JP2002202240A - 匂い成分透過性推定方法 - Google Patents

匂い成分透過性推定方法

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JP2002202240A
JP2002202240A JP2000401547A JP2000401547A JP2002202240A JP 2002202240 A JP2002202240 A JP 2002202240A JP 2000401547 A JP2000401547 A JP 2000401547A JP 2000401547 A JP2000401547 A JP 2000401547A JP 2002202240 A JP2002202240 A JP 2002202240A
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synthetic resin
resin film
odor component
exp
odor
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JP2000401547A
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Junichiro Koyama
純一郎 小山
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Asahi Kasei Corp
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 合成樹脂フィルム材料を透過する匂い(有
機)成分のガス透過性を、匂い成分分子の特性値及び該
フィルム材料の特性値からから予測する手法を提供す
る。 【解決手段】 合成樹脂フィルム材料を透過する匂い
(有機)成分のガス透過係数[P=P0・exp(α・
p1)]について、匂い物質の分子体積値(Vm)と、
匂い物質の溶解度パラメータ値(δs)及び、合成樹脂
フィルム材料の溶解度パラメータ値(δf)を用いて、
各項をα=A・exp(B・Vm),およびP0=C・
exp(D・δs/δf・Vm)の2式から計算予測す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、合成樹脂フィルム
材料を透過する匂い(有機)成分のガス透過性を、匂い
成分分子の特性値及び該フィルム材料の特性値からから
予測する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂フィルム材料へのガスバリヤー
性付与は、食品分野において重要な技術である。これま
でガスバリヤー性は、主として食品の酸化・変敗を防止
するため酸素や窒素等の無機ガスのバリヤー性について
重要視されることが多かった。近年は食品の品質保持を
目的として、中でも香り成分の保持性が要求されたり、
包装材料外部からの臭気物質の侵入をを防ぐためのバリ
ヤー性等が要求されたりし、包装材料に対する匂い(有
機)成分のガスバリヤー性付与の要求が高まっている。
【0003】一般に酸素や窒素等の無機ガスの透過性は
P(透過係数)=S(溶解度係数)×D(拡散係数)の
式で表すことができ、拡散係数Dはガス濃度に独立した
一定値で近似できる。透過係数はガス濃度に対して1次
式となるので、従来のガス透過性測定装置は、一定濃度
のガスについて単位時間あたりの透過量で評価を行って
いた。しかし匂い成分のような有機蒸気の透過性は、化
学工学,62巻,p577〜579 「香りを楽しむ」
等の文献に記載されているように、合成樹脂フィルムを
透過中のガス成分が可塑剤として作用し、透過をますま
す容易にするような働きをする為、P=P0・exp
(α・p1)と指数関係の経験式が用いられてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記の指
数式を用いて有機蒸気の透過性を評価する場合、指数式
中のP0(蒸気圧0の場合の係数の極限値)とα(蒸気
圧依存性を表すパラメータ)は各合成樹脂フィルム、匂
い物質ごとに異なる定数となるため、合成樹脂フィルム
と匂い物質の組み合わせ1つ1つについて実測を行い、
0とαの値を求めていく繁雑さを伴うものである。
【0005】現在匂い物質は約40万種あるといわれて
おり、様々な匂い成分の合成樹脂フィルム透過性を評価
するには非常に時間と手間がかかるという問題があっ
た。本発明は、この問題を解決し、合成樹脂フィルム材
料を透過する匂い(有機)成分のガス透過性を、実測す
ることなく匂い成分及び合成樹脂フィルム材料の特性値
から計算予測することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明では合成樹脂フィルムの匂い(有機)成分を
透過するガス透過性の式 P=P0・exp(α・P1) 〈1〉 (P:透過係数,P0:蒸気圧0の場合の係数の極限
値,α:蒸気圧依存性を表すパラメータ,P1:匂い成
分の蒸気圧)を用いて推定する方法であって、前記αに
ついては α=A・exp(B・Vm) 〈2〉 (A:2×10-4〜9×10-5、B:5×10-2〜3×
10―2)にVm(匂い成分の分子体積)を代入して得
られた値を用い、P0については P0=C・exp(D・δs/δf・Vm) 〈3〉 (C:1×10-4〜1,Dは−2.6〜−0.08)に
δs(匂い成分の溶解度パラメータ値)、δf(合成樹
脂フィルムの溶解度パラメータ値)およびVm(匂い成
分の分子体積)を代入する事により得られた値を用いて
求める合成樹脂フィルムの匂い成分のガス透過性を推定
する事を特徴としている。
【0007】以下本発明を具体的に説明する。α(蒸気
圧依存性を表すパラメータ)は、合成樹脂フィルムの種
類によらず、匂い物質の分子体積(Vm)と指数相関
し、 α=A・exp(B・Vm) 〈2〉 という式で表すことができる。この中で定数であるA及
びBは、参考例1の図1に示すように、 透過係数Pを
実測してP=P0・exp(α・p1)の式のαを求
め、匂い物質の分子体積(Vm)との相関をみることに
より得られた固有の定数であり、 Aは2×10- 4〜9
×10-5の範囲、Bは5×10-2〜3×10―2の範囲
であり、好ましくはA=1.0147×10-4,B=
3.897×10-2である。これらを〈2〉式に代入す
ることにより実際に計算する場合、 α=1.0147×10-4exp(3.897×10-2・Vm) 〈4〉 という式で表すことができる。
【0008】またP0(蒸気圧0の場合の係数の極限
値)は、δs(匂い成分の溶解度パラメータ値)/δf
(合成樹脂フィルムの溶解度パラメータ値)×Vm(匂
い成分の分子体積)と指数相関し、 P0=C・exp(D・δs/δf・Vm) 〈3〉 という式で表す事ができる。この中で定数であるC及び
Dは、参考例2の図2に示すように、透過係数Pを実測
して、P=P0・exp(α・p1)の式のP0を求め、
δs(匂い成分の溶解度パラメータ値)/δf(合成樹
脂フィルムの溶解度パラメータ値)×Vm(匂い成分の
分子体積)との相関をみた合成樹脂フィルムの材質の種
類によって定められる固有の定数( C:1×10-4
1,D:−2.6〜−0.08)であり、例えばポリエ
チレンの場合、Cは0.1〜0.01の範囲、Dは−
0.1〜−0.04の範囲,ポリ塩化ビニリデン/塩化
ビニル共重合体の場合、Cは0.5〜0.05の範囲、
Dは−0.23〜−0.17の範囲,ポリ4−メチルペ
ンテン−1の場合、Cは1〜0.1の範囲、Dは−0.
11〜−0.05の範囲,ポリプロピレンの場合、Cは
1×10-4〜1×10-5の範囲、Dは−0.08〜−
0.02の範囲,ポリ塩化ビニルの場合、Cは0.01
〜0.001の範囲、Dは−0.09〜−0.03の範
囲,ポリエチレンテレフタレートの場合、Cは1〜0.
1の範囲、Dは−0.24〜−0.18の範囲,テレフ
タル酸とエチレングリコール及び1,4シクロヘキサン
ジメタノール共重合の場合Cは0.1〜0.01の範
囲、Dは−0.26〜−0.20の範囲である。
【0009】好ましくは、例えばポリエチレンの場合、
Cは0.0348、Dは−0.0709,ポリ塩化ビニ
リデン/塩化ビニル共重合体の場合、Cは0.092
6、Dは−0.2001,ポリ4−メチルペンテン−1
の場合、Cは0.3949、Dは−0.0829,ポリ
プロピレンの場合、Cは6.416×10-5、Dは−
0.04425,ポリ塩化ビニルの場合、Cは0.00
715、Dは−0.0599,ポリエチレンテレフタレ
ートの場合、Cは0.5959、Dは−0.2093,
テレフタル酸とエチレングリコール及び1,4シクロヘ
キサンジメタノール共重合の場合、Cは0.0652、
Dは−0.227である。
【0010】これらを〈3〉式に代入することによりP
0を実際に計算すると、ポリエチレンの場合であれば、 P0=0.0348exp(−0.0709δs/δf・Vm) 〈5〉、 ポリ塩化ビニリデン/塩化ビニル共重合体の場合であれば、 P0=0.0926exp(−0.2001δs/δf・Vm) 〈6〉、 ポリ4−メチルペンテン−1の場合であれば、 P0=0.3949exp(−0.0829δs/δf・Vm) 〈7〉、 ポリプロピレンの場合であれば、 P0=6.416×10-5exp(−0.04425δs/δf・Vm)〈8 〉、 ポリ塩化ビニルの場合であれば、 P0=0.00715exp(−0.0599δs/δf・Vm) 〈9〉、 ポリエチレンテレフタレートの場合であれば、 P0=0.5959exp(−0.2093δs/δf・Vm) 〈10〉、 テレフタル酸とエチレングリコール及び1,4シクロヘ
キサンジメタノール共重合の場合であれば、 P0=0.0652exp(−0.227δs/δf・Vm) 〈11〉 と言う式で表すことができる。
【0011】またCとDの値については、上記の合成樹
脂フィルム以外のものについても、同様に求めることが
できる。ここで上述の合成樹脂フィルムの匂い(有機)
成分のガス透過性をあらわす式P=P0・exp(α・
1) 〈1〉について説明する。酸素や窒素等の無機
ガスの場合、透過係数Pは以下の式で表される。 P=S・D P:透過係数(mol/sec・cm・Pa) S:溶解係数(mol・cm3/Pa) D:拡散係数(cm2/sec)
【0012】しかし、匂い(有機)成分のガス透過は、
合成樹脂フィルムに吸収された匂い成分のガスが可塑剤
として作用し、透過分子の透過をますます容易にし、無
機ガスの様に拡散係数は濃度に依存しないという仮定が
適用できない為、以下の様になる。 S=S0exp(β・C) D=D0exp(α・a1) P=D0・S0exp(α・a1+β・C) P0=D0・S0 βはヘンリーの法則に従う系では0とおくことができる
ので式より P=P0exp(α・a1 Pは活動度a1(≒蒸気圧 P1)に指数依存するので
最終的に以下の様に導かれる。 P=P0exp(α・P1) P0,S0,D0:蒸気圧0の場合の係数の極限値 α,β:蒸気圧依存性を表すパラメータ C:濃度
【0013】次に匂い成分の分子体積(Vm)について
説明する。匂い成分の分子1個の体積(Å3)で、ファ
ン・デル・ワールス半径の分子モデルから算出する。フ
ァン・デル・ワールス半径は、分子に固有の形と体積を
考える為に仮定した分子内の各原子の半径で、H(1.
2Å)、N(1.5Å)、O(1.4Å)、Cl(1.
80Å)、−CH3(2.0Å)、芳香族環の厚さ
(1.85Å)等実験的に定まっており、これを使い匂
い分子それぞれの分子モデルを作成し、その体積を求め
る。この分子体積の計算は、例えばCeriusII
(Molecular Simulations社)、
Hyper Chem.5.0(富士通)等のコンピュ
ータ・ソフトを使って計算することができる。
【0014】次に溶解度パラメータ値(δs)(δf)
について説明する。溶解度パラメータ値は液体間の混合
性の尺度となる液体の特性値でJ.H.Hildebr
andにより提唱され、δで表される。液体の分子凝集
エネルギーをE,分子容をVとすると δ=(E/V)1/2 で与えられ、温度だけに依存する物質定数である。E/
Vは凝集エネルギー密度である。一般に2つの液体の
(1,2で表わす)の混合熱ΔHMは近似的に ΔHM=(x11+x22)(δ1−δ2)2ψ1ψ2 で与えられる。ここにx1,x2はモル分率,ψ1,ψ2
容積分率を示す。したがって溶液の熱力学性質はδの値
の差に依存する。特に低分子物質では混合エントロピー
は分子量,濃度のみの関数で、物質によって変わらない
から、δの値が溶液の熱力学的性質を支配し、この値か
ら溶解度などを半定量的に予測したり説明したりするこ
とができる。
【0015】高分子物質に対する溶媒の作用なども同様
にδの値で説明することができるが、この場合混合エン
トロピーに対する考慮が必要である。δの値の求め方
は、下記のFedorsの式等を使って、化学組成から
計算する。 Fedorsの式 δ=(ΔE/V)1/2=(ΣΔei/ΣΔvi1/2 ΔE:凝集エネルギー密度,V:モル体積, Δei:原子団の蒸発エネルギー,Δvi:原子団のモル
体積
【0016】本発明では上述した合成樹脂フィルム以外
のフィルムも対象とすることができる。特に限定される
ものではないが、好ましくは食品包材等によく使用され
る熱可塑性樹脂フィルム, ポリスチレン,エチレン/
ビニルアルコール共重合体,エチレン/酢酸ビニル共重
合体,ナイロン6,ポリカーボネート,ナイロン樹脂,
アクリロニトリル/スチレン共重合体,メタクリル樹
脂,フェノール樹脂等について、参考例1,2で記載し
た方法により定数A,B,C,Dを求め、透過係数を推
定することができる。
【0017】本発明で透過性を推定しうる匂い物質に
は、例えばジメチルジスルフィド,ジアリルジスルフィ
ド,メタノール,エタノール,プロパノール,蟻酸,酢
酸,酪酸,吉草酸,アセトアルデヒド,プロピルアルデ
ヒド,ブチルアルデヒド,ベンズアルデヒド,トリメチ
ルアミン,ブチルアミン,アンモニア,硫化水素,二硫
化メチル,リモネン,ミルセン,トルエン,スチレン,
2−プロパノン,2−ヘキサノン,2−ヘプタノン,メ
チルアセテート,エチルアセテート,メチルベンゾエー
ト,キシレン,ピネン,カンファー,リナロール,d−
カルボン等であげられるが、これ以外の匂い物質につい
ても透過係数を推定できる。
【0018】
【発明の実施の形態】[参考例1]αとVmの指数相関
関係式の算出 25℃の恒温槽中に、図3のような透過セルを組み、N
2ボンベからの窒素ガスを2つの(1)3方ジョイント
を用いて3つ流路に分けて、それぞれ(2)飽和蒸気用
N2、(3)希釈用N2、(4)上部チャンバー用N2
とした。飽和蒸気用N2は、流量調整バルブにより1〜
50ml/minに調整し、ジメチルジスルフィド,エ
タノール,酢酸,リモネン,トリメチルアミン,アセト
アルデヒド,ジアリルジスルフィド,トルエン,キシレ
ン,ミルセン等の匂い物質(液体)中をバブリングを行
う事で、エタノールのN2飽和蒸気ガスを作った。
【0019】この飽和蒸気ガスと流量調整バルブにより
0〜400ml/minに調整した希釈用N2を併せ
て、匂い物質の蒸気圧が500,1000,2000P
aの3水準の蒸気圧になるようにガスを調整し、(5)
下部チャンバー中に流した。下部チャンバーからポリエ
チレン,ポリプロピレン,塩化ビニリデン/塩化ビニル
共重合体,ポリ4−メチルペンテン−1,ポリ塩化ビニ
ル,ポリエチレンテレフタレート,テレフタル酸とエチ
レングリコール及び1,4シクロヘキサンジメタノール
共重合,ポリスチレン,エチレン/ビニルアルコール共
重合体,ナイロン6等の(6)合成樹脂フィルムを挟ん
だ(7)上部チャンバーには、(4)上部チャンバー用
N2を、流量調整バルブにより20ml/minに調整
した窒素ガスを流し、(7)上部チャンバーから流れて
くるガスを10分/毎にガスクロマトグラフで測定し、
透過量が安定した点を平衡点としてエタノールの透過量
とした。なお合成樹脂フィルムはガスクロマトグラフの
ピークが振り切らないように、0.7〜59cm2の間
で調整した。
【0020】そして500,1000,2000Paの
3水準の蒸気圧の場合の透過量を測定し、得られた結果
からP=P0・exp(α・p1) 〈1〉の式のαを
求め、匂い物質の分子体積(Vm)との相関をみた。そ
の結果、図1の通りの結果となり、αは匂い物質の分子
体積(Vm)と指数相関し、α=1.0147×10-4
exp(3.897×10-2・Vm) 〈4〉という式
で表すことができた。
【0021】[参考例2]P0とδs/δf×Vmの指
数相関関係式の算出 25℃の恒温槽中に、図3のような透過セルを組み、N
2ボンベからの窒素ガスを2つの(1)3方ジョイント
を用いて3つ流路に分けて、それぞれ(2)飽和蒸気用
N2、(3)希釈用N2、(4)上部チャンバー用N2
とした。飽和蒸気用N2は、流量調整バルブにより1〜
50ml/minに調整し、ジメチルジスルフィド,エ
タノール,酢酸,リモネン,トリメチルアミン,アセト
アルデヒド,ジアリルジスルフィド,トルエン,キシレ
ン,ミルセン等の匂い物質(液体)中をバブリングを行
う事で、エタノールのN2飽和蒸気ガスを作った。
【0022】この飽和蒸気ガスと流量調整バルブにより
0〜400ml/minに調整した希釈用N2を併せ
て、匂い物質の蒸気圧が500,1000,2000P
aの3水準の蒸気圧になるようにガスを調整し、(5)
下部チャンバー中に流した。下部チャンバーからポリエ
チレン,ポリプロピレン,塩化ビニリデン/塩化ビニル
共重合体,ポリ4−メチルペンテン−1,ポリ塩化ビニ
ル,ポリエチレンテレフタレート,テレフタル酸とエチ
レングリコール及び1,4シクロヘキサンジメタノール
共重合,ポリスチレン,エチレン/ビニルアルコール共
重合体,ナイロン6等の(6)合成樹脂フィルムを挟ん
だ(7)上部チャンバーには、(4)上部チャンバー用
N2を流量調整バルブにより20ml/minに調整し
た窒素ガスを流し、(7)上部チャンバーから流れてく
るガスを10分/毎にガスクロマトグラフで測定し、透
過量が安定した点を平衡点としてエタノールの透過量と
した。なお合成樹脂フィルムはガスクロマトグラフのピ
ークが振り切らないように、0.7〜59cm2の間で
調整した。
【0023】そして500,1000,2000Paの
3水準の蒸気圧の場合の透過量を測定し、得られた結果
からP=P0・exp(α・p1) 〈1〉の式のP0
求め、δs(匂い成分の溶解度パラメータ値)/δf
(合成樹脂フィルムの溶解度パラメータ値)×Vm(匂
い成分の分子体積)との相関をみた。その結果、図2の
通りの結果となり、P0はδs(匂い成分の溶解度パラ
メータ値)/δf(合成樹脂フィルムの溶解度パラメー
タ値)×Vm(匂い成分の分子体積)と指数相関し、ポ
リエチレンは、 P0=0.0348exp(−0.0709δs/δf・Vm) 〈5〉, ポリ塩化ビニリデン/塩化ビニル共重合体は、 P0=0.0926exp(−0.2001δs/δf・Vm) 〈6〉, ポリ4−メチルペンテン−1は、 P0=0.3949exp(−0.0829δs/δf・Vm) 〈7〉, ポリプロピレンは、 P0=6.416×10-5exp(−0.04425δs/δf・Vm)〈8 〉, ポリ塩化ビニルは、 P0=0.00715exp(−0.0599δs/δf・Vm) 〈9〉, ポリエチレンテレフタレートは、 P0=0.5959exp(−0.2093δs/δf・Vm) 〈10〉, テレフタル酸とエチレングリコール及び1,4シクロヘ
キサンジメタノール共重合は、 P0=0.0652exp(−0.227δs/δf・Vm) 〈11〉 と言う式で表すことができた。
【0024】[実施例1]発酵臭であるエタノールの蒸
気圧2000Paの場合のポリエチレン,ポリ4−メチ
ルペンテン−1,ポリ塩化ビニリデン/塩化ビニル共重
合体合成樹脂フィルムの透過係数を計算により予測した
場合と実測した場合を比較した例を示す。 (計算により予測した場合)エタノールの分子体積(V
m)を CeriusII(Molecular simulations
社)コンピューターソフトを用い、図4のような分子モ
デルが得られ、分子体積は55.09Å3と計算され
た。
【0025】次にエタノールの溶解度パラメータ値(δ
s)とポリエチレン,ポリ4−メチルペンテン−1,ポ
リ塩化ビニリデン/塩化ビニル共重合体の溶解度パラメ
ータ値(δf)を Fedorsの式用いて計算した結
果、それぞれ12.6,8.6,7.7,11.0
[(cal/cm31/2]となった。そこでαとP0
ついて計算した。αについて、下の〈4〉式にジメチル
ジスルフィドのVmを代入すると α=8.684×10-4となった。
【0026】 α=1.0147×10-4exp(3.897×10-2・Vm) 〈4〉 ポリエチレンのP0について、下の〈5〉式にエタノー
ルのVmとδs,ポリエチレンのδfを代入するとP0
=1.119×10-4となった。 P0=0.0348exp(−0.0709δs/δf・Vm) 〈5〉 ポリ4−メチルペンテン−1のP0について、下の
〈7〉式にエタノールのVmとδs,ポリ4−メチルペ
ンテン−1のδfを代入するとP0=2.251×10
-4となった。
【0027】 P0=0.3949exp(−0.0829δs/δf・Vm) 〈7〉 ポリ塩化ビニリデン/塩化ビニル共重合体のP0につい
て、下の〈6〉式にエタノールのVmとδs,ポリ塩化
ビニリデン/塩化ビニル共重合体のδfを代入するとP
0=3.030×10-7となった。 P0=0.0926exp(−0.2001δs/δf・Vm) 〈6〉 この結果を合成樹脂フィルムの匂い(有機)成分のガス
透過性をあらわす〈1〉式 P=P0・exp(α・
1)に代入すると以下のようになった。 ポリエチレン P=1.119×10-4exp(8.6
84×10-41) ポリ4−メチルペンテン−1 P=2.251×10-4exp(8.684×10-4
1) ポリ塩化ビニリデン/塩化ビニル共重合体
【0028】P=3.030×10-7exp(8.68
4×10-41) 上の式のP1にジメチルジスルフィドの蒸気圧 200
0Paを代入するとそれぞれの透過係数Pは、以下の通
りとなった。 ポリエチレン P=6.355×10-4(μmol/s
ec・cm・Pa),ポリ4−メチルペンテン−1 P=1.278×10-3(μmol/sec・cm・P
a) ポリ塩化ビニリデン/塩化ビニル共重合体 P=1.721×10-6(μmol/sec・cm・P
a) 一方、従来の方法である実測で求められたP(透過係
数)と上記で得られたPが一致するかを確認するため、
下記方法で実測した。
【0029】(実測した場合)25℃の恒温槽中に、図
3のような透過セルを組み、N2ボンベからの窒素ガス
を2つの(1)3方ジョイントを用いて3つ流路に分け
て、それぞれ(2)飽和蒸気用N2、(3)希釈用N
2、(4)上部チャンバー用N2とした。飽和蒸気用N
2は、流量調整バルブにより1〜50ml/minに調
整し、エタノール(液体)中をバブリングを行う事で、
エタノールのN2飽和蒸気ガスを作った。
【0030】この飽和蒸気ガスと流量調整バルブにより
0〜400ml/minに調整した希釈用N2を併せ
て、エタノールの蒸気圧が2000Paになるようにガ
スを調整し、(5)下部チャンバー中に流した。下部チ
ャンバーから(6)合成樹脂フィルムを挟んだ(7)上
部チャンバーには、(4)上部チャンバー用N2を流量
調整バルブにより20ml/minに調整した窒素ガス
を流し、(7)上部チャンバーから流れてくるガスを1
0分/毎にガスクロマトグラフで測定し、透過量が安定
した点を平衡点としてエタノールの透過量とした。なお
合成樹脂フィルムはガスクロマトグラフのピークが振り
切らないように、0.7〜59cm2の間で調整した。
【0031】使用した合成樹脂フィルムは以下の通りで
ある。 ポリエチレンフィルム (厚み 10μ
m) ポリ4−メチルペンテン−1フィルム(厚み12μ
m) ポリ塩化ビニリデン/塩化ビニル共重合体フィルム
(厚み 10μm) エタノールの蒸気圧2000Paの場合の透過係数を実
測した結果は以下の通りであった。 ポリエチレン 3.100×10-4(μmol/se
c・cm・Pa) ポリ4−メチルペンテン−1 1.171×10-3(μmol/sec・cm・Pa) ポリ塩化ビニリデン/塩化ビニル共重合体 3.481×10-6(μmol/sec・cm・Pa) 下表の通り、計算値と実測値が非常に良い一致が見ら
れ、本発明の有効性が証明された。
【0032】
【表1】
【0033】[実施例2]溶解度パラメータ値(δf)
が8.6であるポリエチレンのニンニクの臭いのジメチ
ルジスルフィド、酢の物の臭いの酢酸、腐敗臭のアセト
アルデヒドの蒸気圧500Paの場合の透過係数を計算
により予測した場合と実測した場合を比較した例を示
す。下表の通り、計算値と実測値が非常に良い一致が見
られ、本発明の有効性が証明された。
【0034】
【表2】
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、合成樹
脂フィルム材料を透過する匂い(有機)成分のガス透過
性を評価したい場合、匂い物質の分子体積と、匂い物質
の溶解度パラメータ値及び、合成樹脂フィルム材料の溶
解度パラメータ値を計算し、各項を式に代入することに
より、簡単に透過性を予測することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】参考例1で算出した、αとVm(分子体積)の
関係を表すグラフ。
【図2】参考例2で算出した、P0とδs(匂い成分の
溶解度パラメータ値)/δf(合成樹脂フィルムの溶解
度パラメータ値)×Vm(匂い成分の分子体積)の関係
を表すグラフ。
【図3】参考例1,2、実施例1の匂い成分の透過性を
実測するための透過セルの模式図。
【図4】実施例1のエタノールの分子モデル図

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂フィルムを透過する匂い成分の
    ガス透過性の式P=P0・exp(α・P1) (P:透
    過係数,P0:蒸気圧0の場合の係数の極限値,α:蒸
    気圧依存性を表すパラメータ,P1:匂い成分の蒸気
    圧)を用いて推定する方法であって、前記αについては
    α=A・exp(B・Vm)の式(A:2×10-4
    9×10-5、B:5×10-2〜3×10―2)に、Vm
    (匂い成分の分子体積)を代入して得られた値を用い、
    0についてはP0=C・exp(D・δs/δf・V
    m)の式(C:1×10-4〜1,D:−2.6〜−0.
    08)に、δs(匂い成分の溶解度パラメータ値)、δ
    f(合成樹脂フィルムの溶解度パラメータ値)およびV
    m(匂い成分の分子体積)を代入する事により得られた
    値を用いて求める匂い成分ガス透過性の推定方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において合成樹脂フィルムがポ
    リエチレンの場合、Cとして0.1〜0.01を、Dと
    して−0.1〜−0.04を用いてP0を計算する事を
    特徴とする匂い成分ガス透過性の推定方法。
  3. 【請求項3】 請求項1において合成樹脂フィルムがポ
    リ塩化ビニリデン/塩化ビニル共重合体の場合、Cとし
    て0.5〜0.05を、Dとして−0.23〜−0.1
    7を用いてP0を計算する事を特徴とする匂い成分ガス
    透過性の推定方法。
  4. 【請求項4】 請求項1において合成樹脂フィルムがポ
    リ4−メチルペンテン−1の場合、Cとして1〜0.1
    を、Dとして−0.11〜−0.05を用いてP0を計
    算する事を特徴とする匂い成分ガス透過性の推定方法。
  5. 【請求項5】 請求項1において合成樹脂フィルムがポ
    リプロピレンの場合、Cとして1×10-4〜1×10-5
    を、Dとして−0.08〜−0.02を用いてP0を計
    算する事を特徴とする匂い成分ガス透過性の推定方法。
  6. 【請求項6】 請求項1において合成樹脂フィルムが塩
    化ビニルの場合、Cとして0.01〜0.001を、D
    として−0.09〜−0.03を用いてP0を計算する
    事を特徴とする匂い成分ガス透過性の推定方法。
  7. 【請求項7】 請求項1において合成樹脂フィルムがポ
    リエチレンテレフタレートの場合、Cとして1〜0.1
    を、Dとして−0.24〜−0.18を用いてP0を計
    算する事を特徴とする匂い成分ガス透過性の推定方法。
  8. 【請求項8】 請求項1において合成樹脂フィルムがテ
    レフタル酸とエチレングリコール及び1,4シクロヘキ
    サンジメタノール共重合の場合、Cとして0.1〜0.
    01を、Dとして−0.26〜−0.20を用いてP0
    を計算する事を特徴とする匂い成分ガス透過性の推定方
    法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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