JP2002205268A - 薄膜除去方法および薄膜除去装置 - Google Patents

薄膜除去方法および薄膜除去装置

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JP2002205268A
JP2002205268A JP2001002963A JP2001002963A JP2002205268A JP 2002205268 A JP2002205268 A JP 2002205268A JP 2001002963 A JP2001002963 A JP 2001002963A JP 2001002963 A JP2001002963 A JP 2001002963A JP 2002205268 A JP2002205268 A JP 2002205268A
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abrasive
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processing
substrate
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Koji Ogawa
孝司 小川
Toshihiro Nagaoka
利弘 長岡
Manabu Futaboshi
学 二星
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄膜除去後の基板表面の平滑性を低下させず
に、均一な加工を可能とするとともに、加工エッジにお
ける“ぼやけ”幅も小さくすることが可能な薄膜除去方
法および薄膜除去装置を提供する。 【解決手段】 研磨材12が、研磨材供給溝8bを通っ
て圧縮空気噴射口8aの前まで供給され、噴出される圧
縮空気によって研磨材噴射口8cから薄膜が形成された
基板に対して噴射される。研磨材噴射口8cは矩形であ
り、その短辺である隙間wを5mm以上とする。また、
研磨材噴射口8aから噴出される圧縮空気の圧力は、
1.0×105〜3.0×105Paとする。表示領域の
部分には厚さtが10mm以下のマスク板10をあて、
それ以外の部分の薄膜を研磨材12によって研削除去す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板上に形成され
た薄膜を、研磨剤噴射装置を用いた機械的研削手法によ
って選択的に除去する薄膜除去方法および薄膜除去装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】OA(Office Automation)、FA(Fac
tory Automation)機器などの表示装置に用いられる薄
膜EL(Electroluminescent)ディスプレイは、自発光
ディスプレイであり、視野の広さ、視認性、コントラス
トの高さなど液晶ディスプレイにはない優れた特性を有
している。
【0003】図6は、薄膜ELディスプレイの製造方法
を示す工程図である。図6に示すように、まず、ガラス
をはじめとする基板1の表面にITO(Indium Tin Oxi
de)などの透明電極層2を形成し、フォトエッチングを
実施して平行な帯状にパターニング加工を施す(a)。
さらに、表示領域のみにSiO2,Si34,Al2 3
などから成る第1絶縁層3、ZnS:Mnなどから成る
発光層4および第1絶縁層と同種の材料から成る第2絶
縁層5の多層膜を形成する(b)。その上層にAlなど
から成る金属電極層6を形成し(c)、フォトエッチン
グにより先の透明電極パターンと対向する背面電極パタ
ーンと端子電極を形成する(d)。
【0004】図7は、多層膜形成プロセスを示す図であ
る。図6(b)に示すように、多層膜形成時には、最下
層の透明電極層2を表示領域外に取出せるように、第1
絶縁層/発光層/第2絶縁層の多層膜を表示領域に形成
する。ガラス基板1に透明電極層2を帯状に形成し
(a)、その上を枠状マスク9で覆い(b)、所望の表
示領域に多層膜を形成する(マスク成膜)(c)。この
マスク成膜の方法を用いて成膜する場合、マスク9で遮
蔽される部分の基板表面温度と開放された基板中央部と
の表面温度に差が生じるために、マスク9の周縁部と基
板中央部とでは形成される膜の厚みに差異が生じる。こ
れによって、輝度分布が不均一となってしまう。
【0005】均一な輝度分布を実現するためには、基板
上全面に成膜した後、透明電極層が露出するように周縁
部を選択して除去する方法がより好ましい。選択除去を
実現する方法としては、化学的なウエットエッチングが
安価な方法として考えられるが、選択的な除去が可能
で、取扱いが容易なエッチャントが見当たらない。ま
た、ドライエッチングは製造コストが安価とはならない
ので適当ではない。特開平3−22390号公報記載の
薄膜ELパネルの製造方法は、形成された多層膜の表示
領域をマスクし、研磨材を噴射して機械的に周縁部を研
削除去している。
【0006】図8は、従来の薄膜除去方法を用いた薄膜
ELディスプレイの製造方法を示す工程図である。まず
工程aで、図9の平面図が示すようにガラス基板1上に
透明電極層2をパターニング処理しておき、工程bで基
板の全面に第1絶縁層3、発光層4および第1絶縁層と
同種の材料から成る第2絶縁層5を積層する。工程cで
は、研磨材噴射装置の噴射口8から研磨材を噴射して多
層膜を機械的に研削する。また非照射部分である表示領
域には研磨材を遮蔽するために弾性を有するゴム材から
成るマスク10を当てて保護する。図10で破線で囲ま
れた所望の箇所11の薄膜を除去した後、工程dでその
上層に図11の平面図が示すように背面電極層6を形成
して透明電極層2が露出した部分と表示領域内とに下部
電極パターンと直交するようにパターニング処理する。
最後に工程eで図12の平面図に示す貼りしろの部分で
封止ガラス7と貼り合わせる。
【0007】図13は、従来の薄膜除去装置に備わって
いる研磨材噴射装置の噴射口8を示す図である。図13
(a)は、噴射口8の正面図で、複数の圧縮空気噴射口
8aおよび研磨材噴射口8cが形成されている。図13
(b)の断面図が示すように、研磨材12は、研磨材供
給溝8bを通って圧縮空気噴射口8aの前まで供給さ
れ、噴出される圧縮空気によって研磨材噴射口8cから
薄膜が形成された基板に対して噴射される。表示領域の
部分にはマスク10をあて、それ以外の部分の薄膜を研
磨材12によって研削除去する。このとき、図13
(c)に示すようにマスク10の近傍では充分に研削で
きず、ある加工幅をもって薄膜が残留する。特許第30
10093号公報記載の噴射加工方法では、研磨材を含
むスラリーを噴出する際に、加速用圧縮空気を導入し、
加圧スラリーの持つエネルギによる速度以上に加速させ
て分散させる。またノズルプレートの間隙を0.5〜
3.0mmとして均一な加工を可能としている。
【0008】しかしながら、従来の技術では、工程cに
おける研磨材の噴射加工により基板表面をも研削してし
まうために基板表面の平滑性を損なってしまう。これに
よって、工程dの金属電極層6形成時に部分的に被覆し
きれずにピンホールを生成する問題がある。
【0009】図14は、基板の表面粗度とピンホール発
生数との関係を示すグラフである。横軸は基板の表面粗
さRa、縦軸は単位面積当たりのピンホール発生数を示
している。グラフからわかるようにRa値が0.5μm
を越えるとピンホール発生数が急激に増加するとともに
ピンホールのサイズも大きくなる。
【0010】したがって、選択的な薄膜除去を実現する
ことと同時に基板表面への研削の影響を最小限に留める
ことが要求される。特開平4−104864号公報記載
の薄膜の除去方法では、基板表面と研磨材の噴射方向と
がなす角度を90°未満にすることで基板表面に与える
ダメージを最小限にし、機械的研削の問題点である加工
後の表面粗度の改善を行っている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、特許第
3010093号公報記載の噴射加工方法に代表される
従来の薄膜除去方法および薄膜除去装置では、研磨材に
よる加工能力が過剰であり、薄膜除去後の基板の表面粗
度が、その上層に形成する金属電極層6の厚みを越える
くらいに大きく、金属電極層6では被覆しきれずにピン
ホールが発生し、歩留まりが低下する問題がある。
【0012】特開平4−104864号公報記載の薄膜
の除去方法では、基板表面に与えるダメージを最小限に
し、基板除去後の表面粗度の改善を行っているが、加工
の均一性および加工エッジでの膜成分の残留による加工
の“ぼやけ”の問題が発生する。これは、薄膜除去を施
したエッジ部分において多層膜を構成する各層の機械強
度差のために膜の残留が生じてしまう。つまり、透明電
極層2を構成するITO、および第2絶縁層5を構成す
る、SiO,SiNに比較して発光層4を構成するZn
Sは機械強度が低く、研磨材噴射加工においても他の層
よりも容易に除かれる。しかし、さらにその下層の第1
絶縁層3については、残りやすくなってしまう。その結
果、薄膜成分の残留が加工エッジの“ぼやけ”として加
工幅を発生させる要因となる。この加工幅が広いと、各
種設計マージンを損なうために“ぼやけ”を縮小する必
要がある。
【0013】本発明の目的は、薄膜除去後の基板表面の
平滑性を低下させずに、均一な加工を可能とするととも
に、加工エッジにおける“ぼやけ”幅も小さくすること
が可能な薄膜除去方法および薄膜除去装置を提供するこ
とである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、基板上に形成
された薄膜を、研磨剤噴射装置を用いた機械的研削手法
によって選択的に除去する薄膜除去方法において、前記
研磨材噴射装置は、隙間が5mm以上の研磨材噴射口を
有し、研磨材を1.0×105〜3.0×105Paの圧
力で噴射して薄膜を除去することを特徴とする薄膜除去
方法である。
【0015】本発明に従えば、研磨材噴射装置は、隙間
が5mm以上の研磨材噴射口を有し、研磨材を1.0×
105〜3.0×105Paの圧力で噴射して薄膜を除去
するので、薄膜除去後の基板表面の平滑性を低下させず
に、均一な加工を行うことができる。
【0016】また本発明は、前記薄膜表面に厚さが10
mm以下のマスク板をあてることを特徴とする。
【0017】本発明に従えば、薄膜表面に厚さが10m
m以下のマスク板をあてるので、加工エッジにおける
“ぼやけ”幅を小さくすることができる。
【0018】また本発明は、請求項1または2記載の薄
膜除去方法を用いることを特徴とするフラットディスプ
レイパネルの製造方法である。
【0019】本発明に従えば、請求項1または2記載の
薄膜除去方法を用いてフラットディスプレイパネルを製
造するので、製造効率を向上させることができる。
【0020】また本発明は、基板上に形成された薄膜を
選択的に除去する薄膜除去装置において、隙間が5mm
以上の研磨材噴射口を有し、研磨材を1.0×105
3.0×105Paの圧力で噴射する研磨材噴射装置を
備えることを特徴とする薄膜除去装置である。
【0021】本発明に従えば、隙間が5mm以上の研磨
材噴射口を有し、研磨材を1.0×105〜3.0×1
5Paの圧力で噴射する研磨材噴射装置を備えるの
で、薄膜除去後の基板表面の平滑性を低下させずに、均
一な加工を行うことができる。
【0022】また本発明は、請求項4記載の薄膜除去装
置を備えることを特徴とするフラットディスプレイパネ
ルの製造装置である。
【0023】本発明に従えば、請求項4記載の薄膜除去
装置を備えているので、フラットディスプレイパネルの
製造効率を向上させることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の実施の一形態で
ある薄膜除去方法および装置に用いられる研磨材噴射装
置の噴射口8を示す図である。なお、本発明の薄膜除去
方法および薄膜除去装置は、上述した従来技術の噴射口
8およびマスク板10の厚さが異なり、それ以外は同様
であるので説明を省略する。本発明の薄膜除去装置の噴
射口8は、上述の図9の工程cにおいて、第1絶縁層
3、発光層4および第2絶縁層5からなる多層膜を機械
的に研削して、透明電極層2を露出させるために使用さ
れる。図1(a)は、噴射口8の正面図で、圧縮空気噴
射口8aおよび研磨材噴射口8cが形成されている。研
磨材噴射口8cは矩形であり、本実施形態では、その短
辺である隙間wを5mm以上、10mm以下としてい
る。隙間wが5mmより小さい場合は、研磨材粒子どう
しの干渉による回折現象のため研磨材の噴射圧が不均一
となり、10mmより大きい場合は、噴射する圧縮空気
と研磨材粒子の量のバランスを損ない過度に研磨材を消
耗する結果となるからである。図1(b)の断面図が示
すように、研磨材12は、研磨材供給溝8bを通って圧
縮空気噴射口8aの前まで供給され、噴出される圧縮空
気によって研磨材噴射口8cから薄膜が形成された基板
に対して噴射される。表示領域の部分にはマスク板10
をあて、それ以外の部分の薄膜を研磨材12によって研
削除去する。このとき研磨材噴射口8aから噴出される
圧縮空気の圧力は、1.0×105〜3.0×105Pa
とする。
【0025】研磨材噴射口8cの隙間wを5mm以上と
して、従来技術よりも開口部分を広げることで、低い研
磨材噴射圧力で基板表面へのダメージを小さく抑えたう
えで均一な薄膜除去加工が実現できる。また、研磨材噴
射圧力が1.0×105Paより低い場合は、充分に薄
膜が除去できず、加工ムラを引起こし、均一な加工を実
現することができない。3.0×105Paより高い圧
力の場合は、基板表面へのダメージが大きくなり、平滑
性が大きく低下してしまう。
【0026】図13に示した従来の圧縮空気噴射口8a
は、丸穴を複数個設けた形状をとっていたが、その場
合、加工状態を均一化するためには、ある程度噴射圧力
を増す必要があり、表面粗度を悪化させる傾向にあっ
た。したがって、本発明は、加工の均一化と加工表面の
平滑性を両立させるために、噴射口の形状を矩形にして
加工サイズよりも大きく開口した形状としている。
【0027】さらに、本発明では、マスク板10の厚さ
tを3mm以上、10mm以下としている。
【0028】これによって、加工エッジでの膜成分の残
留による“ぼやけ”幅を大幅に低減することができる。
マスク板10の厚さtが10mmより大きい場合は、研
磨材12の溜まりが起きるため、エッジに研磨材が充分
に照射されず、“ぼやけ”幅が大きくなってしまう。た
だし、研磨材12がマスクから漏れれば、加工上の“ぼ
やけ”を新たに発生してしまうので、研磨材噴射圧に耐
え得る強度を有する厚さである3mmがその下限とな
る。
【0029】上述の薄膜除去技術をフラットディスプレ
イパネル、特には薄膜ELディスプレイの製造プロセス
に応用することで、金属電極層のピンホールの発生を抑
え、歩留まりを改善するとともに、加工エッジのぼやけ
幅をこれまでより狭く制御することで、効率のよい複数
枚取りの製造が可能となる。
【0030】(実施例)以下に本発明の実施例について
説明する。
【0031】まず、表面粗度と加工ムラとに対する研磨
材噴射口の形状および噴射圧力の影響について実験を行
った。
【0032】研磨材および噴射条件は、標準条件として
液体ホーニング法によりJIS規格1000〜1200
番のアランダム系研磨材を3〜10%の濃度の水溶液に
希釈し、1〜2m3/hの流量で噴射口を通して1.0
×105〜3.0×105Paの噴射圧力にて噴射した。
【0033】各実験における薄膜除去加工対象として
は、透明電極層2のパターニングを施したガラス基板1
上にSiO2,Si34,Al23などから成る第1絶
縁層3およびZnS,ZnSe,SrSなどを母材とす
る発光層4、前記第1絶縁層3と同様の絶縁材料から成
る第2絶縁層5の多層膜を基板全面に成膜する。この薄
膜EL多層膜を形成したガラス基板1の周縁部に対して
選択的に研磨材を噴射した。このときの噴射口の送り速
度を0.5m/minとして、照射幅を10mmにして
非照射部分には弾性を有する厚さ20mmのゴム板から
成る遮蔽マスク10を当てた。
【0034】噴射口の形状を以下のように変化させて比
較を行った。 実験例1:開口部分のサイズ(隙間)6.5mm(長
さ)35mm(面積)227.5×10-62 実験例2:開口部分のサイズ(隙間)5.0mm(長
さ)35mm(面積)175.0×10-62 比較例1:開口部分のサイズ(隙間)3.0mm(長
さ)35mm(面積)105.0×10-62 比較例2:開口部分のサイズ(隙間)2.0mm(長
さ)35mm(面積)75.0×10-62 比較例3:開口部分のサイズ 4mmφ×5(面積)6
2.8×10-62 各実験例の結果をまとめて表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】実験例1において、表面粗度を示すRa値
は、噴射圧力が1.0×105Paのとき0.1μm以
下、3.0×105Paと増圧しても0.2μm以下と
良好であった。また“加工ムラ”は見られず、均一に加
工されていた。
【0037】実験例2においても実験例1とほぼ同様の
結果であった。比較例1においては、目視にて薄く“加
工ムラ”が見受けられた。また平滑性も若干損なわれ、
噴射圧力が3.0×105Paの場合のRa値が0.3
5μmとなったため良好な条件とは言えない。
【0038】比較例2においては、噴射圧力が1.0×
105Paの場合に、加工ムラが、比較例1よりもはっ
きり見受けられた。また、噴射圧力が3.0×105
aの場合のRa値が0.55μmとなり、ピンホールの
発生が顕著となる0.5μmを越える結果となった。
【0039】比較例3においては、噴射圧力が1.0×
105Paの場合に、“加工ムラ”が顕著に見受けら
れ、それらを改善すべく噴射圧力を3.0×105Pa
に増加して加工を実施すると、表面粗度はRa値が0.
7μmとなりピンホールが多数発生し得る結果となっ
た。
【0040】図2は、研磨材噴射圧力と表面粗度および
加工均一性との関係を示すグラフである。図2(a)
は、実験例1(隙間が6.5mm)、図2(b)は、比
較例2(隙間が2.0mm)の結果である。横軸は研磨
材噴射圧力、縦軸は左が表面粗さ(Ra)、右が加工均
一性をそれぞれ示している。加工均一性については、目
視による評価の結果を記している。グラフからわかるよ
うに、隙間が5mm以上であれば、Ra値を0.5μm
以下に抑えることができる。また、加工ムラも見られ
ず、均一な加工が可能である。
【0041】次に、加工の“ぼやけ”幅に対するマスク
高さの影響について実験を行った。研磨材および噴射条
件は、標準条件として液体ホーニング法によりJIS規
格1000〜1200番のアランダム系研磨材を3〜1
0%の濃度の水溶液に希釈し、1〜2m3/hの流量
で、6.5mm(隙間)×35mm(長さ)の形状の噴
射口を通して1.0×105〜3.0×105Paの噴射
圧力にて噴射した。
【0042】各実験における薄膜除去加工対象として
は、透明電極層2のパターニングを施したガラス基板1
上にSiO2,Si34,Al23などから成る第1絶
縁層3およびZnS,ZnSe,SrSなどを母材とす
る発光層4、前記第1絶縁層3と同様の絶縁材料から成
る第2絶縁層5の多層膜を基板全面に成膜する。この薄
膜EL多層膜を形成したガラス基板1の周縁部に対して
選択的に研磨材を噴射した。このときの噴射口の送り速
度を0.5m/minとして、照射幅を10mmにして
非照射部分には弾性を有するゴム板から成るマスク10
を当てた。
【0043】マスク10の厚さtを以下のように変化さ
せて比較を行った。 実験例1:弾性を有するゴム材から成る厚さ5mmのマ
スク 実験例2:同じゴム材から成る厚さ10mmのマスク 比較例1:同じゴム材から成る厚さ20mmのマスク 各実験例の結果をまとめて表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】実験例1においては、第1絶縁層3の残留
による加工エッジの“ぼやけ”の幅が0.5mm以下で
あり、実験例2においては“ぼやけ”幅が0.5〜0.
7mmであった。また比較例1においては、“ぼやけ”
幅が1.5mm〜2.0mmと大幅に広がることが判っ
た。
【0046】図3は、マスク厚さを変化させたときの基
板表面の加工状態を示す図である。図3(a)は比較例
1(マスク厚さ20mm)、図3(b)は実験例1(マ
スク厚さ5mm)の加工状態を示している。図からわか
るように、マスク厚さが20mmと大きい場合は、特に
第1絶縁層3の残留部分の幅が大きくなり、透明電極層
2の露出部分が小さくなっている。これに対して、マス
ク厚さが5mmと小さい場合は、第1絶縁層3、発光層
4および第2絶縁層5の残留部分が非常に小さく加工さ
れている。
【0047】このことから図4のグラフに示すように、
マスクの厚さと“ぼやけ”幅については相関性が見受け
られ、厚さを10mm以下とすることで、加工エッジに
おけるぼやけ幅を大幅に低減できることが判った。
【0048】以上の実験結果をもとに薄膜ELディスプ
レイパネルを作成した。製造工程は、図8と同様の工程
で行い、工程cにおける研磨材噴射装置の噴射口8の形
状を6.5mm(隙間)×35mm(長さ)、マスク板
10の厚さを5mmとして薄膜除去加工を行った。
【0049】本発明の薄膜除去方法を用いた結果、露出
された透明電極層2の表面粗度Ra値は0.1μm以下
に抑えられており、かつ第1絶縁層3の残留による“ぼ
やけ”幅は0.5mm以下に抑えられた。
【0050】このように表面粗度が小さく、かつ加工幅
の狭い加工を施された表面上にAlなどの金属電極層6
を電子ビーム蒸着などの方法を用いて成膜した。透明電
極層2のパターンと直交するパターンを形成するととも
に、透明電極パターンの露出部分にも電圧印加のための
端子形成をフォトエッチングで行った。この際、表面粗
度が小さいために金属薄膜の被膜がより完全に形成され
るため、ピンホールの発生による歩留まりの低下を抑え
られることができた。
【0051】上下の電極パターンを形成した後、表示領
域を保護すべく掘り込み加工した封止ガラス7を樹脂で
貼合わせ、空隙にシリカゲルなどの吸湿成分を含む絶縁
オイルを注入して封止した。この貼合わせのプロセスに
おいて完全に外気から遮断するためには、封止ガラス7
を貼る接着用のエポキシ樹脂などを配置する“貼りし
ろ”に相当する位置の内側に、透湿性を有する多層膜成
膜部分を留める必要がある。図5の薄膜除去後の加工寸
法にも示すように、加工後の第1絶縁層3の残留による
“ぼやけ”幅が貼りしろ位置にかからないように制御す
る必要があるが、本発明により狭い範囲での膜除去の加
工が可能となるために、貼合わせプロセスに対するマー
ジンを拡大する効果がもたらされる。
【0052】また1枚のガラス基板から複数のディスプ
レイパネルを取出す場合に、“ぼやけ”幅が小さいの
で、周縁部を含めたディスプレイパネルのサイズを縮小
することができる。これによって、ディスプレイパネル
の複数個取りの効率をアップすることができる。
【0053】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、薄膜除去
後の基板表面の平滑性を低下させずに、均一な加工を行
うことができる。
【0054】また本発明によれば、研磨材の流れを改善
することで加工エッジにおける“ぼやけ”幅を小さくす
ることができる。
【0055】また本発明によれば、フラットディスプレ
イパネルの製造効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である薄膜除去方法およ
び装置に用いられる研磨材噴射装置の噴射口8を示す図
である。
【図2】研磨材噴射圧力と表面粗度および加工均一性と
の関係を示すグラフである。
【図3】マスク厚さを変化させたときの基板表面の加工
状態を示す図である。
【図4】マスク板10の厚さとぼやけ幅との関係を示す
グラフである。
【図5】薄膜除去後の加工寸法を示す図である。
【図6】薄膜ELディスプレイの製造方法を示す工程図
である。
【図7】多層膜形成プロセスを示す図である。
【図8】従来の薄膜除去方法を用いた薄膜ELディスプ
レイの製造方法を示す工程図である。
【図9】工程aを示す平面図である。
【図10】工程bを示す平面図である。
【図11】工程cを示す平面図である。
【図12】工程eを示す平面図である。
【図13】従来の薄膜除去装置に備わっている研磨材噴
射装置の噴射口8を示す図である。
【図14】基板の表面租度とピンホール発生数との関係
を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ガラス基板 2 透明電極層 3 第1絶縁層 4 発光層 5 第2絶縁層 6 金属電極層 7 封止ガラス 8 噴射口 8a 圧縮空気噴射口 8b 研磨材噴射口 8c 研磨材供給溝 9 成膜マスク 10 マスク板 12 研磨材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 33/00 H01L 33/00 D (72)発明者 二星 学 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 5F041 AA41 AA43 CA41 CA42 CA43 CA74 CA75 CA77

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に形成された薄膜を、研磨剤噴射
    装置を用いた機械的研削手法によって選択的に除去する
    薄膜除去方法において、 前記研磨材噴射装置は、隙間が5mm以上の研磨材噴射
    口を有し、研磨材を1.0×105〜3.0×105Pa
    の圧力で噴射して薄膜を除去することを特徴とする薄膜
    除去方法。
  2. 【請求項2】 前記薄膜表面に厚さが10mm以下のマ
    スク板をあてることを特徴とする請求項1記載の薄膜除
    去方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の薄膜除去方法を
    用いることを特徴とするフラットディスプレイパネルの
    製造方法。
  4. 【請求項4】 基板上に形成された薄膜を選択的に除去
    する薄膜除去装置において、 隙間が5mm以上の研磨材噴射口を有し、研磨材を1.
    0×105〜3.0×105Paの圧力で噴射する研磨材
    噴射装置を備えることを特徴とする薄膜除去装置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の薄膜除去装置を備えるこ
    とを特徴とするフラットディスプレイパネルの製造装
    置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006303509A (ja) * 2005-04-21 2006-11-02 Crf Soc Consortile Per Azioni 発光ダイオードを有する透明デバイスの製造方法
US7897418B2 (en) 2007-12-28 2011-03-01 Mitsubishi Electric Corporation Method for manufacturing semiconductor light emitting device
JP2016103622A (ja) * 2014-11-14 2016-06-02 株式会社東芝 デバイスの製造方法及びデバイス

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