JP2002168731A - 光ファイバのモード複屈折率の測定方法 - Google Patents

光ファイバのモード複屈折率の測定方法

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JP2002168731A JP2000363075A JP2000363075A JP2002168731A JP 2002168731 A JP2002168731 A JP 2002168731A JP 2000363075 A JP2000363075 A JP 2000363075A JP 2000363075 A JP2000363075 A JP 2000363075A JP 2002168731 A JP2002168731 A JP 2002168731A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複屈折光ファイバと非複屈折光ファイバの両
方のモード復屈折率を測定することができ、精度の高い
光ファイバのモード復屈折率の測定方法を提供する。 【解決手段】 コアとその外周上に設けられたクラッド
とを備えた光ファイバにグレーティング部を形成し、そ
の挿入損失の波長依存性と挿入損失の偏波依存性の波長
依存性を測定し、該測定値を解析して前記光ファイバの
モード復屈折率を算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光情報通信分野で
用いられる伝送用ファイバ、光デバイス用光ファイバな
どの光ファイバのモード複屈折率の測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】モード復屈折率は、光ファイバを伝搬す
るふたつの偏波モード間の伝搬定数差を波数で割ったも
のである。モード複屈折率は、PANDAファイバなど
の複屈折光ファイバ(偏波保持光ファイバともいう)の
クロストークを決定するパラメータのひとつである。ま
た、通常の1.3μm用シングルモード光ファイバなど
の非複屈折光ファイバの伝送特性を決定づけるパラメー
タのひとつでもある。
【0003】また、光ファイバグレーティング、光ファ
イバカプラなどのファイバ型光デバイスにおいては、用
いる光ファイバ(材料ファイバ)のモード複屈折率が、
これらの光デバイスの光学特性、特にPDL(挿入損失
の偏波依存性)に大きく影響する。PDLは光ファイバ
を伝搬する光(導波モード)を構成するふたつの偏波成
分間の挿入損失の差である。具体的には、例えば光ファ
イバグレーティングの挿入損失の波長依存性を測定する
と、特定の波長が減衰した挿入損失ピークが得られる
が、材料光ファイバのモード復屈折率によって、挿入損
失のピークの中心波長や挿入損失ピークの最大値(阻止
率)が偏波成分によって異なる値となり、所望の値から
ずれてしまう。また、光ファイバカプラは、材料光ファ
イバのモード復屈折率によって、各ポートに結合する光
の波長の中心波長が偏波成分によって異なる値となり、
所望の値からずれてしまうという影響がある。そして、
その結果、これらの光デバイスのPDLが劣化する。
【0004】従来実施されている光ファイバのモード複
屈折率の測定方法としては、以下のようなものが挙げら
れる。 (1)異方性軸に対して45度の傾きを持った直線偏光
を入射した光ファイバに外乱を与え、外乱の位置と2偏
光間の干渉の関係からビート長を求め、このビート長か
らモード復屈折率を求める方法。これには、側圧による
光弾性効果を利用し、偏波モード間結合を利用する方法
[1]と、磁界によるファラデー効果による偏波モード間
結合を利用する方法[2]が知られている。 (2)異方性軸に対して45度の傾きを持った直線偏光
を入射した光ファイバをカットバックして光パワーを測
定し、その明暗の周期をビート長として直接測定し、こ
のビート長からモード復屈折率を求める方法[3]。 (3)光ファイバの偏波モード分散(以下、PMDと略
記する)を測定し、この値からモード複屈折率を見積も
る方法。 (参考文献: [1]高田和正 他、OQE85−12(1985)
「周期的側圧測定法による複屈折ファイバのモード複屈
折の測定」 [2]J. Noda, et al., Elctoron. Lett., v.20, n.2
2, pp 906-907 (1984), "Dispersion of verdetconstan
t in stress-birefringent silica fibre" [3]大越孝敬 他、「光ファイバ」 オーム社,pp 3
07-308 (1983),”単一偏波ファイバの伝搬伝数差Δ
βの測定”)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の従来の測定方法のうち、前記(1)、(2)に示した
方法は、複屈折光ファイバのモード復屈折率を測定する
ことはできるが、非複屈折光ファイバのモード復屈折率
を測定することはできなかった。すなわち、これらの方
法においては、測定中、ビート長以上の長さの光ファイ
バを外乱を与えない状態で、好ましくはまっすぐに維持
しなければならない。そのため、ビート長が数mmのオ
ーダーの複屈折ファイバについては測定可能であるが、
ビート長が通常数km程度の非複屈折光ファイバの測定
は実質上不可能であった。
【0006】また、前記(3)に示した測定方法ではP
MDを求めるが、PMDは群遅延差であって、モード複
屈折率、すなわち位相遅延差とは本質的に異なる。ま
た、光ファイバグレーティングや光ファイバカプラなど
の光デバイスのデバイス長はおよそ1mm〜数10mm
程度である。このように短い光ファイバのPDMは非常
に小さい値となるため、PMDを精度良く測定すること
は大変困難であった。
【0007】本発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、複屈折光ファイバと非複屈折光ファイバの両方のモ
ード復屈折率を測定することができる測定方法を提供す
ることを課題とする。また、精度の高い光ファイバのモ
ード復屈折率の測定方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明においては、以下のような解決手段を提案す
る。第1の発明は、コアとその外周上に設けられたクラ
ッドとを備えた光ファイバにグレーティング部を形成
し、その挿入損失の波長依存性と挿入損失の偏波依存性
の波長依存性を測定し、該測定値を解析して前記光ファ
イバのモード復屈折率を算出することを特徴とする光フ
ァイバのモード復屈折率の測定方法である。第2の発明
は、コアとその外周上に設けられたクラッドとを備えた
光ファイバにグレーティング部を形成し、その挿入損失
の波長依存性を測定し、該測定値と以下の式(1)
【0009】
【数4】
【0010】(式中、Lossは波長λのときの挿入損
失の値、ΔLは挿入損失ピークの阻止率、λpeakは挿入
損失ピークの中心波長、σは挿入損失ピークの帯域半幅
を示す。)から、ΔL、λpeak、σの値を求め、前記グ
レーティング部の挿入損失の偏波依存性の波長依存性を
測定し、該測定値と以下の式(2)
【0011】
【数5】
【0012】(式中、PDLは波長λのときの挿入損失
の偏波依存性の値、δλは2つの偏波成分間の挿入損失
ピークの中心波長の差を示す。)から、δλを求め、以
下の式(3)
【0013】
【数6】
【0014】(式中、Bはモード複屈折率、Λはグレー
ティング部のグレーティング周期)から、前記光ファイ
バのモード復屈折率を算出することを特徴とする光ファ
イバのモード復屈折率の測定方法である。第3の発明
は、前記第1または第2の発明の係る測定方法におい
て、光ファイバの長さ方向にそって、少なくともコアの
一部またはクラッドの一部の屈折率が所定の周期で変動
したグレーティング部を形成するにおいて、当該グレー
ティング部に、前記屈折率の変動に起因する偏波依存性
が導入されないようにすることを特徴とする光ファイバ
のモード復屈折率の測定方法である。第4の発明は、前
記第1〜第3の発明に係るいずれかひとつの測定方法に
おいて、少なくともコアの一部またはクラッドの一部が
特定波長の光の照射によって屈折率が上昇する材料から
なる石英系光ファイバの側面から、該光ファイバの長さ
方向にそって所定の周期で前記特定波長の光を照射し、
該照射部分の屈折率を上昇させることによってグレーテ
ィング部を形成することを特徴とする光ファイバのモー
ド復屈折率の測定方法である。第5の発明は、前記第4
の発明に係る測定方法において、前記照射部分におい
て、光ファイバの円周方向全体から均等に光を照射する
ことを特徴とするモード復屈折率の測定方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の光ファイバのモード復屈
折率の測定方法においては、測定対象の光ファイバにグ
レーティング部を形成し、その挿入損失の波長依存性
と、PDL(挿入損失の偏波依存性)の波長依存性とを
測定し、これらの結果を解析してモード複屈折率を求め
ることを特徴とする。PDLは、通常、伝搬定数差が最
も大きい、すなわち、モード復屈折率が最も大きくなる
ふたつの偏波成分間の挿入損失の大きさの差とされる。
まず、グレーティング部(以下、グレーティング部と略
記する)の製造方法の一例について説明する。この方法
はフォトリフラクティブ効果を利用したものである。フ
ォトリフラクティブ効果とは、特定の石英系ガラスに特
定波長の光を照射すると屈折率が上昇する現象のこと
で、光デバイスの場合は、主にゲルマニウム添加石英ガ
ラスに波長240nm付近の紫外光を照射すると、屈折
率が上昇する現象を利用する。
【0016】まず、コアとその外周上に設けられたクラ
ッドからなり、コアがゲルマニウム添加石英ガラス、ク
ラッドが純粋な石英ガラスなどからなる石英系光ファイ
バ(材料光ファイバ)を用意する。なお、測定対象とす
る光ファイバは種々の屈折率分布を備えたものを用いる
ことができるが、少なくともコアの一部またはクラッド
の一部がゲルマニウム添加石英ガラスからなる部分が設
けられているものを用いると好ましい。さらに好ましく
はこの光ファイバの中心付近にゲルマニウム添加石英ガ
ラスからなる部分が設けられているものを用いると好ま
しい。ついで、必要に応じて、紫外光への感受性を高め
るために水素含浸処理を行う。具体的には、例えば20
〜60℃、100気圧の水素ガス雰囲気中に7〜14日
間、光ファイバを暴露する。なお、いわゆる高光感受性
の光ファイバを用いる場合はこの処理は不要である。つ
いで、光ファイバの外側(クラッドの上)にこの光ファ
イバを保護するためのプラスチックからなる被覆層が設
けられている場合は、グレーティング部を形成する部分
について、この被覆層を除去する。なお、被覆層が例え
ば紫外光を透過する紫外光透過樹脂からなる場合は被覆
層を除去する必要はない。
【0017】そして、図1に示したように光ファイバの
側面から、光ファイバの長さ方向にそって所定の周期で
紫外光を照射すると、ゲルマニウム添加石英ガラスから
なる部分の、紫外光の照射部分の屈折率が上昇する。そ
の結果、光ファイバの長さ方向にそって、少なくともコ
アの一部またはクラッドの一部の屈折率が所定の周期で
変動しているグレーティング部が得られる。
【0018】このとき、前記照射部分については、光フ
ァイバの円周方向の全体に均等に光を照射し、光ファイ
バの断面において、屈折率の分布や複屈折が生じないよ
うにすると好ましい。その結果、照射部分、すなわち屈
折率上昇部に導入される屈折率の変動(上昇)は、偏波
依存性をもたないものとなる。例えば、図1に示したよ
うに、光ファイバの側面に、ひとつの方向から光を照射
するにおいて、光ファイバを回転させながら、前記照射
部分の光ファイバの円周全体に光を均等に照射する方法
などを例示することができる。
【0019】この屈折率の変動の周期をグレーティング
周期という。なお、グレーティング周期を比較的長くす
ることによって、コア内を入射方向と同方向に伝搬する
モードをこのモードと並進する(同方向に伝搬する)ク
ラッドモードと結合させ、減衰(損失)させることがで
きる。本発明においては、グレーティング部がこのよう
な特性を持つように設計すると好ましい。そして、波長
1550nm付近を使用波長帯とする場合は、例えばこ
の波長帯に上述のσの値が10nm程度の損失特性が得
られるようにすると好ましい。
【0020】例えば、コア径8μm、コア−クラッド間
の比屈折率差が0.4%のステップ型の屈折率分布をも
つシングルモード光ファイバにおいては、以下のような
設計条件によって上述のような好ましい特性が得られ
る。 設計例1:グレーティング周期498μm、グレーティ
ング数84、グレーティング長約42mm 設計例2:グレーティング周期438μm、グレーティ
ング数104、グレーティング長約46mm 設計例3:グレーティング周期380μm、グレーティ
ング数135、グレーティング長約52mm また、コア径5.6μm、コア−クラッド間の比屈折率
差が1.0%の高比屈折率型で、ステップ型の屈折率分
布をもつシングルモード光ファイバにおいては、以下の
ような設計条件によって、上述のような特性が得られ
る。 設計例4:グレーティング周期197μm、グレーティ
ング数77、グレーティング長約16mm 設計例5:グレーティング周期187μm、グレーティ
ング数83、グレーティング長約16mm 設計例6:グレーティング周期176μm、グレーティ
ング数92、グレーティング長約17mm
【0021】なお、PDLの測定精度を向上させるため
には、測定誤差よりもPDLの測定値が大きくなるよう
にする必要がある。そのためには、後述する式(4)
(前記式(1))において、σの値を小さくするか、Δ
Lを大きくする必要がある。一般に、上述のようにコア
内を入射方向と同方向に伝搬するモードとこのモードと
並進するクラッドモードとを結合させる特性を備えたグ
レーティング部においては、グレーティング長を長くす
るとσが小さくなり、ΔLが多くなる。そして、測定精
度を良好にするためには、σが15nm程度以下、ΔL
が4dB程度以上であると好ましい。そのため、グレー
ティング長などの条件はこれらの数値範囲を満足する特
性が得られるように設計すると好ましい。
【0022】紫外光を照射するにおいて、光源には、例
えばKrFエキシマレーザなどが用いられる。この場
合、紫外光の波長は248nm付近である。また、紫外
光を周期的に照射する方法としては、強度マスクを用い
る方法、レンズなどを用いて光ファイバの一点に紫外光
を集光させた後、この集光位置を光ファイバの長さ方向
に移動させて同様の照射操作を繰り返す方法(ステップ
バイステップ法)などの公知の方法を用いることができ
る。
【0023】ついで、好ましくは光ファイバ中に残った
水素ガスを除去する脱水素処理を行う。具体的には、例
えば、光ファイバを100〜150℃大気雰囲気中に1
2〜24時間暴露することによって行う。最後に、必要
に応じてグレーティング部の補強を行う。例えば、ガラ
スやセラミックスなどからなる補強台に接着剤を用いて
グレーティング部を固定する。
【0024】なお、グレーティング部の製造には、この
他、光ファイバを、その長さ方向にそって所定の周期で
加熱して、実効屈折率を変動させる方法を用いることも
できる。この場合も光ファイバの円周方向全体から熱を
加えることによって、屈折率変動に起因する複屈折、す
なわち偏波依存性が導入されないようにすると好まし
い。この方法の場合は加熱手段として、CO2レーザ、
アーク放電などを用いることができる。
【0025】このようにしてグレーティング部を形成
し、以下のようにしてその光学特性の評価と解析を行
う。上述のように測定するのは挿入損失の波長依存性と
PDLの波長依存性のふたつである。いずれにおいて
も、スペクトラムアナライザ、光パワーメータなどを用
いた公知の方法によって、測定波長λを変化させながら
測定波長毎の挿入損失、あるいはPDLを順次測定する
ことによって求めることができる。挿入損失の測定方法
としては、例えば以下のような方法を例示することがで
きる。すなわち、図2に示したような測定系を構成し、
白色光よりも狭帯域の波長成分を取り出し、被測定光デ
バイスに入射し、出射する光を高感度の光パワーメータ
等で測定する。PDLの測定方法としては、例えば以下
のような全偏波測定方式を例示することができる。すな
わち、図3に示したような測定系を構成し、被測定光デ
バイスにあらゆる偏光状態の光を入射し、透過光の光パ
ワーを測定して、その結果の最大値と最小値の比を演算
してPDLを求める。
【0026】まず、グレーティング周期が一定のグレー
ティング部の挿入損失Lossと波長との関係は、無偏
光(あるいは全偏光)に対して以下の式(4)のようなS
inc型の関数で近似できることが知られている。な
お、前記式(1)はこの式(4)の関係を簡単に示した
ものである。
【0027】
【数7】
【0028】そして、測定波長とこの測定波長のときの
挿入損失の測定値を、複数組、それぞれこの式(4)
(すなわち、前記式(1))に代入することによりフィ
ッティングし、これらの複数組の測定波長と挿入損失と
の関係を同時に満足するΔL、λpeak、σを求める。図
4は、挿入損失の波長依存性の一例を示したグラフであ
って、中心のピークが挿入損失ピークである。グラフ中
には、挿入損失の波長依存性の測定値の曲線(測定結
果)と、これらの測定値を前記式(4)(すなわち式
(1))にフィッティングして求めたΔL、λpeak、σ
の数値をそれぞれ代入した式(4)を示した曲線(フィ
ッティングの結果)が示されている。これらの曲線は非
常によく一致している。
【0029】一方、上述のように光ファイバの円周方向
の全体(円周上の全体)に均等に光を照射してグレーテ
ィング部を製造すると、屈折率の変動に起因する偏波依
存性を持たないグレーティング部が得られる。したがっ
て、このグレーティング部のPDLの原因は、光ファイ
バを伝搬する導波モードを構成する偏波成分間の伝搬定
数差、もしくは偏波成分間の実効屈折率差(すなわち、
モード複屈折率)のみである。また、長周期型のグレー
ティング部は、原理上、偏波成分間の伝搬定数の差がわ
ずかであれば、λpeakのみが変動し、ΔLとσは変化し
ない。なお、通常の複屈折光ファイバまたは非複屈折光
ファイバであれば、この条件を満足することができる。
【0030】ここで、偏波成分間の伝搬定数差が最大に
なる、すなわちモード復屈折率が最大になるふたつの偏
波成分をx偏波成分、y偏波成分とする。上述のように
PDLは通常これらの偏波成分間の差である。そして、
これらの偏波成分の挿入損失の波長依存性において、そ
れぞれの挿入損失ピークの中心波長をλpeak(x)、λpea
k(y)とする。ここで、λpeak(x)とλpeak(y)の差をδλ
とすると、λpeak(x)とλpeak(y)はそれぞれ以下の式
(5)で表される。
【0031】
【数8】
【0032】そして、PDLは以下の式(6)の第1列
目に示されているように、x偏波成分の挿入損失Los
(x)とy偏波成分の挿入損失Loss(y)の差である。
そして、この第1列目の式は、前記式(4)より、第2
列目の式のように表すことができ、さらに、前記式
(5)より、第3列目の式のように表すことができる。
前記式(2)はこの式(6)の関係を簡単に示したもの
である。
【0033】
【数9】
【0034】そして、測定波長とこの測定波長のときの
PDLの測定値を、複数組、それぞれこの式(6)(す
なわち、前記式(2))に代入することによりフィッテ
ィングし、これら複数組の測定波長とPDLとの関係を
同時に満足するδλを求める。図5は、PDLの波長依
存性の一例を示したグラフである。グラフ中にはPDL
の波長依存性の測定値の曲線(測定結果)と、これらの
測定値を前記式(6)(すなわち式(2))にフィッテ
ィングして求めたδλの数値を代入した式(6)を示し
た曲線(フィッティングの結果)が示されている。PD
Lの測定値は小さいため、実測値のプロットがやや変動
しているが、これらの曲線はほぼ一致している。
【0035】また、グレーティング部のグレーティング
周期Λと、光ファイバの導波モードとクラッドモード
(クラッドを伝搬するモード)の実効屈折率をそれぞれ
e1、neNとすると、これらの関係は以下の式(7)で
表される。
【0036】
【数10】
【0037】また、上述のようにδλはλpeak(x)とλp
eak(y)の差であって、以下の式(8)の第1列目の様に
表される。そして、前記式(7)より、この第1列目の
式はこの式(8)の第2列目の式のように表される。
【0038】
【数11】
【0039】ここで、通常の光ファイバの断面におい
て、この光ファイバの非円化によって生じる最も長いコ
アの外径と最も短いコアの外径の差は0.0〜0.5%
程度である。また、クラッドにおける同様の差は0.5
〜1.0%程度である。そのため、クラッドモードのモ
ード復屈折率neN(x)−neN(y)は、導波モードのモード
復屈折率nel(x)−ne;(y) に対して十分に小さくな
る。そこで、前記式(7)は、以下の式(9)のように
近似することができる。
【0040】
【数12】
【0041】そして、この式(9)を変形すると、モー
ド復屈折率Bは以下の式(10)のように表される。前
記式(3)はこの式(10)の関係を簡単に示したもの
である。
【0042】
【数13】
【0043】グレーティング部のグレーティング周期Λ
はグレーティング部の製造時に設定できるため、既知の
値である。また、δλは上述のように、グレーティング
部の挿入損失の波長依存性の測定値と、PDLの波長依
存性の測定値から求めることができる。したがって、こ
の式(10)(すなわち前記式(3))にΛの値とδλ
の値を代入することによって、モード復屈折率を算出す
ることができる。
【0044】
【実施例】以下、本発明を実施例を示して詳しく説明す
る。コアの中心がゲルマニウム添加石英ガラスからなる
フジクラ製分散シフト光ファイバを用意し、KrFエキ
シマレーザを用いて波長248nmの光を照射してグレ
ーティング部を形成した。なお、グレーティング周期は
285.0μm、グレーティング数は80(グレーティ
ング長22.8mm)とした。このグレーティング部に
ついて挿入損失の波長依存性を測定し、また、この測定
値を用いて前記式(1)のフィッティングを行ったとこ
ろ、図4に示したグラフと同様の結果が得られ、測定値
とフィッティングの結果がよく一致した。このとき求め
たλpeak、σ、ΔLの値は以下のようになった。
【0045】
【数14】
【0046】また、このグレーティング部についてPD
Lの波長依存性を測定し、前記式(2)のフィッティン
グを行ったところ、図5に示したグラフと同様の結果が
得られ、測定値とフィッティングの結果がほぼ一致し
た。このとき求めたδλの値は以下のようになった。
【0047】
【数15】
【0048】そして、このようにして求めた値を上述の
グレーティング周期の値を前記式(3)に代入すると以
下のようになり、モード復屈折率を求めることができ
た。
【0049】
【数16】
【0050】また、同様の方法で同時にグレーティング
部を形成した同一ロットの光ファイバについて、挿入損
失の波長依存性の測定値とPDLの波長依存性の測定値
からモード復屈折率を算出したところ、3.72×10
-7〜3.84×10-7の範囲の値が得られ、非常に高精
度(10-8)での測定ができた。したがって、本発明に
係る測定方法によって、精密、かつ再現性がよく、モー
ド復屈折率を測定できることが明らかとなった。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように本発明においては、
光ファイバのグレーティング部を形成し、その挿入損失
の波長依存性とPDLの波長依存性を測定することによ
って、精密にかつ再現性よくモード復屈折率を測定する
ことができる。また、複屈折ファイバと非複屈折光ファ
イバのいずれについてもモード復屈折率の測定が可能で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 グレーティング部の形成方法の一例を示した
説明図である。
【図2】 挿入損失の測定方法の一例を示した説明図で
ある。
【図3】 PDLの測定方法の一例を示した説明図であ
る。
【図4】 挿入損失の波長依存性の一例を示したグラフ
である。
【図5】 PDLの波長依存性の一例を示したグラフで
ある。
【符号の説明】
λpeak…挿入損失ピークの中心波長、ΔL…挿入損失ピ
ークの阻止率、σ…挿入損失ピークの帯域半幅。
フロントページの続き (72)発明者 西出 研二 千葉県佐倉市六崎1440番地 株式会社フジ クラ佐倉事業所内 (72)発明者 和田 朗 千葉県佐倉市六崎1440番地 株式会社フジ クラ佐倉事業所内 Fターム(参考) 2G059 AA02 BB15 EE02 GG01 GG04 KK01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コアとその外周上に設けられたクラッド
    とを備えた光ファイバにグレーティング部を形成し、そ
    の挿入損失の波長依存性と挿入損失の偏波依存性の波長
    依存性を測定し、該測定値を解析して前記光ファイバの
    モード復屈折率を算出することを特徴とする光ファイバ
    のモード復屈折率の測定方法。
  2. 【請求項2】 コアとその外周上に設けられたクラッド
    とを備えた光ファイバにグレーティング部を形成し、そ
    の挿入損失の波長依存性を測定し、該測定値と以下の式
    (1) 【数1】 (式中、Lossは波長λのときの挿入損失の値、ΔL
    は挿入損失ピークの阻止率、λpeakは挿入損失ピークの
    中心波長、σは挿入損失ピークの帯域半幅を示す。)か
    ら、ΔL、λpeak、σの値を求め、 前記グレーティング部の挿入損失の偏波依存性の波長依
    存性を測定し、該測定値と以下の式(2) 【数2】 (式中、PDLは波長λのときの挿入損失の偏波依存性
    の値、δλは2つの偏波成分間の挿入損失ピークの中心
    波長の差を示す。)から、δλを求め、 以下の式(3) 【数3】 (式中、Bはモード複屈折率、Λはグレーティング部の
    グレーティング周期)から、前記光ファイバのモード復
    屈折率を算出することを特徴とする光ファイバのモード
    復屈折率の測定方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の光ファイバの
    モード復屈折率の測定方法において、光ファイバの長さ
    方向にそって、少なくともコアの一部またはクラッド一
    部の屈折率が所定の周期で変動しているグレーティング
    部を形成するにおいて、当該グレーティング部に、前記
    屈折率の変動に起因する偏波依存性が導入されないよう
    にすることを特徴とする光ファイバのモード復屈折率の
    測定方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項に記載の光
    ファイバのモード復屈折率の測定方法において、少なく
    ともコアの一部またはクラッドの一部が特定波長の光の
    照射によって屈折率が上昇する材料からなる石英系光フ
    ァイバの側面から、該光ファイバの長さ方向にそって所
    定の周期で前記特定波長の光を照射し、該照射部分の屈
    折率を上昇させることによってグレーティング部を形成
    することを特徴とする光ファイバのモード復屈折率の測
    定方法。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の光ファイバのモード復
    屈折率の測定方法において、前記照射部分において、光
    ファイバの円周方向全体から均等に光を照射することを
    特徴とする光ファイバのモード復屈折率の測定方法。
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JP2002228856A (ja) * 2000-11-28 2002-08-14 Fujikura Ltd 光ファイバグレーティングの製造方法、光ファイバグレーティングの製造装置および光ファイバグレーティング

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