JP2002189102A - シリカ層、及びシリカ層を用いた反射防止フィルム - Google Patents

シリカ層、及びシリカ層を用いた反射防止フィルム

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JP2002189102A JP2001298218A JP2001298218A JP2002189102A JP 2002189102 A JP2002189102 A JP 2002189102A JP 2001298218 A JP2001298218 A JP 2001298218A JP 2001298218 A JP2001298218 A JP 2001298218A JP 2002189102 A JP2002189102 A JP 2002189102A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 反射防止フィルムの反射防止積層体に用いら
れる薄層において、従来から最外層として用いられてい
るシリカ層と同一の原料である酸化ケイ素によって形成
することができ、生産性の高いシリカ層、および当該シ
リカ層を用いた反射防止フィルムを提供することを目的
とする。 【解決手段】 シリカ層の屈折率を1.55以上2.5
0以下(λ=550nm)とし、層の組成をSiOxy
(x=0.5〜1.7、y=0.2〜2.0)とし、消
衰係数が0.018(λ=550nm)以下とする。ま
た当該シリカ層を用いて反射防止フィルムをプラズマC
VD法により製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭素(C)が含有
されたケイ素化合物からなるシリカ層、及び当該シリカ
層を用いた反射防止フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】液晶ディスプレイ、プラズマディスプレ
イ、CRTなどのコンピューター、ワープロ、テレビ、
表示板等に使用される各種ディスプレイや、計器等の表
示体、バックミラー、ゴーグル、窓ガラスなどには、ガ
ラスやプラスチックなどの透明な基板が使用されてい
る。そして、それらの透明な基板を通して、文字や図形
その他の情報を読み取るため、透明な基板の表面で光が
反射するとそれらの情報が読み取り難くなるという欠点
がある。
【0003】現在では、上記欠点を解決するために、基
材フィルム上に互いに屈折率の異なる層を積層すること
により反射防止フィルムを形成し、当該反射防止フィル
ムを前記透明な基板表面に貼ることにより光の反射を防
止することが行われている。そして、このような反射防
止積層体を有する反射防止フィルムにおいては、その最
外層(反射防止フィルムの基材とは反対の表面)には、
効率よく光の反射を防止するために屈折率の小さい層を
設けることが好ましいことが知られており、当該屈折率
の小さい層としては、シリカ層が好適に用いられてい
る。
【0004】しかしながら、従来の反射防止フィルムに
おいては、前記のように最外層としてはシリカ層を用い
ている場合が多いが、最外層以外の層(最外層とは屈折
率の異なる層)は、それぞれ異なる原料を用いて形成さ
れている場合が多い。例えば、低屈折率層と中屈折率層
と高屈折率層とを基材フィルム上に積層してなる反射防
止フィルムにおいては、最外層となる低屈折率層として
はシリカ層を用い、中屈折率層と高屈折率層としては酸
化チタン層を用いることが多く、当該中屈折率層や高屈
折率層は、一般的にはスパッタリング法等により形成さ
れている場合が多い。
【0005】したがって、従来の反射防止フィルムを形
成する際には、屈折率の異なる薄層、例えば中屈折率層
や高屈折率層をそれぞれ別の原料を用いて別々にスパッ
タリング法等で形成する必要があったため、歩留まりが
悪く、またコスト的にも問題が生じていた。
【0006】このような状況において、上記問題を解決
するために、中屈折率層や高屈折率層をシリカ層で形成
する場合がある。これは、シリカ層は、SiOXのXの
値(つまり1個のケイ素原子に結合している酸素原子の
数)を2(化学量論比)より小さくすることにより、屈
折率を増加させることができ、これによりケイ素原子の
酸化度を調整して、屈折率を制御できるからである。こ
のように、シリカ層を中屈折率層や高屈折率層として用
いることにより、低屈折率層として用いられるシリカ層
と同一原料、同一装置を用いて連続的に反射防止フィル
ムを形成することができる。
【0007】しかしながら、上記のようにシリカ層を形
成するSiOXのXの値を小さくすることで屈折率を調
整した場合には、当該シリカ層の可視光域での光吸収が
徐々に増加してしまい、その結果、当該シリカ層を光学
層として用いた場合には、透過率が減少したり、透過色
が変化するといった問題が生じる。このような問題が生
じる原因としては、可視光領域での吸収があるSi−S
i結合が増加することによりシリカ層の消衰係数が増加
したためであると考えられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題に
鑑みなされたものであり、反射防止フィルムの反射防止
積層体に用いられる薄層において、従来から最外層とし
て用いられているシリカ層と同一の原料である酸化ケイ
素によって形成することができ、生産性の高いシリカ層
や、当該層中のSi−Si結合の割合が小さいので、透
過率の減少や透過色の変化が生じないシリカ層、さらに
は当該シリカ層を用いた反射防止フィルムを提供するこ
とを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、請求項1において、屈折率が1.55以上
2.50以下(λ=550nm)であって、層の組成が
SiOxy(x=0.5〜1.7、y=0.2〜2.
0)であり、消衰係数が0.018(λ=550nm)
以下であることを特徴とするシリカ層を提供する。
【0010】屈折率が1.55以上2.50以下(λ=
550nm)である本発明のシリカ層は、屈折率の異な
る複数の薄層を積層してなる反射防止積層体を有する反
射防止フィルムにおいて、当該反射防止積層体中の中屈
折率層または高屈折率層として用いることが可能であ
り、さらに、層の組成をSiOxy(x=0.5〜1.
7、y=0.2〜2.0)とすることにより所望の屈折
率とすることができるため、一般的に反射防止フィルム
の最外層として用いられることが多いシリカ層と同じケ
イ素化合物を原料とすることができる。これにより、反
射防止積層体を形成する際の歩留まりを向上することが
でき、またコストダウンを図ることも可能となる。ま
た、本発明のシリカ層は、消衰係数が0.018(λ=
550nm)以下であるため、層の透明度も充分であ
り、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ
等に使用される各種ディスプレイにおいて用いられる反
射防止フィルムを構成する反射防止積層体中においても
好適に用いることが可能である。
【0011】また、本発明は上記目的を達成するため
に、請求項2において、屈折率が1.55以上1.80
未満(λ=550nm)であって、層の組成がSiOa
b(a=0.7〜1.7、b=0.2〜1.4)であ
ることを特徴とするシリカ層を提供する。
【0012】シリカ層の屈折率を上記範囲内とすること
により、当該シリカ層を反射防止フィルムの反射防止積
層体における中屈折率層として好適に用いることができ
る。また、当該シリカ層の組成を上記組成とすることに
より当該シリカ層の屈折率を所望の屈折率(1.55以
上1.80未満(λ=550nm))とすることがで
き、前記請求項1に記載する発明と同様の効果、つまり
反射防止フィルムにおける反射防止積層体の内の一層と
して用いた場合に、当該反射防止積層体形成の際の歩留
まりを向上することができ、またコストダウンを図るこ
とも可能であるという効果を奏することができる。
【0013】また、本発明は上記目的を達成するため
に、請求項3において、屈折率が1.80以上2.50
以下(λ=550nm)であって、層の組成がSiOd
e(d=0.5〜0.9、e=0.2〜2.0)であ
ることを特徴とするシリカ層を提供する。
【0014】シリカ層の屈折率を上記範囲内とすること
により、当該シリカ層を反射防止フィルムの反射防止積
層体における高屈折率層として好適に用いることができ
る。また、当該シリカ層の組成を上記組成とすることに
より当該シリカ層を所望の屈折率(1.80以上2.5
0以下(λ=550nm))とすることができ、前記請
求項1及び請求項2に記載する発明と同様の効果を奏す
ることができる。
【0015】また、前記請求項1乃至請求項3のいずれ
かの請求項に記載の発明においては、請求項4に記載す
るように、シリカ層中におけるケイ素原子(Si)の全
結合に対するSi−Si結合の割合が1%以下であるこ
とが好ましい。
【0016】従来、中屈折率層や高屈折率層としてのシ
リカ層を形成するために、SiOXのXの値を小さくし
て屈折率を調整した場合には、層中のSi−Si結合が
増加し、その結果、当該シリカ層の可視光域での光吸収
が徐々に増加してしまい、透過率が減少したり、透過色
が変化したりする場合があった。しかしながら、シリカ
層中におけるケイ素原子(Si)の全結合に対するSi
−Si結合の割合を1%以下とすることにより、層中に
はSi−Si結合がほとんど存在していないと考えら
れ、したがってSi−Si結合の光吸収の影響を受ける
ことがない。その結果、消衰係数を0.018(λ=5
50nm)以下とすることができる。
【0017】また、前記請求項1乃至請求項4のいずれ
かの請求項に記載の発明においては、請求項5に記載す
るように、プラズマCVD法により形成することが好ま
しい。
【0018】プラズマCVD法を用いることにより、シ
リカ層を形成する際の成層条件を比較的容易に管理する
ことができ、また複数の薄層を同時に形成することがで
きるため歩留まりの向上を図ることができるからであ
る。
【0019】また、前記請求項5に記載の発明において
は、請求項6に記載するように、原料が有機シリコーン
であることが好ましい。
【0020】プラズマCVD法を用いて本発明のシリカ
層を形成する際の原料を有機シリコーンとすることによ
り、当該シリカ層を効率よく形成することができるから
である。
【0021】さらに、本発明においては、請求項7に記
載するように、基材と、この基材上に設けられており、
複数の薄層が積層されてなる反射防止積層体と、を有す
る反射防止フィルムにおいて、当該反射防止積層体を形
成する薄層中には、少なくとも前記請求項1乃至請求項
6のいずれかに記載のシリカ層が含まれていることを特
徴とする反射防止フィルムを提供する。
【0022】上記請求項1乃至請求項5に記載された本
発明のシリカ層は、屈折率が1.55〜2.50である
ため、反射防止フィルムにおけるいわゆる中屈折率層ま
たは高屈折率層として好適に用いることができ、また反
射防止積層体を有する反射防止フィルムは、プラズマC
VD法により効率よく形成することも可能だからであ
る。
【0023】
【発明の実施の形態】以下に、本発明のシリカ層および
当該シリカ層を用いた反射防止フィルムについて具体的
に説明する。
【0024】[1]シリカ層について 本発明のシリカ層は、屈折率が1.55〜2.50(λ
=550nm)であり、層の組成がSiOxy(x=
0.5〜1.7、y=0.2〜2.0)であり、消衰係
数が0.018(λ=550nm)以下であることに特
徴を有するものである。以下にこれらの特徴について具
体的に説明する。
【0025】まず、本発明のシリカ層は、その屈折率が
1.55〜2.50であり、かつ層の組成がSiOxy
(x=0.5〜1.7、y=0.2〜2.0)であるこ
とに特徴を有している。
【0026】本発明のシリカ層は、反射防止フィルムを
構成する反射防止積層体中の一層として、より具体的に
は中屈折率層または高屈折率層として利用することを主
たる目的としているため、その屈折率は上記の範囲であ
ることが好ましい。
【0027】また、本発明のシリカ層の組成は、SiO
xy(x=0.5〜1.7、y=0.2〜2.0)、つ
まり、単なる酸化ケイ素(SiOx)による層ではな
く、炭素(C)を含有するケイ素化合物(炭化ケイ素化
合物)により構成されていることに特徴を有している。
このように、炭素を含有することにより、当該シリカ層
を所望の屈折率とすることができる。
【0028】ここで、本発明のシリカ層中のケイ素原子
(Si)と結合している酸素原子(O)の数xは0.5
〜1.7である。これは、結合している酸素原子の数が
0.5より少なくなると、それだけケイ素原子(Si)
とケイ素原子(Si)とが結合する割合、つまりSi−
Si結合の割合が増加することになり、消衰係数が増加
し、その結果、シリカ層の透明度が低下して反射防止フ
ィルムの反射防止積層体中の一層として好適に用いるこ
とができなくなるからである。一方、ケイ素原子に結合
している酸素原子の数xを1.7より多くすると、単な
るシリカ層(SiO2)と同様の屈折率(1.46〜
1.55)になってしまい、反射防止フィルムを構成す
る中屈折率または高屈折率層として好適に用いることが
できないからである。
【0029】また、本発明のシリカ層中のケイ素原子
(Si)と結合している炭素原子(C)の数yは0.2
〜2.0である。これは、結合している炭素原子の数が
0.2より少ないと単なるシリカ層(SiO2)と同様
の屈折率(1.46〜1.55)となってしまい、反射
防止フィルムを構成する中屈折率層または高屈折率層と
して好適に用いることができないからである。また一
方、ケイ素原子に結合している炭素原子の数yを2.0
より多くすると、シリカ層の透明度が低下してしまい、
反射防止フィルムの反射防止積層体中の一層として好適
に用いることができなくなると同時にシリカ層の内部応
力が増加して、層へのクラック発生や、層剥がれなどが
発生しやすくなるからである。
【0030】ここで、本発明のシリカ層においては、上
記炭素原子(C)の数yは0.2〜1.0であることが
特に好ましい。
【0031】さらに本発明のシリカ層においては、消衰
係数が0.018(λ=550nm)以下であることに
も特徴を有している。本発明のシリカ層は、消衰係数が
0.018(λ=550nm)以下であるため、層の透
明度も充分であり、例えば、液晶ディスプレイ、プラズ
マディスプレイ等に使用される各種ディスプレイにおい
て用いられる反射防止フィルムを構成する反射防止積層
体中においても好適に用いることが可能である。
【0032】ここで上記消衰係数とは、層の各波長にお
ける吸収割合を示す数値であり、屈折率の虚数部分にあ
たる。具体的には、分光器で測定した透過、反射スペク
トルにCaughyの式を適用することにより算出でき
る。また、光学異方性のない基材(例えば、ケイ素、ポ
リカーボネート、ガラス等)上へ作製した薄層を、エリ
プソメトリ(偏光解析法)を用いる方式でも算出するこ
とができる。
【0033】また、本発明のシリカ層にあっては、その
屈折率が1.55以上1.80未満(λ=550nm)
であって、層の組成をSiOab(a=0.7〜1.
7、b=0.2〜1.4)とすることができる。反射防
止フィルムを構成する反射防止積層体中の中屈折率層と
して好適に用いることができるからである。ここで、中
屈折率層として用いる場合には、a=1.0〜1.7、
b=0.2〜1.0とするのが特に好ましい。
【0034】さらに、本発明のシリカ層にあっては、そ
の屈折率が1.80以上2.50以下(λ=550n
m)であって、層の組成をSiOde(d=0.5〜
0.9、e=1.0〜2.0)とすることもできる。こ
の場合には、反射防止フィルムを構成する反射防止積層
体中の高屈折率層として好適に用いることができるから
である。また、高屈折率層として用いる場合において
は、d=0.5〜1.2、e=0.2〜1.0の範囲と
することも可能である。
【0035】ここで、中屈折率層および高屈折率層と
は、反射防止積層体を構成する薄層をそれぞれの屈折率
により相対的に比較した場合において、それぞれの薄層
を区別するための名称であり、比較的屈折率の高い層を
高屈折率層、比較的屈折率の低い層を低屈折率層とし、
前記高屈折率層と低屈折率層の中間の屈折率を有する層
を中屈折率層としている。一般的には、屈折率が1.8
0以上を高屈折率層、1.55以上1.80未満を中屈
折率層、1.55未満を低屈折率層とする場合が多い。
【0036】さらに、本発明のシリカ層は、当該層中に
おけるケイ素原子(Si)の全結合に対するSi−Si
結合の割合が1%以下であることが好ましい。シリカ層
中のSi−Si結合は可視光領域で光を吸収するので、
この結合が層中に多く存在していると、当該層の透過率
が低下したり、透過色の変化が生じる場合があるからで
ある。ここで、当該層中におけるケイ素原子(Si)の
全結合に対するSi−Si結合の割合とは、つまりSi
−Si結合とSi−O結合とSi−C結合を全体とした
場合のSi−Si結合の占める割合のことである。
【0037】本発明においてシリカ層中のSi−Si結
合の割合は、光電子分光測定における波形分離に基づく
ものである。具体的には、高分子分光測定装置(VG Sci
entific製:ESCALAB 220i-XL)を用い、以下の条件でS
iの2pスペクトルを測定した際の割合である。なお、
測定は、Arイオンにより約数nmをエッチング後に行
い、結合エネルギーの補正は、C−C結合の1sピーク
を284.6eVとして補正した。また、波形分離にあ
っては、各結合の結合エネルギーを、Si−Oは10
3.5eV、Si−Siは99.0eV、Si−Cは1
00.5eVとして分離した。
【0038】(測定条件) X線源:単色化Al Kα線 X線出力:10KV,20mA 測定領域:0.7mmφ 光電子脱出深度:90度
【0039】[2]反射防止フィルムについて 次に、上述してきたシリカ層を用いた反射防止フィルム
について説明する。
【0040】図1に示すように、本発明の反射防止フィ
ルム1は、基材2と、この基材2上に設けられており、
複数の薄層が積層されてなる反射防止積層体3とを有す
るものであり、当該反射防止積層体3を形成する薄層中
には、上述した本発明のシリカ層が含まれていることを
特徴とするものである。
【0041】以下に図1を用いて本発明の反射防止フィ
ルム1を構成する反射防止積層体3、および基材2
についてそれぞれ説明する。
【0042】反射防止積層体 まず、本発明の反射防止フィルムを構成する反射防止積
層体3について説明する。当該反射防止積層体3は、基
材2上設けられるものであり、上述した本発明のシリカ
層が少なくとも一層以上積層されていればよく、反射防
止積層体3を構成するその他の薄層については特に限定
するものではなく、反射防止フィルム全体として反射防
止効果を奏するように自由に積層することが可能であ
る。
【0043】図1に示す反射防止積層体3は、本発明の
反射防止フィルムにおける反射防止積層体の一例を示す
ものであり、最外層(基材と接する層の反対側の層)を
低屈折率層4とし、この低屈折率層から基材の方向へ向
かって、高屈折率層5、中屈折率層6、およびハードコ
ート層7を順次積層した構造となっている。
【0044】そして、図1に示す反射防止積層体3中の
高屈折率層5には、屈折率が1.80以上2.50以下
(λ=550nm)であって、層の組成がSiOd
e(d=0.5〜0.9、e=1.0〜2.0)である
ことを特徴とする本発明のシリカ層が用いられている。
【0045】上記のシリカ層を高屈折率層5として用い
ることにより、反射防止積層体3中において、当該高屈
折率層5の上側(基材側と反対の方向)に設けられた低
屈折率層4と組み合わせにより、夫々の屈折率の違いに
より光の反射を効率よく防止することができる。
【0046】ここで、高屈折率層5として本発明のシリ
カ層を用いる場合には、その屈折率が2.0〜2.3
(λ=550nm)であることが特に好ましい。反射防
止フィルムを形成する際においては、当該高屈折率層5
の屈折率は積層されている他の層との関係で相対的に決
定することが好ましく、反射防止積層体3全体としての
バランスにより反射防止効果を奏するものであるが、一
般的には高屈折率層の屈折率は上記のような範囲である
ことが好ましい。
【0047】また、本発明のシリカ層により形成される
高屈折率層5の厚さは、特に限定されるものではなく、
反射防止効果を奏することができればいかなる厚さでも
よいが、0.005〜0.3μmが特に好ましく、0.
01〜0.15μmがさらに好ましい。層の厚さが0.
005μmより薄いと、反射防止効果をほとんど期待で
きないからであり、逆に層の厚さが0.3μmより厚い
と、層の応力による基材変形や層剥れを発生するからで
ある。
【0048】また、図1に示す反射防止積層体3中の中
屈折率層6には、屈折率が1.55以上1.80未満
(λ=550nm)であって、層の組成がSiOa
b(a=0.7〜1.7、b=0.2〜1.4)である
ことを特徴とする本発明のシリカ層が用いられている。
【0049】上記のシリカ層を中屈折率層6として用い
ることにより、反射防止積層体3中において、他の薄層
(例えば、前記高屈折率層など)との相乗的な効果をも
って反射防止機能を高めることができる。
【0050】ここで、当該中屈折率層6を設ける位置に
ついては、本発明は特に限定するものではなく反射防止
積層体3全体として反射防止機能が向上するような位置
であればいかなる位置に設けることも可能である。しか
しながら、図1に示すように高屈折率層5と低屈折率層
4とは接触している方が効率よく光の反射を防止するこ
とができるため、当該中屈折率層6は高屈折率層5の下
に設置することが好ましい。
【0051】また、本発明のシリカ層により形成される
中屈折率層6の厚さは、特に限定されるものではなく、
反射防止効果を奏することができればいかなる厚さでも
よいが、上記の高屈折率層と同様に、0.005〜0.
3μmが特に好ましく、0.01〜0.15μmがさら
に好ましい。層の厚さが0.005μmより薄いと、反
射防止効果をほとんど期待できないからであり、逆に層
の厚さが0.3μmより厚いと、層の応力による基材変
形や層剥れを発生するからである。
【0052】次に、図1に示す反射防止積層体3の最外
層(基材と反対側の表面)に設けられた低屈折率層につ
いて説明する。
【0053】低屈折率層は、反射防止フィルムの光学特
性(反射防止機能)を向上せしめるために設けられるも
のであり、当該低屈折率層を最外層に設けることにより
効率よく光を透過することができる。
【0054】本発明においては、当該低屈折率層につい
て特に限定するものではなく、いかなる層を用いること
も可能である。中でもシリカ層は、従来から低屈折率層
として用いられていることが多く、本発明の反射防止フ
ィルムにおいても好適に用いることが可能である。ま
た、本発明の反射防止ファイルにおいては、上述してき
たように、中屈折率層や高屈折率層として、それぞれ屈
折率の異なるシリカ層を用いているため、低屈折率層に
シリカ層を用いることにより、反射防止積層体を構成し
ており、光学的作用を奏する薄層(つまり、ハードコー
ト層などのようにフィルムの強度を向上する等の目的で
設けられる薄層ではなく、反射防止機能を奏し得る薄
層)をシリカ層のみで形成することが可能となる。この
ように反射防止積層体を形成する薄層をシリカ層のみで
形成することにより、歩留まりを向上することができ、
またコスト的にも好ましいだけでなく、それぞれの薄層
の密着性も向上することができるため(原料の異なる層
同士の密着性に比べ、同一原料の層同士の密着性はよ
い。)好ましい。
【0055】また、図1に示す反射防止積層体3中に
は、ハードコート層7も設けられている。
【0056】本発明に用いられるハードコート層7は、
本発明の反射防止フィルムに強度を持たせることを目的
として形成される層である。従って、反射防止フィルム
の用途によっては必ずしも必要なものではない。
【0057】ハードコート層7を形成するための材料と
しては、同様に可視光域で透明な材料であり反射防止フ
ィルムに強度をもたせることができるものであれば特に
限定されるものではなく、例えばUV硬化型アクリル系
ハードコートや熱硬化型シリコーン系ハードコート等を
用いることができる。また、当該ハードコート層の肉厚
は、通常1〜30μmの範囲内であり、このようなハー
ドコート層の製造方法は、通常のコーティング方法を用
いることも可能であり、特に限定されるものではない。
【0058】また、ハードコート層を設ける位置である
が、ハードコートを設ける目的は反射防止フィルムに強
度を持たせることであり、反射防止機能を向上せしめる
ためのものではないため、最上層のシリカ層4から離れ
た位置に設置することが好ましく基材2のすぐ上に設置
することが好ましい。
【0059】基材 次に基材2について説明する。本発明の反射防止フィル
ムにおいて、基材2は、前記のシリカ層の反対面に位置
するものであり、当該反射防止フィルムの土台となる部
分である。基材2は、可視光域で透明な高分子フィルム
であれば特に限定されるものではない。前記高分子フィ
ルムとしては、例えば、トリアセチルセルロースフィル
ム、ジアセチルセルロースフィルム、アセテートブチレ
ートセルロースフィルム、ポリエーテルサルホンフィル
ム、ポリアクリル系フィルム、ポリウレタン系フィル
ム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネイトフィル
ム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ト
リメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィル
ム、アクリロニトリルフィルム、メタクリロニトリルフ
ィルム等が挙げられる。さらには、無色のフィルムがよ
り好ましく使用できる。中でも、一軸または二軸延伸ポ
リエステルフィルムが透明性、耐熱性に優れていること
から好適に用いられ、特にポリエチレンテレフタレート
(PET)フィルムが好ましい。また、光学異方性のな
い点でトリアセチルセルロースも好適に用いられる。高
分子フィルムの厚みは、通常は6μm〜188μm程度の
ものが好適に用いられる。
【0060】次に、上記で説明してきた低屈折率層、及
び本発明の高屈折率層や中屈折率層、さらにはハードコ
ート層を用いて本発明の反射防止フィルムを形成する場
合における図1以外の積層パターンについて図面を用い
て具体的に説明する。
【0061】例えば、図2に示すように屈折率が1.8
0以上2.50以下(λ=550nm)であって、層の
組成がSiOde(d=0.5〜0.9、e=1.0〜
2.0)であることを特徴とする本発明のシリカ層を高
屈折率層として用い、また従来から用いられている通常
のシリカ層(屈折率は約1.46)を低屈折率層として
用いて、これら2種類のシリカ層を図2に示すように、
各々二層づつ交互に積層した構造(基材と反対側の表面
を低屈折率のシリカ層とし、その下に本発明のシリカ
層、その下に低屈折率のシリカ層、さらにその下に本発
明のシリカ層)としてもよい。このような構成とするこ
とにより、反射防止効果が向上するからである。なお、
この場合においても図2に示すようにハードコート層を
用いることが好ましい。
【0062】[3]本発明のシリカ層及び反射防止フィ
ルムの製造方法について 次に、本発明のシリカ層及び反射防止フィルムの製造方
法について説明する。ここで、前記[1]で説明したシ
リカ層の製造方法ついても、本発明の反射防止フィルム
におけるシリカ層と同様であるため同時に説明すること
とする。
【0063】本発明においては、上述してきたような反
射防止積層体を形成することが可能であれば、その製造
方法について特に限定するものではなく、例えば、真空
蒸着法やスパッタリング法、熱CVD法、あるいは、ゾ
ルゲル法等によるウェットコーティングなどの方法を用
いることができる。
【0064】上記製造方法の中でも、本発明のシリカ層
及び反射防止フィルムを製造する際には、プラズマCV
D法を用いることが好ましい。
【0065】ここで、プラズマCVD法とは、所定のガ
スが導入された反応室内でプラズマ生成することにより
原子または分子ラジカル種が生成されて固体表面に付着
し、多くの場合表面反応によってさらに揮発性分子を放
出して固体表面に取り込まれる現象を利用した成層方法
である。プラズマCVD法を用いて本発明のシリカ層を
形成する際の原料を有機シリコーンとすることにより、
当該シリカ層を効率よく形成することができるからであ
る。また、当該プラズマCVD法には、プラズマを発生
するために用いる電力の印加方法の違いにより、容量結
合型プラズマCVD法と、誘導結合型のプラズマCVD
法の2種類があるが、本発明においてはどちらのプラズ
マCVD法を用いることも可能である。
【0066】ここで、本発明においては上記のようなプ
ラズマCVD法の中でも、図3に示すようなプラズマC
VD装置を用いることが特に好ましい。当該プラズマC
VD装置により本発明の反射防止フィルムを連続的に製
造でき、かつ基材となる高分子フィルムの温度制御も正
確に行うことができるからである。
【0067】図3に示すプラズマCVD装置30は容量
結合型のプラズマCVD装置であり、ウエッブ状の高分
子フィルム31は基材巻き出し部32より巻きだされ
て、真空容器33中の反応室(a,b,c)に導入され
る。そして、当該反応室内の成層用ドラム34上で所定
の層が形成され、基材巻き取り部36により巻き取られ
る。
【0068】当該プラズマCVD装置30は、複数(3
つ)の反応室を有している点に特徴を有し、夫々の反応
室(a,b,c)は隔離壁35で隔離されることで形成
されている。ここで、以下の説明の便宜上、当該3つの
反応室を右側から反応室a、反応室b、反応室cとす
る。そして、各反応室には、夫々電極版a1、b1、c
1及び原料ガス導入口a2、b2、c2が設置されてい
る。各反応室(a,b,c)は、成層用ドラム34の外
周に沿って設置されている。これは、反射防止積層体が
形成される高分子フィルムは、成層用ドラム34と同期
しながら反応室内に挿入され、かつ成層用ドラム上にお
いて反射防止積層体を形成するものであることから、こ
のように配置することにより連続して各層を積層するこ
とができるからである。
【0069】上述したようなプラズマCVD装置によれ
ば、各反応室へ導入する原料ガスを変化させることによ
り、夫々の反応室内で独立して層を形成することが可能
である。
【0070】例えば、図1に示す反射防止フィルムを製
造する場合においては、まず、基材となるPETフィル
ム上にハードコート層を従来からのウェットコーティン
グにより形成して、その後、中屈折率層、高屈折率層と
しての本発明のシリカ層、及び低屈折率層としての従来
からのシリカ層を当該プラズマCVD装置により形成す
ることができる。この場合、それぞれの反応室(a,
b,c)にケイ素を含むガスを導入することにより、高
分子フィルム31が成層用ドラム34を経て基材巻き取
り部36へ巻き取られるまでに当該高分子フィルム31
上に本発明の中屈折率層と高屈折率層、及び低屈折率層
としてのシリカ層が形成された反射防止フィルムを形成
することが可能となる。
【0071】さらに、上記の場合においてそれぞれの反
応室に導入されたガスは、全てケイ素を含むガスである
が、各々の反応室内の条件、例えばガスの流量や圧力、
放電条件等を変化させることにより、形成されるシリカ
層の特性(屈折率等)を変化させることも可能である。
【0072】本発明の反射防止フィルムを上記図3に示
すプラズマCVD装置で製造する場合において、本発明
のシリカ層(中屈折率層及び高屈折率層)を形成するた
めの原料としては、いずれも有機シリコーンが好まし
く、具体的には、ヘキサメチルジシロキサン(HMDS
O)、テトラメチルジシロキサン(TMDSO)、メチ
ルトリメトキシシラン(MTMOS)、メチルシラン、
ジメチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、テ
トラメトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキ
サン、テトラエトキシシラン等である。
【0073】このように、本発明の反射防止フィルムに
おける反射防止積層体を構成するそれぞれの薄層(低屈
折率層、中屈折率層、高屈折率層)は、いずれもシリカ
層であるため、上記のようにプラズマCVD法を用いて
製造することにより、一度で成層することが可能であ
り、歩留まりを向上することができるだけでなく、それ
ぞれの薄層の密着性をも向上することができる。
【0074】なお、本発明は、上述してきた反射防止フ
ィルム及びその製造方法に限定されるものではない。上
記実施の形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲
に記載された技術的範囲と実質的に同一な構成を有し、
同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであって
も本発明の技術的範囲に包含される。
【0075】
【実施例】本発明を実施例により更に詳細に説明する。
【0076】(実施例1)本発明の実施例として図3の
装置を使用し、以下の条件で本発明の実施例1のシリカ
層を形成した。この際、形成する層はシリカ層のみであ
るため、反応室はaのみを使用した。以下にシリカ層を
形成した際の条件を示す。
【0077】[成層条件] 原料ガス:HMDSO((CH33SiOSi(C
33)、O2、He プラズマ励起周波数:40kHz 基材:PETフィルム(商品名:ルミラーT60 東レ
製) HMDSO流量:1slm O2ガス流量:1slm Heガス流量:0.5slm 電力:1kW 成層圧力:70mTorr 成層速度:1.2μm・m/min
【0078】(実施例2)以下に示す条件以外の条件に
ついては上記実施例1と同様の条件で本発明の実施例2
のシリカ層を形成した。
【0079】[実施例1とは異なる成層条件] O2ガス流量:0.5slm 電力:1.5kW 成層圧力:50mTorr
【0080】(実施例3)以下に示す条件以外の条件に
ついては上記実施例1と同様の条件で本発明の実施例3
のシリカ層を形成した。
【0081】[実施例1とは異なる成層条件] O2ガス流量:0slm 電力:3kW 成層圧力:20mTorr
【0082】(実施例4)以下に示す条件以外の条件に
ついては上記実施例1と同様の条件で本発明の実施例2
のシリカ層を形成した。
【0083】[実施例1とは異なる成層条件] O2ガス流量:0.2slm 電力:2kW 成層圧力:25mTorr
【0084】(比較例1)以下に示す条件以外の条件に
ついては上記実施例1と同様の条件で本発明の比較例1
のシリカ層を形成した。
【0085】[実施例1とは異なる成層条件] 原料ガス:TMS(テトラメチルシラン)、O2、He TMS流量:1slm O2ガス流量:0.2slm 電力:3kW 成層圧力:4Pa
【0086】(比較例2)以下に示す条件以外の条件に
ついては上記実施例1と同様の条件で本発明の比較例2
のシリカ層を形成した。
【0087】[実施例1とは異なる成層条件] 原料ガス:TMOS(テトラメトキシシラン)、O2
He TMOS流量:1slm
【0088】(比較例3)従来公知の巻き取り式スパッ
タリング装置を用い、以下の条件で本発明の実施例3の
シリカ層を形成した。
【0089】[成層条件] ターゲット:p−Si 導入ガス:O2、Ar O2ガス流量:50sccm Arガス流量:450sccm 電力:3kW 成層圧力:0.4Pa 成層速度:20nm・m/min 上記で形成した本発明の実施例1〜4、及び比較例1〜
3のシリカ層の層組成、屈折率n(λ=550nm)、
及び消衰係数k(λ=550nm)を以下の表1に示
す。なお、組成分析には光電子分光分析装置を用い、シ
リカ層中の結合状態の把握に赤外吸収分光分析装置を用
い、光学特性測定には紫外可視分光分析装置とエリプソ
メーターを用いた。
【0090】
【表1】
【0091】表1からも分かるように、実施例1、2の
シリカ層は中屈折率層として、また実施例3,4のシリ
カ層は高屈折率層としてそれぞれ好適な屈折率を有して
いることが分かる。また、本発明の実施例1〜4のシリ
カ層はどれも消衰係数は0.018以下であり、優れた
透明性を有していることも分かった。
【0092】一方、比較例1のシリカ層は、その屈折率
は高屈折率層として好ましい範囲内にあるが、組成中の
酸素原子の数が0.3と少ないことが分かる。したがっ
て、層中のSi−Si結合の割合が大きく、その結果消
衰係数が0.018以上となっており、透明性に欠ける
層であることが明らかとなった。
【0093】また、比較例2のシリカ層は、組成中の炭
素原子Cの数が0.1と少ないことが分かる。したがっ
て、当該シリカ層は純粋な二酸化ケイ素層(SiO2
に近い層であり、屈折率が小さく、中屈折率層や高屈折
率層としては使用できない層であることが明らかとなっ
た。
【0094】さらに、比較例3のシリカ層は巻き取り式
のスパッタリング装置を用いて形成したシリカ層であ
り、その屈折率高屈折率層として好ましい範囲内にある
が、消衰係数が0.018以上となっており、透明性に
欠ける層であることが明らかとなった。
【0095】(実施例5)本発明の実施例5として、基
材上にハードコート層をウェットコートで6μm形成し
た後、図3の装置を使用して基材上に本発明の中屈折率
層としてのシリカ層を88nm形成し、当該中屈折率層
としてのシリカ層の上に酸化チタン層を45nm形成
し、さらに当該酸化チタン層の上に低屈折率層としての
シリカ層を100nm形成することにより、図4に示す
ような反射防止フィルムを形成した。この際、当該装置
の反応室aで本発明の中屈折率層としてのシリカ層を、
反応室bで酸化チタン層を、反応室cで低屈折率層とし
てのシリカ層を形成した。以下にそれぞれの反応室の成
層条件を示す。なお、基材は、PETフィルム(商品
名:ルミラーT60 東レ製)を用いた。
【0096】反応室a(中屈折率層としてのシリカ層) 原料ガス:HMDSO、O2 プラズマ生成手段:13.56MHzのRF波 HMDSOの流量:1slm O2ガスの流量:0.3slm Heガスの流量:1slm 電力:3kW 圧力:3Pa
【0097】反応室b(酸化チタン層) 原料ガス:Ti(O−iC373とO2 プラズマ生成手段:13.56MHzのRF波 Ti(O−iC373の流量:1slm O2ガスの流量:5slm Heガスの流量:0slm 電力:2kW 圧力:7Pa
【0098】反応室c(低屈折率層としてのシリカ層) 原料ガス:HMDSO、O2 プラズマ生成手段:13.56MHzのRF波 HMDSOの流量:1slm O2ガスの流量:1slm Heガスの流量:0slm 電力:0.5kW 圧力:13Pa
【0099】上記条件により、形成した反射防止フィル
ムの基材裏面(反射防止積層体が形成されている面と反
対側の面)に黒色のテープを貼付けて反射率を測定した
結果視感度反射率は0.42%であり、良好な反射防止
フィルムを得ることができた。
【0100】なお、上記の光学特性測定には紫外可視分
光分析装置を用いた。
【0101】(実施例6)本発明の実施例6として、基
材上にハードコート層をウェットコートで6μm形成し
た後、図3の装置を使用して基材上に本発明の高屈折率
層としてのシリカ層を90nm形成し、当該高屈折率層
としてのシリカ層の上に低屈折率層としてのシリカ層を
103nm形成することにより、図5に示すような反射
防止フィルムを形成した。この際、当該装置の反応室a
で本発明の高屈折率層としてのシリカ層を、反応室bで
低屈折率層としてのシリカ層を形成し、反応室cは使用
しなかった。以下にそれぞれの反応室の成層条件を示
す。なお、基材は、PETフィルム(商品名:ルミラー
T60 東レ製)を用いた。
【0102】反応室a(高屈折率層としてのシリカ層) 原料ガス:HMDSO、O2 プラズマ生成手段:13.56MHzのRF波 HMDSOの流量:1slm O2ガスの流量:0slm Heガスの流量:1slm 電力:3kW 圧力:3Pa
【0103】反応室b(低屈折率層としてのシリカ層) 原料ガス:HMDSO、O2 プラズマ生成手段:13.56MHzのRF波 HMDSOの流量:1slm O2ガスの流量:1slm Heガスの流量:0slm 電力:0.5kW 圧力:13Pa
【0104】上記条件により、形成した反射防止フィル
ムの基材裏面(反射防止積層体が形成されている面と反
対側の面)に黒色のテープを貼付けて反射率を測定した
結果視感度反射率は0.45%であり、良好な反射防止
フィルムを得ることができた。
【0105】なお、上記の光学特性測定には紫外可視分
光分析装置を用いた。
【0106】上記実施例3及び実施例4から、本発明の
シリカ層を中屈折率層や高屈折率層として用いた反射防
止フィルムは、いずれも視感度反射率が小さく良好な反
射防止フィルムであることがわかる。
【0107】
【発明の効果】本発明のシリカ層は、その屈折率が1.
55以上2.50以下(λ=550nm)であるので、
反射防止積層体を有する反射防止フィルムにおいて、中
屈折率層または高屈折率層として用いることが可能であ
り、さらに、層の組成をSiO xy(x=0.5〜1.
7、y=0.2〜2.0)とし、一般的に反射防止フィ
ルムの最外層として用いられることが多いシリカ層と同
じケイ素化合物を原料としているため、反射防止積層体
を形成する際の歩留まりを向上することができ、またコ
ストダウンを図ることも可能となるだけでなく、反射防
止積層体を形成するそれぞれの層の密着度を向上するこ
ともできる。また、本発明のシリカ層は、消衰係数が
0.018(λ=550nm)以下であるため、層の透
明度も充分であり、例えば、液晶ディスプレイ、プラズ
マディスプレイ等に使用される各種ディスプレイにおい
て用いられる反射防止フィルムを構成する反射防止積層
体中においても好適に用いることが可能である。
【0108】また、本発明のシリカ層は、シリカ層中に
おけるケイ素原子(Si)の全結合に対するSi−Si
結合の割合を1%以下とすることにより、層中にはSi
−Si結合がほとんど存在していないと考えられ、した
がってSi−Si結合の光吸収の影響を受けることがな
い。その結果、消衰係数を0.018(λ=550n
m)以下とすることができる。
【0109】さらに、本発明のシリカ層は、上記のよう
に反射防止フィルムにおける中屈折率層や高屈折率層と
して好適に用いることができ、当該反射防止フィルム
は、プラズマCVD法により効率よく形成することも可
能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の反射防止フィルムを説明するための概
略断面図である。
【図2】本発明の反射防止フィルムの一例を示す概略断
面図である。
【図3】本発明の反射防止フィルムを製造するためのプ
ラズマCVD装置の概略断面図である。
【図4】本発明の反射防止フィルムの一例(実施例5に
より製造)を示す概略断面図である。
【図5】本発明の反射防止フィルムの一例(実施例6に
より製造)を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1…反射防止フィルム 2…基材 3…反射防止積層体 4…低屈折率層としてのシリカ層 5…中屈折率層としてのシリカ層 6…高屈折率層としてのシリカ層 7…ハードコート層 30…プラズマCVD装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2K009 AA06 AA07 AA15 BB24 BB28 CC03 CC24 CC42 DD02 DD04 DD09 4F100 AA20B AA20C AT00A BA03 BA13 BA26 GB41 JN06 JN18B YY00B 4K030 AA09 BA29 BA35 BA44 CA07 CA12 FA01 LA11 5G435 AA00 AA17 HH02 HH03 KK07

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 屈折率が1.55以上2.50以下(λ
    =550nm)であって、層の組成がSiOxy(x=
    0.5〜1.7、y=0.2〜2.0)であり、消衰係
    数が0.018(λ=550nm)以下であることを特
    徴とするシリカ層。
  2. 【請求項2】 屈折率が1.55以上1.80未満(λ
    =550nm)であって、層の組成がSiOab(a=
    0.7〜1.7、b=0.2〜1.4)であることを特
    徴とするシリカ層。
  3. 【請求項3】 屈折率が1.80以上2.50以下(λ
    =550nm)であって、層の組成がSiOde(d=
    0.5〜0.9、e=1.0〜2.0)であることを特
    徴とするシリカ層。
  4. 【請求項4】 シリカ層中におけるケイ素原子(Si)
    の全結合に対するSi−Si結合の割合が1%以下であ
    ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかの
    請求項に記載のシリカ層。
  5. 【請求項5】 プラズマCVD法により形成されたこと
    を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかの請求項
    に記載のシリカ層。
  6. 【請求項6】 原料が有機シリコーンであることを特徴
    とする請求項5に記載のシリカ層。
  7. 【請求項7】 基材と、この基材上に設けられており、
    複数の薄層が積層されてなる反射防止積層体と、を有す
    る反射防止フィルムにおいて、 当該反射防止積層体を形成する薄層中には、少なくとも
    前記請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のシリカ層
    が含まれていることを特徴とする反射防止フィルム。
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