JP2002217000A - ビーム位置モニタおよびこれを用いたシンクロトロン - Google Patents

ビーム位置モニタおよびこれを用いたシンクロトロン

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JP2002217000A
JP2002217000A JP2001011595A JP2001011595A JP2002217000A JP 2002217000 A JP2002217000 A JP 2002217000A JP 2001011595 A JP2001011595 A JP 2001011595A JP 2001011595 A JP2001011595 A JP 2001011595A JP 2002217000 A JP2002217000 A JP 2002217000A
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Kunio Koseki
国夫 小関
Kazuyoshi Saito
一義 齋藤
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 同じ信号引出電極を用いてビームの水平方向
位置と垂直方向位置を測定すること。 【解決手段】 ビームの通過に伴う電荷を誘起させる4
個の信号引出電極10UL〜10DRをそれぞれ三角形
形状に形成し、これら信号引出電極をビームの設計軌道
1sを基準に上下に2個ずつ分けて配置し、上側に配置
された2個の信号引出電極10UL、10URによって
上側の水平面を形成し、これらの電極の間にビームの進
行方向に対して斜めに交差する直線状の間隙14を形成
し、下側に配置された2個の信号引出電極10DL、1
0DRによって下側の水平面を形成し、これらの電極間
にビームの進行方向に対して斜めに交差する直線状の間
隙16を形成し、4個の信号引出電極10UL〜10D
Rによって水平方向および垂直方向のビーム位置を測定
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビーム位置モニタ
に係り、特に、荷電粒子ビームをシンクロトロン中で周
回、加速する際、荷電粒子の位置を測定するに好適なビ
ーム位置モニタおよびこれを用いたシンクロトロンに関
する。
【0002】
【従来の技術】シンクロトロンは、環状の真空ダクト内
で荷電粒子ビーム(以下、ビームという。)を周回させ
ながら、所定のエネルギーまで加速するための装置とし
て、癌治療用医療機器等に用いられている。
【0003】この種のシンクロトロンは、ビームを前段
加速器から入射する入射装置と、所定のエネルギーまで
加速されたビームをビーム利用設備(医療機器)に出射
する出射装置と、入射装置と出射装置とを結ぶ環状の真
空ダクト中のビームに磁場を与えてビームをビームの設
計軌道に沿って偏向させる偏向電磁石と、真空ダクト内
のビームに対して高周波加速電圧を印加してビームを加
速する高周波加速空胴と、真空ダクト中のビームを水平
方向に収束させる収束型四極電磁石と、真空ダクト内の
ビームを垂直方向に収束させる発散型四極電磁石と、真
空ダクト中のビームの位置を測定するビーム位置モニタ
と、ビーム位置モニタによって得られたビーム位置情報
からビームの軌道を補正するためのステアリング電磁石
とを備えて構成されている。
【0004】上記構成によるシンクロトロンにおいて、
高周波線形加速器や静電加速器などの前段加速器からビ
ームが入射されると、このビームは進行方向に一様に連
続な電荷密度分布を持って真空ダクト内を周回する。こ
のとき高周波加速空胴に高周波電圧を印加すると、進行
方向への収束力により、ビームは高周波電圧のある位相
を中心にして集群(バンチ)化する。
【0005】その後、高周波電圧の周波数を上昇させ、
バンチ中心の高周波電圧に対する位相を加速位相側にず
らすことで、周回ビームの運動量が増加する。また、ビ
ームの運動量増加による周回周波数の上昇に同期して高
周波電圧の周波数をさらに増加させる制御が行われる。
【0006】このとき、シンクロトロンを周回するビー
ムは予め定めた設計軌道を通るように偏向電磁石によっ
て偏向される。ここで、ビーム中の荷電粒子の電荷を
e、運動量をp、磁場強度をB、磁場での偏向による曲
率半径をρとすると、p=eBρの関係にあることが知
られており、シンクロトロンでは曲率半径ρを一定に保
つために、加速によるビームの運動量pの増加に伴っ
て、偏向電磁石の磁場強度Bを増加させ、ビームの中心
軌道が常に設計軌道を通るような制御が行われる。ま
た、ビームを水平方向および垂直方向へ収束させるため
の四極電磁石の磁場強度もビームの運動量の増加に同期
して増加させる制御が行われる。
【0007】ビームの運動量増加率と磁場強度の変化率
との間で同期を通る方法としては、偏向電磁石の磁場強
度を磁場測定用サーチコイルで測定し、磁場強度の変化
毎に制御クロック(Bクロック)を発生し、Bクロック
を基に高周波加速電圧の周波数を決定する方法がある。
【0008】しかし、この方法によっても、偏向電磁石
の磁場強度変化と高周波電圧の周波数変化に同期が取れ
ないと、ビームは真空ダクトなどに衝突して失われビー
ム損失が生じる。そこで、ビーム位置モニタによってビ
ームの設計軌道からの変位を測定し、ビームが設計軌道
を周回するために必要な高周波電圧の周波数を算出し、
この算出値にしたがって高周波加速空胴に対して適切な
周波数の高周波加速電圧を印加するようになっている。
【0009】この高周波加速電圧によって進行方向への
収束力を受けて、バンチ化されたビームは、ビーム進行
方向に伸縮(バンチ形状振動)しながらシンクロトロン
内を周回することになる。
【0010】このバンチ形状振動が激しくなると、ビー
ムは安定条件から外れ、ビーム損失に繋がるので、高周
波加速電圧の振幅を適切に制御する必要がある。そこ
で、ビーム位置モニタによって、ビームのバンチ形状振
動を測定し、この測定結果を基に、高周波加速電圧の振
幅を制御することが行われている。
【0011】一方、シンクロトロンに設置される偏向電
磁石や四極電磁石などの据付けに誤差が生じたり、磁場
強度に誤差が生じたりすると、ビームは設計軌道からず
れた軌道を周回する。そしてビームの設計軌道からの変
位が大きくなると、ビーム損失に繋がるので、ビーム位
置モニタによって得られたビーム位置情報を基に、ビー
ムが実際に通る軌道の設計軌道からの歪み(COD)を
軌道補正用電磁石(ステアリング電磁石)などで補正す
ることが行われている。
【0012】主にシンクロトロンにおいて用いられてい
るビーム位置モニタとしては、三角電極型ビーム位置モ
ニタがある。この三角電極型ビーム位置モニタに関して
は、例えば、H.Koziol,「Beam diag
nostics for accelerators」
(CAS,CERN Accelerator Sch
ool,Fifth general acceler
ator physics course,proce
edings)に記載されているものがあり、三角電極
型ビーム位置モニタには、水平方向のビーム位置測定用
と、垂直方向のビーム位置測定用の2種類がある。
【0013】水平方向のビーム位置測定用三角電極型ビ
ーム位置モニタは、例えば、図11、図12および図1
3に示すように、基準電位を与えるための接地電極40
cと、ビームの設計軌道110C(1S)を中心に上下
に分かれて配置された4個の信号引出電極20UL、2
0UR、20DL、20DRと、真空容器40Bと、2
個の信号出力用端子40Aとを備えて構成されている。
上下2個の電極20ULと20DLは導体20Aを介し
て互いに接続され、上下2個の電極20URと20DR
は導体20Bを介して互いに接続され、同一平面上にあ
る2個の信号引出電極20ULと20URおよび2個の
信号引出電極DRと20DRは、それぞれ斜めの切り込
みによって分断され、三角形形状に形成されている。
【0014】一方、垂直方向のビーム位置測定用三角電
極型ビーム位置モニタは、図14に示すように、三角形
形状の4個の信号引出電極17UL、17UR、17D
L、17DRがそれぞれビーム601の進行方向に対し
て左右に分かれて配置され、上側に配置された2個の電
極17UL、17URは互いに導体20Cを介して接続
され、下側に配置された2個の電極17DL、17DR
は互いに導体20Dを介して接続されている。そして、
信号引出電極17ULと電極17DLとの間および信号
引出電極17URと電極17DRとの間には鉛直軸に対
して斜め方向に交差する間隙(切り込み)が形成されて
おり、この間隙によって上下の信号引出電極が分断され
ている。さらに、上側の2個の電極17UL、17UR
と下側の2個の電極17DL、17DRはそれぞれ2個
の信号出力用端子40Aに接続されている。
【0015】三角電極型ビーム位置モニタによってビー
ム位置を測定するに際しては、以下に示す測定原理が採
用されている。
【0016】具体的には、水平方向のビーム位置測定用
三角電極型ビーム位置モニタの場合には、図11に示す
ように、ビームの通過に伴って各信号引出電極20R、
20L上には、静電誘導によってビームからの距離に応
じた電荷qおよびqが誘起される。例えば、ビーム
の設計軌道110Cから水平方向にx変位した位置をビ
ームが通過すると、ビームの長さ110Aを各信号引出
電極上に投影した長さLおよびLは、電荷qおよ
びqに比例した量となり、信号引出電極20L、20
Rと接地電極40Cによって決定される対地静電容量を
Cとすると、各信号出力端子40Aからの出力電圧
、Vは以下の式で表される。
【0017】
【数1】
【0018】
【数2】 ここで、eは素電荷、Nはビーム位置モニタ内にあるビ
ームの粒子数、Lはビーム進行方向におけるビーム位置
モニタの長さ、Wは水平方向におけるビーム位置モニタ
の長さである。
【0019】また、荷電粒子ビームの通過によってビー
ム位置モニタの各信号引出電極上に誘起された電荷の時
間変化量をdq/dt、ビーム位置モニタからの信号を
増幅するための前置増幅器の抵抗をR、ビーム位置モニ
タの信号引出電極と接地電極とによって決定される対地
静電容量をCとすると、ビーム位置モニタの電気的等価
回路は図14に示すような回路構成となる。ここで、V
は各信号引出電極からビーム位置に比例して出力される
出力電圧VおよびVに対応する。
【0020】上記(1)式および(2)式に示した出力
電圧VおよびVは、それぞれビームの設計軌道11
0Cからの水平方向変位xと線形な関係にあるが、ビー
ム位置モニタ内のビーム強度eNに比例した量である。
このため、信号処理回路においては、ビーム強度に依存
しない水平方向位置xとして、ビームの設計軌道からの
変位xを次の(3)式にしたがって算出するようになっ
ている。
【0021】
【数3】 三角電極型ビーム位置モニタを設置するに際しては、シ
ンクロトロンにおける電磁石配置(ラティス)によって
は、水平方向のベータトロン振動の振幅と、垂直方向の
ベータトロン振動の振幅がほぼ同一地点で最大になると
ころに設置することが望ましく、シンクロトロンにおい
ては、シンクロトロン直線部に、水平方向ビーム位置測
定用のビーム位置モニタと垂直方向ビーム位置測定用の
ビーム位置モニタを並べて設置する構成が採用されてい
る。
【0022】なお、この種のビーム位置モニタに関連す
るものとしては、特開平6−251900号公報、特開
平4−357698号公報、特開平6−96898号公
報、特開平3−225800号公報が挙げられる。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】従来技術においては、
ビーム位置モニタを利用して、シンクロトロンを周回す
るビームの位置を測定するに際しては、ビームの水平方
向とビームの垂直方向の位置をそれぞれ異なるビーム位
置モニタで測定しなければならず、水平方向ビーム位置
測定用ビーム位置モニタと、垂直方向ビーム位置測定用
ビーム位置モニタをシンクロトロンの直線部に並べて設
置することが余儀なくされ、シンクロトロンを小型化す
ることが困難である。
【0024】本発明の課題は、同じ信号引出電極を用い
てビームの水平方向位置と垂直方向位置を測定すること
ができるビーム位置モニタおよびこれを用いたシンクロ
トロンを提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明は、ビームの伝送路を構成する真空容器と、
基準電位が与えられて前記真空容器内に配置された基準
電極と、前記真空容器内におけるビームの設計軌道を基
準に上下に一対ずつ分かれて配置されビームの通過に伴
う電荷を誘起させる4個の信号引出電極と、前記基準電
極を基準電位として前記各信号引出電極に誘起された電
位の信号をそれぞれ出力する4個の信号引出端子とを備
え、前記信号引出電極のうち上側に配置された2個の信
号引出電極はそれぞれ上側の水平面を形成し、下側に配
置された2個の信号引出電極はそれぞれ下側の水平面を
形成してなるビーム位置モニタを構成したものである。
【0026】前記ビーム位置モニタを構成するに際して
は、以下の要素を付加することができる。
【0027】(1)前記信号引出電極のうち上側に配置
された2個の信号引出電極および下側に配置された2個
の信号引出電極は、それぞれ前記ビームの進行方向に対
して斜めに交差する直線状の間隙を間にして相対向して
配置されてなる。
【0028】(2)前記4個の信号引出電極はそれぞれ
前記水平面に対して垂直な垂直面を形成し、かつ前記各
水平面と前記各垂直面によって矩形形状の枠体を形成し
てなるとともに、上側に配置された一方の信号引出電極
の垂直面および下側に配置された一方の信号引出電極の
垂直面は、それぞれ鉛直軸に対して斜めに交差する直線
状の間隙を間にして上下に分かれて配置され、上側に配
置された他方の信号引出電極の垂直面および下側に配置
された他方の信号引出電極の垂直面は、それぞれ鉛直軸
に対して斜めに交差する直線状の間隙を間にして上下に
分かれて配置されてなる。
【0029】(3)前記信号引出電極のうち上側に配置
された2個の信号引出電極および下側に配置された2個
の信号引出電極は、それぞれ前記ビームの進行方向に沿
った直線状の間隙を間にして相対向して配置されてな
る。
【0030】(4)前記4個の信号引出電極はそれぞれ
前記水平面に対して垂直な垂直面を形成し、かつ前記各
水平面と前記各垂直面によって矩形形状の枠体を形成し
てなるとともに、上側に配置された一方の信号引出電極
の垂直面および下側に配置された一方の信号引出電極の
垂直面は、それぞれ鉛直軸に対して直交する直線状の間
隙を間にして上下に分かれて配置され、上側に配置され
た他方の信号引出電極の垂直面および下側に配置された
他方の信号引出電極の垂直面は、それぞれ鉛直軸に対し
て直交する直線状の間隙を間にして上下に分かれて配置
されてなる。
【0031】(5)前記4個の信号引出端子から出力さ
れる信号を演算処理してビームの設計軌道からの変位を
示す水平方向位置および垂直方向位置を算出する信号処
理回路を備えてなる。
【0032】(6)前記信号処理回路は、上側に配置さ
れた一方の信号引出電極から出力された第1の信号と前
記一方の信号引出電極に相対向して下側に配置された一
方の信号引出電極から出力された第2の信号との和を演
算する第1の演算回路と、上側に配置された他方の信号
引出電極から出力された第3の信号と前記他方の信号引
出電極に相対向して下側に配置された他方の信号引出電
極から出力された第4の信号との和を演算する第2の演
算回路と、前記第1の演算回路の演算値と前記第2の演
算回路の演算値との差と和の比を基に前記ビームの設計
軌道からの水平方向変位となるビームの水平方向位置を
算出する水平方向位置算出回路と、前記第1の信号と前
記第3の信号との和を演算する第3の演算回路と、前記
第2の信号と前記第4の信号との和を演算する第4の演
算回路と、前記第3の演算回路の演算値と前記第4の演
算回路の演算値との差と和の比を基に前記ビームの設計
軌道からの垂直方向変位となるビームの垂直方向位置を
算出する垂直方向位置算出回路とから構成されてなる。
【0033】前記した手段によれば、4個の信号引出電
極がビームの設計軌道を基準にして上下に2個ずつ分か
れて配置され、上側の2個の信号引出電極間と下側の2
個の信号引出電極間にはそれぞれ間隙が形成されている
ため、ビームの通過に伴って各信号引出電極に誘起され
た電荷は、ビームとの位置、接地電極の電位、信号引出
電極の大きさや信号引出電極と接地電極との距離に応じ
た電位となり、各信号引出電極に誘起された電位を信号
処理回路で演算することで、ビームの設計軌道からの水
平方向変位となるビームの水平方向位置およびビームの
設計軌道からの垂直方向変位となるビームの垂直方向位
置を求めることができる。
【0034】具体的には、上下2個の信号引出電極に誘
起された電位の和は、上側の信号引出電極間および下側
の信号引出電極間を分離する間隙によって分けられたビ
ームの長さと線形な関係になっており、各電極の電位和
同士の差と和の比を取ることで、ビームの水平方向位置
を求めることができる。
【0035】一方、上側の2個の信号引出電極に誘起さ
れた電位の和と、下側の2個の信号引出電極に誘起され
た電位の和は、それぞれビームから上下の電極までの距
離と線形な関係になっている。このため上側の2個の引
出電極から出力される信号の和と、下側の2個の引出電
極から出力される信号の和を演算し、この演算値の差と
和の比を求めることでビームの垂直方向位置を算出する
ことができる。
【0036】従って、同一の信号引出電極でビームの水
平方向位置とビームの垂直方向位置を測定することがで
き、ひいては1台のビーム位置モニタによってビームの
水平方向位置と垂直方向位置を測定することが可能とな
り、このビーム位置モニタをシンクロトロンの直線部に
設置することで、シンクロトロンの小型化に寄与するこ
とができる。
【0037】また、本発明は、荷電粒子によるビームを
前段加速器から入射する入射装置と、所定のエネルギー
まで加速されたビームを出射する出射装置と、前記入射
装置と前記出射装置とを結ぶ環状のビーム伝送路中のビ
ームに磁場を与えて前記ビームをビームの設計軌道に沿
って偏向させる偏向電磁石と、前記ビーム伝送路中のビ
ームに対して高周波加速電圧を印加して前記ビームを加
速する高周波加速空胴と、前記ビーム伝送路中のビーム
を水平方向に収束させる収束型四極電磁石と、前記ビー
ム伝送路中のビームを垂直方向に収束させる発散型四極
電磁石とを有するシンクロトロンにおいて、前記ビーム
伝送路中のビームの位置を監視するビーム位置モニタと
して、前記いずれかのビーム位置モニタを備えてなるシ
ンクロトロンを構成したものである。
【0038】前記シンクロトロンを構成するに際して
は、信号処理回路を備えたビーム位置モニタの他に、以
下の要素を付加することができる。
【0039】(1)前記信号処理回路により算出された
ビーム位置とビームの設計軌道との差から前記ビーム伝
送路中のビームの軌道を補正するための励磁量を算出す
る励磁量算出手段と、前記励磁量算出手段の算出による
励磁量に従った電磁力を前記ビーム伝送路中のビームに
作用させて前記ビームの軌道を補正するステアリング電
磁石とを備えてなる。
【0040】(2)前記偏向電磁石の磁場強度を検出す
る磁場強度検出手段と、前記磁場強度検出手段の検出に
よる磁場強度に従って高周波加速電圧に関する周波数設
定値を算出する周波数設定値算出手段と、前記信号処理
回路により算出されたビーム位置とビームの設計軌道と
の差から高周波加速電圧に関する周波数補正量を算出す
る周波数補正量算出手段と、前記高周波加速空胴に高周
波加速電圧を供給する発振器と、前記周波数設定値算出
手段の算出による周波数設定値と前記周波数補正量算出
手段の算出による周波数補正量とを加算して得られた演
算値に従って前記発振器の出力による高周波加速電圧の
周波数を補正する周波数補正手段と、前記信号処理回路
の処理により得られてバンチ形状信号を基に前記ビーム
伝送路中のビームによる位相幅振動を減衰させるための
高周波加速電圧に関する電圧補正量を算出する電圧補正
量算出手段と、前記高周波加速空胴から発生する高周波
加速電圧を検出する高周波加速電圧検出手段と、前記電
圧補正量算出手段により算出された電圧補正量と前記高
周波加速電圧検出手段により検出された高周波加速電圧
とを加算して得られた演算値に従って前記発振器の出力
による高周波加速電圧の振幅を補正する振幅補正手段と
を備えてなる。
【0041】
【発明の実施の形態】(実施形態1)以下、本発明の一
実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の第
1実施形態を示すビーム位置モニタにおける信号引出電
極の配置を説明するための斜視図、図2はビーム位置モ
ニタの縦断面図である。図1および図2において、ビー
ム位置モニタは、4個の信号引出電極10UL、10U
R、10DL、10DRを備えており、各信号引出電極
10UL、10UR、10DL、10DRは三角形状に
形成され、荷電粒子によるビーム12の設計軌道1sを
基準に上下に一対ずつ(2個ずつ)分かれて配置されて
いる。上側に配置された信号引出電極10UL、10U
Rはそれぞれ同一平面上に上側の水平面を形成してお
り、これら信号引出電極間には、ビーム12の進行方向
に対して斜めに交差する直線状の間隙(切り込み)14
が形成されている。すなわち、信号引出電極10URと
信号引出電極10URは間隙14を間にして、その斜辺
が相対向するように配置されている。一方、下側に配置
された2個の信号引出電極10DL、10DRはそれぞ
れ同一平面上に下側の水平面を形成しており、これら信
号引出電極間には、ビーム12の進行方向に対して斜め
に交差する直線状の間隙(切り込み)16が形成されて
いる。すなわち、信号引出電極10DL、10DRは間
隙16を間にして、三角形の斜辺が相対向して配置され
ている。
【0042】4個の信号引出電極10UR〜10DRの
周囲には矩形形状(断面形状が長方形形状)の接地電極
18が配置されており、この接地電極18は、ビーム1
2の伝送路を構成する真空容器20に固定され、基準電
位として接地電位が与えられている。真空容器20の壁
面には4個の信号引出端子22UL、22UR、22D
L、22DRが2個ずつ上下に分かれて配置されてい
る。そして各信号引出端子22UR〜22DRは接地電
極18に接続されているとともに、信号引出端子22U
Lは信号引出電極10ULに、信号引出端子22URは
信号引出電極10URに、信号引出端子22DLは信号
引出電極10DLに、信号引出端子22DRは信号引出
電極10DRにそれぞれ接続されている。そして各信号
引出端子22UL〜22DRからは、ビーム12の通過
に伴って各信号引出電極10UL〜10DRに電荷が誘
起されたときに、各信号引出電極10UL〜10DRに
誘起された電位の信号VUL、VUR、VDL、VDR
がそれぞれ接地電極18を基準電位とした信号として信
号処理回路に出力されるようになっている。
【0043】次に、上記構成によるビーム位置モニタの
測定原理について説明する。まず、本発明に係るビーム
位置モニタを利用して、水平方向のビーム位置を測定す
る際の測定原理について説明する。
【0044】水平方向のビーム位置を測定するに際し
て、従来技術では2個の信号引出電極を用いてビーム位
置を測定しているのに対して、本発明に係るビーム位置
モニタでは4個の信号引出電極によってビーム位置を測
定しているが、本発明に係るビーム位置モニタによって
水平方向のビーム位置を測定する際の測定原理は、従来
技術にある三角電極型ビーム位置モニタによるビーム位
置測定の際の測定原理と同じである。
【0045】具体的には、Lをビーム進行方向における
各信号引出電極の長さ、Wを水平方向における信号引出
電極の長さ、xをビーム12の設計軌道1sからの水平
方向変位、L1を、信号引出電極10UL、10URに
よって通過ビームを分けたときに、信号引出電極10U
L、10UR上に投影したときの長さ、L2を、信号引
出電極10DL、10DRによって通過ビームを分けた
ときに、信号引出電極10DL、10DR上に投影した
ときのビームの長さとし、各信号引出電極10UL、1
0UR、10DL、10DRからの出力電圧をそれぞれ
UL、VUR、VDL、VDRとすると、次の(4)
式、(5)式によって、ビームの水平方向位置を算出す
ることができる。
【0046】
【数4】
【0047】
【数5】 ここで、q1は信号引出電極10URと10DR上に誘
起された電荷の和であり、q2は信号引出電極10U
L、10DL上に誘起された電荷の和である。またCは
対地静電容量、eは素電荷、Nはビーム位置モニタ内に
あるビーム粒子の数である。
【0048】(4)式および(5)式におけるVUR
DRおよびVUL+VDLはビームの設計軌道1Sか
らの変位xと線形な関係にある量であるが、ビーム強度
に比例した量でもある。そこで、VUR+VDRおよび
UL+VDLの差と和の比を取ることで、次の(6)
式に示すように、ビーム強度に依存しない水平方向位置
xを得ることができる。
【0049】
【数6】 次に、本発明に係るビーム位置モニタを利用して、垂直
方向のビーム位置を測定する際の測定原理について説明
する。従来技術では、鉛直方向に沿って配置された2個
の信号引出電極によって垂直方向のビーム位置を測定し
ているのに対して、本発明では、水平方向のビーム位置
を測定するのに用いた4個の信号引出電極によっても垂
直方向のビーム位置を測定するために、4個の信号引出
電極に誘起された電位を演算処理することで垂直方向の
ビーム位置を求めることとしている。
【0050】具体的には、上側に配置された2個の信号
引出電極10UL、10URからの出力電圧の和VUR
+VULおよび下側に配置された2個の信号引出電極1
0DL、10DRからの出力電圧の和VDR+V
DLは、それぞれビームから各信号引出電極までの垂直
方向の距離に依存した量である。そこで、上側に配置さ
れた2個の信号引出電極10UL、10URから出力さ
れる出力電圧の和VUR+V ULおよび下側に配置され
た2個の信号引出電極10DL、10DRから出力され
る出力電圧の和VDR+VDLを次の(7)式によって
演算することで、ビームの垂直方向位置yを算出する。
【0051】
【数7】 ここで、Hは上下の信号引出電極間の距離である。
【0052】上記測定原理にしたがってビーム位置を測
定する場合、ビーム水平方向位置の測定精度に関して
は、従来技術と同様に、4個の信号引出電極は三角形状
に形成され、上側の信号引出電極間と下側の信号引出電
極間は斜め方向の間隙(切れ込み)14、16によって
分断されているため、三角電極型ビーム位置モニタと同
等の位置測定精度を得ることができる。
【0053】しかし、ビーム垂直方向位置の測定精度に
関しては、ビームが設計軌道1Sから垂直方向に変位し
た位置での位置測定精度は大きく悪化することが予想さ
れる。
【0054】そこで、本実施形態では、ビーム位置モニ
タの信号引出電極の構成や信号引出電極の大きさを静電
圧計算の結果に基づいて適切に調整することで、所望の
位置測定精度を得ることとしている。
【0055】以下、本発明に係るビーム位置モニタによ
ってビームの垂直方向位置測定を行う際の位置測定精度
を高めるために用いる静電圧計算の計算体系とその計算
結果について説明する。
【0056】本発明に係るビーム位置モニタでは、各信
号引出電極10UL、10UR、10DL、10DRか
ら得られる各出力電圧の合成VUR+VULとVDR
を信号処理回路によって演算し、上記(7)式に
よってビームの垂直方向位置を算出する。しかし、この
ままでは、ビームが設計軌道から垂直方向に変位した位
置での位置測定精度が悪化することが予想される。そこ
で、静電圧計算の計算体系においては、ビームを模擬し
た円筒状の空間電荷の上下を覆うように配置した2個の
信号引出電極に誘起した電位をそれぞれVおよびV
とし、次の(8)式によって、ビームの垂直方向位置y
を算出する。
【0057】
【数8】 ここで、Hは上下に配置した電極の間隔である。
【0058】静電圧計算の計算体系においては、計算上
のモデルとして、水平面を形成する2個の信号引出電極
に誘起された電位に基づいてビームの垂直方向位置yを
算出しているが、このモデルによってもビームの垂直方
向位置を精度良く測定できる結果を図3に示す。
【0059】図3は、ビーム位置モニタ内に配置した空
間電荷を垂直方向に移動させたときの設計軌道からの変
位を横軸に取り、(8)式によって得られる垂直方向の
電荷位置を縦軸に取ったときの計算結果である。図3に
おける各プロットは、上下の信号引出電極の距離Hを
6.8cmから16.8cmまで広げたときの結果であ
る。
【0060】図3において、ビーム位置の測定精度に関
する要件はシンクロトロンを周回するビームの種類、ビ
ームサイズ、ビーム強度によって異なるが、このモデル
では、直径5mmの陽子ビームが10個シンクロトロ
ン内を周回しているものとし、垂直方向位置の測定精度
としては、ビームの設計軌道を中心に±1cmの範囲
で、1mm以下の位置測定精度が得られることを要件と
した。また、各信号引出電極の水平方向における長さW
は20cmとした。図3に示す計算結果によれば、Hを
16.8cmまで広げても、リニアリティが良く、所望
の位置測定精度が得られることが分かる。
【0061】ここで、ビームが水平方向に変位した際の
垂直方向位置測定精度に対する影響を静電圧計算によっ
て見積もった計算結果を図4に示す。この計算では上下
の電極間の距離Hは6.8cmとした。この計算結果か
ら、水平方向にビームが変位しても、ビームの変位と、
(8)式によって得られた計算結果との間の線形関係は
保たれているが、各プロットを一次式で近似した際の傾
きは、水平方向変位が大きくなると変化する。理想的に
は、水平方向へのビームの変位に追従して、(8)式に
よって得られた値を補正することが望ましい。しかし、
ビームの水平方向位置と垂直方向位置を同じに利用する
制御系では、このような方法を利用することは困難であ
る。また上下の電極間の距離Hを6.8cmから16.
8cmまで広げると、傾きは大きく変化し、ビームの設
計軌道を中心に±1cmの範囲で、1mm以下の位置測
定精度を得るという、前記要件を達成することが困難に
なる。そこで、本実施形態では、上下の信号引出電極間
の距離Hを6.8cmとした。
【0062】また、ビームと真空容器24側面との距離
が近くなると、ビーム中の電荷から出る電気力線は真空
容器24の壁面に多く吸込まれ、これによってビーム位
置の測定精度は悪化する。このため、理想的には、電荷
から出る電気力線が全て信号引出電極10UL〜10D
Rに吸込まれることが望ましい。そこで、垂直方向のビ
ーム位置測定精度を確保するためには、前述したよう
に、上下の信号引出電極間の距離Hを適度に短くするこ
と以外に、各信号引出電極の水平方向の長さを、ビーム
の水平方向の変位、またはビームの水平方向への広がり
に対して、十分長くすることも考えられる。これによっ
て、ビームから各信号引出電極10UL〜10DRまで
の距離は、ビームの側面にある真空容器24の壁面まで
の距離より十分短くなり、ビーム中の電荷から出た電気
力線の多くは、上下に分かれて配置された4個の信号引
出電極10UL〜10DRに引き込まれ、垂直方向ビー
ム位置の測定精度として十分なものが得られる。
【0063】このように、本実施形態におけるビーム位
置モニタによれば、水平面を構成する4個の信号引出電
極10UL〜10DRを用いて、すなわち同一の信号引
出電極を用いてビームの水平方向位置と垂直方向位置を
測定することが可能になる。
【0064】この場合1台のビーム位置モニタによって
ビームの水平方向位置と垂直方向位置を測定できるた
め、このビーム位置モニタをシンクロトロンに設置する
ことで、シンクロトロンの小型化が可能になる。
【0065】本発明に係るビーム位置モニタをシンクロ
トロンに設置するに際しては、水平方向および垂直方向
のベータトロン振動の振幅が共に大きくなる位置が好ま
しい。
【0066】例えば、図5に示すように、収束型四極電
磁石44の付近あるいは発散型四極電磁石48の付近が
好ましい。図5はシンクロトロンの円周方向を横軸に、
シンクロトロンの円周方向に沿って、水平方向のベータ
トロン関数50Xと垂直方向のベータトロン関数50Y
を求めたときの計算結果を示す図である。図5から、ビ
ームの通る軌道の設計軌道からの歪み(COD)を十分
な精度で測定するためには、ベータトロン振動の波長ご
とに、2個から3個のビーム位置モニタ46を設置する
ことが望ましい。
【0067】(実施形態2)次に、本発明の第2実施形
態を図6にしたがって説明する。本実施形態は、水平面
を形成する4個の信号引出電極10UL〜10DRのう
ち2個の信号引出電極10UL、10DLの左側面側に
三角形形状の垂直面を形成し、各垂直面を、鉛直軸に対
して斜めに交差する直線状の間隙(切り込み)26を間
にして上下に分けて配置し、2個の信号引出電極10U
R、10DRの右側面側に三角形形状の垂直面を形成
し、各垂直面を、鉛直軸に対して斜めに交差する直線状
の間隙(切り込み)28を間にして上下に分けて配置し
たものであり、他の構成は実施形態1のものと同様であ
り、各信号引出電極10UL〜10DRに誘起された電
荷は信号引出端子22UL〜2DRを介して、出力電圧
UL、VUR、VDL、VDRとして出力される。そ
して各出力電圧を基に信号処理回路によってビームの水
平方向位置を算出するに際しては(6)式が用いられ、
ビームの垂直方向位置を算出するに際しては(7)式が
用いられる。
【0068】ここで、本実施形態では、4個の信号引出
電極10UL〜10DRにそれぞれ水平面と垂直面を形
成し、全体として矩形形状の枠体を形成し、各信号引出
電極間にそれぞれ斜め方向に形成された直線状の間隙1
4、16、26、28を形成しているため、水平方向の
ビーム位置xは(4)式および(5)式によって表さ
れ、垂直方向のビーム位置yは、以下の(9)式および
(10)式で表されることから、信号処理回路によって
算出されるビーム位置と、実際のビーム位置との間には
線形な関係が成立し、優れたビーム位置測定精度が得ら
れる。
【0069】
【数9】
【0070】
【数10】 本実施形態によれば、4個の信号引出電極10UL〜1
0DRを用いて、すなわち1台のビーム位置モニタを用
いてビームの水平方向位置および垂直方向位置を測定す
ることができ、このビーム位置モニタをシンクロトロン
に設置したときにはシンクロトロンの小型化が可能にな
る。
【0071】また、本実施形態によれば、ビーム12の
周囲が4個の信号引出電極10UL〜10DR10UL
〜10DRによって囲まれているため、電荷の漏れが抑
制され、ビーム位置の測定精度をより高めることが可能
になる。
【0072】(実施形態3)次に、本発明の第3実施形
態を図7にしたがって説明する。本実施形態は、水平面
を形成する4個の信号引出電極10UL〜10DRのう
ち2個の信号引出電極10UL、10DLの左側面側に
長方形形状の垂直面を形成し、これら垂直面を、ビーム
12の進行方向1sに沿った(ビーム進行方向と平行)
直線状の間隙30を間にして上下に分けて配置し、2個
の信号引出電極10UR、10DRの右側面側に長方形
形状の垂直面を形成し、これら垂直面を、ビームの進行
方向に沿った(ビームの進行方向と平行)直線状の間隙
(切れ込み)32を間にして上下に分けて配置し、全体
として矩形形状の枠体を形成したものであり、他の構成
は第1実施形態のものと同様である。
【0073】各信号引出電極10UL〜10DRはそれ
ぞれ4個の信号引出端子に接続され、各信号引出電極1
0UL〜10DRからは電圧VUL、VUR、VDL
が出力される。そして、各信号引出電極10UL
〜10DRから出力された電圧VUL、VUR
DL、VDRをビーム位置モニタの信号処理回路で処
理することで、ビームの水平方向位置は(6)式によっ
て求められ、ビームの垂直方向位置は(7)式によって
求められる。
【0074】本実施形態におけるビーム位置モニタで
は、水平方向のビーム位置測定の際は、各信号引出電極
10UL〜10DR間の間隙14、16を利用している
ため、各出力電圧とビーム水平方向位置との間には、
(4)式および(5)式の関係が成立し、三角電極型ビ
ーム位置モニタと同等の水平方向位置測定精度が得られ
る。
【0075】また、本実施形態においては、ビームの垂
直方向位置の測定の際には、ビームの左右を覆うように
垂直面が形成されているため、モニタ内のビーム電荷か
らでた電気力線の多くは各信号引出電極に吸込まれる。
これによって、優れた垂直方向ビーム位置測定精度が得
られる。
【0076】ビーム位置モニタの信号引出電極10UL
〜10DRとしては、水平面の形状を長方形形状に形成
し、上側の信号引出電極間および下側の信号引出電極間
にビームの進行方向に沿った直線状の間隙を形成する構
成を採用することも可能である。
【0077】(実施形態5)次に、本発明に係るビーム
位置モニタの信号処理回路の実施形態を図8にしたがっ
て説明する。
【0078】本実施形態における信号処理回路において
は、以下のことを考慮してヘテロダイン検波方式が採用
されている。すなわち、前段加速器である高周波線形加
速器からシンクロトロンに入射された、エネルギー約1
0MeVの陽子ビームを約250MeVまで順次加速す
ると、ビームの周回周波数は、シンクロトロンを周回す
るごとに約1MHz〜6MHzに渡る。そこで、このビ
ームの周回周波数帯域におけるビーム位置のアナログ演
算精度を向上させるために、信号処理回路ではヘテロダ
イン検波方式が採用されている。ヘテロダイン検波方式
によって周波数変換が行われると、ビーム位置モニタか
らの信号を周波数fのサイン波とし、これを周波数f
+fのサイン波である高周波信号とミキシングする
ことによって、sin(f)×sin(f+f
=(1/2)×〔cos(f)−cos(2f+f
)〕が得られる。この演算によって得られた信号を帯
域通過フィルタを通過させることで、不要な周波数2f
+f成分を取り除くことができ、一定周波数f
変換された信号を処理することができる。
【0079】信号処理回路は、信号入力端子161〜1
64、分配・合成部165、加算器166〜168、増
幅器169、170、乗算器171〜174、帯域通過
フィルタ175〜178、乗算器179〜182、低域
通過フィルタ183〜186、加算器187、減算器1
88、加算器189、減算器190、位置検出器19
1、192、包絡線検波器193、乗算器210、21
1、位置信号増幅器212、213、増幅器214を備
えて構成されている。
【0080】信号入力端子161〜164には、それぞ
れ各信号引出電極10UR、10DR、10UL、10
DLからの出力電圧VUR、VDR、VUL、VDL
入力されており、各出力電圧は分配・合成部165にお
いて、分配・合成され、分配・合成部165からは、V
UR+VDRの合成によるR信号、VUL+VDLの合
成によるL信号、VUL+VURの合成によるU信号、
DR+VDLの合成によるD信号が出力されるように
なっている。各R、L、U、D信号は加算器166、1
67、168によって加算され、バンチ形状信号として
出力されるようになっている。さらに各出力信号の和
(R+L+U+D)の信号は包絡線検波器193によっ
て包絡線検波された後、増幅器214によって増幅さ
れ、ビーム強度のピーク値を示す信号として出力される
ようになっている。この場合、包絡線検波に用いるダイ
オードには順方向のバイアスを印加し、入力信号の振幅
に対する出力信号の線形性を良くすることができる。ま
たダイオードの出力側には、低域通過フィルタを設け、
1〜6MHzの入力信号に対して滑らかな包絡線検波が
可能なように、遮断周波数を60kHzとしている。こ
れは、バンチ形状の進行方向への振動の最大周波数10
kHzを検出するためにも十分な値である。
【0081】また、各R、L、U、D信号と、検波用高
周波入力端子から入力された高周波信号(72〜77M
Hz)を増幅器169で増幅して得られた信号とを乗算
器171〜174でミキシング(乗算)し、ミキシング
された信号をそれぞれ中心周波数71MHzの帯域通過
フィルタ175〜178を通すことで、基本周波数成分
が一定周波数の71MHzの信号に変換することができ
る。これによって不要な周波数成分を除去することがで
きる。さらに、各信号に対して、局部発振器入力端子か
ら入力された70.545MHzの信号を増幅器170
で増幅した信号と乗算器179〜182でミキシング
(乗算)し、低域通過フィルタ175〜178を通過し
た71MHzの信号を455kHzの信号に変換し、さ
らにこれらの信号を低域通過フィルタ183〜186を
通すことで、不要な上側波帯を除去することができる。
この後一定周波数(455kHz)に変換された各R、
L、U、Dの信号は加算器187、189、減算器18
8、190に入力され、これら加算器の加算処理によっ
て(R+L)、(U+D)の信号が得られるとともに、
各減算器の減算処理によって、(R−L)、(U−D)
の信号が得られる。すなわちこれらの加算、減算処理に
より、〔(VUR+VDR)+(VUL+V )〕、
〔(VUR+VDR)−(VUL+VDL)〕、〔(V
UL+VUR)+(VDR+VDL)〕、〔(VUL
UR)−(VDR+VDL)〕が得られる。
【0082】加算、減算処理によって得られた信号はそ
れぞれ位置検出器191、192に入力される。各位置
検出器191、192では、振幅位相変換方式によっ
て、減算信号と加算信号の振幅比を高周波信号の位相差
に変換し、この位相差を位相検出器で検出することによ
って各信号の除算(R−L)/(R+L)および(U−
D)/(U+D)が行われる。そして各演算処理によ
り、(6)式による水平方向位置に比例した電圧〔(V
UR+VDR)−(VUL+VDL)〕/〔(V
DR)+(VUL+VDL)〕および、(7)式によ
る垂直方向位置に比例した電圧〔(VUL+VUR)−
(VDR+VDL)〕/〔(VDL+VUR)+(V
DR+VDL)〕が算出される。
【0083】このときの水平方向のビーム位置を検出す
る位置検出器191では、加算信号(R+L)および減
算信号(R−L)をπ/2分配器194、195に入力
し、加算器198では(R+L)sin(ωt+φ+π
/2)と(R−R)sin(ωt+φ)で加算演算を行
い、他方の加算器199では、(R+L)sin(ωt
+φ)と(R−L)sin(ωt+φ+π/2)で加算
演算を行う。そして各加算器198、199で合成した
信号は振幅制限増幅器202、203で一定振幅の信号
に波形整形された後、乗算器206でミキシングされ、
このミキシングにより、cos(ωt+φ−α)×si
n(ωt+φ+α)=1/2sin(2α)+1/2s
in(2ωt+2φ)が得られる。
【0084】ここで、ωはビームの周回周波数。φはビ
ームの位相、αはtanα=(R−L)/(R+L)で
与えられる。そしてミキシングによって得られた信号は
低域通過フィルタ208で低周波成分のみが抽出され、
位置検出器191の出力信号として、(1/2)×si
n(2α)の信号が得られる。この場合、αはtanα
=(R−L)/(R+L)で与えられるので、低域通過
フィルタ208を通過した信号は、乗算器210によっ
て、水平方向ビーム位置信号の変位1cm当たり、信号
出力が1Vになるように乗算される。この信号が増幅器
212で増幅されると、水平位置出力端子からは、ビー
ムの水平方向位置を示す出力電圧が得られることにな
る。
【0085】ビームの垂直方向位置に関しては、同様
に、位置検出器192において振幅位相変換方式による
演算が行われ、この演算値が乗算器211に入力される
と、乗算器211において、垂直方向ビーム位置信号の
変位1cm当たり、出力信号が1Vになるような乗算が
行われる。これによって、垂直位置出力端子からは、ビ
ームの垂直方向位置を示す電圧が出力される。
【0086】このように、本実施形態によれば、4個の
信号引出電極10UR、10DR、10UL、10DL
から得られた信号を信号処理回路によって演算処理する
ことで、1台のビーム位置モニタによってもビームの水
平方向位置および垂直方向位置を算出することができ
る。これによって、ビーム位置モニタに示す信号処理回
路を設置する場合でも設置および製作のコストの低減を
図ることができる。
【0087】また、本実施形態によれば、ビームの周回
周波数が、例えば、1MHzから6MHzのように大き
く変化するようなシンクロトロンでは、ヘテロダイン検
波方式を用いることで、ビーム位置のアナログ演算を広
い周波数帯域に渡って精度良く行うことができる。
【0088】(実施形態5)次に本発明の第5実施形態
を図9にしたがって説明する。本実施形態は、ビーム位
置モニタを利用してビームの軌道補正(COD補正)を
行うようにしたものである。すなわち、シンクロトロン
では、偏向電磁石や四極電磁石の磁場強度や据付けに誤
差が生じると、ビームの軌道が設計軌道か歪む(CO
D)ことがある。そこで、ビーム位置モニタから得たビ
ーム位置情報を基に軌道補正用電磁石(ステアリング電
磁石)によって新たなCODを作り出し、誤差磁場など
でできたCODを打ち消すことでビームの軌道補正を行
うこととしている。
【0089】具体的には、シンクロトロンにn個のビー
ム位置モニタ46M1〜46Mnが配置されているとき
に、m個の水平方向軌道補正用電磁石(ステアリング電
磁石)60CH1〜60CHmを配置するとともにm個
の垂直方向軌道補正用電磁石(ステアリング電磁石)6
2CV1〜CVmを配置し、各ビーム位置モニタ46M
1〜46Mnを信号処理回路56D1〜56Dnを介し
てフィードバック制御装置54に接続し、フィードバッ
ク制御装置54をビーム軌道表示装置52に接続すると
ともに電磁石電源58H、58Vに接続し、各電磁石電
源58H、58Vをそれぞれ電磁石60CH1〜60C
Hm、62CV1〜62CVmに接続し、COD補正装
置を構成する。この場合、補正用電磁石の数mとビーム
位置モニタの数nはシンクロトロンの規模と、ビーム軌
道の補正精度にも依存するが、本実施形態では、m=1
6、n=16としている。
【0090】各ビーム位置モニタ46M1〜46Mnか
ら出力された出力電圧VUR、V 、VUL、VDL
はそれぞれ信号処理回路56D1〜56Dnに入力さ
れ、各信号処理回路56D1〜56Dnにおいて、各ビ
ーム位置モニタ46M1〜46Mnの検出による水平方
向ビーム位置と垂直方向ビーム位置が算出され、各算出
結果がフィードバック制御装置54に出力される。そし
てこの算出結果は、フィードバック制御装置54におい
て、要素16個の水平方向位置ベクトルxと、要素16
個の垂直方向位置ベクトルyとして保存される。
【0091】ここで、k番目の軌道補正用電磁石CHk
による偏向角をθkとすると、i番目のビーム位置モニ
タ46Miの位置での水平方向ビーム位置Xjkは次の
(11)式で表される。
【0092】
【数11】 ここで、βi、βkはi番目のビーム位置モニタの位置
とk番目の軌道補正用電磁石の位置におけるベータトロ
ン関数、γはベータトロン振動周波数、φi、φkはi
番目のビーム位置モニタの位置とk番目の軌道補正用電
磁石の位置における位相である。
【0093】次に、Aを要素16×16のマトリクスと
し、その要素aikを以下の(12)式で与えると、要
素16個の残差ベクトルrのノルム|r|=|x+Aθ
|を最小にする要素16個のベクトルθをフィードバッ
ク制御装置54において算出する処理が行われる。
【0094】
【数12】 次に、補正用電磁石に供給する電流とθは比例関係にあ
ることを利用し、フィードバック制御装置54では、励
磁量算出手段として、COD補正に最適な電流値(励磁
量)を算出し、各電磁石電源58H、58Vを駆動し、
各補正用電磁石60CH1〜60CHm、62CV1〜
62CVmに最適な電流値Ix1〜Ixm、Iy1〜I
ymを供給する。これにより各補正用電磁石からビーム
伝送路中のビームには電流値(励磁量)にしたがった電
磁力が作用し、ビームの軌道が修正(補正)される。
【0095】なお、ビーム軌道表示装置52にはビーム
位置情報や各補正用電磁石の励磁量などの情報が表示さ
れるため、運転員はこれらの情報を常時確認することが
できる。
【0096】このように、本実施形態によれば、ビーム
位置モニタによって、水平方向および垂直方向のビーム
位置を検出し、検出されたビーム位置とビームの設計軌
道との差からビームの軌道を補正するための励磁量がフ
ィードバック制御装置54によって算出され、この励磁
量にしたがった電磁力が各補正用電磁石からビームに作
用するため、偏向電磁石や四極電磁石の磁場強度や据付
けに誤差が生じても、ビームの軌道を設計軌道に補正す
ることができる。
【0097】(実施形態6)次に、本発明の第6実施形
態を図10にしたがって説明する。本実施形態は、ビー
ム位置モニタを利用して高周波加速電圧を制御するよう
にしたものである。すなわち、シンクロトロンでは、加
速段階において、ビームの運動量上昇に対して、ビーム
を一定の設計軌道上を周回させるために、ビームの運動
上昇に合わせて偏向電磁石の磁場強度を強める必要があ
る。またビームの周回周波数の上昇に対して安定に加速
を維持するために、周回周波数の上昇に合わせて高周波
加速電圧の周波数を増加させる必要がある。そこで、高
周波加速制御系では、偏向電磁石の磁場強度の変化を検
出し、この検出結果に同期して高周波加速電圧の周波数
を制御することとしている。
【0098】高周波加速電圧を制御するための高周波加
速制御系は、図10に示すように、偏向電磁石42、信
号処理回路を含むビーム位置モニタ46、高周波加速空
胴70、偏向電磁石42の磁極間に設置されて磁場強度
を測定するサーチコイル(図示省略)、高周波加速空胴
70、空胴電圧モニタ(図示省略)、磁場クロック発生
装置64、表示装置52、フィードバック制御装置5
4、発振器66、電力増幅器68から構成されている。
【0099】高周波加速制御系によって高周波加速電圧
の周波数をフィードバック制御するに際しては、偏向電
磁石42に設置されたサーチコイル(磁場強度検出手
段)によってコイル端に発生した誘導起電力を測定する
ことによって、磁場強度を測定し、磁場強度測定値を磁
場クロック発生装置64に出力する。磁場クロック発生
装置64では、磁場強度測定値をV/F(電圧/周波
数)変換し、磁場強度の微小変化ごとに制御クロック
(磁場クロック信号)を生成し、磁場クロック信号を指
令としてフィードバック制御装置54に伝送する。フィ
ードバッック制御装置54では、磁場クロック信号に基
づいて、高周波加速電圧の周波数設定値を算出する。す
なわちフィードバック制御装置54は磁場強度にしたが
って高周波加速電圧に関する周波数設定値を算出する周
波数設定値算出手段として構成されている。
【0100】またフィードバック制御装置54では、ビ
ーム位置モニタ46の信号処理回路によって演算された
水平方向ビーム位置信号を基に、水平方向のビーム位置
と水平方向の設計軌道との差を算出し、この算出値から
高周波加速電圧に関する周波数補正量を算出する。すな
わちフィードバック制御装置は周波数補正量算出手段と
しての機能も備えて構成されている。さらに、フィード
バック制御装置54では、磁場クロック信号に基づいて
設定された周波数設定値と、ビーム位置モニタ46から
の信号に基づいて算出された周波数補正量とを加算演算
し、この演算値にしたがって発振器66の出力による高
周波加速電圧の周波数を補正する。すなわちフィードバ
ック制御装置54は周波数補正手段としての機能も備え
て構成されている。
【0101】フィードバック制御装置54により、周波
数補正用の演算値にしたがって発振器66の周波数が補
正されると、周波数の補正された低電力高周波電圧が発
振器66から出力され、この低電力高周波電圧は電力増
幅器68で増幅された後、高周波加速空胴70に印加さ
れる。これにより磁場強度の変化に同期して高周波加速
電圧の周波数を制御することができる。
【0102】次に、高周波電圧の周波数が上昇するに伴
ってバンチ化されたビームは、ビーム進行方向に伸縮
(位相幅振動)しながらシンクロトロン内を周回する。
この位相幅振動が激しくなると、ビームは安定領域から
外れ、失われる可能性がある。そこで、ビーム位置モニ
タによって測定したバンチ形状の伸縮を基に高周波加速
電圧をフィードバック制御することとしている。
【0103】具体的には、フィードバック制御装置54
では、電圧補正量算出手段として、ビーム位置モニタ4
6の信号処理回路によって演算処理されたバンチ形状信
号を基に、ビームによる位相幅振動を減衰させるために
適切な高周波加速電圧の電圧補正量を算出する。またフ
ィードバック制御装置54では、振幅補正手段として空
胴電圧モニタ(高周波加速電圧検出手段)によって測定
された空胴電圧値(高周波加速電圧)と、高周波加速電
圧の電圧補正量とを加算演算し、この演算値にしたがっ
て発振器66の出力による高周波加速電圧の振幅を補正
する。これにより、発振器66からは、振幅の補正され
た低電力高周波電圧が出力され、この低電力高周波電圧
は電力増幅器68で増幅された後、高周波加速空胴70
に印加される。このように、バンチ形状の伸縮を基に高
周波加速電圧の振幅が制御されるため、ビームによる位
相幅振動を抑制しビームを安定領域に維持することがで
きる。
【0104】本実施形態によれば、ビームの水平方向位
置を三角電極型ビーム位置モニタと同等の位置測定精度
で測定し、これを基に高周波加速電圧の周波数および振
幅をフィードバック制御しているため、三角電極型ビー
ム位置モニタと同等の周波数制御精度を得ることが可能
になる。
【0105】以上のように、本発明に係るビーム位置モ
ニタによれば、1台のビーム位置モニタで水平方向と垂
直方向のビーム位置を測定できるため、約半分の設置ス
ペースでビーム位置モニタを設置することができるとと
もに、シンクロトロンの直線部にビーム位置モニタを設
置したときには、ビーム位置モニタの占有する長さを低
減でき、シンクロトロンを小型化することができる。
【0106】また、1台のビーム位置モニタを設置すれ
ば良いため、ビーム位置モニタの設置費用を低減するこ
とができるとともに、ビーム位置モニタの製作費用の低
減を図ることができる。
【0107】さらに、水平方向のビーム位置を測定する
際は、三角電極型ビーム位置モニタと同等の位置測定精
度が得られ、垂直方向の位置測定精度に関しては、電極
の構造や大きさを適切に調整することで、三角電極型ビ
ーム位置モニタと同等の位置測定精度が得られる。
【0108】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
同一の信号引出電極でビームの水平方向位置とビームの
垂直方向位置を測定するようにしたため、1台のビーム
位置モニタによってビームの水平方向位置と垂直方向位
置を測定することができ、このビーム位置モニタをシン
クロトロンに設置することで、シンクロトロンの小型化
に寄与することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すビーム位置モニタで
あって、このビーム位置モニタに用いられる信号引出電
極の配置例を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態を示すビーム位置モニタ
の縦断面図である。
【図3】垂直方向の電荷位置と(8)式による垂直方向
の電荷位置との関係を示す特性図である。
【図4】(a)は垂直方向の電荷位置と(8)式による
垂直方向の電荷位置との関係を示す特性図、(b)は水
平方向の電荷位置と一次式で近似した際の傾きとの関係
を示す特性図である。
【図5】シンクロトロンに設置された各機器と水平方向
のベータトロン関数および垂直方向のベータトロン関数
との関係を示す特性図である。
【図6】本発明の第2実施形態を示すビーム位置モニタ
の斜視図である。
【図7】本発明の第3実施形態を示すビーム位置モニタ
の斜視図である。
【図8】ビーム位置モニタに用いられる信号処理回路の
ブロック構成図である。
【図9】本発明の第5実施形態を示すCOD補正装置の
ブロック構成図である。
【図10】本発明の第6実施形態を示す高周波加速制御
系のブロック構成図である。
【図11】従来の水平方向位置測定用三角電極型ビーム
位置モニタの要部平面図である。
【図12】従来の水平方向位置測定用三角電極型ビーム
位置モニタの斜視図である。
【図13】従来の水平方向位置測定用三角電極型ビーム
位置モニタの断面図である。
【図14】従来の垂直方向位置測定用三角電極型ビーム
位置モニタの断面図である。
【図15】従来の三角電極型ビーム位置モニタの電気的
等価回路図である。
【符号の説明】
10UL、10UR、10DL、10DR 信号引出電
極 12 ビーム 14、16 間隙 18 接地電極 22UL、22UR、22DL、22DR 信号引出端
子 24 真空容器 26、28、30、32 間隙 42 偏向電磁石 44 収束型四極電磁石 46M1〜46Mn ビーム位置モニタ 48 発散型四極電磁石 52 表示装置 54 フィードバック制御装置 56D1〜56Dn 信号処理回路 58H、58V 電磁石電源 60CH1〜60CHm 水平方向軌道補正用電磁石 62CV1〜62CVm 垂直方向軌道補正用電磁石 64 磁場クロック発生装置 66 発振器 68 電力増幅器 70 高周波加速空胴 165 分配・合成部 175〜178 帯域通過フィルタ 183〜186 低域通過フィルタ 191、192 位置検出器 193 包絡線検波器
フロントページの続き Fターム(参考) 2G085 AA13 BA05 BA14 CA02 CA15 CA16 CA17 CA20 CA26 CA27 2G088 FF12 FF14 GG25 GG30 JJ01 KK06 KK07 KK24 KK29 KK32 KK35

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ビームの伝送路を構成する真空容器と、
    基準電位が与えられて前記真空容器内に配置された基準
    電極と、前記真空容器内におけるビームの設計軌道を基
    準に上下に一対ずつ分かれて配置されビームの通過に伴
    う電荷を誘起させる4個の信号引出電極と、前記基準電
    極を基準電位として前記各信号引出電極に誘起された電
    位の信号をそれぞれ出力する4個の信号引出端子とを備
    え、前記信号引出電極のうち上側に配置された2個の信
    号引出電極はそれぞれ上側の水平面を形成し、下側に配
    置された2個の信号引出電極はそれぞれ下側の水平面を
    形成してなるビーム位置モニタ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のビーム位置モニタにお
    いて、前記信号引出電極のうち上側に配置された2個の
    信号引出電極および下側に配置された2個の信号引出電
    極は、それぞれ前記ビームの進行方向に対して斜めに交
    差する直線状の間隙を間にして相対向して配置されてな
    ることを特徴とするビーム位置モニタ。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のビーム位置モ
    ニタにおいて、前記4個の信号引出電極はそれぞれ前記
    水平面に対して垂直な垂直面を形成し、かつ前記各水平
    面と前記各垂直面によって矩形形状の枠体を形成してな
    るとともに、上側に配置された一方の信号引出電極の垂
    直面および下側に配置された一方の信号引出電極の垂直
    面は、それぞれ鉛直軸に対して斜めに交差する直線状の
    間隙を間にして上下に分かれて配置され、上側に配置さ
    れた他方の信号引出電極の垂直面および下側に配置され
    た他方の信号引出電極の垂直面は、それぞれ鉛直軸に対
    して斜めに交差する直線状の間隙を間にして上下に分か
    れて配置されてなることを特徴とするビーム位置モニ
    タ。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のビーム位置モニタにお
    いて、前記信号引出電極のうち上側に配置された2個の
    信号引出電極および下側に配置された2個の信号引出電
    極は、それぞれ前記ビームの進行方向に沿った直線状の
    間隙を間にして相対向して配置されてなることを特徴と
    するビーム位置モニタ。
  5. 【請求項5】 請求項1または4に記載のビーム位置モ
    ニタにおいて、前記4個の信号引出電極はそれぞれ前記
    水平面に対して垂直な垂直面を形成し、かつ前記各水平
    面と前記各垂直面によって矩形形状の枠体を形成してな
    るとともに、上側に配置された一方の信号引出電極の垂
    直面および下側に配置された一方の信号引出電極の垂直
    面は、それぞれ鉛直軸に対して直交する直線状の間隙を
    間にして上下に分かれて配置され、上側に配置された他
    方の信号引出電極の垂直面および下側に配置された他方
    の信号引出電極の垂直面は、それぞれ鉛直軸に対して直
    交する直線状の間隙を間にして上下に分かれて配置され
    てなることを特徴とするビーム位置モニタ。
  6. 【請求項6】 請求項1、2、3、4または5のうちい
    ずれか1項に記載のビーム位置モニタにおいて、前記4
    個の信号引出端子から出力される信号を演算処理してビ
    ームの設計軌道からの変位を示す水平方向位置および垂
    直方向位置を算出する信号処理回路を備えてなることを
    特徴とするビーム位置モニタ。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載のビーム位置モニタにお
    いて、前記信号処理回路は、上側に配置された一方の信
    号引出電極から出力された第1の信号と前記一方の信号
    引出電極に相対向して下側に配置された一方の信号引出
    電極から出力された第2の信号との和を演算する第1の
    演算回路と、上側に配置された他方の信号引出電極から
    出力された第3の信号と前記他方の信号引出電極に相対
    向して下側に配置された他方の信号引出電極から出力さ
    れた第4の信号との和を演算する第2の演算回路と、前
    記第1の演算回路の演算値と前記第2の演算回路の演算
    値との差と和の比を基に前記ビームの設計軌道からの水
    平方向変位となるビームの水平方向位置を算出する水平
    方向位置算出回路と、前記第1の信号と前記第3の信号
    との和を演算する第3の演算回路と、前記第2の信号と
    前記第4の信号との和を演算する第4の演算回路と、前
    記第3の演算回路の演算値と前記第4の演算回路の演算
    値との差と和の比を基に前記ビームの設計軌道からの垂
    直方向変位となるビームの垂直方向位置を算出する垂直
    方向位置算出回路とから構成されてなるとを特徴とする
    ビーム位置モニタ。
  8. 【請求項8】 荷電粒子によるビームを前段加速器から
    入射する入射装置と、所定のエネルギーまで加速された
    ビームを出射する出射装置と、前記入射装置と前記出射
    装置とを結ぶ環状のビーム伝送路中のビームに磁場を与
    えて前記ビームをビームの設計軌道に沿って偏向させる
    偏向電磁石と、前記ビーム伝送路中のビームに対して高
    周波加速電圧を印加して前記ビームを加速する高周波加
    速空胴と、前記ビーム伝送路中のビームを水平方向に収
    束させる収束型四極電磁石と、前記ビーム伝送路中のビ
    ームを垂直方向に収束させる発散型四極電磁石とを有す
    るシンクロトロンにおいて、前記ビーム伝送路中のビー
    ムの位置を監視するビーム位置モニタとして、請求項1
    〜7のうちいずれか1項に記載のビーム位置モニタを備
    えてなることを特徴とするシンクロトロン。
  9. 【請求項9】 荷電粒子によるビームを前段加速器から
    入射する入射装置と、所定のエネルギーまで加速された
    ビームを出射する出射装置と、前記入射装置と前記出射
    装置とを結ぶ環状のビーム伝送路中のビームに磁場を与
    えて前記ビームをビームの設計軌道に沿って偏向させる
    偏向電磁石と、前記ビーム伝送路中のビームに対して高
    周波加速電圧を印加して前記ビームを加速する高周波加
    速空胴と、前記ビーム伝送路中のビームを水平方向に収
    束させる収束型四極電磁石と、前記ビーム伝送路中のビ
    ームを垂直方向に収束させる発散型四極電磁石とを有す
    るシンクロトロンにおいて、前記ビーム伝送路中のビー
    ムの位置を監視するビーム位置モニタとして、請求項6
    または7に記載のビーム位置モニタを備えてなるととも
    に、前記信号処理回路により算出されたビーム位置とビ
    ームの設計軌道との差から前記ビーム伝送路中のビーム
    の軌道を補正するための励磁量を算出する励磁量算出手
    段と、前記励磁量算出手段の算出による励磁量に従った
    電磁力を前記ビーム伝送路中のビームに作用させて前記
    ビームの軌道を補正するステアリング電磁石とを備えて
    なることを特徴とするシンクロトロン。
  10. 【請求項10】 荷電粒子によるビームを前段加速器か
    ら入射する入射装置と、所定のエネルギーまで加速され
    たビームを出射する出射装置と、前記入射装置と前記出
    射装置とを結ぶ環状のビーム伝送路中のビームに磁場を
    与えて前記ビームをビームの設計軌道に沿って偏向させ
    る偏向電磁石と、前記ビーム伝送路中のビームに対して
    高周波加速電圧を印加して前記ビームを加速する高周波
    加速空胴と、前記ビーム伝送路中のビームを水平方向に
    収束させる収束型四極電磁石と、前記ビーム伝送路中の
    ビームを垂直方向に収束させる発散型四極電磁石とを有
    するシンクロトロンにおいて、前記ビーム伝送路中のビ
    ームの位置を監視するビーム位置モニタとして、請求項
    6または7に記載のビーム位置モニタを備えてなるとと
    もに、前記偏向電磁石の磁場強度を検出する磁場強度検
    出手段と、前記磁場強度検出手段の検出による磁場強度
    に従って高周波加速電圧に関する周波数設定値を算出す
    る周波数設定値算出手段と、前記信号処理回路により算
    出されたビーム位置とビームの設計軌道との差から高周
    波加速電圧に関する周波数補正量を算出する周波数補正
    量算出手段と、前記高周波加速空胴に高周波加速電圧を
    供給する発振器と、前記周波数設定値算出手段の算出に
    よる周波数設定値と前記周波数補正量算出手段の算出に
    よる周波数補正量とを加算して得られた演算値に従って
    前記発振器の出力による高周波加速電圧の周波数を補正
    する周波数補正手段と、前記信号処理回路の処理により
    得られてバンチ形状信号を基に前記ビーム伝送路中のビ
    ームによる位相幅振動を減衰させるための高周波加速電
    圧に関する電圧補正量を算出する電圧補正量算出手段
    と、前記高周波加速空胴から発生する高周波加速電圧を
    検出する高周波加速電圧検出手段と、前記電圧補正量算
    出手段により算出された電圧補正量と前記高周波加速電
    圧検出手段により検出された高周波加速電圧とを加算し
    て得られた演算値に従って前記発振器の出力による高周
    波加速電圧の振幅を補正する振幅補正手段とを備えてな
    ることを特徴とするシンクロトロン。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2004039133A1 (ja) * 2002-10-25 2004-05-06 Japan Science And Technology Agency 電子加速器及びそれを用いた放射線治療装置
US7439528B2 (en) 2003-11-07 2008-10-21 Hitachi, Ltd. Particle therapy system and method
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