JP2002171968A - 耐熱性ラッカーゼおよびその製造方法 - Google Patents
耐熱性ラッカーゼおよびその製造方法Info
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Abstract
ーゼ、その生産微生物および製造方法を提供すること。 【解決手段】 放線菌由来のラッカーゼ、ストレプトミ
セス属に属する該ラッカーゼの生産微生物、および該微
生物を培養し、得られる培養物から採取することを特徴
とする該ラッカーゼの製造方法。
Description
規耐熱性ラッカーゼ、該ラッカーゼの生産微生物および
該微生物を培養することによる該ラッカーゼの製造方法
に関する。
ーゼ、ウルシオールオキシダーゼとも呼ばれ、酸素の存
在下、フェノール性化合物を酸化する酵素である。さら
に、ラッカーゼは、リグニン分解作用、ウルシオールや
ラッコール等のフェノール性化合物、p-フェニレンジア
ミン等の芳香族アミン、タンパク質等の酸化重合作用を
有するため、例えば、毒性の強いフェノール性化合物や
芳香族アミンを含む廃液の処理、パルプ製造処理等にお
けるリグニンの除去、人工漆の製造、コンクリート混和
剤の合成、ココア、コーヒーおよび紅茶の褐変処理、化
粧品用メラニン製造、食品のゲル化剤、臨床検査試薬、
漂白剤としての利用等、多くの産業分野への利用が期待
されている。
ーゼは、一般に自然界に広く存在しており、微生物起源
のものも多く知られている。その生産菌としては、真核
生物であるピクノポラス・コクシネウス、コリオラス・
ヴェルシカラー、トラメテス・エスピーHal等の担子
菌類、ボツチリス・シネレア等の不完全菌類に属する糸
状菌等が知られている。これらの菌は、培養時の生育速
度が非常に遅く、概して大量培養が困難である。また、
これらの菌由来のラッカーゼの生産性を向上させるため
には、遺伝子操作や変異体の作製が必要となるが、菌類
が有する複雑な生活環や、イントロンの存在等の遺伝子
構造の複雑さ、該酵素が糖タンパク質であるため生育速
度が早い原核生物を宿主とした発現が難しい等、多大な
労力を必要とする。このような理由から、これらの菌類
より安定かつ安価にラッカーゼを大量生産することは非
常に困難であった。また、これらの酵素は、概して熱安
定性が低く(<60℃)、毒性廃液の処理、パルプ製造
処理におけるリグニンの除去等、夏期の屋外での使用に
は不適であった。以上の理由より、産業上利用の観点か
ら、遺伝子操作や変異体の作製が容易な原核生物由来で
あって、耐熱性に優れたラッカーゼまたはポリフェノー
ルオキシダーゼが望まれていた。
リフェノールオキシダーゼが、バチルス・リケニホルミ
スSD−3003(特開平9−206071号公報)か
ら見出されている。しかしながら、現在のところ生産性
等の問題から実用化には至っていない。
まざまな抗生物質の生産に利用されており、培養も比較
的容易である。また、遺伝子組換え操作における宿主と
しても利用されており、タンパク質の発現系が確立され
ていることから、酵素を大量に生産させるのに適してい
る。このような利点を有する放線菌からは、未だラッカ
ーゼおよびポリフェノールオキシダーゼは見出されてい
ない。
の酵素とは異なり遺伝子操作等により大量生産すること
が可能であり、かつ広範な用途に使用可能であるような
高い耐熱性を有する新規ラッカーゼ、その生産微生物お
よび製造方法を提供することにある。
的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、放線菌の一種で
あるストレプトミセス属に属する土壌分離菌が耐熱性の
新規ラッカーゼを生産することを見出した。さらに、該
微生物を培養し、得られた培養物から該酵素を単離精製
することに成功し、本発明を完成するに至った。
る〔1〕記載のラッカーゼ。 〔3〕ストレプトミセス属に属する放線菌が、ストレプ
トミセス・ラベンデュラエに属するものである〔2〕記
載のラッカーゼ。 〔4〕ストレプトミセス・ラベンデュラエに属する放線
菌が、ストレプトミセス・ラベンデュラエ REN−7
(FERM P−18026)である〔3〕記載のラッ
カーゼ。 〔5〕下記の性質を有するラッカーゼ: (a)作用:フェノール性化合物を酸化する (b)至適反応pH:約4.5 (c)安定pH範囲:7.0〜10.5 (d)至適反応温度:約50℃ (e)熱安定性:約70℃以下で安定 (f)基質特異性:カテコール、レゾルシノール、ハイ
ドロキノン、ピロガロール、クレゾール、グアヤコー
ル、p-フェニレンジアミン、p-トルイジン、L-チロシ
ン、L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、L-アスコル
ビン酸を酸化する (g)分子量:約73,000(SDS−PAGE)。 〔6〕アミノ末端のアミノ酸配列がAla Pro Ala Ala Al
a Asp Gly Glu Leu ThrPro Tyr Ala Ala Pro Leu Thr V
al(配列表配列番号1)である〔5〕記載のラッカー
ゼ。 〔7〕〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のラッカーゼを
生産し得るストレプトミセス属に属する放線菌を培地中
で培養し、得られる培養物から該ラッカーゼを採取する
ことを特徴とする〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のラ
ッカーゼの製造方法。 〔8〕ストレプトミセス属に属する放線菌が、ストレプ
トミセス・ラベンデュラエに属するものである〔7〕記
載のラッカーゼの製造方法。
菌が、ストレプトミセス・ラベンデュラエ REN−7
(FERM P−18026)である〔8〕記載のラッ
カーゼの製造方法。 〔10〕〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載のラッカーゼ
を生産し得るストレプトミセス・ラベンデュラエ。 〔11〕ストレプトミセス・ラベンデュラエ REN−
7(FERM P−18026)。
来のものである。ここでいう「放線菌由来のラッカー
ゼ」には、天然の放線菌またはその培養物より単離精製
されるラッカーゼばかりでなく、該酵素と等しい性質を
有する酵素を天然に生産可能であるか、または人工的に
生産可能なように改変された微生物もしくは動植物細胞
またはその培養物から単離精製される、該酵素と等しい
性質を有する酵素も包含される。好ましくはストレプト
ミセス(Streptomyces)属に属する放線菌由来のもの、
より好ましくはストレプトミセス・ラベンデュラエ(St
reptomyces lavendulae)に属する放線菌由来のもの、
特に好ましくは後記ストレプトミセス・ラベンデュラエ
REN−7(Streptomyces lavendulae REN-7)株由
来のものが挙げられる。
(g)の性質を有する。
ると、本発明の酵素の反応に好適なpHは4.0〜6.
0であり、至適反応pHは約4.5である。
と、本発明の酵素の安定pH範囲は7.0〜10.5で
ある。
活性を指標とすると、本発明の酵素の反応に好適な温度
は30〜70℃であり、至適反応温度は約50℃であ
る。
を指標とすると、本発明の酵素は約70℃まで安定であ
る。
を指標とすると、本発明の酵素は、カテコール、レゾル
シノール、ハイドロキノン、ピロガロール、クレゾー
ル、グアヤコール、p-フェニレンジアミン、p-トルイジ
ン、L-チロシン、L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニ
ン、L-アスコルビン酸を酸化する。
泳動(SDS−PAGE)によると、本発明の酵素の分
子量は、約73,000である。
は、後記ストレプトミセス・ラベンデュラエ REN−
7株から得られるラッカーゼが挙げられる。
アミノ酸配列は、Ala Pro Ala AlaAla Asp Gly Glu Leu
Thr Pro Tyr Ala Ala Pro Leu Thr Val(配列表配列番
号1)である。このようなラッカーゼの一例としても後
記ストレプトミセス・ラベンデュラエ REN−7株か
ら得られるラッカーゼが挙げられる。
ステイン塩酸塩、DL-ジチオスレイトール、アジ化ナト
リウム、コウジ酸によって阻害される。また、本酵素は
CuCl 2、ZnCl2、MgCl2、MnCl2、CaCl2、KCl、NaClのいず
れの金属塩によっても活性に大きな影響を受けない。こ
のようなラッカーゼの一例としても後記ストレプトミセ
ス・ラベンデュラエ REN−7株から得られるラッカ
ーゼが挙げられる。
得られ得る。ここでいう「放線菌から得られ得る」と
は、少なくとも放線菌から得ることができる(単離精製
することができる)ことを意味し、放線菌以外のものか
らは得ることができないことを意味しない。従って、放
線菌から得られるばかりでなく、他の微生物等からも得
られるラッカーゼもここでいう「放線菌から得られ得
る」ラッカーゼに含まれる。放線菌としては、好ましく
はストレプトミセス属に属する放線菌、より好ましくは
ストレプトミセス・ラベンデュラエに属する放線菌、特
に好ましくは後記ストレプトミセス・ラベンデュラエ
REN−7株が挙げられる。
な放線菌またはその培養物、あるいは該酵素を本来的に
生産可能であるか、もしくは人工的に生産可能なように
改変された微生物もしくは動植物細胞またはその培養物
から単離精製することにより得られる。以下、本発明の
ラッカーゼ生産微生物(ラッカーゼ生産菌株)を得る方
法の好ましい一実施態様を説明する。
を、グアヤコールやシリンガルダジン等のラッカーゼの
基質を添加した固形培地上にプレーティングして培養
し、基質の酸化により周辺が褐色または赤色に変化した
コロニーを選択する。次いで、得られた菌株を適当な液
体培地を用いて液体振とう培養し、培養物を得る。培養
物を濾紙にて濾過し、菌体と培養濾液に分離する。菌体
については、超音波破砕後の遠心上清を酵素粗試料と
し、濾液についてはそのままを酵素粗試料とし、シリン
ガルダジンを基質として活性の有無を調べることによ
り、ラッカーゼ生産菌株を見出す。
菌株としては、本発明者らにより京都市左京区の森林の
土壌より新たに分離されたREN−7株が例示される。
該菌株の菌学的性質は以下の通りである。
し、基底菌糸は分断しない。胞子のうは形成せず、分生
子は直状連鎖を示し、胞子表層は滑面を呈する。
0℃で14日間培養した時の肉眼的観察に基づく。
イルをMIDIのデータベースと照合したところ、相同率0.
518でストレプトミセス・ラベンデュラエ(Streptomyce
s lavendulae)が最も近縁な菌群であると示唆された。 16S rRNA遺伝子解析 REN−7株の16S rRNA遺伝子の部分塩基配列を解析
し、MicroSeqのデータベースと照合したところ、相同率
96.39%でストレプトミセス・ラベンデュラエ・エスエ
スピー・ラベンデュラエ(Streptomyces lavendulae ss
p. lavendulae)が最も近縁な菌群であるとの知見が得
られた。
株は、ストレプトミセス・ラベンデュラエに属すると結
論された。そこで、本発明者らは、REN−7株をスト
レプトミセス・ラベンデュラエ REN−7(Streptom
yces lavendulae REN-7)と命名した。ストレプトミセ
ス・ラベンデュラエ REN−7株の保存サンプルは、
通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(茨城県
つくば市東1丁目1番3号)に2000年9月8日付で
国内寄託され、受託番号として、生命研菌寄第1802
6号(FERM P−18026)を付されている。
培養し、得られる培養物からラッカーゼを採取すること
を特徴とするラッカーゼの製造方法を提供する。ラッカ
ーゼ生産微生物としては、好ましくはストレプトミセス
属に属する放線菌、より好ましくはストレプトミセス・
ラベンデュラエに属する放線菌、特に好ましくは上記ス
トレプトミセス・ラベンデュラエ REN−7株が挙げ
られる。以下、当該製造方法の一実施態様を説明する。
ッカーゼ生産株(微生物)を適当な液体培地中で培養す
る。培地は、該生産株の生育に必要な炭素源、無機窒素
源もしくは有機窒素源を含んでいることが好ましい。炭
素源としては、例えばグルコース、デキストラン、可溶
性デンプン、ショ糖等が、無機窒素源もしくは有機窒素
源としては、例えばアンモニウム塩類、硝酸塩類、アミ
ノ酸、コーンスティープ・リカー、ペプトン、カゼイ
ン、肉エキス、大豆粕、バレイショ抽出液等が例示され
る。また所望により他の栄養素〔無機塩(例えば塩化カ
ルシウム、リン酸水素二ナトリウム、塩化マグネシウム
等)、ビタミン類、抗生物質(例えばテトラサイクリ
ン、ネオマイシン、アンピシリン、カナマイシン等)
等〕を含んでいてもよい。
分野において知られている方法により行われる。培養条
件、例えば温度、培地のpHおよび培養時間は、本発明
のラッカーゼが大量に生産されるように適宜選択するこ
とができる。
状菌である場合、例えば上記栄養源を含有する液体培地
が適当である。好ましくは、pHが5〜8である培地で
ある。培養は必要により、通気、攪拌を行いながら、通
常15〜40℃、好ましくは20〜35℃で約24〜1
44時間行なわれる。
たは遠心分離して菌体(微生物)と培養上清(濾液)を
分離する。本発明のラッカーゼは、該酵素活性が存在す
るいずれかの画分、すなわち該培養上清または該菌体の
抽出液から、一般に酵素タンパク質の単離精製に使用さ
れている分離技術を適宜組み合わせることによって精製
することができる。具体的には、例えば、塩析、溶媒沈
殿法等の溶解度の差を利用する方法、透析、限外濾過、
ゲル濾過、PAGE、SDS−PAGE等の分子量の差
を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィー、ヒド
ロキシルアパタイトクロマトグラフィー等の荷電を利用
する方法、アフィニティークロマトグラフィー等の特異
的親和性を利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフ
ィー等の疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動等
の等電点の差を利用する方法が挙げられる。
ーゼは、原核生物の一種であり、培養も比較的容易で、
遺伝子組換え操作における宿主としても使用される放線
菌由来であるので、従来の酵素とは異なり遺伝子操作等
により大量生産することが可能である。また、該酵素
は、約70℃以下の温度で安定であるように耐熱性にも
優れ、さらにポリフェノール化合物(カテコール等)の
みならず、モノフェノール化合物(クレゾール等)、芳
香族アミン化合物(p-フェニレンジアミン等)、L-アス
コルビン酸等、様々な化合物を酸化可能であるように基
質特異性も幅広いので、毒性の強いフェノール性化合物
や芳香族アミンを含む廃液の処理、パルプ製造処理等に
おけるリグニンの除去、人工漆の製造、コンクリート混
和剤の合成、ココア、コーヒーおよび紅茶の褐変処理、
化粧品用メラニン製造、食品のゲル化剤、臨床検査試
薬、漂白剤としての利用等、広範な用途に好適に使用す
ることができる。なお、これらの用途によっては、精製
した当該ラッカーゼばかりでなく、当該ラッカーゼを当
該分野で公知の手段を用いて担体等に固定化したもの
や、当該ラッカーゼを生産し得る微生物等の培養物また
は細胞破砕液等であって、当該ラッカーゼを含有するも
の等も使用することができる。
説明するが、これらは単なる例示であって何ら本発明の
範囲を限定するものではない。なお、実施例中、ラッカ
ーゼ活性は、下記の比色法または酸素電極法のいずれか
で測定した。
0mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5))を30℃
で10分間保持して温度を均一にした後、適当に希釈し
た酵素液(20〜100μl)を加えて反応を開始し
た。活性は、反応の進行に伴う酸素消費量の初速度より
求めた。溶存酸素量の測定は、クラーク型酸素電極(YS
I model 5300 biological oxygen monitor)を用いた。
30℃で空気と平衡状態にある水中の溶存酸素量は22
8μMとした。以上の条件で1分間に1μmolの酸素
を消費する酵素活性を1単位とした。
0mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5))を30℃
で10分間保持して温度を均一にした後、適当に希釈し
た酵素液(20〜100μl)を加え、30分間反応さ
せた。活性は、反応の進行に伴う基質カテコールの酸化
により生成するo-ベンゾキノンの475nmでの吸光度
の増加より求めた。以上の条件で1分間に基質溶液1l
あたり吸光度を0.001増加させる酵素活性を1単位
とした。
に示す組成からなる改良ペプトン酵母エキス培地に、1
0nMの濃度のシリンガルダジンまたは0.1mMの濃
度のグアヤコールを加えた寒天培地を用いて、30℃で
2〜3日間希釈平板培養を行った。約100枚のプレー
トより、シリンガルダジンまたはグアヤコールの酸化に
よりコロニーの周辺を褐色または赤色に変化させた菌3
8株を分離した。
を用い、太口試験管にて30℃で3日間液体振とう培養
を行った。該培養液を濾過して、菌体と濾液に分離し
た。菌体については、超音波破砕後の遠心上清を酵素粗
試料とし、濾液についてはそのまま酵素粗試料とし、シ
リンガルダジンを基質として、ラッカーゼ活性を測定し
た。その結果、REN−7株と命名した分離株の菌体破
砕上清中に、唯一ラッカーゼ活性を見出した。そのた
め、REN−7株が菌体内にラッカーゼを生産している
と判断し、以後、本菌株を用いて実験を行った。
精製 (1)REN−7株の培養 REN−7株を表4の組成からなる酵母エキス−麦芽エ
キス寒天培地プレート上で、30℃、3日間培養した。
これを表3に示す組成からなる改良ペプトン酵母エキス
培地100mlを含む500ml容坂口フラスコに植菌
し、30℃、3日間振とう培養した。
た。得られた菌体(湿重量200g)に50mMリン酸
ナトリウム緩衝液(pH7.0)を加え、超音波菌体破
砕器にて菌体を破砕した。不溶物を遠心分離にて取り除
いた後、得られた上清850mlを70℃、30分間熱
処理した。さらに析出した不溶物を遠心分離にて取り除
いた後、得られた上清820mlに硫酸アンモニウムを
加え塩析を行い、20〜80%飽和画分を回収した。塩
析により得た酵素沈殿物を50mMリン酸ナトリウム緩
衝液(pH7.0)に溶解して一昼夜透析した。透析後
の酵素液をDEAE−セルロース(和光純薬(株)製)
カラムクロマトグラフィーにかけ、0〜500mM塩化
ナトリウムの直線濃度勾配で溶出して、ラッカーゼ活性
画分を回収した。得られた酵素溶液を塩析し、0.1m
M塩化カルシウムを含む1mMリン酸ナトリウム緩衝液
(pH6.0)にて透析した。透析後の酵素液をヒドロ
キシアパタイト(和光純薬(株)製)カラムクロマトグ
ラフィーにかけ、1〜500mMリン酸ナトリウムの直
線濃度勾配で溶出して、ラッカーゼ活性画分を回収し
た。得られた酵素溶液を限外濾過にて濃縮した後、50
mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)で平衡化し
たSephadex G-150(アマシャムファルマシア(株)製)
を用いたゲル濾過カラムクロマトグラフィーにかけるこ
とにより精製ラッカーゼを得た。
〜7.0の種々の条件下で、上記酸素電極法に準じて活
性を測定した。各pHにおける酵素の相対活性を図1に
示す。該酵素の至適反応pHは約4.5であった。
で20時間保持した後、上記比色法に準じて活性を測定
した。各pHにおける残存活性を図2に示す。該酵素の
安定pH範囲は30℃で7.0〜10.5であった。
色法に準じて測定した。各温度における相対活性を図3
に示す。該酵素の至適反応温度は約50℃であった。
0)中で20〜95℃の種々の温度にて10分間保持し
た後、上記酵素電極法に準じて活性を測定した。各温度
における残存活性を図4に示す。該酵素はpH7.0で
10分間保持した場合、70℃まで安定であった。
ろ、分子量は約73,000であった。
列を決定したところ、該アミノ酸配列は、Ala Pro Ala
Ala Ala Asp Gly Glu Leu Thr Pro Tyr Ala Ala Pro Le
u Thr Val(配列表配列番号1)であった。
ロシンは1mMとした)で含む溶液中での酵素活性を、
上記酸素電極法に準じて測定した。活性は、カテコール
に対する値を100とした相対値で表した。各基質に対
する相対活性値を表5に示す。該酵素は、今回用いた基
質の中でピロガロールを最もよく酸化した。また、該酵
素は、ポリフェノール化合物(カテコール、レゾルシノ
ール、ハイドロキノン、ピロガロール、L-3,4-ジヒドロ
キシフェニルアラニン)のみならず、モノフェノール化
合物(クレゾール、グアヤコール、L-チロシン)、芳香
族アミン化合物(p-フェニレンジアミン、p-トルイジ
ン)、L-アスコルビン酸等、様々な化合物を幅広く酸化
することがわかった。
mMを含む溶液中での酵素活性を、上記比色法に準じて
測定した。各阻害剤存在下での残存活性を表6に示す。
該酵素の活性は、1mMの濃度のL-システイン塩酸塩、
DL-ジチオスレイトール、アジ化ナトリウムによって完
全に阻害された。また、1mMの濃度のコウジ酸によっ
て70%程度阻害された。
液中での酵素活性を、上記比色法に準じて測定した。各
金属塩存在下での残存活性を表7に示す。該酵素の活性
は、CuCl2、ZnCl2、MgCl2、MnCl2、CaCl2、KCl、NaClの
いずれの金属塩によっても大きな影響を受けないことが
わかった。
である放線菌由来であるので、遺伝子操作等により大量
生産することが可能であるばかりでなく、耐熱性にも優
れ、さらに基質特異性も幅広いので、広範な用途に好適
に使用することができる。
性を示す図である。活性は最大活性値を100とした相
対値で表している。(○)は酢酸ナトリウム緩衝液、
(●)はリン酸ナトリウム緩衝液を示す。
定性を示す図である。(○)は酢酸ナトリウム緩衝液、
(●)はリン酸ナトリウム緩衝液、(□)はトリス−塩
酸緩衝液、(▲)はグリシン−NaOH緩衝液を示す。
性を示す図である。活性は最大活性値を100とした相
対値で表している。
定性を示す図である。
Claims (11)
- 【請求項1】 放線菌由来のラッカーゼ。
- 【請求項2】 放線菌が、ストレプトミセス属に属する
ものである請求項1記載のラッカーゼ。 - 【請求項3】 ストレプトミセス属に属する放線菌が、
ストレプトミセス・ラベンデュラエに属するものである
請求項2記載のラッカーゼ。 - 【請求項4】 ストレプトミセス・ラベンデュラエに属
する放線菌が、ストレプトミセス・ラベンデュラエ R
EN−7(FERM P−18026)である請求項3
記載のラッカーゼ。 - 【請求項5】 下記の性質を有するラッカーゼ: (a)作用:フェノール性化合物を酸化する (b)至適反応pH:約4.5 (c)安定pH範囲:7.0〜10.5 (d)至適反応温度:約50℃ (e)熱安定性:約70℃以下で安定 (f)基質特異性:カテコール、レゾルシノール、ハイ
ドロキノン、ピロガロール、クレゾール、グアヤコー
ル、p-フェニレンジアミン、p-トルイジン、L-チロシ
ン、L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、L-アスコル
ビン酸を酸化する (g)分子量:約73,000(SDS−PAGE)。 - 【請求項6】 アミノ末端のアミノ酸配列がAla Pro Al
a Ala Ala Asp GlyGlu Leu Thr Pro Tyr Ala Ala Pro L
eu Thr Val(配列表配列番号1)である請求項5記載の
ラッカーゼ。 - 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載のラッカ
ーゼを生産し得るストレプトミセス属に属する放線菌を
培地中で培養し、得られる培養物から該ラッカーゼを採
取することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載
のラッカーゼの製造方法。 - 【請求項8】 ストレプトミセス属に属する放線菌が、
ストレプトミセス・ラベンデュラエに属するものである
請求項7記載のラッカーゼの製造方法。 - 【請求項9】 ストレプトミセス・ラベンデュラエに属
する放線菌が、ストレプトミセス・ラベンデュラエ R
EN−7(FERM P−18026)である請求項8
記載のラッカーゼの製造方法。 - 【請求項10】 請求項1〜6のいずれかに記載のラッ
カーゼを生産し得るストレプトミセス・ラベンデュラ
エ。 - 【請求項11】 ストレプトミセス・ラベンデュラエ
REN−7(FERM P−18026)。
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JPN6010052919, J Ferment Bioeng, 1993, Vol.76,No.5, p.345−355 * |
Cited By (3)
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---|---|---|---|---|
CN104130983A (zh) * | 2014-06-30 | 2014-11-05 | 浙江工业大学 | 冬虫夏草中国被毛孢漆酶、编码基因及其应用 |
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