JP2002167732A - 浮遊物流入防止装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 海洋生物の除去作業を回避可能な浮遊物流入
防止装置を提供する。 【解決手段】 取水口２を囲む防波堤１の開口部５付近
に海水入口１０が防波堤１外方を向くように設置される
バスケット６と、バスケット６周縁から開口部５へ向か
って海面付近に位置するように張設される捕捉網７と、
海水流通方向上流端がバスケット６の海水出口１３に接
続される導水路８と、導水路８の海水流通方向下流端が
接続され且つ放水口４より防波堤１外方の海域へ放出さ
れる海水流に導水路８内の海水を随伴させ得るエゼクタ
ー９とを備え、開口部５付近の浮遊物を、海水とともに
バスケット６へ流入させ、導水路８及びエゼクター９を
介して防波堤１外方の海域へ放流する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は発電プラントへの海
洋生物などの流入を防止する浮遊物流入防止装置に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】図２は原子力発電所や火力発電所のよう
な熱エネルギーを電力に転換する発電プラントの一例を
示すものであり、この発電プラントでは、防波堤１で囲
まれた海域の海水を、冷却水として取水口２からプラン
ト建屋３内に取り込み、機器を冷却した後の冷却水を、
放水口４から防波堤１外の海域へ放出している。

【０００３】取水口２には、網状のスクリーン（図示せ
ず）がそれぞれ設けられており、当該スクリーンによっ
て種々の海洋生物や流木などの漂流物が冷却水に随伴し
て流入することを抑止している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、海洋生
物のうち、クラゲは夏期の特定時期に大量発生し、当該
クラゲが短時間にスクリーンを閉塞させて冷却水の取り
込みが困難になり、発電を中断せざるを得ない場合があ
る。

【０００５】また、スクリーンからクラゲを取り除く作
業には、多くの人手を要し、更に、クラゲの死骸は産業
廃棄物となるため、その処理費が高額となる。

【０００６】本発明は上述した実情に鑑みてなしたもの
で、海洋生物の除去作業を回避可能な浮遊物流入防止装
置を提供することを目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の浮遊物流入防止装置では、発電プラント取
水口を囲む防波堤の開口部に海水入口端が防波堤外方を
向くように設置されるバスケットと、該バスケットの海
水入口周縁から防波堤の開口部へ向かって海面付近に位
置するように張設した捕捉網と、海水流通方向上流端が
バスケットの海水出口に接続される導水路と、該導水路
の海水流通方向下流端が接続され且つ発電プラント放水
口より防波堤外方の海域へ放出される海水流に導水路内
の海水を随伴させ得るエゼクターとを備えている。

【０００８】本発明の浮遊物流入防止装置においては、
防波堤の開口部付近の海洋生物などの浮遊物を防波堤の
開口部付近の海域の海水とともに、発電プラント放水口
よりエゼクターに流入する海水流によって、導水路から
防波堤外方の海域へ放流し、浮遊物に起因した発電プラ
ント取水口の閉塞を防止する。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
示例とともに説明する。

【００１０】図１は本発明の浮遊物流入防止装置の実施
の形態の一例を示すもので、図中、図２と同一符号を付
したものは同一物を表している。

【００１１】この浮遊物流入防止装置は、防波堤１の開
口部５に設置されるバスケット６と、該バスケット６と
防波堤１の開口部５との間に張設される捕捉網７と、バ
スケット６に接続される導水路８と、導水路８の海水流
通方向下流端に接続されるエゼクター９とを備えてい
る。

【００１２】バスケット６は、流路断面が、海水流通方
向上流端から下流端へ向かって徐々に縮小する形状に形
成され、大開口端である海水入口１０が防波堤１外方を
向くように、防波堤１内方の開口部５近傍に設置され
る。

【００１３】捕捉網７は、前記のバスケット６の海水入
口１０周縁から防波堤１の開口部５へ向かって徐々に拡
がり且つ海面付近に位置するように張設される。

【００１４】導水路８は、管状の導水路本体１１と、該
導水路本体１１の両側に取り付けたフロート１２とを有
し、導水路本体１１の海水流通方向上流端は、バスケッ
ト６の小開口端である海水出口１３に接続されている。

【００１５】エゼクター９は、長手方向中間のくびれ部
分１４と、該くびれ部分１４から前後両方向へ向かって
徐々に流路断面が拡がる胴部１５とを有する。

【００１６】このエゼクター９は、一方の胴部１５の開
口端が発電プラントの放水口４を向き且つ他方の胴部１
５の開口端が防波堤１外方の海域を向くように、放水口
４から放出される海水流域に設置される。

【００１７】また、防波堤１外方の海域を向く胴部１５
には、先に述べた導水路本体１１の海水流通方向下流端
が連通している。

【００１８】図１に示す浮遊物流入防止装置によって、
発電プラントの取水口２への浮遊物の流入を防止する際
には、上述したように、発電プラントの取水口２を囲む
防波堤１の開口部５の内方に捕捉網７を張設し、該捕捉
網７にバスケット６及び導水路８を順次接続し、該導水
路８の海水流通方向下流端にエゼクター９を接続する
と、当該エゼクター９により、発電プラント放水口４か
ら放出される海水流が導水路８内の海水を随伴するの
で、防波堤１の開口部５付近の海洋生物などの浮遊物
が、海水とともにバスケット６から導水路８へ流入した
うえ、エゼクター９を経て防波堤１外方の海域へ放流さ
れる。

【００１９】このように、図１に示す浮遊物流入防止装
置では、防波堤１の開口部５付近の海洋生物などの浮遊
物を、海水とともに導水路８及びエゼクター９を介して
防波堤１外方の海域へ放流するので、浮遊物による発電
プラントの取水口２の閉塞を防止することができる。

【００２０】また、防波堤１とバスケット６との間に捕
捉網７を張設するので、海洋生物をはじめとする種々の
浮遊物を導水路８へ確実に流入させることができる。

【００２１】従って、取水口２のスクリーンからクラゲ
などの種々の浮遊物を取り除く作業を回避でき、産業廃
棄物処理費の削減を図ることができる。

【００２２】なお、本発明の浮遊物流入防止装置は、上
述した実施の形態のみに限定されるものではなく、本発
明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得
ることは勿論である。

【００２３】

【発明の効果】以上述べたように、本発明の浮遊物流入
防止装置によれば、下記のような種々の優れた効果を奏
し得る。

【００２４】（１）防波堤の開口部付近の海洋生物など
の浮遊物を海水とともにバスケットへ流入させ、導水路
及びエゼクターを介して防波堤外方の海域へ放流するの
で、浮遊物による発電プラントの取水口の閉塞を防止で
きる。

【００２５】（２）海洋生物のうち、夏期の特定時期に
大量に発生するクラゲを発電プラントの取水口のスクリ
ーンから取り除く作業を回避でき、産業廃棄物処理費の
削減を図ることができる。

【００２６】（３）放水口から放流される海水の流れを
利用するので、装置の作動に要するエネルギーを節約で
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の浮遊物流入防止装置の実施の形態の一
例を示す概念図である。

【図２】発電プラント取水口付近の概念図である。

【符号の説明】

１ 防波堤 ２ 取水口 ４ 放水口 ５ 開口部 ６ バスケット ７ 捕捉網 ８ 導水路 ９ エゼクター １０ 海水入口 １３ 海水出口

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 発電プラント取水口を囲む防波堤の開口
   部に海水入口端が防波堤外方を向くように設置されるバ
   スケットと、該バスケットの海水入口周縁から防波堤の
   開口部へ向かって海面付近に位置するように張設した捕
   捉網と、海水流通方向上流端がバスケットの海水出口に
   接続される導水路と、該導水路の海水流通方向下流端が
   接続され且つ発電プラント放水口より防波堤外方の海域
   へ放出される海水流に導水路内の海水を随伴させ得るエ
   ゼクターとを備えてなることを特徴とする浮遊物流入防
   止装置。