JP2002212780A - プラスチックへの部分めっき方法 - Google Patents

プラスチックへの部分めっき方法

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JP2002212780A
JP2002212780A JP2001011382A JP2001011382A JP2002212780A JP 2002212780 A JP2002212780 A JP 2002212780A JP 2001011382 A JP2001011382 A JP 2001011382A JP 2001011382 A JP2001011382 A JP 2001011382A JP 2002212780 A JP2002212780 A JP 2002212780A
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plastic
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JP2001011382A
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Masanori Hirano
雅宣 平野
Yashichi Oyagi
八七 大八木
Masatoshi Shimizu
政敏 清水
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ISHIKAWA KINZOKU KOGYO KK
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ISHIKAWA KINZOKU KOGYO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 部分めっきを目的として、非常に簡単で汎用
性があり、特殊な設備も必要としないプラスチックへの
部分めっき方法を提供する。 【解決手段】 プラスチック基材10に部分電気めっき
を施すプラスチックへの部分めっき方法であって、プラ
スチック基材10のめっき対象部11に電流を流すこと
が可能な通電接点12を設け、めっき対象部11と非め
っき対象部14とを区分するマスキング用塗料帯13を
形成するめっき準備工程と、めっき対象部11へのめっ
き密着性を高めるエッチング工程と、エッチング後のプ
ラスチック基材10にパラジウム触媒を付与するパラジ
ウム触媒付与工程と、プラスチック基材10に導電性皮
膜を形成する導電性皮膜形成工程と、マスキング用塗料
帯13を剥離して不通電部を形成し、通電接点12を介
して導電性皮膜に通電を開始し、めっきを施すめっき形
成工程とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、ABS樹
脂やポリカーボネイト(PC)樹脂等のプラスチック基
材に部分的にめっきするプラスチック基材への部分めっ
き方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、プラスチックめっき製品(以降、
プラめっき製品とも言う)は、その優れた特性を利用し
て幅広く日用品として使用されている。例えば、プラス
チックの一例であるABS樹脂やポリカーボネイト(P
C)樹脂等の熱可塑性樹脂は、射出成形することによ
り、樹脂ペレットから一気に成形品へと加工することが
可能であるため、従来金属製品の市場であった分野に数
多く進出している。中でも、従来、銅合金を鋳造造形
し、機械加工後表面研磨を行い、その後電気めっきする
ことで製造していた家庭で使用される水廻り用品(例え
ば、浴室シャワー、水栓金具等)等へは多く適用され、
更に、耐熱性や高強度等の金属と同等の特性が必要とさ
れる所以外にも、プラめっき製品が多用されるようにな
ってきた。これは、例えばABS樹脂を使用した製品の
場合、ABS樹脂ペレットを、例えば射出成型機を用い
て射出成形することで、ABS樹脂の表面を、機械加工
し研磨して製造した金属製品の表面と同等の状態にまで
加工することができるため、金属製品に必要だった工程
(例えば、機械加工、研磨等)を省略して、射出成形品
に直接電気めっき加工することで、金属製品とほとんど
同じ外観に仕上げることが可能となることに起因する。
【0003】しかし、プラめっき製品の場合、ベースと
なるプラスチック基材は、ABS樹脂、PC樹脂、又は
PC/ABS樹脂で構成される基材が大半(85%以
上)を占め、基材に対するめっきの密着性が悪くなるた
め、基材へのめっきの密着性が主要な性能とされてい
る。このため、プラめっき製品を製造する場合、プラス
チック基材の表面を洗浄した後、(クロム酸+硫酸)液
によるエッチングを行うことで、プラスチック基材の表
層部のゴム成分を溶出させると共に、プラスチック基材
の表面にOH基やカルボキシル基等の極性基を残留さ
せ、めっきの密着性を高めるためのプラスチック基材の
表面を作り出す。次に、プラスチック基材の表面にパラ
ジウム(Pd)触媒を付着させ、Pdを核として通電性
皮膜を化学的に形成させる。通電性皮膜形成後は、この
導電性皮膜に通電接点を介して電流を流すことにより、
銅、ニッケル、クロムその他の電気めっきが行われてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たプラめっき製品は、多くの場合、プラスチック基材の
すべての表面にめっきが施されることが多いため、一部
の製品において品質問題が生じてきた。例えば、庭園用
散水ノズルヘッドの内面等は常時水に接するため、内面
に付着しためっき層の浮上がり、剥離等の品質問題が多
発する所となった。なお、このような問題は、連続的に
水に接する部位に使用されるすべての製品に同じような
品質問題として提起された。また、この剥離問題は、C
u/Ni/Crの3層めっき、又はNi/Crの2層め
っきのどちらのめっき層の構造においても発生し、究極
的な対策として、外面のみにめっきし、内面にめっきを
行わない部分めっき法の開発が必要となった。そして、
部分めっき法としては、装飾的意味合いからもその技術
開発が必要とされ、特開平7−41986号公報、特開
平7−90679号公報、特開平7−243059号公
報の金型を使用する部分めっき法や、特開平8−127
894号公報のめっき対象部に導電性粉体を含有した導
電性塗料を塗布する部分めっき法が提案されているが、
金型の製造コストが多くかかったり、また作業性も良好
でない。本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、
部分めっきを目的として、非常に簡単で汎用性があり、
特殊な設備も必要としないプラスチックへの部分めっき
方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う第1の発
明に係るプラスチックへの部分めっき方法は、プラスチ
ック基材に部分電気めっきを施すプラスチックへの部分
めっき方法であって、プラスチック基材の1又は2以上
のめっきを必要とするめっき対象部にそれぞれ電流を流
すことが可能な通電接点を設け、しかもめっき対象部と
めっきを必要としない非めっき対象部とを区分するマス
キング用塗料帯を形成するめっき準備工程と、このプラ
スチック基材のめっき対象部へのめっき密着性を高める
ためのエッチング工程と、エッチング後のプラスチック
基材に導電性皮膜を形成するため、プラスチック基材に
パラジウム触媒を付与するパラジウム触媒付与工程と、
パラジウム触媒付与後のプラスチック基材に導電性皮膜
を形成するための導電性皮膜形成工程と、マスキング用
塗料帯を剥離して、この剥離部分に不通電部をそれぞれ
形成し、通電接点を介して導電性皮膜に通電を開始し、
めっき対象部にのみめっきを施すめっき形成工程とを有
する。これにより、めっき対象部と非めっき対象部との
境界部に不通電部を形成し、めっき対象部から非めっき
対象部への電流の流れを不通電部で防止することができ
るため、めっき対象部に形成された導電性皮膜のみに電
流を流すことが可能となる。
【0006】前記目的に沿う第2の発明に係るプラスチ
ックへの部分めっき方法は、外表面と内表面とを分ける
明確な境界部を有するプラスチック基材の外表面に均一
な部分電気めっきを施すプラスチックへの部分めっき方
法であって、プラスチック基材のめっきを必要とするめ
っき対象部と、めっきを必要としない非めっき対象部と
を区分する1又は2以上のマスキング用塗料帯をプラス
チック基材の内表面にそれぞれ設け、しかもマスキング
用塗料帯近傍のめっき対象部に、電流を流すことが可能
な通電接点をそれぞれ設けるめっき準備工程と、このプ
ラスチック基材のめっき対象部へのめっき密着性を高め
るためのエッチング工程と、エッチング後のプラスチッ
ク基材にパラジウム触媒を付与するパラジウム触媒付与
工程と、パラジウム触媒付与後のプラスチック基材に導
電性皮膜を形成するための導電性皮膜形成工程と、マス
キング用塗料帯を剥離して、この剥離部分に不通電部を
それぞれ形成し、通電接点を介して導電性皮膜に通電を
開始し、めっき対象部にのみめっきを施すめっき形成工
程とを有する。これにより、めっき対象部と非めっき対
象部とを区分する不通電部をプラスチック基材の内表面
に形成し、めっき対象部から非めっき対象部への電流の
流れを不通電部で防止することができるため、めっき対
象部に形成された導電性皮膜のみに、プラスチック基材
の内表面側から電流を流すことが可能となる。前記目的
に沿う第3の発明に係るプラスチックへの部分めっき方
法は、第1、第2の発明に係るプラスチックへの部分め
っき方法において、マスキング用塗料帯の幅が1〜10
mm、厚みが10〜100μmである。これにより、プ
ラスチック基材の表面にマスキング用塗料帯を確実に被
覆することができるため、めっき対象部から非めっき対
象部への電流の流れを防止する不通電部を、めっき対象
部と非めっき対象部との境界部に確実に形成することが
可能となる。
【0007】即ち、第1〜第3の発明では、例えばAB
S樹脂、PC樹脂、又はPC/ABS樹脂等のプラスチ
ック基材へ電気めっきを施すに際し、電流を流すための
通電接点(電気めっき用通電金具とプラスチック基材と
の接触点)を完全に取り囲み、めっき対象部と非めっき
対象部とを区分する連続した1又は2以上のマスキング
用塗料帯をプラスチック基材の表面に設ける。次に、こ
のプラスチック基材を、エッチング工程、Pd触媒付与
工程、導電性皮膜形成工程の各工程にかけた後、該マス
キング用塗料帯を化学的に剥離することにより、プラス
チック基材の表面に連続した不通電帯を形成し、通電接
点を介して通電を開始する。これにより、マスキング用
塗料帯で囲まれていた部分、即ちめっき対象部のみに電
気めっきを施すことが可能となるプラスチックへの部分
めっき方法を見出した。
【0008】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつ
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。ここに、図1は本発明の第1の実施
の形態に係るプラスチックへの部分めっき方法を適用し
た板材の説明図、図2は本発明の第2の実施の形態に係
るプラスチックへの部分めっき方法を適用した管材の説
明図である。
【0009】図1に示すように、本発明の第1の実施の
形態に係るプラスチックへの部分めっき方法は、プラス
チック基材の一例であるABS樹脂からなる板材10に
部分電気めっきを施す方法である。以下、詳細に説明す
る。この板材10は、幅Xが例えば5〜50cm程度、
長さYが幅Xの1/4〜3/4程度、厚みが例えば2〜
10mm程度のごく薄く、しかも最も簡単な形状のもの
である。この板材10の中央部には、部分電気めっきが
施され、板材10に1つの円形状のめっき部分が形成さ
れる。まず、板材10の1つのめっきを必要とするめっ
き対象部11に、電気めっきを行う際の通電金具(通
常、リン青銅等の銅合金)を、板材10の表面に疵が入
らない程度の力で押し付けることで密着させ、めっき対
象部11に電流を流すことが可能な通電接点12を設け
る。
【0010】そして、この通電接点12を形成しためっ
き対象部11と、めっきを必要としない非めっき対象部
14とを区分するため、めっき対象部11の周囲を取り
囲み(内包し)、しかもめっき対象部11の周囲に位置
する板材10の表面を完全に覆うように連続的に、例え
ばアクリルウレタン系の2液硬化型塗料を塗布してマス
キング用塗料帯13を設ける。このマスキング用塗料帯
13は、幅Wが1〜10mm、厚みが10〜100μm
である。なお、マスキング用塗料帯13の乾燥は、室温
ないしは60〜70℃程度まで加温して行うことが好ま
しい(以上、めっき準備工程)。
【0011】次に、マスキング用塗料帯13と通電接点
12を有する板材10に、通常のプラめっき製品に施さ
れる従来公知の前処理を行う。まず、板材10のめっき
対象部11へのめっき密着性を高めるため、板材10を
(クロム酸+硫酸)液に所定時間浸漬することで板材1
0の表層部をエッチングし、同時にエッチングされた板
材10の表面に水酸基やカルボキシル基等の極性基を残
留させる(以上、エッチング工程)。そして、エッチン
グ後の板材10に導電性皮膜を形成するため、例えば従
来公知のアクチベーティング法(塩化第一スズと塩化パ
ラジウムを使用するセンシタイジング)、又はアクセレ
ーティング法(塩化第一スズと塩化パラジウムと塩化水
素の混合溶液を使用するキャタライジング)等により板
材10にパラジウム触媒を付与する。板材10にパラジ
ウム触媒を付与した後は、この板材10を水洗し、更に
硫酸や塩酸の溶液中に浸漬して、パラジウム触媒を活性
化させる(以上、パラジウム触媒付与工程)。更に、金
属イオン、還元剤、錯化剤とアルカリ金属を含む溶液
に、パラジウム触媒付与後の板材10を浸漬させ、パラ
ジウムを核として導電性皮膜の一例であるNi又はCu
の皮膜(例えば、0.2〜1μm程度)を、板材10の
表面に化学的に形成させる(以上、導電性皮膜形成工
程)。
【0012】前処理が終了した板材10は、液温が常温
〜50℃に調整された2〜10%のアルカリ溶液中に数
分間浸漬されることで、板材10を溶出させることな
く、マスキング用塗料帯13のみが完全に溶解除去され
る。これにより、マスキング用塗料帯13は、板材10
から剥離され、この剥離部分に不通電部が形成される。
なお、この際、板材10の表面に形成されているNi又
はCuの皮膜を傷めることのないよう注意が必要であ
る。そして、この板材10に配置された通電接点12を
介して、めっき対象部11に形成されたNi又はCuの
皮膜に通電を開始し、めっき対象部11にのみめっきを
施す。なお、めっきの種類は、例えばCu、Ni、C
r、Ag、Sn、又はその合金等、必要な機能に応じて
選択することが可能である。このように、マスキング用
塗料帯13を溶解除去後、通電接点12より電流を流し
始めると、めっきは通電接点12から徐々に広がって行
くが、マスキング用塗料帯13があった部分、即ち不通
電部は、電気的に非常に高抵抗となっているため、めっ
きの広がりが阻止される。従って、めっきはめっき対象
部11のみ行われ、めっき対象部11以外の非めっき対
象部14にはめっきが行われない。このようにして部分
めっきは完了する(以上、めっき形成工程)。
【0013】続いて、本発明の第2の実施の形態に係る
プラスチックへの部分めっき方法について説明する。な
お、前処理(エッチング工程、パラジウム触媒付与工
程、導電性皮膜形成工程)は、本発明の第1の実施の形
態に係るプラスチックへの部分めっき方法と同一である
ため、詳しい説明を省略する。図2に示すように、本発
明の第2の実施の形態に係るプラスチックへの部分めっ
き方法は、外表面と内表面とを分ける明確な境界部を有
するプラスチック基材の一例であるABS樹脂からなる
筒状となった管材15の外表面に均一な部分電気めっき
を施す方法であり、原理的には本発明の第1の実施の形
態に係るプラスチックへの部分めっき方法と同一である
が、マスキング用塗料帯16を複数個設けて、めっき対
象部17と非めっき対象部18とを区分する方法であ
る。以下、詳細に説明する。この管材15は、外径Dが
例えば3〜30cm程度、長さLが例えば10〜200
cm程度、厚みTが例えば2〜10mm程度の実製品
で、しかも単純形状でなく、例えば射出成形により製造
したものである。この管材15の外表面に、部分電気め
っきを施し、均一な厚みを有するめっきを形成する。
【0014】まず、管材15のめっき対象部17と非め
っき対象部18とを区分する1又は2以上(この実施の
形態では2個)のマスキング用塗料帯16を管材15の
内表面、特に内側両端部(例えば、管の端から5〜20
mm程度)の内周に1個ずつそれぞれ設ける。このマス
キング用塗料帯16は、例えばアクリルウレタン系の2
液硬化型塗料を塗布して形成され、幅Zが1〜10m
m、厚みが10〜100μm(この実施の形態では、幅
が4mm、厚みが25μm)で、円周方向に均一な膜厚
となるよう配慮され、乾燥は、室温ないしは60〜70
℃程度まで加温して行うことが好ましい。
【0015】そして、更に、マスキング用塗料帯16近
傍(例えば、マスキング用塗料帯から1〜10mm程
度)のめっき対象部17に、電気めっきを行う際の通電
金具(通常、リン青銅等の銅合金)を、管材15の表面
に疵が入らない程度の力で押し付け密着させ、めっき対
象部17に電流を流すことが可能な通電接点(図示しな
い)をそれぞれ設ける。なお、ここでは、通電接点1個
当りに流す電気量を小さくするため、管材15の一端部
に2個ずつ、合計4個の通電接点がめっき対象部17に
設けられている。ここで、通電接点を管材15の内側両
端部に設ける理由は、通電接点部分のめっきの付き方が
他の部分とは異なり、模様が管材15の表面に現れるこ
とに起因する。従って、通電接点を管材15の内側両端
部に設けることで、模様を管材15の外表面に出すこと
なく、しかも管材15の内側全面にめっきすることな
く、管材15の外表面に均一で美麗なめっきの外観を得
ることが可能となる。これにより、管材15の表面側に
は均一なめっきを施し、一方、管材15の内表面には出
来るだけめっきを施さないようにすることが可能となる
(以上、めっき準備工程)。
【0016】次に、マスキング用塗料帯16と通電接点
を有する管材15に、通常のプラめっきに施される従来
公知の前処理を行う。めっき準備工程終了後の管材15
は、管材15のめっき対象部17へのめっき密着性を高
めるためエッチングされ(エッチング工程)、エッチン
グ後の管材15にパラジウム触媒が付与され、水洗、そ
して硫酸や塩酸の溶液中に浸漬され、パラジウム触媒活
性が付与されて(パラジウム触媒付与工程)、更にパラ
ジウム触媒付与後の管材15に導電性皮膜の一例である
Ni又はCuの皮膜が化学的に形成される(導電性皮膜
形成工程)。
【0017】前処理が終了した管材15は、液温が40
℃に調整された5%のアルカリ溶液中に数分間浸漬され
ることで、管材15を溶出させることなく、マスキング
用塗料帯16のみが完全に溶解除去される。これによ
り、マスキング用塗料帯16は、管材15から剥離さ
れ、この剥離部分に不通電部が形成される。なお、この
際、管材15の外表面に形成されているNi又はCuの
皮膜を傷めることのないよう注意が必要である。この管
材15にぞれぞれ配置された通電接点を介して、めっき
対象部17に形成されたNi又はCuの皮膜に通電を開
始し、めっき対象部17にのみめっきを施す。このよう
に、マスキング用塗料帯16を溶解除去後、通電接点よ
り電流を流し始めると、めっきは通電接点から徐々に広
がるため、管材15の内側両端部から外表面へめっきさ
れる。なお、マスキング用塗料帯16があった部分、即
ち不通電部は、電気的に非常に高抵抗となっているた
め、めっきの広がりが阻止され、マスキング用塗料帯1
6で挟まれた非めっき対象部18は、全く電気めっきさ
れず、管材15の樹脂外観がそのままの状態で残留する
こととなる。
【0018】続いて、マスキング用塗料帯の幅及び厚み
の数値を限定した理由について説明する。マスキング用
塗料帯の幅が1mm未満の場合、マスキング用塗料帯が
プラスチック基材の表面を完全に被覆することが難しく
なり、良好な状態の不通電部を形成できなくなるため、
めっき対象部から非めっき対象部への電流の流れを防止
できない可能性がある。一方、マスキング用塗料帯の幅
が10mmを超えると、マスキング用塗料帯の使用量が
多くなり、経済性が悪くなる。このことから、マスキン
グ用塗料帯の幅を1〜10mmとしたが、めっき対象部
から非めっき対象部への電流の流れを確実に防止し、し
かも経済性を良好にするには、マスキング用塗料帯の幅
を2〜8mm、更には3〜7mmとすることが好まし
い。
【0019】また、マスキング用塗料帯の厚みが10μ
m未満の場合、マスキング用塗料帯をプラスチック基材
の表面に均一な厚みで設けることが難しくなる。これに
より、マスキング用塗料帯がプラスチック基材の表面を
完全に被覆することが難しくなり、良好な状態の不通電
部を形成できなくなるため、めっき対象部から非めっき
対象部への電流の流れを防止できない可能性がある。一
方、マスキング用塗料帯の厚みが100μmを超える場
合、マスキング用塗料帯の使用量が多くなり、経済性が
悪くなる。このことから、マスキング用塗料帯の厚みを
10〜100μmとしたが、プラスチック基材の表面に
マスキング用塗料帯を均一な厚みで形成し、めっき対象
部から非めっき対象部への電流の流れを確実に防止し
て、しかも経済性を良好にするには、マスキング用塗料
帯の厚みを10〜50μm、更には20〜30μmとす
ることが好ましい。
【0020】前記したように、めっきはマスキング用塗
料帯を横切って広がることがないので、例えば第1の実
施の形態のように、めっき対象部と非めっき対象部とを
区分するため、マスキング用塗料帯でめっき対象部を囲
み、その内部に通電接点を設けることで、めっき対象部
のみにめっきすることが可能となる。その際、プラスチ
ック基材の物理的な形状は大きな意味を持たず、プラス
チック基材の連続した表面を、マスキング用塗料帯でど
のように分断するかが重要な要因となる。従って、マス
キング用塗料帯は必ず閉じた状態となっており、途中で
分断されない連続状態となっている必要がある。即ち、
第1の実施の形態においては、マスキング用塗料帯で囲
まれた部分の中に通電接点を設ければめっき部分となる
し、通電接点を設けなければ非めっき部分とすることも
可能である。
【0021】以上、本発明を、実施の形態を参照して説
明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載
の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記
載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の
形態や変形例も含むものである。例えば、前記実施の形
態においては、プラスチック基材が板材及び管材である
場合について示した。しかし、プラスチック基材(熱可
塑性樹脂射出成形品)は、多用途にわたる利用分野を有
しており、その形状も簡単なものから複雑極まるものま
で各種あるため、前記した製品形状にとらわれることな
く適用することが可能である。前記第1の実施の形態に
おいては、板材の1つのめっき対象部にめっきを行った
場合について示した。しかし、板材に2以上のめっき対
象部の周囲を取り囲むマスキング塗料帯を設け、各部分
に通電接点をそれぞれ設け、独立した複数個の島状のめ
っき部分を形成することも可能である。
【0022】なお、1又は2以上の非めっき対象部の周
囲を取り囲み、めっき対象部と非めっき対象部とを区分
するマスキング用塗料帯を設け、めっき対象部に通電接
点を設け、独立した島状の非めっき部分を形成すること
も可能である。この場合、通電接点の1個当りに流す電
気量を小さくするため、複数の通電接点をめっき対象部
に配置することが好ましい。また、前記第2の実施の形
態においては、管材の外表面のめっき対象部にめっきを
行った場合について示したが、管材の内面側に部分めっ
きを行うことも可能である。前記第2の実施の形態にお
いては、外表面と内表面とを分ける明確な境界部を有す
るプラスチック基材として管材について説明した。しか
し、外表面と内表面とを分ける明確な境界部を有するプ
ラスチック基材であれば、他の形状、例えばブロック
状、球状等の複雑な形状を有するプラスチック基材を使
用することも可能であり、板材を使用した場合、板材の
外表面に均一な部分電気めっきを施すため、板材の内表
面、即ち裏側の中央部を囲むように1個のマスキング用
塗料帯を形成することも可能である。そして、前記第
1、第2の実施の形態においては、マスキング用塗料帯
を、アクリルウレタン系の2液硬化型塗料で形成した場
合について示したが、他のもの、例えば塩化ビニル系の
樹脂で形成することも可能である。更に、前記第1、第
2の実施の形態においては、マスキング用塗料帯が実質
的に円形状、及び環状となった場合についてそれぞれ示
したが、例えばプラスチック基材の形状や、めっき対象
部の形状に応じて、他の形状、例えば矩形状や、楕円状
等にすることも可能である。
【0023】
【発明の効果】請求項1及びこれに従属する請求項3に
記載のプラスチックへの部分めっき方法においては、め
っき対象部と非めっき対象部との境界部に不通電部を形
成し、めっき対象部から非めっき対象部への電流の流れ
を不通電部で防止することができるため、めっき対象部
に形成された導電性皮膜のみに電流を流すことが可能と
なる。これにより、通電接点を設ける場所で、めっき対
象部、又は非めっき対象部の選択をすることができるた
め、経済性や作業性が非常に良好となり、デザイン的な
自由度が大きく、どのような部分めっきにも対応可能で
ある。従って、機能性の追求、又は装飾デザイン面への
利用等、多彩な用途が期待できる。請求項2及びこれに
従属する請求項3に記載のプラスチックへの部分めっき
方法においては、めっき対象部と非めっき対象部とを区
分する不通電部をプラスチック基材の内表面に形成し、
めっき対象部から非めっき対象部への電流の流れを不通
電部で防止することができるため、めっき対象部に形成
された導電性皮膜のみに、プラスチック基材の内側から
電流を流すことが可能となる。これにより、経済性や作
業性が非常に良好となるだけでなく、通電接点の部分で
現れる模様が、外表面と内表面とを分ける明確な境界部
を有するプラスチック基材の内側に隠れる。従って、デ
ザイン的な自由度が大きく、どのような部分めっきにも
対応可能であるため、機能性の追求、又は装飾デザイン
面への利用等、多彩な用途が期待できる。特に、請求項
3記載のプラスチックへの部分めっき方法においては、
プラスチック基材の表面にマスキング用塗料帯を確実に
被覆することができるため、めっき対象部から非めっき
対象部への電流の流れを防止する不通電部を、めっき対
象部と非めっき対象部との境界部に確実に形成すること
が可能となる。従って、めっき対象部のみに確実にめっ
きすることができるので、機能性、又は装飾デザイン面
等に、更に優れためっきを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るプラスチック
への部分めっき方法を適用した板材の説明図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係るプラスチック
への部分めっき方法を適用した管材の説明図である。
【符号の説明】
10:板材(プラスチック基材)、11:めっき対象
部、12:通電接点、13:マスキング用塗料帯、1
4:非めっき対象部、15:管材(プラスチック基
材)、16:マスキング用塗料帯、17:めっき対象
部、18:非めっき対象部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 政敏 福岡県北九州市小倉北区赤坂海岸2番1号 石川金属工業株式会社内 Fターム(参考) 4K024 BA12 BB27 DA07 DA10 DB10 FA07 GA02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチック基材に部分電気めっきを施
    すプラスチックへの部分めっき方法であって、前記プラ
    スチック基材の1又は2以上のめっきを必要とするめっ
    き対象部にそれぞれ電流を流すことが可能な通電接点を
    設け、しかも前記めっき対象部とめっきを必要としない
    非めっき対象部とを区分するマスキング用塗料帯を形成
    するめっき準備工程と、このプラスチック基材の前記め
    っき対象部へのめっき密着性を高めるためのエッチング
    工程と、エッチング後のプラスチック基材にパラジウム
    触媒を付与するパラジウム触媒付与工程と、パラジウム
    触媒付与後のプラスチック基材に導電性皮膜を形成する
    ための導電性皮膜形成工程と、前記マスキング用塗料帯
    を剥離して、この剥離部分に不通電部をそれぞれ形成
    し、前記通電接点を介して前記導電性皮膜に通電を開始
    し、前記めっき対象部にのみめっきを施すめっき形成工
    程とを有することを特徴とするプラスチックへの部分め
    っき方法。
  2. 【請求項2】 外表面と内表面とを分ける明確な境界部
    を有するプラスチック基材の該外表面に均一な部分電気
    めっきを施すプラスチックへの部分めっき方法であっ
    て、前記プラスチック基材のめっきを必要とするめっき
    対象部と、めっきを必要としない非めっき対象部とを区
    分する1又は2以上のマスキング用塗料帯を前記プラス
    チック基材の前記内表面にそれぞれ設け、しかも該マス
    キング用塗料帯近傍の前記めっき対象部に、電流を流す
    ことが可能な通電接点をそれぞれ設けるめっき準備工程
    と、このプラスチック基材の前記めっき対象部へのめっ
    き密着性を高めるためのエッチング工程と、エッチング
    後のプラスチック基材にパラジウム触媒を付与するパラ
    ジウム触媒付与工程と、パラジウム触媒付与後のプラス
    チック基材に導電性皮膜を形成するための導電性皮膜形
    成工程と、前記マスキング用塗料帯を剥離して、この剥
    離部分に不通電部をそれぞれ形成し、前記通電接点を介
    して前記導電性皮膜に通電を開始し、前記めっき対象部
    にのみめっきを施すめっき形成工程とを有することを特
    徴とするプラスチックへの部分めっき方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載のプラスチックへの
    部分めっき方法において、前記マスキング用塗料帯の幅
    が1〜10mm、厚みが10〜100μmであることを
    特徴とするプラスチックへの部分めっき方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004097875A1 (ja) * 2003-04-25 2004-11-11 Sunarrow Limited モバイル機器用の多色樹脂成形部品
WO2003096859A3 (de) * 2002-05-17 2005-03-24 Hansgrohe Ag Verfahren zur herstellung von galvanisierten sanitärgegenständen aus kunststoff
KR100914577B1 (ko) * 2007-08-28 2009-08-31 주식회사 미성포리테크 자외선 접착제를 이용한 도금키 및 그 도금방법

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