JP2002217489A - 分布帰還型レーザダイオードおよびその製造方法 - Google Patents

分布帰還型レーザダイオードおよびその製造方法

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JP2002217489A
JP2002217489A JP2001013776A JP2001013776A JP2002217489A JP 2002217489 A JP2002217489 A JP 2002217489A JP 2001013776 A JP2001013776 A JP 2001013776A JP 2001013776 A JP2001013776 A JP 2001013776A JP 2002217489 A JP2002217489 A JP 2002217489A
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Hajime Shoji
元 小路
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Fujitsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 利得結合係数の大きく、単一モード動作の安
定性が向上した利得結合型分布帰還型レーザダイオード
を提供する。 【解決手段】 光共振器を構成する回折格子の凹部に、
選択的に絶縁層を含んだ埋込層を形成し、回折格子凹部
における活性層中へのキャリアの注入を阻止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は一般に光半導体装置
に係り、特に分布帰還型レーザダイオードおよびその製
造方法に関する。
【0002】分布帰還型レーザダイオードは単一モード
発振が可能であるため、光ファイバ通信ネットワークに
おいて広く使われている。
【0003】
【従来の技術】分布帰還型レーザダイオードでは、安定
した単一モード発振を実現するため、レーザ共振器を光
導波路中に形成した回折格子により実現している。特に
共振器中央部近傍にλ/4位相シフト領域を形成した、
いわゆるλ/4シフト分布帰還型レーザダイオードは安
定な単一モード発振が可能であり、広く使われている。
【0004】このような分布帰還型レーザダイオードで
は光共振器内において光の導波方向への周期的な屈折率
の摂動により分布帰還が生じるため、一般に屈折率結合
型分布帰還型レーザダイオードと呼ばれる。しかしこの
ような屈折率結合型分布帰還型レーザダイオードでは、
レーザ端面において反射が生じると所望の分布帰還以外
の光帰還が生じてしまい、単一モード動作特性が変動し
てしまう。このため、100%の確率で単一モード動作
を実現しようとすると、レーザダイオードの両端面に無
反射コーティングをほどこす必要があるが、かかる構成
では光出力が両端面から出射されてしまうため、高出力
を実現するのが困難である。
【0005】一方、かかるλ/4位相シフト領域を設け
ない回折格子を使った分布帰還型レーザダイオードにお
いて各レーザ端面に異なった反射率のコーティングをそ
れぞれ施すことにより、高効率動作を実現することは可
能である。しかし、このような構成では、レーザ端面に
おける反射光によりレーザダイオードの単一モード動作
が乱されてしまう。
【0006】このような屈折率結合型分布帰還型レーザ
ダイオードの課題を解決するために、従来より利得結合
型(複素結合型とも呼ばれる)分布帰還型レーザダイオ
ードが提案されている。かかる利得結合型分布帰還型レ
ーザダイオードでは光の導波方向への周期的な利得の摂
動により、所望の光分布帰還が実現され、位相シフト領
域が存在しなくても安定な単一モード動作が可能であ
る。またレーザ端面に非対称な反射コーティングを施す
ことにより、高効率で光出力を取り出すことが可能にな
る。さらにかかる利得結合型分布帰還型レーザダイオー
ドでは反射戻り光に対する単一モード動作の安定性が改
善される。反射戻り光はレーザ端面のみならず、光路中
の様々な光学部品によっても形成され、光ファイバ中を
伝播してレーザダイオードに戻ってくる。このような事
情で、利得結合型分布帰還型レーザダイオードは光ファ
イバ通信ネットワークの高出力高速光源としてのみなら
ず、集積化光デバイスの光源としても有用であると考え
られる。
【0007】図1(A)は典型的な従来の利得結合型分
布帰還型レーザダイオード10の構成を示す。
【0008】図1(A)を参照するに図示を省略した基
板上にはn型クラッド層11が形成され、さらにその上
に量子井戸構造を有する活性層12が形成されている。
また前記活性層12上にはp型クラッド層13が形成さ
れているが、前記クラッド層13中には光の導波方向
に、n型電流阻止領域13Aが周期的に繰り返し形成さ
れている。
【0009】かかる構成のレーザダイオードでは、前記
p型クラッド層13上に形成された電極から注入される
駆動電流が前記電流阻止領域13Aにおいて阻止され、
その結果前記活性層12中への電流注入は、前記光の導
波方向に周期的に繰り返される利得領域において選択的
になされ、その結果、図1(B)に示すような周期的な
利得分布が形成される。かかる周期的な利得分布と光と
の結合により、図1(D)に示す周期的な光電界分布が
形成され。
【0010】図1(A)のレーザダイオードでは活性層
12中に周期構造が形成されることがないため図1
(C)に示すように屈折率の変調はわずかである。
【0011】図2(A)は別の従来の利得結合型分布帰
還型レーザダイオード20の構成を示す。ただし図2
(A)中、図1(A)と共通する部分には同一の参照符
号を付し、説明を省略する。
【0012】図2(A)を参照するに、このレーザダイ
オードでは先の図1(A)のレーザダイオードで使われ
た電流阻止領域13Aの代わりに前記活性層12中に周
期的な回折格子12Aが形成される。かかる構成のレー
ザダイオードでは、前記回折格子12Aの凸部において
活性層12の厚さが厚く、従って図2(B)に示すよう
に局所的に利得の大きい領域が周期的に形成される。ま
たかかる周期的な利得の変調により、図2(D)に示す
ように周期的な光電界の分布が、図1(D)と同様に形
成される。図2(A)のレーザダイオードでは活性層1
2に前記回折格子12Aが形成されるため、先の図1
(A)のレーザダイオードよりも屈折率の変調が大きく
なる。
【0013】これに対し図3は図示しない基板上に形成
された第1導電型のクラッド層31上に第2導電型の回
折格子32Aを形成し、これをさらに第1導電型の緩衝
層32Bで覆った上に活性層33を設けた構成の、特開
平5−145169号公報に記載のレーザダイオード3
0を示す。図3のレーザダイオード30では、前記活性
層33上には第2導電型のクラッド層34が形成され
る。
【0014】図3の構成においても、前記活性層33の
うち、前記回折格子32Aの凹部に対応した厚膜部にお
いて利得の局所的な増大が生じる利得領域が形成され、
かかる利得領域が周期的に配列されることにより図1
(D)あるいは図2(D)で説明した周期的な光電界分
布が形成される。図3の構成では、利得結合と屈折率結
合が同相になり、大きな発振効率が実現される。
【0015】図4は特開平6−232497号公報に記
載の利得結合型分布帰還型レーザダイオード40の構成
を示す。
【0016】図4を参照するに、基板41上には周期的
に繰り返し配列される開口部を有する絶縁膜41Aが形
成され、かかる絶縁膜41Aを選択成長マスクに、活性
層42が、前記開口部に対応した周期的に繰り返し配列
されたパターンの形で前記基板41上に選択成長され
る。また前記基板41上には前記活性層パターン42を
覆うように光導波路層43が形成され、その上にクラッ
ド層44が形成されている。
【0017】図4のレーザダイオード40によれば、先
の図2(D)に示したのと同様な光電界分布がレーザダ
イオード20と同様に実現され、高効率動作が可能であ
る。特に図4の構成では一の活性層パターン42と隣接
する活性層パターン42との間の部分が絶縁膜41Aに
より覆われているため前記無駄な電流が流れることがな
い。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】利得結合型の分布帰還
型レーザダイオードにおいて安定な単一モード動作を実
現するには、光共振器中に形成される光電界のうちの屈
折率結合成分に対する利得結合成分の割合を可能な限り
増大させるのが好ましい。さらに高効率発振のために
は、利得結合成分と屈折率結合成分の位相が同相である
のが望ましい。
【0019】この観点からは、図1(A)のレーザダイ
オード10は屈折率結合の成分が利得結合成分よりも小
さいため好ましいものの、前記電流阻止領域13Aを活
性層12の近傍に形成するのが困難であるため、隣接す
る電流阻止領域13Aの間を通過した電流が活性層12
に注入される前に拡散してしまい、損失が生じると同時
に光の導波方向への利得変調度が減少してしまい、大き
な利得結合を実現するのが困難になる問題を有してい
る。
【0020】また図1(A)のレーザダイオード10に
おいては前記隣接する電流阻止領域13Aの間の経路を
通って電流注入がなされる際、プラズマ効果により前記
活性層12のうち、電流注入された部分の屈折率がプラ
ズマ効果により減少してしまい、図1(B),(C)に
示すように利得結合と屈折率結合とが逆相で作用し、所
望の単一モード動作の維持が困難になると共に、しきい
値電流の増大を招く問題が生じる。
【0021】これに対し図2(A)のレーザダイオード
20では活性層12の膜厚が直接に変調されるため大き
な利得結合が実現されると同時に、利得結合と屈折率結
合とが確実に同相になる特徴を有し、図1(A)の構成
に対してより単一モード安定性に優れ、また低いしきい
値での動作が可能になる。
【0022】しかし図2(A)のレーザダイオード20
では、駆動電流は前記活性層12のうち、利得領域に隣
接した膜厚の薄い低利得領域にも注入されるが、このよ
うな低利得領域に注入された電流はレーザ発振には寄与
せず、無効になる。すなわちレーザダイオード20は利
得結合係数の低下および光取り出し効率の低下が生じや
すい問題を有する。
【0023】一方図3の構成のレーザダイオード30で
は、活性層33が凹凸構造を形成する回折格子32A上
に形成されるが、かかる凹凸構造上へのレーザダイオー
ドの活性層に適した光学的な品質の半導体層の形成は困
難で、特に活性層33中に量子井戸層を形成する場合に
は、膜厚を一定に維持するのは非常に困難である。その
結果、所望の波長における光学利得が十分に得られな
い、発振特性が不良である等の問題が生じやすい。また
図3のレーザダイオード30において大きな利得結合を
実現しようとすると、電流阻止領域を兼ねている回折格
子32Aを深く形成する必要があるが、これに伴って活
性層33の形成はより困難になる。
【0024】一方図4のレーザダイオード40では無効
電流が絶縁膜41Aにより阻止されるため利得結合効率
を向上させることができるが、光導波層43をかかる絶
縁膜41A上に形成するのは困難であり、光導波層43
に適した光学的な品質の半導体層は得られない。
【0025】そこで、本発明は上記の課題を解決した新
規で有用な分布帰還型レーザダイオードおよびその製造
方法を提供することを概括的課題とする。
【0026】本発明のより具体的な課題は、光共振器中
に形成される光電界分布において屈折率結合成分と利得
結合成分とが同相で分布し、同時に大きな利得結合を実
現できる分布帰還型レーザダイオードおよびかかる分布
帰還型レーザダイオードの製造方法を提供することにあ
る。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の課題を活
性領域の少なくとも一部に回折格子を備えた分布帰還型
レーザダイオードにおいて、前記回折格子はその凹部
が、絶縁層を少なくとも一部に含む埋込層により埋め込
まれていることを特徴とする分布帰還型レーザダイオー
ドにより、解決する。
【0028】前記活性領域の少なくとも一部には、量子
井戸が形成されていてもよく、また前記絶縁層は、Al
を含む半導体材料の酸化物よりなるのもであってもよ
い。前記半導体材料は、例えばInAlAsであっても
よい。
【0029】本発明はまた、半導体基板上に活性領域を
成長する工程と、前記活性領域の少なくとも一部にエッ
チングにより回折格子を形成する工程と、前記回折格子
の凹部を選択的に埋め込み層により埋め込む工程と、前
記回折格子をクラッド層で覆う工程と、前記埋込層の少
なくとも一部を選択的に酸化する工程とを有することを
特徴とする分布帰還型レーザダイオードの製造方法を提
供する。
【0030】本発明においては、前記回折格子をクラッ
ド層で覆う工程の後、前記回折格子を含むようにメサス
トライプを形成し、さらに前記選択的酸化工程を、前記
メサストライプ形成工程の後で実行するようにしてもよ
い。前記埋め込み層は、InAlAsより形成するのが
好ましい。 [作用]図5(A)〜(D)は、本発明のレーザダイオ
ードの原理を示す。ただし図5(A)中、先に説明した
部分に対応する部分には同一の参照符号を付し、説明を
省略する。
【0031】図5(A)を参照するに、本発明のレーザ
ダイオードは図2(A)のレーザダイオード20と類似
した構造を有し、n型クラッド層21上に回折格子22
Aを形成された活性層22を有するが、本発明では前記
回折格子22Aの凹部に選択的に、絶縁層22Bを形成
している。すなわち、本発明のレーザダイオードではか
かる絶縁層22Bが前記回折格子22Aの凹部に対応し
て光の導波方向に周期的に繰り返される。前記絶縁層2
2Bは前記回折格子22Aの凹部を完全に埋め込む必要
はなく、その一部にのみ形成されていてもよい。
【0032】かかる絶縁層22Bを形成することによ
り、前記活性層22のうち、回折格子22Aの凹部に対
応した低利得領域への電流注入が阻止され、電流注入は
前記低利得領域に隣接する、前記回折格子22Aの凸部
に対応した利得領域に集中する。かかる電流注入の集中
の結果、前記レーザダイオードの光共振器中においては
前記利得領域において非常に大きな利得結合を実現する
ことができる。また、かかる構成のレーザダイオードで
は利得結合成分と屈折率結合成分が、図5(B),
(C)に示すように同相関係にあるため、安定な単一モ
ード動作が実現される。本発明においては前記回折格子
22Aの深さを増大させても、回折格子22Aの凹部が
前記絶縁層22Bにより選択的に埋め込まれているた
め、クラッド層23が堆積される下地面での凹凸の深さ
は小さく、回折格子22Aの深さを増大させても何ら問
題は生じない。このため、本発明では前記回折格子22
Aの深さを任意に制御することにより、利得結合係数を
自在に調整することができる。さらに、本発明では利得
結合係数を、前記絶縁層22Bの厚さあるいは組成を制
御することによっても制御可能である。
【0033】本発明では活性層22はクラッド層21
等、平坦な下地面上に形成されるため、活性層22中に
量子井戸層が含まれていてもその厚さは精度良く制御で
き、所望のレーザ発振波長に対応させることができる。
特に量子井戸層を活性層22中に形成した場合、回折格
子の凸部に対応する利得領域では活性層22中に含まれ
る量子井戸層の数が多く、凹部に対応する低利得領域で
は活性層22中の量子井戸層の数が少ないため、バルク
半導体層を活性層22として使った場合よりも電流注入
により生じる利得係数を大きく変調でき、また利得結合
係数をより増大させることができる。
【0034】前記絶縁層としてはAlを含む酸化膜が好
都合であり、かかる酸化膜は前記活性層22上に回折格
子22Aを形成した後、回折格子凹部を選択的に埋める
ようにAlを含む半導体層を堆積し、これを水蒸気雰囲
気中で酸化させることにより、容易に形成できる。
【0035】
【発明の実施の形態】[第1実施例]図6は、本発明の
第1実施例による、1.55μm帯域で動作する分布帰
還型レーザダイオード50の構成を示す。
【0036】図6を参照するに、Snを2×1018cm
-3の濃度にドープされたn型InP基板上にはSiを1
×1018cm-3の濃度にドープされたn型InPクラッ
ド層52が0.5μmの厚さに形成されており、さらに
前記InPクラッド層52上には非ドープInGaAs
活性層53が200nmの厚さに形成されている。
【0037】前記活性層53にはピッチが240nm、
深さが0.1μmの回折格子53Aがデューティー比5
0%で形成されており、さらに前記回折格子の凹部に、
厚さが約0.04μmの非ドープInP埋込層54Aと
組成が(InAs)x(Al23yで表される厚さが約
0.05μmの酸化埋込層54Bとを積層した構造の埋
込構造54を形成する。
【0038】さらに前記活性層53上にはZnを1×1
18cm-3の濃度でドープされたp型InPクラッド層
55が前記回折格子53Aおよび埋込構造54を覆うよ
うに約0.5μmの厚さに形成される。
【0039】さらに図示は省略するが、前記クラッド層
52,活性層53およびクラッド層55がエッチングさ
れ、前記InP基板51にまで達するメサ構造がレーザ
ダイオードの軸方向に延在するように形成され、前記基
板51上には前記メサ構造の両側に、Znを5×1017
cm-3の濃度でドープされたp型InP埋込み層とSi
を1×1018cm-3の濃度でドープされたn型InP埋
込層とを積層した埋込構造が形成される。
【0040】さらに前記埋込構造上に、前記メサ構造頂
部のInPクラッド層55を覆うようにZnを2×10
19cm-3の濃度でドープされたp型InGaAsコンタ
クト56が形成され、前記コンタクト層56上にTi/
Pt/Au積層構造を有するp型オーミック電極57
が、また前記InP基板51の底面にはAuGe/Au
積層アロイ構造のn型オーミック電極58が形成され
る。
【0041】本実施例のレーザダイオード50では、前
記回折格子53Aの凹部に絶縁層54Bを含む埋込構造
54形成することにより、前記活性層53のうち、回折
格子53Aの凹部に対応した低利得領域への電流注入が
阻止され、電流注入は前記低利得領域に隣接する、前記
回折格子53Aの凸部に対応した利得領域に集中する。
かかる電流注入の集中の結果、前記レーザダイオードの
光共振器中においては前記利得領域において非常に大き
な利得結合を実現することができる。また、かかる構成
のレーザダイオードでは利得結合成分と屈折率結合成分
が、先に図5(B),(C)で説明したように同相関係
にあるため、安定な単一モード動作が実現される。本発
明においては前記回折格子53Aの深さを増大させて
も、回折格子53Aの凹部が前記埋込構造54により選
択的に埋め込まれているため、クラッド層55が堆積さ
れる下地面での凹凸の深さは小さく、回折格子53Aの
深さを増大させても何ら問題は生じない。このため、本
発明では前記回折格子53Aの深さを任意に制御するこ
とにより、利得結合係数を自在に調整することができ
る。さらに、本発明では利得結合係数を、前記埋込構造
54の厚さあるいは組成を制御することによっても制御
可能である。 [第2実施例]図7は、本発明の第2実施例による分布
帰還型レーザダイオード60の構成を示す。ただし図7
中、先に説明した部分に対応する部分には同一の参照符
号を付し、説明を省略する。
【0042】図7を参照するに、本実施例のレーザダイ
オード60では図6のレーザダイオード50のバルク活
性層53が、厚さが5.1nmでバンドギャップ波長が
1.62μmの組成を有する非ドープInGaAsP量
子井戸層63aと厚さが10nmでバンドギャップ波長
が1.2μmの組成を有する非ドープInGaAsPバ
リア層63bとを繰り返し積層した量子井戸構造を有す
る活性層63に置き換えられており、前記活性層63に
は前記回折格子53Aに対応する回折格子63Aが形成
されている。また、前記活性層63上には、前記回折格
子53Aの凸部に対応してZnを5×1017cm-3の濃
度でドープしたp型InPキャップ層63Bが、約50
nmの厚さに形成される。
【0043】一例では、図8に示すように前記量子井戸
活性層63中に前記量子井戸層63aは6層、またバリ
ア層63bは5層形成される。また前記クラッド層52
と活性層63との間にはSiにより5×1017cm-3
濃度にドープされた1.1μmのバンドギャップ組成を
有するn型InGaAsPよりなる基板側SCH層63
cが約70nmの厚さに形成され、さらに前記量子井戸
活性層63とp型InPキャップ層63Bとの間には、
前記基板側SCH層63cと同一の上面側SCH層63
dが形成されている。図示の例では前記バリア層63b
およびSCH層63c,63dはInP基板51に対し
て格子整合するのに対し、前記量子井戸層63aは0.
8%の圧縮歪を蓄積する。
【0044】図7のレーザダイオード60では、前記回
折格子63Aの凹部に絶縁層54Bを含む埋込構造54
形成することにより、前記活性層63のうち、回折格子
63Aの凹部に対応した低利得領域への電流注入が阻止
され、電流注入は前記低利得領域に隣接する、前記回折
格子63Aの凸部に対応した利得領域に集中する。かか
る電流注入の集中の結果、前記レーザダイオードの光共
振器中においては前記利得領域において非常に大きな利
得結合を実現することができる。また、かかる構成のレ
ーザダイオードでは利得結合成分と屈折率結合成分が、
先に図5(B),(C)で説明したように同相関係にあ
るため、安定な単一モード動作が実現される。本発明に
おいては前記回折格子63Aの深さを増大させても、回
折格子63Aの凹部が前記埋込構造54により選択的に
埋め込まれているため、SCH層63dおよびクラッド
層55が堆積される下地面での凹凸の深さは小さく、回
折格子63Aの深さを増大させても何ら問題は生じな
い。このため、本発明では前記回折格子63Aの深さを
任意に制御することにより、利得結合係数を自在に調整
することができる。さらに、本発明では利得結合係数
を、前記埋込構造54の厚さあるいは組成を制御するこ
とによっても制御可能である。
【0045】さらに本実施例のレーザダイオード60で
は、活性層63は平坦なクラッド層52上に形成される
ため、活性層63中に量子井戸層63aが含まれていて
もその厚さは精度良く制御でき、所望のレーザ発振波長
に対応させることができる。特に量子井戸層63aを活
性層63中に形成した場合、回折格子の凸部に対応する
利得領域では活性層63中に含まれる量子井戸層の数が
多く、凹部に対応する低利得領域では活性層63中の量
子井戸層の数が少ないため、バルク半導体層を活性層と
して使った場合よりも電流注入により生じる利得係数を
大きく変調でき、また利得結合係数をより増大させるこ
とができる。
【0046】次に本実施例によるレーザダイオード60
の製造工程を、図9(A)〜13(H)を参照しながら
説明する。
【0047】図9(A)の工程において前記n型InP
基板51上に前記n型クラッド層52,前記基板側SC
H層63c,前記量子井戸活性層63,前記上面側SC
H層63dおよび前記キャップ層63BがMOVPE法
あるいはMBE法により順次堆積され、前記キャップ層
63上にはレジスト層69が形成される。
【0048】次に図9(B)の工程において前記レジス
ト層69が二光束干渉露光法あるいは電子ビーム露光法
により露光され、現像されることにより図9(B)に示
すように前記キャップ層63B上に周期が240μmで
繰り返されるデューティ比が50%のレジストパターン
69Aが形成される。
【0049】さらに図10(C)の工程において前記レ
ジストパターン69Aをマスクに、前記キャップ層63
Bおよびその下の量子井戸活性層63が、例えばエタン
と水素の混合ガスをエッチングガスとして使うドライエ
ッチング法によりパターニングされ、その結果前記活性
層63中に、繰り返しピッチが240nmの回折格子6
3Aが、約0.1μmの深さに形成される。
【0050】次に図10(D)の工程において前記レジ
ストパターン59Aが除去され、さらに図10(E)の
工程において図10(D)の構造上に非ドープInP埋
込層54Aが、MOVPE法により形成される。その
際、形成されるInP埋込層54Aは前記回折格子63
Aの凹部にのみ、前記凹部の底面および側壁面を覆うよ
うに選択的に堆積し、本実施例では前記InP埋込層5
4Aの最も薄い部分が0.04μm程度の厚さとなるよ
うに形成される。
【0051】さらに図10(E)の工程では前記InP
埋込層54Aが形成された回折格子63A上に非ドープ
InAlAs埋込層54bがMOVPE法により形成さ
れる。前記埋込層54bも前記回折格子63Aの凹部に
選択的に形成され、その際前記埋込層54bは、最も薄
い部分において厚さが0.05μm程度となるように形
成される。
【0052】このように前記回折格子63Aの凹部を層
54Aおよび54bにより埋め込んだ後、図10(E)
の工程においてはp型InPクラッド層55がMOVP
E法により形成される。
【0053】さらに図11(F)の工程において、前記
p型クラッド層55およびその下の活性層63、さらに
その下のn型クラッド層52を含む部分が、前記InP
基板51に到達するメサエッチングによりエッチングさ
れ、その結果、前記基板51上に軸方向に延在するメサ
ストライプMが、例えば1.5μm程度の幅に形成され
る。
【0054】このようにして形成されたメサストライプ
Mでは、メサ側壁面に図11(F)に示すように活性層
63、および前記活性層63中の回折格子63Aの凹部
を埋め込むInP埋込層54AおよびInAlAs埋込
層54bが露出する。
【0055】次に図11(G)の工程において図11
(F)の構造が水蒸気雰囲気中、450°Cの温度で熱
処理され、前記InAlAs埋込層54bが前記メサ側
壁面の露出部から始まって酸化される。かかる酸化処理
の結果、前記InAlAs埋込層54bは組成が(In
As)x(Al23yで表される酸化膜に変換される。
【0056】さらに図11(G)の工程の後、図11
(H)の工程において前記InP基板51上には前記メ
サストライプ領域Mの両側にZnを5×1017cm-3
濃度で含むp型InPよりなる埋込層51AとSiを7
×1018cm-3の濃度で含むn型InPよりなる電流狭
搾層51BとがMOVPE法により堆積され、さらに前
記電流狭搾層51B上に、前記メサストライプ領域Mの
頂部を構成するInPキャップ層63Bにコンタクトす
るように、前記p型クラッド層55が形成される。
【0057】前記クラッド層55上にはp型InGaA
sコンタクト層56が形成されており、さらに前記コン
タクト層56上には、絶縁膜56Aを介してp型電極5
7が形成され、前記絶縁膜56A中に形成された開口部
を介して前記コンタクト層56にコンタクトする。さら
に前記InP基板51の下面にはn型電極58が形成さ
れる。
【0058】このようにして形成されたレーザダイオー
ド構造は、例えば300μmの共振器長にへき開され、
所望の利得結合型分布帰還型レーザダイオード60が完
成する。
【0059】以上、本発明を好ましい実施例について説
明したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるも
のではなく、特許請求の範囲に記載した要旨内において
様々な変形・変更が可能である。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、分布帰還型レーザダイ
オードの回折格子凹部を絶縁膜を含む埋込層により埋め
込むことにより、注入キャリアが利得領域となる回折格
子凸部に集中し、利得結合領域の利得結合係数を最大化
することができる。また利得結合領域と屈折率結合領域
とが同相になるため、安定した単一モード動作が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)〜(D)は従来の分布帰還型レーザダイ
オードの構成および動作を説明する図である。
【図2】(A)〜(D)は従来の別の分布帰還型レーザ
ダイオードの構成および動作を説明する図である。
【図3】従来のさらに別の分布帰還型レーザダイオード
の構成を説明する図である。
【図4】従来のさらに別の分布帰還型レーザダイオード
の構成を説明する図である。
【図5】(A)〜(D)は本発明の原理を説明する図で
ある。
【図6】本発明の第1実施例による分布帰還型レーザダ
イオードの構成を示す図である。
【図7】本発明の第2実施例による分布帰還型レーザダ
イオードの構成を示す図である。
【図8】図7のレーザダイオードの一部を拡大して示す
図である。
【図9】(A)および(B)は、図7のレーザダイオー
ドの製造工程を説明する図(その1)である。
【図10】(C)〜(E)は、図7のレーザダイオード
の製造工程を説明する図(その2)である。
【図11】(F)〜(H)は、図7のレーザダイオード
の製造工程を説明する図(その3)である。
【符号の説明】
10、20,30,40,50,60 分布帰還型レー
ザダイオード 11,31,41,51 基板 12,22,33,53 活性層 12A,22A,32A,42,53A 回折格子 13,21,23,31,34,44,52,55 ク
ラッド層 13A 電流阻止層 22B,54B 埋込絶縁層 32B 緩衝層 41A 絶縁膜 43 光導波層 51A,54A InP埋込層 51B InP電流狭搾層 54b InAlAs埋込層 54B (InAs)x・(Al23y埋込絶縁層 56 InGaAsコンタクト層 57 p型電極 59 レジスト 59A レジストパターン 28 n型電極 63 量子井戸活性層 63A 回折格子 63a 量子井戸層 63b バリア層 63c,63d SCH層 63B InPキャップ層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 活性領域の少なくとも一部に回折格子を
    備えた分布帰還型レーザダイオードにおいて、 前記回折格子はその凹部が、絶縁層を少なくとも一部に
    含む埋込層により埋め込まれていることを特徴とする分
    布帰還型レーザダイオード。
  2. 【請求項2】 前記絶縁層は、Alを含む半導体材料の
    酸化物よりなることを特徴とする請求項1記載の分布帰
    還型レーザダイオード。
  3. 【請求項3】 分布帰還型レーザダイオードの製造方法
    であって、 半導体基板上に活性領域を成長する工程と、 前記活性領域の少なくとも一部にエッチングにより回折
    格子を形成する工程と、 前記回折格子の凹部を選択的に埋め込み層により埋め込
    む工程と、 前記回折格子をクラッド層で覆う工程と、 前記埋込層の少なくとも一部を選択的に酸化する工程と
    を有することを特徴とする分布帰還型レーザダイオード
    の製造方法。
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