JP2002176946A - 低アレルゲン化カボチャ調製物の製造方法 - Google Patents

低アレルゲン化カボチャ調製物の製造方法

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JP2002176946A JP2000380714A JP2000380714A JP2002176946A JP 2002176946 A JP2002176946 A JP 2002176946A JP 2000380714 A JP2000380714 A JP 2000380714A JP 2000380714 A JP2000380714 A JP 2000380714A JP 2002176946 A JP2002176946 A JP 2002176946A
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acid
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Takaaki Suzuki
貴明 鈴木
Tomokichi Shintani
智吉 新谷
Yaeta Endo
弥重太 遠藤
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  • General Preparation And Processing Of Foods (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】アレルゲンが低減化されてなるカボチャ調製
物、その製造方法並びに該カボチャ調製物を用いて調製
される低アレルゲン化加工食品を提供する。 【解決手段】カボチャを酸で抽出処理し、酸可溶性画分
を除去して酸不溶性画分を採取することによって低アレ
ルゲン化カボチャ調製物を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アレルゲンが低減
化されてなるカボチャ調製物、その製造方法並びに該カ
ボチャ調製物を用いて調製される低アレルゲン化加工食
品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、我が国ではアトピー性皮膚炎や花
粉症などのアレルギー疾患が増えてきており、国民の3
割が何らかのアレルギー疾患を抱えている。食物アレル
ギーは乳幼児期に発症する症例が多いのが特徴で、多く
は成長とともに治癒するものの、食物以外の抗原に対す
るアレルギーを誘発して喘息などに移行することも多
い。これらのことから、食物アレルギーは多くのアレル
ギー疾患の端緒となっていると考えられている(有田昌
彦、「果実・野菜のアレルギー」、第1回日本アレルギ
ー学会春期臨床集会(1987))。
【0003】食物アレルギーには、他のアレルギー疾患
と同様に、現在のところ抜本的な治療法はなく、このた
めアレルギーを起こす食品を食べることを極力控えると
いうアレルゲン除去方法が多く行われている。しかし、
アレルギーを起こす食品には卵や牛乳などの乳幼児の成
育に重要なものが多く、更にそれらの多くは加工食品の
形で非常に多く出回っており、それらを避けて日常生活
を維持するのは非常に困難である。そのため、一部のア
レルギーを起こす食品に関しては低アレルゲン性の食品
の開発が進められているのが現状である(中村良、松田
幹:「タンパク質の構造修飾によるアレルギー低減化食
品の開発、食品の生体調節機能の解析、千葉英雄編、学
会出版センター、p.534 (1992))。
【0004】ところで、カボチャは和洋中の様々な料理
に利用されている一般的な食物であり、また乳児の離乳
食や穀物アレルギー患者の代用食としてもよく利用され
る。一般的は、カボチャはそばや大豆のようにアレルゲ
ンを含むという認識はなされていないが、特に乳幼児の
抗体保有率が高く、CAP−RASTによるカボチャに
対する特異IgE抗体価では、アレルギー疾患患者にお
いて高い陽性率を示しており、アレルギー性皮膚炎の要
因の一つになっていると考えられている(池澤善郎、
他:「アトピー性皮膚炎患者における新規CAP-RASTアレ
ルゲンの有用性について」アレルギーの臨床、14-3, 22
4-229 (1994);松本勉、他:魚介類、穀物、野菜、果実
におけるCAP-RASTの有用性の検討−CAP-RASTの結果とSP
Tを中心に」小児科臨床、47-4, 219-226 (1994);伊藤
浩明、他:「小児アレルギー疾患における新規吸入性・
食餌性アレルゲンCAP-RASTの検討」小児科臨床、47-4,
209-218 (1994)」)。
【0005】しかしながら、現在のところカボチャのア
レルゲンを低減化する方法は確立されていないのが現状
である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】かかる観点から、本発
明はカボチャに含まれるアレルゲンを低減化する方法を
提供することを目的とする。より詳細には、本発明はア
レルゲンが低減化されてなるカボチャ調製物の製造方法
を提供すること、アレルゲンが低減化されてなるカボチ
ャ調製物を提供すること、並びに該カボチャ調製物を用
いたカボチャ加工食品を提供することを目的とするもの
である。本発明のカボチャ調製物並びにカボチャ加工食
品は、カボチャに対してアレルギー反応を起こす患者の
食料として安全且つ有効に利用することができる。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねていたところ、カボチャに
含まれるアレルゲンが酸に可溶性であることを見出し、
かかる知見に基づいてさらに研究を進め、カボチャを酸
抽出処理することによってカボチャの固形分からアレル
ゲンを選択的に除去でき、低アレルゲン化されたカボチ
ャ調製物が得られることを確認した。本発明はかかる知
見に基づいて完成されたものである。
【0008】すなわち本発明は下記(1)〜(4)に掲
げるアレルゲンが低減化されてなるカボチャ調製物の製
造方法である: (1)カボチャを酸で抽出処理し、酸可溶性画分を除去
して酸不溶性画分を採取することを特徴とする低アレル
ゲン化カボチャ調製物の製造方法。 (2)酸抽出処理がpH3〜4の水性溶媒を使用した処
理であることを特徴とする(1)記載の低アレルゲン化
カボチャ調製物の製造方法。 (3)カボチャを酸性水溶液でホモジナイズし、該ホモ
ジネートを酸抽出処理することを特徴とする(1)また
は(2)に記載の低アレルゲン化カボチャ調製物の製造
方法。 (4)採取した酸不溶性画分をさらに中和、脱塩、加
熱、殺菌及び乾燥よりなる群から選択される少なくとも
一種の処理に供することを特徴とする、(1)乃至
(3)のいずれかに記載の低アレルゲン化カボチャ調製
物の製造方法。
【0009】また本発明は、下記(5)に掲げるアレル
ゲンが低減化されてなるカボチャ調製物である: (5)カボチャを酸抽出処理することによって酸可溶性
画分が除去され、実質的に酸不溶性画分からなることを
特徴とする低アレルゲン化カボチャ調製物。
【0010】さらに本発明は、下記(6)〜(7)に掲
げるアレルゲンが低減化されてなるカボチャ加工食品で
ある: (6)原料カボチャとして(1)乃至(5)のいずれか
に記載の低アレルゲン化カボチャ調製物を用いて調製さ
れるカボチャ加工食品。 (7)アレルギー患者用低アレルゲン化食品である
(6)記載のカボチャ加工食品。
【0011】なお、本発明でアレルゲンとは、カボチャ
をヒトを含む動物が経口摂取した場合に、アレルギーな
どの免疫反応を生じる可能性のある原因物質であり、カ
ボチャに含まれる成分のうちIgE抗体に結合して免疫
反応を誘導する可能性のある物質を挙げることができ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、前述するようにカボチ
ャに含まれるアレルゲンが酸に可溶性であるという知見
に基づくものである。よって、本発明の低アレルゲン化
カボチャ調製物は、実質的にカボチャの酸可溶性画分を
含まないことを特徴とする。当該低アレルゲン化カボチ
ャ調製物は、基本的にカボチャを酸で抽出処理し、酸可
溶性画分を除去して得られる酸不溶性画分を成分とする
ものである。
【0013】ここで原料として用いるカボチャはアレル
ゲンを含むものである限り、由来や種類によって特に制
限されるものではない。また生であっても、冷凍、加
熱、煮沸及び乾燥処理等の任意加工処理が施されたもの
であってもよい。
【0014】上記各種態様のカボチャは、そのまま若し
くは破砕物として酸抽出操作に付すことができる。また
一旦適当な溶媒でホモジナイズした後、該ホモジネート
に対して酸抽出処理を行ってもよい。好ましくは後者の
方法である。
【0015】カボチャのホモジナイズ処理に用いられる
溶媒としては、水溶液であれば特に制限されない。例え
ば水溶液としては、水、その他任意の緩衝液を使用する
ことができる。緩衝液としては、通常、酢酸緩衝液、ク
エン酸緩衝液またはトリス緩衝液を例示することができ
るが、好ましくはクエン酸緩衝液であり、より好ましく
はトリス緩衝液である。
【0016】ホモジナイズ処理は、例えばミキサーやホ
モジナイザーなどの慣用の器具を使用して慣用の方法に
よって行うことができる。
【0017】酸抽出処理は、上記カボチャを酸性条件下
に曝し、次いで遠心分離法、ろ過、静置沈殿等の任意の
手段によって、カボチャ成分を酸性水溶液に溶解する成
分(酸可溶性画分、上清画分)と酸性水溶液に不溶な成
分(酸不溶性画分、沈殿画分)とに分別することによっ
て実施することができる。具体的には、酸処理方法とし
ては酸性水溶液に上記各種態様のカボチャを冷浸、温浸
等によって浸漬する方法、上記のカボチャのホモジネー
トに酸を添加して酸性処理する方法、これらの酸性浸漬
物又はホモジネートを攪拌しながら抽出する方法を挙げ
ることができ、また分別方法としては、上記得られた抽
出液を遠心分離若しくは濾過等の処理によって酸可溶性
画分(上清画分、濾液画分)を除去し、選択的に酸不溶
性画分(沈殿画分、ろ過残渣画分)を得る方法を例示す
ることができる。当該抽出処理は、冷温、常温または加
温条件下のいずれの条件下で行ってもよいが、冷温下で
行うのが好ましい。
【0018】酸抽出に使用される酸性水溶液(抽出液)
は、pHが1〜5、好ましくはpH3〜4の液性を呈す
るものであれば特に制限されない。好ましくは塩酸等の
無機酸の水溶液、または酢酸やクエン酸等の有機酸の水
溶液が例示される。また酸抽出は、酸性水溶液(抽出
液)中に含まれるカボチャの固形分含量が10〜90重
量%、好ましくは10〜40重量%となる範囲で行うこ
とが好ましい。
【0019】上記酸抽出処理によって、酸可溶性画分
(上清画分、ろ液画分)にカボチャのアレルゲンを選択
的に移行溶出させることができ、当該画分を除去した酸
不溶性画分(沈殿画分、ろ過残渣画分)を本発明の目的
とする低アレルゲン化されたカボチャ固形分(カボチャ
調製物)として採取することができる。
【0020】この酸不溶性画分は、そのまま若しくは目
的に応じて中和、洗浄、脱塩、加熱、殺菌、煮沸または
乾燥(凍結乾燥、噴霧乾燥、真空乾燥、熱風乾燥)等の
任意の処理を施して、離乳食、ペースト、スープ、粉末
スープ、ケーキやババロア、クッキーなどの菓子類等
の、任意の態様のカボチャ加工食品の原料(カボチャ調
製物)として用いることができる。
【0021】斯くして得られるカボチャ調製物は、アレ
ルゲンが有意に低減されてなるものであり、このためカ
ボチャアレルギー患者用の低アレルゲン化食品若しくは
カボチャアレルゲン除去食の原料の一部として有用であ
る。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実験例及び実施例によって更
に詳細に説明するが、本発明は当該実施例等に何ら限定
されるものではない。実験例1 カボチャの分画 カボチャ289gに2mM EDTAを含む冷50mM Tris-HCl緩衝液
(pH7.6) 500mLを加え、ミキサーで5分間撹拌し、4℃
下、30,000×gで30分間遠心分離した。
【0023】得られた上清をS-30画分とし、次いでこの
画分をconc.酢酸でpH3.5に調整し、4℃下、30,000×
gで15分間遠心分離した。得られた上清を1N水酸化
ナトリウム水溶液でpH6に調整し、10mM 酢酸緩衝液
(pH6)4℃で1夜透析して、これをサンプル1(酸可
溶性画分)とした。一方、上記遠心分離で沈殿した残渣
を同じく10mM 酢酸緩衝液(pH6)4℃で1夜透析した
ものをサンプル2(酸不溶解画分)とした。S-30画分、
サンプル1(酸可溶性画分)及びサンプル2(酸不溶性
画分)の各画分中に含まれるタンパク質量をLowry法で
測定した結果を表1に示す。
【0024】
【表1】
【0025】結果から、緩衝液による抽出ではカボチャ
の全蛋白質のうち43.4%が溶解し(S-30画分)、残りの
56.7%の蛋白質は溶解しなかった。さらにその溶解画分
(S-30画分)に含まれる蛋白質(100%)のうち、約11.1
%の蛋白質が酸に溶解し抽出され(サンプル1)、残り
の約88.9%の蛋白質は酸に溶解せず、沈殿残渣に含まれ
ていた(サンプル2)。
【0026】実験例2 カボチャ抽出画分のIgEへの反
応性 実験例1で調製したカボチャ抽出液の各画分(S-30画
分、サンプル1(酸可溶性画分)、サンプル2(酸不溶
性画分))について、蛍光ELISA法によって被検血清中
のIgEに対する反応性を調べた。
【0027】(1) 被検血清 被検血清として、アトピー患者3名、食物アレルギーや
スギ花粉アレルギー等の何らかのアレルギーを有する者
15名、健常者4名の合計22名の血清を使用した。
【0028】(2) 蛍光ELISA法 蛍光ELISAは、坂口らの方法(Microbiol.Immunol.,31
(7), 711-715 (1987);J.Immunol.Methods.,116, 181-1
87 (1989))に従って行った。具体的にはマイクロプレ
ート(Nunc製)の各穴に、0.05Mのリン酸緩衝液(pH
7)で10μg蛋白/mlの濃度となるように調整した各サン
プル液を100μlずつ加え、4℃で一晩静置し、抗原を
吸着させた。洗浄液(PBS+0.05% Tween20)で3回
洗浄後、血清希釈液〔PBS(0.8% NaCl, 0.3% Na2HPO4
・12H2O, 0.02% KH2PO4)+0.05% Tween20, 1% BSA (Bovi
ne serum albimin), 0.1% NaN3〕で1:4に希釈した被
検血清を100μlずつ加え、プレートを室温で3時間振盪
させた。次いで再び上と同様にして洗浄し、その後、酵
素希釈液(0.01M Na-リン酸, pH7, 0.1M NaCl, 1mM MgC
l, 1% BSA, 0.1% NaN3)で1:40に希釈したβ−ガラ
クトシダーゼ標識抗ヒトIgE抗体(American Qualex Man
ufactures No.A116GN)を各穴に100μlずつ加え、室温
で一晩静置した。その後、再度洗浄した後、上記酵素希
釈液で調製した0.1mM 4−メチルウンベリフェリル−β
−ガラクトシド液を100μlずつ加え、37℃で2時間
反応させ、0.1M グリシン−NaOH(pH10.3)を100μlず
つ添加して反応を停止させた。酵素反応により生じた4
−メチルウンベリフェロン(4-MUF)の蛍光強度を蛍光
マイクロプレートリーダー(東和科学(株)FL-2575)
で測定した。励起波長360nm、蛍光波長450nmで測定を行
い、蛍光強度1pmol/wellを1FU(fluorescence Uni
t)として表した。
【0029】(3) 検量線の作成 ヒトIgA(ヒトミエローマIgA:Biogenesis社製)、IgE
(ヒトミエローマIgE:ヤマサ醤油社製)及びIgG(ヒト
ミエローマIgG:Biogenesis社製)のそれぞれに対する
標識抗ヒトIgE抗体の結合能を蛍光ElISA法により測定
し、酵素反応により生じた4−メチルウンベリフェロン
(4-MUF)の蛍光強度から、IgE濃度を算出し、検量線を
作成した。
【0030】作成した検量線を図1に示す。これから分
かるようにβ−ガラクトシダーゼの酵素反応によって生
じる4−メチルウンベリフェロンの量と蛍光強度との関
係は、少なくとも1〜1000pmol/wellの範囲で高い相関
係数(0.999)を示した。また、更に、1〜10ng/wellに
ついても同様にして高い相関関係(0.999)を示す検量
線が得られた。また、ヒトIgA、IgE及びIgGのそれぞれ
に対する標識抗ヒトIgE抗体の結合能を蛍光ELISA法で測
定したところ、図2に示すように、標識抗ヒトIgE抗体
のヒトIgEに対する結合能は、ヒトIgA及びヒトIgGに対
する結合能に比べて約2000倍も高く、特異的に結合する
ことが分かった。
【0031】これらのことから、蛍光ELISA法による
と、ヒト血液中のIgEの定量的測定が1wellあたり数10p
g〜100ngの範囲で可能であることがわかる。
【0032】(4) カボチャの各画分と血清IgEとの反応
性 各被験者(22名)の被検血清中のIgEとカボチャS-30画
分との反応性を示す結果を図3に、カボチャの各抽出画
分(S-30画分、サンプル1(酸可溶性画分)、サンプル
2(酸不溶性画分))と各被験者(22名)の血清中のIg
Eとの反応性の平均(22名の平均)を示す結果を図4に
示す。図3から分かるように、カボチャのS-30画分は、
アトピー性皮膚炎の患者の血清IgEに対して高い結合能
を示した。具体的には、アトピー性皮膚炎の患者の血清
IgEに対して、健常者の血清IgEのうち結合能の高い血清
IgEの5倍、低い血清IgEの14倍以上の結合能を示し
た。また図4から分かるように、血清中のIgEとS-30画
分並びにサンプル1(酸可溶性画分)との結合能(反応
性)はほぼ同等であるのに対し、血清中のIgEとサンプ
ル2(酸不溶性画分)との結合能(反応性)は低く、そ
の結合能(反応性)はIgEとS-30画分及びサンプル1と
の結合能(反応性)の34%程度であった。
【0033】この結果から、カボチャ抽出物は、個人差
はあるものの、アレルギー患者の血清中のIgEに高い
確率で結合する傾向が見られた。また、サンプル2(酸
不溶性画分)は血清IgEに対する反応性が減少してい
ることから、カボチャを酸で抽出することによって酸溶
液中にアレルゲンが特異的に抽出され、その結果残った
固形分中のアレルゲン量が低下すること、すなわちカボ
チャアレルゲンは酸可溶性であって、カボチャを酸抽出
することによってカボチャを低アレルゲン化することが
可能であることが示唆された。
【0034】実験例3 カボチャのアレルゲン分画の取
得 カボチャ抽出画分であるS-30画分及びサンプル1(酸可
溶性画分)に含まれるカボチャアレルゲンを取得するた
めに、S-30画分についてSDS−アクリルアミドゲル電
気泳動(SDS-PAGE)並びにSMART Systemに利用してゲル
ろ過を行った。
【0035】(1) ゲルろ過法(SMART System) S-30画分を限外濾過した後、20μl(58μg/protein)を
ゲルろ過カラム(Superose 12 PC3.2/30)を備えたSMAR
T System にインジェクションした。これを4℃下で、2
0mM リン酸緩衝液−200mM NaCl (pH7.6)で分離(流速:
40μl/min)し、溶出液を100μlずつ分取し、次いで得
られた1〜27の各フラクション試料をマイクロプレート
に100μlずつ加え、蛍光ELISAを行った。
【0036】(2) 結果 カボチャのS-30画分をSDS-PAGE(クマシー染色)にかけ
た結果を図5に示す。これからわかるように、検出され
た数10〜100kDaの種々のタンパク質のうち、特に10kD
a、30kDa及び43kDaのタンパク質が強く検出され、多量
に含まれていることがわかった。また、カボチャのS-30
画分をSMART Systemを利用してゲルろ過し、各フラクシ
ョンについて蛍光ELISA法を用いてアレルゲンの量を測
定した結果を図6に示す。これからわかるように、SDS-
PAGEの場合と同様に数10〜100kDaの広い範囲でシグナル
が検出されたが、蛍光ELISA法によって、分子量7〜25
万の高分子の分画区に高いアレルゲン活性成分が存在す
ることが判明した。
【0037】実施例1 低アレルゲン化カボチャ調製
物の調製 カボチャ289gに2mM EDTAを含む冷50mM Tris-HCl緩衝液
(pH7.6) 500mLを加え、ミキサーで5分間撹拌し、ホモ
ジネート(試料1)を調製した。このカボチャホモジネ
ートにconc.酢酸を添加してpH3.5調整し、4℃下で1
0分間撹拌後、遠心分離した(4℃、30,000×gで15
分間)。上清(酸可溶性画分、試料2)を除去して、沈
殿した残渣を酸不溶性画分(試料3)として採取した。
これを10M酢酸緩衝液(pH6)4℃で一夜透析して、
低アレルゲン化カボチャ調製物(試料4)を得た。
【0038】上記操作で得られた各試料1〜4につい
て、それぞれ蛋白含有量、収率、並びイン蛍光ELISA法
によって被検血清中のIgEに対する反応性を調べた。そ
の結果、酸可溶性画分(試料2)にIgE反応物が抽出さ
れ、試料4は有意にアレルゲン量が低減されていること
が確認された。
【0039】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、簡単な方法
によって低アレルゲン化されたカボチャ調製物を製造す
ることができる。当該カボチャ調製物によれば、従来カ
ボチャにに対してアレルギー反応を生じる可能性のある
アレルギー患者に対しても、カボチャ加工食品としてカ
ボチャの蛋白源を安全に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】4−メチルウンベリフェロン(4-MUF)の蛍光
検量線を示す図である。
【図2】β−ガラクトシダーゼ標識ヒトIgE抗体と異
なる濃度でのヒトIgEの蛍光ELISAの結果を示す図で
ある。
【図3】カボチャ抽出液(S-30画分)と血清中のIgE
との反応性を示す図である。尚、図中、白色棒は健常者
の血清、黒色棒はアトピー患者の血清、灰色棒はその他
のアレルギー患者の血清を示す。
【図4】カボチャ抽出画分(S-30画分、サンプル1、サ
ンプル2)と血清中のIgEとの反応性(検体22の平
均)を示す図である。
【図5】カボチャ抽出液(S-30画分)をSDS電気泳動
にかけた泳動像を示す図である。
【図6】カボチャ抽出液(S-30画分)をゲルろ過(SMAR
T System)にかけたクロマトグラム及びゲルろ過各分画
と血清中のIgEとの反応性を示す図である。図中のクロ
マトグラムは214nm、254nm、280nmの波長の吸収を示
し、棒線はIgEとの反応性を蛍光ELISAの蛍光強度で示す
ものである。
フロントページの続き Fターム(参考) 4B016 LC07 LG05 LK01 LK04 LP02 4B035 LC06 LG01 LG06 LG32 LP22 4C088 AB19 AC04 BA06 MA34 NA06 ZB13

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カボチャを酸で抽出処理し、酸可溶性画分
    を除去して酸不溶性画分を採取することを特徴とする低
    アレルゲン化カボチャ調製物の製造方法。
  2. 【請求項2】酸抽出処理がpH3〜4の水性溶媒を使用
    した処理であることを特徴とする請求項1記載の低アレ
    ルゲン化カボチャ調製物の製造方法。
  3. 【請求項3】カボチャを水溶液でホモジナイズし、該ホ
    モジネートを酸抽出処理することを特徴とする請求項1
    または2に記載の低アレルゲン化カボチャ調製物の製造
    方法。
  4. 【請求項4】採取した酸不溶性画分をさらに中和、脱
    塩、加熱、殺菌及び乾燥よりなる群から選択される少な
    くとも一種の処理に供することを特徴とする、請求項1
    乃至3のいずれかに記載の低アレルゲン化カボチャ調製
    物の製造方法。
  5. 【請求項5】カボチャを酸抽出処理することによって酸
    可溶性画分が除去され、実質的に酸不溶性画分からなる
    ことを特徴とする低アレルゲン化カボチャ調製物。
  6. 【請求項6】原料カボチャとして請求項1乃至5のいず
    れかに記載の低アレルゲン化カボチャ調製物を用いて調
    製されるカボチャ加工食品。
  7. 【請求項7】アレルギー患者用低アレルゲン化食品であ
    る請求項6記載のカボチャ加工食品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004143120A (ja) * 2002-10-28 2004-05-20 Nippon Shinyaku Co Ltd 血圧降下作用に有効な保健食品及び血圧降下剤
JP2008104403A (ja) * 2006-10-25 2008-05-08 Yamanashi Prefecture アレルゲン低減化モモ加工品の製造方法、モモピューレ又はモモ果汁の製造方法及びモモ果汁、及びモモネクターの製造方法

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JP2008104403A (ja) * 2006-10-25 2008-05-08 Yamanashi Prefecture アレルゲン低減化モモ加工品の製造方法、モモピューレ又はモモ果汁の製造方法及びモモ果汁、及びモモネクターの製造方法

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