JP2002220589A - コークス乾式消火設備及びその運転方法 - Google Patents

コークス乾式消火設備及びその運転方法

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JP2002220589A
JP2002220589A JP2001015886A JP2001015886A JP2002220589A JP 2002220589 A JP2002220589 A JP 2002220589A JP 2001015886 A JP2001015886 A JP 2001015886A JP 2001015886 A JP2001015886 A JP 2001015886A JP 2002220589 A JP2002220589 A JP 2002220589A
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coke
air
gas
reheating
blowing
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JP2001015886A
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Mochimasa Yamaguchi
以昌 山口
Shozo Itagaki
省三 板垣
Yasuo Nagashima
康雄 長島
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 既存の設備を大幅に変更することなく、コー
クス層高さ方向の再加熱を均一にできるコークス乾式消
化設備を提供する。 【解決手段】 予備室2にコークスのレベルを計測する
レベル計13を設ける。また予備室2の側壁に挿入口1
4を設け、長手方向に下向きの複数の空気吹出し孔を有
するブローパイプ15を挿入口14から出し入れ可能に
する。切り出し中のコークスのレベルを計測し、前回の
空気吹き込み時から所定量レベルが下がったら切り出し
を中止し、予備室内のコークス層の内部に所定時間空気
を吹き込んでコークスを再加熱・焼成し、コークスの切
り出しを再開する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コークス炉におい
て中低温で乾留された赤熱コークスを乾式消化設備に投
入し、再加熱乾留してコークス品質を改善する技術に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、高炉用コークスを製造するための
コークス炉の寿命延長が大きな問題となっている。室炉
式コークス炉では中低温で乾留を行うことで炉命延長を
図り、その一方、乾式消化設備(CDQ)の予備室に空
気を吹き込んでコークスを再加熱・焼成することにより
品質(強度)を確保する高炉用コークスの製造方法が提
案されている(特公平7−33511号公報等参照)。
これは、空気中の酸素により赤熱コークスから発生する
ガスを燃焼させ、その反応熱で赤熱コークスの温度を上
昇させて磨耗強度や圧潰強度を改善する方法である。
【0003】ところで、乾式消化設備により再加熱・焼
成する場合、予備室内でコークスが均一に加熱・焼成さ
れることが必要である。予備室内でコークスから発生す
るガスを燃焼させるための空気の吹き込み方法に関して
は、予備室内に設けた外気の取り込み口から予備室内の
上部空間に吹き込む方法が開示されている(特公平6−
78525号公報参照)。
【0004】また、CDQの予備室に、酸素含有ガス
(空気)あるいは炭化水素を含む熱風を吹き込み、コー
クスを再加熱・焼成する高炉用コークスの製造方法も知
られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術(特公平
6−78525号公報参照)においては、空気は予備室
内の上部空間に吹き込まれるので、吹き込まれた空気は
まず表面コークスと接触し、周囲コークスを再加熱しつ
つ下方に流下して行く。したがって空気の加熱能力は表
面付近において最も大きく、流下するにつれて空気中の
酸素が消費され、かつ周囲コークスに顕熱を奪われるた
め加熱能力が低下する。
【0006】一方、実際の乾式消化設備では一定量のコ
ークスを間欠的に装入するバッチ式の装入が行われてい
る。そのため、1バッチのコークス量が多く、装入後の
バッチ当たりのコークス層厚が大きくなる場合は、上で
述べたように層の表面付近のみが再加熱・焼成され、層
の下部は加熱が不充分な状態のまま、次のバッチのコー
クスが装入されてしまうおそれがある。
【0007】これを避けるためには、1バッチ当たり
のコークス量を減らし装入サイクルを短くする、層厚
が小さくなるよう乾式消化設備のプロファイルを変更す
るなどの対策が考えられるが、いずれも既設の設備への
適用は困難である。また、1バッチ当たりの空気吹き込
み量(あるいは空気吹き込み時間)を増やすことも考え
られるが、この場合は表面付近で塊コークスの過剰な燃
焼による強度劣化が引き起こされるおそれがある。
【0008】本発明はこれら従来技術の問題を解決する
ためになされたものであり、既存の設備を大幅に変更す
ることなく、コークス層高さ方向の再加熱を均一にでき
るコークス乾式消化設備及びその運転方法を提供するこ
とを目的とする。
【0009】また、上記従来技術のようにCDQの予備
室に酸素含有ガスあるいは炭化水素を含む熱風(以下再
加熱ガスという)を吹き込む高炉用コークス製造方法に
あっては、コークスの粒度偏析、コークスレベルなどの
操業変動に起因する再加熱ガスの偏流が生じた場合、コ
ークスの改質効果に偏差が生じる。例えば予備室の装入
口にコークスの粒度の偏析を防止する偏析防止装置がな
い場合には、予備室内でコークスの粒度の偏析が生じ、
周辺部のコークスは中心部のコークスに対して粒径が大
きくなる。このため、再加熱ガスの流量は中心部よりも
周辺部の方が増加し、この結果中心部の改質効果が周辺
部の改質効果よりも低下してしまう。さらに予備室のコ
ークスレべルが低下すると、再加熱ガスが偏流し、改質
効果の偏差が増大してしまう。
【0010】コークスの改質効果に偏差を生じた場合、
一部のコークスが基準以下の強度となる。一定レベルの
DI強度が得られないと高炉操業に悪影響を及ぼすの
で、全てのコークスが基準以上の強度になるように再加
熱ガスの流量を増加すると、全体的に過剰スペックのコ
ークスを高炉に送ることになる。また、再加熱ガスの流
量を増加すると、局部的な反応が起き、温度が上昇する
場合があり、予備室を形成する耐火物に悪影響を与える
原因ともなる。
【0011】そこで本発明の他の目的は、コークスの粒
分布の変化、コークスレベルの変動などの操業変動が生
じても、均一な改質効果を得ることができるコークス乾
式消化設備を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは空気吹き込
み時における予備室内コークス層の高さ方向の再加熱・
焼成の状況を、シミュレーション計算や実設備データ調
査などに基づき定量的な検討を行った。その結果以下の
発明をなすに至った。
【0013】請求項1の発明は、予備室に設けられ、コ
ークスのレベルを計測する計測手段と、予備室内のコー
クス層の内部に空気を吹き込む吹き込み手段とを備える
ことを特徴とするコークス乾式消化設備をその要旨とす
る。
【0014】コークス装入後に予備室内に空気を吹き込
むと、空気中の酸素がコークスからの発生ガス及びコー
クス自体と反応して燃焼し、その際発生する熱によって
コークス(及びガス)が加熱される。この燃焼反応の速
度は一般に非常に大きく、短時間で終了する。そのた
め、予備室の上部空間から空気の吹き込みを行った場合
は、上記燃焼反応はコークス層の表面近傍で終了する。
【0015】燃焼反応が終了した後は、燃焼熱によって
加熱されたガス(燃焼廃ガス)が流下していき、その顕
熱を下層部のコークスに与えることによってコークスを
加熱する。しかし、加熱可能な層の厚みは通常1m以下
であり、1バッチ分のコークス層の厚みがそれ以上あっ
た場合は、層下部のコークスは加熱されず、したがって
強度改善がなされぬまま切り出されてしまう。
【0016】請求項1の発明によれば、コークスのレベ
ルに応じてコークス層内部に空気を吹き込むことがで
き、これにより上気の問題点を解決し、コークス層高さ
方向の再加熱を均一にすることができる。
【0017】また、請求項2の発明は、請求項1に記載
のコークス乾式消化設備において、前記吹き込み手段
は、予備室の側壁に設けられる挿入口と、前記挿入口か
ら略水平方向に挿入可能にされ、長手方向に下向きの複
数の空気吹出し孔を有するブローパイプとを備えること
を特徴とする。
【0018】コークス層内部にブローパイプを適宜挿入
して空気を吹き込むことが可能なので、コークス切り出
し中にはブローパイプを抜き出すことができ、切り出し
中にブローパイプが強度的にもたない等の問題を解決す
ることができる。また、ブローパイプの半径方向に複数
の空気吹き出し孔を設けることで、消化設備の半径方向
に均一にコークスを加熱することもできる。
【0019】請求項3の発明は、請求項2に記載のコー
クス乾式消化設備において、前記ブローパイプ及びその
挿入口が周方向に複数配置されていることを特徴とす
る。
【0020】消化設備全断面においてコークスを均一に
加熱するためには全周方向に均一に空気を吹き込む必要
があ。したがって前記ブローパイプは周方向に複数本設
けることが望ましい。
【0021】また、請求項4の発明は、予備室に空気を
導入し、赤熱コークスからの発生ガス及びコークスを燃
焼させ、コークスを加熱するコークス消化設備の運転方
法において、切り出し中のコークスのレベルを計測する
工程と、前回の空気吹き込み時から所定量レベルが下が
ったら切り出しを中止する工程と、予備室内のコークス
層中に所定時間空気を吹き込んでコークスを再加熱・焼
成する工程と、コークスの切り出しを再開する工程とを
備えることを特徴とするコークス乾式消化設備の運転方
法により、上述した課題を解決した。
【0022】さらに、請求項5の発明は、請求項4に記
載のコークス乾式消化設備の運転方法において、予備室
の側壁に設けられる挿入口と、前記挿入口から略水平方
向に挿入可能にされ、長手方向に下向きの複数の空気吹
出し孔を有するブローパイプとを備え、前記コークスを
再加熱・焼成する工程では、前記ブローパイプを前記挿
入口から挿入し、コークスの切り出しを再開する工程で
は、前記ブローパイプを前記挿入口から抜き出すことを
特徴とする。
【0023】また、本発明者らは、コークス粒度分布の
変化、コークスレベル変動などの操業変動に対して均一
な改質効果を得るために、予備室に偏析防止装置を設置
し、再加熱ガス吹込みノズルを同心円の2つ以上の円周
上に複数個設置し、操業変動に応じて再加熱ガス吹込み
ノズルから吹き込む吹込み量を調整した。具体的には、
請求項6の発明は、予備室の装入口に設けられるコーク
スの偏析防止装置と、酸素含有ガスあるいは炭化水素を
含む熱風を予備室に吹き込む複数の再加熱ガス吹込みノ
ズルと、前記複数の再加熱ガス吹込みノズルそれぞれか
ら吹き込む吹込み量を調整する複数の流量調整弁を備
え、前記複数の再加熱ガス吹込みノズルは、円周上に複
数個、かつ該円周と直径が異なる同心円の円周上に複数
個配置され、前記複数の流量調整弁は、操業変動に応じ
て各再加熱ガス吹込みノズルから吹き込む吹込み量を調
整することを特徴とするコークス乾式消化設備により、
上述した課題を解決した。
【0024】再加熱ガスの吹込みノスルは、円周上に円
周方向に5箇所以上、半径方向には2箇所(内側及び外
側)程度設置するのが望ましい。
【0025】予備室の上部に偏析防止装置を備えたCD
Qの場合、コークスレベルが低下すると、中心部の再加
熱ガスの流量が増加し、周辺部の再加熱ガスの流量が低
下する。その結果、中心部と比較して周辺部は低強度の
コークスが多くなる。この場合には、全体の流量は一定
としながら、外側のノズルからの吹込み量を増加すれば
よい。外側のノズルからの吹込み量を増加し、内側のノ
ズルからの吹込み量を減少することによって、コークス
レベル低下時の中心部の流量を抑制し、周辺部の流量を
増加するようにする。これにより、コークスの温度分布
が均一化し、半径方向の改質効果の偏差を低減すること
ができる。
【0026】また、請求項7の発明は、請求項6に記載
のコークス乾式消化設備において、前記複数の再加熱ガ
ス吹込みノズルは、鉛直下向きに再加熱ガスを吹き出す
ことを特徴とする。
【0027】吹込みノズルの角度は鉛直下向きの方が、
ガス流れを制御しやすい。
【0028】さらに、請求項8の発明は、請求項6又は
7に記載のコークス乾式消化設備において、予備室の炉
壁に温度センサーが複数設置され、前記各流量調整弁
は、炉壁温度が予備室を形成する耐火物の耐火温度より
も上昇しないように前記各再加熱ガス吹込みノズルから
吹き込む再加熱ガスの流量を調整することを特徴とす
る。
【0029】炉壁の温度は温度センサーを用いて監視す
る必要がある。局部加熱による耐火物保護を目的とし
て、炉壁の温度が基準値よりも上がりすぎるようであれ
ば、周辺部の再加熱ガスの流量を低下する必要がある。
【0030】
【発明の実施の形態】図1は本発明の第1の実施形態に
おけるコークス乾式消火設備を示す。コークス乾式消火
設備の消火塔1は予備室2と冷却室3とからなってい
る。予備室2の上部には、コークスのレベルを計測する
計測手段としてのレベル計13が設置されている。予備
室2の側壁には可動式のブローパイプを挿入するための
挿入口14が設けられている。挿入口14の設置位置で
あるが、コークス層を高さ方向にむらなく再加熱するた
めには、1バッチ分の装入によって形成されるコークス
層の最下部高さから上方1m以内に設置する必要があ
る。一方、冷却室3から吹き上がって来る冷却ガスの影
響を排除するためには、これまでの知見により予備室の
上部約1/2の範囲にあることが望ましい。従って、こ
れら二つの条件を満足するような位置に設置すれば良
い。また、周方向については均一に加熱するために、均
等間隔を開けて複数箇所(3,4箇所程度)設置する必
要がある。
【0031】図2は、挿入口14から挿入されるブロー
パイプ15の縦断面図である。ブローパイプ15は挿入
口14から予備室内部に出し入れ可能にされている。ブ
ローパイプ15の長手方向には複数の(例えば4つの)
空気吹き出し孔16…が鉛直下向きに設けられている。
空気吹き出し孔16…を鉛直下向きに設けるのは、粉コ
ークスのブローパイプ15内への流れ込みや孔の目詰ま
りを防ぎ、かつガスの下方への流れをスムーズにするた
めである。また、複数の空気吹き出し孔1616…から
空気を吹き込むのは半径方向の加熱を均一にするためで
ある。
【0032】図3は予備室2の横断面図を示す。ブロー
パイプ15…及び挿入口14…は予備室の内部に周方向
に均等間隔を開けて複数本(例えば3本)配置される。
ブローパイプ15…の先端は予備室2の中心程度まで挿
入される。
【0033】図1に示すように、コークス炉で乾留され
たコークスは乾式消火設備の予備室2に装入される。コ
ークス装入後に予備室2内に空気を吹き込むと、空気中
の酸素がコークスからの発生ガス及びコークス自体と反
応して燃焼し、その際発生する熱によってコークス(及
びガス)が加熱される。その後コークスは冷却室3にお
いて循環ガス10で冷却され、切出し装置17によって
切り出される。コークスの顕熱を回収した循環ガス及び
予備室に投入された空気は、消火塔1から排出され、煙
道6を通過してボイラー7に導入される。循環ガスはボ
イラー7で熱交換された後、ファン9によって再び消火
塔1の下部に循環ガスとして導入される。
【0034】本装置を用いた再加熱・焼成方法は次のよ
うになる。発明者らのシミュレーションや実設備データ
による知見から、コークス層の上部から空気を吹き込ん
だ場合、顕著な加熱効果が得られるのは表面下数十cm
程度であることが分かっている。したがって、レベル計
13によって切り出し中のコークスレベルを常時監視
し、レベルが例えば50cm下がるごとに切り出し中
断→ブローパイプ挿入→空気吹き込み→プローパ
イプ抜き出し→切り出し再開の操作を繰り返す。この
ようにすることにより、高さ方向に万遍なく加熱するこ
とが可能になる。
【0035】ブローパイプ15の挿入中はブローパイプ
15の保護のために切り出しを中断する必要があるが、
この例では一回の空気吹き込みにつき厚み50cm分の
コークスだけ加熱すれば良く、またガスやコークスの燃
焼速度は十分速いので中断する時間は短くて済む。
【0036】図5ないし図7は、本発明の第2の実施形
態におけるコークス乾式消火設備を示す。図5はコーク
ス乾式消火設備の概要図を示し、図6は予備室の概要図
を示し、図7は予備室の横断面図を示す。この実施形態
では、再加熱ガスの酸素含有ガスとして空気を予備室2
に吹き込んでいる。なお、再加熱ガスとしては空気の他
に、炭化水素を含有するCDQ内熱交換用循環ガス等を
用いることができる。
【0037】予備室2の上部のコークス装入口2aには
図示しないコークス偏析防止装置が設けられる。コーク
ス偏析防止装置には、コークスの偏析を防止することが
できるものであれば種々のものを用いることができ、例
えば粉体処理の技術分野では周知の円錐型分散器、ある
いは投入位置可変型シュート、高炉のベル等を用いるこ
とができる。
【0038】予備室2には、図6に示すように酸素含有
ガスあるいは炭化水素を含む熱風を予備室に吹き込む複
数の再加熱ガス吹込みノズル11a…,11b…が設け
られる。複数の再加熱ガス吹込みノズル11a…,11
b…は、図7にも示すように内側の円周12a上に複数
個、かつ該円周12aと直径が異なる同心円の外側の円
周12b上に複数個配置される。例えば内側の円周12
a上に周方向に均等間隔を開けて5個、外側の円周12
b上に周方向に均等間隔を開けて5個の合計10個設置
されている。そして、この複数の再加熱ガス吹込みノズ
ル11a…,11b…は、鉛直下向きに再加熱ガスを吹
き込む。
【0039】また、再加熱ガス吹込みノズル11a…,
11b…と空気吹込みファン18との間の配管中には、
複数の再加熱ガス吹込みノズル11a…,11b…に対
応して、再加熱ガス吹込みノズル11a…,11b…か
ら吹き込む吹込み量を調整する複数の流量調整弁19…
が設けられる。この流量調整弁19…は、一つの再加熱
ガス吹込みノズル11a…,11b…に対して一つずつ
設けられているが、2〜5の再加熱ガス吹込みノズルに
対して一つ設けられてもよい。
【0040】コークス炉で乾留されたコークスは、乾式
消火設備の予備室2に装入される。コークス装入後に予
備室2内に空気を吹き込むと、空気中の酸素がコークス
からの発生ガス及びコークス自体と反応して燃焼し、そ
の際発生する熱によってコークス(及びガス)が加熱さ
れる。その後コークスは冷却室3において循環ガス10
で冷却され、切出し装置によって切り出される。コーク
スの顕熱を回収した循環ガス及び予備室2に投入された
空気は、消火塔1から排出され、煙道6から除塵機8を
介してボイラー7に導入され、ここで熱交換された後サ
イクロン10,10で粉コークスが除去され、再び消火
塔1下部に循環ガスとして導入される。
【0041】改質効果の半径方向での偏差の低減方法を
以下に述べる。コークスのレベルが上限レベルの場合、
ガス流れはほぼ均一であり、半径方向に均一な改質効果
が得られると考えてよい。レベルが低下した場合には、
中心流が顕著になり、周辺部に対して中心部のコークス
温度が上昇し、中心部の改質効果も大きくなる。一方周
辺部は中心部よりもコークス温度が低いため充分な改質
効果を得ることができない。したがって、均一な改質効
果を得るためには、全体の吹込み流量は変化させない
で、内側の流量を低下し、外側の流量を増加すればよ
い。外側の流量を増加することにより、周辺部の温度が
上昇し、改質効果も向上する。
【0042】また、偏析防止装置がない場合は、コーク
スの粒度偏析が生じ、周辺部のガス流れが増加する。こ
の場合には外側の流量を低下し、内側の流量を増加すれ
ばよい。
【0043】周辺部の流量を増加する際には、耐火物の
保護を目的として、周辺部の温度が過剰に上昇しないよ
うに炉壁の温度を監視する必要がある。例えば熱電対を
円周方向に5個所、高さ方向に2個所程度設置し、炉壁
の温度を常時監視するのが望ましい。炉壁温度がプレチ
ャンバーを形成する耐火物の耐火温度よりも上昇した場
合は、上昇箇所近傍の外側の再加熱ガス吹込みノズル1
1bの流量を低下するなどの対応をとればよい。
【0044】
【実施例】図4は、本発明の第1の実施形態におけるコ
ークス乾式消火設備を用いて、925℃で窯出しされた
コークスを1バッチ分(層厚は2m)装入してコークス
レベルが約70cm下がるごとに空気を吹き込んだ場合
のコークス層高さ方向の温度分布(実線)を示す。縦軸
はコークス層底面からの距離である。なお、参考とし
て、従来技術(予備室上部空間に空気吹き込み)を適用
した場合のコークス温度分布を破線で示す。
【0045】図3から分かるように、従来技術を適用し
た場合は、下方に行くに連れて加熱効果が減少し、高さ
方向で約35℃の温度差ができる。一方、本発明によれ
ば、異なる高さで3回吹き込むので高さ方向の温度のば
らつきが抑えられている。
【0046】図8は、本発明の第2の実施形態における
コークス乾式消火設備において、DI強度に与えるノズ
ル本数の影響を示す。このグラフでは予備室の中心から
の距離とDI強度の関係を、ノズルを5本設けた場合と
ノズルを3本設けた場合とで比較している。横軸は中心
からの距離で縦軸はDI強度である。ノズルを5本設け
た場合の方が、半径方向のDI強度のばらつきが抑えさ
れているのがわかる。またノズルを5本設けた場合、ノ
ズルとノズルの中間A側に位置するコークスの強度がノ
ズル直下A′側に位置するコークスの強度により近くな
り、左右対称に近づくのがわかる。
【0047】図9は、DI強度に与える偏析防止装置の
影響を示す。偏析防止装置がない場合、周辺部のDI強
度が中心部のDI強度に比べて大きくなってしまう。偏
析防止装置を設けると、周辺部のDI強度が中心部のD
I強度に略等しくなり、DI強度のばらつきが抑えられ
ている。
【0048】図10は、コークスのレベル低下時のDI
強度を示す。補助ノズル(再加熱ガス吹き出しノズル)
がない場合、コークスのレベルが低下すると、コークス
のDI強度が周辺部に向うほど小さくなってしまう。補
助ノズルを設けることで、周辺部のDI強度が中心部と
略等しくなり、中心部と周辺部とでDI強度のばらつき
が抑えられている。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば乾
式消火設備内に装入したコークス層の高さ方向にむらな
く空気を吹きかけられるため、コークスからの発生ガス
やコークス塊の燃焼による再加熱・焼成が均一に行わ
れ、その結果コークスの品質(強度)を均一に向上させ
ることが可能となる。したがってコークス炉側で中低温
窯出しすることによって熱負荷を軽減させつつ、コーク
ス品質は従来の高温窯出しによるものと同等に保つこと
ができる。
【0050】また、予備室に偏析防止装置を設置し、再
加熱ガス吹込みノズルを2つ以上の同心円上に複数個設
置し、コークスレベル及び炉壁温度などの操業条件の変
動に対応して各再加熱ガス吹込みノズルに設けられた流
量調整弁で吹込み量を調整することによって、炉壁耐火
物を損傷することなしに、予備室でのコークスの改質効
果を最大かつ均一にすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるコークス乾式
消火設備の断面図である。
【図2】上記コークス乾式消火設備に用いられるプロー
パイプの断面図である。
【図3】上記ブローパイプの平面図である。
【図4】空気吹込み時のコークス温度の高さ方向分布図
である。
【図5】本発明の第2に実施形態におけるコークス乾式
消火設備の断面図である。
【図6】本発明の第2に実施形態におけるコークス乾式
消火設備の予備室の断面図である。
【図7】上記予備室の横断面図である。
【図8】図中(A)はDI強度に与えるノズル本数の影
響を示すグラフであり、図中(B)はノズルの配置を示
す平面図である。
【図9】DI強度に与える偏析防止装置を示すグラフで
ある。
【図10】コークスレベル低下時のDI強度を示すグラ
フである。
【符号の説明】
2…予備室 11a,11b…再加熱ガス吹込みノズル 13…レベル計(計測手段) 14…挿入口(吹き込み手段) 15…ブローパイプ(吹き込み手段) 16…空気吹出し孔 19…流量調整弁
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年1月24日(2001.1.2
4)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 コークス乾式消火設備及びその運転方
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コークス炉におい
て中低温で乾留された赤熱コークスを乾式消火設備に投
入し、再加熱乾留してコークス品質を改善する技術に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、高炉用コークスを製造するための
コークス炉の寿命延長が大きな問題となっている。室炉
式コークス炉では中低温で乾留を行うことで炉命延長を
図り、その一方、乾式消火設備(CDQ)の予備室に空
気を吹き込んでコークスを再加熱・焼成することにより
品質(強度)を確保する高炉用コークスの製造方法が提
案されている(特公平7−33511号公報等参照)。
これは、空気中の酸素により赤熱コークスから発生する
ガスを燃焼させ、その反応熱で赤熱コークスの温度を上
昇させて磨耗強度や圧潰強度を改善する方法である。
【0003】ところで、乾式消火設備により再加熱・焼
成する場合、予備室内でコークスが均一に加熱・焼成さ
れることが必要である。予備室内でコークスから発生す
るガスを燃焼させるための空気の吹き込み方法に関して
は、予備室内に設けた外気の取り込み口から予備室内の
上部空間に吹き込む方法が開示されている(特公平6−
78525号公報参照)。
【0004】また、CDQの予備室に、酸素含有ガス
(空気)あるいは炭化水素を含む熱風を吹き込み、コー
クスを再加熱・焼成する高炉用コークスの製造方法も知
られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術(特公平
6−78525号公報参照)においては、空気は予備室
内の上部空間に吹き込まれるので、吹き込まれた空気は
まず表面コークスと接触し、周囲コークスを再加熱しつ
つ下方に流下して行く。したがって空気の加熱能力は表
面付近において最も大きく、流下するにつれて空気中の
酸素が消費され、かつ周囲コークスに顕熱を奪われるた
め加熱能力が低下する。
【0006】一方、実際の乾式消火設備では一定量のコ
ークスを間欠的に装入するバッチ式の装入が行われてい
る。そのため、1バッチのコークス量が多く、装入後の
バッチ当たりのコークス層厚が大きくなる場合は、上で
述べたように層の表面付近のみが再加熱・焼成され、層
の下部は加熱が不充分な状態のまま、次のバッチのコー
クスが装入されてしまうおそれがある。
【0007】これを避けるためには、1バッチ当たり
のコークス量を減らし装入サイクルを短くする、層厚
が小さくなるよう乾式消火設備のプロファイルを変更す
るなどの対策が考えられるが、いずれも既設の設備への
適用は困難である。また、1バッチ当たりの空気吹き込
み量(あるいは空気吹き込み時間)を増やすことも考え
られるが、この場合は表面付近で塊コークスの過剰な燃
焼による強度劣化が引き起こされるおそれがある。
【0008】本発明はこれら従来技術の問題を解決する
ためになされたものであり、既存の設備を大幅に変更す
ることなく、コークス層高さ方向の再加熱を均一にでき
るコークス乾式消火設備及びその運転方法を提供するこ
とを目的とする。
【0009】また、上記従来技術のようにCDQの予備
室に酸素含有ガスあるいは炭化水素を含む熱風(以下再
加熱ガスという)を吹き込む高炉用コークス製造方法に
あっては、コークスの粒度偏析、コークスレベルなどの
操業変動に起因する再加熱ガスの偏流が生じた場合、コ
ークスの改質効果に偏差が生じる。例えば予備室の装入
口にコークスの粒度の偏析を防止する偏析防止装置がな
い場合には、予備室内でコークスの粒度の偏析が生じ、
周辺部のコークスは中心部のコークスに対して粒径が大
きくなる。このため、再加熱ガスの流量は中心部よりも
周辺部の方が増加し、この結果中心部の改質効果が周辺
部の改質効果よりも低下してしまう。さらに予備室のコ
ークスレべルが低下すると、再加熱ガスが偏流し、改質
効果の偏差が増大してしまう。
【0010】コークスの改質効果に偏差を生じた場合、
一部のコークスが基準以下の強度となる。一定レベルの
DI強度が得られないと高炉操業に悪影響を及ぼすの
で、全てのコークスが基準以上の強度になるように再加
熱ガスの流量を増加すると、全体的に過剰スペックのコ
ークスを高炉に送ることになる。また、再加熱ガスの流
量を増加すると、局部的な反応が起き、温度が上昇する
場合があり、予備室を形成する耐火物に悪影響を与える
原因ともなる。そこで本発明の他の目的は、コークスの
粒分布の変化、コークスレベルの変動などの操業変動が
生じても、均一な改質効果を得ることができるコークス
乾式消火設備を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは空気吹き込
み時における予備室内コークス層の高さ方向の再加熱・
焼成の状況を、シミュレーション計算や実設備データ調
査などに基づき定量的な検討を行った。その結果以下の
発明をなすに至った。
【0012】請求項1の発明は、予備室に設けられ、コ
ークスのレベルを計測する計測手段と、予備室内のコー
クス層の内部に空気を吹き込む吹き込み手段とを備える
ことを特徴とするコークス乾式消火設備をその要旨とす
る。
【0013】コークス装入後に予備室内に空気を吹き込
むと、空気中の酸素がコークスからの発生ガス及びコー
クス自体と反応して燃焼し、その際発生する熱によって
コークス(及びガス)が加熱される。この燃焼反応の速
度は一般に非常に大きく、短時間で終了する。そのた
め、予備室の上部空間から空気の吹き込みを行った場合
は、上記燃焼反応はコークス層の表面近傍で終了する。
【0014】燃焼反応が終了した後は、燃焼熱によって
加熱されたガス(燃焼廃ガス)が流下していき、その顕
熱を下層部のコークスに与えることによってコークスを
加熱する。しかし、加熱可能な層の厚みは通常1m以下
であり、1バッチ分のコークス層の厚みがそれ以上あっ
た場合は、層下部のコークスは加熱されず、したがって
強度改善がなされぬまま切り出されてしまう。
【0015】請求項1の発明によれば、コークスのレベ
ルに応じてコークス層内部に空気を吹き込むことがで
き、これにより上気の問題点を解決し、コークス層高さ
方向の再加熱を均一にすることができる。
【0016】また、請求項2の発明は、請求項1に記載
のコークス乾式消火設備において、前記吹き込み手段
は、予備室の側壁に設けられる挿入口と、前記挿入口か
ら略水平方向に挿入可能にされ、長手方向に下向きの複
数の空気吹出し孔を有するブローパイプとを備えること
を特徴とする。
【0017】コークス層内部にブローパイプを適宜挿入
して空気を吹き込むことが可能なので、コークス切り出
し中にはブローパイプを抜き出すことができ、切り出し
中にブローパイプが強度的にもたない等の問題を解決す
ることができる。また、ブローパイプの半径方向に複数
の空気吹き出し孔を設けることで、消火設備の半径方向
に均一にコークスを加熱することもできる。
【0018】請求項3の発明は、請求項2に記載のコー
クス乾式消火設備において、前記ブローパイプ及びその
挿入口が周方向に複数配置されていることを特徴とす
る。
【0019】消火設備全断面においてコークスを均一に
加熱するためには全周方向に均一に空気を吹き込む必要
があ。したがって前記ブローパイプは周方向に複数本設
けることが望ましい。
【0020】また、請求項4の発明は、予備室に空気を
導入し、赤熱コークスからの発生ガス及びコークスを燃
焼させ、コークスを加熱するコークス消火設備の運転方
法において、切り出し中のコークスのレベルを計測する
工程と、前回の空気吹き込み時から所定量レベルが下が
ったら切り出しを中止する工程と、予備室内のコークス
層中に所定時間空気を吹き込んでコークスを再加熱・焼
成する工程と、コークスの切り出しを再開する工程とを
備えることを特徴とするコークス乾式消火設備の運転方
法により、上述した課題を解決した。
【0021】さらに、請求項5の発明は、請求項4に記
載のコークス乾式消火設備の運転方法において、予備室
の側壁に設けられる挿入口と、前記挿入口から略水平方
向に挿入可能にされ、長手方向に下向きの複数の空気吹
出し孔を有するブローパイプとを備え、前記コークスを
再加熱・焼成する工程では、前記ブローパイプを前記挿
入口から挿入し、コークスの切り出しを再開する工程で
は、前記ブローパイプを前記挿入口から抜き出すことを
特徴とする。
【0022】また、本発明者らは、コークス粒度分布の
変化、コークスレベル変動などの操業変動に対して均一
な改質効果を得るために、予備室に偏析防止装置を設置
し、再加熱ガス吹込みノズルを同心円の2つ以上の円周
上に複数個設置し、操業変動に応じて再加熱ガス吹込み
ノズルから吹き込む吹込み量を調整した。具体的には、
請求項6の発明は、予備室の装入口に設けられるコーク
スの偏析防止装置と、酸素含有ガスあるいは炭化水素を
含む熱風を予備室に吹き込む複数の再加熱ガス吹込みノ
ズルと、前記複数の再加熱ガス吹込みノズルそれぞれか
ら吹き込む吹込み量を調整する複数の流量調整弁を備
え、前記複数の再加熱ガス吹込みノズルは、円周上に複
数個、かつ該円周と直径が異なる同心円の円周上に複数
個配置され、前記複数の流量調整弁は、操業変動に応じ
て各再加熱ガス吹込みノズルから吹き込む吹込み量を調
整することを特徴とするコークス乾式消火設備により、
上述した課題を解決した。
【0023】再加熱ガスの吹込みノズルは、円周上に円
周方向に5箇所以上、半径方向には2箇所(内側及び外
側)程度設置するのが望ましい。
【0024】予備室の上部に偏析防止装置を備えたCD
Qの場合、コークスレベルが低下すると、中心部の再加
熱ガスの流量が増加し、周辺部の再加熱ガスの流量が低
下する。その結果、中心部と比較して周辺部は低強度の
コークスが多くなる。この場合には、全体の流量は一定
としながら、外側のノズルからの吹込み量を増加すれば
よい。外側のノズルからの吹込み量を増加し、内側のノ
ズルからの吹込み量を減少することによって、コークス
レベル低下時の中心部の流量を抑制し、周辺部の流量を
増加するようにする。これにより、コークスの温度分布
が均一化し、半径方向の改質効果の偏差を低減すること
ができる。
【0025】また、請求項7の発明は、請求項6に記載
のコークス乾式消火設備において、前記複数の再加熱ガ
ス吹込みノズルは、鉛直下向きに再加熱ガスを吹き出す
ことを特徴とする。
【0026】吹込みノズルの角度は鉛直下向きの方が、
ガス流れを制御しやすい。
【0027】さらに、請求項8の発明は、請求項6又は
7に記載のコークス乾式消火設備において、予備室の炉
壁に温度センサーが複数設置され、前記各流量調整弁
は、炉壁温度が予備室を形成する耐火物の耐火温度より
も上昇しないように前記各再加熱ガス吹込みノズルから
吹き込む再加熱ガスの流量を調整することを特徴とす
る。
【0028】炉壁の温度は温度センサーを用いて監視す
る必要がある。局部加熱による耐火物保護を目的とし
て、炉壁の温度が基準値よりも上がりすぎるようであれ
ば、周辺部の再加熱ガスの流量を低下する必要がある。
【0029】
【発明の実施の形態】図1は本発明の第1の実施形態に
おけるコークス乾式消火設備を示す。コークス乾式消火
設備の消火塔1は予備室2と冷却室3とからなってい
る。予備室2の上部には、コークスのレベルを計測する
計測手段としてのレベル計13が設置されている。予備
室2の側壁には可動式のブローパイプを挿入するための
挿入口14が設けられている。挿入口14の設置位置で
あるが、コークス層を高さ方向にむらなく再加熱するた
めには、1バッチ分の装入によって形成されるコークス
層の最下部高さから上方1m以内に設置する必要があ
る。一方、冷却室3から吹き上がって来る冷却ガスの影
響を排除するためには、これまでの知見により予備室の
上部約1/2の範囲にあることが望ましい。従って、こ
れら二つの条件を満足するような位置に設置すれば良
い。また、周方向については均一に加熱するために、均
等間隔を開けて複数箇所(3,4箇所程度)設置する必
要がある。
【0030】図2は、挿入口14から挿入されるブロー
パイプ15の縦断面図である。ブローパイプ15は挿入
口14から予備室内部に出し入れ可能にされている。ブ
ローパイプ15の長手方向には複数の(例えば4つの)
空気吹き出し孔16…が鉛直下向きに設けられている。
空気吹き出し孔16…を鉛直下向きに設けるのは、粉コ
ークスのブローパイプ15内への流れ込みや孔の目詰ま
りを防ぎ、かつガスの下方への流れをスムーズにするた
めである。また、複数の空気吹き出し孔1616…から
空気を吹き込むのは半径方向の加熱を均一にするためで
ある。
【0031】図3は予備室2の横断面図を示す。ブロー
パイプ15…及び挿入口14…は予備室の内部に周方向
に均等間隔を開けて複数本(例えば3本)配置される。
ブローパイプ15…の先端は予備室2の中心程度まで挿
入される。
【0032】図1に示すように、コークス炉で乾留され
たコークスは乾式消火設備の予備室2に装入される。コ
ークス装入後に予備室2内に空気を吹き込むと、空気中
の酸素がコークスからの発生ガス及びコークス自体と反
応して燃焼し、その際発生する熱によってコークス(及
びガス)が加熱される。その後コークスは冷却室3にお
いて循環ガス10で冷却され、切出し装置17によって
切り出される。コークスの顕熱を回収した循環ガス及び
予備室に投入された空気は、消火塔1から排出され、煙
道6を通過してボイラー7に導入される。循環ガスはボ
イラー7で熱交換された後、ファン9によって再び消火
塔1の下部に循環ガスとして導入される。
【0033】本装置を用いた再加熱・焼成方法は次のよ
うになる。発明者らのシミュレーションや実設備データ
による知見から、コークス層の上部から空気を吹き込ん
だ場合、顕著な加熱効果が得られるのは表面下数十cm
程度であることが分かっている。したがって、レベル計
13によって切り出し中のコークスレベルを常時監視
し、レベルが例えば50cm下がるごとに切り出し中
断→ブローパイプ挿入→空気吹き込み→プローパ
イプ抜き出し→切り出し再開の操作を繰り返す。この
ようにすることにより、高さ方向に万遍なく加熱するこ
とが可能になる。
【0034】ブローパイプ15の挿入中はブローパイプ
15の保護のために切り出しを中断する必要があるが、
この例では一回の空気吹き込みにつき厚み50cm分の
コークスだけ加熱すれば良く、またガスやコークスの燃
焼速度は十分速いので中断する時間は短くて済む。
【0035】図5ないし図7は、本発明の第2の実施形
態におけるコークス乾式消火設備を示す。図5はコーク
ス乾式消火設備の概要図を示し、図6は予備室の概要図
を示し、図7は予備室の横断面図を示す。この実施形態
では、再加熱ガスの酸素含有ガスとして空気を予備室2
に吹き込んでいる。なお、再加熱ガスとしては空気の他
に、炭化水素を含有するCDQ内熱交換用循環ガス等を
用いることができる。
【0036】予備室2の上部のコークス装入口2aには
図示しないコークス偏析防止装置が設けられる。コーク
ス偏析防止装置には、コークスの偏析を防止することが
できるものであれば種々のものを用いることができ、例
えば粉体処理の技術分野では周知の円錐型分散器、ある
いは投入位置可変型シュート、高炉のベル等を用いるこ
とができる。
【0037】予備室2には、図6に示すように酸素含有
ガスあるいは炭化水素を含む熱風を予備室に吹き込む複
数の再加熱ガス吹込みノズル11a…,11b…が設け
られる。複数の再加熱ガス吹込みノズル11a…,11
b…は、図7にも示すように内側の円周12a上に複数
個、かつ該円周12aと直径が異なる同心円の外側の円
周12b上に複数個配置される。例えば内側の円周12
a上に周方向に均等間隔を開けて5個、外側の円周12
b上に周方向に均等間隔を開けて5個の合計10個設置
されている。そして、この複数の再加熱ガス吹込みノズ
ル11a…,11b…は、鉛直下向きに再加熱ガスを吹
き込む。
【0038】また、再加熱ガス吹込みノズル11a…,
11b…と空気吹込みファン18との間の配管中には、
複数の再加熱ガス吹込みノズル11a…,11b…に対
応して、再加熱ガス吹込みノズル11a…,11b…か
ら吹き込む吹込み量を調整する複数の流量調整弁19…
が設けられる。この流量調整弁19…は、一つの再加熱
ガス吹込みノズル11a…,11b…に対して一つずつ
設けられているが、2〜5の再加熱ガス吹込みノズルに
対して一つ設けられてもよい。
【0039】コークス炉で乾留されたコークスは、乾式
消火設備の予備室2に装入される。コークス装入後に予
備室2内に空気を吹き込むと、空気中の酸素がコークス
からの発生ガス及びコークス自体と反応して燃焼し、そ
の際発生する熱によってコークス(及びガス)が加熱さ
れる。その後コークスは冷却室3において循環ガス10
で冷却され、切出し装置によって切り出される。コーク
スの顕熱を回収した循環ガス及び予備室2に投入された
空気は、消火塔1から排出され、煙道6から除塵機8を
介してボイラー7に導入され、ここで熱交換された後サ
イクロン10,10で粉コークスが除去され、再び消火
塔1下部に循環ガスとして導入される。
【0040】改質効果の半径方向での偏差の低減方法を
以下に述べる。コークスのレベルが上限レベルの場合、
ガス流れはほぼ均一であり、半径方向に均一な改質効果
が得られると考えてよい。レベルが低下した場合には、
中心流が顕著になり、周辺部に対して中心部のコークス
温度が上昇し、中心部の改質効果も大きくなる。一方周
辺部は中心部よりもコークス温度が低いため充分な改質
効果を得ることができない。したがって、均一な改質効
果を得るためには、全体の吹込み流量は変化させない
で、内側の流量を低下し、外側の流量を増加すればよ
い。外側の流量を増加することにより、周辺部の温度が
上昇し、改質効果も向上する。
【0041】また、偏析防止装置がない場合は、コーク
スの粒度偏析が生じ、周辺部のガス流れが増加する。こ
の場合には外側の流量を低下し、内側の流量を増加すれ
ばよい。
【0042】周辺部の流量を増加する際には、耐火物の
保護を目的として、周辺部の温度が過剰に上昇しないよ
うに炉壁の温度を監視する必要がある。例えば熱電対を
円周方向に5個所、高さ方向に2個所程度設置し、炉壁
の温度を常時監視するのが望ましい。炉壁温度がプレチ
ャンバーを形成する耐火物の耐火温度よりも上昇した場
合は、上昇箇所近傍の外側の再加熱ガス吹込みノズル1
1bの流量を低下するなどの対応をとればよい。
【0043】
【実施例】図4は、本発明の第1の実施形態におけるコ
ークス乾式消火設備を用いて、925℃で窯出しされた
コークスを1バッチ分(層厚は2m)装入してコークス
レベルが約70cm下がるごとに空気を吹き込んだ場合
のコークス層高さ方向の温度分布(実線)を示す。縦軸
はコークス層底面からの距離である。なお、参考とし
て、従来技術(予備室上部空間に空気吹き込み)を適用
した場合のコークス温度分布を破線で示す。
【0044】図3から分かるように、従来技術を適用し
た場合は、下方に行くに連れて加熱効果が減少し、高さ
方向で約35℃の温度差ができる。一方、本発明によれ
ば、異なる高さで3回吹き込むので高さ方向の温度のば
らつきが抑えられている。
【0045】図8は、本発明の第2の実施形態における
コークス乾式消火設備において、DI強度に与えるノズ
ル本数の影響を示す。このグラフでは予備室の中心から
の距離とDI強度の関係を、ノズルを5本設けた場合と
ノズルを3本設けた場合とで比較している。横軸は中心
からの距離で縦軸はDI強度である。ノズルを5本設け
た場合の方が、半径方向のDI強度のばらつきが抑えさ
れているのがわかる。またノズルを5本設けた場合、ノ
ズルとノズルの中間A側に位置するコークスの強度がノ
ズル直下A′側に位置するコークスの強度により近くな
り、左右対称に近づくのがわかる。
【0046】図9は、DI強度に与える偏析防止装置の
影響を示す。偏析防止装置がない場合、周辺部のDI強
度が中心部のDI強度に比べて大きくなってしまう。偏
析防止装置を設けると、周辺部のDI強度が中心部のD
I強度に略等しくなり、DI強度のばらつきが抑えられ
ている。
【0047】図10は、コークスのレベル低下時のDI
強度を示す。補助ノズル(再加熱ガス吹き出しノズル)
がない場合、コークスのレベルが低下すると、コークス
のDI強度が周辺部に向うほど小さくなってしまう。補
助ノズルを設けることで、周辺部のDI強度が中心部と
略等しくなり、中心部と周辺部とでDI強度のばらつき
が抑えられている。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば乾
式消火設備内に装入したコークス層の高さ方向にむらな
く空気を吹きかけられるため、コークスからの発生ガス
やコークス塊の燃焼による再加熱・焼成が均一に行わ
れ、その結果コークスの品質(強度)を均一に向上させ
ることが可能となる。したがってコークス炉側で中低温
窯出しすることによって熱負荷を軽減させつつ、コーク
ス品質は従来の高温窯出しによるものと同等に保つこと
ができる。
【0049】また、予備室に偏析防止装置を設置し、再
加熱ガス吹込みノズルを2つ以上の同心円上に複数個設
置し、コークスレベル及び炉壁温度などの操業条件の変
動に対応して各再加熱ガス吹込みノズルに設けられた流
量調整弁で吹込み量を調整することによって、炉壁耐火
物を損傷することなしに、予備室でのコークスの改質効
果を最大かつ均一にすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるコークス乾式
消火設備の断面図である。
【図2】上記コークス乾式消火設備に用いられるプロー
パイプの断面図である。
【図3】上記ブローパイプの平面図である。
【図4】空気吹込み時のコークス温度の高さ方向分布図
である。
【図5】本発明の第2の実施形態におけるコークス乾式
消火設備の断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態におけるコークス乾式
消火設備の予備室の断面図である。
【図7】上記予備室の横断面図である。
【図8】図中(A)はDI強度に与えるノズル本数の影
響を示すグラフであり、図中(B)はノズルの配置を示
す平面図である。
【図9】DI強度に与える偏析防止装置を示すグラフで
ある。
【図10】コークスレベル低下時のDI強度を示すグラ
フである。
【符号の説明】 2…予備室 11a,11b…再加熱ガス吹込みノズル 13…レベル計(計測手段) 14…挿入口(吹き込み手段) 15…ブローパイプ(吹き込み手段) 16…空気吹出し孔 19…流量調整弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長島 康雄 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4H012 DA02 DA05 DA11

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 予備室に設けられ、コークスのレベルを
    計測する計測手段と、 予備室内のコークス層の内部に空気を吹き込む吹き込み
    手段とを備えることを特徴とするコークス乾式消化設
    備。
  2. 【請求項2】 前記吹き込み手段は、予備室の側壁に設
    けられる挿入口と、 前記挿入口から略水平方向に挿入可能にされ、長手方向
    に鉛直下向きの複数の空気吹出し孔を有するブローパイ
    プとを備えることを特徴とする請求項1に記載のコーク
    ス乾式消化設備。
  3. 【請求項3】 前記ブローパイプ及び前記挿入口が周方
    向に複数配置されていることを特徴とする請求項2に記
    載のコークス乾式消化設備。
  4. 【請求項4】 予備室に空気を導入し、赤熱コークスか
    らの発生ガス及びコークスを燃焼させ、コークスを加熱
    するコークス消化設備の運転方法において、 切り出し中のコークスのレベルを計測する工程と、 前回の空気吹き込み時から所定量レベルが下がったら切
    り出しを中止する工程と、 予備室内のコークス層中に所定時間空気を吹き込んでコ
    ークスを再加熱・焼成する工程と、 コークスの切り出しを再開する工程とを備えることを特
    徴とするコークス乾式消化設備の運転方法。
  5. 【請求項5】 予備室の側壁に設けられる挿入口と、 前記挿入口から略水平方向に挿入可能にされ、長手方向
    に下向きの複数の空気吹出し孔を有するブローパイプと
    を備え、 前記コークスを再加熱・焼成する工程では、前記ブロー
    パイプを前記挿入口から挿入し、 コークスの切り出しを再開する工程では、前記ブローパ
    イプを前記挿入口から抜き出すことを特徴とする請求項
    4に記載のコークス乾式消化設備の運転方法。
  6. 【請求項6】 予備室の装入口に設けられるコークスの
    偏析防止装置と、 酸素含有ガスあるいは炭化水素を含む熱風を予備室に吹
    き込む複数の再加熱ガス吹込みノズルと、 前記複数の再加熱ガス吹込みノズルそれぞれから吹き込
    む吹込み量を調整する複数の流量調整弁を備え、 前記複数の再加熱ガス吹込みノズルは、円周上に複数
    個、かつ該円周と直径が異なる同心円の円周上に複数個
    配置され、 前記複数の流量調整弁は、操業変動に応じて各再加熱ガ
    ス吹込みノズルから吹き込む吹込み量を調整することを
    特徴とするコークス乾式消化設備。
  7. 【請求項7】 前記複数の再加熱ガス吹込みノズルは、
    鉛直下向きに再加熱ガスを吹き出すことを特徴とする請
    求項6に記載のコークス乾式消化設備。
  8. 【請求項8】 予備室の炉壁に温度センサーが複数設置
    され、 各流量調整弁は、炉壁温度が予備室を形成する耐火物の
    耐火温度よりも上昇しないように前記各再加熱ガス吹込
    みノズルから吹き込む再加熱ガスの流量を調整すること
    を特徴とする請求項6又は7に記載のコークス乾式消化
    設備。
JP2001015886A 2001-01-24 2001-01-24 コークス乾式消火設備及びその運転方法 Pending JP2002220589A (ja)

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