JP2002198072A - 固体高分子型燃料電池 - Google Patents

固体高分子型燃料電池

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JP2002198072A
JP2002198072A JP2000394849A JP2000394849A JP2002198072A JP 2002198072 A JP2002198072 A JP 2002198072A JP 2000394849 A JP2000394849 A JP 2000394849A JP 2000394849 A JP2000394849 A JP 2000394849A JP 2002198072 A JP2002198072 A JP 2002198072A
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Masashi Fujitsuka
正史 藤塚
Hisashi Shioda
久 塩田
Shuichi Matsumoto
秀一 松本
Hisatoshi Fukumoto
久敏 福本
Koji Hamano
浩司 浜野
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Mitsubishi Electric Corp
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Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造が容易で低コスト化が可能な固体高分子
型燃料電池を提供する。 【解決手段】 電極基材と触媒層とを有する燃料極4お
よび酸化剤極5からなる一対のガス拡散電極間に前記触
媒層を介して固体高分子電解質膜3を挟持させてなり、
水素を含む燃料ガスおよび酸素を含む酸化剤ガスの電気
化学反応によって発電する電池部2を、セパレータ6,
7を介して複数積層し、前記燃料極側に燃料ガスを供給
する燃料流通層6bと、前記酸化剤極側に酸化剤ガスを
供給する酸化剤流通層7bとを、前記電池部またはセパ
レータに備え、前記セパレータを介して隣接する電池部
を電気的に接続する固体高分子型燃料電池において、前
記セパレータ6,7、燃料流通層6bまたは酸化剤流通
層7bの少なくとも一部に電子伝導性ポリマーを用い
た。または、電子伝導性ポリマーからなる層を前記セパ
レータと燃料極または酸化剤極との間に配置した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体高分子電解質
膜を用いた燃料電池に関し、特に、その積層構造および
構成材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】燃料電池は、水素などの燃料と空気など
の酸化剤とを電気化学的に反応させることで、燃料の持
つ化学的エネルギーを直接電気エネルギーへ変換する装
置であり、使用する電解質の種類により、りん酸型、溶
融炭酸塩型、固体酸化物型、固体高分子型などが知られ
ている。特に近年は、低温(常温〜100℃程度)で作
動し、低温の割に発電効率が高い固体高分子型燃料電池
が注目されている。固体高分子型燃料電池は、分子中に
プロトン交換基を有する固体高分子膜を飽和状態まで含
水させるとイオン(プロトン)伝導性が生じることを利
用した燃料電池である。イオン伝導性が生じる固体高分
子膜としては、例えば、プロトン交換膜であるパーフル
オロカーボンスルホン酸(登録商標:ナフィオンR:米
国、デュポン社)が良く知られている。
【0003】従来技術1.従来の固体高分子型燃料電池
の一般的な構造は、電極基材と触媒層とを有する燃料極
および酸化剤極からなる一対のガス拡散電極間に触媒層
を介してイオン(プロトン)伝導性を有した固体高分子
電解質膜を挟持させてなり、水素を含む燃料ガスおよび
酸素を含む酸化剤ガスの電気化学反応により発電する電
池部を、前記燃料極および酸化剤極に燃料ガスおよび酸
化剤ガスをそれぞれ供給するための溝を有するセパレー
タを介して複数積層し、燃料電池スタックとしたもので
ある。上記構造におけるセパレータには、隣接する電池
部へ電気を流す必要から電子伝導性が要求されると共
に、隣接する電池部へ供給されている燃料ガスと酸化剤
ガスとを混合させないようにする必要からガス不透過性
が要求され、従来は上記要求を満たす材料として焼結し
たカーボンから切り出して燃料ガスおよび酸化剤ガス供
給用の溝を付けたカーボン板を用いるのが一般的であっ
た。
【0004】従来技術2.また、特開2000−164
228号公報「固体高分子電解質型燃料電池のセパレー
タおよびその製造方法」には、ステンレス鋼、銅、アル
ミニウム、チタンなどの金属の表面を、低電気抵抗性
層、耐食性層または耐剥離性層のうちの2層以上からな
る多層構造のコーティング層で被覆したセパレータが記
載されており、セパレータのコストを低減できるだけで
なく、抵抗による電圧低下を防止し、反応ガスまたは飽
和水蒸気雰囲気による腐食を防止するとともに、燃料電
池のコンパクト化および軽量化を図ることができるもの
として提示されている。なお、低電気抵抗性層、耐食性
層または耐剥離性層は、カーボン材料の電気抵抗である
1000μΩcm2以下の電気抵抗を有するNi、F
e、Co、Bなどの材料を用い、真空蒸着法やイオンプ
レーティング法などの物理蒸着法や、熱CVD法やプラ
ズマCVD法などの化学蒸着法などにより形成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の固体高分子型燃
料電池は以上のように構成されており、従来技術1の、
セパレータにカーボン板を用いるものでは、カーボン材
料そのものも決して安価ではない他、数百度から千数百
度で焼結することが必要である上、焼結したカーボンの
固まりから例えば薄い平板状に切り出し、さらに平板の
表面にガス流路の溝を削るなどの加工が必要であり、そ
の加工のためには、高温で焼結したり加工したりする時
間と手間、および硬い上に薄いと割れやすいカーボン板
を割れないように加工する高度な加工技術を要する。こ
のように、製造が容易ではなく、したがって、非常に高
価となり、低コスト化することが困難であった。
【0006】また、従来技術2の、セパレータとして低
電気抵抗性層、耐食性層または耐剥離性層のうちの2層
以上からなる多層構造のコーティング層で被覆した金属
板を用いるものでは、金属板の表面に、物理蒸着、化学
蒸着などの方法によってミクロン単位のコーティングを
少なくとも2回施さねばならず、加工に時間がかかり、
しかも真空装置などの専用の設備が必要であるなど、製
造が容易ではなく、やはり低コスト化には限界があっ
た。また、金属板の表面にコーティングする材料自体も
金属系であり、金属板の表面と酸化剤ガスの接触面など
で低電位腐食(酸化)により金属板に穿孔が空いてガス
漏れが生じたり、金属イオンの溶出は抜本的には防止で
きていないため、溶出した金属イオンが燃料極や酸化剤
極あるいは固体高分子電解質膜に入り、陽イオン(負イ
オン)であれば空気極(酸化剤極)側の表面で析出や固
着するなどして、本来の燃料電池の反応を阻害し、燃料
電池としての発電効率を低下させたり、起電力が低下し
て燃料電池での発電が効率良くできなくなるまでの寿命
が短くなるなどの問題点があった。
【0007】また、固体高分子型燃料電池は、燃料ガス
の種類および運転条件などで性能が大きく異なるが、一
般的に電流密度が200〜1000mA/cm2である
時に1枚の電池部の電圧は0.6〜0.8V程度であ
る。仮に電流密度が500mA/cm2、単電池の電圧
が0.8V、電極面積が100cm2の場合、例えば家
庭用の発電装置として1kW程度を得ようとすれば、電
池部25枚を積層した燃料電池スタックとなり、電流5
0A、電圧20Vとなる。これを交流100Vの電源へ
変換するためには、直流電圧として百数十Vへ昇圧する
必要などがあり、変換ロスが大きくなったり、昇圧する
ための機器が大きくなったりするという問題点がある。
また、燃料電池スタックからの電圧を上げるために、電
極面積を小さくして積層数を増加する方法もあるが、電
極面積を小さくしても、燃料電池スタックへガスを供給
する流路および積層面を両端で押さえる機構は同様に必
要であり、積層体の面積は電極面積ほど小さくはなら
ず、コンパクト化する際の問題点となるのに加え、積層
数が増えると部品点数と組立工数が増加するため、製造
が容易ではなく、低コスト化できないという問題点があ
った。
【0008】本発明は上記のような従来のものの問題点
を解決するためになされたものであり、製造が容易で低
コスト化が可能な固体高分子型燃料電池を提供すること
を第1の目的とする。
【0009】また、燃料電池スタックにおける単電池の
積層数を増加させたり、電極面積を減少させたりせず
に、燃料電池から出力される電気的出力を高電圧化ある
いは低電流化することが可能な固体高分子型燃料電池を
提供することを第2の目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係る固体高分子
型燃料電池は、電極基材と触媒層とを有する燃料極およ
び酸化剤極からなる一対のガス拡散電極間に前記触媒層
を介して固体高分子電解質膜を挟持させてなり、水素を
含む燃料ガスおよび酸素を含む酸化剤ガスの電気化学反
応によって発電する電池部を、セパレータを介して複数
積層し、前記燃料極側に燃料ガスを供給する燃料流通層
と、前記酸化剤極側に酸化剤ガスを供給する酸化剤流通
層とを、前記電池部またはセパレータに備え、前記セパ
レータを介して隣接する電池部を電気的に接続する固体
高分子型燃料電池において、前記セパレータ、燃料流通
層または酸化剤流通層の少なくとも一部に電子伝導性ポ
リマーを用いたものである。
【0011】また、電極基材と触媒層とを有する燃料極
および酸化剤極からなる一対のガス拡散電極間に前記触
媒層を介して固体高分子電解質膜を挟持させてなり、水
素を含む燃料ガスおよび酸素を含む酸化剤ガスの電気化
学反応によって発電する電池部を、セパレータを介して
複数積層し、前記燃料極側に燃料ガスを供給する燃料流
通層と、前記酸化剤極側に酸化剤ガスを供給する酸化剤
流通層とを、前記電池部またはセパレータに備える固体
高分子型燃料電池において、電子伝導性ポリマーからな
る層を前記セパレータと燃料極または酸化剤極との間に
配置したものである。
【0012】また、互いに隣接する一方の電池部の燃料
極側に配置された電子伝導性ポリマーからなる層と、他
方の電池部の酸化剤極側に配置され前記層とセパレータ
を介して隣接する電子伝導性ポリマーからなる層とが電
気的に接続されているものである。
【0013】また、電池部とセパレータとを積層した単
電池をその積層面と平行な面内で少なくともガス拡散電
極と電子伝導性ポリマーからなる層について複数の小単
電池に分割し、異なる小単電池における燃料極側の電子
伝導性ポリマーからなる層と酸化剤極側の電子伝導性ポ
リマーからなる層とを接続し、少なくとも一部の小単電
池を直列に接続したものである。
【0014】
【発明の実施の形態】実施の形態1.以下、本発明の実
施の形態1による固体高分子型燃料電池について図1お
よび図2を基に説明する。図1および図2は、本発明の
実施の形態1による固体高分子型燃料電池の要部の構成
を模式的に示す図であり、図1は分解斜視図、図2は断
面図である。図1および図2において、1は単電池、2
は電池部、3はイオン伝導性を有する固体高分子電解質
膜、4はアノード電極(燃料極)、4aはアノードカー
ボンシート(燃料極基材)、4bはアノード触媒層、5
はカソード電極(酸化剤極)、5aはカソードカーボン
シート(酸化剤極基材)、5bはカソード触媒層、6は
アノードセパレータ、6aは電子伝導性ポリマーからな
るアノードセパレータ基材、6bは燃料流通層、6b1
は燃料流路壁、6b2は燃料ガス流路、6cは冷却剤流
通層、6c1は冷却剤流路壁、6c2は冷却剤流路、7
はカソードセパレータ、7aは電子伝導性ポリマーから
なるカソードセパレータ基材、7bは酸化剤流通層、7
b1は酸化剤流路壁、7b2は酸化剤ガス流路、8は水
素を含む燃料ガス、9は酸素を含む酸化剤ガス、10は
水、不凍液などの冷却剤である。
【0015】イオン伝導性を有するシート状の固体高分
子電解質膜3がアノード電極4およびカソード電極5に
挟持された電池部2を、アノードセパレータ6およびカ
ソードセパレータ7を介して複数積層し、アノード電極
4に燃料ガスを供給する燃料流通層6bと、カソード電
極5に酸化剤ガスを供給する酸化剤流通層7bとをそれ
ぞれアノードセパレータ6およびカソードセパレータ7
に備えて燃料電池スタックが構成されている。また、本
実施の形態では、アノードセパレータ6に、発電に伴う
発熱を冷却する冷却剤を流通する冷却剤流通層6cを備
えている。なお、単電池1は、電池部2を挟んで燃料流
通層6bを有するアノードセパレータ6と酸化剤流通層
7bを有するカソードセパレータ7とが積層されて構成
されている。イオン伝導性を有した固体高分子電解質膜
2としてより詳しくは、例えばプロトン交換膜であるパ
ーフルオロカーボンスルホン酸(登録商標:ナフィオン
R:米国、デュポン社)を用いている。
【0016】アノードセパレータ6は、電子伝導性ポリ
マーからなるアノードセパレータ基材6aの両面に、ア
ノード電極4に燃料ガス8を供給するための燃料流通層
6bと、電池部2での発電反応による発熱を冷却するた
めの冷却剤10を流通する冷却剤流通層6cとをそれぞ
れ備えている。カソードセパレータ7は、電子伝導性ポ
リマーからなるカソードセパレータ基材7aの片面にカ
ソード電極5に酸化剤ガス9を供給するための酸化剤ガ
ス流通層7bを備えており、もう一方の面は、単電池1
を複数積層した際の隣接した単電池1の冷却剤流通層6
cに接している。
【0017】アノードセパレータ基材6aおよびカソー
ドセパレータ基材7aはともに、ガス不透過性と電子伝
導性を有し、薄くシート状にした電子伝導性ポリマーで
形成されている。より詳しくは、電子伝導性ポリマー
は、ポリアセチレン(PA)、ポリピロール(PP
y)、ポリチオフェン(PTy)、ポリフェニレンビニ
レン(PPV)、ポリアセン、ポリチェニレンビニレ
ン、ポリアニリンなどに代表される共役構造を持った高
分子中に電子供与性または電子受容性を有する物質(た
とえばI3 -、AsF6 -、ClO4 -など)を少量添加(ド
ーピング)することで得られるものであり、高分子内の
構造に沿ってπ電子が自由に動くようになることで、電
子伝導性を示すものであり、電子伝導性ポリマーの電気
抵抗は10〜1000μΩcm程度であり、焼結したカ
ーボン板(1000μΩcm程度)と同程度以下であ
る。
【0018】電子伝導性ポリマーの製造方法としては、
例えば、ポリチェニレンビニレンやポリフェニレンビニ
レンに電子伝導性を持たせる場合、前駆体としてのチェ
ニレンビニレン、フェニレンビニレンをメタノールに混
ぜた(溶かした)前駆体溶液を基材(基材の材料として
は、金属や既に製造した電子伝導性ポリマーや電子伝導
性のない材料でもよい。)に塗布し、加熱下(200〜
300℃程度)および塩化水素気流下(塩素をドーピン
グする)で静置することで重合膜が生成される方法が知
られている。また、ポリアニリンに電子伝導性を持たせ
る場合、モノマーのアセトニトリル溶液に電解質(過塩
素酸塩や塩酸など)を入れて基材(この場合、電子伝導
性を有する材料である必要がある。)の表面で電解重合
する方法が知られている。
【0019】また、電子伝導性ポリマーとしては、上記
のような共役構造を持った高分子ではなく、それ自体で
は高い電子伝導性を有さないプラスチック(例えば、ポ
リエチレン、ポリプロピレンなど)に例えばカーボンな
どを混合して電子伝導性を持たせるようにしたものでも
よい。
【0020】なお、アノードセパレータ基材6aまたは
カソードセパレータ基材7aは、電子伝導性ポリマーか
らなるシート状のものを、複数枚重ねたり、少なくとも
1辺を1回以上折り曲げて積層方向に少なくとも2重と
なるようにしていてもよい。これにより構造上の強度を
より上げることができる。
【0021】燃料流通層6bは、電子伝導性を有した例
えば扁平で細長い角棒状あるいは薄く細長いシート状の
炭素部材を櫛の歯状に並べた燃料流路壁6b1をアノー
ドセパレータ基材6aに接着して構成されており、アノ
ードセパレータ基材6aとアノード電極4と燃料流路壁
6b1との間の隙間空間が燃料ガス流路6b2となって
燃料ガス8が流れる構造になっている。
【0022】酸化剤流通層7bは、電子伝導性を有した
例えば扁平で細長い角棒状あるいは薄く細長いシート状
の炭素部材を櫛の歯状に並べた酸化剤流路壁7b1をカ
ソードセパレータ基材7aに接着して構成されており、
カソードセパレータ基材7aとカソード電極5と酸化剤
流路壁7b1との間の隙間空間が酸化剤ガス流路7b2
となって酸化剤ガス9が流れる構造となっている。な
お、燃料ガス8と酸化剤ガス9とは、積層面で交錯して
流れるように燃料ガス流路6b2と酸化剤ガス流路とが
構成されている。
【0023】冷却剤流通層6cは、電子伝導性を有した
例えば扁平で細長い角棒状あるいは薄く細長いシート状
の炭素部材を櫛の歯が交互にはめ込まれたように並べた
冷却剤流路壁6c1をアノードセパレータ基材6aの燃
料流通層6bとは逆の面に接着して構成されており、ア
ノードセパレータ基材6aと冷却剤流路壁6c1と隣接
した単電池1のカソードセパレータ基材7aとの間の蛇
行した隙間空間が冷却剤流路6c2となって冷却剤10
が流れる構造となっている。
【0024】固体高分子電解質膜3を挟んで一方側に配
置されるアノード電極4は、アノードカーボンシート4
aとアノード触媒層4bとからなり、他方側に配置され
るカソード電極5は、カソードカーボンシート5aとカ
ソード触媒層5bとから形成されている。アノードカー
ボンシート4aおよびカソードカーボンシート5aに
は、多孔性低密度の炭素繊維を薄いシート状にしたもの
を用いており、ガス透過性および電子伝導性を有してい
る。アノード触媒層4bおよびカソード触媒層5bは、
白金やルテニウムなどの触媒を炭素粒子に付着させたも
のをペースト状にして固体高分子電解質膜3またはアノ
ードカーボンシート4aまたはカソードカーボンシート
5aに塗布するかまたは含浸させた層であり、この触媒
層で後述する燃料電池の反応が生じている。
【0025】なお、燃料電池スタックを構成する部材間
の各接触部分には、図示しない炭素粒子をペースト状に
したものを塗布して、接触抵抗をより低減するようにし
ていてもよい。
【0026】また、各部の積層方向の厚みについては一
例として、固体高分子電解質膜3は50μm程度、アノ
ード触媒層4bおよびカソード触媒層5bはそれぞれ1
0μm程度、アノードカーボンシート4aおよびカソー
ドカーボンシート5aはそれぞれ数百μm程度、アノー
ドセパレータ基材6aおよびカソードセパレータ基材7
aはそれぞれ数十μm〜数百μm程度、燃料流通層6
b、酸化剤流通層7bおよび冷却剤流通層6cは数百μ
m程度である。
【0027】次に、上記のように構成された本発明の実
施の形態1による固体高分子型燃料電池の動作について
説明する。アノード電極4に燃料流通層6bを介して水
素を含む燃料ガス8を、カソード電極5に酸化剤流通層
7bを介して酸素を含む酸化剤ガス9をそれぞれ供給す
ると、電池部2の一対のアノード電極4とカソード電極
5の間における電気化学反応により起電力が生じる。こ
の時の単電池1の起電力は、取り出す電流や運転条件
(ガス成分濃度、圧力、温度など)によって変化する
が、0.6V(高電流密度時)〜1.1V(開放電圧)
程度である。
【0028】また、この時、アノード電極4では、供給
された水素はアノードカーボンシート4aを通ってアノ
ード触媒層4bに達した後、水素イオンと電子に解離し
(アノード反応)、水素イオンは固体高分子電解質膜3
を通ってカソード電極5へ移動する。また電子は、アノ
ード電極4、燃料流路壁6b1、アノードセパレータ基
材6a、冷却剤流路壁6c1、隣接した単電池1のカソ
ードセパレータ基材7aへと移動する。この時、単電池
1が複数積層された燃料電池スタックでは積層端部にあ
るアノードセパレータ基材6aともう一方の積層端部に
あるカソードセパレータ基材7aが集電板を介して外部
の電気回路へ接続されていれば、電子が一巡するので、
電子の流れでは、隣接した単電池1のカソードセパレー
タ基材7aは自身の単電池1のカソードセパレータ基材
7aと同義であり、結局、電子は酸化剤流路壁7b1を
介して、カソード電極5へと移動したことになる。この
結果、燃料電池スタックの外部の電気回路を通った電子
は電流となり、単電池1および燃料電池スタックから電
力を発生することができる。
【0029】一方、カソード電極5では、供給された酸
素はカソードカーボンシート5aを通ってカソード触媒
層5bに達した後、上記アノード反応で放出された水素
イオンおよび電子を受け取って酸素と反応し、水を生成
する(カソード反応)。この時、生成された水は未反応
ガスとともに電池外へ排出される。
【0030】アノード電極4側では、供給された燃料ガ
ス8中に水素以外の未反応成分がある場合は当然、未反
応成分または未反応ガスなどを常時電池外へ排出するこ
とが必要である。また燃料ガス8が完全に純粋な水素
(実際にはあり得ないが)であっても、固体高分子電解
質膜3の表面から水蒸気が蒸発する上、電池部2での水
素の消費量が100%ではない方が電圧が高い、すなわ
ち発電効率が高くなるので、一定量を燃料流路6b2の
出口から入口へ循環することが一般的であり、未反応成
分または未反応ガスなどを常時電池外へ排出することが
必要である。
【0031】また、固体高分子電解質膜3内において
は、水素イオンは、複数の水分子と結合した水和イオン
のかたちでスルホン酸基の間を移動するものとされてお
り、固体高分子電解質膜3は常に水を含んでいることが
要求される。固体高分子電解質膜3での含水量が下がる
と、イオン抵抗が高くなり、また燃料ガス8と酸化剤ガ
ス9とが固体高分子電解質膜3を抜けて混合するクロス
オーバ現象が生じるなどして、単電池1での発電が困難
となる。そのため、図示しない加湿器あるいは加湿層に
よって予め加湿した燃料ガス8および酸化剤ガス9を供
給することが一般的に行われている。
【0032】また、この燃料電池スタックは、発電に伴
って発熱を生じるので、各単電池1毎に設置した冷却剤
流通層6cに水または不凍液を流して発熱した分を除去
するようにしている。これにより、またはさらに冷却剤
10の流量を制御するなどして、この燃料電池スタック
は定常時においては動作温度を70〜90℃に維持して
いる。
【0033】以上説明したように、本実施の形態では、
セパレータ基材(アノードセパレータ基材6aおよびカ
ソードセパレータ基材7a)を、ガス不透過性と電子伝
導性を有し、薄くシート状にした電子伝導性ポリマーで
構成し、そのセパレータ基材の一方の面に電子伝導性を
有した例えば扁平で細長い角棒状あるいは薄く細長いシ
ート状の炭素部材を櫛の歯状に並べた流路壁(燃料流路
壁6b1および酸化剤流路壁7b1)を接着してガス流
通層(燃料流通層6bおよび酸化剤流通層7b)を構成
し、さらに、アノードセパレータ基材6aの他方の面に
電子伝導性を有した例えば扁平で細長い角棒状あるいは
薄く細長いシート状の炭素部材を櫛の歯が交互にはめ込
まれたように並べた冷却剤流路壁6c1を接着して冷却
剤流通層6cを構成しており、このようなアノードセパ
レータ6およびカソードセパレータ7は、金属イオンの
溶出および水蒸気などによる腐食がないかあるいは抑制
する(金属をドーピングした場合でも絶対量は少ないの
で)ことができ、さらに、燃料ガス流路6b2または酸
化剤ガス流路7b2または冷却剤流路6c2を形成した
りする際に、焼結したカーボン板を用いる時のように、
硬く割れやすい部材を薄く平板状に削り出し、さらに溝
を掘るなどの高度な加工技術を要さないので、自由な形
状およびパターンで容易にしかも安価に加工を施すこと
ができる。したがって、燃料電池スタックすなわち固体
高分子型燃料電池の製造が容易となり、低コスト化する
ことができる。
【0034】実施の形態2.図3は本発明の実施の形態
2による固体高分子型燃料電池の要部の構成を模式的に
示す断面図であり、具体的にはカソードセパレータの周
辺を示している。その他の構成は実施の形態1と同じで
ある。実施の形態1では、燃料流路壁6b1、酸化剤流
路壁7b1および冷却剤流路壁6c1を形成する壁面材
として炭素材を用いているが、本実施の形態では炭素材
の代わりに電子伝導性ポリマーを用いている。この際、
流路の厚み調節のため、薄く細長いシート状の電子伝導
性ポリマーを複数枚重ねるかまたは1回以上折り曲げた
ものを櫛の歯状に並べてもよい。図3(a)は複数枚重
ねた場合、(b)は折り曲げた場合をそれぞれ示してい
る。なお、図ではカソードセパレータの周辺を示してい
るが、アノードセパレータについても同様である。
【0035】上記のように構成されたものにおいても、
実施の形態1の場合と同様に、金属イオンの溶出および
水蒸気などによる腐食がないかまたは抑制でき、しか
も、電子伝導性およびガス不透過性を備えている。さら
に、燃料ガス流路6b2または酸化剤ガス流路7b2ま
たは冷却剤流路6c2を形成したりする際に、焼結した
カーボン板を用いる時のように、硬く割れやすい部材を
薄く平板状に削り出し、さらに溝を掘るなどの高度な加
工技術を要さないので、自由な形状およびパターンで容
易にしかも安価に加工を施すことができる。したがっ
て、燃料電池スタックすなわち固体高分子型燃料電池の
製造が容易となり、低コスト化することができる。
【0036】なお、扁平で細長い角棒状あるいは薄く細
長いシート状の電子伝導性ポリマーを櫛の歯状に並べる
代わりに、積層面と同一の面積をもったシート状の電子
伝導性ポリマーから、流路部分を切り抜いたものであっ
てもよい。
【0037】なお、本実施の形態において、平板である
アノードセパレータ基材6aまたはカソードセパレータ
基材7aには、実施の形態1で示した電子伝導性ポリマ
ーを用いる代わりに、従来技術1に示したものと同様の
カーボン板を用いることも可能である。この場合には、
カーボン板に流路のための溝を形成する必要はないの
で、溝を彫らない分だけ加工は容易である。
【0038】なお、上記実施の形態1および2では、ア
ノードセパレータ基材6aと燃料流路壁6b1または冷
却剤流路壁6c1、カソードセパレータ基材7aと酸化
剤流路壁7b1を分離して別体に構成しているが、材料
に電子伝導性ポリマーを用いた一体型で成形してもよ
い。その方法としては、例えば電子伝導性ポリマーを型
に流し込んだり、あるいは電子伝導性ポリマーからなる
厚めの平板の表面を削って、アノードセパレータ6また
はカソードセパレータ7の表面に燃料ガス流路6b2ま
たは酸化剤ガス流路7b2または冷却剤流路6c2を成
形する。この場合、上記実施の形態1と同様な効果を奏
する上、セパレータ基材と流路壁との接触部がなくなる
ので接触抵抗がなく、アノードセパレータ6およびカソ
ードセパレータ7の電気抵抗をより一層低減することが
でき、燃料電池スタックすなわち固体高分子型燃料電池
の起電力を上げられるようになり、高性能化することが
できる。
【0039】実施の形態3.図4は本発明の実施の形態
3による固体高分子型燃料電池の要部の構成を模式的に
示す断面図であり、具体的にはアノードセパレータの周
辺を示している。図4において、6a1はアノードセパ
レータ構造材、6a2はシート状の電子伝導性ポリマー
からなるアノードセパレータ表面材である。本実施の形
態では、アノードセパレータ基材6aが、アノードセパ
レータ構造材6a1と電子伝導性ポリマーからなるアノ
ードセパレータ表面材6a2とから構成されているとこ
ろが実施の形態1または2と異なっており、他の構成は
実施の形態1または2と同様である。
【0040】図4(a)では、アノードセパレータ構造
材6a1は、電子伝導性を有する金属材料(例えば鉄、
銅、合金など)からなる平板であり、燃料流通層6bに
接した方の面に電子伝導性ポリマーからなるシート状の
アノードセパレータ表面材6a2を積層している。この
時、アノードセパレータ構造材6a1とシート状のアノ
ードセパレータ表面材6a2とを接着などにより付着さ
せてもよい。また、アノードセパレータ構造材6a1
を、実施の形態1で電子伝導性ポリマーを製造する方法
で説明した基材として用い、電子伝導性ポリマー製造時
に一体化して製造したものであってもよい。このよう
に、燃料流通層6bに接した方の面にアノードセパレー
タ表面材6a2を積層することにより、アノードセパレ
ータ構造材6a1として金属材料を用いた場合にも、そ
の金属材料が燃料ガス8に直接接するのを阻止し、金属
イオンの固体高分子電解質膜3側への溶出および燃料ガ
ス8中の水蒸気などによる金属面の腐食を防止すること
ができる。
【0041】したがって、上記のように構成されたアノ
ードセパレータ6は、実施の形態1の場合と同様に、金
属イオンの溶出および水蒸気などによる腐食がないかあ
るいは抑制することができ、しかも、電子伝導性および
ガス不透過性を備えている。さらに、薄くしたり、燃料
ガス流路6b2または冷却剤流路6c2を形成したりす
る際に、焼結したカーボン板を用いる時のように、硬く
割れやすい部材を薄く平板状に削り出し、さらに溝を掘
るなどの高度な加工技術を要さないので、自由な形状お
よびパターンで容易にしかも安価に加工を施すことがで
きできる。したがって、燃料電池スタックすなわち固体
高分子型燃料電池の製造が容易となり、低コスト化する
ことができる。さらに、本実施の形態によれば、金属材
料からなるアノードセパレータ構造材6a1を用いてい
るので、積層時の面圧に対する強度を実施の形態1や2
に比べてより高めることができ、構造強度上の歪みが少
なくより多くの単電池1を積層することができるように
なる。また、燃料流通層6bに接した方の面にアノード
セパレータ表面材6a2を重ねて積層しているだけであ
るので、金属の表面にコーティング層を蒸着などにより
形成している従来技術2に比べて簡単に製造することが
できる。
【0042】図4(b)では、アノードセパレータ構造
材6a1は、例えばプラスチックや樹脂などの電子伝導
性を有さない材料からなる平板であり、この平板状のア
ノードセパレータ構造材6a1の両面を覆うように、電
子伝導性ポリマーからなるシート状のアノードセパレー
タ表面材6a2の少なくとも一辺を折り曲げて積層して
アノードセパレータ基材6aを構成している。この時、
アノードセパレータ構造材6a1とシート状のアノード
セパレータ表面材6a2とを接着などにより付着させて
もよい。また、アノードセパレータ構造材6a1を、実
施の形態1で電子伝導性ポリマーを製造する方法で説明
した基材として用い、電子伝導性ポリマー製造時に一体
化して製造したものであってもよい。
【0043】アノードセパレータ基材6aをこのように
構成した場合にも、図4(a)の場合と同様に、実施の
形態1と同様な効果を奏する上、実施の形態1や2に比
べて積層時の面圧に対する強度をより高めることがで
き、構造強度上の歪みが少なくより多くの単電池1を積
層することができるようになる。さらに、アノードセパ
レータ表面材6a2のみでアノードセパレータ基材6a
の電子伝導性が得られるので、アノードセパレータ構造
材6a1を構成する材料として、プラスチックや樹脂あ
るいはゴム類などの電子伝導性を有していないものを使
用することが可能となり、材料の選択範囲が大幅に広が
る。なお、ここで用いられるプラスチックや樹脂やゴム
類としては、例えば、尿素樹脂、メラミン樹脂、石炭酸
樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、珪素樹脂、エ
ポキシ樹脂、ポリエチレン、メタアクリル、塩化ビニー
ル、塩化ビニリデン、ナイロン、ポリプロピレン、フッ
素樹脂(四フッ化エチレン、三フッ化エチレン)、ポリ
カーボネート樹脂、セルロイド、アセテート、アセトプ
チレート、天然ゴム、ポリイソブレンゴム、ポリブタジ
エンゴム、アルフィンゴム、スチレンブタジエンゴム、
ハイスチレンゴム、アクリルゴムなどを挙げることがで
きる。
【0044】なお、アノードセパレータ構造材6a1の
材料は図4(a)の場合と同様に金属であってもよく、
図4(b)の構成ではアノードセパレータ構造材6a1
が燃料流通層6aだけでなく冷却剤流通層6cにも直接
接触しなくなるので、冷却剤10によるアノードセパレ
ータ構造材6a1の腐食を防止することができるという
効果が得られる。
【0045】また、平板状のアノードセパレータ構造材
6a1の両面を覆うように、電子伝導性ポリマーからな
るシート状のアノードセパレータ表面材6a2の少なく
とも一辺を折り曲げて積層しているだけであるので、金
属の表面にコーティング層を蒸着などにより形成してい
る従来技術2に比べて、簡単に製造することができる。
【0046】なお、図4(b)では、シート状のアノー
ドセパレータ表面材6a2を折り曲げて平板状のアノー
ドセパレータ構造材6a1を覆っているが、平板状のア
ノードセパレータ構造材6a1の両面に別々のシート状
のアノードセパレータ表面材6a2を設置し、それらを
接続して導通するようにしても同様な効果を奏する。な
お、この時、アノードセパレータ構造材6a1を金属材
料で構成した場合には、別々のシート状のアノードセパ
レータ表面材6a2を接続して導通しなくてもよい。
【0047】また、本実施の形態では、対象をアノード
セパレータ6としたが、カソードセパレータ7において
同様の構成としてもよく、本実施の形態と同様な効果を
奏する。
【0048】実施の形態4.図5は本発明の実施の形態
4による固体高分子型燃料電池の要部の構成を模式的に
示す断面図であり、具体的には冷却剤流通層の周辺を示
している。本実施の形態では、電子伝導性ポリマーを使
ってシート状にしたアノードセパレータ表面材6a2
を、積層時に冷却剤流通層6cを挟むように折り曲げ
て、カソードセパレータ基材7aと共用するように構成
している。また、アノードセパレータ構造材6a1と冷
却剤流路壁6c1とはプラスチックや樹脂やゴム類など
の材料を用いて一体成形している。他の構成は実施の形
態1ないし3の何れかと同様である。なお、プラスチッ
クや樹脂やゴム類としては、具体的には、例えば尿素樹
脂、メラミン樹脂、石炭酸樹脂、ポリエステル樹脂、ア
ルキド樹脂、珪素樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン、
メタアクリル、塩化ビニール、塩化ビニリデン、ナイロ
ン、ポリプロピレン、フッ素樹脂(四フッ化エチレン、
三フッ化エチレン)、ポリカーボネート樹脂、セルロイ
ド、アセテート、アセトプチレート、天然ゴム、ポリイ
ソブレンゴム、ポリブタジエンゴム、アルフィンゴム、
スチレンブタジエンゴム、ハイスチレンゴム、アクリル
ゴムなどを挙げることができる。
【0049】以上の構成では、アノードセパレータ構造
材6a1と冷却剤流路壁6c1とは電子伝導性を有さな
いが、アノードセパレータ表面材6a2が電子伝導性を
有するので、アノードセパレータ6から隣接するカソー
ドセパレータ7への積層方向への電子伝導性は確保され
る。したがって、実施の形態1と同様な効果を奏する
上、燃料流通層6bおよび酸化剤ガス流通層7bは積層
前には1枚のシートの同一面となるので、燃料流路壁6
b1および酸化剤流路壁7b1を形成する際の加工性が
改善できるという効果がある。また、プラスチックや樹
脂やゴム類などの材料を用いてアノードセパレータ構造
材6a1と冷却剤流路壁6c1とを一体成形するのは容
易である。
【0050】なお、図5では、アノードセパレータ基材
6aをアノードセパレータ構造材6a1とアノードセパ
レータ表面材6a2により構成した場合について示した
が、アノードセパレータ表面材6a2はアノードセパレ
ータ基材6aそのものとし、アノードセパレータ構造材
6a1を省略してもよい。この場合にも同様の効果が得
られる。
【0051】また、図5では、アノードセパレータ表面
材6a2を折り曲げてカソードセパレータ基材7aと共
用(一枚もの)しているが、図6(a)に示すように、
アノードセパレータ表面材6a2とカソードセパレータ
基材7aとに別々のシート状の電子伝導性ポリマーを用
い、それらを端部で接続して導通するようにしてもよ
い。この場合にも同様の効果が得られる。
【0052】また、図5では、アノードセパレータ構造
材6a1と冷却剤流路壁6c1とを一体成形し、アノー
ドセパレータ表面材6a2をカソードセパレータ基材7
aと共用するようにしているが、図6(b)に示すよう
に、カソードセパレータ構造材7a1と冷却剤流路壁6
c1とを一体成形し、カソードセパレータ表面材7a2
を冷却剤流通層6cを挟むように折り曲げてアノードセ
パレータ基材6aと共用するように構成してもよい。こ
の場合にも同様の効果が得られる。また、冷却剤流路壁
6c1はアノードセパレータ構造材6a1やカソードセ
パレータ構造材7a1と一体成形しなくてもよい。
【0053】実施の形態5.図7は本発明の実施の形態
5による固体高分子型燃料電池の要部の構成を模式的に
示す断面図であり、具体的には冷却剤流通層の周辺を示
している。本実施の形態では、電子伝導性ポリマーを使
ってシート状にしたアノードセパレータ表面材6a2
を、積層時に冷却剤流通層6cを挟むように折り曲げ
て、カソードセパレータ表面材7a2と共用するように
構成している。また、アノードセパレータ構造材6a1
と冷却剤流路壁6c1とは一体成形し、カソードセパレ
ータ構造材7a1とで挟んで形成された空間を冷却剤流
路6c2としており、これらアノードセパレータ構造材
6a1、冷却剤流路壁6c1、カソードセパレータ構造
材7a1の材料としては、例えば実施の形態3や4で説
明したのと同様の、電子伝導性を有さないプラスチック
や樹脂やゴム類などを用いている。他の構成は実施の形
態1ないし3の何れかと同様である。
【0054】以上の構成では、アノードセパレータ構造
材6a1と冷却剤流路壁6c1とカソードセパレータ構
造材7a1とは電子伝導性を有さないが、アノードセパ
レータ表面材6a2が電子伝導性を有するので、アノー
ドセパレータ6から隣接するカソードセパレータ7への
積層方向への電子伝導性は確保される。したがって、実
施の形態1と同様な効果を奏する上、燃料流通層6bお
よび酸化剤ガス流通層7bは積層前には1枚のシートの
同一面となるので、燃料流路壁6b1および酸化剤流路
壁7b1を形成する際の加工性が改善できるという実施
の形態4と同様の効果がある。また、プラスチックや樹
脂やゴム類などの材料を用いてアノードセパレータ構造
材6a1と冷却剤流路壁6c1とを容易に一体成形する
ことができる。またさらに、従来技術1や2で説明した
固体高分子形燃料電池におけるように、アノードセパレ
ータ構造材6a1と冷却剤流路壁6c1とカソードセパ
レータ構造材7a1にカーボンや金属などの電子伝導性
を有する材料を用いた場合には、冷却剤10に水を用い
ている場合、冷却剤流通層6cにも電流が流れるため、
水を介して漏電するあるいは短絡するのを防止するた
め、純水器などを使って水の電気導電率を数μS/cm
程度以下になるように管理する必要があったが、本実施
の形態では、アノードセパレータ構造材6a1と冷却剤
流路壁6c1とカソードセパレータ構造材7a1は電子
伝導性を有さないプラスチックや樹脂やゴム類などを用
いているので、冷却剤10の電気導電率を下げる必要が
無く、純水器なども不要となるという効果がある。
【0055】なお、実施の形態4において図6(a)お
よび(b)で示したのと同様に、アノードセパレータ表
面材6a2とカソードセパレータ表面材7a2とに別々
のシート状の電子伝導性ポリマーを用い、それらを端部
で接続して導通するようにしてもよく、また、冷却剤流
路壁6c1をカソードセパレータ構造材7a1と一体成
形したり、アノードセパレータ構造材6a1、冷却剤流
路壁6c1、カソードセパレータ構造材7a1をそれぞ
れ別体で構成したりしてもよい。
【0056】なお、アノードセパレータ構造材6a1と
冷却剤流路壁6c1とカソードセパレータ構造材7a1
とは電子伝導性を有した金属などを材料としてもよく、
電子伝導性を有していない材料とした場合に比べて、冷
却剤10の電子伝導性を低減しなくてもよいという故の
効果は得られないが、それ以外は同様な効果を奏する。
【0057】実施の形態6.図8は本発明の実施の形態
6による固体高分子型燃料電池の要部の構成を模式的に
示す断面図であり、(a)は冷却剤流通層の周辺を示す
断面図、(b)はカソードセパレータを酸化剤流通層側
から見た平面図である。図8において、6dは電子伝導
性ポリマーからなるアノードセパレータ導電部、7dは
電子伝導性ポリマーからなるカソードセパレータ導電部
である。
【0058】アノードセパレータ6は、アノードセパレ
ータ基材6aと燃料流路壁6b1と冷却剤流路壁6c1
とが一体成形されたものであり、その材料としてプラス
チックや樹脂やゴム類など電子伝導性を有さないものを
用いている。また、アノードセパレータ導電部6dは、
アノードセパレータ基材6a、燃料流路壁6a1および
冷却剤流路壁6c1を貫通するように複数の穴(穴の形
状はどのようなものでもよい。)を開け、その貫通穴に
固体状の電子伝導性ポリマーをはめ込むかまたは電子伝
導性ポリマーの原料となる前駆体溶液を流し込んで実施
の形態1で述べた電子伝導性ポリマーの製造法を適用し
て得たもの、または、電子伝導性を有した金属を上記貫
通穴にはめ込んだ上に、貫通穴の表面部分および周囲部
分に電子伝導性ポリマーの層を形成したものである。な
お、アノードセパレータ導電部6dとなる貫通穴は、後
で開けるのではなく、アノードセパレータ基材6aと燃
料流路壁6a1と冷却剤流路壁6c1とを一体成形する
際の型に予め組み込まれたものであってもよい。
【0059】カソードセパレータ7は、カソードセパレ
ータ基材7aがカソードセパレータ構造材7a1とカソ
ードセパレータ表面材7a2とにより構成されており、
カソードセパレータ構造材7a1と酸化剤流路壁7b1
とがプラスチックや樹脂やゴム類など電子伝導性を有さ
ない材料を用いて一体成形されている。また、カソード
セパレータ導電部7dは、カソードセパレータ構造材7
a1および酸化剤流路壁7b1を貫通するように複数の
穴(図8(b)では楕円形状であるが穴の形状はどんな
ものでもよい)を開け、その貫通穴に固体状の電子伝導
性ポリマーをはめ込むかまたは電子伝導性ポリマーの原
料となる前駆体溶液を流し込んで電子伝導性ポリマーの
製造法を適用して得たもの、または、電子伝導性を有し
た金属を上記貫通穴にはめ込んだ上に、貫通穴の表面部
分および周囲部分に電子伝導性ポリマーの層を形成した
ものである。なお、カソードセパレータ導電部7dとな
る貫通穴は、後で開けるのではなく、カソードセパレー
タ基材7aと酸化剤流路壁7a1とを一体成形する際の
型に予め組み込まれたものであってもよい。
【0060】カソードセパレータ表面材7a2は、シー
ト状の電子伝導性ポリマーであり、カソードセパレータ
構造材7a1と冷却剤流通層6cとの間に挟むことによ
り、カソードセパレータ導電部7dとアノードセパレー
タ導電部6dとを電気的に接続している。
【0061】以上のように構成したので、アノードセパ
レータ導電部6d、カソードセパレータ表面材7a2お
よびカソードセパレータ導電部7dを介して、アノード
電極から隣接する単電池のカソード電極へ電子を流すこ
とができる。したがって、実施の形態1の場合と同様
に、金属イオンの溶出および水蒸気などによる腐食がな
いかあるいは抑制でき、しかも、電子伝導性およびガス
不透過性を備えている。さらに、薄くしたり、燃料ガス
流路6b2または酸化剤ガス流路7b2または冷却剤流
路6c2を形成したりする際に、焼結したカーボン板を
用いる時のように、硬く割れやすい部材を薄く平板状に
削りだしさらに溝を掘るなどの高度な加工技術を要さな
いので、自由な形状およびパターンで容易にしかも安価
に加工を施すことができる。したがって、燃料電池スタ
ックすなわち固体高分子型燃料電池の製造が容易とな
り、低コスト化することができる。
【0062】なお、本実施の形態では、カソードセパレ
ータ表面材7a2にシート状の電子伝導性ポリマーを用
いたが、電子伝導性を有した金属材料を用いてもよく、
同様な効果を奏する。
【0063】また、図8では、冷却剤流路壁6c1をア
ノードセパレータ基材6aと一体成形しているが、冷却
剤流路壁6c1をカソードセパレータ基材7aと一体成
形し、アノードセパレータ基材6aをアノードセパレー
タ構造材6a1とアノードセパレータ表面材6a2とで
構成してもよい。この場合、アノードセパレータ構造材
6a1を燃料流路壁6b1と一体成形し、アノードセパ
レータ表面材6a2をシート状の電子伝導性ポリマーや
金属材料で形成してもよく、同様な効果を奏する。
【0064】また、アノードセパレータ導電部6dとカ
ソードセパレータ導電部7dの積層面における位置を合
わせて設けてもよい。この場合には、アノードセパレー
タ導電部6dとカソードセパレータ導電部7dとを直接
電気的に接続することにより、両者の間に介在するカソ
ードセパレータ表面材7a2やアノードセパレータ表面
材を省くことができ、燃料電池スタックの積層方向の厚
さををより薄くすることができる。さらに、通電部分で
あるカソードセパレータ表面材7a2やアノードセパレ
ータ表面材が冷却剤流路6c2に面することがなくなる
ので、冷却剤10の電気導電率を下げる必要が無く、純
水器なども不要となるという効果がある。
【0065】実施の形態7.図9は本発明の実施の形態
7による固体高分子型燃料電池の要部の構成を模式的に
示す断面図であり、具体的には冷却剤流通層の周辺を示
している。その他の構成は実施の形態1と同じである。
図9において、6a3は燃料側アノードセパレータ構造
材、11はアノード導電膜、12はカソード導電膜、1
3は積層側面部材である。
【0066】燃料側アノードセパレータ構造材6a3と
燃料流通層6bの燃料流路壁6b1、およびアノードセ
パレータ構造材6a1と冷却剤流通層6cの冷却剤流路
壁6c1とはそれぞれ一体成形されており、アノードセ
パレータ基材6aは、アノードセパレータ構造材6a1
と燃料側アノードセパレータ構造材6a3とが張り合わ
されて構成されている。また、カソードセパレータ基材
7aも酸化剤流通層7bの酸化剤流路壁7b1と一体成
形されている。アノードセパレータ基材6aおよびカソ
ードセパレータ基材7aの材料はともに、電子伝導性を
有した金属(鉄、銅、合金など)を用いている。一体成
形する方法としては、例えば金属平板をプレス成形して
各流路壁6b1、6c1、7b1の部分を突出させ、燃
料ガス流通層6b、冷却剤流通層6cおよび酸化剤ガス
流通層7bをそれぞれ片面に構成する方法が挙げられ
る。
【0067】アノード導電膜11は、シート状の電子伝
導性ポリマーを用いた膜であり、燃料ガス流路6b2、
燃料側アノードセパレータ構造材6a3および燃料流路
壁6b1のアノード電極側の形状に沿って付着させてい
る。
【0068】カソード導電膜12は、シート状の電子伝
導性ポリマーを用いた膜であり、酸化剤ガス流路7b
2、カソードセパレータ基材7aおよび酸化剤流路壁7
b1のカソード電極側の形状に沿って付着させている。
【0069】積層側面部材13は、燃料ガス8または酸
化剤ガス9が接する積層側面および積層面内の一部にガ
ス通路を構成している内部マニホールド形式の燃料電池
スタックの場合には、ガス通路に面した積層側面に限っ
て、付設する必要のあるものであり、材料としては、ガ
ス不透過性でかつ金属イオンを溶出しないものであれば
よく、本実施の形態では、プラスチックまたは樹脂また
はゴム類を用いており、アノードセパレータ6およびカ
ソードセパレータ7の積層側面を覆うように設置して、
金属からなるアノードセパレータ6およびカソードセパ
レータ7からの金属イオンのガス部への溶出および金属
の腐食(酸化)を防止している。
【0070】このように構成されたものにおいては、ア
ノード導電膜11、燃料流路壁6b1、燃料側アノード
セパレータ構造材6a3、アノードセパレータ構造材6
a1、冷却剤流路壁6c1、カソードセパレータ基材7
a、酸化剤流路壁7b1、カソード導電膜12を介した
経路で、アノード電極から隣接する単電池のカソード電
極へ電子を流すことができる。
【0071】上記のように構成された本実施の形態で
は、アノードセパレータ6およびカソードセパレータ7
は、それぞれ反応ガス流路6b2,7b2側が電子伝導
性ポリマーからなるアノード導電膜11およびカソード
導電膜12によって被覆されているので、すなわち言い
換えれば、アノードセパレータ6とアノード電極との間
およびカソードセパレータ7とカソード電極との間には
それぞれアノード導電膜11およびカソード導電膜12
が配置されているので、各セパレータは、燃料ガスや、
酸化剤ガス中の水蒸気成分などに直接触れることはな
く、したがってそれらのガスや水蒸気成分による金属板
の腐食や金属イオンの溶出等を考慮することなく、アノ
ードセパレータ6およびカソードセパレータ7を構成す
る材料を選択することができるので、材料選択の幅が広
がり、セパレータを薄く軽量で困難な加工を要さないも
のとすることができ、固体高分子型燃料電池を軽量化、
コンパクト化および低コスト化することができる。例え
ば、量販されており、しかも加工性の良い金属を用いた
場合には、より一層、材料費および加工費を低減するこ
とができる。さらに、燃料側アノードセパレータ構造材
6a3と燃料流通層6bの燃料流路壁6b1、アノード
セパレータ構造材6a1と冷却剤流通層6cの冷却剤流
路壁6c1、およびカソードセパレータ構造材7aと酸
化剤流通層7bの酸化剤流路壁7b1とはそれぞれ板状
の材料を用いて例えばプレスにより一体成形されてお
り、しかも、アノードセパレータ基材6aは、アノード
セパレータ構造材6a1と燃料側アノードセパレータ構
造材6a3とが張り合わされて構成されているので、製
造がすこぶる容易であるという効果も得られる。
【0072】なお、図9では、燃料側アノードセパレー
タ構造材6a3と燃料流路壁6b1とを一体成形してい
るが、図10(a)に示すように、燃料側アノードセパ
レータ構造材6a3を省略し、燃料流路壁6b1をアノ
ードセパレータ構造材6a1(燃料側アノードセパレー
タ構造材6a3は省略しているので、アノードセパレー
タ基材6aと同義である。)に付着させたものであって
もよい。この場合にも、図9の場合と同様な効果を奏す
る。さらに、燃料側アノードセパレータ構造材6a3を
省略しているので、積層方向の厚さをより薄くすること
ができる。同様に、図10(b)に示すように、酸化剤
流路壁7b1をカソードセパレータ基材7aに付着した
ものであってもよく、この場合にも、図9の場合と同様
な効果を奏する。また、図10(c)に示すように、ア
ノードセパレータ構造材6a1を省略し、冷却剤流路壁
6c1を燃料側アノードセパレータ構造材6a3(アノ
ードセパレータ基材6aと同義)またはカソードセパレ
ータ基材7aに付着したものであってもよく、この場合
にも、図9の場合と同様な効果を奏する。さらに、アノ
ードセパレータ構造材6a1を省略しているので、積層
方向の厚さをより薄くすることができる。
【0073】また、図10(a)〜(c)において、付
着する燃料流路壁6b1または酸化剤流路壁7a1の材
料は電子伝導性を有していないものであってもよく、電
流は、アノード導電膜11を介してアノード電極からア
ノードセパレータ基材6a1に、またカソード導電膜1
2を介してカソード電極からカソードセパレータ基材7
a1に流れるので、上記実施の形態と同様な効果を奏す
ることができる。また例えば、アノードセパレータ基材
6a1またはカソードセパレータ基材7a1の表面に塗
料を塗るが如く燃料流路壁6b1または酸化剤流路壁7
a1を付着させてもよく、上記実施の形態と同様な効果
を奏する上、より自由な形状でより簡単に燃料ガス流路
6b2または酸化剤ガス流路7b2を構成することがで
きる。
【0074】なお、本実施の形態では、アノード導電膜
11とカソード導電膜12はシート状の電子伝導性ポリ
マーを、アノードセパレータ6またはカソードセパレー
タ7に付着させるようにしているが、電子伝導性ポリマ
ーの原料となる前駆体溶液を積層面の流路形状に沿って
布した上でドーピングの処理を施し電子伝導性ポリマー
が流路表面に形成されるようにしてもよく、上記と同様
な効果を奏する。
【0075】実施の形態8.図11は本発明の実施の形
態8による固体高分子型燃料電池の要部の構成を模式的
に示す断面図であり、具体的には冷却剤流通層の周辺を
示している。その他の構成は実施の形態1と同じであ
る。本実施の形態では、図11において、アノードセパ
レータ6の下にある電池部のアノード電極(燃料極)4
側に配置された電子伝導性ポリマーからなる層(アノー
ド導電膜)11とカソードセパレータ7の上にある電池
部のカソード電極(酸化剤極)5側に配置された電子伝
導性ポリマーからなる層(カソード導電膜)12とが電
気的に接続されている
【0076】アノードセパレータ6は、材料として、電
子伝導性を有さないプラスチックや樹脂などを用いてお
り、これらの材料を型に流し込んで固めるなどの方法
で、アノードセパレータ基材6aと燃料流路壁6b1と
冷却剤流路壁6c1とを一体成形したものである。同様
に、カソードセパレータ7は、材料として、電子伝導性
を有さないプラスチックや樹脂などを用いており、これ
らの材料を型に流し込んで固めるなどの方法で、カソー
ドセパレータ基材7aと酸化剤流路壁7b1とを一体成
形したものである。
【0077】アノード導電膜11は、シート状の電子伝
導性ポリマーを用いた膜であり、燃料ガス流路6b2、
アノードセパレータ基材6aおよび燃料流路壁6b1の
アノード電極側の形状に沿って付着させている。同様に
カソード導電膜12も、シート状の電子伝導性ポリマー
を用いた膜であり、酸化剤ガス流路7b2、カソードセ
パレータ基材7aおよび酸化剤流路壁7b1のカソード
電極側の形状に沿って付着させている。また、燃料電池
スタックの積層側面または積層面内の一部にガス通路を
構成している内部マニホールド形式の燃料電池スタック
の場合はガス通路内壁面にて、アノード導電膜11とカ
ソード導電膜12とが接続されており、アノード導電膜
11とカソード導電膜12との間で電気が流れるように
なっている。
【0078】本実施の形態は以上のように構成され、隣
接する電池部間に配置された導電膜11,12であっ
て、一方(下側)の電池部のアノード電極4側に配置さ
れたアノード導電膜11と他方(上側)の電池部のカソ
ード電極5側に配置されたカソード導電膜12とが電気
的に接続されているので、アノード導電膜11およびカ
ソード導電膜12を介した経路で、アノード電極から隣
接する単電池(電池部)のカソード電極へ電子を流すこ
とができ、実施の形態7と同様な効果を奏する。さら
に、本実施の形態によれば、アノードセパレータ6およ
びカソードセパレータ7として、電子伝導性を有してい
ない、より安価で加工性に優れた材料を用いることがで
き、実施の形態7に比べて、より一層、加工が容易とな
ったり、材料費や加工費を低減することができたりする
効果が得られる。また、燃料ガス流路6b2または酸化
剤ガス流路7b2または冷却剤流路6c2の形状をより
細かく自由度の高い形状で構成することも容易に可能と
なる。さらに、アノードセパレータ6およびカソードセ
パレータ7には通電部分がないので、冷却剤10の電気
導電率を下げる必要が無く、純水器なども不要となる効
果がある。
【0079】なお、図11では、アノード導電膜11と
カソード導電膜12とをそれぞれの膜の電極に接する側
の面を突き合わせて接続するようにしたが、図12
(a)に示すように、一方の導電膜の電極に接する側の
面と他方の導電膜のセパレータに接する側の面とを重ね
あわせて接続してもよく、図11の場合と同様の効果が
得られる。また、図11では、アノード導電膜11とカ
ソード導電膜12とを別体で構成してこれらを接続する
ようにしたが、図12(b)に示すように、アノード導
電膜11とカソード導電膜12とは一体ものとし、アノ
ードセパレータ6およびカソードセパレータ7上の燃料
ガス流路6b2および酸化剤ガス流路7b2の流路形状
に沿わせながら、それらを挟むように設置してもよい。
この場合、図11の場合と同様な効果が得られる上、ア
ノード導電膜11とカソード導電膜12との接続部分に
おける接触抵抗を低減できるという効果も得られる。
【0080】なお、本実施の形態では、アノード導電膜
11とカソード導電膜12はシート状の電子伝導性ポリ
マーを、アノードアノードカーボンシート4aまたはカ
ソードカーボンシート5aに付着させるようにしている
が、実施の形態7で述べたのと同様に、電子伝導性ポリ
マーの原料となる前駆体溶液を積層面の流路形状に沿っ
て布した上でドーピングの処理を施し電子伝導性ポリマ
ーが流路表面に形成されるようにしてもよく、上記した
本実施の形態と同様な効果を奏する。
【0081】実施の形態9.図13は本発明の実施の形
態9による固体高分子型燃料電池の要部の構成を模式的
に示す図であり、(a)は断面図、(b)は斜視図であ
る。他の構成は実施の形態1および8と同様である。図
13において、6b3は燃料極境界壁、7b3は酸化剤
極境界壁、14は小単電池、15は小単電池間導体であ
る。
【0082】燃料極境界壁6b3は、アノードセパレー
タ基材6aと同一の材料(電子伝導性を有さないプラス
チックや樹脂など)を用い、アノードセパレータ基材6
aと一体成形されたものであり、単電池1を、その積層
面と平行な面内で、複数(図13では2個)の小単電池
14に少なくとも電気的に分割するために、アノード導
電膜11およびアノード電極4を仕切っている。なお、
燃料ガス流路6b2に関しては、必ずしも分割しなくて
もよく、必要に応じて燃料極境界壁6b3に燃料ガス用
の通路穴を開けて、隣接する小単電池14間で流通する
ようにしてもよい。
【0083】酸化剤極境界壁7b3は、カソードセパレ
ータ基材7aと同一の材料(電子伝導性を有さないプラ
スチックや樹脂など)を用い、カソードセパレータ基材
7aと一体成形されたものであり、単電池1を、その積
層面と平行な面内で、複数(図13では2個)の小単電
池14に少なくとも電気的に分割するために、カソード
導電膜12およびカソード電極5を仕切っている。な
お、酸化剤ガス流路7b2に関しては、必ずしも分割し
なくてもよく、必要に応じて酸化剤極境界壁7b3に酸
化剤ガス用の通路穴を開けて、隣接する小単電池14間
で流通するようにしていてもよい。
【0084】小単電池14は、アノード電極4、カソー
ド電極5、アノード導電膜11、およびカソード導電膜
12を、単電池1の積層面について(すなわち単電池1
の積層面と平行な面内で)燃料極境界壁6b3および酸
化剤極境界壁7b3によって2分割したものであり、個
々の小単電池14は少なくとも電気的には実施の形態8
に示した単電池1と同様な構成であり、同様な動作をす
るものである。
【0085】小単電池間導体15は、異なる小単電池間
で、一方の小単電池におけるアノード導電膜11の引き
出し部と、他方の小単電池におけるカソード導電膜12
の引き出し部とを接続する際に、これらの導電膜が離れ
ていて距離が長い場合に用いる導体である。通常は積層
方向に隣接する小単電池1間は、図13(a)にも示し
ているとおり、隣接するアノード導電膜11とカソード
導電膜12とを直接接続することにより接続している。
また、小単電池間導体15の材料としては電子伝導性が
あればよく、金属や電子伝導性ポリマーなどを用いるこ
とができる。ただし、金属を用いた場合、燃料電池スタ
ックに供給する燃料ガス、酸化剤ガスおよび燃料電池ス
タックから排出されるガスに接しないような位置に備え
るか、または被覆するなどして金属イオンがガス中に溶
出しないようにすることが必要となる。
【0086】図13(b)は、燃料極境界壁6b3およ
び酸化剤極境界壁7b3によって積層面を2分割して得
られた2個の小単電池14からなる単電池1を、4層に
積層した燃料電池スタックを模式化して示す斜視図であ
り、下層の小単電池14のアノード導電膜11と上層の
小単電池14のカソード導電膜12を各面個別に積層方
向へ順次接続して2個の小単電池接続体を構成し、一方
(図13(b)の左側)の小単電池接続体における積層
上端の小単電池14のアノード導電膜11と、他方(図
13(b)の右側)の小単電池接続体における積層下端
の小単電池14のカソード導電膜12とを小単電池間導
体15を使って接続することにより、全ての小単電池1
4を直列に接続している。
【0087】このように構成したものにおいては、同一
の積層面積と積層数を備えた小単電池に分割していない
燃料電池スタックと比較して、同一直流電力を得る際
に、電流が半分、電圧が2倍となる。
【0088】このように、本実施の形態によれば、電池
部2とセパレータ6,7とを積層した単電池1をその積
層面と平行な面内でガス拡散電極4,5と導電膜11,
12について複数(2個)の小単電池14に分割し、異
なる小単電池におけるアノード電極4側のアノード導電
膜11とカソード電極5側のカソード導電膜12とを接
続し、少なくとも一部(図13では全て)の小単電池1
4を直列に接続したので、単電池1の積層数を増加させ
たり、電極面積を減少させたりせずに、燃料電池スタッ
ク全体から発生する電力を同じままに電圧を上げて電流
を下げることができる。その結果、燃料電池スタックで
発生した直流の電気的出力を交流出力などへ変換する際
の電気回路に用いるスイッチング素子や配線材などを低
電流型のものとすることができる。したがって、固体高
分子型燃料電池を軽量化、コンパクト化および低コスト
化することができる。
【0089】またさらに、本実施の形態によれば、各単
電池1において、アノード導電膜11とカソード導電膜
12以外は、各小単電池14に分割されずにつながって
おり、部品点数も増加していないので、単電池積層時の
組立方法や組立精度も、小単電池に分割していない場合
と比べて概ね変わりのないものとすることができる。も
ちろん、固体高分子電解質膜3も分割されてもよい。
【0090】なお、各小単電池14の接続の仕方は、図
13(b)に限るものではなく、例えば、図14に示す
ように接続してもよい。図14では、同一単電池1内に
ある一方の小単電池14のアノード導電膜11と他方の
小単電池14のカソード導電膜12とを小単電池間導体
15で接続し、積層方向に隣接して異なる単電池1内に
ある一方(下層)の小単電池14のアノード導電膜11
と他方(上層)の小単電池14のカソード導電膜12と
を接続している。このように構成したものにおいても、
同一の積層面積と積層数を備えた小単電池に分割してい
ない燃料電池スタックと比較して、同一直流電力を得る
際に、電流が半分、電圧が2倍となる。
【0091】なお、本実施の形態では1層の単電池1を
2個の小単電池14に分割したが、短冊状にまたは格子
状により多くの小単電池14に分割するようにしてもよ
く、積層数も自由である。この場合、同一の積層面積と
積層数を備えた、小単電池に分割していない燃料電池ス
タックと比較して、同一の直流電力を得る際の電流は、
分割数の逆数に比例して小さくなり、電圧は分割数に比
例して大きくすることができる。
【0092】実施の形態10.図15は本発明の実施の
形態10による固体高分子型燃料電池の要部の構成を模
式的に示す図であり、具体的には、(a)は冷却剤流通
層の周辺を示す断面図、(b)は導電膜を示す平面図で
ある。他の構成は実施の形態1と同様である。図15に
おいて、11aはアノード導電膜11の格子状枠、11
bはアノード導電膜11に設けられた貫通孔、12aは
カソード導電膜12の格子状枠、12bはまたはカソー
ド導電膜12に設けられた貫通孔である。
【0093】実施の形態8および9では、アノード導電
膜11は、燃料ガス流路6b2、アノードセパレータ基
材6aおよび燃料流路壁6b1のアノード電極側の形状
に沿って付着させており、同様にカソード導電膜12
も、酸化剤ガス流路7b2、カソードセパレータ基材7
aおよび酸化剤流路壁7b1のカソード電極側の形状に
沿って付着させていた。それに対して、本実施の形態で
は、アノード導電膜11は、その面内に一辺の長さが燃
料ガス流路6b2の幅と同じである正方形の貫通孔11
bが格子状(マトリクス状)に設けらた電子伝導性ポリ
マーからなるシート状の膜であり、各単電池はアノード
電極4に接した格子状枠11aを介して面内での電子伝
導性を備えるとともに、貫通孔11bを介して燃料流通
層6bからアノード電極4へ燃料ガスが流通するように
なっている。カソード導電膜12についても、アノード
導電膜11と同様な構成となっている。
【0094】なお、図15(b)で示すようなアノード
導電膜11およびカソード導電膜12は、穴の空いてい
ないシート状の導電膜11,12から貫通孔11b,1
2bを切り出して形成してもよく、また、貫通孔11
b,12bも含めて一体成形して形成してもよい。
【0095】アノードセパレータ6は、材料として、燃
料ガスや水蒸気に対して安定であり、しかも所定の機械
強度を有するプラスチックや樹脂やゴム類などを用いて
おり、これらの材料を型に流し込んで固めるなどの方法
で、アノードセパレータ基材6aと燃料流路壁6b1と
冷却剤流路壁6c1とを一体成形したものである。同様
に、カソードセパレータ7は、材料として、酸化剤ガス
や水蒸気に対して安定であり、しかも所定の機械強度を
有するプラスチックや樹脂やゴム類などを用いており、
これらの材料を型に流し込んで固めるなどの方法で、カ
ソードセパレータ基材7aと酸化剤流路壁7b1とを一
体成形したものである。
【0096】積層方向に隣接する電池部間のアノード導
電膜11とカソード導電膜12は、例えば実施の形態8
または9で説明したのと同様に接続されており、アノー
ドセパレータ6およびカソードセパレータ7が例えば積
層方向への電子伝導性を持っていなくとも、積層した各
電池部(単電池)間で電気が流れるようになっている。
【0097】以上のような構成により、実施の形態8や
9と同様な効果を奏する上、実施の形態8や9のように
アノード導電膜11やカソード導電膜12を燃料流路壁
6b1や酸化剤流路壁7b1の形状に沿わせる必要もな
いので、燃料電池スタックの製造がより簡単なものとな
る。
【0098】なお、図15では、アノード導電膜11ま
たはカソード導電膜12に、一辺の長さがガス流路6b
2,7b2の幅と同じである正方形の貫通孔11b,1
2bが格子状に設けられている場合について示したが、
正方形に限らず長方形や他の多角形であってもよく、さ
らには、円形、楕円形、スリット状などであってもよ
い。また、整然とした配列ではなく、ランダムな配列で
あったり、無数の微少径の穴などであってもよい。ま
た、アノード導電膜11またはカソード導電膜12自体
が多孔体で形成されてガスの流通が可能となっていても
よい。
【0099】実施の形態11.図16は本発明の実施の
形態11による固体高分子型燃料電池の要部の構成を模
式的に示す図であり、具体的には、(a)は冷却剤流通
層の周辺を示す断面図、(b)はカソードセパレータ表
面材を示す平面図である。他の構成は実施の形態1と同
様である。図16において、7a2aはシート状の電子
伝導性ポリマーからなるカソードセパレータ表面材7a
2の格子状枠、7a2bはカソードセパレータ表面材7
a2に設けられた貫通孔である。実施の形態10では、
隣接する単電池間でアノード導電膜11とカソード導電
膜12とを接続した実施の形態8および9において、ア
ノード導電膜11とカソード導電膜12とに貫通孔11
bおよび12bがそれぞれ形成されている場合について
説明した。それに対して、本実施の形態では、アノード
セパレータ6およびカソードセパレータ7は実施の形態
6で示したアノードセパレータ導電部6dおよびカソー
ドセパレータ導電部7dを備えた形態のものであり、カ
ソードセパレータ表面材7a2に貫通孔7a2bが設け
られている。このように構成されたものにおいても、実
施の形態10と同様の効果が得られる。
【0100】なお、アノードセパレータ導電部6dまた
はカソードセパレータ導電部7dの部分が、カソードセ
パレータ表面材7a2の格子状枠7a2aに当接するよ
うにしておけば、導電部6b,7dからの金属イオンの
溶出を防止できるので、アノードセパレータ導電部6d
またはカソードセパレータ導電部7dに電子伝導性ポリ
マーでなく金属を用いてもよい。
【0101】なお、上記各本実施の形態では、特にこと
わらない限り、冷却剤流通層6cをアノードセパレータ
6に設けた場合について示したが、カソードセパレータ
7に設けてもよい。
【0102】また、上記各実施の形態では、燃料流通層
6bおよび酸化剤流通層7bをそれぞれアノードセパレ
ータ6およびカソードセパレータ7に備えている場合に
ついて示したが、アノード電極4およびカソード電極5
に備えていてもよい。すなわち、具体的には、燃料流路
壁6b1および酸化剤流路壁7b1をそれぞれアノード
カーボンシート3aおよびカソードカーボンシート4a
上に付着させたり、または一体化させたりするようにし
てもよい。この場合にも、上記各実施の形態と同様な効
果を奏する。
【0103】実施の形態12.図17は本発明の実施の
形態12による固体高分子型燃料電池の要部の構成を模
式的に示す図であり、具体的には、冷却剤流通層の周辺
を示す断面図である。上記各実施の形態では、冷却剤流
路壁6c1は、アノードセパレータ基材6aまたはカソ
ードセパレータ基材7aの一方に接着あるいは付着ある
いは一体成形されたものである。これに対して、本実施
の形態では、冷却剤流路壁6c1はアノードセパレータ
基材6aおよびカソードセパレータ基材7aの両方に接
着あるいは付着あるいは一体成形され、積層したとき
に、例えば図17(a)に示すように両方のセパレータ
基材に形成された冷却剤流路壁6c1が突き合わされる
ことにより、または図17(b)に示すように一方のセ
パレータ基材に形成された冷却剤流路壁6c1と他方の
セパレータ基材が当接することにより、結果的に上記各
実施の形態と同様な形状で冷却剤流路壁6c1が形成さ
れるようにしている。この場合にも、上記各実施の形態
と同様な効果を奏する。
【0104】なお、燃料流路壁6a1に対するアノード
セパレータ基材6aとアノード電極4、または酸化剤流
路壁7a1に対するカソードセパレータ基材7aとカソ
ード電極5についても、本実施の形態の冷却剤流路壁6
c1に対するアノードセパレータ基材6aとカソードセ
パレータ基材7aと同様な構成であってもよい。
【0105】なお、上記各本実施の形態では、冷却剤流
通層6cを単電池1毎に設けているが、単電池1数枚毎
に設置するようにしてもよい。この場合、単電池1間に
冷却剤流通層6cを備えない部分では、アノードセパレ
ータ基材6aとカソードセパレータ基材7aとは兼用可
能でどちらか一方だけがあればよく、アノードセパレー
タ基材6aまたはカソードセパレータ基材7aの両面に
燃料流通層6bおよび酸化剤流通層7bを備える構成と
なる。したがって、上記各実施の形態と同様な効果を奏
する上、アノードセパレータ基材6aまたはカソードセ
パレータ基材7aのどちらか一方と冷却剤流通層6cを
備えない分だけ、燃料電池スタックの積層厚さをさらに
低減することができ、燃料電池スタックすなわち固体高
分子型燃料電池のさらなるコンパクト化が可能である。
【0106】また、上記各実施の形態では、燃料電池ス
タックの側面に図示しないマニホールドを四方に付設し
て、燃料ガス8、酸化剤ガス9および冷却剤10を供給
し、燃料流通層6b、酸化剤流通層7bおよび冷却剤流
通層6cから排出されるガスまたは冷却剤を排出する構
成、いわゆる外部マニホールド型式の燃料電池スタック
であることを前提とした場合について示したが、積層面
内部にマニホールド構造を内蔵した内部マニホールド型
式の燃料電池スタックであってもよい。
【0107】また、燃料流通層6bまたは酸化剤流通層
7bまたは冷却剤流通層6cにおける燃料ガス流路6b
2または酸化剤ガス流路7b2または冷却剤流路6c2
の積層面における形状は、リターン型またはZ字型また
はその他の形状であってもよく、マニホールド型式とと
もに、直接的には本発明の要旨とするところではない。
【0108】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、電極基
材と触媒層とを有する燃料極および酸化剤極からなる一
対のガス拡散電極間に前記触媒層を介して固体高分子電
解質膜を挟持させてなり、水素を含む燃料ガスおよび酸
素を含む酸化剤ガスの電気化学反応によって発電する電
池部を、セパレータを介して複数積層し、前記燃料極側
に燃料ガスを供給する燃料流通層と、前記酸化剤極側に
酸化剤ガスを供給する酸化剤流通層とを、前記電池部ま
たはセパレータに備え、前記セパレータを介して隣接す
る電池部を電気的に接続する固体高分子型燃料電池にお
いて、前記セパレータ、燃料流通層または酸化剤流通層
の少なくとも一部に電子伝導性ポリマーを用いたので、
セパレータ、燃料流通層または酸化剤流通層を困難な加
工を要さないものとすることができ、製造が容易で低コ
スト化が可能な固体高分子型燃料電池を得ることができ
る。
【0109】また、本発明によれば、電極基材と触媒層
とを有する燃料極および酸化剤極からなる一対のガス拡
散電極間に前記触媒層を介して固体高分子電解質膜を挟
持させてなり、水素を含む燃料ガスおよび酸素を含む酸
化剤ガスの電気化学反応によって発電する電池部を、セ
パレータを介して複数積層し、前記燃料極側に燃料ガス
を供給する燃料流通層と、前記酸化剤極側に酸化剤ガス
を供給する酸化剤流通層とを、前記電池部またはセパレ
ータに備える固体高分子型燃料電池において、電子伝導
性ポリマーからなる層を前記セパレータと燃料極または
酸化剤極との間に配置したので、セパレータは、燃料ガ
スや酸化剤ガス中の水蒸気成分などに直接触れることが
なく、したがってそれらのガスや水蒸気成分による金属
板の腐食や金属イオンの溶出等を抑制できる。その結
果、セパレータを構成する材料の選択の幅が広がり、軽
量でしかも困難な加工を要さない材料とすることができ
る。したがって、製造が容易で低コスト化が可能な固体
高分子型燃料電池を得ることができる。
【0110】また、本発明によれば、互いに隣接する一
方の電池部の燃料極側に配置された電子伝導性ポリマー
からなる層と、他方の電池部の酸化剤極側に配置され前
記層とセパレータを介して隣接する電子伝導性ポリマー
からなる層とが電気的に接続されているので、隣接する
電池部間の電気的接続は電子伝導性ポリマーからなる層
を電気的に接続することによって得られる結果、セパレ
ータを構成する材料は電子伝導性を有していなくてもよ
いので、その選択幅がより広がり、安価で加工性に優れ
た、電子伝導性を有さないプラスチックや樹脂などを選
択することができる。
【0111】また、本発明によれば、電池部とセパレー
タとを積層した単電池をその積層面と平行な面内で少な
くともガス拡散電極と電子伝導性ポリマーからなる層に
ついて複数の小単電池に分割し、異なる小単電池におけ
る燃料極側の電子伝導性ポリマーからなる層と酸化剤極
側の電子伝導性ポリマーからなる層とを接続し、少なく
とも一部の小単電池を直列に接続したので、単電池の積
層数を増加させたり、電極面積を減少させたりせずに、
燃料電池から出力される電気的出力を高電圧化あるいは
低電流化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1による固体高分子型燃
料電池の要部の構成を模式的に示す分解斜視図である。
【図2】 本発明の実施の形態1による固体高分子型燃
料電池の要部の構成を模式的に示す断面図である。
【図3】 本発明の実施の形態2による固体高分子型燃
料電池の要部の構成を模式的に示す断面図である。
【図4】 本発明の実施の形態3による固体高分子型燃
料電池の要部の構成を模式的に示す断面図である。
【図5】 本発明の実施の形態4による固体高分子型燃
料電池の要部の構成を模式的に示す断面図である。
【図6】 本発明の実施の形態4による固体高分子型燃
料電池の要部の別の構成を模式的に示す断面図である。
【図7】 本発明の実施の形態5による固体高分子型燃
料電池の要部の構成を模式的に示す断面図である。
【図8】 本発明の実施の形態6による固体高分子型燃
料電池の要部の構成を模式的に示す図であり、(a)は
断面図、(b)は平面図である。
【図9】 本発明の実施の形態7による固体高分子型燃
料電池の要部の構成を模式的に示す断面図である。
【図10】 本発明の実施の形態7による固体高分子型
燃料電池の要部の別の構成を模式的に示す断面図であ
る。
【図11】 本発明の実施の形態8による固体高分子型
燃料電池の要部の構成を模式的に示す断面図である。
【図12】 本発明の実施の形態8による固体高分子型
燃料電池の要部の別の構成を模式的に示す断面図であ
る。
【図13】 本発明の実施の形態9による固体高分子型
燃料電池の要部の構成を模式的に示す図であり、(a)
は断面図、(b)は斜視図である。
【図14】 本発明の実施の形態9による固体高分子型
燃料電池の要部の別の構成を模式的に示す斜視図であ
る。
【図15】 本発明の実施の形態10による固体高分子
型燃料電池の要部の構成を模式的に示す図であり、
(a)は断面図、(b)は平面図である。
【図16】 本発明の実施の形態11による固体高分子
型燃料電池の要部の構成を模式的に示す図であり、
(a)は断面図、(b)は平面図である。
【図17】 本発明の実施の形態12による固体高分子
型燃料電池の要部の構成を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 単電池、2 電池部、3 固体高分子電解質膜、4
アノード電極、4aアノードカーボンシート、4b
アノード触媒層、5 カソード電極、5aカソードカー
ボンシート、5b カソード触媒層、6 アノードセパ
レータ、6a アノードセパレータ基材、6a1 アノ
ードセパレータ構造材、6a2 アノードセパレータ表
面剤、6a3 燃料側アノードセパレータ構造材、6b
燃料流通層、6b1 燃料流路壁、6b2 燃料ガス
流路、6b3 燃料極境界壁、6c 冷却剤流通層、6
c1 冷却剤流路壁、6c2 冷却剤流路、6d アノ
ードセパレータ導電部、7 カソードセパレータ、7a
カソードセパレータ基材、7a1 カソードセパレー
タ構造材、7a2 カソードセパレータ表面材、7b
酸化剤流通層、7b1 酸化剤流路壁、7b2 酸化剤
ガス流路、7b3 酸化剤極境界壁、7d カソードセ
パレータ導電部、8 燃料ガス、9 酸化剤ガス、10
冷却剤、11 アノード導電膜、7a2a,11a,
12a格子状枠、7a2b,11b,12b 格子貫通
孔、12 カソード導電膜、13 積層側面部材、14
小単電池、15 小単電池間導体。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松本 秀一 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 福本 久敏 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 浜野 浩司 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 Fターム(参考) 5H026 AA06 CC03 EE18

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極基材と触媒層とを有する燃料極およ
    び酸化剤極からなる一対のガス拡散電極間に前記触媒層
    を介して固体高分子電解質膜を挟持させてなり、水素を
    含む燃料ガスおよび酸素を含む酸化剤ガスの電気化学反
    応によって発電する電池部を、セパレータを介して複数
    積層し、前記燃料極側に燃料ガスを供給する燃料流通層
    と、前記酸化剤極側に酸化剤ガスを供給する酸化剤流通
    層とを、前記電池部またはセパレータに備え、前記セパ
    レータを介して隣接する電池部を電気的に接続する固体
    高分子型燃料電池において、 前記セパレータ、燃料流通層または酸化剤流通層の少な
    くとも一部に電子伝導性ポリマーを用いたことを特徴と
    する固体高分子型燃料電池。
  2. 【請求項2】 電極基材と触媒層とを有する燃料極およ
    び酸化剤極からなる一対のガス拡散電極間に前記触媒層
    を介して固体高分子電解質膜を挟持させてなり、水素を
    含む燃料ガスおよび酸素を含む酸化剤ガスの電気化学反
    応によって発電する電池部を、セパレータを介して複数
    積層し、前記燃料極側に燃料ガスを供給する燃料流通層
    と、前記酸化剤極側に酸化剤ガスを供給する酸化剤流通
    層とを、前記電池部またはセパレータに備える固体高分
    子型燃料電池において、 電子伝導性ポリマーからなる層を前記セパレータと燃料
    極または酸化剤極との間に配置したことを特徴とする固
    体高分子型燃料電池。
  3. 【請求項3】 互いに隣接する一方の電池部の燃料極側
    に配置された電子伝導性ポリマーからなる層と、他方の
    電池部の酸化剤極側に配置され前記層とセパレータを介
    して隣接する電子伝導性ポリマーからなる層とが電気的
    に接続されていることを特徴とする請求項2記載の固体
    高分子型燃料電池。
  4. 【請求項4】 電池部とセパレータとを積層した単電池
    をその積層面と平行な面内で少なくともガス拡散電極と
    電子伝導性ポリマーからなる層について複数の小単電池
    に分割し、異なる小単電池における燃料極側の電子伝導
    性ポリマーからなる層と酸化剤極側の電子伝導性ポリマ
    ーからなる層とを接続し、少なくとも一部の小単電池を
    直列に接続したことを特徴とする請求項2記載の固体高
    分子型燃料電池。
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