JP2002178178A - 表面コーティングされた金属のレーザ重ね溶接方法 - Google Patents
表面コーティングされた金属のレーザ重ね溶接方法Info
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Abstract
性および継手性能に優れた重ね継手が得られる亜鉛めっ
き鋼板に代表される表面コーティング金属のレーザ重ね
溶接方法の提供。 【解決手段】レーザ照射側の金属2に溶け込み深さdが
その肉厚tの0.60〜0.95倍になる第1のレーザ
ビーム1を照射することによってレーザ照射側金属の裏
面に凸部2aを形成させて重ね面間に隙間Gを生じさせ
た後、第1のレーザビームの照射線を中心とする幅方向
4mmの範囲内に第2のレーザビームを照射して重ね合
わせられた金属相互を溶融接合させる。
Description
融点よりも低い沸点の物質でコーティングされた金属同
士のレーザ重ね溶接方法に関する。
金属以上の優れた特性を有することから様々な分野で使
用されている。コーティングには、亜鉛、錫、アルミニ
ウムおよびこれら金属の合金によるものや、有機材料に
よるものがあり、主として耐食性を高めるためにおこな
われる。コーティングを施される材料としては、鉄鋼材
料が最も代表的であり、中でも亜鉛めっき鋼板は、その
優れた特性のため、自動車、家電、重電製品、産業機
械、建材等幅広い分野で用いられている。
のような、亜鉛めっき鋼板を溶接する方法としては、ス
ポット溶接、シーム溶接、アーク溶接等があるが、近
年、レーザ溶接の適用も検討されている。
は、継手の形状が重ね継手の場合、溶接欠陥が多発し、
良好なビードが得られなくなることが知られている。こ
れは、亜鉛の沸点(906℃)が、鉄の融点(約150
0℃)よりも低いことに起因する。
接では、図5に示すように、レーザビーム1の照射によ
る溶接熱により上板2と下板3の母材鋼が溶融するが、
この時、重ね面4の亜鉛も蒸発する。上板2と下板3が
密着した状態では、亜鉛蒸気5は重ね面4を通って外部
に抜けることができない。このため、図中に黒塗り矢符
で示すように、亜鉛蒸気5は溶融池6を通って外に抜け
ようとする。その結果、溶融金属の一部がスパッタ7と
なって吹き飛ばされたり、一部の亜鉛蒸気5が残こり、
凝固後の溶接金属8中に溶接欠陥9が生じ、溶接部の機
械的特性や見栄えが悪くなる。
ーザ重ね溶接時の欠陥対策には、重ね面に亜鉛蒸気の抜
け道を作ることによって重ね面の圧力を下げ、溶融池へ
の亜鉛蒸気の進入を防ぐことが最も有効で、必要な隙間
の最小値としては0.03〜0.05mm程度であると
いわれている。
生を防ぐようにした亜鉛めっき鋼板の重ね溶接方法とし
ては、次のような方法がある。
板に予め塑性加工を施して重ね面に適当な隙間を形成さ
せるための高さが同じ突起部を形成させておく方法(特
開平10−216974号公報)。
端部は拘束せずに2枚の亜鉛めっき鋼板を支持し、レー
ザ照射側の亜鉛めっき鋼板のみを重ね溶接位置より拘束
側位置において予め溶融させてその端部を上反り変形さ
せることで重ね面に隙間を形成し、その後2枚の鋼板を
重ね溶接する方法(特開平7−32180号公報)。
を蒸発、離散させ、エネルギー密度の高いレーザ光で溶
融接合する方法(特開平4−231190号公報)。
な隙間を形成させる得る高さが同じ突起部を形成するの
は極めて難しく、隙間が大きすぎると溶接できず、逆に
狭すぎると所望の効果が得られないのに加え、重ね合わ
せ部の鋼板表面に窪みが存在し、外観が悪くなるという
欠点がある。
ぶため外観が悪いのに加え、溶接熱により亜鉛めっきが
除去された領域が広いために耐食性がよくないという欠
点がある。
度の低いレーザビームを照射したのでは、重ね面の亜鉛
蒸気は重ね面に隙間が存在しない限り重ね面からほとん
ど除去されず、実際には欠陥が発生する。また、エネル
ギー密度の低いレーザビームによる溶け込み深さがレー
ザ照射側の鋼板の裏面にまで達すると、亜鉛による欠陥
が発生し、十分な特性を持った重ね継手が得られないと
いう欠点がある。
のような表面コーティング物質の蒸気起因の溶接欠陥が
少なくて継手の性能に優れ、しかも表面の外観性および
耐食性が良好な重ね継手を得ることが可能な表面コーテ
ィング金属のレーザ重ね溶接方法を提供することにあ
る。
表面コーティング金属のレーザ重ね溶接方法にある。
点よりも低い沸点の物質でコーティングされた金属のレ
ーザ重ね溶接方法において、レーザ照射側の金属に溶け
込み深さd(mm)がその肉厚t(mm)の0.60〜
0.95倍になる第1のレーザビームを照射することに
よってレーザ照射側金属の裏面に凸部を形成させて重ね
面間に隙間を生じさせた後、第1のレーザビームの照射
線を中心とする幅方向4mmの範囲内に第2のレーザビ
ームを照射して重ね合わせられた金属相互を溶融接合さ
せる表面コーティングされた金属のレーザ重ね溶接方
法。
のレーザビームとして、1基のレーザ発振機から伝送さ
れてくる1つのレーザビームを2つに分岐させた分岐レ
ーザビームあるいは2基のレーザ発振機から伝送されて
くる別々のレーザビームを溶接線方向に近接配置して連
続的に溶融接合をおこなうのが好ましい。
のレーザ重ね溶接方法について詳しく説明する。なお、
以下の説明においては、従来と同一または実質的に同じ
部分には従来と同じ符号を付して示し、その詳しい説明
を省略する場合がある。
す摸式図であり、同図(a)はレーザビーム1が照射さ
れる側の上板2のみを溶かす第1工程、同図(b)は上
板2と下板3を溶融接合する第2工程である。
において最も重要な点は、第1工程での溶け込み深さd
(mm)である。すなわち、この溶け込み深さdが浅い
場合には上板2の裏面が平らなままであるが、溶け込み
深さdが深くなると、同図(a)に示すように、上板2
の裏面に凸部2aが生じる現象が認められ、凸部2aは
溶け込み深さdの増加に伴って大きくなる。その結果、
凸部2aにより、上板2と下板3の重ね面間に亜鉛蒸気
の抜け道としての隙間Gを形成させることができるから
である。
れる板厚tが0.5〜2.4mm、目付量が40〜60
g/m2 の亜鉛めっき鋼板は勿論、板厚と目付量が異な
る亜鉛めっき鋼板およびその他の鉄の融点よりも沸点が
低い物質で表面コーティングされた鋼板においても、上
板2の板厚をtとした場合、その溶け込み深さdを板厚
tの0.60倍以上にすると、上板2と下板3の重ね面
間に0.03mm程度の隙間Gが形成され、亜鉛蒸気起
因の欠陥が激減して良好な重ね継手が得られることを確
認した。このため、本発明においては、第1工程におけ
る上板2の溶け込み深さdの下限値を、上板2の板厚t
の0.60倍と定めた。なお、上板2の溶け込み深さd
の好ましい下限値は0.7、より好ましい下限値は0.
75である。
まで達すると、第1工程時に亜鉛蒸気が溶融池に進入
し、亜鉛蒸気起因の欠陥が多発した。このため、溶け込
み深さdの上限は、板厚tの0.95倍とした。
倍の時における凸部2aの高さは、最大でも0.12m
m程度であり、凸部2aに起因するアンダーフィルなど
の溶接欠陥は生じなかった。
は高エネルギー密度のレーザビーム10を照射すること
によって上板2と下板3を溶融接合させる。この時、レ
ーザビーム10の照射位置は、第1工程でのレーザビー
ム1の照射線を中心とする幅方向4mmの範囲内に照射
する必要がある。これは、第2工程において、前記の範
囲を超える領域にレーザビーム10を照射すると、亜鉛
の犠牲防食作用が低下して溶接ビードの耐食性が低下す
るためである。なお、第2工程におけるレーザビーム1
0の照射位置は、第1工程におけるレーザビーム1の照
射位置に一致させるのが最も好ましいことはいうまでも
ない。
機を用い、溶接線全長にわたって第1工程を終了した
後、レーザ溶接機のレーザ出力またはレーザビームのエ
ネルギー密度を変更して第2工程をおこなってもよい
が、作業能率を向上させる観点からは、図2に示すよう
に、連続的におこなうのが好ましい。
側の上板2の裏面に凸部2aを形成させる第1工程用の
レーザ溶接トーチ1aと、上板2と下板3とを溶融接合
させる第2工程用のレーザ溶接トーチ10aとを溶接線
方向に近接配置しておこなう方法である。
工程用のレーザ溶接トーチ10aに伝送するレーザビー
ム1と10は、1基のレーザ発振機のレーザビームを例
えばエネルギー密度の異なる2つのレーザビームに分岐
させたビームであってもよいし、例えばレーザ出力が異
なる2基のレーザ発振機から発振される2つのビームの
いずれであってもよい。
O2 レーザ、ヨウ素レーザ、COレーザ、半導体励起レ
ーザなどのいずれであってもよく、その発振モードも連
続またはパルスのいずれであってもよい。
金化溶融亜鉛めっき(Zn−Fe)が施された板厚0.
8mmの軟鋼製鋼板を準備し、その両端部を重ね合わせ
て図3に示す状態にクランプした。
振機を用い、第1工程終了後に第2工程をおこなう重ね
溶接をおこなった。
ーザ出力を種々変えて溶け込み深さdを種々変化させ
た。また、第2工程では、第1工程と同じ位置にレーザ
ビームを照射した。
視観察し、溶接ビード100mm当たりのピットなどの
欠陥発生個数を調べた。
の試験片を切り出し採取して室温下で引張試験をおこな
い、その継手強度も調べた。なお、継手強度は、破断強
度が母材の破断強度の90%以上のものを良好「○」、
90%未満のものを不芳「×」として評価し、その結果
を表1に示した。
本発明で規定する範囲内の試番4〜6では、溶接ビード
表面の欠陥数が皆無であり、かつ継手強度も良好であっ
た。
が本発明で規定する範囲を外れる試番1〜3および7で
は、溶接ビード表面の欠陥数が5〜18個と多く、かつ
継手強度も不芳であった。
合金化溶融亜鉛めっき(Zn−Fe)が施された板厚
0.8mmの軟鋼製鋼板を準備し、その両端部を重ね合
わせて図4に示す状態にクランプした。
ーザ発振機のレーザビームを分岐させ、図2に示す態様
で第1工程終了と第2工程とを連続的におこなう重ね溶
接をおこなった。
ビームのエネルギー密度を種々変えて溶け込み深さdを
種々変化させた。また、第1工程と第2工程のレーザビ
ームの照射間隔は10mmとし、第2工程のレーザビー
ムは第1工程と同じ位置に照射した。なお、第1工程で
の溶け込み深さdは、予め試験をおこなって測定した値
である。
視観察し、溶接ビード100mm当たりのピットなどの
欠陥発生個数を調べた。
同じ試験片を切り出し採取して室温下で引張試験をおこ
なって継手強度を調べ、実施例1の場合と同じ基準に従
ってその継手強度を評価し、その結果を表2に示した。
本発明で規定する範囲内の試番11〜13では、溶接ビ
ード表面の欠陥数が皆無であり、かつ継手強度も良好で
あった。
が本発明で規定する範囲を外れる試番8〜10および1
4では、溶接ビード表面の欠陥数が5〜18個と多く、
かつ継手強度も不芳であった。
に対して第2工程のレーザビーム照射位置を種々変化さ
せた以外は実施例1の試番5と同じ条件で重ね溶接をお
こなった。
接材の溶接ビード表面の欠陥発生個数と継手強度を調べ
る一方、下記条件の耐食性試験に供して溶接ビード近傍
表面の耐食性を調べた。
成処理、 (C) 同上社製のU−2602による膜厚10μmの電着
塗装、 腐食試験(下記(a)→(b)→(c)を1サイクルとする複合
サイクル試験); (a) 5質量%NaCl水溶液噴霧4時間、 (b) 湿度95%環境への暴露2時間、 (c) 乾燥2時間。
サイクルおこない、さびの発生が認められなかったもの
を耐食性が良好「○」、一部にでもさびの発生が認めら
れたものを耐食性が不芳「×」として評価し、その結果
を表3に示した。
板が自動車に用いられて重ね溶接され、その重ね合わせ
溶接部を含む表面に上記前処理と同様の処理が施される
場合を模擬した試験である。
置が本発明で規定する範囲内の試番15〜18は耐食性
が良好であったが、第2工程のレーザビーム照射位置が
本発明で規定する範囲を外れる試番19は耐食性が不芳
であった。
5〜19のいずれの場合も、溶接ビード表面の欠陥数は
皆無であり、継手強度も母材の破断強度の90%以上と
良好であった。
などの何らの加工も施すことなく、亜鉛蒸気起因の欠陥
が発生するのを防止でき、強度と耐食性に優れた重ね溶
接継手が得られる。
で、同図(a)はレーザビーム1が照射される側の上板
2のみを溶かす第1工程、同図(b)は上板2と下板3
を溶融接合する第2工程を示す図である。
式図である。
る。
図である。
陥の発生態様を示す模式図である。
Claims (3)
- 【請求項1】重ね面の少なくとも一方が、母材金属の融
点よりも低い沸点の物質でコーティングされた金属のレ
ーザ重ね溶接方法において、レーザ照射側の金属に溶け
込み深さd(mm)がその肉厚t(mm)の0.60〜
0.95倍になる第1のレーザビームを照射することに
よってレーザ照射側金属の裏面に凸部を形成させて重ね
面間に隙間を生じさせた後、第1のレーザビームの照射
線を中心とする幅方向4mmの範囲内に第2のレーザビ
ームを照射して重ね合わせられた金属相互を溶融接合さ
せる表面コーティングされた金属のレーザ重ね溶接方
法。 - 【請求項2】前記第1と第2のレーザビームとして、1
基のレーザ発振機から伝送されてくる1つのレーザビー
ムを2つに分岐させた分岐レーザビームを用い、この分
岐レーザビームを溶接線方向に近接配置して連続的に溶
融接合をおこなう請求項1に記載の表面コーティングさ
れた金属のレーザ重ね溶接方法。 - 【請求項3】前記第1と第2のレーザビームとして、2
基のレーザ発振機から伝送されてくる別々のレーザビー
ムを用い、この別々のレーザビームを溶接線方向に近接
配置して連続的に溶融接合をおこなう請求項1に記載の
表面コーティングされた金属のレーザ重ね溶接方法。
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