JP2002228542A - 気流吹出し装置 - Google Patents

気流吹出し装置

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JP2002228542A JP2001020581A JP2001020581A JP2002228542A JP 2002228542 A JP2002228542 A JP 2002228542A JP 2001020581 A JP2001020581 A JP 2001020581A JP 2001020581 A JP2001020581 A JP 2001020581A JP 2002228542 A JP2002228542 A JP 2002228542A
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賢司 葉山
Takayuki Kawai
孝幸 河合
Hideyuki Shirogane
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 暗騒音に対する低減効果が向上された気流吹
出し装置を提供する。 【解決手段】 気流吹出し部38からの気流は、第1案
内部39によって主流の速い流れが外方へ導かれ、第2
案内部40によって伴流の遅い流れが内方へ導かれ、こ
れらの主流と伴流とを混合する。この混合によって、主
流と伴流との速度の変化率が緩和され、こうしてせん断
流に起因する噴流騒音が低減される。また第1案内部3
9と第2案内部40とは、気流の流れ方向下流側の気流
吹出し部38に設け、前記気流吹出し部38内の境界層
を、層流境界層から乱流境界層に変化させて、周方向に
流れの流体力学的挙動の同時性を弱め、気流吹出し部か
ら放出される流れを、非一様化し、渦放出に起因する騒
音を抑制するとともに、噴流騒音および渦騒音の両者が
ともに低減され、気流吹出し部38から吹出された気流
によるせん断流および渦の挙動が脆弱化され、暗騒音が
低減される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、風洞実験設備、ト
ンネル換気塔および空調ダクトなどの気流吹出し口とし
て好適に実施することができる気流吹出し装置に関し、
さらに詳しくは、前記気流吹出し装置の気流の吹出し時
に発生する暗騒音を低減するための構造に関する。
【0002】
【従来の技術】図10は、従来の技術の低騒音風洞1の
一部を簡略化して示す断面図である。所定形状を有する
試験体Mの空力騒音の実験では、送風時において試験体
Mに起因しない不要な雑音、すなわち暗騒音を、その試
験体Mに要求される騒音レベル以下に抑制する必要があ
り、このような暗騒音が少ない低騒音風洞として、回流
式風洞1が用いられている。この回流式風洞1は、軸線
2上に間隔をあけて設けられるノズル3とコレクタ4と
を有する。これらのノズル3とコレクタ4との間には、
前記間隔によって計測空間5が介在される。なお、他の
低騒音風洞1として、吹出し式風洞が周知であるが、前
記回流式風洞1のようにコレクタ4は存在しない。
【0003】前記回流式風洞1において、計測空間5に
は、高速鉄道車両、航空機および自動車などを模擬した
縮小模型が試験体Mとして設置される。ノズル3から所
定の流速で吹出された気流は、試験体Mが配置される計
測空間5を経て、コレクタ4内へ吸引されて回収され、
図示しない整流板および送風機などが設けられる回流風
洞部によって加速および整流された後、再びノズル3か
ら吹出される。前記試験体Mから発生する音響は、集音
マイクによって集音され、その音響信号は、試験体Mの
形状に対する空力特性などを算出するためのデータとし
て用いられる。
【0004】このような回流式風洞1においては、
(a)ノズル3の内壁面6上の境界層7から発生する境
界層騒音、(b)ノズル3の下流側開口端の吹出し口3
aから放出された渦9の放出によって発生する渦騒音、
(c)ノズル3から吹出された気流のうちの撹拌の影響
を受けないポテンシャルコア11の主流(コア流ともい
う)とその周囲の静止した空気13との速度差によって
生じた乱流拡散層15のせん断流16から発生する噴流
騒音、ならびに(d)せん断流16の渦と前記乱流拡散
層15の周囲の伴流18の渦とがコレクタ4の壁面20
で衝突することによって生じる騒音、などを含む暗騒音
が不可避的に発生するため、この暗騒音をできるだけ低
減することができる技術が求められている。
【0005】図11は、暗騒音を低減するための従来の
技術の風洞に備えられるノズル3の吹出し口3aの一部
を示す斜視図であり、この従来の技術は、特開平6−2
01512号公報に開示されている。この従来の技術で
は、噴流騒音(c)の大きさは噴流周囲のせん断流16
の強さに依存し、このせん断流16の強さは、ノズル3
の内壁面6の境界層7の状態に影響を受け、この境界層
7は、層流境界層が乱流境界層に比べて、周方向に同時
性があるせん断流を発生し易く、かつ渦を放出し易い、
という見地に基づいて、ノズル3の内壁面6上の境界層
7を層流境界層から乱流境界層へ遷移し易くし、境界層
7の周方向の厚さ分布を非一様にすることによって、境
界層7の周方向の同時性を弱くし、また境界層7を厚み
Tを大きくすることによって、せん断流の速度勾配を緩
和して強さを弱め、せん断流に起因する噴流騒音および
渦騒音を低減している。
【0006】具体的には、図11(1)に示されるよう
に、ノズル3の開放端の吹出し口3aの内壁面6に、主
流の流れ方向下流側になるにつれて内方(図11(1)
の上方)に突出する複数の多角錘状の突起物20、ある
いは図11(2)に示されるように、主流の流れ方向下
流側になるにつれて外方(図11(2)の下方)に突出
する複数の三角錘状の凹状部21によって形成される溝
22を、周方向に所定の間隔ΔL1,ΔL2をあけて、
前記主流の流れ方向に沿ってそれぞれ設け、このような
突起物20および溝22によって、ノズル3の内壁面6
上の境界層7の部分的な乱流境界層への遷移を促進し、
境界層7内の流れの挙動に対する同時性を弱めて、渦騒
音および噴流騒音を低減している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の技術
では、図11(1)の複数の突起物20をノズル3の吹
出し口3aの内壁面6に設けること、および図11
(2)の複数の三角錐状の溝22をノズル3の吹出し口
3aの内壁面6に設けることによって、境界層7を拡散
し、前記境界層7を形成している気流の流れを、同時性
の高い状態から低い状態、すなわち非同時性への移行を
促進するとともに、乱流へ遷移させ、これによって渦騒
音およびせん断流による噴流騒音のある程度の低減を図
ることが可能であるが、それには限界がある。
【0008】すなわち、上記の従来の技術においては、
上記の渦騒音および噴流騒音を含む暗騒音のより高い低
減効果を達成するには、前記突起物20および溝22の
形状寸法の変更などによって、境界層7の非同時性の促
進および境界層厚の増加を図る必要があるが、それには
主流に大きな影響を与えて乱さない範囲で実現しなけれ
ばならないというという制限がある。
【0009】そのため、渦騒音および噴流騒音に対する
低減効果が得られるとしても、前記ノズル3の内側に存
在して気流に大きな影響を与える前記突起物20および
溝22の形状寸法をむやみに変更することはできず、特
に低周波数域の暗騒音を充分に低減することができない
という問題がある。このような問題は、上記の風洞に限
らず、たとえばトンネル換気塔および空調ダクトなどの
気流吹出し部においても、同様である。
【0010】本発明の目的は、暗騒音に対する低減効果
を向上することができるようにした気流吹出し装置を提
供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明
は、気流を吹出す気流吹出し部に、前記気流の流れ方向
に延びかつ前記気流を流れ方向下流側になるにつれて外
方へ案内する第1案内部と、前記流れ方向に延びかつ前
記気流を流れ方向下流側になるにつれて内方へ案内する
第2案内部とを、周方向に交互に設けることを特徴とす
る気流吹出し装置である。
【0012】本発明に従えば、気流吹出し部から吹出さ
れる気流は、第1案内部によって主流の速い流れが外方
へ導かれ、第2案内部によって伴流の遅い流れが内方へ
導かれ、これらの主流と伴流とを混合することができ
る。この混合によって、気流吹出し部から吹出された気
流のうち、ポテンシャルコアの周囲に形成される乱流拡
散層のせん断流の強さが外側へ向かうにつれて小さくな
っていく変化の度合い、すなわち主流と伴流との速度の
変化率が緩和され、こうしてせん断流に起因する噴流騒
音が低減される。
【0013】また、前記第1案内部と第2案内部とは、
気流の流れ方向下流側の気流吹出し部に設けられるの
で、前記気流吹出し部内の境界層を、層流境界層から乱
流境界層に変化させて、周方向に流れの流体力学的挙動
の同時性を弱め、気流吹出し部から放出される流れを、
非一様化する。このような周方向の流れの非一様化によ
って、気流吹出し部から同時に放出される大きな渦を細
かく粉砕し、こうして渦放出に起因する騒音が抑制さ
れ、渦騒音が低減される。
【0014】以上のようにして噴流騒音および渦騒音の
両者がともに低減されるので、気流吹出し部から吹出さ
れた気流、すなわち噴流による暗騒音の主な発生原因と
なるせん断流および渦の挙動が脆弱化され、前記従来の
技術に比べて、暗騒音のより高い低減効果を達成するこ
とができる。
【0015】請求項2記載の本発明は、第1案内部の外
方への突出量および第2案内部の内方への突出量は、平
坦状の気流吹出し部によって予め測定した境界層の厚さ
の0.1〜0.5倍に選ばれることを特徴とする。
【0016】本発明に従えば、気流吹出し部に、外方お
よび内方への各突出量が境界層の厚さの0.1〜0.5倍
の第1および第2案内部がそれぞれ形成されることによ
って、確実に暗騒音を低減することができる。前記境界
層は、気流吹出し部に第1および第2案内部が形成され
ていない平坦状の気流吹出し部に生じる境界層であっ
て、この境界層の厚さを予め測定し、あるいは第1およ
び第2案内部が形成されていない別途の気流吹出し装置
を用いて、前記境界層の厚さを測定しておき、こうして
得られた境界層の厚さに基づいて、前記第1および第2
案内部の外方および内方への各突出量が、上記のように
それぞれ決定される。
【0017】前記第1案内部の外方への突出量が境界層
の厚さの0.1倍未満であれば、気流吹出し部の周囲の
空気に向けて導かれて混合する主流が極端に少なくな
り、実質上、噴流騒音の効果的な低減を図ることができ
ない。また、前記第1案内部の突出量が前記境界層の厚
さの0.5倍を超えると、第1案内部によって外方へ放
散される気流が過度に多くなって主流、すなわち層流域
に影響を与え、流れを乱してしまうという不具合が生じ
る。
【0018】また、前記第2案内部の内方への突出量が
前記境界層の厚さの0.1倍未満であれば、主流に向け
て導かれて混合する伴流が極端に少なくなり、実質上、
噴流騒音の効果的な低減を図ることができない。また、
前記第2案内部の突出量が前記境界層の厚さの0.5倍
を超えると、第2案内部は主流、すなわち層流域に影響
を与え、流れを乱してしまうという不具合が生じる。そ
のため、第2案内部の突出量は、上記のように境界層の
厚さの0.1〜0.5倍とすることによって、確実に暗騒
音の低減効果を達成することができる。
【0019】請求項3記載の本発明は、第1および第2
案内部の内方への突出量は、気流吹出し装置の前記気流
の流れ方向に沿う長さの0.002〜0.08倍に選ば
れることを特徴とする。
【0020】本発明に従えば、気流吹出し部に外方およ
び内方への突出量が気流吹出し装置の流れ方向に沿う長
さの0.002〜0.08倍の第1および第2案内部が
形成されることによって、確実に暗騒音を低減すること
ができる。
【0021】前記第1案内部の外方への突出量が、前記
流れ方向に沿う長さの0.002倍未満であれば、主流
に向けて導かれて混合する伴流が極端に少なくなり、実
質上、噴流騒音の効果的な低減を図ることができない。
また、前記第1案内部の突出量が前記流れ方向に沿う長
さの0.08倍を超えると、第1案内部によって外方へ
放散される気流が過度に多くなって主流、すなわち層流
域に影響を与え、流れを乱してしまうという不具合が生
じる。
【0022】また、第2案内部の内方への突出量が、前
記流れ方向に沿う長さの0.002倍未満であれば、主
流に向けて導かれて混合する伴流が極端に少なくなり、
実質上、噴流騒音の効果的な低減を図ることができな
い。また、前記第2案内部の突出量が前記流れ方向に沿
う長さの0.08倍を超えると、第2案内部は主流、す
なわち層流域に影響を与え、流れを乱してしまうという
不具合が生じる。
【0023】したがって第1および第2案内部の各突出
量は、上記のように気流吹出し装置の流れ方向に沿う長
さの0.002〜0.08倍に選ばれ、確実に暗騒音の
低減効果を達成することができる。
【0024】請求項4記載の本発明は、各第1案内部の
周方向の間隔および各第2案内部の周方向の各間隔は、
平坦状の気流吹出し部によって予め測定した境界層の厚
さの1.5〜2.5倍に選ばれることを特徴とする。
【0025】本発明に従えば、気流吹出し部に周方向に
境界層の厚さの1.5〜2.5倍の間隔で第1および第2
案内部を形成することによって、主流への伴流の混合を
確実に行い、せん断流の強さを確実に減少させることが
できる。
【0026】前記第1および第2案内部の周方向の各間
隔が境界層の厚さの1.5倍未満であれば、主流が伴流
によって過度に乱され、充分な暗騒音の低減効果を得る
ことができない。また前記間隔が2.5を超えると、主
流と伴流との混合が充分行われなくなり、気流放出に対
する同時性を充分に低減することができなくなり、噴流
騒音に対して充分な低減効果が得られないという不具合
が生じる。したがって上記のように、第2案内部を境界
層の厚さの1.5〜2.5倍の間隔で気流吹出し部に設
けることによって、確実に暗騒音を低減することが可能
となる。
【0027】請求項5記載の本発明は、前記第1および
第2案内部のうち少なくともいずれか一方は、前記気流
の流れ方向下流側になるにつれて拡開していることを特
徴とする。
【0028】本発明に従えば、前記気流吹出し部に周方
向に交互に隣接して設けられる第1および第2案内部の
うち少なくともいずれか一方、すなわち第1および第2
案内部のいずれか一方が、気流の流れ方向下流側になる
につれて拡開して形成される。第1案内部だけが拡開し
て形成される場合には、第1案内部によって主流が流れ
方向下流側になるにつれて外方へ案内されるとともに、
周方向両側へも案内され、この周方向両側へ案内された
気流によって、伴流がより一層撹拌され、流れに対する
周方向の同時性を弱めることができる。
【0029】また、第2案内部が前記気流の流れ方向下
流側になるにつれて拡開して形成される場合には、第2
案内部によって伴流が流れ方向下流側になるにつれて内
方へ案内されるとともに、周方向両側へ案内され、この
周方向両側へ案内された気流によって、主流がより一層
撹拌され、流れに対する周方向の同時性を弱めることが
できる。
【0030】さらに、第1および第2案内部の双方が前
記流れ方向下流側になるにつれて拡開して形成される場
合には、前記第1案内部による伴流の撹拌効果と、前記
第2案内部による主流の撹拌効果とが得られ、さらに気
流に対する周方向の同時性を打ち消すことができる。
【0031】このように第1および第2案内部のうち少
なくともいずれか一方が気流の流れ方向下流側になるに
つれて拡開することによって、主流および伴流の一方ま
たは主流および伴流の双方を撹拌して、気流吹出し部か
ら吹出される気流の周方向の同時性を脆弱化し、噴流騒
音を減収させることができる。
【0032】請求項6記載の本発明は、前記気流吹出し
装置には、気流吹出し部を外囲し、この気流吹出し部か
ら前記流れ方向上流側に延びる筒状の伴流案内カバー体
が設けられることを特徴とする。
【0033】本発明に従えば、前記伴流案内カバー体に
よって、主流の気流吹出し部からの吹出しによって伴流
を発生し易くし、前記気流吹出し部の周囲に生じる伴流
への外乱の影響、たとえば伴流の一部の外方へ拡散ある
いは流速のばらつきなどによるみだれを防止して、安定
して周方向に均一な伴流を生じさせ、確実に主流と伴流
とを混合させて、せん断流による騒音を低減し、暗騒音
を減少させることができる。
【0034】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態の
気流吹出し装置30を示す斜視図である。本実施の形態
の気流吹出し装置30は、後述の図2に示す回流式風洞
41の吹出しノズルとして用いることができ、気流の流
れ方向Aに対して垂直な断面が四角形状の胴部31と、
胴部31の前記流れ方向A上流側の一端部から直角に屈
曲して外方に突出するフランジ32と、このフランジ3
2を後述する風洞本体33の流れ方向A下流側の端部に
設けられるフランジ34に着脱可能に連結する連結手段
35と含む。前記胴部31は、空力音が発生しないよう
に内面が平滑化され、たとえばアルミニウム合金、スチ
ール、複合材またはプラスチックなどの硬質材料から成
る。
【0035】前記気流は、本実施の形態において、後述
の回流式風洞41によって循環される空気をいう。ま
た、前記気流吹出し装置30は、吹出し式風洞に対して
も適用可能であり、この場合、送風機などの気流発生設
備からの吹出し気流が使用される。本実施の形態では、
風洞へ適用したときの一例として、回流式風洞41につ
いて説明する。
【0036】前記連結手段35は、各複数のボルト36
およびナット37によって実現され、各フランジ32,
34に周方向に間隔をあけて形成されるボルト挿通孔に
挿通された各ボルト36の軸部にナット37が螺着さ
れ、各フランジ32,34が、各内周部間で気流を乱さ
ないように、段差のない実質的に連続した内周面を成し
て、着脱可能にフランジ接合される。
【0037】胴部31の流れ方向A下流側の他端部に
は、気流を吹出す吹出し口43を規定する気流吹出し部
38が設けられる。この気流吹出し部38は、前記気流
の流れ方向A下流側になるにつれて外方へ傾斜し、内側
から見て外方へ突出する断面が凹状の第1案内部39
と、前記流れ方向A下流側になるにつれて内方へ傾斜
し、内側から見て手前に突出する断面が逆凹状の第2案
内部40とが、周方向に後述の一定の間隔ΔL3をあけ
て交互に形成される。
【0038】図2は、気流吹出し装置30を備える回流
式風洞41の全体の構成を模式的に示す平面図である。
この回流式風洞41は、内壁が吸音構造とされる計測室
42と、計測室42内で気流の吹出し口43および吸込
み口44が同一軸線上に間隔をあけて対向して設けられ
る、平面形状が略C字状の前記風洞本体33とを有す
る。
【0039】風洞本体33内には、送風機46が設けら
れ、この送風機46は、前記流れ方向Aの気流を風洞本
体33内に発生させ、その気流の風量を、前記吹出し口
43および吸込み口44間の計測領域で実験目的に応じ
た希望する流速が得られるように、調整可能に構成され
ている。
【0040】風洞本体33は、前記吸込み口44から流
れ方向A下流側に向かって、第1拡散部50、第1屈曲
部51、第1直胴部52、第2屈曲部53、第2拡散部
54、第3屈曲部55、第2直胴部56、第4屈曲部5
7、第3直胴部58および縮流部59を有する。
【0041】第1〜第4屈曲部51,53,55,57
には、流れ方向A上流側からの気流をほぼ直角に屈曲さ
せて、流れ方向A下流側に導く各複数の第1〜第4案内
ブレード61〜64がそれぞれ設けられる。また、第1
および第2直胴部52,56には、金網などによって実
現される消音器65,66が設けられる。これらの消音
器65,66は、前記送風機46の運転時に、送風機4
6から発生する振動を吸収して減衰させ、前記振動が風
洞内の空気を伝達媒体として、吹出し口43および吸込
み口44に伝達されて導かれることを防止している。さ
らに、第3直胴部58には、縮流部59よりも流れ方向
Aの上流側で気流を整流する整流器67が設けられる。
【0042】このような風洞本体33の流れ方向A下流
側の端部には、前述したように、連結手段35によって
気流吹出し装置30が設けられる。この気流吹出し装置
30の気流吹出し部38は、前記吹出し口43を規定
し、この吹出し口43から吹出される気流によって、た
とえば鉄道車両模型および航空機模型などのような試験
体68の風洞実験が行われる。
【0043】図3は、気流吹出し部38を図1の切断面
線III−IIIから見た拡大断面図である。前記気流
吹出し部38は、流れ方向Aに沿う軸線方向に長さL1
を有する範囲にわたって、周方向全周にわたって形成さ
れる。この長さL1は、後述の各第2案内部40の内側
への突出量h2の8倍以上に選ばれる。
【0044】このような気流吹出し部38において、前
記外方へ突出する各第1案内部39の突出量h1は、胴
部31のフランジ32寄りの平坦状の基部70の内面7
1aを含む4つの各仮想平面から外側(図3では上方)
へ垂直な方向に、気流吹出し部38の仮想線で示す出口
端における後述の境界層72の厚さTの0.1〜0.5倍
(h1=0.1・T〜0.5・T)に選ばれる。また、
第1案内部39の周方向の間隔ΔL3aは、前述の図1
に示されるように、気流吹出し部38の出口端における
境界層72の厚さTの1.5〜2.5倍(ΔL3a=1.
5・T〜2.5・T)に選ばれる。
【0045】また、前記気流吹出し部38において、内
方へ突出する各第2案内部40は、上記の各第1案内部
39間に周方向に一体的に連なって形成され、内方(図
3では下方)への突出量h2は、前記基部70の内面7
1bを含む4つの各仮想平面から気流吹出し部38の前
記出口端における境界層72の厚さTの0.1〜0.5倍
(h2=0.1・T〜0.5・T)に選ばれる。さら
に、各第2案内部40の周方向の間隔ΔL3bは、前述
の図1に示されるように、気流吹出し部38内の境界層
72の厚さTの1.5〜2.5倍(ΔL3=1.5・T〜
2.5・T)に選ばれる。
【0046】上記の境界層72は、仮想線で示されるよ
うに、気流吹出し部38に第1および第2案内部39,
40が形成されていない状態で、前記気流吹出し部38
に生じる境界層であって、この境界層72の厚さTを予
め測定し、あるいは第1および第2案内部39,40が
形成されていない別途の気流吹出し装置を用いて、前記
境界層72の厚さTを測定しておき、こうして得られた
境界層72の厚さTに基づいて、前記第1および第2案
内部39,40の外方および内方への各突出量h1,h
2が、上記のようにそれぞれ決定される。なお、前記第
1および第2案内部39,40が形成されていない気流
吹出し部は、次に本実施の形態に対する比較例として示
す図4(1)の気流吹出し部38’に相当する。
【0047】図4は、本実施の形態の気流吹出し部38
および比較例の気流吹出し部38’から吐出された気流
の流速分布を示す図であり、図4(1)は比較例の気流
吹出し部38’から吹出された気流の流速分布を示し、
図4(2)は本実施の形態の第1および第2案内部3
9,40が形成された気流吹出し部38から吹出された
気流の流速分布を示す。図4(1)に示されるように、
本実施の形態でいう第1および第2案内部39,40が
形成されていない比較例の平坦筒状の気流吹出し部3
8’では、境界層72の気流の撹拌による混合がほとん
ど発生しないため、中央の主流に対して周縁の気流は、
壁面に近づくにつれて急激に速度V1が減少し、強い渦
を発生し易く、さらにせん断流が強くなり、渦騒音およ
び噴流騒音を発生する。
【0048】これに対して本実施の形態では、図4
(2)に示されるように、気流吹出し部38には交互に
第1案内部39と第2案内部40とが形成されるので、
境界層72の気流が撹拌されて混合し、境界層72の厚
みを積極的に増加させ、主流に対して周縁部の流速V2
は緩やかに減少する。これによってせん断流による噴流
騒音が減少する。
【0049】図5は、本実施の形態の気流吹出し部38
および比較例の気流吹出し部38’から放出される各気
流の状態を示す図であり、図5(1)は比較例の気流吹
出し部38’から放出された気流の状態を示し、図5
(2)は本実施の形態の気流吹出し部38から放出され
た気流の状態を示す。図5(1)に示されるように、本
実施の形態でいう第1および第2案内部39,40が形
成されていない比較例の平坦筒状の気流吹出し部38’
では、大きな渦が、矢符F1で示されるように、同時に
放出される。
【0050】これに対して、図5(2)に示されるよう
に、第1案内部39と第2案内部40とが交互に形成さ
れる本実施の形態の気流吹出し部38では、この気流吹
出し部38の内側の早い流れの気流が、第1案内部39
によって、矢符F2で示されるように外側に放出され、
外側の遅い流れの気流が第2案内部40によって、矢符
F3で示されるように、内側に放出されるので、渦が周
方向に分断され、渦放出の同時性がなくなり、これによ
って渦騒音が減衰される。
【0051】図6は、本件発明者による暗騒音の低減効
果を確認するための実験における測定条件を簡略化して
示す平面図である。本件発明者は、前述の図2に示され
るような風洞41を模擬した実験設備によって、図5お
よび図6で比較例として述べた平坦筒状の気流吹出し部
38’を有する気流吹出し装置(比較例)、および前記
第1案内部39と第2案内部40とが周方向に交互に形
成された本実施の形態の気流吹出し部38を有する気流
吹出し装置(実施例)を、それぞれ模擬気流吹出し装置
Jとして風洞本体33に順次付け換えて、集音マイクM
によって計測した。
【0052】風洞本体33の気流の流れ方向下流側に
は、コレクタCを同一軸線上に配置し、風洞本体33に
装着された模擬気流吹出し装置Jから吹出される気流の
速度を変化させた場合(後述の図7)、および前記模擬
気流吹出し装置Jから一定の速度(=300km/h)
で気流を放出した場合(後述の図8)について、暗騒音
の低減効果を確認した。前記集音マイクMは、模擬気流
吹出し装置JおよびコレクタCの中心軸線を含む仮想一
水平面上で、模擬吹出し装置Jの有効内径Dに対して、
模擬吹出し装置Jの下流側端部からコレクタC側に1
D、前記中心軸線から一側方に1.5Dの位置に設置し
た。次に、その測定結果について述べる。
【0053】図7は、風速変化に対して集音マイクMに
よって測定された騒音レベル[dBA]と風速[m/sec]と
の関係を示すグラフである。同図において、ラインaは
比較例として上記の平坦筒状の模擬気流吹出し装置Jを
用いて風速を変化させながら音圧レベルを測定したとき
の結果を示し、ラインbは実施例として上記の第1およ
び第2案内部39,40が形成される模擬気流吹出し装
置Jを用いて風速を変化させながら音圧レベルを測定し
たときの測定結果を示す。同図から明らかなように、本
実施例の暗騒音低減効果が確認された。
【0054】図8は、1/3オクターブバンド中心周波
数について集音マイクMによって測定された騒音レベル
の変化を示すグラフである。同図において、ラインdは
比較例を示し、ラインeは実施例を示す。このような1
/3オクターブバンド中心周波数[Hz]において、本実施
例の低減効果が低周波領域で高いことが確認された。
【0055】以上のような構成によれば、気流吹出し部
38から吹出される気流は、第1案内部39によって主
流の速い流れが外方へ導かれ、第2案内部40によって
伴流の遅い流れが内方へ導かれ、これらの主流と伴流と
を混合することができる。この混合によって、気流吹出
し部から吹出された気流のうち、ポテンシャルコアの周
囲に形成される乱流拡散層のせん断流の強さ、すなわち
主流と伴流との速度の変化率が緩和されることによっ
て、せん断流に起因する騒音が抑制されて、噴流騒音が
低減される。
【0056】また、前記第1案内部39と第2案内部4
0とが気流吹出し部38に設けられるので、前記気流吹
出し部38内の境界層72を、層流境界層から乱流境界
層に変化させて、周方向に流れの流体力学的挙動の同時
性を弱め、気流吹出し部38から放出される流れを、非
一様化する。このような周方向の流れの非一様化によっ
て、気流吹出し部38から同時に放出される大きな渦を
細かく分断し、渦放出に起因する騒音が抑制され、渦騒
音が低減される。
【0057】さらに気流吹出し部38には、周方向に予
め、または別途に測定した境界層72の厚さTの1.5
〜2.5倍以下の間隔ΔL3a,ΔL3bで、第1およ
び第2案内部39,40を形成することによって、主流
と伴流との混合を確実に行い、せん断流の強さを確実に
緩和することができる。
【0058】前記第1案内部39の外方への突出量h1
が境界層72の厚さTの0.1倍未満であれば、気流吹
出し部38の周囲の空気に向けて導かれて混合する主流
が極端に少なくなり、実質上、噴流騒音の効果的な低減
を図ることができない。また、前記第1案内部39の突
出量h1が前記境界層72の厚さTの0.5倍を超える
と、第1案内部39によって外方へ放散される気流が過
度に多くなって主流、すなわち層流域に影響を与え、流
れを乱してしまうという不具合が生じる。
【0059】第2案内部40の周方向の間隔ΔL3が境
界層72の厚さTの1.5倍未満であれば、主流が伴流
によって過度に乱され、充分な暗騒音の低減効果を得る
ことができない。また前記間隔ΔL3が2.5を超える
と、前記第2案内部40によって主流に向けて供給され
る伴流が少なくなり、主流と伴流との混合が充分行われ
なくなり、噴流騒音に対して充分な低減効果が得られな
いという不具合が生じる。したがって上記のように、第
2案内部40を境界層72の厚さTの1.5〜2.5倍
の間隔ΔL3で気流吹出し部38に設けることによっ
て、確実に暗騒音を低減することが可能となる。
【0060】さらに気流吹出し部38に内方への突出量
h2が境界層72の厚さTの0.1〜0.5倍の第2案内
部40が形成されることによって、確実に暗騒音の低減
効果を達成することができる。この第2案内部40の突
出量h2が前記境界層72の厚さTの0.1倍未満であ
れば、主流に向けて導かれて混合する伴流が極端に少な
くなり、実質上、噴流騒音の低減効果を得ることができ
ない。
【0061】また、前記第2案内部40の突出量h2が
前記境界層72の厚さTの0.5倍を超えると、第2案
内部40は主流、すなわち層流域に影響を与え、流れを
乱してしまうという不具合が生じる。そのため、第2案
内部40の突出量h2は、上記のように境界層72の厚
さTの0.1〜0.5倍とすることによって、確実に暗騒
音の低減効果を達成することができる。
【0062】このようにして噴流騒音および渦騒音が低
減されるので、気流吹出し部38から吹出された気流、
すなわち噴流による暗騒音の発生が抑制され、前記従来
の技術に比べて、暗騒音に対してより高い低減効果を達
成することができる。
【0063】さらに本発明の実施の他の形態では、上記
の実施の形態に加えて、図9の縦断面図に示されるよう
に、風洞本体33の気流の流れ方向A下流側の端部と、
気流吹出し装置30とを外囲する筒状の伴流案内カバー
体48を、前記気流吹出し装置30の軸線と同軸に設
け、各フランジ32,34を前記流れ方向Aに滑らかな
流線形状の案内面49aを有する伴流内カバー体49に
よって覆うように構成される。
【0064】前記伴流案内カバー体48の流れ方向A下
流側端部には、前記気流吹出し装置30の第1および第
2案内部39,40にそれぞれ対応して同一の間隔ΔL
3で、内方および外方に凹および凸となる第1および第
2伴流案内部139,140が周方向に交互に形成され
る。
【0065】上記伴流案内カバー体48によって、気流
吹出し装置30の気流吹出し部38から吹出された気流
によって発生する伴流に対する外乱の影響を少なくして
流れを安定化することができる。また、伴流案内カバー
体48に第1および第2伴流案内部139,140が第
1および第2案内部39,40に設けられるので、第1
および第2案内部39,40によって、前述の図5
(2)のように、外向きおよび内向きに導かれる気流F
2,F3を形成し易くし、確実に主流と伴流とを混合し
て前記せん断流に起因する暗騒音を低減することができ
る。さらに、各フランジ32,34が第2伴流内カバー
体49によって覆われるので、各フランジ32,34に
よる気流の乱れが防がれ、より一層、伴流を安定して形
成することができる。
【0066】本発明の実施の他の形態では、図9の実施
の形態の伴流案内カバー体48において、第1および第
2伴流案内部139,140を設けず、流れ方向B上流
側から下流側へ略平坦な曲面または平面で一様に連なる
構成であってもよい。
【0067】上記の図9の実施の形態において、伴流案
内カバー体48と気流吹出し装置30との間の空間に、
気流Bの気流発生源として、前記風洞本体33の気流を
導くようにしてもよく、また別途に送風機または圧縮器
などによって実現される送風設備を用いて、気流の流量
を暗騒音が最小となるように制御する構成であってもよ
い。
【0068】本発明の実施のさらに他の形態では、第1
および第2案内部39,40の外方および内方への突出
量h1,h2は、気流吹出し装置30の前記気流の流れ
方向Aに沿う長さL(図1および図9参照)の0.00
2〜0.08倍に選ばれてもよい。
【0069】このような構成によれば、前記第1案内部
39の外方への突出量h1が、前記流れ方向Aに沿う長
さLの0.002倍未満であれば、主流に向けて導かれ
て混合する伴流が極端に少なくなり、実質上、噴流騒音
の効果的な低減を図ることができない。また、前記第1
案内部39の突出量h1が前記流れ方向Aに沿う長さL
の0.08倍を超えると、第1案内部39によって外方
へ放散される気流が過度に多くなって主流、すなわち層
流域に影響を与え、流れを乱してしまうという不具合が
生じる。
【0070】また、第2案内部40の内方への突出量h
2が、前記流れ方向Aに沿う長さLの0.002倍未満
であれば、主流に向けて導かれて混合する伴流が極端に
少なくなり、実質上、噴流騒音の効果的な低減を図るこ
とができない。さらに、前記第2案内部40の突出量h
2が前記流れ方向Aに沿う長さLの0.08倍を超える
と、第2案内部40は主流、すなわち層流域に影響を与
え、流れを乱してしまうという不具合が生じる。
【0071】したがって第1および第2案内部39,4
0の各突出量は、上記のように気流吹出し装置30の流
れ方向Aに沿う長さLの0.002〜0.08倍に選ば
れ、確実に暗騒音の低減効果を達成することができる。
【0072】本発明の実施の他の形態では、第1および
第2案内部39,40は半円錐形に限らず、その他の形
状、たとえば半四角錘形、三角錐形およびその他の多角
錘形であってもよく、同様な効果を達成することができ
る。このように前記第1および第2案内部のうち少なく
ともいずれか一方は、前記半円錐形、半四角錘形、三角
錐形およびその他の多角錘形などの気流の流れ方向A下
流側になるにつれて拡開している形状とされてもよく、
さらに、前記気流吹出し部38に周方向に交互に隣接し
て設けられる第1および第2案内部39,40のうち少
なくともいずれか一方が、気流の流れ方向A下流側にな
るにつれて拡開して形成されてもよい。
【0073】第1案内部39だけが拡開して形成される
場合には、第1案内部39によって主流が流れ方向下流
側になるにつれて外方へ案内されるとともに、周方向両
側へも案内され、この周方向両側へ案内された気流によ
って、伴流がより一層撹拌され、流れに対する周方向の
同時性を弱めることができる。
【0074】また、第2案内部40だけが拡開して形成
される場合には、第2案内部40によって伴流が流れ方
向A下流側になるにつれて内方へ案内されるとともに、
周方向両側へ案内され、この周方向両側へ案内された気
流によって、主流がより一層撹拌され、流れに対する周
方向の同時性を弱めることができる。
【0075】さらに、第1および第2案内部39,40
の双方が前記流れ方向A下流側になるにつれて拡開して
形成される場合には、前記第1案内部39による伴流の
撹拌効果と、前記第2案内部40による主流の撹拌効果
とが得られ、さらに気流に対する周方向の同時性を打ち
消すことができる。
【0076】このように第1および第2案内部39,4
0のうち少なくともいずれか一方が気流の流れ方向下流
側になるにつれて拡開することによって、主流および伴
流の一方または主流および伴流の双方を撹拌して、気流
吹出し部から吹出される気流の周方向の同時性を脆弱化
し、噴流騒音を減収させることができる。
【0077】本発明は、風洞実験設備だけでなく、トン
ネル換気塔および空調ダクトなどの気流吹出し口として
好適に実施することができる。このような場合において
も、同様に暗騒音を確実に低減することができるととも
に、円滑かつ安定して気流を排出することができる。
【0078】
【発明の効果】請求項1記載の本発明によれば、噴流騒
音および渦騒音の両者がともに低減されるので、気流吹
出し部から吹出された気流、すなわち噴流による暗騒音
の主な発生原因となるせん断流および渦の挙動が脆弱化
され、前記従来の技術に比べて、暗騒音のより高い低減
効果を達成することができる。
【0079】請求項2記載の本発明によれば、境界層の
厚さの0.1〜0.5倍とすることによって、より確実に
暗騒音の低減効果を達成することができる。
【0080】請求項3記載の本発明によれば、第1およ
び第2案内部の各突出量が気流吹出し装置の流れ方向に
沿う長さの0.002〜0.08倍に選ばれるので、確
実に暗騒音の低減効果を達成することができる。
【0081】請求項4記載の本発明は、第2案内部を境
界層の厚さの1.5〜2.5倍の間隔で気流吹出し部に
設けることによって、確実に暗騒音を低減することが可
能となる。
【0082】請求項5記載の本発明によれば、第1およ
び第2案内部のうち少なくともいずれか一方が気流の流
れ方向下流側になるにつれて拡開して形成されるので、
主流と伴流とを撹拌して、気流吹出し部から吹出される
気流の周方向の同時性を低下させ、噴流騒音を減収させ
ることができる。
【0083】請求項6記載の本発明によれば、伴流案内
カバー体によって、主流の気流吹出し部からの吹出しに
よって伴流を発生し易くし、気流吹出し部の周囲に生じ
る伴流への外乱の影響、たとえば伴流の一部の外方へ拡
散あるいは流速のばらつきなどによるみだれを防止し
て、安定して周方向に均一な伴流を生じさせ、確実に主
流と伴流とを混合させて、せん断流による騒音を低減
し、暗騒音を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の気流吹出し装置30を
示す斜視図である。
【図2】気流吹出し装置30を備える回流式風洞41の
全体の構成を模式的に示す平面図である。
【図3】気流吹出し部38を図1の切断面線III−I
IIから見た拡大断面図である。
【図4】本実施の形態の気流吹出し部38および比較例
の気流吹出し部38’から吐出された気流の流速分布を
示す図であり、図4(1)は比較例の気流吹出し部3
8’から吹出された気流の流速分布を示し、図4(2)
は本実施の形態の第1および第2案内部39,40が形
成された気流吹出し部38から吹出された気流の流速分
布を示す。
【図5】本実施の形態の気流吹出し部38および比較例
の気流吹出し部38’から放出される各気流の状態を示
す図であり、図5(1)は比較例の気流吹出し部38’
から放出された気流の状態を示し、図5(2)は本実施
の形態の気流吹出し部38から放出された気流の状態を
示す。
【図6】本件発明者による暗騒音の低減効果を確認する
ための実験における測定条件を簡略化して示す平面図で
ある。
【図7】風速変化に対して集音マイクMによって測定さ
れた騒音レベル[dBA]と風速[m/sec]との関係を示す
グラフである。
【図8】1/3オクターブバンド中心周波数について集
音マイクMによって測定された騒音レベルの変化を示す
グラフである。
【図9】本発明の実施の他の形態を示す縦断面図であ
る。
【図10】従来の技術の低騒音風洞1の一部を模式的に
示す断面図である。
【図11】暗騒音を低減するための従来の技術の風洞に
備えられるノズル3の吹出し口3aの一部を示す斜視図
である。
【符号の説明】 30 気流吹出し装置 31 胴部 32 フランジ 33 風洞本体 34 フランジ 38 気流吹出し部 39 第1案内部 41 回流式風洞 42 計測室 43 吹出し口 44 吸込み口 45 風洞本体 46 送風機 48 伴流外カバー体 49 伴流内カバー体 49a 案内面 50 第1拡散部 51 第1屈曲部 52 第1直胴部 53 第2屈曲部 54 第2拡散層 55 第3屈曲部 56 第2直胴部 57 第4屈曲部 58 第3直胴部 59 縮流部 61〜64 第1〜第4案内ブレード 65,66 消音器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 白銀 英之 兵庫県神戸市中央区東川崎町3丁目1番1 号 川崎重工業株式会社神戸工場内 Fターム(参考) 2G023 AA01 AB07 AB13 3L080 BE02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気流を吹出す気流吹出し部に、前記気流
    の流れ方向に延びかつ前記気流を流れ方向下流側になる
    につれて外方へ案内する第1案内部と、前記流れ方向に
    延びかつ前記気流を流れ方向下流側になるにつれて内方
    へ案内する第2案内部とを、周方向に交互に設けること
    を特徴とする気流吹出し装置。
  2. 【請求項2】 第1案内部の外方への突出量および第2
    案内部の内方への突出量は、平坦状の気流吹出し部によ
    って予め測定した境界層の厚さの0.1〜0.5倍に選ば
    れることを特徴とする請求項1記載の気流吹出し装置。
  3. 【請求項3】 第1案内部の外方への突出量および第2
    案内部の内方への突出量は、気流吹出し装置の前記気流
    の流れ方向に沿う長さの0.002〜0.08倍に選ば
    れることを特徴とする請求項1記載の気流吹出し装置。
  4. 【請求項4】 各第1案内部の周方向の間隔および各第
    2案内部の周方向の間隔は、平坦状の気流吹出し部によ
    って予め測定した境界層の厚さの1.5〜2.5倍に選ば
    れることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記
    載の気流吹出し装置。
  5. 【請求項5】 前記第1および第2案内部のうち少なく
    ともいずれか一方は、前記気流の流れ方向下流側になる
    につれて拡開していることを特徴とする請求項1〜4の
    いずれか1つに記載の気流吹出し装置。
  6. 【請求項6】 前記気流吹出し装置には、気流吹出し部
    を外囲し、この気流吹出し部から前記流れ方向上流側に
    延びる筒状の伴流案内カバー体が設けられることを特徴
    とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の気流吹出し
    装置。
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