t) t≧T,j=0,1,・・・,n a、σ:非負の定数 φ (t):時刻tの確定的な関数 但し、z (t):満期sのデフォルトフリーな割引債
    をニューメレールとするフォワード中立確率の下での標
    準ブラウン運動 h (t)=r(t) dz (t)dz (t)=ρjk(t)dt, j,k=0,1,・・・,n dz^(t)dz (t)=ρ0k(t)dt, k=0,1,・・・,n とに基いて、サンプルパスを、リスク中立確率あるいは
    フォワード中立確率の下でr(t)は満期Tmaxまで、フ
    ォワード中立確率の下でh(t)はTmax、jまで発生
    させる第1の処理手段またはステップAと、 金融商品がデフォルトフリーである場合には、X
    (t)を、r(s)(T≦s≦t)と、満期日及び利払日
    及びクーポンレートを含む商品属性とを用いて表現する
    ことにより、リスク・ホライズンTにおけるその金融商
    品の価格p0(T、T )を、フォワード中立評価法 に基いて求める第2の処理手段またはステップBと、 特に、金融商品がデフォルトフリーの割引債である場合
    には、リスク・ホライズンTにおけるその金融商品の価
    格v0(T、s)を、リスク中立評価法 に基いて求める第3の処理手段またはステップCと、 企業jがリスク・ホライズンTまでにデフォルトしてい
    ないサンプルパスの場合は、時刻t(T<t≦T )ま
    でにデフォルトする確率 に応じて、企業jの時刻tにおけるデフォルト/非デフ
    ォルト状態を定め、 X (t)を、r(s)(T≦s≦t)と、h (s)(T
    ≦s≦t)と、企業jの時刻s(T≦s≦t)におけるデ
    フォルト/非デフォルト状態と、満期日及び利払日及び
    クーポンレート及び回収率を含む商品属性と、を用いて
    表現することにより、リスク・ホライズンTにおける価
    格p j,nondef(T、T )を、フォワード中
    立評価法 に基いて求める第4の処理手段またはステップDと、 企業jがリスク・ホライズンTまでにデフォルトしてい
    るサンプルパスの場合は、リスク・ホライズンTにおけ
    る価格p j,def(T、T ,τ)を、デフォル
    ト時刻τと、満期日及び利払日及びクーポンレート及
    び回収率を含む商品属性とに基いて求める第5の処理手
    段またはステップEとを備えまたは実行し、請求項10
    又は請求項11に記載の将来の状況シナリオ発生手段に
    よる処理または第1のステップと、前記第1乃至第5の
    処理手段による処理または前記ステップA乃至ステップ
    Eとを十分なシナリオ数が得られるまで繰り返し、得ら
    れたシナリオの結果を集計して、リスクホライズンにお
    ける個別資産の将来の価格の分布やポートフォリオの将
    来の価格の分布を求める、請求項10又は請求項11に
    記載の金利リスクと信用リスクの統合評価システムまた
    は金利リスクと信用リスクの統合評価方法。
  14. 【請求項14】 前記リスク・ホライズンの資産価格算
    出手段または前記第2のステップは、 ポートフォリオを割引債で構成し、企業j(j=0は国
    を含むデフォルトフリーな団体を指す)の発行したi番
    目の割引債の満期をT 、ポートフォリオを構成する
    割引債中で最も遠い満期をTmax、企業jの発行した割
    引債の満期中で最も遠い満期をTmax、jとしたとき、 請求項10または請求項11に記載の将来の状況シナリ
    オ発生手段または第1のステップにより発生させたr
    (T)とh(T)をそれぞれ初期値として、 dh^(t)=(φ(t)―a^(t))dt+σ
    dz^(t),t≧T,j=0,1,・・・,n a、σ:非負の定数 φ(t):時刻tの確定的な関数 但し、z^(t):リスク中立確率の下での標準ブラウ
    ン運動 h^(t)=r(t) dz^(t)dz^(t)=ρjk(t)dt, j,k=0,1,・・・,n とに基いて、 割引債がデフォルトフリーである場合には、リスク・ホ
    ライズンTにおけるその割引債の価格v0(T、T )
    を、リスク中立評価法を用いて に基いて求める第1の処理手段またはステップAと、 企業jがリスク・ホライズンTまでにデフォルトしてい
    ないサンプルパスの場合は、リスク・ホライズンTにお
    ける割引債価格v j,nondef(T、T )を、
    リスク中立評価法を用いて に基いて求める第2の処理手段またはステップBと、 企業jがリスク・ホライズンTまでにデフォルトしてい
    るサンプルパスの場合は、リスク・ホライズンTにおけ
    る割引債価格v j,def(T、T )を、 に基いて求める第3の処理手段またはステップCとを備
    えまたは実行し、請求項10又は請求項11に記載の将
    来の状況シナリオ発生手段による処理または第1のステ
    ップと、前記第1乃至第3の処理手段による処理または
    前記ステップA乃至ステップCとを十分なシナリオ数が
    得られるまで繰り返し、得られたシナリオの結果を集計
    して、リスクホライズンにおける個別資産の将来の価格
    の分布やポートフォリオの将来の価格の分布を求める、
    請求項10又は請求項11に記載の金利リスクと信用リ
    スクの統合評価システムまたは金利リスクと信用リスク
    の統合評価方法。
  15. 【請求項15】 前記リスク・ホライズンの資産価格算
    出手段または前記第2のステップは、 ポートフォリオを割引債で構成し、企業j(j=0は国
    を含むデフォルトフリーな団体を指す)の発行したi番
    目の割引債の満期をT 、ポートフォリオを構成する
    割引債中で最も遠い満期をTmax、企業jの発行した割
    引債の満期中で最も遠い満期をTmax、jとしたとき、 請求項10または請求項11に記載の将来の状況シナリ
    オ発生手段または第1のステップにより発生させたr
    (T)とh(T)をそれぞれ初期値として、 dh(t)=(b(t)―a(t))dt+σdz
    (t),t≧T,j=0,1,・・・,n a、σ:非負の定数 b(t):時刻tの確定的な関数 但し、z(t):観測確率の下での標準ブラウン運動 h(t)=r(t) dz(t)dz(t)=ρjk(t)dt, j,k=0,1,・・・,n と h^(t)=h(t)+ξ(t),t≧T,j=1,・
    ・・,n 但し、ξ(t)は時刻tの確定的な関数 とに基いて、 割引債がデフォルトフリーである場合には、リスク・ホ
    ライズンTにおけるその割引債の価格v0(T、T )
    を、リスク中立評価法を用いて に基いて求める第1の処理手段またはステップAと、 企業jがリスク・ホライズンTまでにデフォルトしてい
    ないサンプルパスの場合は、リスク・ホライズンTにお
    ける割引債価格v j,nondef(T、T )を、
    リスク中立評価法を用いて に基いて求める第2の処理手段またはステップBと、 企業jがリスク・ホライズンTまでにデフォルトしてい
    るサンプルパスの場合は、リスク・ホライズンTにおけ
    る割引債価格v j,def(T、T )を、 に基いて求める第3の処理手段またはステップCとを備
    えまたは実行し、請求項10又は請求項11に記載の将
    来の状況シナリオ発生手段による処理または第1のステ
    ップと、前記第1乃至第3の処理手段による処理または
    前記ステップA乃至ステップCとを十分なシナリオ数が
    得られるまで繰り返し、得られたシナリオの結果を集計
    して、リスクホライズンにおける個別資産の将来の価格
    の分布やポートフォリオの将来の価格の分布を求める、
    請求項10又は請求項11に記載の金利リスクと信用リ
    スクの統合評価システムまたは金利リスクと信用リスク
    の統合評価方法。
  16. 【請求項16】 前記リスク・ホライズンの資産価格算
    出手段または前記第2のステップは、 ポートフォリオを割引債で構成し、企業j(j=0は国
    を含むデフォルトフリーな団体を指す)の発行したi番
    目の割引債の満期をT 、ポートフォリオを構成する
    割引債中で最も遠い満期をTmax、企業jの発行した割
    引債の満期中で最も遠い満期をTmax、jとしたとき、 請求項10または請求項11に記載の将来の状況シナリ
    オ発生手段または第1のステップにより発生させたr
    (T)とh(T)をそれぞれ初期値として、 dr(t)=(φ(t)―ar(t))dt+σdz
    (t),t≧T a、σ:非負の定数 φ(t):時刻tの確定的な関数 但し、z^(t):リスク中立確率の下での標準ブラウ
    ン運動 と dh (t)=(φ(t)―a (t))dt+σ
    dz (t),t≧T,j=1,・・・,n a、σ:非負の定数 φ(t):時刻tの確定的な関数 但し、z (t): 満期sのデフォルトフリーな割引債をニューメレ−ル とするフォワード中立確率の下での標準ブラウン運動 dz (t)dz (t)=ρjk(t)dt, j,k=1,・・・,n dz^(t)dz (t)=ρ0k(t)dt, k=1,・・・,n とに基いて、 割引債がデフォルトフリーである場合には、リスク・ホ
    ライズンTにおけるその割引債の価格v0(T、T )
    を、リスク中立評価法を用いて に基いて求める第1の処理手段またはステップAと、 企業jがリスク・ホライズンTまでにデフォルトしてい
    ないサンプルパスの場合は、リスク・ホライズンTにお
    ける割引債価格v j,nondef(T、T )を、
    フォワード中立評価法を用いて に基いて求める第2の処理手段またはステップBと、 企業jがリスク・ホライズンTまでにデフォルトしてい
    るサンプルパスの場合は、リスク・ホライズンTにおけ
    る割引債価格v j,def(T、T )を、 に基いて求める第3の処理手段またはステップCとを備
    えまたは実行し、請求項10又は請求項11に記載の将
    来の状況シナリオ発生手段による処理または第1のステ
    ップと、前記第1乃至第3の処理手段による処理または
    前記ステップA乃至ステップCとを十分なシナリオ数が
    得られるまで繰り返し、得られたシナリオの結果を集計
    して、リスク・ホライズンにおける個別資産の将来の価
    格の分布やポートフォリオの将来の価格の分布を求め
    る、請求項10又は請求項11に記載の金利リスクと信
    用リスクの統合評価システムまたは金利リスクと信用リ
    スクの統合評価方法。
  17. 【請求項17】 前記リスク・ホライズンの資産価格算
    出手段または前記第2のステップは、 ポートフォリオを割引債で構成し、企業j(j=0は国
    を含むデフォルトフリーな団体を指す)の発行したi番
    目の割引債の満期をT 、ポートフォリオを構成する
    割引債中で最も遠い満期をTmax、企業jの発行した割
    引債の満期中で最も遠い満期をTmax、jとしたとき、 請求項10または請求項11に記載の将来の状況シナリ
    オ発生手段または第1のステップにより発生させたr
    (T)とh(T)をそれぞれ初期値として、 dr(t)=(φ(t)―ar(t))dt+σdz
    (t),t≧T a、σ:非負の定数 φ(t):時刻tの確定的な関数 但し、z^(t):リスク中立確率の下での標準ブラウ
    ン運動 と dh(t)=(b(t)―a(t))dt+σdz
    (t) t≧T,j=1,・・・,n a、σ:非負の定数 b(t):時刻tの確定的な関数 但し、z(t):観測確率の下での標準ブラウン運動 dz(t)dz(t)=ρjk(t)dt, j,k=1,・・・,n dz^(t)dz(t)=ρ0k(t)dt, k=1,・・・,n と h (t)=h(t)+ξ(t),t≧T,j=1,・
    ・・,n 但し、ξ(t)は時刻tの確定的な関数 とに基いて、 割引債がデフォルトフリーである場合には、リスク・ホ
    ライズンTにおけるその割引債の価格v0(T、T )
    を、リスク中立評価法を用いて に基いて求める第1の処理手段またはステップAと、 企業jがリスク・ホライズンTまでにデフォルトしてい
    ないサンプルパスの場合は、リスク・ホライズンTにお
    ける割引債価格v j,nondef(T、T )を、
    フォワード中立評価法を用いて に基いて求める第2の処理手段またはステップBと、 企業jがリスク・ホライズンTまでにデフォルトしてい
    るサンプルパスの場合は、リスク・ホライズンTにおけ
    る割引債価格v j,def(T、T )を、 に基いて求める第3の処理手段またはステップCとを備
    えまたは実行し、請求項10又は請求項11に記載の将
    来の状況シナリオ発生手段による処理または第1のステ
    ップと、前記第1乃至第3の処理手段による処理または
    前記ステップA乃至ステップCとを十分なシナリオ数が
    得られるまで繰り返し、得られたシナリオの結果を集計
    して、リスクホライズンにおける個別資産の将来の価格
    の分布やポートフォリオの将来の価格の分布を求める、
    請求項10又は請求項11に記載の金利リスクと信用リ
    スクの統合評価システムまたは金利リスクと信用リスク
    の統合評価方法。
  18. 【請求項18】 デフォルトフリー金利過程r(t)及び
    デフォルト過程h(t)を記述する確率微分方程式 dh(t)=(b(t)―a(t))dt+σdz
    (t),t≧0,j=0,1,・・・,n a、σ:非負の定数 b(t):時刻tの確定的な関数 z(t):観測確率の下での標準ブラウン運動 但し、dz(t)dz(t)=ρjkdt, j,k=0,1,・・・,n h(t)=r(t) に基いて、 等間隔Δtのm+1個の時点t=t,t,・・・,
    ,t=0,t<t<・・・<tにおける、
    t=t,t,・・・,tの各時点で、国債と社債
    を含む債券価格データに基いて、国債からはデフォルト
    フリーな金利期間構造(ゼロクーポン・イールド・カー
    ブ)を推定し、社債からは当該企業のデフォルトリスク
    のある金利期間構造(ゼロクーポン・イールド・カーブ)
    を推定し、それらの金利期間構造(のy切片)から、デフ
    ォルトフリーな瞬間的なスポットレートr(t)と、当該
    企業のデフォルトリスクのある瞬間的なスポットレート
    (t)を求める処理手段(イ)またはステップ(イ)
    と、 t=0におけるデフォルトフリーな金利期間構造とデ
    フォルトリスクのある金利期間構造から、リスクプレミ
    ア調整率ξ(t)を求める処理手段(ロ)またはステッ
    プ(ロ)と、 t=t,t,・・・,tの各時点で、 h(t)=(r(t)―r(t))/(1−δ)―ξ
    (t), j=1,・・・,n に基いて、観測確率の下での企業jのハザード率h
    (t)を求める処理手段(ハ)またはステップ(ハ)と
    を備えまたは実行し、 前記処理手段(イ)乃至(ハ)またはステップ(イ)乃
    至(ハ)によって求めたデフォルトフリーな瞬間的なス
    ポットレートr(t)と、当該企業のデフォルトリスクの
    ある瞬間的なスポットレートr(t)と、リスクプレミ
    ア調整率ξ(t)と、企業jのハザード率h(t)とか
    ら、 デフォルトフリーな金利r(t)と企業jのハザード率h
    (t)の相関係数ρ (j=1,・・・,n)を に基いて求める、請求項10乃至請求項17のいずれか
    に記載の金利リスクと信用リスクの統合評価システムま
    たは金利リスクと信用リスクの統合評価方法。
  19. 【請求項19】 前記将来の状況シナリオ発生手段およ
    びリスク・ホライズンの資産価格算出手段または前記第
    1のステップおよび第2のステップは、 デフォルト過程をh(t)=(h(t),h(t),・・
    ・,h(t))としたとき、 m(t)= E[h(t)]= λ γ (t+η)
    γj―1 j=1,・・・,n 但し、λ 、γ:正の定数、 η:非負の定数 に基いて、累積ハザード率 に基いて求める、請求項10乃至請求項18のいずれか
    に記載の金利リスクと信用リスクの統合評価システムま
    たは金利リスクと信用リスクの統合評価方法。
  20. 【請求項20】 コンピュータに、 デフォルトフリー金利の将来の変動を記述する方程式で
    表現されたデフォルト・フリー金利過程モデルに基いて
    現在からリスク・ホライズンまでの金利変動の時間的変
    化を描いたシナリオと、デフォルトの発生率の将来の変
    動を記述する方程式で表現されたデフォルト過程モデル
    に基いて現在からリスク・ホライズンまでのデフォルト
    発生状況の時間的変化を描いたシナリオとを、入力ある
    いは記憶されたデータに基いて多数発生させる第1のス
    テップと、 第1のステップにより発生させた個々のシナリオに対し
    て、入力あるいは記憶された資産データ及び市場データ
    に基いて、リスク・ホライズンにおけるポートフォリオ
    の価格及び個別資産の価格を算出する第2のステップ
    と、 第2のステップによりシナリオごとに算出されたリスク
    ・ホライズンにおけるポートフォリオの価格及び個別の
    資産価格に基いて、ポートフォリオの将来の価格分布及
    び/又は個別資産の将来の価格分布を求める第3のステ
    ップと、 第3のステップにより算出されたポートフォリオの将来
    の価格分布及び/又は個別資産の将来の価格分布に基い
    て、金利リスクと信用リスクとを統合して評価した評価
    結果を出力する第4のステップとを実行させるためのプ
    ログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒
    体。
  21. 【請求項21】コンピュータに、 デフォルトフリー金利の将来の変動を記述する方程式で
    表現されたデフォルト・フリー金利過程モデルに基いて
    現在からリスク・ホライズンまでの金利変動の時間的変
    化を描いたシナリオと、デフォルトの発生率の将来の変
    動を記述する方程式で表現されたデフォルト過程モデル
    に基いて現在からリスク・ホライズンまでのデフォルト
    発生状況の時間的変化を描いたシナリオとを、入力ある
    いは記憶されたデータに基いて多数発生させる第1のス
    テップと、 第1のステップにより発生させた個々のシナリオに対し
    て、入力あるいは記憶された資産データ及び市場データ
    に基いて、リスク・ホライズンにおけるポートフォリオ
    の価格及び個別資産の価格を算出する第2のステップ
    と、 第2のステップによりシナリオごとに算出されたリスク
    ・ホライズンにおけるポートフォリオの価格及び個別の
    資産価格に基いて、ポートフォリオの将来の価格分布及
    び/又は個別資産の将来の価格分布を求める第3のステ
    ップと、 第3のステップにより算出されたポートフォリオの将来
    の価格分布及び/又は個別資産の将来の価格分布に基い
    て、金利リスクと信用リスクとを統合して評価した評価
    結果を出力する第4のステップとを実行させるプログラ
    ム。
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