JP2002194123A - エッチング方法 - Google Patents

エッチング方法

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JP2002194123A
JP2002194123A JP2000394339A JP2000394339A JP2002194123A JP 2002194123 A JP2002194123 A JP 2002194123A JP 2000394339 A JP2000394339 A JP 2000394339A JP 2000394339 A JP2000394339 A JP 2000394339A JP 2002194123 A JP2002194123 A JP 2002194123A
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Minehiro Sotozaki
峰広 外崎
Koji Kitagawa
浩司 北川
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Sony Corp
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J7/00Chemical treatment or coating of shaped articles made of macromolecular substances
    • C08J7/12Chemical modification
    • C08J7/123Treatment by wave energy or particle radiation
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
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    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J7/00Chemical treatment or coating of shaped articles made of macromolecular substances
    • C08J7/02Chemical treatment or coating of shaped articles made of macromolecular substances with solvents, e.g. swelling agents

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プラスチック基板を用いて微細な構造物を高
精度に加工可能なエッチング方法を提供する。 【解決手段】 イオン注入処理によりエッチング溶液E
(例えばリモネン)に不溶な表面改質層21を基板Pの
表面に形成したのち、ドライエッチング処理により表面
改質層21に開口部21Uを形成する。続いて、基板P
等をエッチング溶液Eに浸し、基板P等に対してウェッ
トエッチング処理を施す。表面改質層21のうち、開口
部21Uの周辺部(21X)がマスクとして機能するこ
とによりエッチング処理が異方的に進行すると共に、開
口部21Uと反対側の部分(21Y)がエッチング処理
の終点を決定する機能を果すこととなる。このため、深
さ方向において均一な内径を有する窪みPU1を基板P
に形成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチック基板
を用いて微細な構造物を形成するためのエッチング方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、プラスチックの加工は、例えば、
金型を用いた成型技術や、切削,エッチング,サンドブ
ラスト等による物理的な切削技術などを利用して行われ
ている。これらの一連の加工技術によれば、例えば、プ
ラスチック基板等を所望の形状となるように加工するこ
とが可能となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
加工技術では、以下のような理由により、プラスチック
基板を高精度に加工することが困難であるという問題が
あった。すなわち、例えば、内径が1.0mm以下の円
形の開口形状を有する窪みなどの微細な構造をプラスチ
ック基板に形成しようとすると、従来の加工技術におけ
る加工精度は微細構造を形成し得るものでないため、深
さ方向において窪みの内径がばらついてしまう。このよ
うな傾向は、特に、例えば、内径に対して深さが2倍以
上となるような微細な窪みを形成する場合に顕著とな
る。
【0004】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであり、その目的は、プラスチック基板を用いて微細
な構造物を高精度に加工可能なエッチング方法を提供す
ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のエッチング方法
は、プラスチック基板に対してイオン注入処理を施し、
プラスチック基板の表面を改質することにより表面改質
層を形成する第1の工程と、表面改質層を利用してエッ
チング処理の終点を決定することにより、所定のエッチ
ング溶液を用いたウェットエッチング処理を行う第2の
工程とを含むようにしたものである。
【0006】本発明のエッチング方法では、まず、第1
の工程において、プラスチック基板に対してイオン注入
処理が施され、プラスチック基板の表面が改質されるこ
とにより表面改質層が形成される。続いて、第2の工程
において、表面改質層によりエッチング処理の終点が決
定されることにより、所定のエッチング溶液を用いたウ
ェットエッチング処理が行われる。これにより、ウェッ
トエッチング時におけるエッチング範囲を制御すること
が可能となる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0008】[第1の実施の形態]まず、図1を参照し
て、本発明の第1の実施の形態に係るエッチング方法に
用いられる処理装置の構成について説明する。この処理
装置は、例えば、プラスチック基板に対してイオン注入
処理,成膜処理,エッチング処理等を施すことが可能で
あり、主に、プラスチック基板を用いて微細な構造物を
形成するためのものである。
【0009】<処理装置の構成>図1は、処理装置10
の構成を表すものである。この処理装置10は、例え
ば、金属等により構成された真空チャンバ1と、この真
空チャンバ1の壁面に配設された複数(例えば3つ)の
処理ソース2,3,4と、排気管1Kを介して真空チャ
ンバ1と接続された真空ポンプ5と、処理ソース2〜4
に対応してそれぞれ配設され、一端部が真空チャンバ1
の内部に導入された複数(例えば3つ)の導入端子6
(6A,6B,6C)と、配線Sを介して導入端子6と
接続され、導入端子6に対してバイアス電圧を印加する
バイアス電源7とを備えている。各導入端子6A〜6C
の一端部は、複数(例えば3つ)の基板ホルダ8(8
A、8B,8C)とそれぞれ連結されており、この基板
ホルダ8に、処理対象となる基板Pが装着されている。
基板Pは、図示しない移動アームにより、基板ホルダ8
A〜8C間を随時移動可能になっている。なお、図1で
は、基板Pが基板ホルダ8Aに装着されている場合を示
している。
【0010】処理ソース2は、例えば、カウフマン型イ
オンソースにより構成されており、主に、基板Pに対し
て所定のイオンを注入することにより基板Pの表面を改
質する(後述する表面改質層21を形成する;図3参
照)と共に、基板P等をエッチングするものである。こ
の処理ソース2は、例えば、イオン注入処理時におい
て、基板Pに対して注入されることとなるイオン(以
下、「注入イオン」という)を生成可能な所定のガス
(動作ガス)を用いて、注入イオンを含むプラズマを真
空チャンバ1の内部に発生させ、一方、エッチング処理
時において、所定のガス(エッチングガス)を用いてエ
ッチング処理を実行可能なイオン(以下、「エッチング
イオン」という)を含むプラズマを真空チャンバ1の内
部に発生させる。動作ガスとしては、例えば窒素ガス,
水素ガス,メタンガス等、エッチングガスとしては、例
えば酸素ガス等がそれぞれ挙げられる。処理ソース2に
おける処理内容(イオン注入処理またはエッチング処
理)は、例えば、バイアス電源7により処理ソース2に
印加されるバイアス電圧の大きさにより決定される。
【0011】処理ソース3は、例えば、DC(Direct C
urrent)スパッタソースにより構成されており、主に、
基板Pを用いて各種のマイクロマシン等を形成する際
に、成膜処理を用いて基板P等の表面に電極等を形成す
るものである。
【0012】処理ソース3は、例えば、FCVA(Filt
ered Cathodic Vacuum Arc)イオンソースにより構成さ
れており、主に、イオン注入処理が施された基板P(表
面改質層21)などの表面に所定の材質よりなる薄膜を
形成するものである。FCVAイオンソースとは、カソ
ードの溶融により生じた液滴を除去するための電磁フィ
ルターを汎用のカソーディックアークソースに付設した
ものである。この処理ソース3は、例えば、イオン源と
して高密度カーボンロッドにより構成されたカソードを
有し、ストライカートリガー電極を用いて発生させたア
ーク放電のエネルギーを利用してカソードを蒸発させる
ことにより、真空チャンバ1の内部に炭素イオンを発生
させる。処理ソース3では、イオンを発生させるために
動作ガスを要するカウフマン型イオンソース等とは異な
り、動作ガスを用いずにイオンを発生させることが可能
であるため、高真空状態を維持しつつイオンを発生させ
ることが可能となる。なお、カソード材料としては、上
記したカーボンの代わりに、セラミックや、タングステ
ン(W),タンタル(Ta),珪素(Si),ニッケル
(Ni),クロム(Cr),アルミニウム(Al),チ
タン(Ti),銅(Cu)などの金属などを用いること
も可能である。
【0013】真空ポンプ5は、例えば、ターボ分子ポン
プにより構成されており、主に、真空チャンバ1の内部
に満たされているガス(例えば空気等)を排気管1Kを
通じて排気し、所望の真空状態となるまで真空チャンバ
1の内部を減圧するものである。
【0014】導入端子6(6A〜6C)は、例えば、汎
用の導入端子により構成されており、処理ソース2〜4
の処理条件等に応じてそれぞれ図中の矢印Y1の方向に
移動可能になっている。この導入端子6には、例えば、
冷媒循環用の配管6Hが組み込まれており、配管6Hを
通じて冷媒Wを循環させることにより、基板ホルダ8に
装着された基板Pを冷却させることが可能になってい
る。なお、導入端子6は、例えば金属などの導電材料に
より構成されており、真空チャンバ1に設けられた支持
部材1Bにより支持されている。この支持部材1Bは、
例えば、セラミックなどの絶縁性材料により構成されて
おり、真空チャンバ1と導入端子6とは支持部材1Bを
介して電気的に分離されている。
【0015】バイアス電源7は、例えば、基板ホルダ8
に装着された基板Pに対して、正のパルス電圧と負のパ
ルス電圧とを含むパルス電圧を印加するものである。こ
のバイアス電源7により基板Pに対して負のパルス電圧
が印加されたときに、真空チャンバ1の内部に発生した
プラズマ中の各種イオンが基板Pに引き寄せられ、基板
Pに対する各種処理(イオン注入処理,成膜処理,エッ
チング処理)が行われる。なお、パルス電圧のパルスピ
ーク値(パルス波高),パルス立ち上がり時間,パルス
間隔,パルス幅等は、バイアス電源7により各導入端子
6(6A〜6C)ごとに独立して調整可能になってい
る。
【0016】基板ホルダ8(8A〜8C)は、基板Pを
保持するものであり、例えば、導入端子6と同様に、金
属等の導電材料により構成されている。基板Pは、例え
ば、円盤状や矩形状の構造を有するものである。基板P
の材質(プラスチック材料)としては、例えば、アモル
ファスポリオレフィン(APO;Amorphous Polyolefi
n),ポリカーボネート(PC;Polycarbonate ),ポ
リメチルメタクリレート(PMMA;Polrmethyl Metha
crylate ),ポリエチレンテレフタラート(PET;Po
lyethylene Terephthalate),アクリロニトリル−ブタ
ジエン−スチレン共重合体(ABS;Acrylonitrile Bu
tadien Styrene copolymer),ポリアセタール(PO
M;Polyacetal),四フッ化エチレン(PTFE;Poly
Tetra Fuluoro Ethylen),ナイロン6,ポリエチレン
などが挙げられる。
【0017】なお、処理装置10は、上記した一連の構
成要素の他、例えば、処理装置10全体を制御するため
のマイクロコンピュータ,処理ソース2等に各種ガスを
供給するためのガスボンベ,真空チャンバ1の外部に導
出された導入端子6の他端部と接続され、導入端子6を
移動させるための駆動装置などを含んで構成されてい
る。この処理装置10では、基板Pが絶縁材料(プラス
チック材料)により構成される場合の他、金属などの導
電材料により構成される場合においても使用可能であ
る。導電性を有する基板Pを用いる場合には、パルス電
源7により基板Pに対して負のパルス電圧のみが印加さ
れることとなる。
【0018】<エッチング方法>次に、図1〜図8を参
照して、本実施の形態のエッチング方法について説明す
る。本実施の形態のエッチング方法は、主に、イオン注
入処理,ドライエッチング処理,ウェットエッチング処
理をこの順に含んでいる。図2および図3はイオン注入
処理,図4および図5はドライエッチング処理,図6お
よび図7はウェットエッチング処理をそれぞれ説明する
ものである。また、図8は、イオン注入処理時において
基板Pに印加されるパルス電圧の波形(A)および電流
変化(B)をそれぞれ表すものである。なお、図2〜図
7では、各処理時における処理装置10の要部(基板P
の周辺部)のみを示すと共に、処理手順を判り易くする
ために基板Pについては断面構成を示している。
【0019】エッチング処理を行う前には、作業者等に
より、以下のような準備作業が行われる。すなわち、ま
ず、例えば、APOにより構成された約0.4mm厚の
基板Pが洗浄されたのち、基板ホルダ8Aに基板Pが装
着される(図1参照)。続いて、真空チャンバ1の密閉
状態が確認されたのち、キーボードなどの入力装置を介
して一連の処理条件(処理装置2〜4,真空ポンプ5,
導入端子6,バイアス電源7等の動作内容等)が入力さ
れる。最後に、配管6Hに冷媒Wが循環され、基板ホル
ダ8Aにより保持された基板Pが冷却されると共に、真
空ポンプ5が稼動され、真空チャンバ1の内部が所望の
真空状態となるまで減圧される。
【0020】《イオン注入処理》準備作業が完了したの
ち、まず、図2に示したように、例えば、動作ガスとし
て窒素ガスを用いて、処理ソース2(カウフマン型イオ
ンソース)により基板Pに対してイオン注入処理を施
す。イオン注入処理を行う場合には、バイアス電源7に
より基板Pに対して、例えば、正のパルスピーク値V1
=約+10kV,負のパルスピーク値V2=約−20k
V,正負のパルス幅B=約60μ秒,周期T=約1m秒
の条件(図8(A)参照)で正のパルス電圧と負のパル
ス電圧とを含むパルス電圧を印加する。また、イオン注
入は、処理ソース2からの窒素イオン電流が約10mA
のとき、バイアス電極におけるイオン電流と2次電子と
による電流のピーク値が約0.08Aとなるような電流
条件下において約180秒間行う(図8(B))。処理
ソース2により真空チャンバ1の内部に窒素イオン(注
入イオン)N1を含む約350eVのエネルギーを有す
るプラズマが発生し、この窒素イオンN1が基板Pに対
して印加された負のパルス電圧(−20kV)により加
速され、−20keVのエネルギーで基板Pに引き込ま
れる。これにより、基板Pの露出面全体が改質され、図
3に示したように、基板Pを覆うように表面改質層21
が約80nmの厚みで形成される。続いて、例えば、移
動アームを用いて基板Pを裏返したのち、基板Pの露出
面に対して再度イオン注入処理を施し、基板Pの表面全
体が表面改質層21により覆われるようにする(後述す
る図4参照)。
【0021】《ドライエッチング処理》続いて、図4に
示したように、例えば移動アームを用いて、表面改質層
21のうちの処理ソース2に近い側(図中の上側)の表
面に、例えば円形の開口形状(内径約0.035mm)
を有する開口部22Uを備えたマスク22を載置する。
このマスク22は、例えば、金属やセラミックなどによ
り構成されており、真空チャンバ1の内部に予め用意さ
れている。
【0022】続いて、図5に示したように、例えば、エ
ッチングガスとして酸素ガスを用いて、処理ソース2に
より全体にドライエッチング処理を施す。ドライエッチ
ング処理を行う際には、例えば、エッチングガスの導入
量=約2.5×10-73 /s(約15sccm),加
速電圧=約200V,背景真空度(イオン放出前におけ
る真空チャンバ1内の真空度)=約2.3×10-4
a,動作真空度(イオン放出後における真空チャンバ1
内の真空度)=約5.0×10-2Paとする。処理ソー
ス2により真空チャンバ1の内部に酸素イオン(エッチ
ングイオン)N2を含むプラズマが発生し、約200e
Vのエネルギーを有する酸素イオンN2が表面改質層2
1に対して選択的に衝突する。このときのエッチング処
理は、基板Pの表面(未改質面)が露出するまで行う。
これにより、表面改質層21のうち、マスク22の開口
部22Uに対応する部分のみが選択的に除去され、開口
部21Uが形成される。なお、エッチング速度を増加さ
せ、開口部21Uの形成に要する時間を短縮したい場合
には、例えば、バイアス電源7により基板Pに対して、
パルスピーク値=約−6kV,パルス幅=約60μ秒,
パルス周波数=約1kHzの条件で負のパルス電圧を印
加するようにしてもよい。続いて、基板P等を真空チャ
ンバ1の内部から取り外したのち、マスク22を除去す
る。
【0023】《ウェットエッチング処理》続いて、図6
に示したように、例えば、表面改質層21を溶解させる
ことが不能で、基板Pを溶解させることが可能なリモネ
ン(d−C1016)などよりなるエッチング溶液Eを処
理槽30に満たしたのち、開口部21Uが下側を向くよ
うに基板P等をエッチング溶液Eに浸し、基板P等に対
してウェットエッチング処理を施す。ウェットエッチン
グ処理を行う場合には、例えば、エッチング処理を円滑
化すべく、処理温度を約120°C以下とすると共に、
超音波発生装置を用いて超音波を発生させるようにす
る。超音波発生装置としては、例えば、本田製超音波発
生式洗浄機W−113を用い、約28,45,100k
Hzおよび約100Wの条件により超音波を発生させ
る。これにより、基板Pのうち、表面改質層21の開口
部21Uに対応する部分(被エッチング層)のみが約3
分間ほどで選択的に溶解する。このとき、表面改質層2
1のうち、開口部21Uの周辺部(21X)がマスクと
して機能するため、基板Pに対するエッチング処理は異
方的(鉛直下向き)に進行する。そして、表面改質層2
1のうち、開口部21Uが形成されている側と反対側の
部分(21Y)がエッチング処理の終点を決定する機能
を果すため、エッチング処理は表面改質層(21Y)の
表面に達した時点で終了する。これにより、深さ方向に
おいて均一(約0.035mm)な内径を有する微細な
窪みPU1が基板Pに形成される。
【0024】なお、エッチング溶液Eとしては、上記し
たリモネンの他、例えば、シクロヘキサン,シクロヘキ
サノン,メチルエチルケトン,メチルイソブチルケト
ン,エチルエーテル,テトラヒドロフラン,キシレン,
n−ペンタン,n−ヘキサン、n−オクタン、1、2−
ジクロロエタン、メチルアクリレート、メチルメタアク
リレート,ジオクチルフタレート、ジメチルホルムアミ
ドなどの有機溶剤,濃硫酸などの強酸性溶剤,サラダ油
やマーガリンなどの混合溶剤などを用いるようにしても
よい。ただし、多種のプラスチック材料に対する溶解速
度や廃棄時における環境面などを考慮するならば、エッ
チング溶液Eとしてリモネンを使用するのが好ましい。
【0025】続いて、基板P等をエッチング溶液Eから
取り出したのち、アセトンなどの有機溶剤を用いて、ウ
ェットエッチング時における基板P等の溶解により発生
した溶解かす等を除去する。最後に、基板P等を乾燥さ
せ、リモネンやアセトンなどの溶剤成分を揮発させるこ
とにより、微細な窪みPU1を有する基板Pが完成す
る。
【0026】以上説明したように、本実施の形態では、
エッチング溶液Eに可溶な基板Pを用いて、イオン注入
処理により基板Pの表面にエッチング溶液Eに不溶な表
面改質層21を形成したのち、ドライエッチング処理に
より表面改質層21に開口部21Uが形成された基板P
等に対してエッチング溶液Eを用いてウェットエッチン
グ処理を施すようにしている。このような場合には、ウ
ェットエッチング処理時において、表面改質層21のう
ち、開口部21Uの周辺部(21X)がマスクとして機
能することによりエッチング処理が異方的に進行すると
共に、開口部21Uと反対側の部分(21Y)がエッチ
ング処理の終点を決定する機能を果すこととなる。この
ため、成型技術や切削技術を用いていた従来の場合とは
異なり、深さ方向において均一な内径を有するように窪
みPU1が形成され、プラスチックよりなる基板Pを用
いた微細な構造物を高精度に形成することができる。
【0027】さらに、本実施の形態では、窪みPU1を
有する基板Pを利用して、多種の工業分野で有用な各種
のマイクロマシンを高精度に形成することもできる。
【0028】また、本実施の形態では、イオン注入処理
時において、バイアス電源7により基板Pに対して正の
パルス電圧と負のパルス電圧とを含むパルス電圧を印加
するようにしたので、基板Pの材質として絶縁性を有す
るプラスチックなどを用いた場合においても、処理時に
おいて基板Pの内部に電荷がたまる(チャージアップ)
ことがない。このため、チャージアップに起因するイオ
ン注入処理の停滞現象を回避し、基板Pに対してイオン
を円滑かつ均一に注入することができる。
【0029】また、本実施の形態では、基板Pに対して
イオン注入処理を施すことにより表面改質層21を形成
するようにしたので、成膜処理を用いて基板P上に表面
改質層21(表面改質層21と同様の機能を果たす層)
を形成する場合よりも、表面改質層21の形成を簡略化
することができる。
【0030】また、本実施の形態における基板Pの材質
としてのプラスチック材料の使用は、以下のような理由
により可能となる。すなわち、本実施の形態では、イオ
ン注入時やドライエッチング時における環境温度が比較
的低い(約100°C以下)カウフマン型イオンソース
(処理ソース2)やFCVAイオンソース(処理ソース
4)を用いると共に、比較的低い環境温度下(約120
°C)においてウェットエッチング処理を行うようにし
ている。このため、本実施の形態では、処理時の環境温
度が比較的高い(約400°C以上)半導体プロセスな
どを用いた場合とは異なり、基板Pが高温下(一般的な
プラスチック材料の軟化温度以上の温度下)にさらされ
ることがない。
【0031】なお、本実施の形態では、エッチング溶液
Eとして、表面改質層21を溶解させることが不能で、
基板Pを溶解させることが可能なリモネンなどを用いる
ようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、
例えば、表面改質層21に対する基板Pのエッチングの
選択比が高い(基板Pに対する溶解速度が表面改質層2
1に対する溶解速度よりも十分に大きい)ような選択的
な溶解特性を有する溶液を用いるようにしてもよい。こ
のような場合においても、基板Pおよび表面改質層21
のそれぞれに対する溶解特性の差異を利用することによ
り、上記実施の場合と同様の効果を得ることができる。
【0032】なお、本実施の形態では、基板Pに窪みP
U1を1つ形成する場合について説明したが、必ずしも
これに限られるものではなく、複数の窪みPU1を形成
することも可能である。このような場合には、複数の窪
みPU1により構成されたメンブレン構造を有する基板
Pを形成することができる。基板Pに複数の窪みPU1
を形成する場合には、例えば、ドライエッチング処理時
(図4,図5参照)において、複数の開口部22Uが設
けられたマスク22を用いてエッチング処理を行い、表
面改質層21に複数の開口部21Uを形成したのち、上
記実施の形態の場合と同様にウェットエッチング処理
(図6,図7参照)を行うようにする。
【0033】また、本実施の形態では、イオン注入処理
を実行するためのソースとして、カウフマン型イオンソ
ースにより構成された処理ソース2を用いるようにした
が、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、F
CVAイオンソースにより構成された処理ソース4を用
いるようにしてもよい。このような場合には、例えば、
動作真空度=約5×10-4Pa,正のパルスピーク値V
1=約+10kV,負のパルスピーク値V2=約ー20
kV,正負のパルス幅B=約60μ秒,周期T=約1k
Hz,パルスイオン電流=約0.7Aの条件下において
約25eVのエネルギーを有するイオンを発生させるよ
うにする。
【0034】また、本実施の形態では、マスク22の構
成材料としてセラミックを用いるようにしたが、必ずし
もこれに限られるものではなく、例えば、PMMAなど
の絶縁性の樹脂材料を用いるようにしてもよい。このよ
うな場合には、例えば、基板Pの表面に表面改質層21
を形成したのち(図4参照)、まず、基板P等を真空チ
ャンバ1の内部から取り出し、スピンコート等の成膜手
法を用いて表面改質層21上にPMMAを塗布すること
によりPMMAレジストを形成する。続いて、汎用のマ
スクアライナーおよびUV露光装置を用いてPMMAレ
ジストを選択的に露光・現像することにより、図4に示
した場合と同様に、開口部22Uを有するマスク22を
形成する。なお、マスク22の形成以降の工程は、上記
実施の形態における図5以降の工程と同様である。
【0035】[第2の実施の形態]次に、図9〜図11
を参照して、本発明の第2の実施の形態に係るエッチン
グ方法について説明する。本実施の形態のエッチング方
法は、主に、イオン注入処理,成膜処理,ドライエッチ
ング処理,ウェットエッチング処理をこの順に含んでい
る。図9は成膜処理,図10はドライエッチング処理,
図11は本実施の形態のエッチング方法により形成され
る基板P等の断面構成をそれぞれ表すものである。な
お、図9〜図11において、上記第1の実施の形態にお
ける構成要素と同一の部分には同一の符号を付してい
る。
【0036】本実施の形態において、図9における表面
改質層21を形成するところまでの工程は、例えば、上
記第1の実施の形態における図4に示した同工程までと
同様であるので、その説明を省略する。
【0037】《成膜処理》本実施の形態では、表面改質
層21を形成したのち、まず、図9に示したように、移
動アームを用いて基板P等を基板ホルダ8Cに移動さ
せ、例えば、処理ソース4(FCVAイオンソース)に
より、表面改質層21を覆うように炭素薄膜41(例え
ばta−C(tetrahedral amorphous Carbon)薄膜)を
約100nmの厚みで形成する。炭素薄膜41を形成す
る際には、例えば、処理ソース4の動作電圧を約25V
とする。成膜時には、真空チャンバ1の内部に、イオン
電流が約0.7Aで、約25eVのエネルギーを有する
炭素イオンN3が発生し、処理ソース4に搭載された2
台のダクトコイル光学系により炭素イオンN3が基板P
に対して誘導される。
【0038】《ドライエッチング処理》続いて、図10
に示したように、例えば、移動アームを用いて基板P等
を基板ホルダ8Aに移動させたのち、上記第1の実施の
形態におけるドライエッチング処理(図5参照)と同様
に、開口部42Uを有するマスク42を炭素薄膜41上
に載置する。続いて、処理ソース2(例えば酸素イオン
N2)を用いて全体にエッチング処理を施し、基板Pが
露出するまで表面改質層21および炭素薄膜41の双方
を選択的に除去することにより開口部41Uを形成す
る。
【0039】《ウェットエッチング処理》続いて、マス
ク42を除去したのち、上記第1の実施の形態における
ウェットエッチング処理(図6)と同様にリモネン等の
エッチング溶液Eに基板P等を浸し、基板Pを選択的に
除去することにより、図11に示したように、基板Pに
微細な窪みPU2が形成される。この窪みPU2は、上
記第1の実施の形態における窪みPU1と同様に、深さ
方向において均一な内径を有するように高精度に形成さ
れる。最後に、基板P等をエッチング溶液Eから取り出
し、乾燥させる。
【0040】本実施の形態では、表面改質層21上に炭
素薄膜41を形成したのち、上記第1の実施の形態の場
合と同様のドライエッチング処理およびウェットエッチ
ング処理をこの順に行うようにしたので、基板Pから炭
素薄膜41に至る領域に微細な窪み(開口部41U,窪
みPU2)を形成することができる。これにより、窪み
PU2を有する基板P等を利用して、各種のマイクロマ
シンを高精度に形成することもできる。もちろん、上記
したマイクロマシンの形成精度に係る効果は、成膜処理
において炭素薄膜41以外の各種材料(例えば金属やセ
ラミック等)よりなる薄膜を形成する場合においても同
様に得られる。
【0041】しかも、本実施の形態では、各種薄膜との
接着性に優れた表面改質層21上に炭素薄膜41を形成
するようにしたので、各種薄膜との接着性に劣るプラス
チック材料(基板P)上に炭素薄膜41を直接形成する
場合とは異なり、基板Pと炭素薄膜41とが表面改質層
21を介して強固に接着される。これにより、接着後に
おける炭素薄膜41の割れや剥がれなどの不具合を回避
することができる。もちろん、上記した基板Pと炭素薄
膜41との接着に係る効果は、炭素薄膜41以外の各種
薄膜を形成した場合においても同様に得られる。
【0042】なお、本実施の形態における上記以外の処
理条件(ドライエッチング処理,ウェットエッチング処
理),作用,効果,変形例等は、上記第1の実施の形態
の場合と同様である。
【0043】[第3の実施の形態]次に、図12および
図13を参照して、本発明の第3の実施の形態に係るエ
ッチング方法について説明する。本実施の形態のエッチ
ング方法は、主に、イオン注入処理およびウェットエッ
チング処理をこの順に含んでいる。図12はウェットエ
ッチング処理,図13は本実施の形態のエッチング方法
により形成される基板P等の断面構成をそれぞれ表すも
のである。なお、図12および図13において、上記第
1の実施の形態における構成要素と同一の部分には同一
の符号を付している。
【0044】《イオン注入処理》本実施の形態のイオン
注入処理では、基板Pの表面全体に表面改質層21を形
成すべく、基板Pの両面に対して2度のイオン注入処理
を施した上記第1の実施の形態の場合とは異なり、ま
ず、基板Pの一面側に対して1度のイオン注入処理を施
す。これにより、基板Pの他面には表面改質層21が形
成されず、基板Pが露出することとなる(図3参照)。
なお、このイオン注入処理に係る工程は、例えば、上記
第1の実施の形態における図3に示した同工程までと同
様であるので、その説明を省略する。
【0045】《ウェットエッチング処理》表面改質層2
1を形成したのち、図12に示したように、基板P等を
真空チャンバ1の内部から取り出し、基板Pの露出面上
に、開口部52Uを有するマスク52を載置する。マス
ク52の構造,構成材料,形成方法等は、例えば、上記
第1の実施の形態におけるマスク22(図4参照)と同
様とする。
【0046】続いて、マスク52を載置したまま、上記
第1の実施の形態におけるウェットエッチング処理(図
6)と同様に、リモネン等のエッチング溶液Eに基板P
等を浸し、基板Pを選択的に除去する。このとき、エッ
チング処理を異方的(鉛直下向き)に進行させる表面改
質層21(21X)が基板Pとマスク22との間に形成
されていた上記第1の実施の形態の場合(図7参照)と
は異なり、基板Pとマスク52との間に表面改質層21
(21X)が形成されていないため、基板Pに対するエ
ッチング処理が等方的に進行し、図13に示したよう
に、開口部52Uの径よりも大きな径を有し、エッチン
グ面が円弧状を呈する窪みPU3が形成される。最後
に、基板P等をエッチング溶液Eから取り出し、乾燥さ
せる。
【0047】本実施の形態では、上記第1の実施の形態
において説明した表面改質層21の機能のうち、マスク
としての機能(21X;図7参照)を利用せず、エッチ
ング処理の終点を決定する機能のみを利用するようにし
ている。このため、ウェットエッチング処理におけるエ
ッチング方向が異方的に進行した上記第1の実施の形態
の場合とは異なり、エッチング方向を等方的に進行さ
せ、エッチング面が円弧状を呈する窪みPU3を簡略か
つ高精度に形成することができる。もちろん、窪みPU
3を有する基板P等を利用して、各種のマイクロマシン
を形成することもできる。なお、窪みPU3の内径や深
さ等は、ウェットエッチング処理時における処理時間等
を調整することにより自由に設定可能である。
【0048】さらに、本実施の形態では、基板Pの構成
材料として透明性を有するプラスチック材料を用い、例
えばマトリクス状に配列されるように複数の窪みPU3
を基板Pに設けることにより、光学分野において有用な
マイクロレンズアレイなどを形成することができる。
【0049】なお、本実施の形態における上記以外の処
理条件(ウェットエッチング処理),作用,効果,変形
例等は、上記した各実施の形態の場合と同様である。
【0050】[第4の実施の形態]次に、図14〜図2
3を参照して、本発明の第4の実施の形態に係るエッチ
ング方法について説明する。本実施の形態のエッチング
方法は、主に、イオン注入処理,成膜処理,ドライエッ
チング処理,ウェットエッチング処理をこの順に含んで
いる。図15および図17は成膜処理,図19および図
21はドライエッチング処理,図23は本実施の形態の
エッチング方法により形成される基板P等の平面構成を
それぞれ表すものである。また、図14,図16,図1
8,図20,図22は、上記した図15〜図21に示し
た基板P等のA−A線に沿った矢視断面をそれぞれ表す
ものである。なお、図14〜図23において、上記第1
の実施の形態における構成要素と同一の部分には同一の
符号を付している。
【0051】本実施の形態では、まず、上記第1の実施
の形態の場合と同様のイオン注入処理(図2〜図4参
照)を用いて、例えば矩形状の平面形状を有する基板P
の表面全体に表面改質層21を形成する。
【0052】《成膜処理》続いて、図14および図15
に示したように、例えば、移動アームを用いて基板P等
を基板ホルダ8Bに移動させ、処理ソース3(DCスパ
ッタソース)により、例えば表面改質層21上のほぼ中
央部に、例えば銅よりなる犠牲層61を約40nmの厚
みで選択的に形成する。犠牲層61を形成する際には、
例えば、その平面形状が矩形状をなすようにする。この
犠牲層61は、例えば、後工程において犠牲層61上に
形成されることとなる炭素薄膜62(図16,図17参
照)を一時的に支持するものであり、ウェットエッチン
グ処理においてエッチング溶液Eにより溶解し、除去さ
れるものである。
【0053】続いて、図16および図17に示したよう
に、例えば、上記第2の実施の形態の場合(図9参照)
と同様に、移動アームを用いて基板P等を基板ホルダ8
Cに移動させたのち、処理ソース4(FCVAイオンソ
ース)により、基板P等を覆うように炭素薄膜62(例
えばta−C薄膜)を約100nmの厚みで形成する。
炭素薄膜62のうち、犠牲層61上に形成された部分の
位置は、犠牲層61上以外の領域に形成された部分の位
置よりも高くなる。
【0054】《ドライエッチング処理》続いて、図18
および図19に示したように、例えば、移動アームを用
いて基板P等を基板ホルダ8Aに移動させたのち、炭素
薄膜62上に、例えば「U」型の開口形状を有する開口
部63Uを備えたマスク63を載置する。開口部63U
の大きさは、例えば、犠牲層61の大きさに対応するよ
うにする(図19参照)。
【0055】続いて、図20および図21に示したよう
に、処理ソース2(例えば酸素イオンN2)により、マ
スク63の開口部63Uを通じてエッチング処理を施
し、犠牲層61が露出するまで炭素薄膜62を選択的に
除去することにより開口部62Uを形成する。
【0056】《ウェットエッチング処理》続いて、マス
ク63を除去したのち、例えば、表面改質層21および
炭素薄膜62を溶解させることが不能で、犠牲層62を
溶解させることが可能な塩化第2鉄溶液をエッチング溶
液Eとして用いて、上記第1の実施の形態におけるウェ
ットエッチング処理(図6)と同様にエッチング溶液E
に基板P等を浸す。これにより、犠牲層62(被エッチ
ング層)のみが選択的に溶解することにより、図22お
よび図23に示したように、一端部が基板Pにより支持
され、他端部が炭素薄膜62の他の部分および基板Pの
双方から離間された梁部62Rを有する微細な梁構造が
形成される。このとき、表面改質層21は、基板Pが溶
解することを防ぐための保護材として機能するため、ウ
ェットエッチング処理により基板Pが溶解することがな
い。最後に、基板P等をエッチング溶液Eから取り出
し、乾燥させる。
【0057】本実施の形態では、ウェットエッチング処
理時における基板Pの溶解を防ぐための保護材として表
面改質層21を利用すると共に、ウェットエッチング処
理により除去可能な犠牲層62を利用するようにしたの
で、基板Pの溶解を回避しつつ、微細な梁構造を高精度
に形成することができる。もちろん、この梁構造を有す
る基板P等を利用して、各種のマイクロマシンを形成す
ることもできる。
【0058】なお、本実施の形態では、図22および図
23に示した梁構造の他、これ以外の多様な梁構造を形
成することが可能である。図24および図25は、本実
施の形態において形成された梁構造に対する変形例とし
ての梁構造を表すものであり、図22および図23にそ
れぞれ対応するものである。図24および図25では、
梁部62Rの他端部が炭素薄膜62の他の部分と連結さ
れた構造を示している。このような梁構造は、例えば、
ドライエッチング処理時に使用するマスク63における
開口部63Uの形状を変更することにより形成可能とな
る。もちろん、本実施の形態では、梁構造に限らず、梁
構造以外の多様な立体構造を形成することも可能であ
る。
【0059】また、本実施の形態では、犠牲層61の構
成材料として銅を用い、エッチング溶液Eとして塩化第
2鉄溶液を用いるようにしたが、必ずしもこれに限られ
るものではなく、エッチング溶液Eとして、犠牲層61
を溶解させることが可能であると共に犠牲層61以外の
構成要素(表面改質層21や炭素薄膜62等)を溶解さ
せることが不能な溶液を用いる限り、犠牲層61やエッ
チング溶液Eの材料は自由に変更可能である。なお、本
実施の形態においても、上記第1の実施の形態において
説明した場合と同様に、例えば、表面改質層21や炭素
薄膜62に対する犠牲層61のエッチングの選択比が高
いような選択的な溶解特性を有する溶液を用いることに
より、溶解特性の差異を利用して上記実施の場合と同様
の効果を得ることができる。
【0060】なお、本実施の形態における上記以外の処
理条件(ウェットエッチング処理),作用,効果,変形
例等は、上記した各実施の形態の場合と同様である。
【0061】以上、いくつかの実施の形態を挙げて本発
明を説明したが、本発明は上記各実施の形態に限定され
るものではなく、種々変形可能である。例えば、一連の
エッチング工程において用いた処理装置10の構成や各
処理時に用いた処理方法(イオン注入方法,成膜方法,
エッチング方法)等は、必ずしも上記各実施の形態にお
いて説明したものに限られるものではなく、各構成要素
(処理ソース等)の機能や各処理結果を同様に確保する
ことが可能な限り、自由に変更可能である。この場合に
おいても、上記実施の形態の場合と同様の効果を得るこ
とができる。
【0062】また、上記各実施の形態では、エッチング
工程により形成可能な微細構造として窪み構造(PU
1,PU2,PU3)や梁構造(梁部62U)について
説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、ウ
ェットエッチング処理時におけるエッチング方向(異方
性,等方性)を制御することにより、他の各種の微細構
造を形成することが可能である。具体的には、例えば、
図26に示したように、エッチング工程により形成され
た基板P等を用いてマイクロチャンネルなどの放熱デバ
イスを形成することも可能である。図26は、エッチン
グ工程を利用して形成可能なマイクロチャンネル70の
構成例を表すものである。このマイクロチャンネル70
は、例えば、上記第1の実施の形態において窪みPU1
を形成した場合と同様の手法により形成された複数の溝
PU4を有する基板Pと、この基板Pの溝PU4を覆う
ように図示しない接着層を介して配設されたカバープレ
ート71とを含んで構成される。なお、カバープレート
71と接着層との間には、例えば、保護層が配設される
場合もある。基板Pのうち、溝PU4の幅(チャンネル
幅)は約10μm,各溝PU4間の部分(柱部)の幅は
約100μmである。このマイクロチャンネル70の溝
PU4には、例えば、水,メチルアルコール,エチルア
ルコールなどの液体が満たされる。また、マイクロチャ
ンネル70として、例えば、図27に示したように、上
記第3の実施の形態において窪みPU3を形成した場合
と同様の手法により、エッチング面が円弧状を呈する溝
PU4を有するものを形成することも可能である。もち
ろん、複数のマイクロチャンネル70を積層して利用す
ることも可能である。
【0063】また、上記各実施の形態では、主に、エッ
チング工程により形成された微細構造を有する基板P等
をマイクロマシンに利用する場合について説明したが、
必ずしもこれに限られるものではなく、他の各種の工業
分野等において利用可能である。具体的には、例えば、
上記したマイクロチャンネル70を形成した場合と同様
の手法を用いて基板Pの面内方向に連続した溝構造を形
成し、この溝構造をCD(Compact Disc),HD(Hard
Disc),MD(Mini Disc)などの各種ディスク上に形
成されるグルーブとして利用可能である。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1ないし請
求項6のいずれか1項に記載のエッチング方法によれ
ば、イオン注入処理によりプラスチック基板の表面に表
面改質層を形成したのち、所定のエッチング溶液を用い
て、表面改質層を利用してエッチング処理の終点が決定
されるようにウェットエッチング処理を行うようにした
ので、ウェットエッチング処理時において、表面改質層
によりエッチング範囲が制御される。このため、成型技
術や切削技術を用いた従来の場合とは異なり、プラスチ
ック基板を用いた微細な構造物を高精度に形成すること
ができる。しかも、ウェットエッチング処理時における
エッチング方向(異方性,等方性)を制御することによ
り、微細な構造を有するプラスチック基板を用いて各種
のマイクロマシンを形成することが可能となる。
【0065】特に、請求項4記載のエッチング方法によ
れば、エッチング溶液としてリモネンを含むものを用い
るようにしたので、エッチングに要する時間を短縮する
ことができると共に、エッチング溶液の廃棄時における
環境面に配慮することができる。
【0066】また、請求項5記載のエッチング方法によ
れば、さらに、表面改質層上に所定の薄膜を形成するよ
うにしたので、所定の薄膜が形成されたプラスチック基
板を用いた微細な構造物を高精度に形成することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るエッチング方
法において用いられる処理装置の構成の一例を表す図で
ある。
【図2】イオン注入処理を説明するための図である。
【図3】図2に続く工程を説明するための図である。
【図4】ドライエッチング処理を説明するための図であ
る。
【図5】図4に続く工程を説明するための図である。
【図6】ウェットエッチング処理を説明するための図で
ある。
【図7】図6に続く工程を説明するための図である。
【図8】イオン注入処理時におけるパルス電圧の波形お
よび電流変化を表す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係るエッチング方
法における成膜処理を説明するための図である。
【図10】ドライエッチング処理を説明するための図で
ある。
【図11】本発明の第2の実施の形態のエッチング方法
により形成される基板等の断面構成を表す断面図であ
る。
【図12】本発明の第3の実施の形態に係るエッチング
方法におけるウェットエッチング処理を説明するための
図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態のエッチング方法
により形成される基板等の断面構成を表す断面図であ
る。
【図14】本発明の第4の実施の形態に係るエッチング
方法における成膜処理を説明するための図である。
【図15】図14に示した基板等の平面構成を表す平面
図である。
【図16】図15に続く工程を説明するための図であ
る。
【図17】図16に示した基板等の平面構成を表す平面
図である。
【図18】ドライエッチング処理を説明するための図で
ある。
【図19】図18に示した基板等の平面構成を表す平面
図である。
【図20】図18に続く工程を説明するための図であ
る。
【図21】図20に示した基板等の平面構成を表す平面
図である。
【図22】本発明の第4の実施の形態のエッチング方法
により形成される基板等の断面構成を表す断面図であ
る。
【図23】図22に示した基板等の平面構成を表す平面
図である。
【図24】本発明の第4の実施の形態のエッチング方法
により形成された梁構造に対する変形例としての梁構造
を表す基板等の断面図である。
【図25】図24に示した基板等の平面構成を表す平面
図である。図23において、上記第1の実施の形態にお
ける構成要素と同一の部分には同一の符号を付してい
る。
【図26】マイクロチャンネルの構成を表す図である。
【図27】他のマイクロチャンネルの構成を表す図であ
る。
【符号の説明】
1…真空チャンバ、2,3,4…処理ソース、5…真空
ポンプ、6(6A、6B,6C)…導入端子、7…バイ
アス電源、8(8A,8B,8C)…基板ホルダ、10
…処理装置、12…表面改質層、22,42,52…マ
スク、21U,22U,41U,42U,52U,62
U,63U…開口部、41,62…炭素薄膜、61…犠
牲層、62R…梁部、70…マイクロチャンネル、71
…カバープレート、E…エッチング溶液、P…基板、P
U1,PU2,PU3…窪み、PU4…溝。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチック基板に対してイオン注入処
    理を施し、前記プラスチック基板の表面を改質すること
    により表面改質層を形成する第1の工程と、 前記表面改質層を利用してエッチング処理の終点を決定
    することにより、所定のエッチング溶液を用いたウェッ
    トエッチング処理を行う第2の工程とを含むことを特徴
    とするエッチング方法。
  2. 【請求項2】 前記エッチング溶液として、前記第2の
    工程においてエッチングされることとなる被エッチング
    層を溶解させることが可能であると共に、前記表面改質
    層を溶解させることが不能な溶液を用いることを特徴と
    する請求項1記載のエッチング方法。
  3. 【請求項3】 前記エッチング溶液として、少なくとも
    前記表面改質層に対する、前記第2の工程においてエッ
    チングされることとなる被エッチング層のエッチングの
    選択比が高い溶液を用いることを特徴とする請求項1記
    載のエッチング方法。
  4. 【請求項4】 前記エッチング溶液としてリモネンを含
    むものを用いることを特徴とする請求項1記載のエッチ
    ング方法。
  5. 【請求項5】 前記第2の工程を超音波環境中において
    行うことを特徴とする請求項1記載のエッチング方法。
  6. 【請求項6】 さらに、前記第1の工程と前記第2の工
    程との間に、 前記表面改質層上に所定の薄膜を形成する第3の工程を
    含むことを特徴とする請求項1記載のエッチング方法。
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