JP2002178007A - 連続鋳造鋳片の直送圧延方法 - Google Patents

連続鋳造鋳片の直送圧延方法

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JP2002178007A
JP2002178007A JP2000376762A JP2000376762A JP2002178007A JP 2002178007 A JP2002178007 A JP 2002178007A JP 2000376762 A JP2000376762 A JP 2000376762A JP 2000376762 A JP2000376762 A JP 2000376762A JP 2002178007 A JP2002178007 A JP 2002178007A
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Mikio Suzuki
幹雄 鈴木
Masayuki Nakada
正之 中田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 連続鋳造機から熱間圧延の開始まで若しくは
加熱炉装入までの期間でAr1以上の高温に鋳片表面温度
を維持させても表面疵を発生させることなく直送圧延に
より厚鋼板を製造する。 【解決手段】 連続鋳造機で鋳造された高温の鋳片を直
接熱間圧延するか、あるいは鋳片表面の低温部を加熱し
た後に熱間圧延する、又は、連続鋳造機で鋳造された高
温の鋳片を加熱炉に装入して加熱した後に熱間圧延して
厚鋼板を製造する際に、鋳片に化学成分組成としてT
i、Mg、Ca、Ce、La、Ba、Liのうち1種又
は2種以上を含有させると共に、連続鋳造機出側から熱
間圧延開始まで、又は連続鋳造機出側から加熱炉装入ま
で、鋳片表面温度をAr1以上に維持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続鋳造機により
鋳造された高温の鋳片を直接熱間圧延するか、あるいは
鋳片のコーナー部等の低温部を加熱・昇温した後に熱間
圧延するか、又は、連続鋳造機により鋳造された高温鋳
片を加熱炉に装入して加熱・昇温した後に熱間圧延する
か、何れかの方法(本発明ではこれらをまとめて「直送
圧延」と定義する)で厚鋼板を製造する直送圧延方法に
関し、詳しくは、表面性状に優れた厚鋼板を製造するこ
とができる直送圧延方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造鋳片を直接熱間圧延するか、あ
るいは鋳片表面の低温部を加熱した後に熱間圧延する所
謂HDRや、高温の連続鋳造鋳片を加熱炉に装入して加
熱した後に熱間圧延する所謂HCR等の直送圧延により
鋼板を製造する場合、鋳片には割れやスラグ噛み込み
(ノロカミとも云う)等の表面欠陥が無いことが必要で
あり、そのため、表面欠陥を回避する様々な手段を用い
て直送圧延が実施されている。しかし、直送圧延を行う
上で最も重要なことは、鋳片温度を如何にして高温に維
持しつつ次工程に搬送するかである。鋳片温度の低下
は、HDRの場合には熱間圧延が不可能となり、HCR
の場合には省エネルギー効果が低減するからである。
【0003】ところで、厚鋼板には、強度、伸び、靭性
等の機械的特性を確保するために、様々な合金元素が添
加されている。厚鋼板製造用の鋳片を高温のまま、直接
熱間圧延する若しくは加熱炉に装入して熱間圧延を行う
と、熱間圧延時に割れが発生して所定の厚鋼板製品が採
取できなくなる場合が発生する。特にNb−V鋼やNb
−V鋼にCuやNiを添加した鋼の場合には、多数の割
れが発生する場合がある。この割れの発生は、鋳片表面
温度を500℃より高い状態に維持して直送圧延を行っ
た場合に顕著になり、そのため、例えば特開平5−32
9505号公報に開示されているように、鋳造後の鋳片
表面温度を500℃以下まで冷却して表層部金属組織を
相変態させ、その後加熱炉へ装入する方法が採られてい
る。この方法によれば、鋳片表層部がオーステナイト組
織からフェライト+パーライト組織に相変態しているの
で、鋳片表層部の組織が微細化し、熱間圧延時の割れを
防止できるとしている。しかしながら、この方法では、
HDRが実施できず、HCRでも熱エネルギーのロスが
発生し、更に、鋳片を保管するための工程管理や鋳造か
ら製品製造までの時間が長くなる等の問題点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑
みなされたもので、その目的とするところは、直送圧延
方法により連続鋳造鋳片から厚鋼板を製造する際に、連
続鋳造機から熱間圧延の開始までの期間若しくは連続鋳
造機から加熱炉装入までの期間、500℃を越える高
温、具体的にはAr1以上の高温に鋳片表面温度を維持さ
せても、厚鋼板に表面疵を発生させることなく圧延する
ことができる直送圧延方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために、鋳片の化学成分組成に着目して鋭意
研究を行った。その結果、Sとの親和力の強い元素を含
有させることで、上記課題を解決することができるとの
知見を得た。以下、検討結果を説明する。
【0006】鋼の通常の冷却条件において、凝固時の鋳
片表層数mm位置までのオーステナイト(以下「γ」と
記す)粒径は1〜3mmで、一方、圧延組織ではγ粒径
は数10μmであり、鋼の凝固時に形成する組織は圧延
組織に比較すると非常に大きい。又、この巨大なγ粒界
に沿って様々な析出物(酸化物、硫化物、窒化物、燐化
物、炭化物)が析出するため、結晶粒の内部に比べて粒
界が脆くなり、熱間延性が著しく低下する。鋳片表面温
度をAr1以上の高温に保ったままの鋳片、即ち、凝固時
に生成したγ粒のままの鋳片に歪みを与えた場合には、
この脆化が割れの主たる原因となる。
【0007】例えば、連続鋳造中に鋳片表面に引張り応
力がかかるとき、即ち、曲げ矯正や曲げ戻し矯正時に鋳
片表面に割れが発生することがあるが、これらの表面割
れは、連続鋳造中の2次冷却強度を制御して、鋳片の脆
化温度(およそ750〜850℃の範囲)を回避するこ
とによって解決されている。
【0008】一方、1200℃前後で熱間圧延される時
に発現する脆化は、特にFeとMnとの複合化合物であ
る[Fe・Mn]Sに代表される低融点硫化物の析出が
原因となるので、通常、厚鋼板のS濃度は0.01質量
%以下になるように精錬されている。又、厚鋼板のMn
濃度は通常0.6〜1.6質量%の範囲であり、これら
の平均的なS濃度及びMn濃度から判断すると、硫化物
は融点の高いMnSとなり、硫化物が脆化の原因とは考
え難いが、鋳片表面温度をAr1以上の高温に保ったまま
の鋳片では、凝固時の結晶粒界の偏析がそのまま残留す
るので、平均的な濃度からは硫化物の組成を予測するこ
とができない。そのため、鋼中S濃度を過剰なまでに低
硫化して割れの発生を防止することが採られることもあ
る。凝固時の結晶粒界の偏析程度が明らかであれば、過
剰なまでの低硫化を避けることができるが、現在でも1
000℃以上の高温における粒界偏析のデータは非常に
少ない。
【0009】この粒界偏析を表す例として、溶鋼を凝固
させた後に直ちに再加熱していくと、鋼の組成から推定
される固相線温度よりも低い温度で溶融する現象があ
る。この現象は「予溶融」と呼ばれており、この時の溶
融は結晶粒界で起こる。予溶融が起こる原因は、結晶粒
界に偏析する化学成分の濃度が凝固時のデンドライト樹
間の濃度よりも高いためである。この予溶融現象からS
の粒界偏析度を推定すると、粒界は粒内に比べて約40
倍高い濃度となる。因みにMnは約2倍である。このよ
うに結晶粒界の偏析があると、MnSのみが析出すると
考えられる組成でも、結晶粒界では[Fe・Mn]Sの
生成する可能性がある。これが生成すると、粒界溶融が
起こり、熱間圧延時に鋼板表面に割れを発生させる。
【0010】厚鋼板に使用される鋼では、化学成分組成
としてC、Si、Mnの他に、Nb、V、B、Ti、M
o、Cr、Ni、Cu等の多様な元素が強度や靭性等の
向上を目的として添加されている。このようなマイクロ
アロイが添加されると、凝固後の高温鋳片では、粒内強
度は上昇するが粒界強度は低下し、粒内強度と粒界強度
との差が大きくなる。このような元素を含有する鋳片を
熱間圧延すると、変形は強度の低い粒界に集中するの
で、Ar1以上の高温に保ったままの鋳片における熱間圧
延時の割れは、多量のマイクロアロイが添加された鋼で
発生し易くなる。
【0011】凝固・冷却中、鋼中のMnとSは、Mn+
S=MnSの反応によりMnSを析出する。MnSが析
出すると、析出したMnSの周りのMn濃度とS濃度は
低下する。しかし、Sの拡散は非常に早いので、析出し
たMnS周りのS濃度は直ちに復帰する。一方、Mnの
拡散は非常に遅いため、MnSの周りではMn濃度が低
下し、Mn欠乏層が発生する。しかるに、Sは十分に存
在しているためFeSが生成する。そしてMnSとFe
Sとは直ちに固溶体を生成して低融点化する。この現象
は結晶粒内よりもSが偏析している結晶粒界で特に発生
しやすい。
【0012】結晶粒界にSを偏析させないためには、溶
鋼中で硫化物を生成させ、固定することが効果的であ
る。溶鋼中で硫化物を生成させるには、MnよりSとの
親和力の強い元素を添加する必要がある。そのための添
加元素としては、Ti、Mg、Ca、Ce、La、B
a、Liが最適である。
【0013】本発明はこのような知見に基づきなされた
もので、第1の発明による連続鋳造鋳片の直送圧延方法
は、連続鋳造機で鋳造された高温の鋳片を直接熱間圧延
するか、あるいは鋳片表面の低温部を加熱した後に熱間
圧延して厚鋼板を製造する連続鋳造鋳片の直送圧延方法
において、前記鋳片に化学成分組成としてTi、Mg、
Ca、Ce、La、Ba、Liのうち1種又は2種以上
を含有させると共に、連続鋳造機出側から熱間圧延開始
まで鋳片表面温度をAr1以上に保つことを特徴とするも
のである。
【0014】第2の発明による連続鋳造鋳片の直送圧延
方法は、連続鋳造機で鋳造された高温の鋳片を加熱炉に
装入して加熱した後に熱間圧延して厚鋼板を製造する連
続鋳造鋳片の直送圧延方法において、前記鋳片に化学成
分組成としてTi、Mg、Ca、Ce、La、Ba、L
iのうち1種又は2種以上を含有させると共に、連続鋳
造機出側から加熱炉装入まで鋳片表面温度をAr1以上に
保つことを特徴とするものである。
【0015】第3の発明による連続鋳造鋳片の直送圧延
方法は、第1の発明又は第2の発明において、化学成分
組成として含有させるTi、Mg、Ca、Ce、La、
Ba、Liを、鋳片中のS濃度及びN濃度に対して、質
量%で、[%Ti]>1.5[%S]+3.4[%
N]、[%Mg]>0.8[%S]、[%Ca]>1.
3[%S]、[%Ce]>4.4[%S]、[%La]
>4.3[%S]、[%Ba]>4.3[%S]、[%
Li]>0.2[%S]の関係を満足するように含有さ
せることを特徴とするものである。
【0016】本発明では、Sと親和力の強い元素を溶鋼
中に添加し、溶鋼中で硫化物を生成させ、Sが結晶粒界
に偏析することを抑制して粒界脆化を防止するので、連
続鋳造機出側から熱間圧延開始までの期間、若しくは、
連続鋳造機出側から加熱炉装入までの期間で、鋳片表面
温度をAr1以上に保ったままとしても、熱間圧延時の割
れを未然に防止することができる。
【0017】又、本発明では、Mg、Ca、Ce、L
a、Ba、Liの含有量を、これらの元素とSとが反応
して硫化物を生成する際のSの化学当量以上とするの
で、溶鋼中で硫化物を安定して生成させることができ
る。又、Tiは、Nとの親和力が強く、窒化物(Ti
N)の生成にも費やされる。従って、Tiを含有させる
場合には、硫化物を生成する際のSの化学当量と、窒化
物を生成する際のNの化学当量との合計値以上に含有さ
せているので、Tiによっても安定して溶鋼中で硫化物
を生成させることができる。尚、本発明における厚鋼板
とは板厚が6mm以上の鋼板である。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。図1は本発明で用いる連続鋳
造機の1例の側面概略図であり、図1に示すように、連
続鋳造機1には、その上部に溶鋼を注入して凝固させる
ための鋳型5が設置されており、この鋳型5の下方に
は、対向する一対のロールを1組として、それぞれ複数
組のサポートロール13、ガイドロール14、及びピン
チロール15からなる、鋳片2を支持するための鋳片支
持ロールが設置され、これらの鋳片支持ロールの下流側
には、複数本の搬送ロール17と、搬送ロール17の上
方に位置して鋳片2の引き抜き速度と同調するガス切断
機16とが設置されている。又、これらの鋳片支持ロー
ルには、鋳型5の直下から下流側に向かって、第1冷却
ゾーン7a、7b、第2冷却ゾーン8a、8b、第3冷
却ゾーン9a、9b、第4冷却ゾーン10a、10b、
第5冷却ゾーン11a、11b、及び、第6冷却ゾーン
12a、12bの合計12に分割された冷却ゾーンから
なる二次冷却帯6が設置されている。
【0019】二次冷却帯6の各冷却ゾーンには、エアー
ミストスプレー用又は水スプレー用の複数個のスプレー
ノズル(図示せず)が設置されており、スプレーノズル
から鋳片2の表面に二次冷却水が噴霧される。尚、各冷
却ゾーンにおいて、連続鋳造機1の反基準面側(上面
側)の冷却ゾーンをaで表示し、基準面側(下面側)の
冷却ゾーンをbで表示している。又、冷却ゾーンの設置
数は図1では合計12であるが、連続鋳造機1の長さ等
に応じて幾つに分割しても良い。
【0020】この連続鋳造機1から離れた位置には、鋳
片2を厚鋼板に熱間圧延する厚板ミル等の熱間圧延機
(図示せず)が配置され、この熱間圧延機には鋳片2を
加熱するための加熱炉(図示せず)が設置されている。
又、連続鋳造機1と熱間圧延機との間には、鋳片2を直
接熱間圧延する際の鋳片温度を補償するための加熱手段
として、加熱装置(図示せず)が設置されている。この
加熱装置としては、鋳片2の両コーナー部を主に加熱す
るためのエッジヒーターや、鋳片2の全体を加熱するた
めの加熱炉を用いることとする。
【0021】このような構成の連続鋳造機1と加熱装置
と熱間圧延機とを備えた製造工程における本発明による
直送圧延方法を以下に説明する。
【0022】およそ、C:0.03〜0.2質量%(以
下「%」と記す)、Si:0.1〜0.5%、Mn:
0.5〜2.0%、P:0.03%以下、S:0.03
%以下、Al:0.06%以下を含有し、更に必要に応
じて、強度や靭性の向上を目的とするNb、V、B、T
i、Mo、Cr、Ni、Cu等の合金元素を含有する厚
鋼板用の溶鋼を転炉や二次精錬炉等により溶製する際、
若しくは連続鋳造機のタンディッシュに注入する際、T
i、Mg、Ca、Ce、La、Ba、Liの群からなる
元素のうち1種又は2種以上を添加して溶鋼中のSを硫
化物として固定する。溶鋼中のSをこれら元素との硫化
物とするためには、前述したように、これらの元素とS
とが反応して硫化物を生成する際のSの化学当量以上に
これらの元素を含有させることが好ましい。又、Tiは
Nとの親和力が強く窒素物を生成するので、Tiの場合
には溶鋼のN濃度も考慮することが好ましい。
【0023】従って、これらの元素を単独で添加する場
合には、[%Ti]>1.5[%S]+3.4[%
N]、[%Mg]>0.8[%S]、[%Ca]>1.
3[%S]、[%Ce]>4.4[%S]、[%La]
>4.3[%S]、[%Ba]>4.3[%S]、[%
Li]>0.2[%S]の関係を満足するように含有さ
せることが好ましい。又、これら元素を2種以上添加す
る場合には、添加する元素の化学当量の和が、Sの化学
当量以上(Tiを併用しない場合)、若しくはSの化学
当量とNの化学当量との和以上(Tiを併用する場合)
となるようにすれば良い。
【0024】この溶鋼を図1に示すように連続鋳造機1
にて鋳造する。浸漬ノズル(図示せず)を介して鋳型5
内に鋳造された溶鋼は、鋳型5内で冷却されて凝固殻3
を形成し、内部に未凝固層4を有する鋳片2として、ピ
ンチロール15の駆動力により鋳片支持ロールに支持さ
れつつ下方に連続的に引き抜かれる。鋳片2はこれらの
鋳片支持ロールを通過する間、二次冷却帯6で冷却さ
れ、凝固殻3の厚みを増大して、やがて中心部までの凝
固を完了する。凝固完了した鋳片2をガス切断機16で
所定長さに切断し、熱間圧延用の鋳片2として供する。
尚、ガス切断機16では、切断される鋳片2の長さは比
較的長いので、ガス切断機16により切断した鋳片2を
別途設けた切断機(図示せず)で更に切断して、長さを
調整しても良い。又、ガス切断機16で切断後の熱間状
態の鋳片2を表面手入れしてから熱間圧延用の鋳片2と
して供しても良い。
【0025】このようにして鋳造した鋳片2を搬送台車
等により熱間圧延機に搬送し、直ちに熱間圧延(HD
R)するか、若しくは熱間圧延機の加熱炉で加熱後に熱
間圧延(HCR)する。HDRの場合には、連続鋳造機
1の出側から熱間圧延機での熱間圧延の開始までの期
間、又、HCRの場合には、連続鋳造機1の出側から熱
間圧延機の加熱炉装入までの期間、鋳片表面温度をAr1
以上に保ったままとして、熱間圧延機で圧延して厚鋼板
を製造する。HDRにより製造する場合には、切断した
鋳片2を、鋳片温度を補償するための加熱装置で加熱せ
ず、そのまま熱間圧延機に直送して熱間圧延しても良い
し、加熱装置にて鋳片2のコーナー部等を加熱した後に
熱間圧延しても良い。
【0026】尚、連続鋳造機1の出側とは、厳密には鋳
片支持ロールによる支持から解放された時点になるが、
ガス切断機16で切断された以降としても良い。又、本
発明においては、連続鋳造機1内での鋳片表面温度はA
r1以上に保つ必要はなく、復熱により連続鋳造機1の出
側以降で鋳片表面温度をAr1以上に保つことが可能であ
るならば、連続鋳造中の矯正歪み等による割れを防止す
るため、一時的にAr1以下としても良い。
【0027】このようにして連続鋳造機1で鋳造された
鋳片2から厚鋼板を直送圧延方法により製造することに
より、低融点硫化物によるγ粒界の脆化が防止され、表
面割れが極めて少ない、表面性状の優れた厚鋼板を安定
して製造することが可能となる。
【0028】
【実施例】図1に示す垂直曲げ型スラブ連続鋳造機を用
いて、Nb−V鋼やNb−Cu−Ni鋼を鋳造し、HC
Rを行った。用いた連続鋳造機は、鋳型を含めた垂直部
長さが2.8m、湾曲半径が10m、下部矯正帯位置が
鋳型内湯面から18〜22mで、鋳片厚みが250m、
鋳片幅が2100mmである。鋳片引抜き速度を1.4
m/minとし、上部の曲げ矯正帯での鋳片表面温度を
900〜950℃の範囲で通過させ、下部矯正帯では鋳
片表面温度を850〜900℃で通過するように二次冷
却強度を調整した。鋳片表面温度を850℃以上に保持
する理由は、連続鋳造機の曲げ及び曲げ戻し矯正時に鋳
片表面に発生する割れを防止するためである。
【0029】このようにして連続鋳造された鋳片を、そ
の保有する熱エネルギーを有効に利用するために保温し
ながら厚板ミルの加熱炉に搬送し、加熱炉にて再加熱し
た。加熱炉装入前の鋳片の表面温度は何れも750℃以
上であった。加熱温度を1200℃として2.5〜4時
間加熱後、熱間圧延して板厚25mmの厚鋼板を製造し
た。
【0030】Nb−V鋼やNb−Cu−Ni鋼のMn濃
度は1.2〜1.6%、S濃度は0.005〜0.01
%であった。この鋼にCaを添加して、種々のCa濃度
の鋼を溶製して連続鋳造機で鋳片を製造した。この時の
表面割れの発生率とCa濃度との関係を調べた結果を図
2に示す。図2に示すようにCa濃度とS濃度の比が
1.3以上の場合に割れの発生が全くみられなかった。
【0031】添加したCaが全てのSと反応してCaS
を生成するものと考えると、溶鋼中のSをCaSにする
ために必要なCa量は、Sの原子量(Ms )とCaの原
子量(MCa)を用いて表わすとCa=(MCa/Ms )×
Sとなる。図2に示したCa濃度とS濃度との比が1.
3の値は、CaとSとの原子量の比に一致していた。即
ち、CaSを生成する際のSの化学当量以上にCaを含
有させることで、熱間圧延時の厚鋼板の表面割れを防止
できることが分かった。
【0032】次に、Mg添加によってSを固定する実験
を行い、HCRを実施した。連続鋳造機から加熱炉装入
までの鋳片表面温度を750℃以上に保持した。熱間圧
延後の厚鋼板表面の割れ発生率と、添加したMg濃度と
の関係を図3に示す。図3に示すように、Mg濃度とS
濃度の比が0.8以上で割れ発生頻度がゼロになること
が判明した。Mg濃度とS濃度との比が0.8の値は、
Mg原子量とS原子量との比にほぼ一致していることか
ら、Mg添加によってSはMgSを生成して固定される
ことが想到された。
【0033】同様にTiを添加することによって、溶鋼
中のSを固定する実験を行った。最初、Ti原子量とS
原子量との比から考えて、S濃度の1.5倍以上のTi
濃度になるようにTiを添加したが、割れ防止効果にバ
ラツキが生じた。Tiは溶鋼中のNと結合してTiNを
生成する可能性があり、TiNとTiSが同時に生成す
ると考えて、Ti添加量を決定した。図4にTi濃度と
割れ発生率との関係を示す。図4に示すようにTi濃度
が[1.5×S濃度+3.4×N濃度]以上になると割
れがゼロになることが分かった。
【0034】これらの結果から、結晶粒界における硫化
物生成を低減させるためには、MnSが析出する以前に
溶鋼中でSを固定すれば良いことが分かった。従って、
その他のS固定元素であるLa、Ce、Li、Baの添
加量も同様にして決定すれば良いことが分かった。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、化学成分組成としてN
b、V、Cu、Ni等を含有する連続鋳造鋳片をAr1以
上の高温に維持して直送圧延しても、厚鋼板に表面疵を
発生させることなく、表面性状の優れた厚鋼板を安定し
て製造することが可能となる。その結果、HCRの場合
でも加熱炉への鋳片装入温度の平均温度を100℃以上
従来法に比べて高温にすることができ、省エネルギー効
果や加熱炉装入までの工程管理の簡素化等、工業上有益
な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる連続鋳造機の1例の側面概略図
である。
【図2】厚鋼板の表面割れ発生率とCa濃度との関係を
示す図である。
【図3】厚鋼板の表面割れ発生率とMg濃度との関係を
示す図である。
【図4】厚鋼板の表面割れ発生率とTi濃度との関係を
示す図である。
【符号の説明】
1 連続鋳造機 2 鋳片 5 鋳型 16 ガス切断機
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 38/58 C22C 38/58

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続鋳造機で鋳造された高温の鋳片を直
    接熱間圧延するか、あるいは鋳片表面の低温部を加熱し
    た後に熱間圧延して厚鋼板を製造する連続鋳造鋳片の直
    送圧延方法において、前記鋳片に化学成分組成としてT
    i、Mg、Ca、Ce、La、Ba、Liのうち1種又
    は2種以上を含有させると共に、連続鋳造機出側から熱
    間圧延開始まで鋳片表面温度をAr1以上に保つことを特
    徴とする連続鋳造鋳片の直送圧延方法。
  2. 【請求項2】 連続鋳造機で鋳造された高温の鋳片を加
    熱炉に装入して加熱した後に熱間圧延して厚鋼板を製造
    する連続鋳造鋳片の直送圧延方法において、前記鋳片に
    化学成分組成としてTi、Mg、Ca、Ce、La、B
    a、Liのうち1種又は2種以上を含有させると共に、
    連続鋳造機出側から加熱炉装入まで鋳片表面温度をAr1
    以上に保つことを特徴とする連続鋳造鋳片の直送圧延方
    法。
  3. 【請求項3】 化学成分組成として含有させるTi、M
    g、Ca、Ce、La、Ba、Liを、鋳片中のS濃度
    及びN濃度に対して、質量%で、[%Ti]>1.5
    [%S]+3.4[%N]、[%Mg]>0.8[%
    S]、[%Ca]>1.3[%S]、[%Ce]>4.
    4[%S]、[%La]>4.3[%S]、[%Ba]
    >4.3[%S]、[%Li]>0.2[%S]の関係
    を満足するように含有させることを特徴とする請求項1
    又は請求項2に記載の連続鋳造鋳片の直送圧延方法。
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