JP2002212586A - 油脂の精製方法 - Google Patents

油脂の精製方法

Info

Publication number
JP2002212586A
JP2002212586A JP2001011190A JP2001011190A JP2002212586A JP 2002212586 A JP2002212586 A JP 2002212586A JP 2001011190 A JP2001011190 A JP 2001011190A JP 2001011190 A JP2001011190 A JP 2001011190A JP 2002212586 A JP2002212586 A JP 2002212586A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oil
fat
fats
oils
solvent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001011190A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuhiro Okajima
伸浩 岡島
Toshinori Ikehara
俊則 池原
Takeshi Kawashima
武志 河島
Shoichi Kato
正一 加藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP2001011190A priority Critical patent/JP2002212586A/ja
Publication of JP2002212586A publication Critical patent/JP2002212586A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Edible Oils And Fats (AREA)
  • Fats And Perfumes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高度不飽和脂肪酸を含有する油脂の精製にお
いて、効率良く品質の優れた精製油脂を得る脱酸および
脱色に関する精製方法を提供すること。 【解決手段】 油脂を無極性溶媒とアルコール性アルコ
ールの極性の異なる2成分の溶媒に接触させ、無極性溶
媒に脱酸油脂を回収する脱酸方法、及び、該脱酸油脂を
更に多孔性物質の吸着剤と接触させる脱色方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油脂の精製方法に
関する。詳しくは、高度不飽和脂肪酸を含有する魚油な
どの酸化し易く熱に対して不安定な油脂に適した精製方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に搾油された油脂は固形物などが除
去された後、アルカリ脱酸、脱色の工程を経て精製され
る。
【0003】アルカリ脱酸とは、油脂に含まれる遊離脂
肪酸を苛性ソーダーなどのアルカリにより中和して生成
したセッケンを除去する方法である。アルカリ脱酸の目
的は油脂中の遊離脂肪酸の除去であり、生成したセッケ
ンを効率よく除去して脱酸油脂の歩留まりを上げること
が重要な課題である。アルカリ脱酸には大きく三つの方
式があり、油脂に苛性ソーダを添加して生成したセッケ
ンを遠心分離機で除去する方式、アルカリ性水溶液中に
油脂を細かい粒滴として浮上させ生成したセッケンをア
ルカリ水溶液に移行させる方式、あるいは溶剤抽出され
た油脂と溶剤の混合溶液(油脂と溶剤の混合溶液をミセ
ラと称する)にアルカリを添加するミセラ精製の方式に
分類出来る。
【0004】これら従来の脱酸方法は、油脂とセッケン
の分離を効率良く行う為に、油脂をアルカリ脱酸する場
合で70℃以上の高温で、ミセラ精製で40〜65℃の
温度で処理が行われている。また、セッケン中に油脂が
混入することは避けられず、遠心分離機により油脂とセ
ッケンを分離する操作が行われるが脱酸油脂を完全に回
収することは困難であった。
【0005】また、従来の脱酸方法では油脂中の遊離脂
肪酸含量が多い、つまり酸価が高い油脂ではセッケンの
生成量が増大するため、脱酸処理中に油層と水層が乳化
した状態となり、油脂とセッケンとの分離が困難となる
問題があった。特に、魚油は一般的に酸価が高く、ま
た、加熱により劣化しやすい高度不飽和脂肪酸が多く含
まれているため、従来のアルカリ脱酸は、必ずしも魚油
に適した精製方法とは言えず、酸価の高い魚油でも劣化
しにくい、例えば低温でも処理が可能な脱酸方法が望ま
れている。
【0006】また、魚油には油脂の主要成分であるトリ
グリセリド以外に、色素、酸化促進に関与する鉄や銅な
どの金属、戻り臭に起因するアミンやケトンなどの品質
劣化に寄与する微量成分が含まれている。これらの微量
成分は、通常のアルカリ脱酸や水蒸気蒸留による脱臭で
は除去されず、微量成分が極性を有する性質を利用して
多孔性物質による吸着精製を行う必要がある。
【0007】色素などの微量成分を吸着除去する方法を
脱色と称するが、魚油の場合、通常の脱色で使用する活
性白土だけでは不十分であり、活性炭やシリカゲルなど
を使用することが多い。特に魚油に含まれる高度不飽和
脂肪酸を健康機能の面で利用する目的で、酸化や戻り臭
の原因となる微量成分を除去するために吸着剤による魚
油の高度精製技術に関する様々な方法が提案されてい
る。
【0008】例えば、シリカゲルによる精製方法(特開
昭62−93234、特開昭62−181398)、極
性の多孔性重合樹脂による精製方法(特開平5−331
487、特開平8−302382)、高吸水性樹脂によ
る精製方法(特開平8−311481)、ケイソウ土に
よる精製方法(特開平9−137182)が挙げられ
る。これらの吸着剤による精製方法は、何れも、油脂の
主要成分であるグリセリドが低い極性であり、着色や酸
化あるいは臭気の原因となる微量成分が高い極性である
ことから、極性による吸着剤との親和性の差を利用して
いる。特に吸着剤をカラムに充填し、有機溶媒の存在下
で行うカラム吸着精製には優れた脱色効果が認められ
る。しかしながら、魚油の吸着精製に有効なこれらの吸
着剤は、高価な素材である上に、通常の脱酸魚油は粗精
製な状態であるため、カラムの吸着能力が早く低下する
と言う問題があった。そのため新たな吸着剤を補給した
りあるいは極性溶媒で吸着剤を洗浄し再利用するなど、
魚油のカラム吸着精製は生産上の負荷が大きく高コスト
となっているのが現状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、油
脂、とりわけ高度不飽和脂肪酸を含有する油脂を高温に
曝すことなく低温で脱酸処理出来ると共に、酸価の高い
油脂でも目的の脱酸油脂を高収率で回収出来る油脂の脱
酸方法を提供することである。また、高度不飽和脂肪酸
を含有する油脂の吸着精製において特殊な吸着剤を必要
とせず、吸着剤の吸着能力を高く維持出来る油脂の脱色
方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、油脂の主成分であるトリグリセリドに対する溶解度
が異なる2種類の溶媒、即ち、トリグリセリドの溶解度
が高い無極性溶媒とトリグリセリドの溶解度が低いアル
カリ性アルコールを利用すれば、油脂の遊離脂肪酸は中
和されてセッケンとなってアルコールに分配され、脱酸
された油脂は無極性溶媒に分配されることを見出した。
【0011】この様なトリグリセリドに対する溶解度の
異なる2種類の溶媒を用いて油脂の脱酸を行った例は見
られず、特に高度不飽和脂肪酸を含有する天然油脂の脱
酸方法として有効な手法であると考え鋭意検討した。そ
の結果、本発明の脱酸方法は油脂を高温に加熱する必要
がなく、油脂やセッケンが溶媒に溶解する温度であれば
十分に脱酸効果があることを見出した。また、油脂の酸
価の如何に関わらず、無極性溶媒とアルコールとに明瞭
に2層に分離するのでセッケンの分離に労を要さず、無
極性溶媒を回収すれば脱酸油脂が高収率で得られること
を見出した。また、水ではなく、アルコールを利用する
ことで、生成したセッケンは勿論のこと、水のみでは除
去し難かった色素や臭気成分などの極性物質を選択的に
抽出することが出来、本発明の脱酸方法は通常のアルカ
リ脱酸に比べて脱色と脱臭の効果が優れていることを見
出した。また、上記の方法で得られた脱酸油脂を更に多
孔性物質で吸着精製を行うことにより、より高度に精製
された脱色油脂を得ることが出来、且つ、吸着精製後の
吸着剤の吸着能力が従来よりも維持されていることを見
出した。
【0012】即ち、本発明の第1は、油脂、無極性溶媒
およびアルカリ性アルコール溶液を混合攪拌させること
により油脂を脱酸し、脱酸した油脂を無極性溶媒と共に
回収することを特徴とする油脂の脱酸方法に関する。好
ましい実施態様としては、油脂が高度不飽和脂肪酸を含
有する油脂であることを特徴とする上記記載の脱酸方法
に関する。別の好ましい実施態様としては、上記記載の
脱酸方法により得られる油脂を多孔性物質の吸着剤と接
触させることを特徴とする油脂の脱色方法に関する。
【0013】本発明の第2は、油脂、無極性溶媒および
アルカリ性アルコール溶液を混合攪拌した後、油脂を無
極性溶媒と共に回収し、更に該油脂を多孔性物質の吸着
剤と接触させることにより得られる精製油脂に関し、好
ましい実施態様としては、油脂が高度不飽和脂肪酸を含
有する油脂であることを特徴とする上記記載の精製油脂
に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】本発明に用いることが出来る油脂とは、そ
の種類に特に限定はなく、動物油脂、水産動物油脂、植
物油脂等、あらゆる油脂が挙げられるが、中でも高度不
飽和脂肪酸を含有する油脂において、その効果を大いに
発揮する。本発明で用いる高度不飽和脂肪酸(PUF
A)を含有する油脂とは、炭素数18以上で二重結合数
が3以上の脂肪酸を構成脂肪酸とする油脂を指す。具体
的には、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキ
サエン酸(DHA)、α−リノレン酸、共役脂肪酸など
に例示される脂肪酸を構成脂肪酸とする。例えば、EP
A、DHAを含有する油脂として、イワシ油、マグロ
油、サンマ油、サバ油、アジ油、スケソウダラ油などの
魚油または鯨油、アザラシ油などの水産動物油脂が挙げ
られ、脂肪酸組成にてこれらの高度不飽和脂肪酸を10
重量%以上含有している。また、α−リノレン酸を含有
する油脂として、シソ油、アマニ油、エゴマ油などの植
物油脂が挙げられ、脂肪酸組成にてα−リノレン酸を3
0〜70重量%含有している。共役脂肪酸を含有する油
脂としてエレオステアリン酸を70重量%以上含有する
桐油、リカン酸を70重量%以上含有するオイチシカ
油、プニカ酸を60重量%以上含有するザクロ種子油等
が挙げられる。またこれら魚油、水産動物油脂、植物油
脂の分別油脂、部分水素添加油脂、エステル交換油脂も
該当する。またこれらの油脂が任意に混合された油脂で
も構わない。
【0016】本発明において使用する無極性溶媒とは、
誘電率が小さい値を示す溶媒であり、具体的には、ヘキ
サン、シクロヘキサン、石油エーテル、トルエン、ベン
ゼン、四塩化炭素等を挙げることが出来るが、食用油脂
の精製の場合は、ヘキサンを使用することが望ましい。
【0017】本発明において使用するアルコールとは、
一価の低級アルコールが望ましく、具体的にはメタノー
ル、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコー
ル、及びそれらの異性体を挙げることが出来る。アルカ
リ性アルコールとは、前記のアルコールに苛性ソーダ、
水酸化カリウム、水酸化カルシウム等に代表される、水
に溶解させると強アルカリ性を示す塩基性塩を溶解させ
て得ることの出来るアルカリ性の溶液であり、望ましく
は、塩基性塩中の水酸基換算で0.01〜2.0mol
/L、更に望ましくは0.05〜1.0mol/Lの濃
度になるように溶解させたアルカリ性アルコール溶液で
ある。アルカリ性アルコールの塩基性塩の濃度が、塩基
性塩中の水酸基換算で2.0mol/Lを越えると、ア
ルコーリシスによりアルコールエステルが生じて油脂の
成分であるトリグリセリドの収率が低下する。また、ア
ルカリ性アルコールの塩基性塩の濃度が、塩基性塩中の
水酸基換算で0.01mol/Lに満たないと、遊離脂
肪酸の中和が不十分となる。
【0018】塩基性塩のアルコール中への溶解を容易に
するために水を混入させることが望ましい。具体的に
は、高濃度の塩基性塩水溶液を所定の濃度になるように
アルコールに混合して調整する。塩基性塩水溶液とアル
コールの混合比率は特に限定されないが、アルカリ性ア
ルコール中に塩基性塩水溶液の比率が、概ね10容量%
程度であることが望ましい。例えば、0.1mol/L
のアルカリ性メタノールとは、1.0mol/Lの苛性
ソーダ水溶液0.1Lにメタノールを加え、総量で1L
になる様に調整したメタノール溶液を意味する。
【0019】無極性溶媒とアルカリ性アルコールとの使
用割合は特に限定は無いが、無極性溶媒に対してアルカ
リ性アルコールが概ね50〜200容量%の範囲が望ま
しい。
【0020】本発明においては、油脂を含んだ無極性溶
媒が上層に、アルカリ性アルコールが下層になるように
分離する方が、固形物などの沈殿物が生じた場合に目的
とする無極性溶媒層に沈殿物が混入し難いので好まし
い。そのため、油脂の使用量は、無極性溶媒に対して油
脂が10〜200重量%が望ましい。油脂が無極性溶媒
に対して200重量%を越えるとアルコールよりも比重
が増大し、油脂を含んだ無極性溶媒が下層になる恐れが
ある。
【0021】本発明の脱酸方法において、油脂、無極性
溶媒、アルカリ性アルコールの混合順序は特に問わず、
予め、無極性溶媒に油脂を溶解させて、その後アルカリ
性アルコールを加えても良い。
【0022】油脂、無極性溶媒およびアルカリ性アルコ
ールの混合攪拌は、望ましくは60℃以下、更に望まし
くは10〜40℃の温度範囲で攪拌する。60℃を超え
ての加熱は、品質劣化の恐れがある為好ましくない。攪
拌方法については、充分に液滴が拡散し、界面が多く生
じるように攪拌されるのであれば特に限定はなく、公知
の攪拌機、振盪器等を用いることが出来る。
【0023】具体的に本発明における脱酸方法の一例を
説明する。ヘキサン等の無極性溶媒に油脂を溶解させ
て、その後アルカリ性アルコールを添加する。この混合
液を約30℃で15分間激しく攪拌機で攪拌し、攪拌を
止めて静置すればやがて界面の明瞭な2層分離の状態と
なる。目的の脱酸油脂は無極性溶媒中に存在している。
一方、アルカリ性アルコールは臭気の強い褐色となり、
色素成分や臭気成分が移行していることが判る。
【0024】無極性溶媒を回収し、エバポレーター等で
溶媒を蒸留除去すれば脱酸油脂が得られ、これを脱色工
程に供することが出来るが、溶媒を除去せずに無極性溶
媒中に油脂が溶解したまま、連続して吸着精製による脱
色工程に供することも出来る。工程削減等の観点から、
油脂が無極性溶媒に溶解したまま脱色工程に供される方
が好ましい。
【0025】本発明で使用する多孔性物質の吸着剤と
は、活性白土、活性炭、シリカゲル、ケイ酸アルミニウ
ムなどの吸着剤を言うが、吸着能は活性炭、シリカゲ
ル、ケイ酸アルミニウムが優れており、これらの吸着剤
を使用することが望ましい。
【0026】油脂と吸着剤の接触方法は、脱酸油脂に吸
着剤を投入するバッチ方式でも構わないが、無極性溶媒
に溶解している脱酸油脂をカラム吸着精製する方式が脱
色効果が高く望ましい方式である。
【0027】カラム吸着精製は魚油の精製において既に
行われている公知の技術であるが、本発明においては、
本発明の脱酸方法と併用することにより、通常の脱酸油
脂を用いるよりも優れた効果が認められる。例えば、通
常のアルカリ脱酸した魚油を活性炭カラムで吸着精製す
る場合、油脂に対して活性炭10重量%を充填したカラ
ムではほぼ1回の通液で吸着能が失活してしまう。しか
しながら、本発明の脱酸方法で精製した油脂は殆どの極
性物質が既に除去されているため、活性炭カラムの吸着
能が低下しにくくカラムを数回に渡って連続使用出来る
効果がある。この様にカラム吸着精製させ、無極性溶媒
中に油脂が溶解している場合には蒸留等により溶媒除去
することで、高度に脱酸脱色された精製油脂を得ること
が出来る。
【0028】本発明による精製油脂は最終的に水蒸気蒸
留により脱臭する事が好ましい。水蒸気蒸留による脱臭
は公知の方法であるが、高度不飽和脂肪酸を含有する油
脂の場合、重合による劣化を防ぐために蒸留温度は20
0℃以下で行うことが望ましい。
【0029】また、本発明による精製油脂は、その化学
構造を損なうことなく着色成分と臭気成分が除去され、
保存中も戻り臭の発生がない。従って、そのままの形態
でも油中水型乳化組成物あるいは水中油型乳化組成物等
の形態でも、医薬用や食用に用いることが出来る。更に
はセッケンや化粧品の原料に供することが出来る。
【0030】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳しく説明
するが、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるもの
ではない。
【0031】(実施例1)イワシ油(酸価6.0)1.
0kgとヘキサン1.0Lを加えたイワシ油ヘキサン溶
液(容量2.1L)に、0.1mol/Lのアルカリ性
メタノール(1.0mol/L苛性ソーダ水溶液0.2
Lにメタノールを加え総量2.0Lに調整した)2.0
Lを添加し、20℃の室温にて30分間激しく攪拌機で
攪拌を行った。
【0032】攪拌を止めて静置すると上層にはヘキサン
層が、下層にはアルコール層が2層分離した。下層のア
ルコール層は褐色を呈しており着色成分が選択的に分配
されていた。ヘキサン層のみを分離採集し、エバポレー
ターによりヘキサンを蒸留除去して脱酸イワシ油0.9
7kgを回収した。
【0033】(実施例2)実施例1と同様にイワシ油
1.0kgをヘキサンおよびアルカリ性アルコールで処
理したのちヘキサン層(イワシ油ヘキサン溶液)を分離
採集した。このイワシ油ヘキサン溶液(容量約2.0
L)を活性炭100gを充填したカラムに100ml/
分の流速で通液し、続いて0.5Lの新たなヘキサンで
カラム洗浄して洗浄ヘキサンも先のイワシ油ヘキサン溶
液と合わせた。活性炭カラムを通液したイワシ油ヘキサ
ン溶液は、エバポレーターによりヘキサンを蒸留除去し
て脱色イワシ油0.96kgを回収した。
【0034】(比較例1)通常のアルカリ脱酸方法とし
て、実施例1,2で使用したものと同じイワシ油(酸価
6.0)1.0kgを80℃に加熱して0.5mol/
L苛性ソーダ水溶液10.0Lに加えて10分間攪拌を
行った。攪拌を止めて静置し、浮上した油層を回収(油
層と水層の中間のフーツ層は未回収)して、80℃の真
空下で脱水して脱酸イワシ油を0.93kg得た。
【0035】(比較例2)比較例1の脱酸イワシ油を
2.0Lのヘキサンに溶解し、実施例2と同様の方法で
活性炭カラムによる吸着精製を行った。活性炭100g
を充填したカラムを100ml/分の流速でイワシ油ヘ
キサン溶液を通液し、更に0.5Lのヘキサンでカラム
洗浄し、洗浄ヘキサンは先のイワシ油ヘキサン溶液と合
わせた。イワシ油ヘキサン溶液は、エバポレーターによ
りヘキサンを蒸留除去して脱色イワシ油0.92kgを
回収した。
【0036】実施例1,2および比較例1,2の脱酸イ
ワシ油および脱色イワシ油の酸価、残存セッケン分、色
を表1に示す。酸価、残存セッケン分の測定方法は、基
準油脂分析法(日本油化学協会編)による。色は、ロビ
ボンド比色計(133.4mmセル使用)により赤色度
(R)と黄色度(Y)を測定した。
【0037】
【表1】 表1から明らかな様に、本発明による実施例1の脱酸イ
ワシ油は酸価が0.1まで低下しており良好な脱酸レベ
ルである。また、実施例1の脱酸イワシ油は比較例1の
常法による脱酸イワシ油と比べてセッケンが完全に除去
されており、本発明の脱酸方法は従来のアルカリ脱酸よ
りもセッケンの分離において優れている。また、実施例
1の脱酸イワシ油は、比較例1の常法による脱酸イワシ
油に比べて色調が低く、本発明の脱酸方法は従来のアル
カリ脱酸よりも脱色効果の優れた精製方法である。
【0038】本発明による脱酸イワシ油を更に活性炭カ
ラムで吸着精製した脱色イワシ油(実施例2)は、ほぼ
無色透明に近く高度に精製されている。一方、常法の脱
酸イワシ油を活性炭カラムで吸着精製した脱色イワシ油
(比較例2)は、酸価とセッケン分は実施例と同程度ま
で低減しているものの脱色の効果が不十分である。
【0039】この様な脱色効果の違いは、本発明の脱酸
方法は通常のアルカリ脱酸に比べて極性を有する色素な
どの微量成分の除去に優れた効果を有するためであり、
その結果としてカラム吸着精製においても吸着剤の吸着
能力が高く維持されているのである。
【0040】活性炭カラムの使用可能な回数について
は、常法による脱酸イワシ油では一度の通液で活性炭カ
ラムの吸着能力が低下してカラムの再生が必要であるこ
とに対して、本発明による脱酸イワシ油では活性炭カラ
ムを連続5回繰り返し使用しても良好な脱色イワシ油が
得られる。従って、本発明の脱酸方法および脱色方法を
行うことにより、従来の吸着精製よりも効率良く魚油を
高度に精製することが出来る。
【0041】また、本発明の脱酸方法は、脱酸油脂とセ
ッケンとを完全に分離出来るため、通常のアルカリ脱酸
に比べて高収率で脱酸油脂を得ることが出来る。 (実施例3)実施例2の脱色イワシ油を温度180℃、
真空度300Pa、1時間の水蒸気蒸留により脱臭を行
い、ほぼ無臭の脱臭イワシ油を得た。脱臭イワシ油に抗
酸化剤としてトコフェロールを0.1重量%添加し、窒
素を充填して遮光ビンにて20℃で1ヶ月保存した。保
存後のイワシ油の劣化について過酸化物価(POVme
q/kg)と臭気(官能評価による)の評価を行った。
【0042】(比較例3)比較例2の脱色イワシ油を実
施例3と同条件で脱臭し、トコフェロールを0.1重量
%添加して同様に保存して劣化の度合いを調べた。
【0043】
【表2】 表2の結果から明らかなように、本発明の精製方法によ
る脱臭イワシ油は、一ヶ月後の過酸化物価も低く、戻り
臭の発生も無かった。一方、従来のアルカリ脱酸方法で
精製した脱臭イワシ油は過酸化物価の上昇が大きく、生
臭い戻り臭が発生していた。従って、本発明の精製方法
により、従来の精製方法よりも酸化安定性が良く、戻り
臭の発生しにくい精製魚油を得ることが出来る。
【0044】
【発明の効果】本発明の脱酸方法は油脂を高温に加熱す
る必要がなく、油脂やセッケンが溶媒に溶解する温度で
あれば十分に脱酸効果があり、油脂の酸価の如何に関わ
らず、無極性溶媒とアルコールとに明瞭に2層に分離す
るのでセッケンの分離に労を要さず、無極性溶媒を回収
すれば脱酸油脂が高収率で得られる。アルコール中には
生成したセッケン以外に色素や臭気成分などの極性物質
が選択的に分配されており、本発明の脱酸方法は通常の
アルカリ脱酸に比べて脱色と脱臭の効果が優れている。
上記の方法で得られた脱酸油脂を更に多孔性物質で吸着
精製を行うことにより、より高度に精製された脱色油脂
を得ることが出来、且つ、吸着剤の吸着能力が高く維持
され生産性の向上が図られる。とりわけ、高度不飽和脂
肪酸を含有する油脂の様に不安定な油脂において本発明
の脱酸脱色方法は効果的である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B026 DC02 DG14 DH10 DP01 DP10 4H059 AA03 AA06 AA11 BA01 BA02 BA04 BA12 BB05 BB06 BC03 BC06 BC13 CA12 CA21 CA32 EA23 EA24

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油脂、無極性溶媒およびアルカリ性アル
    コール溶液を混合攪拌させることにより油脂を脱酸し、
    脱酸した油脂を無極性溶媒と共に回収することを特徴と
    する油脂の脱酸方法。
  2. 【請求項2】 油脂が高度不飽和脂肪酸を含有する油脂
    であることを特徴とする請求項1記載の脱酸方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の脱酸方法により
    得られる油脂を多孔性物質の吸着剤と接触させることを
    特徴とする油脂の脱色方法。
  4. 【請求項4】 油脂、無極性溶媒およびアルカリ性アル
    コール溶液を混合攪拌した後、油脂を無極性溶媒と共に
    回収し、更に該油脂を多孔性物質の吸着剤と接触させる
    ことにより得られる精製油脂。
  5. 【請求項5】 油脂が高度不飽和脂肪酸を含有する油脂
    であることを特徴とする請求項4記載の精製油脂。
JP2001011190A 2001-01-19 2001-01-19 油脂の精製方法 Pending JP2002212586A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001011190A JP2002212586A (ja) 2001-01-19 2001-01-19 油脂の精製方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001011190A JP2002212586A (ja) 2001-01-19 2001-01-19 油脂の精製方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002212586A true JP2002212586A (ja) 2002-07-31

Family

ID=18878352

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001011190A Pending JP2002212586A (ja) 2001-01-19 2001-01-19 油脂の精製方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002212586A (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006083343A (ja) * 2004-09-17 2006-03-30 Kao Corp 遊離脂肪酸が低減された油脂の製造方法
WO2010126136A1 (ja) * 2009-04-30 2010-11-04 不二製油株式会社 グリセリド油脂中のクロロプロパノール類及びその形成物質の生成を抑制する方法
CN105462687A (zh) * 2015-12-28 2016-04-06 广州白云山汉方现代药业有限公司 一种采用混合吸附剂纯化橄榄油的方法
JP2016140260A (ja) * 2015-01-30 2016-08-08 築野食品工業株式会社 食用油脂
WO2016175169A1 (ja) * 2015-04-27 2016-11-03 不二製油グループ本社株式会社 長鎖多価不飽和脂肪酸含有油脂の製造方法
KR101710453B1 (ko) * 2016-03-30 2017-02-27 (주)한국바이오엔지니어링 가열 압착 탄화 식물성 유지의 정제 방법
JP2017521497A (ja) * 2014-07-18 2017-08-03 ゼンジアン カングライト グループ シーオー.、エルティーディー. 16種のグリセリド含むヨクイニン油、製剤及びその応用
JP2017522441A (ja) * 2014-07-18 2017-08-10 ゼンジアン カングライト グループ シーオー.、エルティーディー. 11種のトリグリセリド含むヨクイニン油、製剤及びその応用
JP2017524047A (ja) * 2014-07-18 2017-08-24 ゼンジアン カングライト グループ シーオー.、エルティーディー. 13種のグリセリド含むヨクイニン油、製剤及びその応用
JP2017524697A (ja) * 2014-07-18 2017-08-31 ゼンジアン カングライト グループ シーオー.、エルティーディー. 13種のグリセリド含む医薬組成物、製剤及びその応用

Cited By (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4568565B2 (ja) * 2004-09-17 2010-10-27 花王株式会社 遊離脂肪酸が低減された油脂の製造方法
JP2006083343A (ja) * 2004-09-17 2006-03-30 Kao Corp 遊離脂肪酸が低減された油脂の製造方法
WO2010126136A1 (ja) * 2009-04-30 2010-11-04 不二製油株式会社 グリセリド油脂中のクロロプロパノール類及びその形成物質の生成を抑制する方法
JP2017521497A (ja) * 2014-07-18 2017-08-03 ゼンジアン カングライト グループ シーオー.、エルティーディー. 16種のグリセリド含むヨクイニン油、製剤及びその応用
JP2017524697A (ja) * 2014-07-18 2017-08-31 ゼンジアン カングライト グループ シーオー.、エルティーディー. 13種のグリセリド含む医薬組成物、製剤及びその応用
JP2017524047A (ja) * 2014-07-18 2017-08-24 ゼンジアン カングライト グループ シーオー.、エルティーディー. 13種のグリセリド含むヨクイニン油、製剤及びその応用
JP2017522441A (ja) * 2014-07-18 2017-08-10 ゼンジアン カングライト グループ シーオー.、エルティーディー. 11種のトリグリセリド含むヨクイニン油、製剤及びその応用
JP2016140260A (ja) * 2015-01-30 2016-08-08 築野食品工業株式会社 食用油脂
JPWO2016175169A1 (ja) * 2015-04-27 2017-05-18 不二製油株式会社 長鎖多価不飽和脂肪酸含有油脂の製造方法
WO2016175169A1 (ja) * 2015-04-27 2016-11-03 不二製油グループ本社株式会社 長鎖多価不飽和脂肪酸含有油脂の製造方法
KR20170139562A (ko) * 2015-04-27 2017-12-19 후지세유 그룹 혼샤 가부시키가이샤 장쇄 다가 불포화 지방산 함유 유지의 제조 방법
US11090282B2 (en) 2015-04-27 2021-08-17 Fuji Oil Holdings Inc. Method for manufacturing long chain polyunsaturated fatty acid-containing fat
KR102600389B1 (ko) * 2015-04-27 2023-11-08 후지세유 그룹 혼샤 가부시키가이샤 장쇄 다가 불포화 지방산 함유 유지의 제조 방법
CN105462687A (zh) * 2015-12-28 2016-04-06 广州白云山汉方现代药业有限公司 一种采用混合吸附剂纯化橄榄油的方法
CN105462687B (zh) * 2015-12-28 2020-04-10 广州白云山汉方现代药业有限公司 一种采用混合吸附剂纯化橄榄油的方法
KR101710453B1 (ko) * 2016-03-30 2017-02-27 (주)한국바이오엔지니어링 가열 압착 탄화 식물성 유지의 정제 방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6698704B2 (ja) 塩基性第四級アンモニウム塩処理を含む、グリセリド油精製法
US10316268B2 (en) Process for removing chloropropanols and/or glycidol, or their fatty acid esters, from glyceride oil, and an improved glyceride oil refining process comprising the same
JP6671396B2 (ja) 塩基性第四級アンモニウム塩処理を含む、金属含有グリセリド油から金属を除去する方法
WO2016189333A1 (en) A process for refining glyceride oil comprising a basic ionic liquid treatment
CN107922881A (zh) 从甘油酯油中去除金属污染物的方法和包括该方法的甘油酯油精炼方法
CN110055137B (zh) 一种乙酯型多不饱和脂肪酸油中异味的高效脱除方法
JP2002212586A (ja) 油脂の精製方法
Ackman et al. Chemical and analytical aspects of assuring an effective supply of omega-3 fatty acids to the consumer
CN112430500A (zh) 一种降低多不饱和脂肪酸油中茴香胺值的方法
JP4496754B2 (ja) 油脂の精製方法
JP2003313578A (ja) 油脂の精製方法
JP2009108145A (ja) 脱酸油脂の製造方法またはそれによって得られる精製油脂
JP6219147B2 (ja) 精製魚油の製造方法
WO2020089605A1 (en) Chloropropanol removal process
JP4943001B2 (ja) トコトリエノール類含有組成物の製造方法
JPH08311480A (ja) 高純度トリアシルグリセロールからなる油脂の製造方法及び高度不飽和脂肪酸含有油脂組成物
JP2006045274A (ja) 油脂の精製方法
JP5301982B2 (ja) 濃縮ホルボールエステルの製造方法
WO2020089603A1 (en) Metal removal process
JPS62181398A (ja) 魚油または海産動物油脂の精製法
CN113614210A (zh) 磷去除工艺
JPH07197075A (ja) 食用植物原油の精製法
Wille et al. Preparation of fish oil for dietary applications
JPH05331487A (ja) 魚油の脱臭方法及び魚油含有食品
JPS6243477B2 (ja)