JP2002173093A - 航空機の翼端装置 - Google Patents

航空機の翼端装置

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JP2002173093A
JP2002173093A JP2000372685A JP2000372685A JP2002173093A JP 2002173093 A JP2002173093 A JP 2002173093A JP 2000372685 A JP2000372685 A JP 2000372685A JP 2000372685 A JP2000372685 A JP 2000372685A JP 2002173093 A JP2002173093 A JP 2002173093A
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wing tip
tip device
aircraft
angle
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JP2000372685A
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Akinori Shinohara
昭憲 篠原
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Toyota Motor Corp
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 巡航状態において発生する揚力が比較的小さ
な航空機に対しても有効に作用して、翼端渦により生じ
る誘導抵抗を効率的に低減する航空機の翼端装置を提供
する。 【解決手段】 小型飛行機の主翼4の翼端部4aに設け
られた後退翼状の翼端装置10の前縁(直線部)11b
は、所定の後退角θを有する。小型飛行機が巡航状態に
ある際、前縁11a,11b前方の気流は、吹き上げ効
果(現象)により、上向きの迎え角を付加されることに
なる。この迎え角の付加により、揚力が飛行方向前方に
傾き、その水平分力が推力として機能する。また、直線
部11bが所定の後退角θを有することで、翼端11c
の翼弦長が短く形成され、翼端渦自体の強度が低減され
る。さらに、翼端装置10が主翼4に対してなす上半角
δが所定範囲以内で相当に小さく設定されているため、
翼端装置10及び主翼4間の接合部位において干渉抵抗
がほとんど発生しない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低亜音速で巡航す
る小型航空機の主翼に設けられ、その主翼の誘導抵抗を
好適に低減する航空機の翼端装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、航空機の主翼はその翼上面にお
ける圧力を翼下面における圧力より低い状態に保持する
ことで揚力を生み出すため、例えば図8に示すように、
その翼端部50では、翼下面から翼上面に向かって気流
が回り込み、渦(翼端渦)を形成するようになる。この
翼端渦は、航空機の飛行に伴って後方に流されつつ、主
翼に対して当該航空機の飛行方向とは逆向きに作用する
抵抗力(誘導抵抗)を引き起こすようになる。
【0003】誘導抵抗の低減を図るべく翼端部に設けら
れる装置(以下、翼端装置という)として、例えばウイ
ングレットが知られている。ウイングレットは、翼の翼
端部において翼上面側若しくは翼下面側に直立するよう
に形成される小翼である。
【0004】例えば、図9及び図10は、航空機の主翼
に設けられるウイングレットについて、2種の代表的な
形態を概略的に示す斜視図である。
【0005】図9に示すように、ウイングレット101
は、航空機110の主翼111の翼端部から、翼上面に
対し垂直に近い角度をなして直立する小翼である。ウイ
ングレット101は、主翼111の翼下面から翼上面に
流れ込む気流(誘導流れ)を積極的に活用して翼端部近
傍に推力を発生させ、しかも翼端渦自体の発生を抑制す
ることにより、誘導抵抗を減少させる機能を発揮する。
【0006】また、図10に示すウイングレット201
のように、航空機(図示略)の主翼211の翼端部か
ら、翼下面および翼上面各々の側に直立する2つの小翼
から形成されるタイプのものもある。
【0007】上記ウイングレット101,201のよう
な翼端装置を設けた航空機の翼では、誘導抵抗の低減が
図られる他、翼端渦の吹き下ろし作用によって生じる揚
力損失も抑制され、揚力(揚力係数)が好適に高められ
ることとなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
なウイングレットを翼に付加すると、翼の発生する誘導
抵抗が低減される一方で、ウイングレット自体が有害抵
抗(干渉抵抗、摩擦抵抗、形状抵抗等)を新たに発生す
るようになることも避け得ない。
【0009】巡航状態において機体に作用する揚力(揚
力係数)の大きな航空機、例えば大型或いは中型の旅客
機等の場合には、ウイングレットを適用することで得ら
れる誘導抵抗の低減効果が、ウイングレットと主翼との
間に発生する干渉抵抗(有害抵抗)の抗力作用を十分上
回るため、ウイングレットは有効に機能することができ
る。
【0010】ところが、巡航状態において機体に作用す
る揚力(揚力係数)が小さな航空機、例えば小型のプロ
ペラ機等の場合には、ウイングレットを適用することで
得られる誘導抵抗の低減効果が相対的に小さくなり、ウ
イングレットと主翼との間に発生する干渉抵抗(有害抵
抗)の抗力作用を下回ってしまう為、ウイングレットの
ような構造を有する翼端装置は有効に機能することがで
きなかった。
【0011】本発明は、このような実情に鑑みてなされ
たものであって、その目的とするところは、巡航状態に
おいて発生する揚力が比較的小さな航空機に対しても有
効に作用して、翼端部で生じる誘導抵抗を効率的に低減
する航空機の翼端装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、航空機の主翼の翼端に延設される後退翼
状の翼端装置であって、所定角以上の後退角をなす前縁
を有してなることを要旨とする。ここで、とくに前記主
翼に対し当該翼端装置のなす上半角は、所定範囲内にあ
るのがよい。また、このような構成により、当該航空機
に有意な推力を発生させるのがよい。
【0013】さらに付言すれば、上記構成を有する翼端
装置は、巡航状態における揚力係数が「0.3」以下で
ある小型航空機に主翼として備えられるテーパ翼、セミ
テーパ翼、又は矩形翼に適用するのが好適である。
【0014】飛行状態にある航空機の翼は、翼上面の圧
力が翼下面の圧力よりも低い。このため、特に翼端部で
は、翼下面から翼上面に向かって回り込んだ気流が渦
(翼端渦)を形成し、これが誘導抵抗を発生させる。
【0015】本発明は、この誘導抵抗を低減させるもの
である。その作用を説明するに際し、先ず、前記航空機
の飛行方向前方から、前記翼端装置の前縁部に向かって
流れる気流に関し、当該翼端装置の翼幅方向に微小距離
離れた二本の平行な気流(流線)について考える。ここ
で、便宜上、主翼の翼端側(翼端装置の付け根側)にあ
る流線をVi-1とし、翼端装置の翼端側にある流線をVi
と称する。
【0016】当該二本の流線Vi-1,Viのうちいずれの
流線も、前記翼端装置の前縁に達すると、当該翼端装置
の翼上面に向かう上昇流と、翼下面に向かう下降流とに
分流されることとなる。ただし、当該翼端装置の前縁部
が所定角より大きな後退角を有している為、流線Vi-1
が前縁部に達した時点では、流線Viは前縁部にまだ達
していない。航空機用の一般的な翼の前縁部では、上昇
流の方が数倍速い。このため、流線Viは、前縁部に達
する以前に流線Vi-1の分流(上昇流)に誘引され、上
向きの流れとなって、前縁部に当たることとなる(吹き
上げ現象)。従って、翼(翼端装置)に作用する揚力は
航空機の進行方向に傾き、その水平分力が前記主翼の誘
導抵抗に対抗する推力として作用する(第1の作用)。
【0017】次に、前記翼端装置の翼端は、前縁部が大
きな後退角を有している為、翼弦長が短く形成されるこ
ととなる。これにより、翼下面から翼上面に向かって回
り込む気流の量が低減し、翼端渦自体の強度が弱まるこ
とになり、翼端渦に起因した誘導抵抗も低減する(第2
の作用)。
【0018】以上説明した2つの作用により、実質上、
主翼に作用する誘導抵抗値の低減が図られることにな
る。
【0019】さらに、同構成によれば、当該翼端装置の
前記主翼に対する取り付け上反角が小さい為、その接合
部位近傍に発生する干渉抵抗は非常に小さくなり、前記
主翼に作用する抵抗の総体値は一層低減されるようにな
る。
【0020】とくに、設計揚力係数が小さな小型飛行機
においては、前記翼端装置を適用することで得られる誘
導抵抗の低減効果自体が小さくなるが、当該翼端装置を
取り付けることにより発生する干渉抵抗が、誘導抵抗の
低減効果に比し非常に小さいため、当該誘導抵抗の低減
効果が干渉抵抗により減じられることもほとんどない。
すなわち、誘導抵抗の低減効果が有効に活用され、当該
飛行機に作用する総体的な抵抗値が効果的に低減される
ようになる。
【0021】また、上記各構成において、当該翼端装置
は、その全翼幅において前記主翼と相似の翼型を有して
もよい。
【0022】このような簡易な構成によっても前記主翼
の誘導抵抗に対抗する推力は有意に発生し、しかも当該
装置の設計や製造が容易に行われるようになる。
【0023】また、前記前縁の後退角は50°以上65
°以下であるのがよい。
【0024】同構成によれば、誘導抵抗と相反する推力
として作用する水平分力が有意に発生し、且つ、翼端渦
強度の弱化も効果的に図られるようになる。
【0025】また、前記主翼の翼面に対し、−20°以
上20°以下の上反角をなす翼面を有するのがよい。
【0026】同構成によれば、当該翼端装置と前記主翼
の翼端部との境界部位(接合部位)近傍に発生する干渉
抵抗が最小化され、前記主翼に対し当該航空機の飛行方
向と相反する方向に働く抵抗の総体値が、一層低減され
るようになる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる翼端装置を
プロペラ推進の小型飛行機に適用した一実施の形態につ
いて、図面を参照して説明する。
【0028】図1は、本実施の形態にかかる小型飛行機
の外観を概略的に示す斜視図である。
【0029】同図に示すように、飛行機1は、操縦室2
を内部に有する胴体3に、主翼4の他、水平尾翼5及び
垂直尾翼6を備えた低翼機である。胴体3の先端部にあ
たる機首3aには、レシプロエンジン(図示略)により
トルクを得て回転するプロペラ7が備えられており、機
体に推力を付与する。主翼4は、飛行機1の運動を制御
するとともに、機体に揚力を発生させる機能を有する。
また、主翼4の両翼端部4aには、翼端装置10が設け
られている。水平尾翼5及び垂直尾翼6は、飛行機1の
運動を制御する他、機体の横揺れや縦揺れに関し適度な
安定性を与える機能を有する。
【0030】図2は、飛行機1を、主翼4の翼上面に向
かってみた平面図(上視図)である(線分Cは、機体の
中心線に相当する)。
【0031】同図2に示すように、飛行機1の主翼4
は、胴体3との結合部4bから翼端部4aにかけて徐々
に先細った形状を有するテーパ翼である。翼端部4aに
設けられた翼端装置10は、主翼4と同一の翼型を有す
る小翼であり、主翼4の翼端部4aから翼幅方向に延設
される。
【0032】図3(a)は、先の図2に示した飛行機1
の主翼4のうち、一方の翼端装置10を、この翼端装置
10が設けられた翼端部4aと併せ示す拡大図であり、
図3(b)は、図3(a)の翼端装置10及び翼端部4
aを、主翼4の後縁側からみた図である。なお、図3
(a)中に示す一点鎖線Pは、翼端装置10と翼端部4
aとの境界線(接合部位)に相当し、飛行機1の機体の
中心線C(図2参照)と平行をなす。
【0033】先ず、図3(a)に示すように、主翼4の
前縁4c(端部A)から後縁4d(端部B)に亘って形
成される翼端装置10の外形線11は、端部Aから端部
Bにかけて前縁(円弧部)11a、前縁(直線部)11
b、翼端11c、及び後縁11dに区分される。翼端装
置10の最前部にあたる円弧部11aは、所定の曲率半
径Rを有する。円弧部11a後方に続く直線部11b
は、境界線Pと直角をなす線分Qに対し所定の角度(以
下、翼端装置10の後退角という)θをなす。直線部1
1b後方に続く翼端11cは、主翼4の最翼端に位置
し、概ね飛行機1の飛行方向に沿う直線形状を有する。
翼端11c後方に続く後縁11dは、直線形状の外縁で
あり、主翼4本体の後縁4dが、端部Bよりそのまま延
長されたかたちをなす。言い換えると、同図3(a)の
ように主翼4の平面形を示す平面上で、翼端装置10の
後縁11d及び主翼4の後縁4dがその境界(端部B)
においてなす角度は、概ね「180°」である。
【0034】なお、本実施の形態において、翼端装置1
0の付け根部分の長さ(端部A及び端部B間の距離)L
eと翼端11cの長さCeとの関係、円弧部11aの曲
率半径R、及び翼端装置10の後退角θは、各々以下の
ように設定されている。 Ce = 0.13×Le …(1) R = 0.29×Le …(2) θ = 58° …(3) また、図3(b)に示すように、主翼4の後縁4dから
みた場合にも、翼端装置10は、主翼4の最翼端部とし
て同主翼4本体が端部Bよりそのまま延長された形をな
し、翼端装置10の後縁11dと主翼4本体の後縁4d
とが境界(端部B)においてなす角度(以下、翼端装置
の上反角という)δは、概ね「0°」である。この角度
δの絶対値は所定値以下に設定してしておくことで、翼
端装置10の翼面と主翼4の翼面との間に干渉抵抗を発
生させることなく、有害抵抗の最小化を図ることができ
る。
【0035】次に、このように構成された主翼4の翼端
装置10の作用について説明する。
【0036】図4(a)、(b)及び(c)は、翼端装
置10の前縁11a,11b各部において発生する吹き
上げ現象と、当該吹き上げ現象による推力発生のメカニ
ズムとを説明する模式図である。
【0037】ここで、図4(a)は、任意の検査面(た
だし、翼端装置10の翼型を含む)Si上を流れる流線
Viと、胴体3側に微小距離Δyだけ離間し且つ検査面
Siと平行をなす検査面Si-1内を流れる流線Vi-1とを
併せ示す斜視図である。なお、この2つの検査面は、図
2中、飛行機1の中心線Cを含む中心垂直面に対して平
行に置かれている。また、図4(b)は、図4(a)に
示す翼端装置10を各検査面Si-1,Siに直交する矢指
方向Dに向かってみた平面図であり、当該検査面Si-
1,Si上の翼型の周辺に発生する気流の作用を模式的に
示す。さらに図4(c)は、とくに検査面Si上の翼型
周辺に発生する気流と、当該気流に起因して発生する空
気力とを模式的に示す。
【0038】図4(a)及び図4(b)において、飛行
機1の飛行方向前方から、翼端装置10の前縁に向かっ
て流れ、当該翼端装置の翼幅方向に微小距離Δy離れた
二本の平行な気流(流線)Vi-1,Viについて考える。
これら流線Vi-1,Viは、各々翼端装置10の前縁に達
すると、当該翼端装置10の翼上面に向かう上昇流と、
翼下面に向かう下降流とに分流されることとなる。
【0039】先ず、検査面Si-1上における流線Vi-1
は、前縁上の点Xi-1において、翼端装置10の翼上面
に向かう上昇流と、翼下面に向かう下降流(破線)とに
分かれた状態となっている。ところが、Xi-1とX方向
において同一座標位置にある検査面Si上の点Xiを見れ
ば、当該翼端装置10の前縁11が所定角より大きな後
退角θを有している為、この時点では、流線Viは未だ
前縁11に達していない。
【0040】ここで、航空機用の一般的な翼については
周知のように、前縁における分岐流(上昇流及び下降
流)を比較した場合、下降流に比べ上昇流の方が数倍速
度が大きい。このため、流線Viは流線Vi-1の上昇流に
誘引され、翼端装置10の前縁に達する時点で、既に上
向きの迎え角(吹き上げ角)αuiを有する気流となる
(吹き上げ現象)。
【0041】次に、図4(c)に示すように、翼端装置
10に対して入射する流線(Vi)が上向きの吹き上げ
角(入射角)αuiを有する為、揚力Liは同吹き上げ角
αuiだけ前縁方向に傾く。よって翼端装置10は、前縁
方向に働く水平分力fi、すなわち推力を得ることとな
る。
【0042】以上、任意の検査面Siについて発生する
推力fiについて説明したが、この推力fiを翼端装置1
0の前縁11の全域に亘り積分したものが翼端装置によ
る発生推力fとなる。なお、吹き上げ角αuiは、翼端1
1cに近い部位ほど大きくなる。主翼4本体との境界か
ら翼端11cにかけ、上述した誘引作用が累積されるた
めである。
【0043】ところで、翼端装置10が効果的に推力f
を発生するか否かは、概ね外形線11の形状、とくに翼
端装置10の後退角θの大きさに依存する。すなわち、
当該後退角θが大きすぎたり、小さすぎたりすると、誘
導抵抗を低減するために有意な効果を発揮する推力を得
ることはできない。本実施の形態にかかる翼端装置10
の後退角θに「58°」を採用したことは上述した通り
であり、当該翼端装置10(飛行機1)については、こ
の程度の後退角θを採用することで誘導抵抗を抑制する
推力fを最も効果的に発生させるようになることが認め
られた。
【0044】ちなみに、こうした後退角θの最適値(範
囲)は当該翼端装置10の適用される主翼の特性や飛行
状態(例えば、飛行速度)等にもよるが、同翼端装置1
0の適用対象となる航空機が揚力係数が「0.3」以下
の状態で飛行する場合、当該後退角θを「50°」以上
「65°」以下の範囲内に設定することで、上記推力f
の発生による誘導抵抗の低減に関し、本実施の形態と同
等若しくはこれに準ずる効果の得られることが発明者に
よって確認されている。
【0045】また、例えば翼端装置が設けられていない
テーパ翼や矩形翼のように、翼端部の翼弦長が比較的大
きな場合、翼下面から翼上面に向かって回り込む気流が
大量に発生し、強力な翼端渦が形成されて、大きな誘導
抵抗を生じさせることとなる。本実施の形態では、飛行
機1の飛行方向に沿った直線形状の翼端11cの長さC
eが、翼端装置10の付け根部分の長さLeとの関係に
おいて十分小さく設定されている。このため、上記のよ
うな翼端11cにおいて翼下面から上面に向かって回り
込む気流が少なくなる為、翼端渦の強度が効果的に低減
され、もって誘導抵抗が減少する。
【0046】さらに、この翼端渦の強度低減効果によ
り、主翼に当たる気流の吹き下ろし作用に起因する揚力
損失も抑制され、揚力(揚力係数)も好適に高められ
る。
【0047】ちなみに、こうした翼端11cの長さCe
の最適値(範囲)は、主翼及び翼端装置の平面形や翼型
等にもよるが、当該翼端11cの長さCeを、翼端装置
10の付け根部分の長さLeとの関係で(0.25×L
e)以下となるように設定することで、本実施の形態と
同等若しくはこれに準ずる効果が奏せられることが発明
者により確認されている。
【0048】また、上述したように、翼端装置10の翼
型は、その全翼幅において主翼4の翼型と相似の翼型を
有し、且つ捩りのない構成を有している。すなわち、本
実施の形態によれば、簡易な構成によって主翼の誘導抵
抗に対抗する推力を発生させることができるため、誘導
抵抗の低減化が容易に、且つ安価なコストで実現される
ようになる。
【0049】次に、図5には、本実施の形態に係る翼端
装置10を備えた航空機主翼(テーパ翼)と、先の従来
技術において説明したウイングレット201(図10参
照)を備えた航空機主翼(テーパ翼)とに関し、揚力係
数CLが異なる飛行状態において、各々にどの程度誘導
抵抗の低減効果が得られるか、風洞実験を行うことによ
って比較した結果を示す。なお、同図中において、縦軸
上に示す誘導抵抗係数減少量ΔCDiは、翼端装置10
(若しくはウイングレット201)を備えた航空機主翼
(テーパ翼)についての誘導抵抗係数CDiを、翼端装置
10及びウイングレット201の何れも備えていない航
空機主翼(テーパ翼)についての誘導抵抗係数CDiから
減じた値に相当する。また、同じく同図中において、翼
端装置10を備えた航空機主翼に関する誘導抵抗係数減
少量ΔCDiは実線で示し、ウイングレット201を備え
た航空機主翼に関する誘導抵抗係数減少量ΔCDiは一点
鎖線で示す。なお、この風洞実験に用いた主翼に関して
は、翼端装置10を備えた主翼、ウイングレット201
を備えた主翼、何れも備えていない主翼とも同一のアス
ペクトレシオを有する。
【0050】同図5に示すように、揚力係数CLが比較
的小さな領域(例えば「CDi<0.3」)においては、
翼端装置10を採用する航空機主翼の方が、ウイングレ
ット201を採用する航空機主翼よりも大きな誘導抵抗
係数減少量ΔCDi(誘導抵抗の低減効果)を奏する。と
くに、揚力係数CLが「0.3」を下回ると、ウイング
レット201を採用する航空機主翼では、誘導抵抗係数
減少量ΔCDiが負の値を示す。言い換えると、揚力係数
CLが「0.3」を下回る飛行状態においては、ウイン
グレット201を採用することで、却って誘導抵抗が増
してしまうこととなる。
【0051】これに対し、翼端装置10を採用する航空
機主翼では、揚力係数CLが「0.3」を下回る領域に
おいても、誘導抵抗係数減少量ΔCDiは正の値に保持さ
れる。すなわち、誘導抵抗の低減に関し有意な効果が奏
されるようになる。
【0052】なお、先の図3(b)において説明したよ
うに、本実施の形態における翼端装置10の上反角δは
概ね「0°」となるように設定したが、例えば図6
(a)や図6(b)に示すように、「−20°≦δ≦+
20°」の範囲内で正負の上反角δを設けても、翼端装
置10の翼面と主翼4の翼面との間に有意な干渉抵抗を
発生させることなく、本実施の形態に準ずる効果を奏す
ることができる。
【0053】さらに、図7(a)や図7(b)に示す翼
端装置10’若しくは翼端装置10''のように、主翼4
の平面形を示す平面上で、翼端装置10’(10'')の
後縁11d’(11d'')と、主翼4の後縁4dとがそ
の境界(端部B)においてなす角度を、「180°」以
下、或いは「180°」以上に設定しても、本実施の形
態に準ずる効果を奏することはできる。
【0054】また、本実施の形態にかかる翼端装置10
では、前縁部(円弧部)11aの曲率半径Rを翼端装置
10の付け根部分の長さLeとの関係で、(0.29×
Le)となるように設定した。こうした前縁部(円弧
部)11aの曲率半径Rの最適値(範囲)は、主翼及び
翼端装置の平面形や翼型等にもよるが、当該前縁部(円
弧部)11aの曲率半径Rを、(0.11×Le)以上
となるように設定することで、本実施の形態と同等若し
くはこれに準ずる効果を奏することはできる。
【0055】また、本実施の形態において、翼端装置1
0の翼型は、その全翼幅において主翼4の翼型と相似の
翼型を有し、且つ捩りのない構成を有することとした。
このような簡易な構成によっても主翼の誘導抵抗に対抗
する推力は有意に発生し、しかも当該装置の設計や製造
が容易に行われるが、例えば主翼の揚力特性や失速特性
を変更すべく翼端装置の翼幅方向各部位おける翼型を変
更したり、捩りを加えてもよい。
【0056】また、本実施の形態では、テーパ翼を主翼
として備える航空機(飛行機)に本発明の翼端装置を適
用することとしたが、矩形翼やセミテーパ翼等、テーパ
翼以外の翼を主翼として備える航空機に本発明を適用し
てもよい。さらに、本実施の形態では、低翼機に本発明
の翼端装置を適用することとしたが、中翼機や高翼機等
に本発明を適用してもよい。
【0057】また、本実施の形態では、本発明を小型飛
行機1に適用することとしたが、飛行状態(とくに巡航
状態)において比較的小さな揚力係数(例えば「0.
3」以下)を得る他の航空機に適用してもよい。
【0058】また、船舶に設けられる翼、例えば水中翼
船の水中翼や、潜水艦の水平翼の翼端に本発明を適用す
ることもできる。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
翼端装置の前縁部に当たる気流の吹き上げ現象により、
翼に作用する揚力が航空機の進行方向に傾き、その水平
分力が前記主翼の誘導抵抗に対抗する推力として機能す
る。また、同翼端装置の前縁部の所定角より大きな後退
角を有していることにより、翼端の翼弦長が短く形成さ
れることになり、翼下面から上面に向かって回り込む気
流の量が低減して翼端渦自体の強度が弱まる。すなわ
ち、翼端渦に起因する誘導抵抗も低減する。
【0060】従って、実質上、主翼に作用する誘導抵抗
値の低減が図られることになる。
【0061】さらに、当該翼端装置の前記主翼に対する
取り付け上反角が小さい為、その接合部位近傍に発生す
る干渉抵抗が非常に小さくなり、前記主翼に作用する抵
抗の総体値が一層低減されるようになる。
【0062】とくに、設計揚力係数が小さな小型飛行機
においては、前記翼端装置を適用することで得られる誘
導抵抗の低減効果自体が小さくなるが、当該翼端装置を
取り付けることにより発生する干渉抵抗は誘導抵抗の低
減効果に比し非常に小さいため、当該翼端装置による誘
導抵抗低減効果が減じられることなく有効に機能するよ
うになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる小型飛行機の外
観を概略的に示す斜視図。
【図2】同実施の形態にかかる飛行機をその主翼の翼上
面に向かってみた平面図。
【図3】同実施の形態にかかる翼端装置と、その翼端装
置が設けられた主翼の翼端部とを併せ示す拡大図。
【図4】同実施の形態にかかる翼端装置について、前縁
部における吹き上げ現象による推力発生のメカニズムを
説明する模式図。
【図5】揚力係数と誘導抵抗の低減効果との関係を示す
グラフ。
【図6】同実施の形態にかかる翼端装置の変形例を示す
略図。
【図7】同実施の形態にかかる翼端装置の変形例を示す
略図。
【図8】航空機の主翼翼端に翼端渦が形成される様子を
模式的に示す略図。
【図9】従来の翼端装置を概略的に示す斜視図。
【図10】従来の翼端装置を概略的に示す斜視図。
【符号の説明】
1 小型飛行機(航空機) 2 操縦室 3 胴体 3a 機首 4 主翼 4a 翼端部 4b 結合部 4c 前縁 4d 後縁 5 水平尾翼 6 垂直尾翼 7 プロペラ 10 翼端装置 11 翼端装置(外形線) 11a 翼端装置前縁(円弧部) 11b 翼端装置前縁(直線部) 11c 翼端装置翼端 11d 翼端装置後縁 101,201 ウイングレット

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 航空機の主翼の翼端に延設される後退翼
    状の翼端装置であって、 所定角以上の後退角をなす前縁を有してなることを特徴
    とする航空機の翼端装置。
  2. 【請求項2】 前記前縁の後退角は50°以上65°以
    下であることを特徴とする請求項1記載の航空機の翼端
    装置。
  3. 【請求項3】 前記主翼の翼面に対し、−20°以上2
    0°以下の上反角をなす翼面を有してなることを特徴と
    する請求項2又は3記載の航空機の翼端装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009507719A (ja) * 2005-09-14 2009-02-26 エアバス・ユ―ケ―・リミテッド 翼端装置
JP2010540342A (ja) * 2007-10-02 2010-12-24 ザ・ボーイング・カンパニー 対になった固定フェザーを含む翼端フェザーならびに付随するシステムおよび方法
JP2011506160A (ja) * 2007-12-10 2011-03-03 エアバス・オペレーションズ・ゲーエムベーハー 航空機の翼端渦を低減するための小翼延長部
JP2016188697A (ja) * 2015-03-30 2016-11-04 博 久保田 とんぼの翅構造の一部を模した翼

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