JP2002204105A - マイクロ波フィルタ - Google Patents

マイクロ波フィルタ

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JP2002204105A
JP2002204105A JP2000402309A JP2000402309A JP2002204105A JP 2002204105 A JP2002204105 A JP 2002204105A JP 2000402309 A JP2000402309 A JP 2000402309A JP 2000402309 A JP2000402309 A JP 2000402309A JP 2002204105 A JP2002204105 A JP 2002204105A
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wave signal
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Mitsuo Sasaki
三夫 佐々木
Sadao Igarashi
貞男 五十嵐
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RF Chips Tech Inc
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HIIRUHAADO KK
RF Chips Tech Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 0.8GHz帯または1.5GHz帯の少な
くとも一方の帯域の電磁波信号と、2GHz帯の電磁波
信号とを、優れた信号特性で分波または合波することが
できるマイクロ波フィルタを提供する。 【解決手段】 第1の帯域用パターン20は、第2の帯
域の電磁波信号を減衰させると共に、第1の帯域の電磁
波信号を反射係数および挿入損失が少ない状態で通過さ
せる。第2の帯域用パターン30は、第1の帯域の電磁
波信号を減衰させると共に、第2の帯域の電磁波信号を
反射係数および挿入損失が少ない状態で通過させる。第
1の帯域用パターン20と第2の帯域用パターン30
を、共通入出力パターン10の端部からV字状に分岐す
るように構成すると共に、第1の帯域用パターン20と
第2の帯域用パターン30とを全体的に湾曲した形状に
構成し、配線パターン全体の小面積化が図られている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主としてマイクロ
波帯(波長1mm(周波数300GHz)〜1m(周波数
300MHz)程度)における異なる周波数帯域の電磁
波信号を分波または合成するためのマイクロ波フィルタ
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、携帯電話などの移動体通信機器で
は、その通信周波数帯として、例えば0.8GHz帯や
1.5GHz帯が多く使用されている。一方で、近年、
移動体通信技術の発達により、従来よりも高い周波数帯
域の信号を使用した新しい通信方式の通信システムが開
発されている。例えば、2GHz帯を使用した広帯域C
DMA(W−CDMA;Wideband-Code Division Multi
ple Access)方式の通信システムが開発され、実用化さ
れつつある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、一般に、使
用周波数帯や通信方式が異なれば、基地局もそれに対応
して異なるものが使用される。すなわち、通常、新しい
通信システムを構築するためには、基地局も新たに設置
しなければならない。しかしながら、例えば基地局のア
ンテナについては、設置場所および設置面積などの設置
条件やコストの点を考えると、使用周波数帯ごとに別々
のものを設置するのは大変である。特に、異なる周波数
帯を用いる通信方式が開発されるたびに新たにアンテナ
を追加していくのは大変である。
【0004】そこで、1基のアンテナで複数の異なる周
波数帯を共用することが考えられる。この場合、アンテ
ナで受信した電波を異なる周波数帯に分波したり、送信
時に異なる周波数帯の電波を合波したりする必要があ
る。そのために、不要な周波数帯の除去などを行うこと
のできるフィルタを備えたデュプレクサと呼ばれる機器
が使用される。従来、このような目的で使用されるデュ
プレクサとして、例えば、0.8GHz帯と1.5GH
z帯とに対応したものがある。フィルタとしては、例え
ば誘電体共振器などが使用されている。上述のW−CD
MA方式の通信システムを構築する上で、従来の0.8
GHz帯または1.5GHz帯と、2GHz帯とに対応
し得るデュプレクサの開発が望まれる。
【0005】しかしながら、例えば、0.8GHz帯と
1.5GHz帯とに用いられていた従来のデュプレクサ
の技術を単純に応用しただけでは、2GHz帯に対して
十分な性能を有したものを作ることは難しい。例えば、
2GHz帯は、従来の使用周波数帯より高周波であるた
め、従来のデュプレクサに使用されているフィルタに比
べて高いフィルタ性能が要求される。また、従来の誘電
体共振器を使用したフィルタでは、外形が大型化しやす
い。そこで、従来の低周波帯域での信号性能を保ったま
ま、2GHz帯に対しても十分な性能を有したフィルタ
の開発が望まれる。
【0006】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的は、0.8GHz帯または1.5GHz
帯の少なくとも一方の帯域の電磁波信号と、2GHz帯
の電磁波信号とを、優れた信号特性で分波または合波す
ることができるマイクロ波フィルタを提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によるマイクロ波
フィルタは、マイクロストリップ線路からなる配線パタ
ーンを備え、その配線パターンが、0.8GHz帯また
は1.5GHz帯の少なくとも一方の帯域を含む第1の
帯域と、2GHz帯を含む第2の帯域との2種類の帯域
の電磁波信号が共通して入力または出力される共通入出
力パターンと、共通入出力パターンに直接結合され、第
2の帯域の電磁波信号を減衰させると共に、第1の帯域
の電磁波信号を通過させる第1の帯域用パターンと、共
通入出力パターンに電磁誘導結合され、第1の帯域の電
磁波信号を減衰させると共に、第2の帯域の電磁波信号
を通過させる第2の帯域用パターンとを有するものであ
る。
【0008】本発明によるマイクロ波フィルタでは、
0.8GHz帯または1.5GHz帯の少なくとも一方
の帯域を含む第1の帯域と、2GHz帯を含む第2の帯
域との2種類の帯域の電磁波信号が、共通入出力パター
ンに共通して入出力される。第1の帯域用パターンは、
共通入出力パターンに直接結合され、第2の帯域の電磁
波信号を減衰させると共に、第1の帯域の電磁波信号を
通過させる。第2の帯域用パターンは、共通入出力パタ
ーンに電磁誘導結合され、第1の帯域の電磁波信号を減
衰させると共に、第2の帯域の電磁波信号を通過させ
る。
【0009】ここで、本発明によるマイクロ波フィルタ
において、第1の帯域用パターンは、例えば、所定長の
信号伝送路と、この信号伝送路に接続され、第2の帯域
の電磁波信号に対して十分大きな容量となる容量パター
ンとを介して共通入出力パターンの端部に直接結合され
ていることが望ましい。これにより、第1の帯域用パタ
ーンと共通入出力パターンとの結合が、第1の帯域の信
号に対する反射係数および挿入損失が少なくなるように
良好に行われる。
【0010】また、第1の帯域用パターンは、第2の帯
域の電磁波信号を減衰させるための少なくとも一つの減
衰用パターンを有していることが望ましい。これによ
り、第1の帯域用パターンにおいて、第2の帯域の電磁
波信号の減衰が良好に行われる。
【0011】また、本発明によるマイクロ波フィルタに
おいて、第2の帯域用パターンは、隣り合うもの同士が
互いに所定間隔を隔てて電磁誘導結合され、第2の帯域
の電磁波信号以外の信号を減衰させるよう機能する複数
の共振パターンを有していることが望ましい。これによ
り、第2の帯域用パターンにおいて、第2の帯域以外の
電磁波信号の減衰が良好に行われる。第2の帯域用パタ
ーンは、複数の共振パターンに加えて、さらに、第1の
帯域の電磁波信号を減衰させ、複数の共振パターンによ
る減衰特性を補うよう機能する少なくとも一つの減衰用
パターンを有していることが望ましい。これにより、第
2の帯域用パターンにおいて、第1の帯域の電磁波信号
の減衰が良好に行われる。
【0012】第2の帯域用パターンは、さらに、共通入
出力パターンの端部から延在すると共に、複数の共振パ
ターンのうちの一つに対して所定間隔を隔てて部分的ま
たは全体的に対向して配置された結合パターンを有し、
その結合パターンは、共振パターンと対向しないパター
ン部分の面積が、共振パターンと対向するパターン部分
の面積に比べて相対的に十分小さく構成されていること
が望ましい。これにより、第2の帯域用パターンと共通
入出力パターンとの結合部分において、信号の取り出し
性能の向上が良好に行われる。すなわち、第2の帯域の
信号に対する反射係数および挿入損失が少なくなるよう
に結合が行われる。
【0013】本発明によるマイクロ波フィルタにおい
て、第1の帯域用パターンと第2の帯域用パターンは、
共通入出力パターンの端部からV字状に分岐するパター
ン形状を形成するようにして共通入出力パターンに結合
されていることが望ましい。これにより、配線パターン
を設けるために必要とされる全体的な布設面積の小面積
化が図られるような構成にすることが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。
【0015】まず、図3を参照して、本発明の一実施の
形態に係るマイクロ波フィルタが利用される通信システ
ムの例について説明する。図3に示した通信システム
は、それぞれ2GHz帯、1.5GHz帯および0.8
GHz帯を使用周波数帯とした通信方式に対応した移動
局51A,51B,51Cおよび基地局55A,55
B,55Cと、各周波数帯域での電波の送受信に共通し
て使用される共用アンテナ52とを備えている。移動局
51A,51B,51Cは、例えば携帯電話などの移動
体通信機器である。基地局55A,55B,55Cは、
図示しないが、それぞれ交換機を介して公衆通信網に接
続されている。この通信システムは、また、共用アンテ
ナ52と基地局55A,55B,55Cとの間で、3つ
の帯域の電波の分波、合成を行うためのデュプレクサ5
3,54を備えている。
【0016】デュプレクサ53は、共用アンテナ52
と、2GHz帯用の基地局55Aとデュプレクサ54と
に接続されている。このデュプレクサ53は、2GHz
帯の電磁波信号と、1.5GHz帯および0.8GHz
帯の電磁波信号との分波、合成を行うためのものであ
る。一方、デュプレクサ54は、デュプレクサ53と、
1.5GHz帯用の基地局55Bと、0.8GHz帯用
の基地局55Cとに接続されている。このデュプレクサ
54は、1.5GHz帯の電磁波信号と0.8GHz帯
の電磁波信号との分波、合成を行うためのものである。
デュプレクサ53,54は、不要な周波数帯の電磁波信
号の除去などを行うことのできるフィルタを内蔵してい
る。
【0017】本実施の形態に係るマイクロ波フィルタ
は、例えば以上のような構成の通信システムにおけるデ
ュプレクサ53に使用されるものである。
【0018】図2は、本実施の形態に係るマイクロ波フ
ィルタ1の断面構造を示している。マイクロ波フィルタ
1は、基板2と、基板2の一方の面に全域にわたって積
層された接地層3と、基板2の他方の面に後述の図1に
示すパターンの配線が積層された配線層4とを備えてい
る。配線層4によって形成される配線パターンは、マイ
クロストリップ線路(マイクロストリップライン)から
なるものである。基板2は、セラミックスなどの誘電体
からなるものであり、その厚さは、例えば1.5mm〜
3.0mm程度となっている。接地層3および配線層4
は、銅または銅を含む合金などの導電体からなるもので
あり、その厚さは、例えば5μm〜20μm程度となっ
ている。
【0019】なお、マイクロ波フィルタ1の製造は、例
えば以下のようにして行われる。まず、セラミックスな
どの誘電体からなる基板の表面全体に、例えば無電解メ
ッキ法やスパッタ法により、接地層3または配線層4と
なる導電体層を形成する。導電体層の形成は、基板の両
面に対して同時に行っても良いし、片面ずつ別々に行っ
ても良い。次に、一方の面を例えばフォトリソグラフィ
法を用いて加工して、所望の配線パターンの配線層4を
形成する。フォトリソグラフィ法による加工は、例えば
次のようにして行う。まず、加工すべき導電体層の表面
全体にフォトレジスト膜を一様に塗布する。次に、配線
層4となる配線パターンと同じパターンが焼き付けられ
ているフォトマスクを使用して、紫外線による露光を行
った後、現像する。現像工程では、マスクパターン以外
の部分のレジスト膜が選択的に除去される。次に、残さ
れたレジスト膜をマスクとしてエッチングを行い、レジ
スト膜によってマスクされていない部分の導電体を選択
的に除去する。最後に、マスクとして使用したレジスト
膜を除去する。これにより、所望の配線パターンが形成
される。以上のようにしてマイクロ波フィルタ1が製造
される。
【0020】図1は、配線層4に形成されたマイクロス
トリップ線路からなる配線パターンの全体構成を示して
いる。なお、本マイクロ波フィルタ1は、合成器または
分波器の少なくとも一方の用途に利用可能である。しか
しながら、合成器と分波器とでは、信号の入出力の方向
が異なるのみで、フィルタとしての機能は実質的に同様
であるから、以下では、主として本マイクロ波フィルタ
1を、分波器として利用することを前提に説明する。
【0021】本マイクロ波フィルタ1は、共通入出力パ
ターン10と、この共通入出力パターン10に結合され
た第1の帯域用パターン20および第2の帯域用パター
ン30とを有している。
【0022】共通入出力パターン10には、0.8GH
z帯または1.5GHz帯の少なくとも一方の帯域を含
む第1の帯域の電磁波信号f1と、2GHz帯を含む第
2の帯域の電磁波信号f2との2種類の帯域の電磁波信
号f0が共通して入力(または出力)されるようになっ
ている。
【0023】第1の帯域用パターン20は、共通入出力
パターン10に物理的に直接結合されている。この第1
の帯域用パターン20は、共通入出力パターン10を介
して入力された第2の帯域の電磁波信号f2を減衰させ
ると共に、第1の帯域の電磁波信号f1を通過させる機
能を有している。
【0024】第2の帯域用パターン30は、共通入出力
パターン10に電磁誘導結合(容量結合)されている。
この第2の帯域用パターン30は、共通入出力パターン
10を介して入力された第1の帯域の電磁波信号f1を
減衰させると共に、第2の帯域の電磁波信号f2を通過
させる機能を有している。
【0025】なお、本マイクロ波フィルタ1は、信号の
帯域幅が、0.8GHz帯については例えば810MH
z〜956MHz、1.5GHz帯については例えば1
429MHz〜1504MHz、2GHz帯については
例えば1920MHz〜2195MHz、であるものと
して設計されている。
【0026】次に、図1に示した配線パターンの各部の
構成を、その作用と共に説明する。
【0027】まず、図4および図5を参照して、共通入
出力パターン10について説明する。図4は、図1に示
した配線パターンにおける共通入出力パターン10の部
分を拡大して示したものであり、図5は、共通入出力パ
ターン10の等価回路を示している。なお、図5では、
各パターン要素と等価とみなせる回路要素には、図4に
おいて付した各パターン要素に対する符号と同一の符号
を付している。
【0028】共通入出力パターン10は、図4に示した
ように、中心線Y0を中心として並列配置されたパター
ン11およびパターン12と、これらパターン11,1
2の一方の端部から中心線Y0に沿って直線状に延在し
たパターン13とを有している。パターン11,12の
他端は、信号の入力端(または出力端)91となってい
る。
【0029】パターン11,12は、図5に示したよう
に、等価的には、それぞれ一端が接地され他端が互いに
接続されたキャパシタとして機能する。パターン13
は、共通入出力パターン側から見て第1の帯域用パター
ン20および第2の帯域用パターン30に対して特性イ
ンピーダンスが50Ωの信号伝送路となるように設定さ
れている。特性インピーダンスが50Ωの信号伝送路が
設けられていることにより、共通入出力パターン10と
第1の帯域用パターン20との間の信号の入出力の整合
が良好に行われる。第2の帯域用パターン30に対して
も同様である。
【0030】パターン13の端部は、結合パターン15
を介して第1の帯域用パターン20に結合されていると
共に、結合パターン31を介して第2の帯域用パターン
30に結合されている。結合パターン15と結合パター
ン31は、パターン13の端部からV字状に分岐するよ
うに形成されていることが望ましい。より詳しくは、結
合パターン15は、中心線Y0に対する角度θ1が約4
5°でパターン13に結合されていることが望ましい。
結合パターン31は、中心線Y0に対する角度θ2が結
合パターン15とは逆方向に約45°でパターン13に
結合されていることが望ましい。共通入出力パターン1
0、第1の帯域用パターン20および第2の帯域用パタ
ーン30の結合部分がこのような形状となっていること
により、結果として、配線パターンを設けるために必要
とされる全体的な布設面積の小面積化を図ることができ
る。
【0031】ここで、結合パターン31は、後述の共振
パターン32(の端部32A)と対向しないパターン部
分(パターン31A)の面積が、共振パターン32と対
向するパターン部分(パターン31B)の面積に比べて
相対的に十分小さく構成されていることが好ましい。具
体的には、パターン31Aの面積は、パターン31Bの
面積に対して例えば約5%以下であることが好ましい。
このような構成であると、第2の帯域用パターン30と
共通入出力パターン10との結合部分において、信号の
取り出し性能を向上させることができる。すなわち、第
2の帯域の信号に対する反射係数および挿入損失が少な
くなるように結合を行うことができる。パターン31A
の面積の割合を小さくするために、パターン13の結合
パターン31側の端部と、共振パターン32の結合パタ
ーン31側の端との距離Laは、できるだけ短かい方が
好ましい。具体的には、距離Laは、パターン31Bの
長さの例えば約1/10以下であることが望ましい。
【0032】共通入出力パターン10と第1の帯域用パ
ターン20との結合は、第1の帯域についての反射係数
(リターンロス)、挿入損失が少なくなるように設定さ
れていることが望ましい。同様に、共通入出力パターン
10と第2の帯域用パターン30との結合は、第2の帯
域についての反射係数、挿入損失が少なくなるように設
定されていることが望ましい。本マイクロ波フィルタ1
の配線パターンの設計プロセスは、例えば次のようにし
て行うのが好ましい。すなわち、まず、第1の帯域用パ
ターン20および第2の帯域用パターン30をそれぞれ
反射係数が少なくなるように設計する。次に、共通入出
力パターン10との結合部分における第1の帯域に対す
る挿入損失が少なくなるように設計シュミレーションを
行いながら、第1の帯域用パターン20の形状を修正す
る。第2の帯域用パターン20についても同様に、共通
入出力パターン10との結合部分における第2の帯域に
対する挿入損失が少なくなるようにその形状を修正す
る。
【0033】なお、以上で説明した共通入出力パターン
10における各パターン要素は、すべて開放端(物理的
に基板反対側の接地層3(図2)に接地されていない状
態)となっている。
【0034】次に、図6および図7を参照して、第1の
帯域用パターン20について説明する。図6は、図1に
示した配線パターンにおける第1の帯域用パターン20
の部分を拡大して示したものであり、図7は、第1の帯
域用パターン20の等価回路を示している。なお、図7
では、各パターン要素と等価とみなせる回路要素には、
図6において付した各パターン要素に対する符号と同一
の符号を付している。
【0035】第1の帯域用パターン20は、全体とし
て、例えば約1.53GHzを越える周波数の信号を減
衰させるローパスフィルタを構成している。この第1の
帯域用パターン20は、図6に示したように、全体が湾
曲した形状となっている。これにより、フィルタを構成
するために必要とされる線路長を保ちつつ、第1の帯域
用パターン20を設けるための全体的な布設面積につい
ての小面積化が図られている。
【0036】第1の帯域用パターン20は、共通入出力
パターン10側から順に、パターン15、パターン2
2、パターン24、パターン26、パターン28、パタ
ーン61およびパターン63を有している。これらのパ
ターンは、直列的に接続されている。パターン63の端
部は、信号の出力端(または入力端)92となってい
る。
【0037】パターン15、パターン22、パターン2
4、パターン26、パターン28およびパターン61
は、等価的には、図7に示したように、それぞれ直列的
に接続されたコイルとして機能する。パターン63は、
出力端92を介した信号の入出力の整合が良好に行われ
るよう、特性インピーダンスが50Ωの信号伝送路とな
るように設定されている。
【0038】パターン15とパターン22との結合部分
における幅方向の両側には、それぞれパターン21A,
21Bが形成されている。また、パターン22とパター
ン24との結合部分における幅方向の両側には、それぞ
れパターン23A,23Bが形成されている。また、パ
ターン24とパターン26との結合部分における幅方向
の両側には、それぞれパターン25A,25Bが形成さ
れている。また、パターン26とパターン28との結合
部分における幅方向の両側には、それぞれパターン27
A,27Bが形成されている。また、パターン28とパ
ターン61との結合部分における幅方向の両側には、そ
れぞれパターン29A,29Bが形成されている。パタ
ーン61とパターン63との結合部分における幅方向の
両側には、それぞれパターン62A,62Bが形成され
ている。
【0039】結合パターン15の一端は、上述したよう
に共通入出力パターン10におけるパターン13の端部
に直結している。この結合パターン15の長さH15は、
約λ 2/4に設定されている。なお、“λ2”は、第1の
帯域用パターン20において減衰対象となる第2の帯域
内の代表的な電磁波信号(例えば周波数2GHzの信
号)についての波長を示す。この所定長の信号伝送路を
形成する結合パターン15と次に説明するパターン21
A,21Bは、第1の帯域の信号f1に対する反射係数
および挿入損失が少なくなるように機能し、これによ
り、第1の帯域用パターン20と共通入出力パターン1
0との結合が良好に行われるようになっている。
【0040】パターン21A,21Bは、共通入出力パ
ターン10との間の特性整合用の回路として機能すると
共に、後述する減衰用パターン23A,25A,27
A,29Aにおける減衰不足を補うための減衰フィルタ
として機能する。パターン21A,21Bは、図7に示
したように、等価的には、それぞれ一端が接地され他端
が互いに接続されたキャパシタとして機能する。特に、
このパターン21A,21Bは、第2の帯域の信号f2
を減衰させるために、第2の帯域に対してグラウンドと
なるように設定されている。すなわち、パターン21
A,21Bは、第2の帯域に関する限り十分な容量を有
したキャパシタとして機能する。このような機能を持た
せるためには、パターン21A,21Bの長さL21A
21Bは、本来、λ2/4以上に設定されていることが望
ましい。ただし、パターン21A,21Bは、第1の帯
域の信号f1については通過させるように設定されてい
なければならない。第1の帯域の信号f1を通過させる
(減衰させない)ためには、パターン21A,21Bの
長さL21A,L21Bは、λ1/4より短い、好ましくはλ1
/8より短く設定されている必要がある。なお、
“λ1”は、第1の帯域内の代表的な電磁波信号につい
ての波長を示す。以上のことを考慮すると、パターン2
1A,21Bの長さL21A,L21Bは、λ2/4またはλ2
/4より少し短い値程度に設定されていることが好まし
い。
【0041】パターン23A,25A,27A,29A
は、減衰用パターンとして設けられたものである。より
具体的には、減衰用パターン23Aは、パターン22と
組み合わされて、いわゆるノッチフィルタ(帯域阻止フ
ィルタ)を構成し、第2の帯域の信号f2を減衰させる
ようになっている。減衰用パターン25A,27A,2
9Aについても、同様に、パターン24,26,28と
組み合わされてノッチフィルタを構成する。パターン2
3Aは、図7に示したように、等価的には、一端が接地
されたコイルとこのコイルの他端に直列接続されたキャ
パシタとして表され、パターン22によるコイルに接続
されて、LCフィルタ型のノッチフィルタとして機能す
る。パターン25A,27A,29Aについても、同様
に機能する。
【0042】減衰用パターン23A,25A,27A,
29Aの長さL23A,L25A,L27A,L29Aは、それぞ
れ、減衰対象とする第2の帯域内の特定周波数の信号に
ついての波長λ2a,λ2b,λ2c,λ2dの1/4の長さに
設定されている。また、減衰用パターン間の長さ(パタ
ーン22,24,26,28の長さ)H22,H24
26,H28は、それぞれ、例えば波長λ2a,λ2b
λ2c,λ2dの約1/8の長さに設定されている。これに
より、入力された信号が、波長λ2a,λ2b,λ2c,λ2d
の信号を中心として減衰させられる。
【0043】なお、第1の帯域用パターン20におい
て、減衰用パターンは、4つに限らず、これより多いま
たは少ない数だけ設けられていても良い。ただし、減衰
用パターンを必要以上に多く設けすぎると、通過させる
べき帯域の信号まで減衰させてしまうおそれがある。ま
た、減衰用パターンが1つまたは2つのみであると、十
分な減衰特性を得ることが難しくなる。従って、減衰用
パターンは、4つ前後が望ましい。
【0044】パターン23B,25B,27B,29B
は、パターン22,24,26,28からなる線路を介
して、それぞれちょうど減衰用パターン23A,25
A,27A,29Aの逆方向に延在した形で設けられて
いる。パターン23B,25B,27B,29Bは、図
7に示したように、等価的には、それぞれ一端が接地さ
れたキャパシタとして表され、減衰用パターン23A,
25A,27A,29Aを設けたことによる第1の帯域
についての反射係数の悪化を防止する機能を有してい
る。
【0045】パターン62A,62Bは、特性整合用に
設けられたものであり、出力端92を介した信号の入出
力の整合を良好に行わせる機能を有している。パターン
62A,62Bは、図7に示したように、等価的には、
それぞれ一端が接地され他端がパターン61によるコイ
ルとパターン63による特性インピーダンスが50Ωの
信号伝送路との間に接続されたキャパシタとして表され
る。
【0046】ところで、一般に、減衰用フィルタの減衰
特性で問題となるのは、所定周波数の逓倍周波数の両域
に、量は少ないものの減衰特性が生じ、これが全体の特
性確保に不都合となることである。例えば、1.6GH
z用の減衰用ノッチフィルタは、0.8GHzにおいて
も減衰を伴い、0.8GHzでの挿入損失を劣化させ
る。本実施の形態における第1の帯域用パターン20で
は、1.5GHz帯の2逓倍周波数帯で基本減衰特性を
有する減衰用パターン23A,25A,27A,29A
からなるノッチフィルタを設けることにより、1.5G
Hz帯での減衰不足を補うと共に、0.8GHzでの挿
入損失に及ぼす悪影響が低減されている。
【0047】なお、以上で説明した第1の帯域用パター
ン20における各パターン要素は、すべて開放端となっ
ている。
【0048】次に、図8および図9を参照して、第2の
帯域用パターン30について説明する。図8は、図1に
示した配線パターンにおける第2の帯域用パターン30
の部分を拡大して示したものであり、図9は、第2の帯
域用パターン30の等価回路を示している。なお、図9
では、各パターン要素と等価とみなせる回路要素には、
図8において付した各パターン要素に対する符号と同一
の符号を付している。
【0049】第2の帯域用パターン30は、全体とし
て、バンド帯域幅が例えば1920MHz〜2195M
Hzのバンドパスフィルタを構成している。この第2の
帯域用パターン30は、図8に示したように、全体が湾
曲した形状となっている。これにより、フィルタを構成
するために必要とされる線路長を保ちつつ、第2の帯域
用パターン30を設けるための全体的な布設面積につい
ての小面積化が図られている。
【0050】第2の帯域用パターン30は、図8に示し
たように、共通入出力パターン10側から順に、パター
ン31、パターン32、パターン33、パターン34お
よびパターン35を有している。これらのパターンは、
隣接するパターン同士が幅方向において所定間隔を隔て
て部分的にオーバーラップするように対向配置され、互
いにほぼ平行に配列されている。オーバーラップする部
分の長手方向の長さは、通過波長λ2の約1/4程度と
なっている。各パターンは、オーバーラップする部分に
おいて、それぞれ電磁誘導結合されている。すなわち、
パターン31と、パターン32の一方の端部32Aとが
所定間隔を隔てて電磁誘導結合されている。また、パタ
ーン32の他方の端部32Bと、パターン33の一方の
端部33Aとが、所定間隔を隔てて電磁誘導結合されて
いる。また、パターン33の他方の端部33Bと、パタ
ーン34の一方の端部34Aとが、所定間隔を隔てて電
磁誘導結合されている。また、パターン34の他方の端
部34Bと、パターン35の一方の端部35Aとが、所
定間隔を隔てて電磁誘導結合されている。これらの電磁
誘導結合された4つのオーバーラップ部分は、等価的に
は、図9に示したように、直列的に接続された4つのキ
ャパシタとして表される。
【0051】第2の帯域用パターン30では、パターン
31、パターン32、パターン33、パターン34およ
びパターン35によって、3段のパラレルカップル半波
長結合線路80A,80B,80Cが構成されている。
半波長結合線路80A,80B,80Cは、それぞれパ
ターン32、パターン33、パターン34を共振パター
ンとした共振型のフィルタとして機能する。共振パター
ン32,33,34の全体の長さは、通過波長λ2の約
1/2となっている。共振パターン32,33,34
は、等価的には、図9に示したように、それぞれ、一端
が接地されたキャパシタとコイルとを互いに並列配置し
て構成された共振回路として表される。半波長結合線路
80A,80B,80Cにより、波長λ2の信号以外の
信号が減衰させられる。
【0052】なお、1段目の半波長結合線路80Aは、
パターン31と、共振パターン32の全体と、共振パタ
ーン33の端部33Aとで構成される。2段目の半波長
結合線路80Bは、共振パターン32の端部32Bと、
共振パターン33の全体と、共振パターン34の端部3
4Aとで構成される。3段目の半波長結合線路80C
は、共振パターン33の端部33Bと、共振パターン3
4の全体と、パターン35の端部35Aとで構成され
る。
【0053】第2の帯域用パターン30は、さらに、3
段目の半波長結合線路80Cの一部を構成するパターン
35の端部のパターン35Bに直結する形で、パターン
38、パターン81、パターン83を有している。パタ
ーン83の端部は、信号の出力端(または入力端)93
となっている。
【0054】パターン38、パターン81、パターン8
3は、等価的には、図9に示したように、それぞれ直列
的に接続された特性インピーダンスが50Ωの信号伝送
路として機能し、これにより、出力端93を介した信号
の入出力の整合が良好に行われるようにしている。ま
た、パターン35Bは、共振パターン34の端部34B
およびパターン35の端部35Aで構成されるキャパシ
タと、パターン38による信号伝送路との間に直列的に
接続されたコイルとして機能する。
【0055】パターン35Bとパターン38との結合部
分における幅方向の両側には、それぞれパターン37
A,37Bが形成されている。また、パターン38とパ
ターン81との結合部分における幅方向の両側には、そ
れぞれパターン39A,39Bが形成されている。パタ
ーン81とパターン83との結合部分における幅方向の
両側には、それぞれパターン82A,82Bが形成され
ている。
【0056】パターン37A,37Bは、第2の帯域の
信号f2に対する反射率低減用に設けられたものであ
り、等価的には、図9に示したように、それぞれ一端が
接地され他端が互いに接続されたキャパシタとして機能
する。
【0057】パターン39A,82Aは、パターン39
A,82Aを設けるための布設面積の小面積化を図るた
めに、それぞれL字状に形成されている。パターン39
A,82Aは、半波長結合線路80A,80B,80C
における信号の減衰量不足を補うために、第1の帯域の
信号f1を減衰させるための減衰用パターンとして設け
られたものある。パターン39A,82Aは、図9に示
したように、等価的には、それぞれ、一端が接地された
コイルとこのコイルの他端に直列接続されたキャパシタ
として表されるLCフィルタ型のノッチフィルタとして
機能する。
【0058】減衰用パターン39A,82Aの長さL
39A,L82Aは、それぞれ、減衰対象とする第1の帯域内
の特定周波数の信号についての波長λ1a,λ1bの1/4
の長さに設定されている。これにより、入力された信号
が、波長λ1a,λ1bの信号を中心として減衰させられ
る。
【0059】パターン39B,82Bは、パターン3
8,81,83からなる線路を介して、それぞれちょう
ど減衰用パターン39A,82Aの逆方向に延在した形
で設けられている。パターン39B,82Bは、図9に
示したように、等価的には、それぞれ一端が接地された
キャパシタとして表され、減衰用パターン39A,82
Aを設けたことによる第2の帯域についての反射係数の
悪化を防止する機能を有している。
【0060】なお、以上で説明した第2の帯域用パター
ン30における各パターン要素は、すべて開放端となっ
ている。
【0061】次に、以上のような構成の本マイクロフィ
ルタ1を使用した通信システム(図3)の作用、動作に
ついて簡単に説明する。
【0062】まず、移動局51A,51B,51Cから
電波を送信するときの作用、動作について説明する。共
用アンテナ52は、移動局51A,51B,51Cから
送信された2GHz帯、1.5GHz帯および0.8G
Hz帯の電磁波を受信し、デュプレクサ53に出力す
る。デュプレクサ53は、入力された電磁波信号を、
0.8GHz帯または1.5GHz帯の少なくとも一方
の帯域を含む第1の帯域の電磁波信号f1と、2GHz
帯を含む第2の帯域の電磁波信号f2とに分波する。デ
ュプレクサ53は、本マイクロフィルタ1を含んで構成
されているので、第1の帯域の電磁波信号f1と第2の
帯域の電磁波信号f2とが良好に分波される。デュプレ
クサ53によって分波された信号のうち、第2の帯域の
電磁波信号f2は、基地局55Aに出力される。一方、
第1の帯域の電磁波信号f1は、デュプレクサ54に出
力される。デュプレクサ54は、入力された電磁波信号
を、0.8GHz帯の電磁波信号と1.5GHz帯の電
磁波信号とに分波する。デュプレクサ54によって分波
された信号のうち、1.5GHz帯の信号は、基地局5
5Bに出力される。一方、分波された信号のうち、0.
8GHz帯の信号は、基地局55Cに出力される。
【0063】次に、移動局51A,51B,51Cにお
いて電波を受信するときの作用、動作について説明す
る。基地局55B,55Cは、図示しない公衆回線を介
して送信されてきた1.5GHz帯および0.8GHz
帯の信号をデュプレクサ54に送信する。デュプレクサ
54は、入力された2種類の信号を、合波してデュプレ
クサ53に出力する。基地局55Aは、公衆回線を介し
て送信されてきた2GHz帯の信号をデュプレクサ53
に送信する。デュプレクサ53は、0.8GHz帯また
は1.5GHz帯の少なくとも一方の帯域を含む第1の
帯域の電磁波信号f1と、2GHz帯を含む第2の帯域
の電磁波信号f2とを合波して共用アンテナ52に出力
する。デュプレクサ53は、本マイクロフィルタ1を含
んで構成されているので、第1の帯域の電磁波信号f1
と第2の帯域の電磁波信号f2とが良好に合波される。
共用アンテナ52は、2GHz帯、1.5GHz帯およ
び0.8GHz帯の電磁波を受信し、移動局51A,5
1B,51Cに送信する。移動局51A,51B,51
Cは、共用アンテナ52から送信された電波を受信す
る。
【0064】図10は、本マイクロフィルタ1の通過特
性(フィルタ特性)を示している。図10において、横
軸は周波数(GHz)を、縦軸は挿入損失(dB)を示
している。図10において、符号101を付した曲線
は、第1の帯域用パターン20のフィルタ特性を示し、
符号102を付した曲線は、第2の帯域用パターン30
のフィルタ特性を示す。なお、図中、「●」,「×」で
示した点は、特性曲線101,102を得るために用い
たサンプル点(シュミレーション値)である。なお、実
測値に基づく通過特性も図10と同様の傾向になる。
【0065】図10に示した特性曲線101からわかる
ように、本マイクロフィルタ1では、第1の帯域用パタ
ーン20によって、約1.53GHzを越える周波数の
信号を減衰させる優れたローパスフィルタとしての信号
通過特性が得られている。特性曲線101において、2
GHz帯で局所的に鋭い落ち込みを示す部分111,1
12,113がある。これらは、第1の帯域用パターン
20における減衰用パターン23A,25A,27A,
29Aが、いわゆるトラップとして作用している部分で
ある。具体的には、減衰用パターン23Aによるトラッ
プとして作用している部分が、部分111であり、減衰
用パターン25Aによるトラップとして作用している部
分が、部分112であり、減衰用パターン27A,29
Aによるトラップとして作用している部分が部分113
である。
【0066】また、特性曲線102からわかるように、
本マイクロフィルタ1では、第2の帯域用パターン30
の作用によって、2GHz帯を通過帯域とした優れたバ
ンドパスフィルタとしての信号通過特性が得られてい
る。特性曲線102において、1.5GHz帯で局所的
に鋭い落ち込みを示す部分121,122がある。これ
らは、第2の帯域用パターン30における減衰用パター
ン39A,82Aが、トラップとして作用している部分
である。具体的には、減衰用パターン39Aによるトラ
ップとして作用している部分が、部分121であり減衰
用パターン39Aによるトラップとして作用している部
分が、部分122である。
【0067】なお、本マイクロフィルタ1は、例えば以
下の電気的な仕様を持つフィルタとして使用可能であ
る。なお、以下の仕様において、入力端子は、共通入出
力パターン10の入力端91に相当し、第1の出力端子
は、第1の帯域用パターン20の出力端92に相当し、
第2の出力端子は、第2の帯域用パターン30の出力端
93に相当する。VSWR(Voltage Standing Wave Ra
tio)は、電圧定在波比を示す。リップルは、使用帯域
内での信号の振幅の大きさを示す。
【0068】入力端子 ……1つ 第1の出力端子 ……0.8GHz帯と1.5GHz帯
との2帯域共用 第2の出力端子 ……2.0GHz帯用 減衰量 ……各帯域について40dB以上 挿入損失 ……0.5dB以内 挿入電力 ……50ワット VSWR ……1.3以内 リップル ……0.3dB
【0069】以上説明したように、本実施の形態のマイ
クロ波フィルタ1によれば、第1の帯域用パターン20
において、第2の帯域の電磁波信号を良好に減衰させる
ことができると共に、第1の帯域の電磁波信号を反射係
数および挿入損失が少ない状態で良好に通過させること
ができる。また、第2の帯域用パターン30において、
第1の帯域の電磁波信号を良好に減衰させることができ
ると共に、第2の帯域の電磁波信号を反射係数および挿
入損失が少ない状態で良好に通過させることができる。
また、共通入出力パターン10と、第1の帯域用パター
ン20および第2の帯域用パターン30との結合を良好
に行うことができる。これらにより、0.8GHz帯ま
たは1.5GHz帯の少なくとも一方の帯域と、2GH
z帯とを、優れた信号特性で分波または合波することが
できる。また、本実施の形態のマイクロ波フィルタ1に
よれば、第1の帯域用パターン20と第2の帯域用パタ
ーン30とを、共通入出力パターン10の端部からV字
状に分岐するように構成すると共に、第1の帯域用パタ
ーン20と第2の帯域用パターン30とを全体的に湾曲
した形状に構成したので、必要とされる信号特性を満足
した状態で、配線パターンを設けるために必要とされる
全体的な布設面積の小面積化を図ることができる。
【0070】なお、本発明は、上記実施の形態に限定さ
れず種々の変形実施が可能である。例えば、本発明によ
るマイクロ波フィルタは、0.8GHz帯または1.5
GHz帯の少なくとも一方の帯域の電磁波信号と、2G
Hz帯の電磁波信号とを分波または合波する必要のある
機器に広く適用可能であり、図3に示した通信システム
におけるデュプレクサ以外のものにも適用可能である。
【0071】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1ないし7
のいずれか1項に記載のマイクロ波フィルタによれば、
マイクロストリップ線路によって、共通入出力パター
ン、第1の帯域用パターンおよび第2の帯域用パターン
を構成し、第1の帯域用パターンを共通入出力パターン
に直接結合させて、第2の帯域の電磁波信号を減衰させ
ると共に、第1の帯域の電磁波信号を通過させ、第2の
帯域用パターンを共通入出力パターンに電磁誘導結合さ
せて、第1の帯域の電磁波信号を減衰させると共に、第
2の帯域の電磁波信号を通過させるように構成したの
で、0.8GHz帯または1.5GHz帯の少なくとも
一方の帯域の電磁波信号と、2GHz帯の電磁波信号と
を、優れた信号特性で分波または合波することができ
る。
【0072】特に、請求項2記載のマイクロ波フィルタ
によれば、所定長の信号伝送路と、この信号伝送路に接
続され、第2の帯域の電磁波信号に対して十分大きな容
量となる容量パターンとを介して、第1の帯域用パター
ンを共通入出力パターンの端部に直接結合するようにし
たので、第1の帯域用パターンと共通入出力パターンと
の結合を、第1の帯域の信号に対する反射係数および挿
入損失が少なくなるように良好に行うことができる。
【0073】また特に、請求項5記載のマイクロ波フィ
ルタによれば、請求項4記載のマイクロ波フィルタにお
いて、共通入出力パターンの端部から延在すると共に、
複数の共振パターンのうちの一つに対して所定間隔を隔
てて部分的または全体的に対向させて結合パターンを配
置し、その結合パターンを、共振パターンと対向しない
パターン部分の面積が、共振パターンと対向するパター
ン部分の面積に比べて相対的に十分小さくなるように構
成したので、第2の帯域用パターンと共通入出力パター
ンとの結合部分において、信号の取り出し性能の向上を
図ることができる。すなわち、第2の帯域の信号に対す
る反射係数および挿入損失が少なくなるように結合を行
うことができる。
【0074】また特に、請求項6記載のマイクロ波フィ
ルタによれば、請求項4記載のマイクロ波フィルタにお
いて、第2の帯域用パターンを、複数の共振パターンに
加えて、さらに、第1の帯域の電磁波信号を減衰させ、
複数の共振パターンによる減衰特性を補うよう機能する
少なくとも一つの減衰用パターンを有するように構成し
たので、第2の帯域用パターンにおいて、第1の帯域の
電磁波信号の減衰を良好に行うことができる。
【0075】また特に、請求項7記載のマイクロ波フィ
ルタによれば、第1の帯域用パターンと第2の帯域用パ
ターンを、共通入出力パターンの端部からV字状に分岐
するパターン形状を形成するようにして共通入出力パタ
ーンに結合したので、必要とされる信号特性を満足した
状態で、配線パターンを設けるために必要とされる全体
的な布設面積の小面積化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るマイクロ波フィル
タの配線パターンを示す構成図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るマイクロ波フィル
タの全体構成を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係るマイクロ波フィル
タが使用される通信システムの一例を示すシステム構成
図である。
【図4】図1に示した配線パターンにおける共通入出力
パターンの部分を拡大して示す構成図である。
【図5】図4に示した共通入出力パターンの等価回路を
示す回路図である。
【図6】図1に示した配線パターンにおける第1の帯域
用パターンの部分を拡大して示す構成図である。
【図7】図6に示した第1の帯域用パターンの等価回路
を示す回路図である。
【図8】図1に示した配線パターンにおける第2の帯域
用パターンの部分を拡大して示す構成図である。
【図9】図8に示した第2の帯域用パターンの等価回路
を示す回路図である。
【図10】本発明の一実施の形態に係るマイクロ波フィ
ルタの通過特性を示す特性図である。
【符号の説明】
1…マイクロ波フィルタ、2…基板、3…接地層、4…
配線層、10…共通入出力パターン、20…第1の帯域
用パターン、30…第2の帯域用パターン、31…結合
パターン、32,33,34…共振パターン、23A,
25A,27A,29A…減衰用パターン、51A,5
1B,51C…移動局、52…共用アンテナ、53,5
4…デュプレクサ、55A,55B,55C…基地局。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 五十嵐 貞男 神奈川県川崎市高津区坂戸3丁目2番1号 アールエフ・チップス・テクノロジー株 式会社内 Fターム(参考) 5J006 HB01 HB03 HB12 JA01 JA03 JA05 JA06 JA12 KA03 KA11 LA23

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マイクロストリップ線路からなる配線パ
    ターンを備えたマイクロ波フィルタであって、 前記配線パターンは、 0.8GHz帯または1.5GHz帯の少なくとも一方
    の帯域を含む第1の帯域と、2GHz帯を含む第2の帯
    域との2種類の帯域の電磁波信号が共通して入力または
    出力される共通入出力パターンと、 前記共通入出力パターンに直接結合され、前記第2の帯
    域の電磁波信号を減衰させると共に、前記第1の帯域の
    電磁波信号を通過させる第1の帯域用パターンと、 前記共通入出力パターンに電磁誘導結合され、前記第1
    の帯域の電磁波信号を減衰させると共に、前記第2の帯
    域の電磁波信号を通過させる第2の帯域用パターンとを
    有することを特徴とするマイクロ波フィルタ。
  2. 【請求項2】 前記第1の帯域用パターンは、 所定長の信号伝送路と、この信号伝送路に接続され、前
    記第2の帯域の電磁波信号に対して十分大きな容量とな
    る容量パターンとを介して前記共通入出力パターンの端
    部に直接結合されていることを特徴とする請求項1記載
    のマイクロ波フィルタ。
  3. 【請求項3】 前記第1の帯域用パターンは、前記第2
    の帯域の電磁波信号を減衰させるための少なくとも一つ
    の減衰用パターンを有することを特徴とする請求項1ま
    たは2記載のマイクロ波フィルタ。
  4. 【請求項4】 前記第2の帯域用パターンは、隣り合う
    もの同士が互いに所定間隔を隔てて電磁誘導結合され、
    前記第2の帯域の電磁波信号以外の信号を減衰させるよ
    う機能する複数の共振パターンを有することを特徴とす
    る請求項1ないし3のいずれか1項に記載のマイクロ波
    フィルタ。
  5. 【請求項5】 前記第2の帯域用パターンは、さらに、
    前記共通入出力パターンの端部から延在すると共に、前
    記複数の共振パターンのうちの一つに対して所定間隔を
    隔てて部分的または全体的に対向して配置された結合パ
    ターンを有し、 前記結合パターンは、前記共振パターンと対向しないパ
    ターン部分の面積が、前記共振パターンと対向するパタ
    ーン部分の面積に比べて相対的に十分小さく構成されて
    いることを特徴とする請求項4記載のマイクロ波フィル
    タ。
  6. 【請求項6】 前記第2の帯域用パターンは、さらに、
    前記第1の帯域の電磁波信号を減衰させ、前記複数の共
    振パターンによる減衰特性を補うよう機能する少なくと
    も一つの減衰用パターンを有することを特徴とする請求
    項4記載のマイクロ波フィルタ。
  7. 【請求項7】 前記第1の帯域用パターンと前記第2の
    帯域用パターンは、共通入出力パターンの端部からV字
    状に分岐するパターン形状を形成するようにして前記共
    通入出力パターンに結合されていることを特徴とする請
    求項1ないし6のいずれか1項に記載のマイクロ波フィ
    ルタ。
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