JP2002205941A - 創傷創部感染治療剤 - Google Patents

創傷創部感染治療剤

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JP2002205941A
JP2002205941A JP2001000022A JP2001000022A JP2002205941A JP 2002205941 A JP2002205941 A JP 2002205941A JP 2001000022 A JP2001000022 A JP 2001000022A JP 2001000022 A JP2001000022 A JP 2001000022A JP 2002205941 A JP2002205941 A JP 2002205941A
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Zaimei Nagayama
在明 永山
Hideaki Hanaki
秀明 花木
Shuichi Nomura
秀一 野村
Isatake Haraga
勇壮 原賀
Onori Kato
大典 加藤
Yoko Inaba
陽子 稲葉
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 創部の感染症治療を目的とした、幅広い抗菌
スペクトルを有する創傷感染治療剤の提供。 【解決手段】 有効成分として抗菌活性を有するゲンチ
アナバイオレットと、ゲンチアナバイオレットの抗菌活
性を増強し、かつ製品の安定化及び創傷創部感染治療時
のpHによる刺激性を無くすためのクエン酸系H緩衝剤、
及び好ましくはゲンチアナバイオレットの析出を防止す
るための糖成分を含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、細菌による難治性
創傷創部感染症に対して有効な創傷感染治療剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】老人が増加している近年、寝たきりの老
人人口も増加し続けている。寝たきり老人の増加に伴い
床ずれ部位の感染症も増加し続けている。この床ずれ感
染症の原因菌はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
と緑膿菌が大半を占めている。その治療剤もしくは消毒
剤として最も汎用されているのがイソジンとイソジンシ
ュガーであるが、何れも床ずれの創部から出てくる浸出
液中の蛋白によって容易に失活してしまうため充分な除
菌が出来ず、壊死層が出現してしまう。そのため、外科
的な感染創部の除去が行われるが、除菌の不十分な創部
の手術は術後の新鮮な創部への2次感染を起こすため、
結果的に床ずれの創部が拡大するだけといった結果が引
き起こされている。また、床ずれ等の創部への抗菌剤の
移行は極めて悪いため、全身投与による治療効果も期待
できない。これらは、何れも現在の消毒剤、外用剤とし
ての抗感染症剤が充分な効果を発揮できていないためで
ある。また、その現象は床ずれだけに限らず、術後縫合
部位での感染、熱傷部位での感染、骨髄感染等の全般的
な創傷部位での感染で起きている。これらの問題は医療
上または医療費上に大きな負担を強いていることは事実
である。
【0003】既存の創傷感染治療用の消毒剤として汎用
されているものは、前記のイソジン、イソジンシュガ
ー、及びゲーベンクリーム(スルファジアジン銀)、ピ
オクタニン(0.1%ゲンチアナバイオレット水溶液)で
あるが、イソジンとイソジンシュガーの抗菌活性成分は
ヨウ素であり、ヨウ素は前記のように創部の浸出液に含
まれる蛋白によって容易に失活してしまうため、浸出液
のある創傷の治療には適さない。また、ゲーベンクリー
ムの抗菌活性成分はサルファ剤であるが、既存のサルフ
ァ剤耐性菌には効果が期待できないし、疼痛の増強作用
もあるため、創傷創部感染症全てには使用できない。
【0004】事実、イソジンでの創部洗浄、イソジンシ
ュガー及びゲーベンクリームによる創部治療では充分な
除菌効果は得られていない。特にMRSA感染に対しては、
イソジン、イソジンシュガー、ゲーベンクリームによっ
ても除菌されない症例が多い。これは創部の浸出液によ
るヨウ素の失活と、既に多数存在しているサルファ剤耐
性菌によるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、(MR
SA)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、緑膿菌等の
グラム陰性菌、その他の細菌に広く有効な創傷感染治療
剤を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するべ
く、本発明者らは蛋白存在中でも充分な殺菌効果が確認
され、既に人体に使用されて安全性が確認されている消
毒剤を検索した結果、ゲンチアナバイオレットが最も優
れていることを判断した。しかし、ゲンチアナバイオレ
ットはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)やバンコ
マイシン耐性腸球菌(VRE)を含むグラム陽性菌には充
分な殺菌効果を発揮するが、創部感染菌の重要な感染菌
でもあるグラム陰性菌、特に緑膿菌に対しては充分な殺
菌力は期待できない。そこで、本発明者はゲンチアナバ
イオレットと組み合わせることで殺菌効果増強と抗菌ス
ペクトルの拡大、特にグラム陰性菌、就中緑膿菌に対す
る殺菌力を増強することができる化合物の検索を行った
結果、生体成分の一種であり、かつ食物として摂取され
ているほど安全性の高いクエン酸を用いると、従来品を
上回る殺菌効果を有する外用の抗感染症剤が得られるこ
とを見いだし、本発明に到達した。
【0007】即ち、本発明はゲンチアナバイオレット及
びクエン酸系緩衝剤を含有してなる創傷感染治療剤であ
る。また、本発明は、さらに、1単糖、2単糖、グリセ
リンまたはアルコール成分を含有することを特徴とする
創傷感染治療剤である。ゲンチアナバイオレットにクエ
ン酸系緩衝剤を併用することにより、グラム陰性菌に対
しても優れた殺菌力を示すようになる。また、糖類等を
添加することにより、ゲンチアナバイオレットの析出を
防止することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する本
発明において使用するゲンチアナバイレットは消毒剤と
して市販されているものでも、試薬として市販されてい
るのもでも合成品でも構わない。また、液状でも固形状
でも構わない。さらに、ゲンチアナバイオレット自体で
も、作成されうる塩の形態をとっていても構わない。水
溶液の場合、ゲンチアナバイレットの濃度に制限はない
が、通常0.01〜10重量%水溶液である。消毒剤として使
用されているゲンチアナバイオレットの濃度は約0.1重
量%水溶液であり、好ましく使用できる。
【0009】本発明のクエン酸系緩衝剤は、ゲンチアナ
バイオレットの抗菌活性を増強し、かつ製品の安定化及
び創傷創部感染治療時のpHによる刺激性を無くすための
pH調整及びpH緩衝作用を有する。クエン酸系緩衝剤は、
クエン酸を含有しpH緩衝効果を有するものであれば全て
使用できる。具体的にクエン酸-クエン酸ナトリウム、
クエン酸-塩基性アミノ酸、クエン酸-アミノ酸ナトリウ
ム及びクエン酸-リン酸ナトリウムを好ましく例示で
き、クエン酸-クエン酸ナトリウム、クエン酸-リン酸ナ
トリウムが特に好ましい。クエン酸ナトリウムは1〜3
つのナトリウムを含むナトリウム塩でも構わない。これ
らは市販されているものでも、試薬として市販されてい
るのもでも合成品でも構わない。クエン酸系緩衝剤を構
成するクエン酸とアルカリの量比は所望のpHに応じて適
宜選択される。クエン酸系緩衝剤の濃度は特に制限はな
いが、製品の安定化及び創傷創部感染治療時の刺激性を
なくすためのpH調整を行うためには、クエン酸として10
mM〜1000mMを含有するものが好ましい。
【0010】本発明においては、ゲンチアナバイレット
は純分で0.01〜10重量%、クエン酸系緩衝剤はクエン酸
純分で1〜50重量%であることが好ましい。抗菌活性を
有するゲンチアナバイレットの量がこれより少ないと、
クエン酸系緩衝剤併用時に於ける相乗効果が少なく、こ
の比率より多いとゲンチアナバイオレット自体の皮膚刺
激性が出てくる虞がある。クエン酸系緩衝剤の比率がこ
れより少ないと、ゲンチアナバイオレットとの併用によ
る効果が少なく、これより多くなればゲンチアナバイオ
レットの析出がおきる恐れがある。
【0011】上記の様に、本発明はゲンチアナバイオレ
ットとクエン酸系緩衝剤を必須の構成成分とするが、条
件によってはゲンチアナバイオレットのみの溶液中での
ゲンチアナバイオレットの析出、特にクエン酸系緩衝剤
の配合によりゲンチアナバイオレットが析出することが
ある。例えば、0.1%ゲンチアナバイオレット水溶液に2
00mMクエン酸-クエン酸ナトリウム(pH4.5)を添加する
と、約1日後にゲンチアナバイオレットの析出が光学顕
微鏡で確認される。本発明者は、この析出を防ぐことに
ついて種々検討した結果、糖類、グリセリン又はアルコ
ールの添加によってゲンチアナバイオレットの析出を防
ぐことができることを見出した。これらの中で糖類が好
ましい。
【0012】糖類としては、1単糖、2単糖が好まし
く、スクロース、グルコース、果糖が更に好ましく、ス
クロースが特に好ましい。これらは溶液状でも固形状で
も差し支えなく、既に既知物質として広く上市されてい
るため、その中より適当なものを選んで使用すればよ
い。アルコール類としては、例えばメタノール、エタノ
ール、ブタノール、イソプロピルアルコール等が例示で
きる。糖類、グリセリン又はアルコールの量は5〜95
重量%が好ましい。
【0013】本発明による創傷感染治療剤は、常法によ
り任意の剤形とすることができる。例えば、粉末製剤、
固化製剤、ゲル製剤、軟膏製剤、パップ製剤、水剤とす
ることができる。また、さらに抗感染症剤を含有させた
形態、すなわちゲンチアナバイオレットとクエン酸系緩
衝剤を配合した抗感染症剤の形態としてもよい。本発明
においては、本発明の効果を損なわない限り、人体に無
害なあらゆるものを補助成分として含んでもよい。
【0014】本発明の創傷創部感染治療剤は、上記の様
に殺菌効果増強と抗菌スペクトルが広いという特徴を有
するのみならず、緩衝作用によるpH調整が可能であり、
酸性側pHの刺激性に伴う疼痛を無くす製剤を提供できる
と考えられる。つまり、ゲンチアナバイオレットを殺菌
剤の主成分とし、クエン酸系緩衝剤の添加によってゲン
チアナバイオレットの抗菌効果が相乗的に強くなるばか
りか、pH調整が可能となるため創部に刺激性の少ないpH
で本製剤を作ることが出来きる。更に、クエン酸-クエ
ン酸ナトリウムの添加によるゲンチアナバイオレットの
析出は糖類等の添加によって防ぐことができる。
【0015】
【実施例】以下、実施例で本発明を説明する。
【0016】実施例1 ゲンチアナバイオレット(GV)単剤とゲンチアナバイオ
レットと200mMクエン酸-クエン酸ナトリウム配合(GV+C
C)剤及びゲンチアナバイオレットと200mMクエン酸-リ
ン酸酸ナトリウム配合(GV+CP)剤による各種細菌に対
する抗菌力試験を行った。試験菌は、MRSA、VREを含む
グラム陽性菌4菌種、及び緑膿菌を含むグラム陰性菌5
菌種を使用した。試験薬剤としては、市販のゲンチアナ
バイオレットとクエン酸、クエン酸ナトリウム及びリン
酸ナトリウムを用いた。最小発育阻止濃度(MIC)の測
定はNCCLS法に準じて行った。
【0017】結果は、20時間培養後の菌の生育の有無を
肉眼で確認することによってMICを算出し、ゲンチアナ
バイオレット単剤(GV)とゲンチアナバイオレットとク
エン酸-リン酸ナトリウム(GV+CP、pH7.0)及びゲンチ
アナバイオレットとクエン酸-クエン酸ナトリウム(GV+
CC、pH6.5)、クエン酸-リン酸ナトリウム配合(GV+C
P、pH6.5)の配合剤について比較検討した。
【0018】表1にゲンチアナバイオレット(GV)単剤
とゲンチアナバイオレットと200mMクエン酸-リン酸ナト
リウム配合(GV+CP、pH7.0)の抗菌力を最小発育阻止濃
度(MIC)で示す。また、表2にMRSAと緑膿菌に対する
ゲンチアナバイオレット(GV)単剤とゲンチアナバイオ
レットと200mMクエン酸-クエン酸ナトリウム配合(GV+C
C、pH6.5)及び200mMクエン酸-リン酸ナトリウム配合
(GV+CP、pH6.5)の抗菌力を最小発育阻止濃度(MIC)
で示す。
【0019】ゲンチアナバイオレット単独でもMRSAやVR
Eを含むグラム陽性菌には充分な抗菌力を有しており、
グラム陽性菌に対しては、ゲンチアナバイオレット自体
の抗菌力が強く、この実験系(GV+CP、pH7.0)での差は
確認できなかった。しかし、グラム陰性菌は2倍から4倍
の抗菌力増強が確認された(表1)。また、pH6.5での
実験系では、GV+CC(pH6.5)及びGV+CP(pH6.5)ともに
MRSAFU10に対し、2倍の抗菌力増強が、またp.aeruginos
a46001に対しては64倍もの抗菌力増強が確認された(表
2)。クエン酸添加時において、ごく僅かにpHを酸性側
に傾けるだけで、ゲンチアナバイオレットのグラム陰性
菌に対する活性が増強することは新知見である。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】実施例2 本製剤のpHはイソジンシュガーと同様のpH4.5が創部に
損傷を与えないpHとして適していると考えられるが、実
施例1での抗菌試験ではpHを6.5以下にすると全ての試
験菌株の生育が抑制されるため、本製剤に適しているpH
領域での試験は行えなかった。そこで、実施例2と3に
本製剤の殺菌力試験を行った。同時に、0.1%ゲンチア
ナバイオレットと200mMクエン酸緩衝液及び70%スクロ
ースの相乗的殺菌効果の結果とゲンチアナバイオレット
の析出試験を行った。最終濃度として0.1%ゲンチアナ
バイオレット、200mMクエン酸-クエン酸ナトリウム、70
%スクロースの溶液を単独、もしくは組み合わせて作成
し、一夜培養したMRSAもしくは緑膿菌を添加して、37℃
で1時間培養後の残存生菌数をカウントした。また、ゲ
ンチアナバイオレットの析出は、光学顕微鏡を使用して
確認した。表3に0.1%ゲンチアナバイオレットと200mM
クエン酸緩衝液及び70%スクロースの相乗的殺菌効果の
結果とゲンチアナバイオレット溶解後、1日目のゲンチ
アナバイオレットの析出結果を示す。
【0023】添加したMRSAは8.8x107個、緑膿菌は9.0x1
07個であった。ゲンチアナバイオレット単独のMRSAに対
する殺菌力は強く、添加後一時間後には<102個になって
いた。しかし、緑膿菌に対しては9.0x107個が1.3x105
にしか減少しなかった。クエン酸-クエン酸ナトリウム
単独ではMRSAに対する効果は確認できなかった。しか
し、緑膿菌に対しては菌数の減少が確認された。スクロ
ース単独ではMRSAに対しても緑膿菌に対しても菌数の変
動は確認されなかった。ゲンチアナバイオレットとクエ
ン酸-クエン酸ナトリウムの併用は、MRSAと緑膿菌に対
して優れた殺菌効果を示し、菌数は両菌とも<102個にな
っていた。ゲンチアナバイオレットとスクロースの組み
合わせは、ゲンチアナバイオレット単独の効果と同じで
あった。また、クエン酸-クエン酸ナトリウムとスクロ
ースの組み合わせは、クエン酸-クエン酸ナトリウム単
独と同じ結果だった。更に、ゲンチアナバイオレット、
クエン酸-クエン酸ナトリウム、スクロースの3者併用
はゲンチアナバイオレットとクエン酸-クエン酸ナトリ
ウムの併用時と同じく、MRSAと緑膿菌に対して強力な殺
菌作用を示し、両菌とも<102個になっていた。MRSAと緑
膿菌の両菌に対して<102個に殺菌できる組み合わせは、
ゲンチアナバイオレットとクエン酸-クエン酸ナトリウ
ムの併用とゲンチアナバイオレット、クエン酸-クエン
酸ナトリウム、スクロースの3者併用だけであるが、ゲ
ンチアナバイオレットとクエン酸-クエン酸ナトリウム
の併用剤は1日後にゲンチアナバイオレットの析出が確
認された。しかし、ゲンチアナバイオレット、クエン酸
-クエン酸ナトリウム、スクロースの3者併用剤は60日
後でもゲンチアナバイオレットの析出は確認されなかっ
た。
【0024】
【表3】
【0025】実施例3 0.1%ゲンチアナバイオレットと200mMクエン酸緩衝液及
び70%スクロースの3者併用剤とイソジンの血清添加時
における殺菌力比較試験を行った。最終濃度として0.1
%ゲンチアナバイオレットと200mMクエン酸-クエン酸ナ
トリウム及び70%スクロースの3者併用剤、もしくは3
%イソジン(イソジンシュガーに添加されているイソジ
ンの濃度)に、最終濃度30%となるように血清を添加後
3時間37℃に放置後、一夜培養したMRSAもしくは緑膿菌
を添加して、37℃で培養後、3時間後の残存生菌数をカ
ウントした。表4に0.1%ゲンチアナバイオレットと200
mMクエン酸緩衝液及び70%スクロースの3者併用時の血
清添加時における相乗的殺菌効果の結果と3%イソジン
に血清を添加した時の結果を示す。
【0026】添加したMRSAは8.8x107個、緑膿菌は9.0x1
07個であった。ゲンチアナバイオレット単独に30%血清
を添加した条件下でもMRSAに対する殺菌力は強く、添加
後一時間後には<102個になっていた。しかし、緑膿菌に
対しては血清無添加よりも効果が無かった。ゲンチアナ
バイオレットにクエン酸-クエン酸ナトリウムの配合剤
に血清を30%添加した場合も、MRSAと緑膿菌に対して優
れた殺菌効果が確認され、菌数は両菌とも<102個になっ
ていた。また、ゲンチアナバイオレットとスクロースの
配合剤は、ゲンチアナバイオレット単剤とほぼ同じであ
った。更に、ゲンチアナバイオレット、クエン酸-クエ
ン酸ナトリウム、スクロースの3者併用に30%血清を添
加した場合は、ゲンチアナバイオレットとクエン酸-ク
エン酸ナトリウムの併用時に30%血清を添加した場合と
同じく、MRSAと緑膿菌に対して強力な殺菌作用を示し、
両菌とも<102個になっていた。つまり、0.1%ゲンチア
ナバイオレット、クエン酸-クエン酸ナトリウム、スク
ロースの3者併用剤を消毒剤として用いた場合、血清の
影響はほとんど無かった。
【0027】3%イソジン単独の殺菌力は強く、MRSAと
緑膿菌の両菌に対して<102個に殺菌していたが、30%血
清を添加した場合は効果が著しく減弱し、1時間後でも
明らかな殺菌効果は確認できなかった。また、200mMク
エン酸緩衝液(クエン酸-クエン酸ナトリウム)の変わ
りに200mMクエン酸緩衝液としてクエン酸-Na2HPO4でも
同等の効果が得られた。
【0028】このように、本発明の創傷創部感染治療剤
は、3%イソジンに比べ極めて強い殺菌効果が確認され
た。つまり、3%イソジンでは30%の血清が添加される
と、イソジン自体の血清中に含まれる蛋白による不活化
が生じ、その殺菌力は消失してしまう。しかし、ゲンチ
アナバイオレットとクエン酸-クエン酸ナトリウム配合
剤もしくはゲンチアナバイオレットとクエン酸-クエン
酸ナトリウム及びスクロース配合剤では血清による不活
化が少なく、3%イソジンが不活化される30%濃度の血
清添加によっても、その殺菌効果は維持されていた。従
って、本製剤品は、組織浸出液の多い創部でも浸出液に
よる不活化が極めて少ないため、多量の浸出液のある創
部に於いても除菌が可能となる。
【0029】
【表4】
【0030】
【発明の効果】本発明の創傷感染治癒剤は、ゲンチアナ
バイオレットにクエン酸系緩衝剤を添加することによっ
て、特にグラム陰性菌に対して相乗的殺菌効果を発揮す
る。また、添加するクエン酸系緩衝剤で生体に近いpH調
整を可能とし、創部に対して刺激性の少ないpH領域が確
保され、創部の損傷部位もしくは損傷程度に応じた製剤
を提供することが可能となる。クエン酸系緩衝剤の添加
によってゲンチアナバイオレットが析出するが、このゲ
ンチアナバイオレットの析出は糖類、グリセリン又はア
ルコールの添加によって防止でき、安定した製剤化が可
能となる。従って、ゲンチアナバイレット、クエン酸系
緩衝剤の組み合わせは必須であり、更に、この糖類、グ
リセリン又はアルコールを組み合わせることによって、
より画期的な創傷創部感染治療剤が完成する。これらの
成分は何れも創部に使用されており、その安全性は臨床
的に確認されている。また、さらに、創傷治療促進剤、
抗菌剤、ゲル化剤、固化剤、安定化剤、pH調整剤を添加
して使用しても同等の効果を得ることが可能である。従
って、本発明の治療剤は、床ずれ、術後縫合部位、熱傷
部位などの創傷創部感染治療剤として幅広く使用でき
る。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年11月14日(2001.11.
14)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 47/18 A61K 47/18 A61P 17/00 101 A61P 17/00 101 (72)発明者 野村 秀一 福岡県福岡市城南区東油山4−3−3− 405 (72)発明者 原賀 勇壮 福岡市城南区東油山2−15−3サンビレッ ジ福岡H棟101 (72)発明者 加藤 大典 東京都渋谷区渋谷2−2−11−1301 (72)発明者 稲葉 陽子 東京都小金井市東町3−3−25 エレガン スE202 Fターム(参考) 4C076 AA09 AA11 AA22 BB31 CC31 DD38E DD43Z DD67E FF15 FF43 FF61 4C206 AA01 AA02 FA31 MA01 MA05 MA10 MA36 MA43 MA47 MA48 MA83 NA02 NA03 NA05 ZA90

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ゲンチアナバイオレット及びクエン酸系
    緩衝剤を含有してなる創傷感染治療剤。
  2. 【請求項2】 クエン酸系緩衝剤がクエン酸-クエン酸
    ナトリウム、クエン酸-塩基性アミノ酸、クエン酸-アミ
    ノ酸ナトリウム、クエン酸-リン酸ナトリウムより選ば
    れた1種以上である請求項1の創傷感染治療剤。
  3. 【請求項3】 さらに、1単糖、2単糖、グリセリンま
    たはアルコール成分を含有することを特徴とする請求項
    1又は2の創傷感染治療剤。
  4. 【請求項4】 懸濁液、ゲル状、ペースト状、固形又は
    液状の形態である請求項1、2又は3記載の創傷感染治
    療剤。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005112801A (ja) * 2003-10-09 2005-04-28 Zaimei Nagayama 消毒剤
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