JP2002228655A - 単一細胞の張力計測システム - Google Patents

単一細胞の張力計測システム

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JP2002228655A JP2001022583A JP2001022583A JP2002228655A JP 2002228655 A JP2002228655 A JP 2002228655A JP 2001022583 A JP2001022583 A JP 2001022583A JP 2001022583 A JP2001022583 A JP 2001022583A JP 2002228655 A JP2002228655 A JP 2002228655A
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雅弘 山田
Hiroko Kaneko
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清了 杉浦
Soichiro Yasuda
壮一郎 保田
Yasutake Saegi
泰丈 三枝木
Haruo Sugi
晴夫 杉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 心臓の筋肉を構成する単一心筋細胞は100
μm程度と極めて微細なため、張力測定用のロッドに固
定するる適切な手段が無く、また前記機能の計測を行う
適切なシステムが存在しなかった。 【解決手段】 単一心筋細胞10の両端を、ガラス状炭
素及び結晶性炭素を含む一端が固定された第1マイクロ
カーボンロッド12と、同じ材料からなり一端がピエゾ
素子14に可動に固定された第2マイクロカーボンロッ
ド13とに、その静電気力による吸着力によって吸着し
固定する。第2マイクロカーボンロッド13を4分割C
CD22に投影し、心筋細胞の張力によって変位する像
を検出する。その出力信号を差動増幅器24、フィード
バックアンプ15を介してピエゾ素子14の制御信号と
し、第2マイクロカーボンロッドが所定の位置になるよ
うに制御し、そのときの信号により心筋細胞10の張力
を測定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は単一の筋肉細胞の収
縮力等の機能を検査する単一細胞の張力計測システムに
関し、特にマイクロカーボンロッドを用いて微小な単一
の心臓の筋肉の細胞を確実に吸着保持し、容易にその収
縮力等の機能を計測することができるようにした単一細
胞の張力計測システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、人間を初めとする動物の筋肉
の生体機能の検査のため、また薬品が筋肉に及ぼす影響
を調べるため、筋肉の収縮力等を測定することにより機
能の検査を行われることがある。筋肉には種々のものが
存在し、例えば人間の筋肉についてみると身体の頭から
足迄のありとあらゆる所に種々の筋肉が存在し、身体の
中の各種臓器にも筋肉が存在する。これらの筋肉のうち
多くのものは、それを構成する単一の筋肉細胞は数cm
の長さがある。
【0003】上記のような筋肉の収縮力等の機能を検査
するに際しては、筋肉の固まりの中から単一の筋肉を分
離し、この単一の筋肉細胞の両端を金属、あるいはガラ
ス等のロッドに固定し、これを所定の力で引っ張り、そ
のときの筋肉の長さの変化としてのロッドの移動量を計
測することにより、あるいは一定の長さに維持するため
の力を計測することによりその収縮力等の機能を測定す
ることが行われている。このような測定を行うためには
単一の筋肉細胞の両端をロッド等に固定する部分に力が
かかるため、この部分を確実に固定する必要があるが、
上記のような数cmの長さの筋肉の場合においては、そ
の単一筋肉細胞自体をロッドに結びつけることもでき、
それができない場合でも針金、あるいは合成繊維の糸等
により結びつけることによって固定することもできる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような人間等の種々の筋肉のうち、最も重要な筋肉であ
る心臓の筋肉は、その単一筋肉細胞、即ち単一心筋細胞
の長さは100μm程度しかない。そのため、心臓の筋
肉の収縮力等の機能を測定するに際してこの単一心筋細
胞をロッドに固定するには、上記のような心筋細胞自体
をロッドに結びつけることは勿論、この心筋細胞を糸に
よって結びつけることもできない。
【0005】更に、接着剤により両者を固定することも
考えられるが、微細な箇所に対する確実な接着は困難で
あり、かつ接着剤の材質によっては生体としての微細な
心筋細胞に対して急速に化学的な変化を与えることが予
想され、適切な固定手段ということはできない。したが
って心筋細胞の機能を検査するには筋肉の形態を目で確
かめる等、他の検査手段によって間接的にその機能を検
査せざるをえず、正確な心筋細胞の収縮力等の機能を検
査することが極めて困難であった。
【0006】その対策として、例えば3細胞等、所定の
数が数珠繋ぎになった心筋細胞を選び、その両端をロッ
ドに糸等で結びつけることも考えられる。しかしなが
ら、心筋細胞の採取に際しては、生体の心臓に注射針の
ような細管を差し込んで筋肉の一部を採取し、多数の心
筋細胞が結合して塊となっている前記採取した微小な筋
肉の塊を酵素の入った液に入れて細胞相互の連結を分離
しやすくする。これを超音波で細胞を粉砕するソニケー
タを用いる等により筋肉細胞間の連結を分離し、それに
より得られた多数の心筋細胞から、未だ完全に分離され
ていない所定の本数の心筋細胞を選んで検査を行う必要
があり、このような適切な心筋細胞を選ぶことは確実性
が無く、その検査は困難であった。
【0007】一方、心臓は他の臓器と同様に臓器移植が
行われることがあり、その移植の際には心臓が不要とな
った人からこれを取り出して移植を行う必要上、取り出
される心臓はその機能が不完全であることも多い。この
ように機能が不完全な心臓を移植することは移植される
人の生命自体が危険であるため、心臓移植を行う直前に
移植される心臓の機能を正確に検査する必要がある。ま
た、心臓の薬の開発において、薬の効果を確かめるため
に薬を与える前と後とでの心臓の筋肉の収縮力を知る必
要があり、人間あるいは他の動物の心臓の筋肉の機能を
正確に知る必要がある。
【0008】そのため、上記のような100μm程度の
単一筋肉細胞を前記のようにロッドに確実に固定するこ
とは極めて重要であるのに対して、上記従来の技術では
極めて困難である。特にこのような微細な筋肉を固定す
るロッド自体が、その筋肉の大きさに比例して細く小さ
くする必要があり、このような細いロッドに細い心筋細
胞を充分な接着力で固定することは極めて困難なものと
ならざるを得ない。
【0009】また、ロッドを中空にして管状にし、その
先端の開口に筋肉を配置すると共に前記管状部を真空に
することにより、ピペットのようにして筋肉を吸着する
ことにより筋肉の両端部をロッドに保持することも提案
されている。しかしながら、筋肉に対してこのような真
空によって発生する力を加えると、筋肉の細胞がダメー
ジを受け、正確な機能を測定することができない恐れが
ある。
【0010】また、研究開発によって上記のような単一
心筋細胞を細いロッドに確実に固定する手段が開発され
たとしても、このように微細な筋肉の収縮力を正確に測
定する技術が確立していない。即ち、従来の単一筋肉細
胞の収縮力の測定に際しては、比較的大きな筋肉細胞を
取り扱っていたため、例えば筋肉、あるいは可動ロッド
に小さな反射鏡を取り付け、ここに投射する光の反射の
変化を検出する等の手段を用いて測定を行っていた。
【0011】しかしながら、100μm程度の大きさの
設備に対してこのような反射鏡を設けることは極めて困
難であるため、この測定手段は上記のような微細な筋肉
の測定には使用することができない。したがって、この
点においても上記のような単一心筋細胞の検査を行うこ
とができない一つの要因となっていた。
【0012】更に、何らかの手段によってその測定を行
うことができるようになったとしても、微細な単一筋肉
細胞の張力を正確に測定することができる程度の正確に
作動するアクチュエータが必要となるが、従来の装置で
は長い筋肉の張力を比較的大まかに測定することができ
ても、心筋細胞の機能検査のように極めて小さな、且つ
重要な筋肉の細胞の機能を検査することができる程度の
正確さで計測することはできず、この点についても何ら
かの解決策が必要とされる。
【0013】なお、このように短い単一筋肉細胞は前記
のような心筋細胞に限らず、実験用小動物を含め種々の
動物の各種筋肉にも存在し、それらの機能を測定する際
にもこの技術の確立が望まれている。
【0014】したがって本発明は、微細な筋肉の収縮力
等の機能を検査するに際し、筋肉の収縮力等の機能を検
査するため、筋肉の両端部をロッドに対して簡単な手段
により確実に固定するとともに、このようにして固定さ
れた筋肉の張力を正確に測定することができるようにし
た単一細胞の張力計測システムを提供することを目的と
する。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するため、請求項1に係る発明は、単一細胞の一部を吸
着保持するカーボン部材と、一端に前記単一細胞の他の
一部を吸着保持し、他端がピエゾ素子に固定されたマイ
クロカーボンロッドと、前記マイクロカーボンロッドの
映像が投影される位置センサと、前記位置センサの出力
信号により前記マイクロカーボンロッドの変位に対応し
た信号を出力する変位信号出力手段と、前記変位信号に
より前記ピエゾ素子を作動し、前記マイクロカーボンロ
ッドを所定位置に制御するマイクロカーボンロッド位置
制御手段とからなることを特徴とする単一細胞の張力計
測システムとしたものである。
【0016】また、請求項2に係る発明は、前記カーボ
ン部材は前記マイクロカーボンロッドより短く、一端に
前記単一細胞の一部を吸着保持し、他端が固定されるマ
イクロカーボンロッドであることを特徴とする請求項1
記載の単一細胞の張力計測システムとしたものである。
【0017】また、請求項3に係る発明は、前記位置セ
ンサは4分割CCDであり、前記変位信号出力手段は複
数のCCD素子からの出力信号の差を検出し出力するこ
とを特徴とする請求項1記載の単一細胞の張力計測シス
テムとしたものである。
【0018】また、請求項4に係る発明は、前記単一細
胞は心筋細胞である請求項1記載の単一細胞の張力計測
システムとしたものである。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の実施例を図面に沿って説
明する。図1は本発明による単一細胞の張力計測システ
ムとして、微小な単一細胞である単一心筋細胞につい
て、その張力を測定する装置の一例を示している。最
初、その全体構成について説明すると、心筋細胞10は
後述するような2本のマイクロカーボンロッド12、1
3に静電気力で吸着されて保持される。マイクロカーボ
ンロッド13の長さはマイクロカーボンロッド12より
も長いので、細胞が収縮したときに、長いマイクロカー
ボンロッド12の方がより大きく撓む。
【0020】長い方のマイクロカーボンロッド13はピ
エゾ素子14に固定され、ピエゾ素子14に与える電圧
を制御することにより心筋細胞への張力が制御される。
ランプ16で照明されたマイクロカーボンロッド13の
像は、レンズ18及びミラー20を経て、4分割フォト
ダイオードからなる位置センサ22の上に結像する。4
分割フォトダイオードからなる位置センサ22の各領域
からの信号を差動増幅器24で増幅し、ピエゾ素子14
へフィードバックすることにより、心筋細胞の長さが一
定に制御された条件下で収縮力が測定される。なお、こ
の4分割フォトダイオードからなる位置センサ22はナ
ノメータ単位の微小長さを正確に計測することができ、
上記のような心筋の機能検査に適している。
【0021】上記システムについて更に詳述する。例え
ば心臓移植に際して、ドナーの心臓は移植される直前
に、その心臓が移植に適するか否かの判定が行われるた
め、その判定の一手段として本発明による移植される心
臓の心筋の機能検査を行う。その際、注射針のような管
を心臓の一部に挿し、管内に心筋の微小な塊を採取す
る。前記のように心筋は100μm程度と微細なため、
ドナーの心臓に負担をかけることなく容易に採取され
る。
【0022】採取された心筋の塊は、適当な酵素に浸
し、単一心筋細胞相互の結合を緩め分離する。このよう
な分離手段は、従来から用いられている周知の手段によ
って行うことができる。
【0023】このようにして得られた約100μm程度
の微細な単一心筋細胞は、本発明に関連して発明された
ガラス状炭素及び結晶性炭素を含むマイクロカーボンロ
ッドからなる2本のマイクロカーボンロッド12、13
にその両端を吸着保持する。なお、上記ガラス状炭素及
び結晶性炭素を含むマイクロカーボンロッドについて
は、別途特許出願がなされそこで詳細に説明を行ってい
るが、その概要を本文の最後に示しており、本発明によ
る単一細胞の張力計測システムは、前記のような微小な
単一心筋細胞をこのマイクロカーボンロッドによってそ
の表面に静電気力で吸着するすることにより確実に保持
することができるようになった結果開発されたものであ
る。
【0024】上記のように心筋細胞を吸着する2本のマ
イクロロッドのうち、図示実施例においては第1マイク
ロカーボンロッド12よりも第2マイクロカーボンロッ
ド13が長く成形されており、短い第1マイクロカーボ
ンロッド12の基部は固定手段11により機器に対して
固定され、また、長い第2マイクロカーボンロッド13
の基部はピエゾ素子(PZT)14に支持されている。
なお、このピエゾ素子による第1マイクロカーボンロッ
ド12の作動部は、従来の大きな筋肉を作動するものと
異なり本発明においては微小が筋肉を作動するため、特
に小さな作動部を製作することにより実施が可能となっ
た。
【0025】ランプ16からの光は心筋細胞10の一端
を吸着固定している第2マイクロカーボンロッド13の
一部を投射し、その映像は前記のようにレンズ18、ミ
ラー20を経て4分割CCD等からなる位置センサ22
に投影され結像する。例えば図示実施例のような4分割
CCDにおいては、少なくとも相対向するCCD素子の
出力信号を取り出し、各々の電圧検出器23からの信号
を差動増幅器24に入力する。
【0026】それにより、前記第2マイクロカーボンロ
ッド13が後述するようにピエゾ素子によって移動する
とき、そのロッドの移動によって4分割CCD上のロッ
ドの映像が移動するので、4分割CCDにおける前記相
対向するCCD素子の受光量が相対的に変化し、その変
化を差動増幅器24において両電圧検出器23,23の
信号の差電圧として検出し出力する。この信号を適宜増
幅し、別に入力するオフセット値の信号であるオフセッ
ト入力と加減算することにより、ピエゾ素子14によっ
て第2マイクロカーボンロッド13が心筋細胞を緩める
側に移動させるか、逆にこれを緊張させる側に移動する
か、またその移動量はどのくらいにするか、というフィ
ードバック値を出力する。この信号値を得ることによ
り、検査される心筋細胞の収縮力の機能としてのデータ
を得ることができる。
【0027】このようにして、2つのマイクロカーボン
ロッド12、13によって両端を吸着固定された単一心
筋細胞10は、その細胞の緊張力に応じてその長さが変
化し、その長さを一定にしようとするピエゾ素子にかけ
る電流により、検査される心筋細胞の緊張力が測定さ
れ、移植される心臓の生体機能検査を行うことができ
る。
【0028】一方、上記のようなシステムで用いられる
マイクロカーボンロッドは、前記のように微小な筋肉を
確実に吸着することがきるものであるが、このマイクロ
カーボンロッドは具体的には次のようなものであり、ま
た次のようにして製造されるものである。なお、この技
術に関しては前記のように別途特許出願がなされてい
る。
【0029】このマイクロカーボンロッドの特徴として
いる点は、ガラス状炭素および結晶性炭素を含むもので
あり、前記結晶性炭素は実質的に一方向に配向している
ことが望ましい。また、このマイクロカーボンロッドに
は、充分な保持力を得るために、少なくともその表面に
少なくとも20質量%、さらに望ましくは60質量%以
上の結晶性炭素が含まれることが望ましく、また、微少
な対象物への適用を可能にするため、断面の径が100
μm以下であることもまた望ましい。
【0030】また、このマイクロカーボンロッドの製造
方法の特徴としている点は、焼成後にガラス状炭素を残
す有機物に黒鉛粉末を混合し、該混合物を所望の形状に
成形し、該成型物を焼成するステップを具備し、前記成
形するステップにおいて、前記黒鉛の結晶が実質的に一
方向に配向するような押出し成形が行われることが望ま
しい。
【0031】このマイクロカーボンロッドでは、その表
面に結晶の端面および/または基底面欠損部の炭素原子
に由来する官能基が多数存在し、それによるケミソープ
ション(静電気力による吸着)により充分な接着力が得
られる。成形の際に黒鉛結晶が実質的に一方向に配向す
るような押出し成形を行なうことによりこの割合は一層
増加し、より一層の接着力が得られる。
【0032】前記焼成後にガラス状炭素を残す有機物と
は、三次元架橋を持つ有機樹脂材料や、固相炭化する天
然有機材料等であり具体的には、有機高分子物質及び、
そのモノマー・オリゴマー類、タール・ピッチ類、乾留
ピッチ類、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の初期重合体
類、等の一種または、二種以上の混合物である。
【0033】ここで、有機高分子物質としては、後記す
る熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂以外の物質で、リグ
ニン、セルロース、トラガントガム、アラビアガム、天
然ガム及びその誘導体、糖類、キチン、キトサン等のご
とき縮合多環芳香族を分子の基本構造内に持つ化合物及
び、ナフタレンスルフォン酸のホルマリン縮合物、ジニ
トロナフタレン、ピレン、ピラントロン、ビオラントロ
ン、ベンゾアントロン等から誘導されるインダンスレン
系建染染料及びその中間体である。
【0034】熱可塑性樹脂類としては、ポリ塩化ビニ
ル、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビリニデン、後塩
素化ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアル
コール、ポリビニルピロリドン、エチルセルロース、カ
ルボキシメチルセルロース、ポリ塩化ビニル・酢酸ビニ
ル共重合体、等の通常の熱可塑性樹脂及びポリフェニレ
ンオキサイド、ポリパラキシレン、ポリスルフォン、ポ
リイミド、ポリアミドイミド、ポリベンツイミダゾー
ル、ポリオキサジアゾール、等の耐熱性熱可塑性樹脂を
用い炭素前駆体化処理として、酸化架橋したものであ
る。
【0035】熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、
フラン樹脂、エポシキ樹脂、キシレン樹脂、コプナ樹
脂、等が用いられ、加熱により流動すると共に、分子間
架橋を生じ三次元化して硬化し、特別の炭素前駆体化処
理を行なうことなく高い炭素残査収率を示すものであ
る。
【0036】黒鉛粉末について、接着力を高めるために
は、高度に発達した黒鉛の結晶端面(エッジ面)が表面
に対して垂直に整列するように組織配向した複合炭素材
料を作成することが重要である。それ故、黒鉛ウイス
カ、高配向性気相熱分解黒鉛(HOPG)、キッシュ黒
鉛、結晶質天然黒鉛が好ましく用いられる。黒鉛微粉末
の粒度は、目的とするロッドの直径によっても異なる
が、最大径が数μm以下であることが好ましい。
【0037】有機物と黒鉛粉末の混合に際しては、ヘン
シェルミキサー等で粉体分散を十分に行う。さらに、加
圧ニーダーまたは二本ロール等の高度に剪断力が掛けら
れる混練機を用いて、十分に混合分散を施し、ペレタイ
ザーにより顆粒化した後、スクリュー式やプランジャー
式等の押出機により所望の直径に高速に押出成形して、
押し出し方向に黒鉛の結晶が良く配列するように配向操
作を加えることにより成形体が得られる。
【0038】必要に応じて、焼成に際して、まず、この
成形体に延伸操作を加えつつ約180℃に加熱されたエ
アー・オーブン中にて、約10時間処理してプリ・カー
サー(炭素前駆体)材料とする。更に、不活性雰囲気中
で昇温速度を制御しつつ約1500℃迄徐々に加熱して
炭素化を終了させ目的とするマイクロカーボンロッドを
得る。
【0039】その具体的実施例について説明する。マイ
クロカーボンロッドの静電気力による吸着力の確認に
は、炭素表面の機能性残基の量が電気化学的計測により
半定量可能なことを利用して、静電気力による吸着量を
評価する。具体的には、まず、電気化学計測装置を使用
し、電解槽中に1M(mol dm−3)塩化カリウム水溶液
を入れて、リード線を付けたマイクロロッドの一定長さ
を浸せきして流れるブランク電流をサイクリックボルタ
ンメトリー(CV)法により計測し、その電流値の大小
から吸着力を判定する。
【0040】さらに、ロッド作製後の炭素表面に黒鉛エ
ッジが多出することが静電気力による吸着力に関係深い
表面官能基を結果的に多く持つことの指標と考えられ
る。そこで、エッジの多出する炭素表面が電子移動させ
易く、電極特性の良さに関係深いことを利用して、本ロ
ッドの電荷移動特性を計測する。具体的には、電気化学
計測装置を使用し、上記塩化カリウム溶液中に5mM量
のフェリ・フェロシアンイオンを加え、そのイオンのレ
ドックス(酸化・還元)反応をCV法で測定する。その
CV曲線状のレドックス反応の酸化ピークと還元ピーク
の電位差ΔEpからロッド表面の電気化学特性を判定す
る。
【0041】(実施例1)マイクロカーボンロッドのマ
トリックスカーボン原料として、塩素化塩化ビニル樹脂
(日本カーバイド社製 T−741)65質量%、これ
に黒鉛微粉末(日立粉末冶金社製 平均粒度1μm)3
5質量%を複合した組成物に対し、可塑材としてジアリ
ルフタレートモノマーを25質量%を添加して、ヘンシ
ェル・ミキサーを用いて分散した後、表面温度を120
℃に保ったミキシング用二本ロールを用いて十分に混練
を繰り返して組成物を得、ペレタイザーによってペレッ
ト化し成形用組成物を得た。
【0042】このペレットをスクリュー型押し出し機で
直径50μmのセラミックス製ダイスを用い脱気を行な
いつつ140℃で0.1m/分の速度で押し出し、これ
を枠に固定して、180℃に加熱されたエアー・オーブ
ン中で10時間処理してプリ・カーサー(炭素前駆体)
線材とした。次に、これを窒素ガス中で500℃迄を2
5℃/時の昇温速度で昇温し、その後1500℃迄を1
00℃/時で昇温し、1500℃で3時間保持した後自
然冷却して焼成を完了した。
【0043】得られたマイクロカーボンロッドは直径3
8μmで曲げ強度が210MPaであった。これに含まれ
る黒鉛は全体の約65質量%である。マイクロカーボン
ロッドの静電気力による吸着力確認のため、電気化学応
答性を測定し判断した。
【0044】得られたマイクロカーボンロッドの静電気
力による吸着量の判定は、所定の評価法に従って以下の
ように行った。まず、ロッドの静電気力による吸着量の
判定のため、電気化学計測装置として、柳本製ボーラロ
グラフィックアナライザー(P−1100)を使用し、
1M塩化カリウム溶液中で、ブランク電流を、次いで5
mMフェロ・フェリシアンイオンのCV曲線を銀塩化銀
参照電極を用いる3電極法で測定した。その結果、本実
施例で得られたカーボンマイクロロッドのブランク電流
はきわめて大きく、レドックスイオンのレドックスピー
ク電位差ΔEpが70mVで可逆レドックスイオンのピ
ーク電位差の理論値(60mV)に近似しており、本ロ
ッドは心筋計測の目的に使用するに十分な吸着力を具備
していると判定された。
【0045】このマイクロカーボンロッドに心筋細胞を
化学吸着させて応力を与え、接着が離れるときのロッド
のたわみ量とばね定数から接着力を算出した。得れれた
接着力は2.42μNで心筋細胞の収縮力の1〜2μN
より充分に大きい値であった。
【0046】(実施例2)マイクロカーボンロッドのマ
トリックスカーボン原料として、塩化ビニル樹脂(チッ
ソ社製 ニポリットMQ)50質量%とフラン樹脂(日
立化成社製)ヒタフランVF302)15質量%との混
合物、これに黒鉛微粉末(日本黒鉛社製 平均粒度1μ
m)35質量%を複合した組成物量に対し、可塑材とし
てジアリルフタレートモノマーを20質量%を添加し
て、ヘンシェル・ミキサーを用いて分散した後、表面温
度を110℃に保ったミキシング用二本ロールを用いて
十分に混練を繰り返して組成物を得、ペレタイザーによ
ってペレット化し成形用組成物を得た。
【0047】このペレットをスクリュー型押し出し機で
直径50μmのセラミックス製ダイスを用い脱気を行な
いつつ130℃で0.1m/分の速度で押し出し、これ
を枠に固定して、180℃に加熱されたエアー・オーブ
ン中で10時間処理してプリ・カーサー(炭素前駆体)
線材とした。次に、これを窒素ガス中で500℃迄を2
5℃/時の昇温速度で昇温し、その後1500℃迄を1
00℃/時で昇温し、1500℃で3時間保持した後自
然冷却して焼成を完了した。
【0048】得られたマイクロカーボンロッドは直径4
0μmで曲げ強度が180MPaであった。これに含まれ
る黒鉛は全体の約65質量%である。
【0049】得られたマイクロカーボンロッドの静電気
力による吸着量の判定を実施例1と同様に行った。その
結果、本実施例で得られたカーボンマイクロロッドのブ
ランク電流はきわめて大きく、レドックスイオンのレド
ックスピーク電位差ΔEpが70mVで可逆レドックス
イオンのピーク電位差の理論値(60mV)に近似して
おり、本ロッドは心筋計測の目的に使用するに十分な吸
着力を具備していると判定された。
【0050】このマイクロカーボンロッドに心筋細胞を
化学吸着させて応力を与え、接着が離れるときのロッド
のたわみ量とばね定数から接着力を算出した。得られた
接着力は2.4μNで心筋細胞の収縮力の1〜2μNよ
り充分に大きい値であった。
【0051】なお、本発明による単一細胞の張力計測シ
ステムの図1に示す実施例においては単一心筋細胞の張
力計測システムについて説明したが、それ以外の微細な
筋肉細胞にも有効に用いることができる。また、単一細
胞を吸着保持するに際して、2本のマイクロカーボンロ
ッドを用いた例を示したが、例えば前記第1マイクロカ
ーボンロッド12の代わりに機体に固定された前記素材
からなるカーボンからなる板等、種々の固定部材を用い
ても、前記第2カーボンロッド13の変位を検出するこ
とにより前記と同様の作動を行うことができる。
【0052】また、前記実施例においては、CCDとし
て4分割CCDを用いたが、少なくとも相対向する2個
のCCD画素を備えれば良く、必要に応じてCCD素子
を列設したラインセンサを用いてもマイクロカーボンロ
ッドの変位を検出することができる。
【0053】
【発明の効果】本発明は上記のように構成したので、微
細な筋肉の収縮力等の機能を容易に、しかも正確に測定
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による単一細胞の張力計測システムの全
体構成を示すシステム構成図である。
【符号の説明】
10 心筋細胞 12 第1マイクロカーボンロッド 13 第2マイクロカーボンロッド 14 ピエゾ素子 15 フィードバックアンプ 16 ランプ 18 レンズ 20 ミラー 22 4分割CCD 24 差動増幅器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金子 浩子 茨城県つくば市梅園1丁目1番4 経済産 業省産業技術総合研究所電子技術総合研究 所内 (72)発明者 杉浦 清了 東京都文京区本郷7−3−1 東京大学医 学部内 (72)発明者 保田 壮一郎 東京都文京区本郷7−3−1 東京大学医 学部内 (72)発明者 三枝木 泰丈 神奈川県横浜市鶴見区鶴見2−1−3 鶴 見大学歯学部内 (72)発明者 杉 晴夫 東京都板橋区加賀2−11−1 帝京大学医 学部内 Fターム(参考) 2F051 AA17 AB03 CA00 2G045 AA40 CB01 CB26 FA02 FA19 GC01 GC03 GC30 JA07

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単一細胞の一部を吸着保持するカーボン
    部材と、 一端に前記単一細胞の他の一部を吸着保持し、他端がピ
    エゾ素子に固定されたマイクロカーボンロッドと、 前記マイクロカーボンロッドの映像が投影される位置セ
    ンサと、 前記位置センサの出力信号により前記マイクロカーボン
    ロッドの変位に対応した信号を出力する変位信号出力手
    段と、 前記変位信号により前記ピエゾ素子を作動し、前記マイ
    クロカーボンロッドを所定位置に制御するマイクロカー
    ボンロッド位置制御手段とからなることを特徴とする単
    一細胞の張力計測システム。
  2. 【請求項2】 前記カーボン部材は前記マイクロカーボ
    ンロッドより短く、一端に前記単一細胞の一部を吸着保
    持し、他端が固定されるマイクロカーボンロッドである
    ことを特徴とする請求項1記載の単一細胞の張力計測シ
    ステム。
  3. 【請求項3】 前記位置センサは4分割CCDであり、
    前記変位信号出力手段は複数のCCD素子からの出力信
    号の差を検出し出力することを特徴とする請求項1記載
    の単一細胞の張力計測システム。
  4. 【請求項4】 前記単一細胞は心筋細胞である請求項1
    記載の単一細胞の張力計測システム。
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