JP2002227842A - 軸受及びその製造方法 - Google Patents

軸受及びその製造方法

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JP2002227842A
JP2002227842A JP2001020493A JP2001020493A JP2002227842A JP 2002227842 A JP2002227842 A JP 2002227842A JP 2001020493 A JP2001020493 A JP 2001020493A JP 2001020493 A JP2001020493 A JP 2001020493A JP 2002227842 A JP2002227842 A JP 2002227842A
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sliding
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JP2001020493A
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English (en)
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Masahiro Saito
正弘 齋藤
Yoshiharu Murata
義春 村田
Masayuki Ishikawa
昌幸 石川
Kazuhide Matsumoto
一秀 松本
Kazutoshi Takaishi
和年 高石
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C2300/00Application independent of particular apparatuses
    • F16C2300/30Application independent of particular apparatuses related to direction with respect to gravity
    • F16C2300/34Vertical, e.g. bearings for supporting a vertical shaft

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  • Coating By Spraying Or Casting (AREA)
  • Sliding-Contact Bearings (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】複合層を設けて軸受台金とホワイトメタルとの
機械的、冶金的な密着性を高めることができると共に、
長寿命で信頼性を向上させることにある。 【解決手段】回転または往復運動可能な軸5を支承し、
且つ軸受台金上4に形成され軸との接触面にホワイトメ
タル摺動部を有する軸受において、前記ホワイトメタル
摺動層として、種類の異なる複数の金属材料を複合した
複合化層7及びこの複合化層直上に形成される摺動層6
で構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水車、ガスタービ
ン、蒸気タービン、ディーゼルエンジン、モータ、ポン
プ等の回転体を支承するスラスト軸受又はジャーナル軸
受及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のジャーナル軸受は、一般に図9
(a)に示すように軸受金42aとハウジング43で構
成される。軸受金42aは軸受台金42と摺動部で構成
され、その外部はハウジング43で支えられ、その内部
の摺動部により軸44を支承している。軸受ハウジング
43はキャップと本体の2つから成り、軸受金42aを
支持する。この時、熱伝導を良くするため、軸受金42
aとハウジング43とは密着させる必要がある。
【0003】また、ジャーナル軸受41は、油膜の動圧
を利用してジャーナルを支持する軸受で、軸受金42a
の摺動特性を高めるため、油潤滑などの方式がとられ、
摩擦係数の低減や摩耗防止を行っている。
【0004】一方、スラスト軸受45は、図9(b)に
示すように軸受台金46上に複数のパッド47を配列
し、スラスト面が固定している形式のもので、隙間が一
様で構造が簡単である。但し、油膜の発達が良くないの
で、軸受圧を低めにする必要がある。
【0005】ところで、軸受材料としては、軸と軸受が
潤滑膜を介して摺動する場合、軸の起動・停止、その他
の変動荷重を受けると潤滑膜が破壊し易く、特に油膜が
切れることが多いことから、特殊な性能を有する軸受材
料が必要である。
【0006】また、軸受材料に要求される性能として
は、軸受性能、熱性能、工作性能である。軸受性能とは
軸受材料に必要な特殊な性能を言い、耐荷重性、耐摩耗
性および馴染み性から成り立つ。
【0007】静荷重に対しては、材質は単に常温および
使用時に達する最高温度における耐圧だけが十分であれ
ば良い。動的荷重に対しては、特に衝撃力、疲労強度な
ども直接影響する。
【0008】例えば、内燃機関の連接棒大端部軸受のよ
うな場合には衝撃荷重を受ける。一般に、機械的強度が
高いと耐荷重性も良く一致している。
【0009】軸受の耐摩耗性の要件としては、機械的強
度が良好であることである。摩耗は固体の一部が取り去
られる機械的破壊であり、機械的強度が常温、高温に関
わらず良好でなければならない。また、耐食性の良いこ
とが挙げられる。摩耗は摺動面で生じるため、油に腐食
された腐食生成物(化合物)が取り去られ易いか、酸化
物が脱落し易いような材料は、機械的強度が良好でも摩
耗しやすい。
【0010】このような化学摩耗に対しては、耐食性お
よび耐酸化性の良いことが必要であり、また融点が高い
ことも必要である。摩擦熱によって材質が弱体化したり
溶融したりすると、摩擦面が荒れて溶融摩耗となるた
め、融点の高い材料であることが必要である。
【0011】さらに、軸受面は軸側の形状、変形などに
馴染む順応性を必要とするので、次の性質を有しなけれ
ばならない。
【0012】(1)ある程度の柔らかさ、脆さを有する
こと。
【0013】(2)塑性加工を受けても加工硬化しない
こと。
【0014】(3)剪断力が小さいこと。
【0015】(4)腐食生成物や酸化物が容易に流動脱
落すること。
【0016】硬い材料の摩耗粉や異物が軸と軸受面との
摺動面に介在しても、摩擦面が損傷しないように、必要
があればこれらの摩擦粉や異物を完全に埋め込むことの
できる埋め込み性が必要である。機械的馴染み性に関し
ては、材質は機械的に弱く、加工硬化性のない方が良
い。
【0017】また、軸受面は油膜を強固に保持する性質
を有していなければならない。軸受材料が多少油脂に侵
され、その化学反応生成物皮膜が油膜を保持する。金属
の乾燥摩擦でも、酸化膜の存在で馴染み性が生じる。化
学的馴染み性では、材質がその雰囲気や油脂と多少とも
化学的に結合しやすい性質が良い。馴染み性と耐摩耗性
とは相反する性質を有する。
【0018】さらに、軸受け温度が上昇しても隙間に変
化が起こらないこと。すなわち、軸受け材料の熱膨張係
数と相手の軸側の材質、主として鋼の熱膨張係数との差
が小さいことが必要である。鋼に軸受材料を薄く内張り
する場合には、熱膨張係数の差の問題はほとんど考える
必要はない。熱膨張係数が大なるものは、変形の点で精
密軸受用としては不適当である。また、摩擦熱を速く放
散するためには、熱伝導度の良いことが必要である。
【0019】熱伝導度が小さいことは、高速・高荷重用
としては適していない。熱伝導度の低いことを補うに
は、強制油冷却か水潤滑にする。
【0020】一方、工作性能として裏金に軸受合金、例
えばホワイトメタルを内張りするには、それらの密着性
が軸受の寿命に影響する。密着性は主として合金の場合
に問題となり、融着性または接着性とも言う。密着性の
良いこと、すなわち密着力の強いことが必要である。一
般に、軸受台金とホワイトメタルとの密着力は50〜8
0MPaである。
【0021】この密着性を向上させる方法としては、特
開平8−193568号公報及び特開平9−10985
号公報に記載されているように拡散層を設けて密着性を
向上させる方策が提案されている。
【0022】一般に、ジャーナル軸受やスラスト軸受台
金の基材面には、ホワイトメタルが鋳造法によってライ
ニングされている。この製造方法は軸受台金を約80℃
の有機溶剤に浸漬して、十分な脱脂処理を行った後、軸
受台金の基材表面にSnメッキまたはSn半田を下地処
理として施した後に、Sn、Sb、Cuで構成するホワ
イトメタルを鋳造法や遠心鋳造法によってライニングし
ている。
【0023】また、現在ホワイトメタルの鋳造法に替え
て溶射法によるホワイトメタルの形成を行い、製造コス
トの低減や信頼性の向上を図っている。溶射法は、比較
的簡単に軸受台金上にホワイトメタルを形成することが
でき、鋳造法に比較して前処理である錫めっきなどの煩
雑な作業行程が少なくできる。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来
の技術では種々の問題がある。
【0025】例えば、軸と軸受が潤滑膜(油等)を介し
て摺動するタイプの軸受の場合、軸の起動・停止、その
他の変動荷重により、油膜が切れるなどの潤滑膜が破壊
する場合が多く、摺動面にかじりや焼き付きの現象の
他、き裂あるいは剥離などの損傷が生じる。特に油膜が
切れる場合が多いので、特殊な性能を有する軸受材料が
必要である。
【0026】ホワイトメタルを形成するための鋳造法で
は、鋳造後の冷却時に冷却速度の差により台金基材界面
のホワイトメタルと表面層のホワイトメタルの組織に有
意差が生じる。
【0027】すなわち、表面層では偏析が多く、欠陥が
発生しやすい組織となる。このため、鋳造時にはホワイ
トメタルライニング層を厚くし、機械加工により表面の
偏析層を除去しているが、完全に除去できないのが現実
である。また、軸受は偏荷重を受けると、ホワイトメタ
ル層に局部的な衝撃破壊や摩耗損傷が発生する。
【0028】このため、これら損傷した部位の補修が必
要であるが、鋳造法では局部的な損傷部についてのみホ
ワイトメタルをライニングすることが困難あり、損傷し
た軸受は、ホワイトメタルを全て除去後、再度鋳造法に
よるライニング層を形成しており、補修期間の増加によ
る高い補修コストを強いられている。
【0029】さらに、鋳造法は前処理として大量の有機
溶剤の使用や、下地処理の錫メッキ、半田処理を行うた
め、環境の観点から作業性は劣悪である。
【0030】一方、溶射法によるホワイトメタルの形成
では、用いるホワイトメタル材料が低融点でかつ軟質材
料のため、比較的硬い軸受台金上に直接溶射しても、ホ
ワイトメタルの食い込みが悪く、機械的な密着力の不足
によるホワイトメタル層の剥離を生じる問題がある。溶
射法では、低入熱の施工条件を用いるために、軸受台金
の温度も200℃以下に抑えられ、このためホワイトメ
タルと軸受台金との拡散反応は期待できず、密着力は低
い。
【0031】本発明は、かかる問題に鑑みてなされたも
ので、複合層を設けて軸受台金とホワイトメタルとの機
械的、冶金的な密着性を高めることができると共に、長
寿命で信頼性の高い軸受及びその製造方法を提供するこ
とを目的としている。
【0032】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達
成するため、次のような構成の軸受及び軸受の製造方法
とするものである。
【0033】請求項1に対応する発明は、回転または往
復運動可能な軸を支承し、且つ軸受台金上に形成され軸
との接触面にホワイトメタル摺動部を有する軸受におい
て、前記ホワイトメタル摺動層として、種類の異なる複
数の金属材料を複合した複合化層及びこの複合化層直上
に形成される摺動層で構成する。
【0034】このような構成の軸受とすれば、軸受台金
に対し複合化した材料が強固に食い込み、軸受台金と複
合化層との密着性が高くなり、軸受起動、停止時の荷重
変動に対するホワイトメタルの剥離を防止することがで
きると共に、軸との摩擦熱を軸受台金に素早く伝達し、
摩擦熱による軸受損失を低減することができる。
【0035】請求項2に対応する発明は、請求項1に対
応する発明の軸受において、軸受台金直上に形成される
複合化層及び複合化層直上の摺動層の材料として、S
n、Sb、Cu、Ni、Cr、Co、Mo、V、Al、
W、C、Fe、Ti、Al 、Si、Si
C、SiO、TiO、ZrO、Cr、Cr
、MgO2、WC、NbC、VCのいずれか1種
または2種以上の材料を複合して用いる。
【0036】このような構成の軸受とすれば、機械的強
度が高く、耐荷重性、耐摩耗性、馴染み性が高く、摩擦
熱による耐熱性が向上すると共に、軸受台金に対して強
固に食い込むことのできる複合化層を形成することがで
きるため、軸受台金との密着性を向上させることができ
る。
【0037】請求項3に対応する発明は、請求項1又は
請求項2に対応する発明の軸受において、軸受台金直上
の複合化層及び複合化層直上の摺動層を形成する材料の
複合比を軸との摺動面に向けて傾斜させる。
【0038】このような構成の軸受とすれば、軸受台金
と複合化層との密着性が高くなり、軸受起動、停止時の
荷重変動に対するホワイトメタルの剥離を防止すること
ができると共に、軸との摩擦熱を軸受台金に素早く伝達
し、摩擦熱による軸受損失を低減することができる。
【0039】請求項4に対応する発明は、請求項1乃至
請求項3のいずれかに対応する軸受の製造方法におい
て、軸受台金直上の複合化層及び複合化層直上の摺動層
を形成するに際して、溶射、レーザー、溶接肉盛鋳造、
焼結のいずれか1種または2種以上のプロセスを複合し
て用いることにより、軸受台金直上の複合化層及び複合
化層直上の摺動層を形成する。
【0040】このような軸受の製造方法によれば、複合
化層中にSn、Sb、Cu、NiCr、Co、Mo、
V、Al、W、C、Fe、Ti、Al、Si
、SiCSiO、TiO、ZrO、Cr
、Cr、MgO2、WC、NbC、VCの
ずれか1種または2種以上の材料が、複合化層中に微細
に均一分散した層を形成することができ、軸受台金と複
合化層および摺動層との密着性を向上させることができ
る。
【0041】請求項5に対応する発明は、請求項1乃至
請求項3のいずれかに対応する軸受の製造方法におい
て、軸受台金直上の複合化層及び複合化層直上の摺動層
を溶射法により形成するに際して、アーク溶射法、大気
プラズマ溶射法、ガス溶射法、高速フレーム溶射法、超
高速フレーム溶射法のいずれか1種または2種以上のプ
ロセスを複合して用いることにより、軸受台金直上の複
合化層及び複合化層直上の摺動層を形成する。
【0042】このような軸受の製造方法によれば、種々
の溶射材料を用いることができ、軸受の性能を低下させ
ることなく軸受台金直上の複合化層および摺動層を形成
することができる。
【0043】請求項6に対応する発明は、請求項1乃至
請求項3のいずれかに記載の軸受の製造方法において、
軸受台金直上の複合化層および複合化層直上の摺動層を
溶射法により形成する際の溶射材料供給方式として、粉
末供給方式、ワイヤ−供給方式のいずれか1種または2
種以上の溶射材料供給方式を用いる。
【0044】このような軸受の製造方法によれば、軸受
形状・寸法の変化、施工現場状況変化、雰囲気環境変化
にしたがって、その都度摺動特性に優れた材料を適宜採
用することができるため、軸受性能を低下させることな
く軸受台金直上の複合化層および摺動層を形成すること
ができる。
【0045】請求項7に対応する発明は、請求項1乃至
請求項3のいずれかに対応する発明の軸受の製造方法に
おいて、軸受台金直上の複合化層および複合化層直上の
摺動層を溶射法により形成するに際して、Sn、Sb、
Cuを主成分とするホワイトメタル溶射粉末を溶射ガン
の外部先端からフレーム中に供給する外部供給方式と
し、且つホワイトメタル溶射粉末と複合する他の溶射粉
末を溶射ガン燃焼室近傍から内筒に供給する内部供給方
式とする。
【0046】このような軸受の製造方法とすれば、軸受
台金直上の複合化層をホワイトメタル溶射粉末と他の溶
射粉末との混合を微細に均一分散させて形成することが
でき、軸受台金直上の複合化層および摺動層の密着性を
向上させることができる。
【0047】請求項8に対応する発明は、請求項1に対
応する発明の軸受の製造方法において、軸受台金直上の
複合化層および複合化層直上の摺動層を溶射法により形
成する際、溶射粉末の構造として、Sn、Sb、Cuを
主成分とするホワイトメタル球状母粒子中に、軸受台金
材料の組成と同成分の材料または、Ni、Cr、Co、
Mo、V、Al、W、C、Fe、Ti、Al、S
、SiC、SiO、TiO、ZrO、C
、Cr、MgO2、WC、NbC、VC
のいずれか1種または2種以上の材料を複合して子粒子
とし、混合または分散させる。
【0048】このような軸受の製造方法とすれば、軸受
台金直上の複合化層をホワイトメタル溶射粉末と他の溶
射粉末との混合を微細に均一分散させて形成することが
でき、軸受台金直上の複合化層および摺動層の密着性を
向上させることができる。
【0049】請求項9に対応する発明は、請求項1に対
応する発明の軸受の製造方法において、軸受台金直上の
複合化層および複合化層直上の摺動層を溶射法により形
成する際、溶射粉末の構造として、軸受台金材料の組成
と同成分の材料または、Sn、Sb、Cu、Ni、C
r、Co、Mo、V、Al、W、C、Fe、Ti、Al
、Si、SiC、SiO、TiO、Z
rO、Cr、Cr、MgO2、WC、N
bC、VCのいずれか1種または2種以上の材料を複合
した球状母粒子中に、Sn、Sb、Cuを主成分とする
ホワイトメタル材料を子粒子として、混合または均一に
微細分散させる。
【0050】このような軸受の製造方法によれば、軸受
台金直上の複合化層をホワイトメタル溶射粉末と他の溶
射粉末との混合を微細に均一分散させて形成することが
でき、軸受台金直上の複合化層および摺動層の密着性を
向上させることができる。
【0051】請求項10に対応する発明は、請求項5乃
至請求項9のいずれかの項に記載の軸受の製造方法にお
いて、軸受台金上に形成される複合化層を溶射法により
形成する摺動層の組織として、α相、β相、ε相の3相
を有した組織とする。
【0052】このような軸受の製造方法によれば、引張
強度、クリープ強度、疲労強度の低下を防止すると共
に、き裂や剥離の発生による摺動面の破壊を防止するこ
とができる。
【0053】請求項11に対応する発明は、請求項1乃
至請求項3のいずれかに記載の軸受において、軸との接
触部である軸受台金上に形成される複合化層および摺動
層のうち、前記摺動層にき裂あるいは開気孔を設ける。
【0054】このような構成の軸受とすれば、軸と摺動
面が潤滑膜(油等)を介して摺動するため、微細なき裂
あるいは微細な開気孔中に潤滑油が入り込み、軸の起動
・停止、その他の変動荷重による油膜切れがなくなり、
摺動面のかじりや焼き付き、き裂あるいは剥離などの損
傷を防止することができると共に、油膜の発達が良くな
いスラスト軸受においても、軸受圧を高くすることがで
きる。
【0055】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面を
参照して説明する。
【0056】図1は、本発明の第1の実施の形態とし
て、軸受台金直上の複合化層および複合化層直上の摺動
層で構成した軸受の要部を示す模式図である。
【0057】図1に示すように軸5との接触部である軸
受台金4上に形成されるホワイトメタルの摺動層とし
て、軸受台金4直上の複合化層7および複合化層7直上
の摺動層6で構成される。これら複合化層7および摺動
層6は、溶射、レーザー、溶接肉盛鋳造、焼結のいずれ
か1種または2種以上のプロセスを複合して用いること
で形成することができる。
【0058】例えば、溶射法を用いて複合化層7および
複合化層7直上の摺動層6を形成する場合、軸受台金4
と複合化層7との密着性を高めるのであれば、高速フレ
ーム溶射法あるいは超高速フレーム溶射法を用いる。
【0059】これは、ガスフレームの速度が音速を越え
る速度を有しているために、溶射材料が被溶射体に衝突
した場合に、衝撃により被溶射体材料中に食い込み、被
溶射体と複合化層7との密着性が強固になる。これらの
密着性は軸受の寿命に影響するため密着性が高いことが
軸受としては要求される。一般に設計では、軸受台金4
とホワイトメタルとの密着力を50〜80Mpaに考え
ており、この数値を満足する形成方法が必要である。
【0060】また、軸受台金4直上の複合化層7および
複合化層7直上の摺動層6を10mm以上の厚膜に形成す
るのであれば、ガス溶射法、アーク溶射法、大気プラズ
マ溶射法を用いる。
【0061】例えば、軟質金属材料と硬質金属材料を混
合した溶射粉末を用い、超高速フレーム溶射法により軸
受台金4の表面へ溶射することにより、軟質金属材料と
硬質金属材料を混合した複合化層7が皮膜として形成さ
れる。複合化層7では、主に硬質金属材料が軸受台金4
中に衝突することによって食い込み、あるいは機械的に
結合し、軸受台金4と複合化層7との密着性を高める働
きがある。
【0062】一方、ホワイトメタルなどの軟質金属材料
は、硬質金属材料の周りを覆い、ホワイトメタル同士が
強固に付着し、皮膜を形成する場合の結合材の役目を果
す。
【0063】また、軸受台金4直上の複合化層7および
複合化層7直上の摺動層6を形成する材料としては、S
n、Sb、Cu、Ni、Cr、Co、Mo、V、Al、
W、C、Fe、Ti、Al、Si、Si
C、SiO、TiO、ZrO、Cr、Cr
、MgO2、WC、NbC、VCのいずれか1種
または2種以上の材料を複合して用いると優れた密着性
が得られる。
【0064】その一例として超高速フレーム溶射法によ
りSn、Sb、Cuを主成分とする市販材JIS−WJ2であ
るホワイトメタル中にNi―Crを複合して軸受台金4
直上の複合化層7を形成し、その後、Sn、Sb、Cu
を主成分とする市販材JIS−WJ2であるホワイトメタルに
より、複合化層7直上の摺動層6を形成した場合の密着
強度を測定した。この時、ホワイトメタル中へのNi―
Crの含有量を0〜50wt%まで変化させ、最適なN
i―Crの含有量を求めた。
【0065】表1は超高速フレーム溶射法によりホワイ
トメタル中にNi―Crを複合して複合化層7直上の摺
動層6を形成した場合の密着強度の測定結果を示したも
のである。
【0066】
【表1】
【0067】この表1から明かなように、Sn、Sb、
Cuを主成分とする市販材JIS−WJ2であるホワイトメタ
ル中にNi―Crを複合して複合化層7直上の摺動層6
を形成する場合、ホワイトメタル中に複合するNi―C
rの最適含有量として、10wt%〜30wt%とする
ことが最適であることが分る。また、設計値である50
Mpa〜80Mpaの密着強度として、最小値である5
0Mpa以上を合格ラインとしたもので、設計値に対す
る比で合否を判定した。
【0068】したがって、表1から明かなように設計値
を1.0とした場合、ホワイトメタル中へのNi―Cr
は0〜5wt%、35wt%〜50wt%では設計値以
下の不合格であり、Ni―Crの最適含有量として10
wt%〜30wt%とすることが最適であることが分
る。
【0069】図2は、本発明の軸受台金4直上の複合化
層7および複合化層7直上の摺動層6を形成する材料の
複合比を、軸5との摺動層6に向けて傾斜させたこと示
す模式図である。
【0070】例えば、ホワイトメタル中へのNi―Cr
の含有量を摺動層6に向けて30wt%〜10wt%ま
で、5wt%ごとに段階的に低減して形成、あるいは、
ホワイトメタル中へのNi―Crの含有量を摺動層6に
向けて連続的に30wt%〜10wt%まで変化させて
形成した。段階的あるいは連続的にホワイトメタル中へ
のNi―Crの含有量を摺動層6に向けて傾斜させるこ
とにより、複合化層7直上の摺動層6を形成する場合の
複合化層7と摺動層6との密着性を高めることができ
る。
【0071】しかし、余りホワイトメタル中へのNi―
Crの含有量が多くなると、複合化層7と摺動層6との
密着性が低下するため、複合化層7と摺動層6との界面
6aでは余りホワイトメタル中へのNi―Crの含有量
を多くすることは避けたい。すなわち、複合化層7と摺
動層6との界面6aでは、ホワイトメタル材同士で結合
することによりホワイトメタルの引張強度と同等の密着
強度とすることができる。
【0072】ところで、軸受台金4直上の複合化層7お
よび複合化層7直上の摺動層6を溶射法により形成する
場合の溶射材料供給方式として、粉末供給方式、ワイヤ
−供給方式のいずれか1種または2種以上の溶射材料供
給方式を用いる。
【0073】粉末供給方式およびワイヤー供給方式では
それぞれに特徴がある。一般に、ワイヤー供給方式は溶
射ガンの先端からの供給が行われる。
【0074】また、粉末供給方式は溶射ガンの先端から
の供給と溶射ガン燃焼室の近傍から溶射ガン内筒に供給
する2つの供給方式が行われる。軟質金属材料や低融点
材料の溶射材料を用いる場合には、ワイヤー供給方式が
向いているが、溶射中に供給しているワイヤーが突然切
断し、供給が一時停止する場合もある。硬質金属材料な
どの溶射材料は、溶射ガン燃焼室近傍から溶射ガン内筒
に供給する内部供給方式が向いている。
【0075】したがって、軸受台金4直上の複合化層7
および複合化層7直上の摺動層6の形成には、粉末供給
方式とワイヤー供給方式の併用が効果的である。その理
由として、ワイヤーが切断しても粉末供給は内部より継
続されて供給されるために、溶射を中断することなく形
成する皮膜中の欠陥の発生率を低下させる。
【0076】図3は、本発明の軸受台金4直上の複合化
層7および複合化層7直上の摺動層6を溶射法により形
成する場合を示す模式図である。
【0077】本溶射法においては、図3に示すようにS
n、Sb、Cuを主成分とするホワイトメタル溶射粉末
を溶射ガン8の外部先端からフレーム中に供給する外部
供給方式とし、かつホワイトメタル22及び溶射粉末2
9と複合する他の溶射粉末29を溶射ガン燃焼室20近
傍から溶射ガン内筒12に供給する内部供給方式とする
ものである。
【0078】このような外部供給方式と内部供給方式を
用いているのは次のような理由によるものである。すな
わち、ホワイトメタル22の溶射粉末を溶射ガン8の外
部先端からフレーム中に供給しているのは、ホワイトメ
タル22の溶射粉末の融点が約235℃と低く、溶射ガ
ン燃焼室20近傍から溶射ガン内筒12に供給すると、
溶射ガン内筒12の温度が数千度と高いためにホワイト
メタル22が溶射ガン内筒12の壁面に付着し、溶射ガ
ン内筒12が詰まってしまい、溶射効率が低下する問題
があるためである。
【0079】一方、ホワイトメタル22の溶射粉末と複
合する他の溶射粉末29を溶射ガン燃焼室20近傍から
溶射ガン内筒12に供給する内部供給方式としているの
は、他の溶射粉末29を溶射ガン8の外部先端からフレ
ーム中に供給すると、フレームの温度が燃焼室近傍の内
筒フレーム温度に比べて低く、このため他の溶射粉末2
9が溶けにくく、溶射皮膜の性質として粒子間結合力が
低下し、皮膜中の欠陥が多いものとなってしまうからで
ある。
【0080】そこで、ホワイトメタル22の溶射粉末と
複合する他の溶射粉末29を溶射ガン燃焼室20近傍か
ら溶射ガン内筒12に供給する内部供給方式を用いるこ
とが効果的である。例えば、溶射によって複合化層7を
傾斜させる場合のホワイトメタル22中に複合する他の
溶射粉末29として用いるNi―Crの含有量は、ホワ
イトメタル22の外部供給量を常に一定に保ち、溶射ガ
ン燃焼室20近傍から溶射ガン内筒12に供給するNi
―Crの供給量をコントロールすることにより、連続し
た傾斜組成層が得られる。
【0081】したがって、ホワイトメタル22及び溶射
粉末29を溶射ガン8の外部先端からフレーム中に供給
し、かつホワイトメタル22の溶射粉末29と複合する
他の溶射粉末29を溶射ガン燃焼室20近傍から溶射ガ
ン内筒12に供給することにより、軸受台金4直上の複
合化層7および複合化層7直上の摺動層6を形成でき
る。また、ホワイトメタル22中に均一に微細分散させ
た複合化層7を形成することができる。
【0082】ここで、「均一」とは、ホワイトメタル粉
末中に複合化層を形成する他の粉末がムラなく一様に存
する状態を言い、また「微細」とは、油がしみ込むよう
な大きさのき裂または開気孔が形成されるような細かさ
をいう。
【0083】図4は本発明の軸受台金4直上の複合化層
7および複合化層7直上の摺動層6を溶射法により形成
する場合の溶射粉末29の構造を示す図である。
【0084】この溶射粉末29の構造として、Sn、S
b、Cuを主成分とするホワイトメタルからなる球状の
母粒子14中に、軸受台金4材の組成と同成分の材料ま
たは、Ni、Cr、Co、Mo、V、Al、W、C、F
e、Ti、Al、Si 、SiC、Si
、TiO、ZrO、Cr、Cr
MgO2、WC、NbC、VCのいずれか1種または2
種以上の材料を複合してなる子粒子15を混合または均
一に微細分散させたものである。
【0085】また、図5は図4とは異なる溶射粉末29
の構造を示す図である。
【0086】この溶射粉末の構造として、軸受台金4材
の組成と同成分の材料または、Sn、Sb、Cu、N
i、Cr、Co、Mo、V、Al、W、C、Fe、T
i、Al 、Si、SiC、SiO、Ti
、ZrO、Cr、Cr、MgO2、
WC、NbC、VCのいずれか1種または2種以上の材
料を複合した球状の母粒子14中に、Sn、Sb、Cu
を主成分とするホワイトメタル材を子粒子15として、
混合または均一に微細分散させたものである。
【0087】この溶射粉末29の製造方法は、ガスアト
マイズ法や造粒粉砕法、焼結粉砕法などである。
【0088】また、母粒子14と子粒子15との複合化
は、メカニカルアロイング法やハイブリダイゼーション
法などの高速回転中において、子粒子15を母粒子14
内部に均一に分散させることや、母粒子14の表面に均
一に子粒子15を分散付着させることができる。母粒子
14と子粒子15との粒子径の関係は、混合比によって
異なるが最終的に完成する複合化粒子の外径を100μ
m近傍にすることにより、気孔率が少ない緻密な皮膜を
形成することができる。
【0089】表2は複合化粒子の最適外径を決定するた
めの実験結果を示したものである。
【0090】
【表2】
【0091】この実験結果は、複合化粒子の外径を10
μm〜150μmまで変化させて、超高速フレーム溶射
法により皮膜を形成し、皮膜中に発生する気孔率をアル
キメデス法により測定した。また、皮膜の硬さをマイク
ロビッカース硬さ計により測定し、均一な硬さ分布を有
しているか否かを明らかにした。
【0092】表より、複合化粒子の外径が小さいと歩留
まりが悪く、溶射効率が低下する傾向にあり、硬さも低
く、その分布もばらついている。一方、複合化粒子の外
径が大き過ぎると歩留まりが悪くなり同様に溶射効率が
低下する傾向にある。また、硬さは高くなるが硬さ分布
はばらつきが大きい。
【0093】したがって、表2から明らかなように、複
合化粒子の外径を100μm近傍とすることによって、
溶射施工時の歩留まりが最適であり、形成される皮膜の
硬さ分布も安定していることが分かる。
【0094】図6は本発明の第2の実施の形態として、
鋳造法や溶射法により形成された軸受台金直上の複合化
層および複合化層直上の摺動層が損傷した場合、損傷部
を局部溶射法により補修または再生することを示した図
である。
【0095】図6(a)に示すように、軸と軸受が潤滑
油(油等)を介して摺動するタイプの軸受の場合、軸の
起動・停止、その他の変動荷重により、油膜が切れるな
どの潤滑膜が破壊する場合が多く、ホワイトメタルの摺
動層6に局部的な衝撃破壊や摩耗損傷の発生、摺動面で
のかじりや焼き付き現象の他、き裂17あるいは剥離3
4などの損傷が生じる。従来、これら損傷した部位の補
修が必要であるが、鋳造法では局部的な損傷部9につい
てのみホワイトメタルをライニングすることが困難あ
り、損傷した軸受は、ホワイトメタルを全て除去後、再
度鋳造法によるライニング層を形成しており、補修期間
の増加による高い補修コストを強いられている。
【0096】しかし、図6(b)に示すように損傷部9
のみを除去した後、溶射法により局部的に補修を行うこ
とが可能となる。レーザや溶接肉盛などのプロセスで
は、ホワイトメタルを完全に溶融するために、これらの
熱により損傷部9以外の部位も溶融させてしまい、ホワ
イトメタルが流出する問題があった。ところが、溶射法
では入熱が200℃と低く、ホワイトメタルの融点以下
の温度で施工できるため、損傷部9以外の部位を溶解す
ることなく図6(c)に示すように補修ができる。局部
溶射法では、溶射ガン8の他に皮膜の温度上昇を抑える
冷却装置を用いており、さらにホワイトメタルの温度上
昇を防止している。
【0097】軸受台金4直上の複合化層7および複合化
層7直上の摺動層6が損傷した部位を局部溶射法により
補修または再生する場合、局部補修または再生前の摺動
層6の損傷部を、グラインダー、ドリル、ブラスト、エ
ッチング、機械加工のいずれか1種または2種以上を複
合化した方法により下地処理する。これは、旧ホワイト
メタル層と溶射補修によるホワイトメタル層の密着性を
向上させるためのものである。
【0098】表3は本鋳造法により製作したホワイトメ
タル摺動層の損傷部を溶射法により補修し、その密着力
を測定した実験結果を示すものである。
【0099】
【表3】
【0100】この実験では、鋳造法により製作したホワ
イトメタルからなる摺動層6の損傷部9を下地処理とし
て、機械加工やグラインダー加工の状態のままに対し、
それぞれグラインダー、ドリル、ブラスト、エッチン
グ、機械加工のいずれか1種または2種以上を複合化し
た方法により下地処理を行って密着力を測定した。その
結果、表3から明らかなように、いずれの方法でも設計
値である密着強度50Mpaを満足しているが、さらに
密着強度を向上させるためにも1種または2種以上を複
合化した下地処理方法を用いることが有効である。
【0101】また、ホワイトメタルの損傷部9を補修す
る材料としては、Sn、Sb、Cu、Ni、Cr、C
o、Mo、V、Al、W、C、Fe、Ti、Al
、Si 、SiC、SiO、TiO、Z
rO、Cr、Cr、MgO2、WC、N
bC、VCのいずれか1種または2種以上の材料を複合
して用いることにより、機械的強度が高く、耐荷重性、
耐摩耗性、馴染み性が高く、摩擦熱による耐熱性が向上
すると共に、また、局部溶射法では高分子材料を用いて
損傷部9を補修することもできる。
【0102】できれば、補修部のホワイトメタルと同等
以下の摩擦係数を有した材料を用いて補修することが、
軸受の性能を低下させることが無く好ましい。ジャーナ
ル軸受などは油膜の動圧を利用してジャーナルを支持す
る軸受で、軸受金の摺動特性を高めるため、油潤滑など
の方式がとられ摩擦係数の低減や摩耗防止を行ってお
り、ホワイトメタルの材料と同等かそれ以下の摩擦係数
を有した材料であれば、補修可能である。
【0103】このように第2の実施の形態では、鋳造法
あるいは溶射法により形成した軸受台金直上の複合化層
および複合化層直上の摺動層が損傷した場合、損傷部を
局部溶射法により補修または再生することにより、軸受
台金直上の複合化層および複合化層直上の摺動層の完全
除去工程がなくなり、実機の運転停止期間の短縮が図ら
れると共に、補修コストの低減が図れる。また、現地補
修が可能となり、輸送費削減、補修工程の簡略化による
補修時間の短縮、コスト低減が図れる。
【0104】また、軸受台金直上の複合化層および複合
化層直上の摺動層が損傷した部位を局部溶射法により補
修または再生する場合、局部補修または再生前の摺動層
損傷部を、グラインダー、ドリル、ブラスト、エッチン
グ、機械加工のいずれか1種または2種以上を複合化し
た方法により下地処理することにより、局部補修部の欠
陥を除去すると共に、旧複合化層および旧摺動層と局部
補修部との密着性を高めることができる。
【0105】さらに、軸受台金直上の複合化層および複
合化層直上の摺動層が損傷した部位を局部溶射法により
補修または再生する場合、局部補修または再生する材料
として、Sn、Sb、Cu、Ni、Cr、Co、Mo、
V、Al、W、C、Fe、Ti、Al、Si
、SiC、SiO、TiO、ZrO、Cr
、Cr、MgO2、WC、NbC、VCのいず
れか1種または2種以上の材料を複合して用いたことに
より、機械的強度が高く、耐荷重性、耐摩耗性、馴染み
性が高く、摩擦熱による耐熱性が向上すると共に、損傷
部の状態、補修現場状況、雰囲気環境にしたがって、溶
射法による補修が可能な摺動特性に優れた材料を適宜採
用することができるため、軸受性能を低下させることな
く補修をすることができる。
【0106】第7図は、本発明の第3の実施の形態を示
す軸受の要部を断面して示す模式図である。
【0107】第3の実施の形態では、図7に示すように
軸との接触部である軸受台金4上に形成される複合化層
7および摺動層6のうち、摺動層6に微細なき裂あるい
は微細な開気孔16を設けるようにしたものである。ま
た、軸との接触部である軸受台金4上に形成される複合
化層7および摺動層6中に微細なき裂17あるいは微細
な開気孔16を設ける場合、溶射法により形成すること
により、軸と摺動面が潤滑油(油等)を介して摺動する
ため、微細なき裂17あるいは微細な開気孔16中に潤
滑油が入り込み、軸の起動・停止、その他の変動荷重に
よる油膜切れがなくなり、摺動面のかじりや焼き付き、
き裂17あるいは剥離などの損傷を防止することができ
ると共に、油膜の発達が良くないスラスト軸受において
も、軸受圧を高くすることができる。
【0108】このとき、必要とする微細なき裂17ある
いは微細な開気孔16を摺動層6中に均一にかつ微細に
分散させて形成することができると共に、その微細なき
裂率あるいは微細な開気孔率を溶射の施工条件や粉末の
粒子径を変えることにより制御することが可能となる。
一般に、気孔やき裂があると強度低下が懸念され、敬遠
されがちである。
【0109】しかし、軸受台金4上に形成される複合化
層7を溶射法により形成する摺動層6の相として、α
相、β相、ε相の3相を有することにより、引張強度、
クリープ強度、疲労強度の低下を防止すると共に、き裂
17や剥離の発生による摺動面の破壊を防止することが
できる。但し、気孔やき裂の欠陥率は溶射の10%以下
に留めることが必要である。
【0110】表4は、溶射法により市販ホワイトメタル
22JIS−WJ2を溶射し、欠陥率と引張強度の関係を
求めた実験結果を示している。
【0111】
【表4】
【0112】この表4から明らかなように欠陥率が10
%を越えると強度も急激に低下するため、欠陥率は10
%以下にすることが有効である。
【0113】図8は本発明の第4の実施の形態として、
軸受の要部を断面して示す模式図である。
【0114】第4の実施の形態では、図8に示すように
軸受台金4上に溶射法を用いて複合化層7および複合化
層7の直上に摩擦係数の低い高分子材料からなる摺動層
6を形成したものである。従来は粉末を加熱して軸受台
金4に高分子材料からなる摺動層6を形成していたが、
製作時間が長く、製造コストの増大に繋がっていた。
【0115】しかしながら、溶射法により軸受台金4の
直上に複合化層7および複合化層7の直上に高分子材料
からなる摺動層6を形成することにより、製造時間の短
縮による製造コストの低減が図れるとともに、耐かじり
や耐焼き付き性が向上し、軸受の信頼性が向上する。
【0116】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、従来
によるものに比較して、軸受台金直上の複合化層および
摺動層の密着性の向上、軸受起動、停止時の荷重変動に
対するホワイトメタルの剥離を防止することができ、軸
受損傷部の局部補修または再生を可能とし、補修時間の
短縮、コスト低減が図れ、長寿命で信頼性の高い軸受お
よびその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の軸受台金直上の複合化層および複合化
層直上の摺動層で構成したことを示した模式図。
【図2】本発明の軸受台金直上の複合化層および複合化
層直上の摺動層を形成する材料の複合比を、軸との摺動
面に向けて傾斜させたこと示す模式図。
【図3】本発明の、Sn、Sb、Cuを主成分とするホ
ワイトメタル溶射粉末を溶射ガンの外部先端からフレー
ム中に供給する外部供給方式とし、かつホワイトメタル
溶射粉末と複合する他の溶射粉末を溶射ガン燃焼室近傍
から内筒に供給する内部供給方式とすること示した模式
図。
【図4】本発明の軸受台金直上の複合化層および複合化
層直上の摺動層を溶射法により形成する場合の溶射粉末
の構造を示した図。
【図5】本発明の軸受台金直上の複合化層および複合化
層直上の摺動層を溶射法により形成する場合の溶射粉末
の構造を示した図。
【図6】本発明の損傷部を局部溶射法により補修または
再生することを示した図。
【図7】本発明の摺動層に微細なき裂あるいは微細な開
気孔を設けたことを示した図。
【図8】他の実施例の本発明による溶射法を用いて摩擦
係数の低い高分子材料を軸受台金上に形成したことを示
した図。
【図9】従来のジャーナル軸受の構造を示した図。
【符号の説明】
4………軸受台金 5………軸 6………摺動層 6a………界面 7………複合化層 8………溶射ガン 9………損傷部 11………内部供給部 12………溶射ガン内筒 13………傾斜層 14………母粒子 15………子粒子 16………開気孔 17………き裂 20………溶射ガン燃焼室 22………ホワイトメタル 29………溶射粉末 31………超高速フレーム溶射 34………剥離部
フロントページの続き (72)発明者 石川 昌幸 神奈川県横浜市鶴見区末広町2丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 (72)発明者 松本 一秀 神奈川県横浜市鶴見区末広町2丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 (72)発明者 高石 和年 神奈川県横浜市鶴見区末広町2丁目4番地 株式会社東芝京浜事業所内 Fターム(参考) 3J011 JA01 KA01 KA07 LA01 LA08 MA02 NA01 NA02 QA02 SB03 SB04 SB05 SB12 SB13 SB14 SB15 SB20 SD02 SD03 SD04 SD10 SE02 SE04 4K031 AA02 AB03 CA03 CB12 CB16 CB32 CB35 DA01 DA03 DA04

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転または往復運動可能な軸を支承し、
    且つ軸受台金上に形成され軸との接触面にホワイトメタ
    ル摺動部を有する軸受において、前記ホワイトメタル摺
    動層として、種類の異なる複数の金属材料を複合した複
    合化層及びこの複合化層直上に形成される摺動層とで構
    成したことを特徴とする軸受。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の軸受において、軸受台金
    直上に形成される複合化層及び複合化層直上の摺動層の
    材料として、Sn、Sb、Cu、Ni、Cr、Co、M
    o、V、Al、W、C、Fe、Ti、Al、Si
    、SiC、SiO、TiO、ZrO、Cr
    、Cr、MgO2、WC、NbC、VCの
    いずれか1種または2種以上の材料を複合して用いたこ
    とを特徴とする軸受。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の軸受におい
    て、軸受台金直上の複合化層及び複合化層直上の摺動層
    を形成する材料の複合比を軸との摺動面に向けて傾斜さ
    せたことを特徴とする軸受。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至請求項3のいずれかの項に
    記載の軸受の製造方法において、軸受台金直上の複合化
    層及び複合化層直上の摺動層を形成するに際して、溶
    射、レーザー、溶接肉盛鋳造、焼結のいずれか1種また
    は2種以上のプロセスを複合して用いることにより、軸
    受台金直上の複合化層及び複合化層直上の摺動層を形成
    するようにしたことを特徴とする軸受の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載
    の軸受の製造方法において、軸受台金直上の複合化層及
    び複合化層直上の摺動層を溶射法により形成するに際し
    て、アーク溶射法、大気プラズマ溶射法、ガス溶射法、
    高速フレーム溶射法、超高速フレーム溶射法のいずれか
    1種または2種以上のプロセスを複合して用いることに
    より、軸受台金直上の複合化層及び複合化層直上の摺動
    層を形成するようにしたことを特徴とする軸受の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載
    の軸受の製造方法において、軸受台金直上の複合化層お
    よび複合化層直上の摺動層を溶射法により形成する際の
    溶射材料供給方式として、粉末供給方式、ワイヤ−供給
    方式のいずれか1種または2種以上の溶射材料供給方式
    を用いたことを特徴とする軸受の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至請求項3のいずれかの項に
    記載の軸受の製造方法において、軸受台金直上の複合化
    層および複合化層直上の摺動層を溶射法により形成する
    に際して、Sn、Sb、Cuを主成分とするホワイトメ
    タル溶射粉末を溶射ガンの外部先端からフレーム中に供
    給する外部供給方式とし、且つホワイトメタル溶射粉末
    と複合する他の溶射粉末を溶射ガン燃焼室近傍から内筒
    に供給する内部供給方式とすることを特徴とする軸受の
    製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の軸受の製造方法におい
    て、軸受台金直上の複合化層および複合化層直上の摺動
    層を溶射法により形成する際、溶射粉末の構造として、
    Sn、Sb、Cuを主成分とするホワイトメタル球状母
    粒子中に、軸受台金材料の組成と同成分の材料または、
    Ni、Cr、Co、Mo、V、Al、W、C、Fe、T
    i、Al、Si、SiC、SiO、Ti
    、ZrO、Cr、Cr、MgO2、
    WC、NbC、VCのいずれか1種または2種以上の材
    料を複合して子粒子とし、混合または分散させたことを
    特徴とする軸受の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の軸受の製造方法におい
    て、軸受台金直上の複合化層および複合化層直上の摺動
    層を溶射法により形成する際、溶射粉末の構造として、
    軸受台金材料の組成と同成分の材料または、Sn、S
    b、Cu、Ni、Cr、Co、Mo、V、Al、W、
    C、Fe、Ti、Al、Si、SiC、S
    iO、TiO、ZrO、Cr、Cr
    、MgO2、WC、NbC、VCのいずれか1種
    または2種以上の材料を複合した球状母粒子中に、S
    n、Sb、Cuを主成分とするホワイトメタル材料を子
    粒子として、混合または分散させたことを特徴とする軸
    受の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項5乃至請求項9のいずれかの項
    に記載の軸受の製造方法において、軸受台金上に形成さ
    れる複合化層を溶射法により形成する摺動層の組織とし
    て、α相、β相、ε相の3相を有した組織とすることを
    特徴とする軸受の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至請求項3のいずれかに記
    載の軸受において、軸との接触部である軸受台金上に形
    成される複合化層および摺動層のうち、前記摺動層にき
    裂あるいは開気孔を設けたことを特徴とする軸受。
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