JP3936171B2 - 光ファイバグレーティングの製造装置、光ファイバグレーティングの製造方法、光ファイバグレーティング、光モジュール及び光通信システム - Google Patents

光ファイバグレーティングの製造装置、光ファイバグレーティングの製造方法、光ファイバグレーティング、光モジュール及び光通信システム Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光情報通信分野、光計測分野において用いられる光ファイバグレーティングに関し、特に、挿入損失偏波依存性(以下「PDL」と略記する)の大幅な低減を可能とする光ファイバグレーティングの製造方法及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバグレーティングは特定波長の光を減衰または反射させる特性を備えた光学素子である。
光ファイバグレーティングとしては、例えば紫外線誘起型(以下、「UV誘起型」と略記する)のものが知られている。UV誘起型の光ファイバグレーティングは、ゲルマニウムが添加された石英ガラス(以下、「ゲルマニウム添加石英ガラス」と略記する)に240nm付近の特定波長の紫外光を照射すると屈折率が上昇する現象を利用するもので、従来例えば以下のような手順によって製造されていた。
【0003】
一般的にはコアがゲルマニウム添加石英ガラスからなり、クラッドが石英ガラスからなる光ファイバを用意する。なお、最近はコアとクラッドの両方またはクラッドがゲルマニウム添加石英ガラスからなる光ファイバを用いて光ファイバグレーティングを製造する場合もある。
ついで、必要に応じて水素雰囲気中にこの光ファイバを放置し、水素ガス浸漬処理を行って紫外光に対する屈折率変動の感受性を高める。
さらに、干渉露光法、位相マスク法、強度マスク法、集光したビームで直接露光する操作を繰り返す方法(以下「ステップバイステップ法」と略記する)などの公知の方法によって、光ファイバの側面に、一方向から、この光ファイバの長さ方向に沿って所定の周期で紫外光を照射すると、露光された部分の光ファイバの屈折率が上昇して、複数の屈折率上昇部が所定の周期で間欠的に配列し、光ファイバの長さ方向に沿って屈折率が周期的に変動しているグレーティング部が形成される。
その後、脱水素処理を行い、好ましくはさらに加熱エージング処理を行って光ファイバグレーティングを得る。加熱エージングは光ファイバグレーティングの光学特性の長期安定性を向上させる目的で行われる。
【0004】
なお、このグレーティング部の屈折率変化の周期(以下「グレーティング周期」と略記する)が比較的短い短周期型光ファイバグレーティング(以下「SPFG」と略記する)においては、コアを入射方向と同方向に進行する特定波長の光を反射して減衰させるいわゆる反射型の特性が得られる。一方、グレーティング周期が比較的長い長周期型光ファイバグレーティング(以下「LPFG」と略記する)においては、コアを入射方向と同方向に進行する特定波長の光を、同じ方向に進行するクラッドモードに結合させて減衰させるいわゆる放射型の特性が得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の光ファイバグレーティングの製造方法においては、どのようなタイプのものであっても光ファイバグレーティングの挿入損失の偏波依存性の劣化を伴うことがわかった。挿入損失偏波依存性すなわちPDLは各波長において光ファイバを伝搬する光の任意の2つの偏波間の挿入損失の差の最大値であり、特に、透過損失または反射率の大きい光ファイバグレーティングにおいて顕著である。
以下に、LPFGを例にとって、PDLについての説明を行う。これは、LPFGがSPFGに比べてその光学特性が光ファイバやグレーティングの特性、特に異方性や複屈折性に対して敏感であり、改善の効果が顕著に現れるためであるが、SPFGについても同様のことが言える。
LPFGの透過損失の中心波長(以下「中心波長」という)λctrとグレーティング周期Λとの間には、式(1)の関係が成り立つ。
【0006】
【数1】
Figure 0003936171
【0007】
ここで、ne1とnenは、それぞれ、導波モード(LP01)とクラッドモード(LP0n)の実効屈折率である。光ファイバが複屈折を持つ場合、すなわち、ne1とnenが偏波により変動する場合、この中心波長λctrも、式(2)、式(3)、式(4)のように、偏波により変動する。
【0008】
【数2】
Figure 0003936171
【0009】
【数3】
Figure 0003936171
【0010】
【数4】
Figure 0003936171
【0011】
ここで、B1及びBnは、それぞれ導波モードとクラッドモードの複屈折である。ここでは、特に、導波モードの屈折率のみに着目する。
このPDLの劣化の原因には、大きく分けて以下の2つがあると考えられている。
1つ目は、光ファイバにおいて、偏波成分間の実効屈折率が異なることによって生じる偏波モード分散(以下「PMD」と略記する)によるものであり、阻止帯域の中心波長が偏波によってずれることで生じ、その原因は光ファイバのコアのわずかな楕円化や偏心である。このPMDによって生じるPDLは、透過損失または反射率の傾斜が大きいほど大きくなるが、偏心や楕円化の少ない光ファイバを選択することなどによって、ある程度低減することができる。
【0012】
2つ目は、紫外光露光工程において生じる屈折率変化が不均一であることによって生じる複屈折である。この複屈折には、さらに次の2種類が考えられる。
その1つは、光ファイバの側面から紫外光を照射することによるものである。光ファイバグレーティングの紫外光露光工程においては、通常、光ファイバを治具に固定し、紫外光を光ファイバの片面から照射し、フォトリフラクティブ効果により屈折率が変動することを利用し、この屈折率変動が周期的に起こるようにしている。
このように紫外光を光ファイバの片面から照射すると、光ファイバ中に含まれる光感受性物質であるゲルマニウムによって紫外光が吸収されて減衰し、紫外光の照射位置に近い側では紫外光の強度が大きいため屈折率上昇量が大きくなり、紫外光の照射位置に遠い側では紫外光の強度が小さいため屈折率上昇量が小さくなって、光ファイバの断面に屈折率の分布が生じる。
【0013】
他の1つは、光ファイバに照射する紫外光の偏光によって生じるものである。
紫外光の偏光によって導入される複屈折の様子を図27に示す。図27中、光ファイバを伝搬する光の進行方向をz軸方向、光ファイバの断面において直交する2つの方向をx軸方向、y軸方向とする。
光ファイバに照射する紫外光の偏光状態が光ファイバの屈折率変化の複屈折性に影響を与えることが、OFS−11,We5−1(1996),(T.Meyer,et al)において報告されている。すなわち、照射した紫外光の電界の向きと同方向の電界を持つ導波光に対する屈折率の上昇が、紫外光の電界と垂直な向きの電界を持つ導波光に対する屈折率の上昇よりも高くなる。
ここでは、図27(a)に示したように、照射する紫外光の電界を光ファイバの光ファイバ軸に平行な成分と垂直な成分とに分けて考える。光ファイバ軸に平行な成分による屈折率変化は軸対称であるため、導波光による実効屈折率変化の差、すなわち、複屈折性の原因とはならない。しかし、垂直成分については、図27(b)に示すように、x軸方向から露光した場合には、y軸方向に電界成分を持つ導波光は、x軸方向に電界成分を持つ導波光と比べて大きな屈折率を有することになる。
【0014】
上述したように、紫外光照射に起因する複屈折は以上の2通りに分けて考えることができるが、いずれの場合であっても、偏波により屈折率の大きさに差を生じる。
この偏波による屈折率の差を図28に示す。図28に示すように、例えば、偏波Aよりも偏波Bに対して屈折率が大きい場合、グレーティング部の平均屈折率(以下「DC成分」と略記する)の違いが中心波長のずれの原因となり、また屈折率変化量(以下「AC成分」と略記する)の違いが最大損失差(阻止率)の変動の原因となる。これらはいずもPDLの原因となり、光ファイバグレーティングの透過損失ないしは反射率が大きい場合に顕著となる。
実際にLPFGを作製する場合には、上述した2つの原因によって生じる複屈折、すなわち光ファイバ自体の構造による複屈折と、露光起因の複屈折との互いの向きはランダムであり、この2種類の複屈折が足し合わされたり打ち消しあったりするため、同じ条件で露光して作製したLPFGであっても、複雑なPDL特性を有していると考えられる。
以下に、光ファイバ自体の構造による複屈折と、露光起因の複屈折との互いの向きを考慮した場合のLPFGの光学特性について検討する。
ユニフォームなLPFGの透過損失スペクトルは、以下の式(5)のsinc2関数で良く近似できる。
【0015】
【数5】
Figure 0003936171
【0016】
このLPFGの透過損失スペクトルを図29に示す。ここで、λctrは透過損失の中心波長、σは帯域半幅、ΔLは最大損失差、LeXは過剰損失である。以下、簡単のために直線偏光の場合を考えると、入射光の偏波方向に対する中心波長λctr及び最大損失差ΔLのゆらぎは、180°周期と考えるのが自然であり、式(6)、式(7)のようにおくことができる。
【0017】
【数6】
Figure 0003936171
【0018】
【数7】
Figure 0003936171
【0019】
ここで、Δλfibは光ファイバ自体の複屈折による中心波長のゆらぎ幅、Δλexpは露光により導入される複屈折のDC成分による中心波長のゆらぎ幅、εは露光より導入される複屈折のAC成分による最大損失差のゆらぎの大きさを示す。光ファイバ自体の複屈折の主軸と、露光により導入される複屈折の主軸との角度をφとする。この場合、ψ=θ+φとおくことができ、偏波角がθの特定の偏波に対する透過損失は、式(8)のように表すことができる。
【0020】
【数8】
Figure 0003936171
【0021】
PDLは、このloss(λ)の、θを0°から180°まで変化させたときの最大値と最小値との差であり、式(9)のように表すことができる。
【0022】
【数9】
Figure 0003936171
【0023】
以上のことから、一般にλctr及びΔLの変動量が大きくなるような場合、すなわち光ファイバの複屈折が大きい場合と、紫外線の露光により導入される複屈折が大きい場合にPDLが劣化することがわかる。
【0024】
このようなPDLの劣化の問題を改善するために、Optical Letter V. 19, n. 16, pp. 1260-1262(Aug. 15, 1994)には以下に示す方法が提案されている。この方法は、光ファイバの片面からではなく、両面から紫外光を照射する方法であり、光ファイバの側面に一方向(A方向)から紫外光を照射するとともに、この方向と対向する方向(B方向)から紫外光を照射するものである。
その結果、照射位置との距離によって紫外光の照射強度が異なることで生じる、光ファイバの断面における屈折率の偏りの問題は解決することができた。
しかしながら、この方法においてもA方向から照射される紫外光が、図27に示すx軸方向から照射され、この紫外光がy軸方向とz軸方向に偏光していると、B方向から照射する紫外光もy軸方向とz軸方向に偏光しているため、y軸方向に電界成分を持つ導波光は、x軸方向に電界成分を持つ導波光と比べて大きな屈折率変化を有することとなる。その結果、照射される紫外光の偏光に起因する複屈折についてはこの方法によっても解決されない。
【0025】
また、本発明者らは、特願2000−360905において、光ファイバ軸について対称な4方向から紫外光を照射して、露光起因の複屈折を最小化するような露光方法を提案した。この方法によると、露光により光ファイバ中に導入される複屈折は最小限まで低減されるが、光ファイバ自体に起因する複屈折によるPDLについては、複屈折の小さい、すなわちPMDの小さい光ファイバを使用することによってしか解決されない。
その理由は、この露光方法は、式(8)における光ファイバ自体の複屈折の方向と露光起因の複屈折の方向とのなす角φを不可知なものとして扱っており、この露光方法は、式(10)
【0026】
【数10】
Figure 0003936171
【0027】
において、Bfib及びBexpをそれぞれ光ファイバの複屈折および露光起因の複屈折として、右辺括弧内の第2項をゼロとする露光方法であり、光ファイバの複屈折と露光起因の複屈折とを関連付けた露光方法ではないからである。
【0028】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、光ファイバ自体の複屈折と露光起因の複屈折とが打ち消しあうように紫外光を照射して光ファイバグレーティングを製造し、挿入損失偏波依存性の大幅な低減を可能とする光ファイバグレーティングの製造方法及び製造装置を提供することを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、光感受性物質が添加された光ファイバに紫外光を照射することにより周期的に高屈折率部を形成して光ファイバグレーティングを製造する光ファイバグレーティングの製造装置において、該光ファイバの外径を測定する手段と、この外径測定結果に基づいて、該光ファイバに対する露光方向を変化させる手段とを有することを特徴とする光ファイバグレーティングの製造装置である。
これにより、光ファイバ自体の構造に起因する複屈折と、露光に起因する複屈折とが打ち消しあうように露光することができ、挿入損失偏波依存性の小さい光ファイバグレーティングを製造することが可能な光ファイバグレーティングの製造装置を実現することができる。
【0030】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の光ファイバグレーティングの製造装置において、前記光ファイバを固定する光ファイバクランプを前記光ファイバの光ファイバ軸に沿って回転させて、前記露光方向が変化するようにしたことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の光ファイバグレーティングの製造装置において、前記光ファイバに紫外光を照射するためのミラーまたはミラーと集光レンズを前記光ファイバの外周に沿って回転させて、前記露光方向が変化するようにしたことを特徴とする。
【0031】
請求項4記載の発明は、請求項1、2又は3記載の光ファイバグレーティングの製造装置において、干渉露光系により前記露光がなされることを特徴とする。請求項5記載の発明は、請求項1、2又は3記載の光ファイバグレーティングの製造装置において、位相マスクまたは強度マスクを介して前記紫外光が前記光ファイバに照射されて前記露光がなされるようにしたことを特徴とする。
【0032】
請求項6記載の発明は、請求項1、2又は3記載の光ファイバグレーティングの製造装置において、ミラーまたはミラーと集光レンズを前記光ファイバの光ファイバ軸に対して平行に移動しつつ、前記紫外光が前記光ファイバに照射されることにより前記露光がなされるようにしたことを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項1、2又は3記載の光ファイバグレーティングの製造装置において、前記光ファイバを固定する前記光ファイバクランプを前記光ファイバの光ファイバ軸に対して平行に移動しつつ、前記紫外光が前記光ファイバに照射されることにより前記露光がなされるようにしたことを特徴とする。
【0033】
請求項8記載の発明は、光ファイバの外径を測定することにより該光ファイバ断面の長軸方向と短軸方向とを検出し、該光ファイバ断面の長軸方向および/または短軸方向から該光ファイバに紫外光を照射することにより、周期的に高屈折率部を形成して光ファイバグレーティングを製造することを特徴とする光ファイバグレーティングの製造方法である。
これにより、光ファイバ自体の構造に起因する複屈折と、露光に起因する複屈折とを打ち消しあうことができ、挿入損失偏波依存性の小さい光ファイバグレーティングを製造することが可能な光ファイバグレーティングの製造方法を実現することができる。
【0034】
請求項9記載の発明は、光ファイバの外径を測定することにより該光ファイバ断面の長軸方向と短軸方向とを検出し、該光ファイバ断面の長軸方向および短軸方向から該光ファイバに互いに異なる照射量の紫外光を照射することにより、周期的に高屈折率部を形成して光ファイバグレーティングを製造することを特徴とする光ファイバグレーティングの製造方法である。
これにより、照射される紫外光が持つ偏光によって、屈折率の導入量を長軸方向と短軸方向とで異なるものとして、露光に起因する複屈折の導入量を調節することができるため、挿入損失偏波依存性の小さい光ファイバグレーティングを製造することが可能な光ファイバグレーティングの製造方法を実現することができる。
【0035】
請求項10記載の発明は、該光ファイバの外径を測定することにより該光ファイバ断面の長軸方向と短軸方向とを検出し、該光ファイバ断面の長軸方向または短軸方向に対して所定の角度をなす1方向もしくは複数の方向から該光ファイバに紫外光を照射することにより、周期的に高屈折率部を形成して光ファイバグレーティングを製造することを特徴とする光ファイバグレーティングの製造方法である。
これによっても、照射される紫外光が持つ偏光によって、屈折率の導入量を長軸方向と短軸方向とで異なるものとして、露光に起因する複屈折の導入量を調節することができるため、挿入損失偏波依存性の小さい光ファイバグレーティングを製造することが可能な光ファイバグレーティングの製造方法を実現することができる。
請求項11記載の発明は、請求項10記載の光ファイバグレーティングの製造方法において、前記所定の角度は、前記光ファイバ断面の長軸方向および/または短軸方向から前記光ファイバに紫外光を照射して形成された光ファイバグレーティングの透過損失スペクトルと挿入損失偏波依存性とから定めることを特徴とする。
【0036】
請求項12記載の発明は、光感受性物質が添加された光ファイバに紫外線を照射することにより周期的な高屈折率部が形成されてなる光ファイバグレーティングであって、無偏光または全偏光を入射して実測される損失スペクトルloss(λ)を波長で微分したものの絶対値|dloss(λ)/dλ|と、光ファイバの導波モードのモード複屈折B1、およびグレーティング周期Λから、
Λ・B1・|dloss(λ)/dλ|
として求められる挿入損失偏波依存性PDLcalc(λ)と比べて、小さな挿入損失偏波依存性PDLmeas(λ)を有することを特徴とする光ファイバグレーティングである。
これにより、挿入損失偏波依存性を大幅に低減した光ファイバグレーティングを実現することができる。
請求項13記載の発明は、請求項12記載の光ファイバグレーティングが用いられたことを特徴とする光モジュールである。
これにより、偏波依存性の小さい光モジュールを実現することができる。
【0037】
請求項14記載の発明は、請求項13記載の光モジュールが組み込まれたことを特徴とする光通信システムである。
これにより、偏波依存性の小さい光通信システムを実現することができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の光ファイバグレーティングの製造装置の第1の例を示す。
この光ファイバグレーティングの製造装置は、光ファイバ外径を測定する手段と、光ファイバを光ファイバ軸に沿って回転させる手段とを有し、光ファイバ自体の構造に起因する複屈折と、露光に起因する複屈折とが打ち消しあうように露光することを可能としている。
図1中、符号1は光源から発せられた紫外光であり、この紫外光1は、ミラー2によって反射されて進行方向が変えられ、スリット3によって絞られた後、レンズ4により集光される。スリット3の幅は可変であり、必要に応じてスリット幅を変えることによって、紫外光のビーム径を変えることができる。
符号5は光ファイバグレーティングの材料となる光ファイバであり、この光ファイバ5は光ファイバクランプ6により固定されている。光ファイバクランプ6は回転機構を備えているため、光ファイバ5は、光ファイバクランプ6により回転されながら紫外光1が照射される。符号7は光ファイバ外径測定器であり、光ファイバ5はこの光ファイバ外径測定器7によりその外径が測定される。この光ファイバ外径測定器7として、例えばレーザ外径測定器が用いられる。
符号9aはミラー2をマウントした可動ステージであり、符号9bは光ファイバクランプ6をマウントした可動ステージである。
【0039】
この光ファイバグレーティングの製造装置を用いて、光ファイバグレーティングは以下の方法により製造される。
光ファイバ外径は光ファイバ外径測定器7により測定され、この光ファイバ外径をオンラインでモニタしながら、光ファイバクランプ6を回転させて、光ファイバ5を光ファイバ軸を中心に回転させる。このように、光ファイバ外径の測定値に基づいて、適切な向きになるように光ファイバを回転させて、光ファイバ5の側面から紫外光1を照射することにより、光ファイバ自体の構造に起因する複屈折と、露光に起因する複屈折とが打ち消しあうように露光することが可能となる。
この例においては、光ファイバ5はレンズ4によって集光された紫外光ビームにより直接露光される、ステップバイステップ法によって露光される。ファイバグレーティング長(グレーティング周期×段数)は、ミラーをマウントした可動ステージ9aの移動量と移動回数によって決めることができ、露光とステージ移動を繰り返して、所望のパラメタで光ファイバグレーティングを形成することができる。
【0040】
以下に、図1に示した光ファイバ外径を測定する手段と、光ファイバを光ファイバ軸に沿って回転させる手段をもつ露光装置を用いて、光ファイバ自体の構造に起因する複屈折と、露光に起因する複屈折とが打ち消しあうように露光することが可能となる理由について説明する。
本発明においては、光ファイバの複屈折の方向を知ることにより、式(10)の右辺括弧内を可能な限り零とするような露光方法を実現することを目的としている。そこで、まず、光ファイバの複屈折について考える。
定偏波光ファイバの場合と異なり、通常の光ファイバ(単一光モードファイバ)では、PMDもしくはファイバの複屈折性は、コアの僅かな非円、すなわち、コアが真円から歪んで楕円型となっているために生じている。
【0041】
この際、僅かに楕円型になったコアの複屈折の原因としては、第1に、物理的形状が偏波毎に僅かに異なるために、偏波毎に実効屈折率が異なること、第2に、コア形状が真円からずれることにより、光ファイバ中のコア近傍の残留応力が非軸対称に発生し、光弾性効果により複屈折性が現れることが考えられるが、いずれが優勢であるかは非円の程度、およびコアとクラッドの組成、すなわち、光ファイバ作製時に導入された熱歪みの量により異なることが予想される。
しかし、コアをほぼ楕円と見た場合、コアの長軸に平行な電界を持つ偏波と、コアの短軸に平行な電界を持つ偏波との間で実効屈折率の差、すなわち複屈折が最大となると考えられる。
【0042】
ここで、コアの変形について考える。単一モード光ファイバの場合、コア直径は高々10μm程度、もしくはこれよりも小さな場合がほとんどである。また、コア非円率も通常0.1%程度であり、コア非円率が大きい場合でも0.5%以内、最大でも1%以内であると考えてよい。このようなコア非円は、長軸と短軸の直径の差にしてせいぜい0.05μmすなわち50nm(この場合のコア非円は0.5%)から0.1μmすなわち100nm(この場合のコア非円は1.0%)であり、これを光学的に光ファイバ外部から知ることは非常に困難である。
【0043】
しかし、光ファイバ作製条件を考えると、紡糸工程において、光ファイバのコアとクラッドはほぼ同じ方向に変形していると考えるのが自然であり、クラッドの非円を測定することにより、コアの非円の方向を見積もることができると考えられる。すなわち、外径(直径)が125μmの光ファイバでは、外径のコア非円率が0.1%、0.5%、もしくは1.0%の場合の外径(直径)変動量はそれぞれ0.125μm、0.625μm、もしくは1.25μmとなり、これは充分に光学的に調べることのできる値である。
従って、ファイバの外径を直接調べる方法として、たとえばレーザ干渉型外径測定器を用いることが考えられる。すなわち、光ファイバを光ファイバ軸に平行な向きで回転させ、光ファイバ外径測定器7で光ファイバ外径が最大となる向き、および外径が最小となる向きを調べることができる。
【0044】
光ファイバ外径測定器7で、光ファイバ外径が最大の方向および最小となる方向を調べ、それぞれの方向から紫外光を照射してグレーティングを形成した場合、ファイバ自体の複屈折と露光起因による複屈折とは、いずれかの場合に足し合わされる向きになっており、もう一つの場合には打ち消しあっていると考えられる。
図2(a)は、光ファイバ断面の長軸方向から紫外光を照射した場合であり、図2(b)は、光ファイバ断面の短軸方向から紫外光を照射した場合である。図2中、Dminは光ファイバ外径の最小値、Dmaxは光ファイバ外径の最大値を表す。
先にも示したとおり、長軸に平行な電場を持つ導波光と、短軸に平行な電場を持つ導波光のいずれに対する実効屈折率が大きいかは一般的には知ることができないが、実行屈折率が最大となる偏波と最小となる偏波は、これらのいずれかであると考えるのが自然である。
【0045】
上述したファイバ自体の複屈折と露光起因による複屈折とが打ち消しあうようにするために、図1に示す光ファイバグレーティングの製造装置を用いて光ファイバグレーティングを作製した。
ここでは、本発明の効果が分かりやすいように、大きなPMD(約10fs/m)を持つ光ファイバを用いて実験を行った。この光ファイバの外径は123.1±0.34μmであり、向きによる外径ばらつきと、試料毎のばらつきの両方を含んでいる。各試料毎の外径の分布は、最大値と最小値の差でおよそ0.3μmであり、外径の非円率は約0.25%であった。
光ファイバの非円状態は、測定誤差範囲内で楕円型であった。光ファイバグレーティング製作時のパラメタは表1に示すとおりである。
【0046】
【表1】
Figure 0003936171
【0047】
光ファイバが持つ複屈折と、露光により導入される複屈折の向きの関係を調べるため、光ファイバ断面の長軸と平行な方向、ならびに垂直な方向、すなわち短軸と平行な方向の両方から紫外光を照射してLPFGを作製した。紫外光源にはKrFエキシマレーザを用いた。
図3〜5に、光ファイバ断面の長軸と平行な方向(図2(a)に示す方向)から紫外光を露光して作製したLPFGの透過スペクトルおよびPDLを示す。また、図6〜8に、光ファイバ断面の長軸と垂直な方向(図2(b)に示す方向)から紫外光を露光して作製したLPFGの透過スペクトルおよびPDLを示す。
【0048】
長軸と平行な方向から紫外光を露光して作製したLPFGのPDLの最大値は、0.46〜0.49〔dB〕であった。これに対し、長軸と垂直な方向から紫外光を露光して作製したLPFGのPDLの最大値は、0.24〜0.27〔dB〕であった。これらの間には、明らかにPDLの最大値に差があり、この光ファイバの場合は、光ファイバ断面の長軸と垂直な方向(図2(b)に示す方向)から露光した場合が、長軸と平行な方向(図2(a)に示す方向)から露光した場合と比較してPDLを低減することができることがわかった。
光ファイバの複屈折と物理的変形の方向、すなわち実効屈折率が最大・最小となる偏波の向きと、非円の長軸・短軸の関係は光ファイバによって異なることが考えられるが、非円の長軸・短軸のいずれかに平行な方向から露光した場合に、光ファイバグレーティングのPDLを低減できるといえ、またこのために、光ファイバの外径をモニタしながら、適切な向きになるように光ファイバを回転させて露光の向きを決めることが有効であることがわかる。
【0049】
なお、図1においては、露光方向を変えるために光ファイバクランプ6を光ファイバ軸に沿って回転させて光ファイバを回転させているが、紫外光の照射方向を変化させる方法はこれに限定されるものではなく、例えば、光ファイバに紫外光を照射するためのミラーまたはミラーと集光レンズを光ファイバの外周に沿って回転させて露光方向を変化させてもよい。
また、第1の例では、露光を行う装置として、ミラーをスキャンしてステップバイステップ露光するタイプのものを用いたが、これに限定されるものではなく、他の例を以下に示す。
【0050】
図9は、本発明の光ファイバグレーティングの製造装置の第2の例を示す。
この例においては、各符号は、第1の例と同一のものを示す。第1の例においては、ミラー2をスキャンして光ファイバ5に紫外光を照射しているが、この例においては、光ファイバクランプ6に固定された光ファイバ5を、光ファイバクランプ6ごとスキャンして、紫外光1の集光点と光ファイバ5の長手方向との相対位置を移動している点が第1の例と相違している。
この例においても、光ファイバ外径は光ファイバ外径測定器7により測定され、この光ファイバ外径をオンラインでモニタしながら、光ファイバクランプ6を回転させて、光ファイバ5を光ファイバ軸を中心に回転させる。このように、光ファイバ外径の測定値に基づいて、適切な向きになるように光ファイバを回転させて、光ファイバ5の側面から紫外光1を照射することにより、光ファイバ自体の構造に起因する複屈折と、露光に起因する複屈折とが打ち消しあうように露光することが可能となる。
ファイバグレーティング長(グレーティング周期×段数)は、光ファイバクランプ6をマウントした可動ステージ9bの移動量と移動回数によって決めることができ、露光とステージ移動を繰り返して、所望のパラメタで光ファイバグレーティングを形成することができる。
【0051】
図10は、本発明の光ファイバグレーティングの製造装置の第3の例を示す。この例においても、各符号は、第1の例と同一のものを示す。この例においては、紫外光源と光ファイバ5との間に強度マスク8が設けられており、紫外光1は、強度マスク8を介して光ファイバ5に照射される。この強度マスク8は、透明体の一部に光が透過できない部分をスリット状に形成してなるものであり、紫外光1は強度マスク8を介して光ファイバ5に照射されることにより、光ファイバ5に周期的な高屈折率部を形成することができる。
光ファイバ外径は光ファイバ外径測定器7により測定され、この光ファイバ外径をオンラインでモニタしながら、光ファイバクランプ6を回転させて、光ファイバ5を光ファイバ軸を中心に回転させる。このように、光ファイバ外径の測定値に基づいて、適切な向きになるように光ファイバを回転させて、強度マスク8を通過した紫外光1が光ファイバ5に照射される。
なお、この例においては、強度マスク8に替えて、位相マスクを用いてもよい。この位相マスクは、一般に透明体で形成された透過型の回折格子であり、+1次及び−1次の回折光の間に干渉を生じさせることにより、等間隔もしくはチャープ等の不等間隔の光強度の空間変調を生じさせるものである。このように変調された紫外光を光ファイバに照射することにより、光ファイバ中に等間隔もしくは不等間隔の屈折率変調を導入することができる。
図11は、本発明の光ファイバグレーティングの製造装置の第4の例を示す。この例においても、各符号は、第1の例と同一のものを示す。この例においては、強度マスク8と光ファイバ5との間に、シリンドリカルレンズ4a、4bが設けられ、このうち4aは凸レンズ、4bは凹レンズである。このように、紫外光1を一定周期もしくは不等間隔の周期を有する強度マスクと、凸レンズ4a、凹レンズ4bを介して照射することにより、様々なグレーティング周期を有する光ファイバグレーティングを作製することができる。
【0052】
図12は、本発明の光ファイバグレーティングの製造装置の第5の例を示す。この例は、図10に示す第3の例においては、均一な紫外光が強度マスク8を介して照射されているのに対して、スリット3で絞られた紫外光ビームが強度マスク8を介して照射されている点が相違する。
この例においても、各符号は、第1の例と同一のものを示す。この例においては、強度マスク8を介して照射される紫外光ビームは、可動ステージ9aまたは可動ステージ9bをスキャンして光ファイバ5に照射されて、光ファイバグレーティングが作製される。
なお、この例においても、強度マスク8に替えて、位相マスクを用いてもよい。
図13は、本発明の光ファイバグレーティングの製造装置の第6の例を示す。この例は、図11に示す第4の例においては、均一な紫外光が強度マスク8を介して照射されているのに対して、スリット3で絞られた紫外光ビームが強度マスク8を介して照射されている点が相違する。
この例においても、各符号は、第1の例と同一のものを示す。この例においては、強度マスク8と、凸レンズ4a及び凹レンズ4bを介して照射される紫外光ビームは、可動ステージ9aまたは可動ステージ9bをスキャンして、光ファイバ5に照射されて、光ファイバグレーティングが作製される。
【0053】
以上、LPFGの製造方法及び製造装置について述べてきたが、このような光ファイバグレーティングの製造方法及び製造装置は、SPFGについても適用できることは言うまでもない。
SPFGの製造においては、通常位相マスク法あるいは干渉露光法が用いられるが、図10や図12において、強度マスクに替えて位相マスクを用いることにより、そのまま低PDLのSPFGを製作する装置として機能することが可能である。
また、光ファイバの外径測定器と回転機構つき光ファイバクランプと、さらに干渉露光系とを組み合わせて、干渉露光法により同様の機能を持つ光ファイバグレーティングの製造装置を構成することも可能である。この干渉露光法は、例えば、互いにコヒーレントな2光束を干渉させて形成した干渉縞による露光によって微細パターンを形成するものである。
干渉露光系は、例えばコヒーレントでありかつ平行光線束であるレーザ光をハーフミラーによって2光束に分割し、この2光束をそれぞれ平面ミラーによって反射して2つのレーザ光をある角度をなして交差させ、この交差部分に干渉縞を形成して光ファイバを露光することによって、干渉縞の光強度分布に対応して光ファイバに周期的な高屈折率部を形成することができるようにした光学系である。
【0054】
次に、さらにPDLを低減する方法について説明する。
まず、理想的な光ファイバ、すなわち光ファイバ自体の複屈折が零である場合に、光ファイバの片側から露光した場合の、各偏波に対するLPFGのPDLの変遷について検討する。
この様子を図14に示す。ここでは、光ファイバ軸に対して対称なコアを持つファイバ、すなわち式(10)のBfibが0である光ファイバに対して、図27に示すx軸方向から紫外光を照射して光ファイバグレーティングを形成した場合を示している。図14においては、Aが最も露光量が少ない場合であり、B、Cとなるに従って、露光量を増やしている。このことは、図15から図19までについても同様である。それぞれの露光条件は、A〜Cにおいて、グレーティング周期及びグレーティング長は一定であり、紫外光の照射量すなわち紫外光の照射パワーの時間積分を、A、B、Cの順に増やして行った場合を示している。
【0055】
図14において、露光量が充分に少ない間はx,y各偏波に対する屈折率変動はほぼ等しいが、ある程度以上に屈折率変動量が大きくなった場合には、図27を用いて説明したように、y偏波に対する屈折率変動量の方が大きくなる。これにより、図27および図28を用いて説明した理論に従い、図14(a)に示すように、y偏波に対する損失ピークが、x偏波に対する損失ピークよりも深く、さらに長波長側に現れることになる。このx、y両偏波に対する損失スペクトルの差の絶対値がPDLとなり、このPDLを図14(b)に示す。
【0056】
次に、複屈折を持つ光ファイバ、すなわち非対称コアファイバを回転して露光することによりLPFGを形成した場合について、各偏波に対するLPFGのPDLの変遷について検討する。
光ファイバの実効屈折率が最大となる偏波の電界の向きをx方向とする。露光時、光ファイバ軸に沿って対称に紫外光を照射して露光起因の複屈折が発生しないようにした場合、透過損失とPDLの変遷は、図15のようになる。この場合には、露光によって複屈折は変化しないので、x、y偏波間の損失ピークの波長ずれは露光前から露光後に亘って一定である。この場合、PDLは光ファイバの複屈折による波長ずれと、損失傾斜の積によって決まる。すなわち、同じ損失プロファイルの場合、PDLは光ファイバの複屈折のみによって決まる。このことから、ファイバの複屈折が大きな場合、つまり一般にPMDが大きいファイバを用いた場合には、露光によるPDLの低減は難しい。
【0057】
光ファイバの複屈折の方向と露光起因の複屈折の方向とを考慮して、PDLをさらに低減する方法について、以下に具体的に説明する。
まず、複屈折を持つ光ファイバ、すなわち非対称コアファイバに一方向から紫外光を照射した場合であって、光ファイバの複屈折と露光起因の複屈折とが同じ向きとなっている場合について考える。ここでも、光ファイバの実効屈折率が最大となる偏波の電界の向きをx軸方向とする。
y軸方向から紫外光を露光した場合、露光起因の複屈折はファイバ複屈折と同じ向きになる。すなわち、x偏波(x軸と平行な電界成分を持つ偏波)に対する屈折率変動が、y偏波に対する屈折率変動よりも大きくなる。これは図3〜5に示した状況と同じである。この場合、偏波毎の損失の中心波長ずれは、図16(a)に示すように、露光を進めるに従い広がる一方であり、PDLは図16(b)に示すように、劣化の一途を辿る。これにより、光ファイバの複屈折と露光起因の複屈折とが同じ向きとなるようにして露光すると、露光起因の複屈折によって光ファイバの複屈折を打ち消すことはできないことがわかる。
【0058】
次に、光ファイバの複屈折と露光起因の複屈折とが打ち消しあう方向に働き、かつそれぞれの複屈折の絶対値の大小関係が問題となる場合に、PDLを低減する方法について説明する。
まず、このPDLを低減するための手順について説明する。
第1の手順は、光ファイバの長軸と短軸のそれぞれに平行な方向から露光して光ファイバグレーティングを形成し、いずれの向きで露光した方がPDLが小さくなるか比較する。これにより、長軸・短軸のいずれに平行な電界を持つ偏波の実効屈折率が大きいかを検知する。
第2の手順は、必要に応じてPDLをさらに低減する必要がある場合に、上記評価で得られたPDLスペクトルを解析し、光ファイバの複屈折に起因する中心波長ずれ△λfibと、露光起因の複屈折に由来する中心波長ずれ△λexpの大きさを比べる。第1の手順で得られた中心波長ずれ△λ(1)と△λ(2)より、式(11)、式(12)
【0059】
【数11】
Figure 0003936171
【0060】
【数12】
Figure 0003936171
【0061】
を連立して解くことにより、△λfibと△λexpの値を求める。ここで、式(12)の絶対値記号により△λfibと△λexpの解の組合せは2通り存在するが、これは例えば紫外光の照射量が異なる条件で作製した光ファイバグレーティングにおいて、△λfibが照射量によらず一定であるため、露光の方向および/または紫外光の照射量の異なる光ファイバグレーティングを少なくとも4通りの条件で作製して、この損失スペクトルとPDLスペクトルを評価することにより△λfibを一意に定めることができる。
ただし、これは、同一の光ファイバであっても、露光条件、例えば導波モードと結合させるクラッドモードの次数、最大損失差△L、帯域半幅σ等によって大きく変わる可能性があるため、1品種につき1回以上は測定する必要がある。
その結果、△λfib≧△λexpであれば、これまでに得られているPDLが最小となる。ここでPDLが充分に低減されていない場合には、PMDがより小さなファイバを用いて光ファイバグレーティングを作製する。
一方、△λfib<△λexpであった場合には、光ファイバに対して非対称な露光を行い、この非対称な露光による適度な複屈折の導入を試みる。すなわち、式(13)において
【0062】
【数13】
Figure 0003936171
【0063】
なる角度φを見出すことを行う。
上記の手順に基づき、以下具体的な光ファイバグレーティングの製造方法について説明する。
【0064】
まず、第1のケースは、光ファイバの複屈折と露光起因の複屈折が打ち消しあい、かつ△λfib=△λexpである場合、すなわち光ファイバ自体の複屈折による中心波長のゆらぎ幅△λfibと、露光により導入される複屈折のDC成分による中心波長のゆらぎ幅△λexpとが等しい場合であり、この場合には、図17(a)に示すように、A、Bの露光条件下では損失の中心波長はx偏波とy偏波とではずれていたのに対して、Cの露光条件下では損失の中心波長のずれは零となり、PDLは図17(b)に示すように、偏波毎の屈折率変動量(AC成分)の差による、損失の深さの差のみとなっている。
ここで示した例では、x偏波の実効屈折率がy偏波よりも大きい光ファイバを用いた場合であり、かつ光ファイバに対しx軸方向から紫外光照射を行ったような状況を考えている。一般に、このような時にPDLを最小とすることができる。
【0065】
第2のケースは、光ファイバ複屈折と露光起因の複屈折が打ち消しあうような状況ではあるが、露光起因の複屈折に比べてファイバ複屈折の方が大きい場合である。
この場合には、図18(a)に示すように、AからCへと露光が進むにつれて、光ファイバ複屈折による中心波長ずれは補償されていくが、Cの露光条件下においても補償しきれない状態を表している。このような場合には、露光により、これ以上の複屈折の補償は出来ない。すなわち、同じ光ファイバに同じ露光条件でグレーティングを形成している限り、光ファイバの向きの最適化によっても、これ以上PDLを改善することはできない。
【0066】
第3のケースは、光ファイバ複屈折と露光起因の複屈折が打ち消しあうような状況であり、かつ露光起因の複屈折がファイバ複屈折よりも大きい場合である。つまり、中心波長ずれに着目した場合、露光による複屈折の導入によって、光ファイバの複屈折は適度に補償されている状況である。
この場合には、図19(a)に示すように、露光の途中で、x偏波、y偏波の中心波長のずれは、AからCに至るまでの間に、長波・短波の位置関係が逆転している。このような場合は、露光起因の複屈折を適宜調節することで、適切な量の複屈折を導入し、PDLをより小さくすることができる。
【0067】
上記の第3のケースについて、露光起因の複屈折を適宜調節することで、適切な量の複屈折を導入し、PDLをより小さくする具体的な方法について、以下に説明する。
たとえば光ファイバの実効屈折率がy偏波よりもx偏波に対して大きいために、図27のx軸方向から紫外光を照射してグレーティングを形成した結果、露光起因の複屈折が光ファイバの複屈折よりも大きいときには、光ファイバのx軸方向及びy軸方向に対して非対称な露光を行うことにより、露光起因の複屈折の導入量を調節できる。
【0068】
この露光起因の複屈折の導入量を調節する方法として、光ファイバのx軸方向及びy軸方向に対して非対称な露光を行う露光方法の例を図20と図21に示す。
図20に示す露光方法は、x軸方向及びy軸方向から露光を行い、かつx軸方向からの露光量がy軸方向からの露光量よりも大きくなるように露光を行うものである。これにより、光ファイバ中に露光により導入される屈折率は、x軸方向の屈折率よりy軸方向の屈折率のほうが大きくなる。逆に、y軸方向からの露光量がx軸方向からの露光量よりも大きくなるように露光を行うと、光ファイバ中に露光により導入される屈折率は、y軸方向の屈折率よりx軸方向の屈折率のほうが大きくなる。このようにして、露光起因の複屈折の導入量を調節することができる。
【0069】
図21は、光ファイバ複屈折を適度に補償するような斜め露光の方法を示している。
図21に示す場合には、x軸に対して斜めとなる2方向から露光することによって、光ファイバ中に導入される屈折率は、x軸方向の屈折率よりy軸方向の屈折率のほうが大きくなる。光ファイバ中に導入される屈折率の大小は、斜め露光する際の角度によって異なるため、適切な角度を定めて照射することによって、露光起因の複屈折の導入量を調節することができる。
【0070】
実際に作製された光ファイバグレーティングについて、透過損失スペクトルとPDLスペクトルを解析したところ、露光起因の複屈折が光ファイバ複屈折よりも大きいことが判った。さらなる解析の結果、光ファイバの長軸から55°の角度をなす方向から紫外光を照射してLPFGを形成することにより、PDLを最小化できることがわかった。この角度の算出は、式(13)を満たす角度φを見出すことにより行うことができる。
実際に、光ファイバの長軸から55°の角度をなす方向から紫外光を照射して作製した長周期光ファイバグレーティングの透過損失スペクトルと、PDLスペクトルを図22〜24に示す。この時のグレーティング作製パラメタを表2に示す。
【0071】
【表2】
Figure 0003936171
【0072】
図22〜24からわかるように、PDLの最大値は0.15〜0.17〔dB〕であった。これは、長軸と平行な方向から紫外光を露光して作製したLPFGのPDLの最大値が0.46〜0.49〔dB〕であること、長軸と垂直な方向から紫外線を同じ照射量ずつ露光して作製したLPFGのPDLの最大値が0.24〜0.27〔dB〕であることと比べても、充分に小さな値であり、光ファイバのx軸方向及びy軸方向に対して非対称な露光を行って、露光起因の複屈折の導入量を調節することが、PDLの低減に非常に有効であることがわかった。
なお、以上の説明においては、LPFGのPDLを低減する方法について説明したが、この方法はLPFGの場合に限定されるものではなく、SPFGについても当然に適用されるものである。
【0073】
この例の光ファイバグレーティングの製造装置によると、光ファイバの外径を測定する手段と、光ファイバに対する露光方向を変化させる手段とを有することにより、光ファイバ自体の構造に起因する複屈折と、露光に起因する複屈折とが打ち消しあうようにして光ファイバを露光することができ、挿入損失偏波依存性の小さい光ファイバグレーティングを製造することが可能な光ファイバグレーティングの製造装置を実現することができる。
【0074】
また、この例の光ファイバグレーティングの製造方法によると、光ファイバの外径を測定し、光ファイバ断面の長軸方向および/または短軸方向から光ファイバに紫外光を照射することにより、光ファイバ自体の構造に起因する複屈折と、露光に起因する複屈折とを打ち消しあうことができ、挿入損失偏波依存性の小さい光ファイバグレーティングを製造することが可能な光ファイバグレーティングの製造方法を実現することができる。
さらに、光ファイバ断面の長軸方向および短軸方向から光ファイバに互いに異なる照射量の紫外光を照射することにより、照射される紫外光が持つ偏光によって、屈折率の導入量を長軸方向と短軸方向とで異なるものとして、露光に起因する複屈折の導入量を調節することができるため、挿入損失偏波依存性の小さい光ファイバグレーティングを製造することが可能な光ファイバグレーティングの製造方法を実現することができる。
また、光ファイバ断面の長軸方向または短軸方向に対して所定の角度をなす方向から光ファイバに紫外光を照射して光ファイバグレーティングを製造することにより、照射される紫外光が持つ偏光によって、屈折率の導入量を長軸方向と短軸方向とで異なるものとして、露光に起因する複屈折の導入量を調節することができるため、挿入損失偏波依存性の小さい光ファイバグレーティングを製造することが可能な光ファイバグレーティングの製造方法を実現することができる。
また、上述した製造方法によって光ファイバグレーティングを製造することにより、挿入損失偏波依存性を大幅に低減した光ファイバグレーティングを実現することができる。
【0075】
特願2000−360905に示した方法では、露光により光ファイバ中に導入される複屈折は最小限まで低減され、光ファイバ自体に起因する複屈折によるPDLが残留する。
通常、単一モード光ファイバでは、光ファイバ自体に起因する複屈折は小さく、式(4)で表される中心波長ずれは高々0.1nm程度であり、大きい場合でも1nm以下である。このような小さな波長ずれに対して、式(8)と式(9)から求められるPDLは、損失スペクトルloss(λ)を波長で微分したものの絶対値|dloss(λ)/dλ|と、中心波長ずれ△λctrと、グレーティング周期Λから、式(14)のような微分形式で表すことができる。
【0076】
【数14】
Figure 0003936171
【0077】
式(14)と式(4)とから、光ファイバ自体に起因するPDLは式(15)により表すことができる。
【0078】
【数15】
Figure 0003936171
【0079】
ここで、損失スペクトルloss(λ)は、光ファイバグレーティングに無偏光または全偏光を入射し、光スペクトルアナライザまたは光パワーメータを用いて測定される。損失スペクトルの波長微分は、充分に小さい波長間隔δλで測定を行い、例えば、式(16)
【0080】
【数16】
Figure 0003936171
【0081】
のように差分で近似することにより求めることができる。
本発明の製造方法により製造した光ファイバグレーティングにおいては、そのPDLは光ファイバ自体に起因する、式(15)で表されるPDLよりも小さくすることができる。すなわち、本発明の製造方法により製造した光ファイバグレーティングで実測されるPDL(PDLmeas(λ))は、式(15)により表される、光ファイバ自体に起因する複屈折によるPDL(PDLcalc(λ))と比べて、より小さくすることができる。
【0082】
次に、本発明の光モジュールの例として、光増幅器モジュールの一例について説明する。
この例は、上述した光ファイバグレーティングを、例えばエルビウム添加光ファイバ増幅器等の光増幅器による増幅光の波長依存性を平坦化するための利得等化器として用い、この光増幅器と光ファイバグレーティングとを組み合わせて光増幅器モジュールを形成したものである。
図25に、光増幅器としてエルビウム添加光ファイバ増幅器を用いた場合の、本発明の光増幅器モジュールの構成の一例を示す。
図25中、符号11は信号光を伝送する光伝送路を示す。この光伝送路11は、WDMカプラ12の一方の入力ポートに接続されている。このWDMカプラ12の他方の入力ポートには、励起光源13が接続され、WDMカプラ12の出力ポートは、利得媒体であるエルビウム添加光ファイバ(以下「EDF」と略記する)14の一端に接続されている。
【0083】
このEDF14の他端は、光ファイバグレーティング15に接続されている。この例において、各光部品間の接続は例えば融着接続によって行われている。
光伝送路11から送られる信号光は、WDMカプラ12において励起光源13からの励起光と合波され、EDF14の一端に入力されて光増幅される。この増幅光は、光ファイバグレーティング15によって利得等化され、光伝送路11に出力される。
本発明の光ファイバグレーティングは、上述したように、PDLを低減することが可能であることから、光増幅器の利得を等化するための利得等化器として有効である。
【0084】
なお、以上の説明においては、光増幅器としてエルビウム添加光ファイバ増幅器を用いた場合について説明したが、光増幅器の種類はこれに限定されるものではなく、必要に応じて他の光増幅器であってもよい。
以上光増幅器モジュールについて説明したが、ここで言う光モジュールとは光増幅器に限らず、例えばブロック等化器など、受動部品のみで構成した光モジュールに本発明の光ファイバグレーティングを用いることも有効である。なお、このブロック等化器とは、光増幅器の利得の設計値からのずれ、及び/または伝送用光ファイバの伝送損失の波長依存性の設計値からのずれを補償するため、必要に応じて光増幅器数段ないしは数十段に1回の割合で用いられる補償器モジュールのことである。
この例の光モジュールによると、PDLを低減することが可能な光ファイバグレーティングで利得等化を行うことにより、利得ならびに挿入損失の偏波依存性の小さい光モジュールを実現することができる。
【0085】
次に、本発明の光通信システムの例について説明する。
この例の光通信システムは、光送信部と光受信部とが光伝送路で接続され、この光伝送路途中に、上述の光増幅器モジュールが設けられている。
図26に本発明の光通信システムの例の構成を示す。
図26中、符号20は光通信システムであり、符号21は光送信端局、符号22は光受信端局である。この光送信端局21と光受信端局22とは、光伝送路11で接続されている。光伝送路11の途中には、本発明の光モジュール10の例として、光増幅器モジュールが1段挿入もしくは多段に直列接続されている。
光送信端局21により送出された光信号は、多段に配置された光増幅器モジュールにより光増幅され、光受信端局22で受信される。
この例の光通信システムによると、本発明の光ファイバグレーティングを利得等化器として用いた光モジュールを光通信システムに組み込むことにより、偏波特性に優れ、信号の伝送品質の高い光通信システムを実現することができる。
【0086】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、光ファイバの外径を測定する手段と、光ファイバに対する露光方向を変化させる手段とを有することにより、光ファイバ自体の構造に起因する複屈折と、露光に起因する複屈折とが打ち消しあうようにして光ファイバを露光することができ、挿入損失偏波依存性の小さい光ファイバグレーティングを製造することが可能な光ファイバグレーティングの製造装置を実現することができる。
【0087】
また、光ファイバの外径を測定することにより光ファイバ断面の長軸方向と短軸方向とを検出し、光ファイバ断面の長軸方向および/または短軸方向から光ファイバに紫外光を照射することにより、光ファイバ自体の構造に起因する複屈折と、露光に起因する複屈折とを打ち消しあうことができ、挿入損失偏波依存性の小さい光ファイバグレーティングを製造することが可能な光ファイバグレーティングの製造方法を実現することができる。
さらに、光ファイバ断面の長軸方向および短軸方向から光ファイバに互いに異なる照射量の紫外光を照射することにより、照射される紫外光が持つ偏光によって、屈折率の導入量を長軸方向と短軸方向とで異なるものとして、露光に起因する複屈折の導入量を調節することができるため、挿入損失偏波依存性の小さい光ファイバグレーティングを製造することが可能な光ファイバグレーティングの製造方法を実現することができる。
また、光ファイバ断面の長軸方向または短軸方向に対して所定の角度をなす1方向もしくは複数の方向から光ファイバに紫外光を照射して光ファイバグレーティングを製造することにより、照射される紫外光が持つ偏光によって、屈折率の導入量を長軸方向と短軸方向とで異なるものとして、露光に起因する複屈折の導入量を調節することができるため、挿入損失偏波依存性の小さい光ファイバグレーティングを製造することが可能な光ファイバグレーティングの製造方法を実現することができる。
【0088】
また、上述した製造方法によって光ファイバグレーティングを製造することにより、挿入損失偏波依存性を大幅に低減した光ファイバグレーティングを実現することができる。
また、PDLを低減することが可能な光ファイバグレーティングで利得等化を行うことにより、偏波依存性の小さい光モジュールを実現することができる。
また、偏波依存性の小さい光モジュールを光通信システムに組み込むことにより、偏波依存性の小さい光通信システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ファイバグレーティングの製造装置の第1の例を示す図である。
【図2】光ファイバ断面の長軸方向または短軸方向から紫外光を照射する様子を示す図である。
【図3】光ファイバ断面の長軸に平行な方向から露光して作製された光ファイバグレーティングの透過損失とPDLを示す図である。
【図4】光ファイバ断面の長軸に平行な方向から露光して作製された光ファイバグレーティングの透過損失とPDLを示す図である。
【図5】光ファイバ断面の長軸に平行な方向から露光して作製された光ファイバグレーティングの透過損失とPDLを示す図である。
【図6】光ファイバ断面の長軸に垂直な方向から露光して作製された光ファイバグレーティングの透過損失とPDLを示す図である。
【図7】光ファイバ断面の長軸に垂直な方向から露光して作製された光ファイバグレーティングの透過損失とPDLを示す図である。
【図8】光ファイバ断面の長軸に垂直な方向から露光して作製された光ファイバグレーティングの透過損失とPDLを示す図である。
【図9】本発明の光ファイバグレーティングの製造装置の第2の例を示す図である。
【図10】本発明の光ファイバグレーティングの製造装置の第3の例を示す図である。
【図11】本発明の光ファイバグレーティングの製造装置の第4の例を示す図である。
【図12】本発明の光ファイバグレーティングの製造装置の第5の例を示す図である。
【図13】本発明の光ファイバグレーティングの製造装置の第6の例を示す図である。
【図14】光ファイバ自体の複屈折がゼロである光ファイバに、光ファイバの片側から露光して作製された光ファイバグレーティングの透過損失とPDLを示す図である。
【図15】光ファイバ自体が複屈折を持つ光ファイバに対して、光ファイバを回転露光して作製された光ファイバグレーティングの透過損失とPDLを示す図である。
【図16】光ファイバ自体が持つ複屈折と露光起因の複屈折とが足し合わされるように露光して作製された光ファイバグレーティングの透過損失とPDLを示す図である。
【図17】光ファイバ自体が持つ複屈折と露光起因の複屈折とが打ち消しあうように露光して作製された光ファイバグレーティングの透過損失とPDLを示す図である。
【図18】光ファイバ自体が持つ複屈折と露光起因の複屈折とが打ち消しあうように露光して作製された光ファイバグレーティングであって、光ファイバ自体の複屈折のほうが大きい場合の透過損失とPDLを示す図である。
【図19】光ファイバ自体が持つ複屈折と露光起因の複屈折とが打ち消しあうように露光して作製された光ファイバグレーティングであって、露光起因の複屈折のほうが大きい場合の透過損失とPDLを示す図である。
【図20】x軸方向とy軸方向の両方向から互いの露光量が異なるようにして露光することにより、露光により導入される複屈折を調整する方法を示す図である。
【図21】x軸またはy軸に対して所定の角度から露光することにより、露光により導入される複屈折を調整する方法を示す図である。
【図22】光ファイバ断面の長軸に対して55°の角度から露光して作製された光ファイバグレーティングの透過損失とPDLを示す図である。
【図23】光ファイバ断面の長軸に対して55°の角度から露光して作製された光ファイバグレーティングの透過損失とPDLを示す図である。
【図24】光ファイバ断面の長軸に対して55°の角度から露光して作製された光ファイバグレーティングの透過損失とPDLを示す図である。
【図25】本発明の光ファイバグレーティングを用いた光モジュールの構成を示す図である。
【図26】本発明の光モジュールを組み込んだ光通信システムの構成を示す図である。
【図27】紫外光の偏光によって導入される複屈折の様子を示す図である。
【図28】偏波によりグレーティング部の平均屈折率(DC成分)と、屈折率変化量(AC成分)が相違する様子を示す図である。
【図29】LPFGの透過損失スペクトルを示す図である。
【符号の説明】
1…紫外光、2…ミラー、3…スリット、4…レンズ、5…光ファイバ、
6…光ファイバクランプ、7…光ファイバ外径測定器、8…強度マスク、
9a、9b…可動ステージ、10…光モジュール、20…光通信システム

Claims (11)

  1. 光感受性物質が添加された光ファイバに紫外光を照射することにより周期的に高屈折率部を形成して光ファイバグレーティングを製造する光ファイバグレーティングの製造装置において、
    該光ファイバの外径を測定する手段と、この外径測定結果に基づいて、該光ファイバに対する露光方向を変化させる手段とを有することを特徴とする光ファイバグレーティングの製造装置。
  2. 前記光ファイバを固定する光ファイバクランプを前記光ファイバの光ファイバ軸に沿って回転させて、前記露光方向が変化するようにしたことを特徴とする請求項1記載の光ファイバグレーティングの製造装置。
  3. 前記光ファイバに紫外光を照射するためのミラーまたはミラーと集光レンズを前記光ファイバの外周に沿って回転させて、前記露光方向が変化するようにしたことを特徴とする請求項1記載の光ファイバグレーティングの製造装置。
  4. 干渉露光系により前記露光がなされることを特徴とする請求項1、2又は3記載の光ファイバグレーティングの製造装置。
  5. 位相マスクまたは強度マスクを介して前記紫外光が前記光ファイバに照射されて前記露光がなされるようにしたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の光ファイバグレーティングの製造装置。
  6. ミラーまたはミラーと集光レンズを前記光ファイバの光ファイバ軸に対して平行に移動しつつ、前記紫外光が前記光ファイバに照射されることにより前記露光がなされるようにしたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の光ファイバグレーティングの製造装置。
  7. 前記光ファイバを固定する前記光ファイバクランプを前記光ファイバの光ファイバ軸に対して平行に移動しつつ、前記紫外光が前記光ファイバに照射されることにより前記露光がなされるようにしたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の光ファイバグレーティングの製造装置。
  8. 光ファイバの外径を測定することにより該光ファイバ断面の長軸方向と短軸方向とを検出し、該光ファイバ断面の長軸方向および/または短軸方向から該光ファイバに紫外光を照射することにより、周期的に高屈折率部を形成して光ファイバグレーティングを製造することを特徴とする光ファイバグレーティングの製造方法。
  9. 光ファイバの外径を測定することにより該光ファイバ断面の長軸方向と短軸方向とを検出し、該光ファイバ断面の長軸方向および短軸方向から該光ファイバに互いに異なる照射量の紫外光を照射することにより、露光による複屈折の導入量を調節し、周期的に高屈折率部を形成して光ファイバグレーティングを製造することを特徴とする光ファイバグレーティングの製造方法。
  10. 光ファイバの外径を測定することにより該光ファイバ断面の長軸方向と短軸方向とを検出し、該光ファイバ断面の長軸方向または短軸方向に対して所定の角度をなす1方向もしくは複数の方向から該光ファイバに紫外光を照射することにより、露光による複屈折の導入量を調節し、周期的に高屈折率部を形成して光ファイバグレーティングを製造することを特徴とする光ファイバグレーティングの製造方法。
  11. 前記所定の角度は、前記光ファイバ断面の長軸方向および/または短軸方向から前記光ファイバに紫外光を照射して形成された光ファイバグレーティングの透過損失スペクトルと挿入損失偏波依存性とから定めることを特徴とする請求項10記載の光ファイバグレーティングの製造方法。
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