JP2002189064A - 電気機器設備の異常診断方法 - Google Patents
電気機器設備の異常診断方法Info
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Abstract
設備の異常診断を、運転状態のままで、特別な測定器や
専門技術者を必要とすることなく、異常原因や異常場所
の究明を非接触で行える診断方法を得る。 【解決手段】 三相交流電源より電力の供給を受け運転
中の誘導電動機、もしくは制御運転中のインバ−タ装置
において、前記誘導電動機においては各相の入力電流及
び該入力電流に含まれる特定の高調波成分、また前記イ
ンバ−タ装置においては、該インバ−タ装置の入力側の
特定の低次高調波成分と、前記インバ−タ装置の出力側
の各相出力電流及び該出力電流に含まれる特定の高調波
成分、それら特性値と予め定めた判定基準値との比較に
より、前記誘導電動機と前記インバ−タ装置の異常原因
並びに異常場所の特定を可能にする。
Description
機や誘導電動機を制御するインバ−タ装置の電気機器設
備の異常診断方法に関する。
電動機のインバ−タ装置の異常診断方法について、以
下、1〜2の各事項でそれぞれ詳説する。
いて 誘導電動機など回転機の異常診断法としては、(1)振
動法、(2)音響法、(3)温度法、(4)トルク(ひ
ずみ)法、(5)電流法、(6)波形法などがあるが、
これらについて次に説明する。
型の振動ピックアップをできる限り振動の発生源近くに
取り付け、振動のオ−バ−オ−ル値等から判定する簡易
診断と各種の解析を行い原因、場所などを究明する精密
診断とがあるが、異常個所の診断はいずれも軸受けや回
転軸等の機械要素部に限られる。
振動の現象面からの判定、振動の大きさによる判定と
がある。これらの方法により回転機構やころがり軸受け
に対する異常の種類を推定することができ、正常もしく
は異常の程度がISO規格(ISO−2372)に基づ
いて判定可能となる。
あると判断した場合、その原因、場所などを究明するた
めに必要となる。一般に回転機から発生する振動信号は
複雑であり、単純な振動はほとんどない。その中から有
意義な情報を得て異常の有無を精密に判断するには次の
ような解析法をよく活用する。
方法である。回転機から発生する振動は、単振動になら
ず複雑な波形となる。このような複雑な信号の中にどの
ような周波数と振幅をもった振動が混ざっているかを判
別するのが、周波数分析であり、これにより異常原因、
場所などを究明することができる。異常原因と発生振動
数の関係は過去のデ−タの蓄積により得られた経験的な
ものが主で、既に種々な文献に報告されている。(例え
ばリオン音響振動計測機カタログ:概説周波数分析、リ
オン)
別したり、機械的原因ならば強制力によるものか、共振
かまたは自励振動によるものかなどを判別する方法であ
る。具体的には回転数を変化させたり、停止や起動時の
振幅変化パタ−ンから判定する。
互いの関連や各々がどのような動きをしているかなどを
調べる。
方向に発生しているかどうかを調べる。例えばアンバラ
ンスはラジアル方向に、カップリング偏心はアキシャル
方向に大きな振動が発生する。
まわりを一定方向(軸回転と同方向か逆方向)に旋回す
る現象を振回りと言う。アンバランスやオイルホイップ
は同方向に、乾性摩擦による自励振動は逆方向となる。
−バ−オ−ル値を求める絶対値判定や音響の周波数分析
を行うことにより、回転機内部の異常を判定する方法で
ある。この方法は暗騒音の影響を受けるため、環境誤差
が大きく、診断対象部位は回転機の異常摩擦やうなりに
起因する回転子の曲がり等のアンバランスを検出するも
ので回転機異常のマクロ監視に用いられる。
熱流計法、示温素子法があり、温度の絶対値判定、傾
向管理、相互比較及び冷却率等の演算を行うことによ
り、軸受潤滑不良や巻線不良、過負荷等の異常判定がで
きる。この方法は最もオ−ソドックスな方法であるが、
異常劣化がある程度進展した状態になっていることが多
い。
合でも応用でき、固定子の任意の部分のひずみをストレ
−ンゲ−ジを貼りつけ測定する。これは回転機の固定子
反作用トルクを判定することにほかならず、歪分布より
組立応力の異常診断ができる。また、軸にストレ−ンゲ
−ジを取りつけ、トルクの絶対値を連続監視することに
より突発的故障の防止には役立つが、異常原因や場所の
究明はできない。
て比較的低速回転設備の診断を行うことができる。具体
的には例えば次のような処理内容である。(川鉄アドバ
ンテック:電流診断システム MK−5220) 電流実効値(I)の測定 I=ΣIn/3000
(n=1〜3000) 電流変動幅(δI)の計算 δI=Imax−Imin
(但し、Imax : 電流の最大値、Imin :電流の最小
値) 電流変動(Iε)の計算 Iε=(δI/I)×10
0(%) 電流変動の周波数分析 により回転機の異常傾向管理を行っているが、この手法
の診断対象は回転機そのものというより、ベルトコンベ
ア等の輸送機類やコ−タ−ロ−ル、テンションリ−ル等
における異物混入、異常負荷等が対象部位となる。
転機の異常診断を行うもので、回転機の異常傾向管理や
効率診断に利用されている。特に直流機の整流診断は電
圧波高調波によってなされる場合もある。
ため、JEMA(日本電機工業会)では「汎用インバ−
タ定期点検のすすめ」のガイドブックで、インバ−タの
保守・点検を定めている。点検としては日常点検と定期
点検に分類されるが、その内容は次のようなものであ
る。
常臭の有無、また異常過熱、変色の確認、更にはテスタ
−を用いてインバ−タの入出力電圧のチェック等を行う
が、実際には面倒なため殆ど行われておらず、異常現象
が確認された時にはインバ−タ自体の故障につながる状
態がかなり進んでいるか、または他の機器に悪影響を与
えているか、あるいはインバ−タの機能が十分発揮され
なくなっている場合が多い。
所を目視もしくは測定器によってチェックする。測定器
を用いて行うその主な箇所は次の通りである。
ュ−ルやコンバ−タモジュ−ルの各端子間抵抗チェック
をテスタ−を用い行う。(イ)平滑コンデンサの静電容
量を静電容量計で測定し、初期静電容量の85%以上あ
ることを確認する。
は、(ア)インバ−タ単体運転にて、各相間出力電圧の
バランスをテスタ−にてチェックする(電圧バランスは
200V用 4V以内、400V用 8V以内)、
(イ)シ−ケンスの動作試験を行い、場合によってはオ
ッシロスコ−プ等で波形やシ−ケンスの確認をする。
おいては、原因や場所の特定がインバ−タを停止もしく
は休止分解して専門技術者によらなければならず、現実
にはインバ−タが故障するまで使用し続ける場合が多
い。その間はインバ−タ機能の低下、例えば省エネ機能
や保護機能等の異常、また他の機器への悪影響、例えば
ロボット等の誤動作が生じることが多々あった。従って
インバ−タの交換部品(例えば冷却ファンや平滑コンデ
ンサ)は標準交換年数を定めている。その耐用年数や寿
命は使用環境に大きく左右され、ほとんどの電子部品は
その寿命がアルレニウスの法則(10℃二倍則:周囲温
度を10℃低下させるごとに寿命が2倍に延びる)に従
うのでインバ−タの設置環境には十分な注意が必要であ
り、その為にも簡易にしてかつ原因や場所の究明が可能
なインバ−タ装置の異常診断法は極めて有用なものとい
える。
導電動機を制御するインバ−タ装置の異常診断方法にお
いて、上述した1.誘導電動機など回転機の異常診断、
2.インバ−タ装置の異常診断の各技術については、そ
れぞれ次のような問題がある。
して (1)振動法においては周波数分析法が最も広く用いら
れているが、ピックアップの取付が精度に関係するた
め、これを振動発生源の近くに固定することが必要とな
る。また異常個所の診断が軸受や回転軸等の機械要素部
に限られ、測定装置を含め診断費用も高くつくので、こ
の診断法は重要度の高い比較的大型機がメインとなる。
プを取りつける必要はないものの、騒音計を利用するた
め、暗騒音の影響を受けるので測定場所によっては適用
できない。また、この方法も振動法と同様に機械要素部
の異常診断が主たる目的である。
適さず、更に異常劣化がある程度進展した状態での診断
となる場合が多いため、他の診断法と併用して利用され
る。
−ジを数箇所に貼りつけて歪分布より回転機の製造時の
不具合等で発生する組立応力の異常診断や、ストレ−ン
ゲ−ジを軸に取りつけトルクの連続監視を行うことで突
発的故障を防止することが目的となるため、異常場所の
特定は困難である。
数分析によって異常診断を行うが、振動法の周波数分析
のように過去のデ−タの蓄積により得られる経験的なも
の(ノウハウ)がほとんどなく、異常負荷等の診断が対
象となっている。
波形観測がもとになっているため、前記の電流法と同様
ノウハウの蓄積がなく、現在では回転機の異常傾向管理
や効率の診断等に利用されているのが殆どである。
の部品が正常に動作することによって本来の機能(例え
ば省エネ機能やトルク特性機能等)を発揮している。従
って、点検・保守は欠かせないものであるが、原因や場
所の特定にはインバ−タ装置を停止もしくは休止分解し
て、専門技術者が測定器を使用して行わねばならず甚だ
面倒であり保守に要するコストも高くついた。
やインバ−タ装置などの電気機器設備の異常診断方法
は、上記の課題を解決するため、次のようにしている。
にまとめると次の2つになる。
対象とする)の異常診断 誘導電動機のU相、V相、W相に正弦波電流を供給する
と、各相に生ずる起磁力FU、FV、FWはそれぞれ次式
で表される。
角)なる距離における起磁力で、Aは定数、またIU、
IV、IWはそれぞれU相、V相、W相の電流の実効値、
ωは周波数をfとした時2πf(rad/s) で表される角速
度、tは時間である。
は各相の第3次空間高調波及びその整数倍の高調波起磁
力は、三相巻線の場合は互いに打ち消されて合成起磁力
に現れないので、一次誘起起電力には表れないため、結
果的に一次電流には含まれない。
は通常でも最大2%程度あるため、各相の電流不平衡率
も電圧不平衡と同程度有する。従って、(1)式より、
明らかなように第3次高調波とその整数倍の高調波も含
むが、その含有率は1%程度(第3高調波のみの場合)
が普通である。
部で発生すると、各相の電流不平衡率が増加すると共
に、基本波に対する第3次高調波(その整数倍の高調波
を含む)の含有率も増加することが判明した。この巻線
相間絶縁不良はメガによる端子と接地間の絶縁抵抗の測
定では判定できないものである。従って、各相の電流の
不平衡率及び第3次高調波の含有率の少なくとも一方を
計測することにより巻線の相間絶縁不良が判定できる。
ルミスト等の異物が混入・固化するとエアギャップの磁
気抵抗が回転状態で局部的に不規則に変動する結果、各
相電流に第2次高調波を含む偶数次高調波が含まれる。
また、固定子巻線の不平衡や電源不平衡、更に軸受部ベ
アリングの異常等に起因するガタ等が生じて回転子の偏
心アンバランスが生じても各相電流に偶数次高調波が発
生するが、この場合は特に第2次高調波の含有率が高く
なる。
変化が広範囲にわたって生じたり、軸受部ベアリング異
常が進展すると偏心高調波等の高調波磁束が発生し、偶
数次高調波もさることながら第19次といった高次の奇
数次高調波含有率が高くなる。
機の異常診断法は三相交流電源より電力の供給を受け運
転中の誘導電動機において、該誘導電動機の各相の入力
電流及び該入力電流に含まれる特定の高調波成分の少な
くとも一方を検出する信号抽出手段、該信号抽出手段か
らの出力信号を変換処理する信号処理手段、該信号処理
手段により処理された出力が前記誘導電動機の入力電流
の不平衡率及び前記特定の高調波成分の少なくとも一方
の特性値であり、該特性値と予め定めた判定基準値との
比較により、前記誘導電動機の異常原因並びに場所を特
定することが可能なようにしている。
側及び出力側に高調波を発生せしめ問題となるケ−スが
あるため、1994年9月に通産省から「高調波抑制対
策ガイドライン」が制定された。従って、この高調波抑
制の要求に対し、ACリアクトルやDCリアクトル、ま
たはノイズフィルタがインバ−タ装置の入力側に主とし
て設置し、必要に応じインバ−タ装置の出力側にもノイ
ズフィルタを使用している。
サ、トランジスタなどの電子部品や冷却ファン、リレ−
など多数の部品によって構成されている。これらの部品
は永久的に使用できるものではなく、正常な使用環境に
おいても耐用年数を経過すると故障しやすくなる。従っ
て、保守・点検を行い不具合の前兆を発見し故障発生を
未然に防止し予防保全を行う必要があるが、前述したよ
うに従来のインバ−タ装置の保守・点検においては、異
常原因並びに場所の究明の為にはインバ−タ装置を停止
もしくは休止分解して測定器でチェックする必要がある
ため、面倒なばかりでなく保守・点検費用が高くつくの
で、殆どの場合インバ−タ装置が故障するとインバ−タ
装置全体を交換していた。インバ−タ装置が故障に至る
までにはインバ−タ機能(例えば省エネ機能)が正常に
動作していないので、その間の損失も計り知れないもの
がある。
常診断法は、誘導電動機の異常診断も可能となるもので
ある。即ち、三相交流電源より電力の供給を受け誘導電
動機を制御運転中のインバ−タ装置において、該インバ
−タ装置の入力側の特定の低次高調波成分と、前記イン
バ−タ装置の出力側の各相出力電流及び該出力電流に含
まれる特定の高調波成分を検出する信号抽出手段、該信
号抽出手段からの出力信号を変換処理する信号処理手
段、該信号処理手段により処理された出力が前記インバ
−タ装置の前記特定の低次高調波成分と、前記出力電流
の不平衡率及び前記特定の高調波成分の少なくとも一方
の特性値であり、該特性値と予め定めた判定基準値との
比較により、前記インバ−タ装置と前記誘導電動機の異
常原因並びに場所を特定することが可能なようにしてい
る。
て、図面を参照して説明する。
である。1は三相交流電源、3は誘導電動機2を制御す
るインバ−タ装置であって、コンバ−タ部4と平滑コン
デンサ5、及びインバ−タ部6を制御するコントロ−ル
部7で構成されている。コントロ−ル部7はIC、抵
抗、コンデンサ、トランジスタなどの電子部品を搭載し
たコントロ−ル基板である。また、インバ−タ装置3が
現在主流となっている正弦波PWMインバ−タの場合の
入力電流と電動機電流(出力電流)は図1にて示したよ
うな波形となる。
たようになるのは、コンバ−タ部4で全波整流した後、
平滑コンデンサ5を有している為であり、この現象につ
いて次に述べる。
流電源を直流電源に変換するのに、図1で示した平滑コ
ンデンサ5を使用するので、このコンデンサ5には充電
時だけ図2のようなパルス状の電流が流れる。ここでτ
はパルス幅、Hはその高さである。このとき、交流電源
と直流電源の流れ方が異なるため、高調波が発生する。
と、このひずみ波f(x)はフ−リエ級数で表わせ次式
のようになる。
ンサ5が理想的な場合は充電電流に起因するパルス状電
流が流れないためf(x)=0となる。この平滑コンデ
ンサ5が劣化してくると、その静電容量が低減し、
(2)式中でn=5、7といった低次数の成分が増加し
てくる。尚、n=3すなわち第3高調波は前述した
(1)式からも分かるように非常に小さい。
交流電源1のインピ−ダンスZ(%)が大きく、かつ誘
導電動機2の負荷率が高い場合である。因みに第5次高
調波の基本波に対する含有率H5 と電源インピ−ダンス
Z(%)の関係は次のようになることが本発明で明らか
になった。
用運転時における負荷率(%)、LC5は第5次の直流リ
アクトル(DCL)係数である(DCL無しの場合はL
C5=1)。ここで、A5、B5、及びC5の値は多くの実
験デ−タを基に整理するとA5=−10、B5=−0.1
3、C5=93、LC5=0.45(DCL有りの場合)
である。
率H7 は、LC7を第7次のDCL係数とすると(3)式
と同様に一次式で表せ次のようになる。尚、DCL無し
の場合はLC7=1である。
7=A5=−10、B7=B5=−0.13、C7=73、
及びLC7=0.3(DCL有りの場合)である。
スを2%、負荷率が80%と仮定すると第5次高調波含
有率H5 及び第7次高調波含有率はそれぞれ次のように
なる。但し、( )内は平滑コンデンサの入力側にDC
Lが接続された場合である。 H5 =62.6%(28.2%)、H7 =42.6%
(12.8%)
サの異常診断にはそれほど有意でないため記述を省略す
る。また、図1にて示した入力電流波形にはコンバ−タ
部4の全波整流による影響も現れているが、ここではそ
れを無視した概略波形である。
劣化(静電容量の低下)すると、第5次及び第7次高調
波成分が増加する。その割合は、平滑コンデンサの静電
容量値が初期静電容量の85%(寿命の判断基準)とな
ると、第5次高調波成分の場合は約50%も増加するこ
とが分かった。すなわち、低下静電容量に相当する%分
の3乗増(1.15)3≒1.5となる。
バ−タ装置が正弦波PWM方式を採用しているため比較
的正弦波形に近いが、それでも多数の高調波成分を含有
している。この電流波形をフ−リエ級数f(x)で示す
と次式となる。
数となり、n=2m+1 (m=0、1、2、‐‐‐‐
‐‐)とすると各フ−リエ係数は次のようになる。
式の係数の波高値Aはそれぞれ次式で表せる。
(8)式のKは定数である。
成分の大きさは、高調波次数の2乗に反比例するので、
高調波の次数が高くなればなるほど、その含有率は大幅
に低くなる。
板に搭載したアルミコンデンサ等の部品に劣化等の不都
合が生じると制御回路が正常機能を発揮しなくなる。そ
の結果、電動機電流に比較的高次数の高調波成分の含有
率が高くなり、(8)式の波高値Aとは大きく異なる。
特に、第11次、第13次、第17次、第19次、第2
3次、第25次、第38次調波の基本波に対する含有率
に注目すべきことが本発明者らは見い出した。
高調波含有率Hn (n=11、13、17、19、2
3、25、38)は、ほぼ次式に従う。 H11>H13>H17>H19>H23>H25>H38 (9)
(9)式より大きく異なる場合はコントロ−ル基板の劣
化であり、その交換が必要である。
を構成する電力素子デバイスのデッドタイム異常が濃厚
であるため、早急にコントロ−ル基板7を交換しておく
のが安全である。デッドタイム異常を放置するとデバイ
スの破壊につながる危険性を有し、デバイス価格も高価
なものである。その判定基準はH38>1%であり、正常
時は0.1%以下が普通である。尚、第38次調波に限
らず第36次調波や第40次調波が現れることもある。
場合、すなわち三相交流電源1によって直接誘導電動機
2を運転している場合は、回転子導体(巻線)の不平衡
や回転子軸受部ベアリング異常等に起因する回転軸のア
ンバランス成分により(5)式のフ−リエ係数でnが偶
数、特にn=2となる第2次高調波が顕著となる。ま
た、n=3の第3次高調波も巻線間の絶縁劣化等で現れ
る。
示す。
るか否かを判断し(ステップS0)インバ−タ制御して
いる場合は、計測1でインバ−タ装置の入力側各相
(R、S、T)の電流(IR、IS、IT)の実効値を測
定する。更に、各相電流中の少なくとも一相に含まれる
高調波成分を測定する。電流の測定にはクランプセンサ
を用いれば便利である。また、高調波成分の測定にはホ
−ルセンサ等を用いて電流測定とは別に行ってもよい。
いずれも非接触測定が可能である。(ステップS1)
より電流不平衡率を次式により計算する。 電流不平衡率={(Imax−Imin)/Imin}×100(%) (10) ここで、Imax及びIminは、それぞれ各相電流の最大値
及び各相電流の最小値である。また、電流に含まれる高
調波成分の含有率はワンチップマイコンのCPUによる
デジタル方式(例えば512ポイント)の高速フ−リエ
変換によって容易に求められる。(ステップS2)
はインバ−タ制御をしていない時、即ちインバ−タ装置
を有しない場合に実行するステップS3で、各相(U、
V、W)の電流(IU、IV、IW)の実効値を測定す
る。更に各相電流中の少なくとも一相に含まれる高調波
成分を測定する。この計測2は計測1と同様な方法で行
えばよいが、電流の測定にはクランプセンサ以外のCT
等で行ってもよく、電流の高調波成分の測定はホ−ルセ
ンサ以外に磁気抵抗センサ等を用いてもよい。
で、計測2で測定された各相電流より電流不平衡率を
(10)式より求める。また、電流高調波成分の含有率
もワンチップマイコンのCPUによる高速フ−リエ変換
によって演算する。但し、このステップS4では高調波
成分として、誘導電動機の異常診断も行うために必要な
第2次及び第3次高調波の含有率も演算する。
(インバ−タ制御無しの場合は演算2のみ)で求まった
電流不平衡率及び高調波成分の含有率が機器異常の判定
基準値以下か否かを判断し、判定基準値以下のときには
機器が正常であり(ステップS50)、判定基準値を越
える場合はステップS6に移る。尚、判定基準値につい
ては後述する実施例にて詳細を記す。
異常原因や場所の究明を行うが、これについても後述の
実施例で説明する。
と判断されれば(ステップS61)、部品交換もしくは
修理の準備をしておく。(ステップS63)
2)、必要な部品の交換もしくは修理を行い、電気機器
設備が大きなダメ−ジを受けて、全面停止故障に至るの
を未然に防ぐ。(ステップS64)
へ戻り再チェックを行う。
する。尚、この診断フロ−を自動化し集中監視盤等に表
示させたり、本発明による診断方法の機能をインバ−タ
装置に内蔵させることも極めて容易にできる。
基準値と、この判定基準値に基づき、異常原因や場所の
特定に関して説明すれば次の通りである。なお、本発明
の判定基準値は実施例により限定されることはない。
働中の下記6社のインバ−タ装置(合計146台、全て
正弦波PWMインバ−タ)について、約3年間にわたっ
て測定・分析を行ったデ−タの蓄積により得た経験値を
もとにしている。 A社 58台(契約電力 2200KW) B社 31台(契約電力 750KW) C社 30台(契約電力 1400KW) D社 17台(契約電力 4600KW) E社 5台(契約電力 800KW) F社 5台(契約電力 350KW)
駆動する設備についての、正常運転時における電流不平
衡率および電動機電流中の各次数の高調波含有率を表1
に示す。
ンバ−タ装置によって制御運転中の誘導電動機設備の異
常判定基準値を表2に示す。
(DCL)をインバ−タ装置の内部に接続した場合につ
いての設備異常の、判定基準値は表3の通りである。
波含有率の判定基準値は、電源インピ−ダンス(Z)が
1.5〜5%、電動機の負荷率(KW)が70〜100
%の最も一般的な場合の平均値であるので、通常はこの
判定基準値を目安にすればよい。しかし、電源インピ−
ダンスが0.5%前後、また負荷率が50%前後といっ
た低い値のときは、表2及び表3の各次数の高調波含有
率の判定基準値(Hns)に次のような補正係数a及びb
を乗じた値(HnC)を採用すれば、実際と比較的よく一
致する。 HnC=Hns(a+b) (11) ここで、a=1.15(Z≒0.5)、b=1.05
(KW≒50)
であるが、特に注意を要する高調波次数はインバ−タ出
力側の第19次及び第38次調波である。これは図1の
インバ−タ部6の各相のON/OFF切替時に、上段/
下段のデバイスがスイッチング時間の関係で同時ONの
状態になるとア−ム間短絡が発生し、デバイスが破壊す
るのを防止するため、スイッチが切替わるとき、強制的
に同時OFFにするデットタイムが変化するため発生す
る高調波である場合が多い。すなわち、第19次調波の
含有量が多いとデッドタイムが長く、また第38次調波
の含有量が多いとデットタイムが短く(デバイスの破壊
につながる危険性が高い)なる傾向にある。このデッド
タイム異常の判定には上述の第19次と第38次調波の
含有率H19及びH38を見ればよいといえる。これらは次
式がおおよその判定基準になる。 cH19+dH38=1.0 (12) ここで、c=0.1、d=1.0
因と場所、及びステップS5の判定基準値との関係は表
4の通りである。
は、次のような効果を奏する。
断を、運転状態のもとで非接触に各相電流の不平衡率や
特定の電流高調波、例えば第2次、第3次、第5次、第
7次、第11次、第13次、第17次、第19次、第2
3次、第25次、第38次調波の基本波に対する含有率
を測定、演算することにより、誘導電動機やインバ−タ
装置の異常原因や異常場所を簡単に究明できるので、こ
れら電気機器設備の信頼性が高まると共に、生産性及び
安全性の向上、修理や部品交換コスト並びに人件費を含
め保守費用が極めて安くなるという効果を有する。更
に、本発明の診断方法による機能をインバ−タ装置に加
えることは容易で、これによりインバ−タ装置の自己診
断や誘導電動機の異常診断が、従来になく簡単に行える
ので広範囲な技術的波及効果を生み出すという効果もあ
る。
Claims (5)
- 【請求項1】 三相交流電源より電力の供給を受け運転
中の誘導電動機において、該誘導電動機の各相の入力電
流及び該入力電流に含まれる特定の高調波成分の少なく
とも一方を検出する信号抽出手段、該信号抽出手段から
の出力信号を変換処理する信号処理手段、該信号処理手
段により処理された出力が前記誘導電動機の入力電流の
不平衡率及び前記特定の高調波成分の少なくとも一方の
特性値であり、該特性値と予め定めた判定基準値との比
較により、前記誘導電動機の異常原因並びに場所を特定
することが可能なことを特徴とする電気機器設備の異常
診断方法。 - 【請求項2】 三相交流電源より電力の供給を受け誘導
電動機を制御運転中のインバ−タ装置において、該イン
バ−タ装置の入力側の特定の低次高調波成分と、前記イ
ンバ−タ装置の出力側の各相出力電流及び該出力電流に
含まれる特定の高調波成分の少なくとも一方を検出する
信号抽出手段、該信号抽出手段からの出力信号を変換処
理する信号処理手段、該信号処理手段により処理された
出力が前記インバ−タ装置の前記特定の低次高調波成分
と、前記出力電流の不平衡率及び前記特定の高調波成分
の少なくとも一方の特性値であり、該特性値と予め定め
た判定基準値との比較により、前記インバ−タ装置と前
記誘導電動機の異常原因並びに場所を特定することが可
能なことを特徴とする電気機器設備の異常診断方法。 - 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の電気機器
設備の異常診断方法において、電流の不平衡率の判定基
準値が5%であることを特徴とする電気機器設備の異常
診断方法。 - 【請求項4】 請求項1または請求項2記載の電気機器
設備の異常診断方法において、特定の高調波成分が第2
次、第3次、第5次、第7次、第11次、第13次、第
17次、第19次、第23次、第25次、第38次調波
であることを特徴とする電気機器設備の異常診断方法。 - 【請求項5】 請求項2記載の電気機器設備の異常診断
方法において、特定の低次高調波成分が第2次、第3
次、第5次、第7次調波であることを特徴とする電気機
器設備の異常診断方法。
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