JP2002199811A - 表土保護・植生用のシート状物とその製造方法 - Google Patents

表土保護・植生用のシート状物とその製造方法

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JP2002199811A JP2000404730A JP2000404730A JP2002199811A JP 2002199811 A JP2002199811 A JP 2002199811A JP 2000404730 A JP2000404730 A JP 2000404730A JP 2000404730 A JP2000404730 A JP 2000404730A JP 2002199811 A JP2002199811 A JP 2002199811A
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Fumito Takei
文人 武居
Makoto Akimoto
允 秋本
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TAKINOU FILTER KK
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 降雨その他環境ストレスに対する表土保護作
用を良好に維持し、かつ植生に必要な保水性を改善した
シート状物を提供する。 【解決手段】 上側表面が撥水性細繊維3からなる不織
布で、下側表面が親水性細繊維4からなる不織布で、そ
れぞれ実質的に覆われるとともに、全体が一体化されて
なり、かつ嵩高であることを特徴とする表土保護・植生
用のシート状物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は表土保護ならびに植
生緑化を図るためのシート状物及びその製造方法に関
し、より詳しくは土地開発や災害によって生じる法面な
ど傾斜裸地を被覆して土壌浸食防止を図ると同時に植生
を図るために好適な表土保護・植生用シート状物ならび
にその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】法面等裸地の表土保護を図る簡便で有効
な方法としてはポリエステルなどの撥水性細繊維により
構成された嵩高で柔軟性に富む不織布シート(以下単に
「わた状シート」と称する)を対象土壌面に被覆する技
術は特許第2764222号で公知である。このような
シートは撥水性細繊維が乾温に関わらず高い弾性率を保
持することから 1)わた状シートは雨滴衝撃を緩和して土壌団粒の破壊
を防止する。 2)わた状シートを構成する細繊維が土粒子と絡み合い
土の動きを止める。 3)降雨水はわた状シート空隙内およびわた状シート上
を細繊維を伝わるように層液状態で流れるので地面に働
く掃流力を滅殺する。 などの土壌浸食防止機能をもち長期にわたり良好な表土
保護効果を示すことが知られている。
【0003】更に植生による表土保護は自然環境復元の
見地から重要であり、上記わた状シートの下に種子、肥
料など植生資材を適用する技術が特許第2893050
号で公知である。これは 1)上記シートにより土壌浸食防止が達成されるので安
定した植生が可能である。 2)わた状シートは、通気通水性に富み各種環境ストレ
スを緩和し土壌を生態的に成熟させるので植生効率が高
い。 3)植物はわた状シートの空隙を押し広げて成長するの
で生育の障害にはならない。 など効果的な植生を図ったものである。
【0004】上記技術は、地勢、気象条件などと適合し
た場合好ましい結果が得られているが、寡雨の時期ある
いは風衝などにより乾燥しやすい地勢や法肩では撥水性
繊維によるわた状シートの優秀な排水機能が降雨後のシ
ートの乾燥を早めまた放射冷却による結露も蒸散しやす
く、水分不足により発芽や生育の遅れを生じやすい問題
がある。
【0005】これを改善するには親水性繊維の採用が考
えられるが、綿、レーヨンなど親水性高分子繊維は湿潤
により弾性率が激減するので当初わた状であっても吸湿
により座屈偏平化し繊維同士が強固に絡み合うためその
後乾燥しても嵩高さを復元できない。このために降雨水
はシートの表面を滑るように早い速度で流下するため乱
流状態となり、シートに浮き現象を生じたりシートと表
土の間に負圧を生じたりして土壌浸食開始の原因とな
る。また偏平化したシートは雨滴衝撃や環境ストレスを
緩和する機能を失う。
【0006】本発明者は、上記問題に対処するととも
に、撥水性わた状シートに親水性である種子、肥料類を
接着することあるいはシートと土壌との馴染みを改善す
ることなどを目的として、撥水性繊維と親水性繊維の混
綿法を試みたが、この方法では双方の特性発現よりも降
雨時の土壌浸食防止性能の著しい低下が見られる結果と
なり、前記目的を達成することができないことが判明し
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の現状
に鑑み、降雨その他環境ストレスに対する表土保護作用
を良好に維持し、かつ植生に必要な保水性を改善した表
土被覆型シート状物の提供を課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、鋭意研究を
行った結果、前記課題を次の手段によって達成し得るこ
とを見出した。 (1)上側表面が撥水性細繊維からなる不織布で、下側
表面が親水性細繊維からなる不織布で、それぞれ実質的
に覆われるとともに、全体が一体化されており、かつ嵩
高であることを特徴とする表土保護・植生用のシート状
物とする。 (2)上記(1)項において、所定の幅を有する長尺な
不織布であって、幅方向に中央で2区分され、一方の区
分を撥水性細繊維、他方の区分を親水性細繊維で形成し
てなる不織布を、斜めに、かつ往復を繰り返すようにし
て折り畳んで部分的に積層して一定の幅を有するシート
状物とするとともに、前記折り畳みの際の折り返しの位
置を、互いに当接して上下に部分的に積層される不織布
において、上層の不織布の長さ方向の一端辺の一点が、
下層の不織布の幅方向を2区分する中央に位置するよう
な箇所において折り返してなるシート状物とする。 (3)上記(1)項において、撥水性細繊維からなる嵩
高な不織布を上層に、親水性細繊維からなる嵩高な不織
布を下層とし、これら両者を一体化してなるものとす
る。 (4)上記(1)項〜(3)項のいずれかにおいて、撥
水性細繊維が、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリ塩化ビニルのうちの1以上の素材からなる
3〜16dtexの繊維であるものとする。 (5)上記(1)項〜(3)項のいずれかにおいて、親
水性細繊維が、レイヨン、溶融紡糸セルローズ、綿、羊
毛、亜麻のうちの1以上の素材からなる2〜7dtex
の繊維であるものとする。 (6)上記(1)項〜(5)項のいずれかにおいて、嵩
高なシート状物が、厚み5〜15mm、目付30〜60
g/mであって、わた状であるものとする。 (7)上記(1)項〜(6)項のいずれかにおいて、撥
水性細繊維、親水性細繊維に、融点が150℃以下であ
る低融点繊維を混合し、熱処理により前記低融点繊維を
溶融して前記細繊維相互、並びに前記細繊維からなる不
織布同士を接合してなるものとする。 (8)上記(1)項、(2)項、(4)項〜(7)項の
いずれかに記載の表土保護・植生用のシート状物を製造
する方法として、所定の幅を有する長尺な不織布として
の梳綿を製造するカード機の原料供給口に、得られる梳
綿の幅方向に中央で2区分して、一方の区分に撥水性繊
維、他方の区分に親水性繊維を、それぞれ供給して得ら
れた梳綿を、交差積層機により、斜めに、かつ往復を繰
り返すようにして折り畳んで部分的に積層して一定の幅
を有する長尺のシート状物とするとともに、折り畳みの
際の折り返しの位置を、互いに当接して上下に部分的に
積層される梳綿において、上層の梳綿の長さ方向の一端
辺が、下層の梳綿の幅方向を2区分する中央に位置する
ような箇所において折り返してシート状物とすることに
よって表土保護・植生用のシート状物を製造する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明は、上側表面が撥水性細繊
維からなる不織布で、下側表面が親水性細繊維からなる
不織布で、それぞれ実質的に覆われるとともに、全体が
一体化されてなり、かつ嵩高であることを特徴とする表
土保護・植生用のシート状物である。その最も簡単な構
造のものとして、撥水性細繊維からなる嵩高な不織布を
上層に、親水性細繊維からなる嵩高な不織布を下層と
し、これら両者を一体化してなる構造のシート状物が挙
げられる。この実施形態のものは、一見、製造方法も簡
単であるかのように見受けられるが、たとえば厚み5〜
15mm、目付30〜60g/mの好ましいわた状シ
ート状物とするには、撥水性、親水性の二種類の不織布
を製造しなければならず、また一体化後の厚み、目付け
を考慮すれば、それぞれは極く薄い不織布となり加工難
度が高くなるなどの問題がある。また、本発明が課題と
する降雨その他環境ストレスに対する表土保護作用を良
好にし、かつ植生に必要な保水性を改善するという点か
らも、両者の積層、特に貼り合わせにおいて加工すれ
ば、嵩高さを失いやすい点で必ずしも充分に満足される
ものではなく、本発明の実施形態の一つではあるが、課
題の達成度からは、下位ランクに位置付けされるもので
ある。
【0010】本発明のシート状物として、最も好ましい
実施形態は、所定の幅を有する長尺な不織布であって、
幅方向に中央で2区分され、一方の区分を撥水性細繊
維、他方の区分を親水性細繊維で形成してなる不織布
を、斜めに、かつ往復を繰り返すようにして折り畳んで
部分的に積層して一定の幅を有するシート状物とすると
ともに、前記折り畳みの際の折り返しの位置を、互いに
当接して上下に部分的に積層される不織布において、上
層の不織布の長さ方向の一端辺の一点が、下層の不織布
の幅方向を2区分する中央に位置するような箇所におい
て折り返してなるシート状物である。
【0011】図1〜図4は、かかる本発明の最も好まし
い実施形態のシート状物を説明するための図面である。
図1は、シート状物(1)を製造するために用いる不織
布(2)の平面図、図2は、前記不織布(2)を用いて
シート状物(1)とする手段を説明するための斜視図、
図3は、得られるシート状物(1)の部分平面図、図4
は、同じくシート状物(1)の部分底面図である。
【0012】本発明のシート状物(1)を製造するに
は、まず、図1に示すように、所定の幅を有する長尺な
不織布(2)であって、幅方向に中央で2区分され、一
方の区分を撥水性細繊維(3)で、他方の区分を親水性
繊維(4)でそれぞれ形成された不織布(2)を製造す
る。次いで、図2に示すように、前記不織布(2)を、
斜めに、かつ往復を繰り返すようにして、部分的に積層
させながら折り畳む。この際、折り返しの位置を、互い
に当接して上下に部分的に積層される不織布において、
上層の不織布(5)の長さ方向の一端辺(5a)の一点
(A点)が、下層の不織布(6)の幅方向を2区分する
中央(B点)に位置するような箇所において折り返す。
同様に、C点がD点に、E点がF点にそれぞれ重なる位
置において折り返し、その後も同様にして往復の折り返
しを繰り返して折り畳むことにより、部分的に積層され
て一定の幅を有するシート状物(1)が得られる。
【0013】シート状物(1)の上側表面は、図3に示
すように、不織布(2)のうち、撥水性細繊維(3)か
らなる部分だけが表面に現われる。一方、シート状物
(1)の下側表面は、図4に示すように、不織布(2)
のうち、親水性細繊維(4)からなる部分だけが表面に
現われる。このように、上側表面が撥水性細繊維(3)
からなる不織布で、下側表面が親水性細繊維(4)から
なる不織布で、それぞれ実質的に覆われた形態とし、全
体を一体化するとともに、嵩高なものとして本発明の表
土保護保護植生用のシート状物(1)が得られる。
【0014】全体を一体化するには、あらかじめ低融点
繊維を親水性細繊維や撥水性細繊維に混合し、熱処理に
より溶融して、前記細繊維相互、並びに前記細繊維から
なる不織布間を接合する方法があげられる。また、本発
明において嵩高なシート状物とは、厚みを5〜15m
m,目付30〜60g/mのものを称する。細繊維よ
り形成される不織布を用いて、シート状物を製造し、前
記の目付の範囲内のものとすることにより、所謂わた状
シート状物が得られる。
【0015】本発明における撥水性細繊維とは、JIS
公定水分率において1%以下のものを称し、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルあるいはポリエス
テルなどがあるが、なかでもポリエステル繊維は、弾性
率が大きいために好ましく使用される。 また親水性細
繊維とは、上記水分率が概ね8%以上のものを称し、
綿、羊毛、亜麻などの天然繊維、レイヨン、溶融紡糸セ
ルローズなどの化学繊維があげられるが、なかでもレイ
ヨン、溶融紡糸セルロースは、吸湿時の寸法安定性や繊
維集合状態における水分保持性に優れており最適であ
る。
【0016】また本発明では、シートは柔軟性を維持し
地表にフィットすること、雨滴衝撃を緩和し流下水の層
流を維持すること、繊維比表面積を大きくして土壌との
絡み合いを図ること、植物シート貫通生育を妨げないこ
となどにより撥水性繊維としては3〜16dtex、親
水性繊維としては2〜7dtex程度の細繊維を使用す
ることが好ましい。
【0017】また、本発明における低融点繊維とは、融
点が150℃以下の繊維を称し、具体的には、低融点ポ
リエステル単一系、ポリエチレンなど低融点樹脂を鞘に
ポリプロピレンなど融点の高い樹脂を芯にした芯鞘型な
どがある。不織布形成後に、熱処理機により低融点繊維
を加熱溶融して構成繊維間を接合して強度を付与する
が、配合量の増加に伴いシートは柔軟性を失うので撥水
性細繊維及び親水性細繊維の基本繊維量の25重量%以
下にすることが好ましい。なお低融点繊維に代えて、融
点が150℃を越える繊維を用いたのでは、熱処理機に
より加熱溶融する際に、撥水性細繊維及び親水性細繊維
の基本繊維を損傷するおそれがある。
【0018】図5に、本発明のシート状物の製造工程の
概念図を示す。カード機は当業界では良く知られた装置
であり、針帯で覆われた円筒と針帯をもつ複数の衛星転
子により進行方向に梳綿する。梳綿は進行方向に整然と
した平行状態の流れとなる。
【0019】先ず撥水性細繊維、親水性細繊維の夫々に
繊維間の接合のための低融点繊維を少量混綿して開綿工
程でほぐした後、計量してカード機へ供給するがこの供
給カード機の幅中心とした左右に別々に行う。カード機
左右に異種原料を分割して供給することは歴史の古い当
業界でも実施された例はない。このような方法によりカ
ード機を経た梳綿は幅方向左右に撥水性と親水性の細繊
維が平行した整然とした流れで構成される。梳綿は幅方
向強度を全く持たないので交差積層機により梳綿を交差
しながら積層して縦横強度のバランスを図ると同時に梳
綿の積層によって所望の製品であるシート状物の厚みを
得る。
【0020】交差積層システムは当業界では公知であ
り、カード機から直線上に進行する梳綿コンベアの先端
に位置する交差積層機のラッパーにより行う。ラッパー
はこれと直角方向に進行する引取りコンベア上を往復ス
イングしながら梳綿をこれに載荷する。この際、引取コ
ンベアは走行しているためにこれに対する梳綿の載荷は
引取り方向と直角にはならない。すなわち引取りコンベ
ア上への梳綿の往復スイング載荷開始点と復路スイング
のための梳綿折り返し点は1振りの間に引取りコンベア
が走行した寸法だけ遅れるため供給梳綿と引取りコンベ
ア上の積層シート状物は一定の折り畳み角で交差するこ
とになり、以下同様な動作を繰り返して積層シート状物
が製造される。
【0021】本発明はこの交差積層において、梳綿の各
折り返し点を直前に載荷した梳綿幅の1/2の位置(撥
水性と親水性梳綿の境界に相当)におき梳綿2往復(4
回振り)すなわち4層の梳綿により積層を完成する。こ
れにより、片面が全面撥水性、他の全面が親水性の細繊
維で構成された積層シート状物が得られる。このような
規則性を利用すれば理論上は梳綿幅の1/4を折り返し
点とする8回振り8層でも可能となるが、本発明では植
生用シート状物を目的とするため積層シート状物の目付
に制約がある。すなわち本発明の表土保護・植生用シー
ト状物は梳綿4層により目付30〜60g/mを得
る。この目付規定の理由は経験上からするもので目付3
0g/m未満では土壌浸食防止機能に乏しく、60g
/mを超えると植物がこれを貫通生育するのに支障と
なる。すなわち上限があるため8層積層のための梳綿は
極薄とする必要があり均一性を欠く。また交差積層の生
産性は4層の1/2となる不都合があり4層積層を最適
としたものである。
【0022】本発明の表土保護・植生用シート状物は表
側が撥水性細繊維から構成されており、主として表土保
護機能を担当し地面側は親水性繊維からなり、保水性能
により発芽、成長を支援する。表側層と地面側層とは繊
維が交絡接合によって一体化されている。
【0023】本発明のシート状物の使用に当っては、適
宜の種子、肥料、土壌改良材などを親水性細繊維下に散
布したり、シート状物下部に添着し、あるいは裏布を設
けてこれらを載荷し、シート状物の下部にミシンなどで
接合したりする。本発明のシート状物をネットで補強す
ることは好ましい。
【0024】本発明のシート状物の好ましい、厚みを5
〜15mm,目付を30〜60g/mとしたのは、厚
みが5mm未満あるいは目付30g/m未満では、雨
滴衝撃を十分吸収できず降雨水管理能力や環境ストレス
緩和機能が不十分である。他方、厚み15mm超過、目
付60g/m超過では、植物生育時にシート状物を貫
通成長することを阻害するので不可である。これらシー
ト状物厚みと目付の関係によりシート空隙率は95〜9
9%相当である。
【0025】図5に示すように、本発明実施のためには
点線で示す装置の追加が必要である。しかしこの種工程
の設備費用は、カード機以降が約80%を占めるので、
別々の不織布装置を設置するよりも、本発明は極めて有
利である。更に不織布をラミネートする高価な設備が不
要になること、また工数や敷地の節減を考慮すれば通常
の複層シート状物の製造方式に比して格段と経済性が高
く、シート状物の利用性は著しく高まる。
【0026】本発明実施の態様は、撥水性、親水性それ
ぞれの原綿に補強用として低融点繊維を少量加えて開綿
(ほぐし)し、必要量を自動計量してカード機の幅方向
左右1/2に両者を区分けして供給する。これによる梳
綿はその進行方向左右に撥水性、親水性細繊維が整然と
平行して区画された態様であり、梳綿コンベアにより交
差積層機に移送される。梳綿の撥水性、親水性部分の目
付割合は適宜調整し得るが、梳綿加工の均一性を維持す
るには、ほぼ同等とすることが好ましい。そして両者に
より構成された梳綿が、4層積層されて、本発明のシー
ト状物の目付となる。
【0027】交差積層機は、梳綿コンベアの先端にあ
り、梳綿コンベア方向に直角に配置された引取りコンベ
ア上に、ラッパーの往復スイングにより梳綿を移す。本
発明では、梳綿の交差積層を以下に述べる特定の条件で
実施する。梳綿の載荷はラッパーの往路スイング開始点
の梳綿と復路スイングの折り返し点の梳綿は、1振りの
間の引取りコンベア走行寸法だけ遅れるため、引取りコ
ンベア上の積層シートは、一定のV字状の折り畳み角で
交差することになる。本発明では、この梳綿の折り返し
点を、直前載荷した梳綿幅の1/2の位置(すなわち撥
水性と親水性梳綿の境界)におく。このような交差積層
作業を実施すれば1往復2層で常に撥水性部分が表面、
親水性部分が裏面の複層シートが得られる。このような
交差積層を連続することにより、往復2回(4層積層)
の目的とするシート状物が得られる。交差積層したシー
ト状物は、必要であれば両端をトリミングし、添加した
低融点繊維を熱処理機で溶融して、構成繊維間および撥
水性、親水性層間を緩やかに接合し、表土保護・植生シ
ート状物が得られる。
【0028】
【実施例】撥水性細繊維として3.3と6.6dtex
のポリエステル短繊維、親水性細繊維として3.3dt
exのセルロース溶液紡糸繊維(英 アコーデス社商品
名テンセル)のそれぞれに15%量の低融点繊維を加え
て開綿した。48インチカード機の中心から左右に撥水
性、親水性細繊維を別々に6g/m相当量を供給し1
20cm幅、12g/m相当目付の梳綿を得た。この
梳綿から幅110cmの交差積層シート状物を得るた
め、ラッパー1振りの間の引取りコンベア移動寸法を6
0cmとして、このコンベア上の梳綿の中心線において
折り畳みを開始するようにラッパーの振り速度を調製
し、スイング2往復(4回振り)を連続実施して4層の
梳綿からなる48g/mの積層シート状物を得た。シ
ート状物の片側は、実質的に全面が撥水性細繊維でまた
その裏は親水性細繊維で構成されていた。このシートを
加熱機により低融点繊維溶融により強度を付与後両端を
トリミングして表土保護・植生用シート状物とした。
【0029】(流水試験)本発明のシート状物と、撥水
性であるポリエステル繊維のみよりなる従来シート状物
とを比較試験を行った。 装置 有効斜面長:220cm 有効幅:55cm 傾
斜角:30 方法 土壌として沖縄赤土を敷詰めこの上をシート状物
で被覆し装置上端から流水し、土壌の破壊開始の限界流
量とその流速測定
【0030】
【表1】
【0031】両シート状物とも厚み8mm,目付48g
/m相当のものを使用したが、本発明のシート状物の
土壌破壊時間降雨量は、従来シート状物の85%となっ
た。しかし現実にはこのような豪雨は過去例がなく、記
録的大雨でも60〜80mm程度の時間降雨量である。
従って本発明のシート状物は表土保護能力を十分保持し
ている。
【0032】(植生試験)上記と同じ両シート状物を用
い、シート状物の下に種子、肥料を装着して植生試験を
実施した。 方法 :温室内、3日ごとに灌水 植生資材:種子 トールフェスク クリーピングレッドフェスク 肥料 N−P−K 10−10−10 高度化成
【0033】
【表2】
【0034】本発明のシート状物の水分保持効果により
植生改善効果は顕著であった。
【発明の効果】本発明によれば、次のような効果を奏す
る。 1)請求項1記載の発明によれば、降雨その他環境スト
レスに対する表土保護作用を良好に維持し、かつ植生に
必要な保水性を充分に保持することができる。 2)請求項2記載の発明によれば、本発明の課題を高度
に達成するシート状物を容易に得ることができる。 3)請求項3記載の発明によれば、本発明のシート状物
を手軽に得ることができる。 4)請求項4記載の発明によれば、極めて良好な表土保
護作用を有する本発明のシート状物を得ることができ
る。 5)請求項5記載の発明によれば、極めて良好な保水性
を有する本発明のシート状物を得ることができる。 6)請求項6記載の発明によれば、植物の発芽及び成長
を阻害しない植生上優れた本発明のシート状物を得るこ
とができる。 7)請求項7記載の発明によれば、シート状物の全体が
容易に一体化されたものとなる。 8)請求項8記載の発明によれば、本発明の課題を高度
に達成するシート状物を能率的に製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】シート状物を製造するために用いる不織布の平
面図である。
【図2】前記不織布を用いてシート状物とする手段を説
明するための斜視図である。
【図3】得られたシート状物の部分平面図である。
【図4】同じくシート状物の部分底面図である。
【図5】シート状物の製造工程の概念図である。
【符号の説明】
(1)シート状物 (2)不織布 (3)撥水性細繊維 (4)親水性細繊維 (5)上層の不織布 (5a)一端辺 (6)下層の不織布
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) E02D 17/20 102 E02D 17/20 102B Fターム(参考) 2B022 AB02 BA23 BB03 2D044 DA13 4F100 AJ02B AJ05B AJ08B AK04A AK07A AK15A AK41A BA02 BA13 DG01A DG01B DG15A DG15B DG17A DG17B GB01 JA04A JA04B JB05B JB06A 4L047 AA08 AA09 AA12 AA14 AA15 AA21 AB07 AB10 BA09 CA05 CA19 CB07 CC10 EA22

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上側表面が撥水性細繊維からなる不織布
    で、下側表面が親水性細繊維からなる不織布で、それぞ
    れ実質的に覆われるとともに、全体が一体化されてな
    り、かつ嵩高であることを特徴とする表土保護・植生用
    のシート状物。
  2. 【請求項2】 所定の幅を有する長尺な不織布であっ
    て、幅方向に中央で2区分され、一方の区分を撥水性細
    繊維、他方の区分を親水性細繊維で形成してなる不織布
    を、斜めに、かつ往復を繰り返すようにして折り畳んで
    部分的に積層して一定の幅を有するシート状物とすると
    ともに、前記折り畳みの際の折り返しの位置を、互いに
    当接して上下に部分的に積層される不織布において、上
    層の不織布の長さ方向の一端辺の一点が、下層の不織布
    の幅方向を2区分する中央に位置するような箇所におい
    て折り返してなることを特徴とする請求項1記載の表土
    保護・植生用のシート状物。
  3. 【請求項3】 撥水性細繊維からなる嵩高な不織布を上
    層に、親水性細繊維からなる嵩高な不織布を下層とし、
    これら両者を一体化してなることを特徴とする請求項1
    記載の表土保護・植生用シート状物。
  4. 【請求項4】 撥水性細繊維が、ポリエステル、ポリエ
    チレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルのうちの1以
    上の素材からなる3〜16dtexの繊維であることを
    特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表土保護・
    植生用のシート状物。
  5. 【請求項5】 親水性細繊維が、レイヨン、溶融紡糸セ
    ルローズ、綿、羊毛、亜麻のうちの1以上の素材からな
    る2〜7dtexの繊維であることを特徴とする請求項
    1〜4のいずれかに記載の表土保護・植生用のシート状
    物。
  6. 【請求項6】 嵩高なシート状物が、厚み5〜15m
    m、目付30〜60g/mであって、わた状であるこ
    とを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の表土保
    護・植生用のシート状物。
  7. 【請求項7】 撥水性細繊維、親水性細繊維に、融点が
    150℃以下である低融点繊維を混合し、熱処理により
    前記低融点繊維を溶融して前記細繊維相互、並びに前記
    細繊維からなる不織布同士を接合してなることを特徴と
    する請求項1〜6のいずれかに記載の表土保護・植生用
    のシート状物。
  8. 【請求項8】所定の幅を有する長尺な不織布としての梳
    綿を製造するカード機の原料供給口に、得られる梳綿の
    幅方向に中央で2区分して、一方の区分に撥水性繊維、
    他方の区分に親水性繊維を、それぞれ供給して得られた
    梳綿を、交差積層機により、斜めに、かつ往復を繰り返
    すようにして折り畳んで部分的に積層して一定の幅を有
    する長尺のシート状物とするとともに、折り畳みの際の
    折り返しの位置を、互いに当接して上下に部分的に積層
    される梳綿において、上層の梳綿の長さ方向の一端辺
    が、下層の梳綿の幅方向を2区分する中央に位置するよ
    うな箇所において折り返してシート状物とすることを特
    徴とする請求項1,2,4〜7のいずれかに記載の表土
    保護・植生用のシート状物の製造方法。シート状物。
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