JP2002164530A - 物性モデルのパラメータ抽出方法及び記録媒体、並びに非線形素子の製造方法 - Google Patents

物性モデルのパラメータ抽出方法及び記録媒体、並びに非線形素子の製造方法

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JP2002164530A
JP2002164530A JP2000359113A JP2000359113A JP2002164530A JP 2002164530 A JP2002164530 A JP 2002164530A JP 2000359113 A JP2000359113 A JP 2000359113A JP 2000359113 A JP2000359113 A JP 2000359113A JP 2002164530 A JP2002164530 A JP 2002164530A
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Motoaki Tanizawa
元昭 谷沢
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 誤差関数内の各特性量において生じる誤差の
値に大小の差があったとしても誤差の値を各特性量ごと
に充分に減少できる物性モデルのパラメータ抽出方法で
あって、真の解を得るためのパラメータ抽出を迅速に行
える技術を得る。 【解決手段】 複数のサンプルの観測値の分散σiy 2
各々の特性量giyとこれに対応する関数fy(vi,P)
との差の平方を除した値を、外部要因群の複数に亘って
総和することで誤差関数Sを定義する。各特性量におい
て生じる誤差の値に大小の差があったとしても、各特性
量ごとに分散σiy 2で除されることで、誤差に含まれる
観測値のばらつきや偏りの影響を補正することができ
る。また、誤差関数Sの値がχ2分布に従うことを利用
して関数fy(vs,P)が観測値を再現できているか検
定を行い、再現できていると検定された場合には、その
ときのパラメータ群Pを、誤差関数Sの最小値を与える
パラメータ群として抽出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、少なくとも一つ
の外部要因からなる外部要因群の複数vi(i=1,
2,…,m)の各々に対応して、それぞれ少なくとも一
つの特性量からなる特性量群giが得られる物性に関
し、各々の特性量群gs(sはiの採る任意の一つの値
を示す)に対応する計算値の各々を、対応する前記外部
要因vs及び複数のパラメータからなるパラメータ群P
の関数f(vs,P)として与える物性モデルにおい
て、パラメータ群Pを抽出する技術に関する。
【0002】例えばLSI(large scale integrated c
ircuit)の設計において使用される回路シミュレーショ
ンのための、モデルパラメータを抽出する技術に関す
る。
【0003】
【従来の技術】LSIの製造においては、その回路を設
計する設計工程と、設計工程によって得られた情報を元
に回路を半導体装置として実現する半導体プロセス工程
とに大別される。そして、設計工程においては、半導体
装置として実現されるLSI回路(以下「LSI装置」
と称す)の発揮すべき機能を予め予測するために、回路
シミュレーションが行われる。
【0004】回路シミュレーションにおいては回路方程
式の定式化と、デバイスモデリングという2つの重要な
観点がある。そしてデバイスモデリングにおいて、例え
ばトランジスタのような非線形デバイスの電気特性は、
デバイスをモデル化して得られる解析式によってシミュ
レーションされる。この解析式は物理的な、あるいは半
ば経験的に決定されるパラメータを含んでいる。
【0005】回路シミュレーションを精度良く実行する
ためには、これらのデバイスモデリングにおけるパラメ
ータを適切に決定する必要がある。そしてこの決定のた
めの指標として通常は、LSI装置の実測特性と解析モ
デルに基づいた計算値との誤差が選ばれる。あるいはL
SI装置の実測特性に代えて、トランジスタ等のデバイ
ス内部で生じる現象をシミュレーションするデバイスシ
ミュレーションの結果を用いることもある。
【0006】さて、従来の物性モデルのパラメータ抽出
方法を以下に説明する。この物性モデルは、少なくとも
一つの外部要因からなる外部要因群vi(ここではi=
1,2,3,…,mとする)と、これらに対して得られ
る少なくとも一つの特性量からなる特性量群giとが非
線形の関係にある非線形素子の物性を求めるに際して、
設定される。そして、この物性モデルは、複数のパラメ
ータからなるパラメータ群P及び外部要因群viの関数
f(vi,P)として設定される。そして観測される特
性量群gs(sはiの採る任意の一つの値を示す)と、
計算される関数f(vs,p)の値との差に重み関数ws
を乗じた値の平方を、全ての外部要因群v iに亘って総
和して、誤差関数Sが求められる。そして、この誤差関
数Sの値が最小となるパラメータの組み合わせを求める
ことでパラメータの抽出を行う。
【0007】非線形素子としてMISトランジスタを一
例として挙げれば、例えばゲート長が1μm程度よりも
大きい場合には、物性モデルとしてFrohman-Bentchkows
kyモデルが例挙できる。外部要因としては動作温度τ、
ソース電極に対するゲート電極の電位(ゲート電圧
gs)及びドレイン電極の電位(ドレイン電圧Vds
を、特性量としてはソース電極とドレイン電極との間に
流れる電流(ドレイン電流I ds)およびドレイン電流I
dsをドレイン電圧Vdsで微分して得られるコンダクタン
ス∂Ids/∂Vdsが、それぞれ例挙できる。そしてパラ
メータとしては、例えばしきい値電圧Vth及び後述する
係数βを挙げることができる。このように、外部要因群
を構成する外部要因の個数と、特性量群を構成する特性
量の個数と、パラメータ群を構成するパラメータの個数
とは、一般には一致しない。
【0008】例えばMISトランジスタの動作におい
て、ドレイン電圧Vdsが小さい線形領域でのドレイン電
流Idsは、ほぼβ(Vgs−Vth−Vds/2)Vdsで得ら
れる。ここで係数βは、単位面積あたりのゲート絶縁膜
容量Coxと、キャリアの移動度μと、チャネル幅Wとの
積を、チャネル長Lで除した値である(β=CoxμW/
L)。このようなモデルに基けば、ドレイン電流Ids
ゲート電圧Vgsに対する依存性を観測値から求め、外挿
及び傾きを計算してそれぞれしきい値電圧Vth及び係数
βが求められる。
【0009】ここで、非線形素子の一例であるMISト
ランジスタの誤差関数Sは、以下の式(1)で示され
る。
【0010】
【数1】
【0011】ここで、外部要因群v1,v2,v3,…,
mは、それぞれがx(≧1)個の外部要因を有してい
る。例えばx=3とし、外部要因として動作温度τ、ゲ
ート電圧Vgs、ドレイン電圧Vdsを採用できる。
【0012】特性量群giは、外部要因群viが与えられ
た場合に非線形素子が呈する物理量である。例えばドレ
イン電流Idsおよびコンダクタンス∂Ids/∂Vdsを採
用でき、この場合には特性量群を構成する特性量の個数
yは2であって、gi、f(vi,P)、wiはいずれも
ベクトル量となる。ただし、ベクトルの各成分ごとに式
(1)の計算が行われるので、誤差関数Sの値はスカラ
量となる。
【0013】なお、特性量は実測値としてではなく、デ
バイスシミュレーションの結果を用いても良い。その場
合、一般にデバイスシミュレーションでデバイスを近似
した関数をgとし、特性量群はgi=g(vi)と表現す
ることもできる。
【0014】パラメータ群Pはn(≧2)個のパラメー
タp1,p2,p3,…,pnで構成される。例えばn=2
とし、パラメータとしてしきい値電圧Vth及び係数βを
採用することができる。
【0015】重み関数wiは異なる外部要因群viのそれ
ぞれに対応して設定される。特別な場合として、重み関
数wiが外部要因群viのいずれに対しても恒常的に1に
設定され、誤差関数Sが絶対誤差として規定される場合
がある。またwi=1/giに設定されれば、誤差関数S
が相対誤差として規定される。
【0016】このような誤差関数Sを最小化、あるいは
所定誤差内で零とするパラメータ群Pを求めることが、
パラメータ抽出という処理である。そしてパラメータ群
Pを所定の規則で更新しつつ誤差関数Sの値を小さくし
てゆくことにより、パラメータ抽出が進められる。
【0017】そして、この誤差関数Sの値が最小となる
パラメータの値の組み合わせを求めるために従来から、
例えばニュートン法のような降下系解法(本願ではニュ
ートン法系解法と称する)や、例えばSimulated Anneal
ing法のような大域的な検索アルゴリズム(本願では数
え上げ的手法と称する)などが採用されていた。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
従来の物性モデルのパラメータ抽出方法においては、以
下の問題点があった。
【0019】まず、第1の問題点としては、特性量群g
iに複数個の特性量を採用しつつ、ニュートン法系解法
や数え上げ的手法などを用いて誤差関数Sの最小値探索
を行ったときに、各特性量についての誤差(以下、「誤
差要素」と称する)の値に大小の差があると、より誤差
要素の値の大きい特性量についてはその誤差要素を効果
的に減少させ得るものの、誤差要素の値の小さい特性量
についてはその誤差要素を効果的に減少させることがで
きなかった。
【0020】例えば上記のMISトランジスタの場合の
ように、特性量群giを構成する特性量にドレイン電流
dsとコンダクタンス∂Ids/∂Vdsとを採用する場
合、例えば両者についてのそれぞれの誤差要素が求めら
れ、それぞれの平方の和に重み関数が乗じられて誤差関
数Sの最小値探索が行われる。しかし、後に詳述するよ
うに、コンダクタンス∂Ids/∂Vdsに生じる誤差の値
の方がドレイン電流Idsに生じる誤差の値に比べ大きい
ため、ドレイン電流Idsに比べコンダクタンス∂Ids
∂Vdsについての誤差要素をより減少させる傾向で計算
が進められる。その結果、ドレイン電流Idsのフィッテ
ィングの精度は、ドレイン電流Idsのみを単独で特性量
に採用した場合に得られる精度に比べ低下してしまう。
【0021】線形領域でのドレイン電流Idsは、ほぼβ
(Vgs−Vth−Vds/2)Vdsで得られることは上述し
た。しかし、飽和領域(Vds>Vdsatの領域、なおV
dsatはドレイン電圧Vdsが増加してもドレイン電流Ids
が増加しなくなりはじめるVdsの値)では、上式中のV
dsがVdsatに置き換えられ、さらに、チャネル長変調効
果を考慮して係数β中のチャネル長Lが(L−ΔL)に
置き換えられる(ΔLはドレイン端での空乏層の広がり
幅を表す)。なおΔLは(Vds−Vdsat)の関数となっ
ている。
【0022】この場合、ドレイン電流IdsはΔLで決定
されるが、ドレイン電流Idsのドレイン電圧Vdsによる
微分量であるコンダクタンスは、ΔLのみならず∂ΔL
/∂Vdsにも依存することになる。空乏近似により(V
ds−Vdsat)の変化に対するΔLの振る舞いを精度よく
表現することは可能であるが、∂ΔL/∂Vdsを表現す
ることについては、特にVds=Vdsatの近傍においてそ
の精度に問題が生じやすい。よって、∂ΔL/∂Vds
パラメータとして含むコンダクタンスは、それを含まな
いドレイン電流Idsに比べ、その精度が低い。
【0023】すなわち、MISトランジスタにおけるモ
デル式は、各動作領域(弱反転、強反転−線形、強反転
−飽和)においてドレイン電流を定式化してつなげるこ
とにより設定されているため、ドレイン電圧による微分
量であるコンダクタンスの値は特に各領域のつなぎ目近
傍では精度が落ちやすいのである。そのため、コンダク
タンス∂Ids/∂Vdsについての誤差要素の値の方が、
ドレイン電流Idsについての誤差要素の値に比べ大きく
なりやすい。その結果、両者を同時にフィッティングし
ようとすると、ドレイン電流Idsについての誤差要素よ
りもコンダクタンス∂Ids/∂Vdsについての誤差要素
を減少させる傾向になってしまうのである。
【0024】一方、従来の物性モデルのパラメータ抽出
方法の第2の問題点としては、誤差関数Sの最小値探索
を行う際に数え上げ的手法を用いると、局所的な解から
の脱出は可能であるものの、真の最小値へ到達するのに
必要な計算負荷は膨大となってしまうという問題があっ
た。また、ニュートン法系解法を用いる場合には、局所
最小値に陥るという問題があった。
【0025】この発明は上記の事情に鑑みてなされたも
ので、誤差関数内の各特性量についての誤差要素の値に
大小の差があったとしても、誤差要素の値を各特性量ご
とに充分に減少させることができる物性モデルのパラメ
ータ抽出方法であって、さらに、真の解を得るためのパ
ラメータの検索、即ちパラメータの抽出を効率良くかつ
迅速に行うことができる技術を提供することを目的とし
ている。
【0026】またコンピュータにかかるパラメータ抽出
を行わせるプログラムを記憶する媒体を提供することも
目的とする。
【0027】更にはかかるパラメータ抽出技術を採用し
た物性シミュレーションを含む非線形素子の製造方法を
提供することも目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、(a)少なくとも一つの外部要因からなる外部要因
群の複数vi(i=1,2,…,m)の各々に対応し
て、それぞれ1乃至z番目(z≧2)の特性量giy(y
=1,2,…,z)からなる特性量群giが得られる物
性に関し、各々の前記特性量群gs(sはiの採る任意
の一つの値を示す)に対応する計算値の各々を、対応す
る前記外部要因群vs及び複数のパラメータからなるパ
ラメータ群Pの関数fy(vs,P)として与える物性モ
デルを適用するステップと、(b)複数のサンプルの前
記物性を観測することにより得られた前記特性量giy
観測値の分散σiy 2で、各々の前記特性量giyとこれに
対応する前記関数fy(vi,P)との差の平方を除した
値を、前記外部要因群の複数に亘って総和することで誤
差関数Sを求め、前記誤差関数Sに対し、その最小値を
与える前記パラメータ群Pを抽出するステップとを備え
る物性モデルのパラメータ抽出方法である。
【0029】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の物性モデルのパラメータ抽出方法であって、前記ステ
ップ(b)は、前記パラメータ群Pを更新しつつ、前記
誤差関数Sの値を繰り返し求めることにより、その最小
値を与える前記パラメータ群Pを抽出するステップ(b
−a)であって、前記誤差関数Sの値がχ2分布に従う
ことを利用して、更新された前記パラメータ群Pを用い
て計算した前記関数f y(vs,P)が前記複数のサンプ
ルから得られた各々の特性量群gsの前記観測値を再現
できているかどうかを検定し、再現できている場合に
は、そのときの前記パラメータ群Pを、前記誤差関数S
の最小値を与えるパラメータ群として抽出するステップ
(b−1)を含む物性モデルのパラメータ抽出方法であ
る。
【0030】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載
の物性モデルのパラメータ抽出方法であって、前記ステ
ップ(b)は、前記ステップ(b−1)において、前記
関数fy(vs,P)が前記複数のサンプルから得られた
各々の特性量群gsの前記観測値を再現できていない場
合には、前記パラメータ群Pを更新して求められた前記
誤差関数Sの値が最小値とみなすことができるかどうか
判断し、最小値とみなせる場合には、そのときの前記パ
ラメータ群Pを、前記誤差関数Sの最小値を与えるパラ
メータ群として抽出するステップ(b−2)と、前記ス
テップ(b−2)において、前記誤差関数Sの値が最小
値とみなせなかった場合には、前記更新の回数が所定の
回数を超えたかどうか判断し、超えた場合には、そのと
きの前記パラメータ群Pを、前記誤差関数Sの最小値を
与えるパラメータ群として抽出し、超えなかった場合に
は、前記パラメータ群Pの更新を行って前記誤差関数S
の値を求め前記ステップ(b−1)に戻るステップ(b
−3)とをさらに含む物性モデルのパラメータ抽出方法
である。
【0031】請求項4に記載の発明は、請求項3に記載
の物性モデルのパラメータ抽出方法であって、前記ステ
ップ(b−3)において前記更新の回数が前記所定の回
数を超えたかどうか判断を行う際に、超えたと判断され
た場合には、そのときの前記パラメータ群Pを前記誤差
関数Sの最小値を与えるパラメータ群として抽出する代
わりに、前記誤差関数Sの最小値を与える前記パラメー
タ群Pを抽出する前記ステップ(b−a)の手法を変化
させて、再び前記ステップ(b−1)〜(b−3)を行
う物性モデルのパラメータ抽出方法である。
【0032】請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請
求項4のいずれかに記載の物性モデルのパラメータ抽出
方法を単独で、若しくは予めコンピュータに備えられた
プログラムと相俟って、前記コンピュータに実行させる
プログラムが記録された、コンピュータ読み取り可能な
記録媒体である。
【0033】請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請
求項4のいずれかに記載の物性モデルのパラメータ抽出
方法を用いたデバイスモデリングを採用する特性シミュ
レーションと、前記特性シミュレーションに基づく物理
的プロセスとを実行して非線形素子を作製する非線形素
子の製造方法である。
【0034】
【発明の実施の形態】<実施の形態1> A.基本的な考え方:本実施の形態は、誤差関数内の各
特性量についての誤差要素の値に大小の差があったとし
ても、誤差要素の値を各特性量ごとに充分に減少させる
ことができる物性モデルのパラメータ抽出方法である。
【0035】本実施の形態の詳細な説明を行う前に、本
実施の形態の基本的な考え方について説明する。本実施
の形態においても従来の技術と同様、少なくとも一つの
外部要因からなる外部要因群vi(i=1,2,3,
…,m)と、これらに対して得られる少なくとも一つの
特性量からなる特性量群giとが非線形の関係にある非
線形素子の物性として、物性モデルが設定される。そし
てこの物性モデルは、複数のパラメータからなるパラメ
ータ群P及び外部要因群viの関数f(vi,P)として
設定される。また、この物性モデルに基づいた誤差関数
Sが設定される。
【0036】ただし、本実施の形態においては、u個
(u≧2)の試作品の物性を観測またはデバイスシミュ
レーションで計算することにより得られた誤差要素の平
方を、対応する各特性量の観測値の分散で除した値を、
外部要因群の複数(例えば総数m)に亘って総和したも
のを、物性モデルの誤差関数Sとして採用する。
【0037】そして、この誤差関数Sの値が最小となる
パラメータの組み合わせを求めることでパラメータの抽
出を行う。
【0038】なお、本発明は、上述のようにパラメータ
を有する関数で設定される物性モデルが採用される技術
であれば、半導体分野に限定されずに、他の分野、例え
ば電気、機械、化学の分野においても適用できる。以下
では半導体装置の製造方法の分野を例に取って説明す
る。
【0039】B.半導体装置の製造方法への適用: b1)半導体装置の製造方法の概観.図1は本発明が適
用可能なLSI装置の製造工程の概略を例示するフロー
チャートである。製造工程は設計工程群90と、物理的
プロセスである半導体プロセス工程905とに大別され
る。設計工程群90は機能設計工程901、論理設計工
程902、回路設計工程903、レイアウト設計工程9
04に大別される。半導体プロセス工程905は設計工
程群90から得られた情報に基づいて半導体プロセスを
遂行し、LSI装置300が得られる。
【0040】回路設計工程903は回路シミュレータ
1、パラメータ抽出装置3を採用して実行される。その
他にも例えばタイミングシミュレータ201をも採用す
る場合がある。回路シミュレータ1は回路シミュレーシ
ョンを行う主体であり、そこで用いるパラメータを供給
するパラメータ抽出装置3には製造されたLSI装置3
00についての実測値や、デバイスシミュレータ202
からのシミュレーション結果が入力される。パラメータ
抽出装置3で決定されたパラメータが格納されるパラメ
ータデータベース2も、回路設計工程903において採
用されていても良い。図1においては回路設計工程90
3において回路シミュレータ1、パラメータデータベー
ス2、パラメータ抽出装置3、タイミングシミュレータ
201が採用される態様を、回路設計工程903を示す
ブロックで囲んで示している。
【0041】なお、図1は模式的に示されており、設計
工程群90の有する各工程901〜904が独立して存
在する必要はなく、パラメータ抽出装置3はハードウェ
アとして個別に実現される必要もない。例えば設計工程
群90の全体が、所定のプログラムに基づいて動作する
単体の計算機で実現されても良い。もちろんパラメータ
抽出装置3の処理を実行させるための専用ソフトウェア
を用いても良いし、従来から存在する、設計工程群90
の全体を動作させるためのソフトウェアに対するパッチ
プログラムによって、パラメータ抽出装置3の処理を実
行させても良い。これらのソフトウェアやプログラムは
コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録させること
ができる。
【0042】図2は本発明にかかるパラメータ抽出装置
3の動作を示すフローチャートである。まず、パラメー
タアナライザ、LCRメータ等の測定器を用いて測定さ
れた実測値が初期値決定部11に入力される。これらの
測定器は自動制御によって動作することが望ましい。あ
るいはデバイスシミュレータ202から得られたデバイ
スシミュレーション結果が入力されても良い。
【0043】デバイスモデリングにおけるパラメータを
決定するため、通常は繰り返し計算が行われる。この繰
り返し計算を効率良く行うため、初期値決定部11にお
いてパラメータの初期値を決定する。この初期値を適切
に選定することが、最終的に得られるパラメータの精度
に大きく関与する。そのため、初期値決定部11ではデ
バイスの動作領域や形状を限定した簡単なモデルを採用
し、陽的に、従って繰り返し計算を必要とすることなく
パラメータのうちの幾つかの初期値を決定する。
【0044】例えばMISトランジスタの動作におい
て、ドレイン電圧Vdsが小さい線形領域でのドレイン電
流Idsは、上述のようにほぼβ(Vgs−Vth−Vds
2)Vdsで得られる。このようなモデルに基けば、ドレ
イン電流Idsのゲート電圧Vgsに対する依存性を実測値
から求め、外挿及び傾きを計算してそれぞれしきい値電
圧Vth及び係数βが求められる。
【0045】このように定まった幾つかのパラメータの
初期値が、実測値あるいはデバイスシミュレータ結果と
共にパラメータ最適化部12へと与えられ、パラメータ
が決定される。パラメータ最適化部12の動作の詳細に
ついては後述する。
【0046】パラメータ最適化部12から得られたパラ
メータを用いて計算されたデバイス特性は、実測値から
得られたデバイス特性、例えばドレイン電流Idsのドレ
イン電圧Vdsに対する依存性と精度検証部(表示装置)
13上で重ね合わせて表示され、決定されたパラメータ
の精度を視覚的に確認する。図2においてはドレイン電
流Idsのドレイン電圧Vdsに対する依存性が種々のゲー
ト電圧V1,V2,V3に対してプロットされた場合が例
示されている。
【0047】そしてパラメータの精度が満足すべきもの
であることが確認されれば、再利用可能とすべく、パラ
メータデータベース2へとパラメータが格納される。
【0048】なお、図2は模式的に示されており、各部
11〜13が独立して存在する必要はない。例えばパラ
メータ抽出装置3の全体が、所定のプログラムに基づい
て動作する単体の計算機で実現されても良い。もちろん
パラメータ最適化部12の処理を実行させるための専用
ソフトウェアを用いても良いし、従来から存在する、設
計工程群90の全体を動作させるためのソフトウェアに
対するパッチプログラムによってパラメータ最適化部1
2の処理を実行させても良い。これらのソフトウェアや
プログラムはコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記
録させることができる。それにより、物性モデルのパラ
メータ抽出方法をコンピュータに実行させることができ
る。
【0049】また、本実施の形態に係る物性モデルのパ
ラメータ抽出方法を用いたデバイスモデリングを採用す
る特性シミュレーションを行い、その特性シミュレーシ
ョンに基づく物理的プロセスを実行してMISトランジ
スタ等の非線形素子を作製すれば、精度良くかつ計算コ
ストの低い特性シミュレーションに基づいて物理的プロ
セスが実行されるので、作製される非線形素子も設計仕
様に近く、またコストが低く実現できる。
【0050】b2)パラメータ抽出の概観.図3はパラ
メータ最適化部12の処理を分解して示すフローチャー
トである。このフローチャートは、A.節で説明された
誤差関数Sに対し、その最小値を与えるパラメータ群P
を抽出するステップを説明したものである。
【0051】まず、ステップS01において、数え上げ
的手法(combinatorial optimization method)やニュー
トン法系解法などの最小値ソルバを用いてパラメータ検
索が実行される。ここでいう最小値ソルバとは、パラメ
ータ群Pを更新しつつ、誤差関数Sの値を繰り返し求め
ることにより、その最小値を与えるパラメータ群Pを抽
出する解法のことを指す。最小値ソルバの例として、数
え上げ的手法をb3)節で、ニュートン法系解法をb
4)節で詳述する。
【0052】そして、ステップS02において誤差関数
Sの値が最小値とみなすことができるかどうか判断され
る。その判断は、各最小値ソルバに応じた収束判定条件
により行えばよい。そして、誤差関数Sの値が充分小さ
いと判断されれば誤差関数Sが収束したとみなして、そ
のときのパラメータ群Pを、誤差関数Sの最小値を与え
るパラメータ群として抽出する(ステップS04)。
【0053】一方、誤差関数Sの値が最小値とみなせな
かった場合には、ステップS03において、パラメータ
群Pの更新回数♯Iter(初期値0)が所定の回数Imax
を超えたかどうか判断される。そして、超えた場合には
誤差関数Sが収束したとみなして、そのときのパラメー
タ群Pが、誤差関数Sの最小値を与えるパラメータ群と
して抽出される。一方、超えなかった場合には、ステッ
プS01に戻り、最小値ソルバがパラメータ群Pの更新
を行って誤差関数Sの値を再度、求める。
【0054】なお、図3のフローチャートに示された
「♯Iter++」は、更新回数♯Iterがインクリメント
されることを示している。
【0055】さて、本実施の形態においては、A.節で
説明したように、MISトランジスタ等の非線形素子の
誤差関数Sは以下の式(2)で示される。
【0056】
【数2】
【0057】外部要因群vi、特性量群giy、パラメー
タ群P、関数fy(vi,P)はいずれも、従来の技術の
説明で述べた通りであり、分散σiy 2は特性量群giのy
番目の特性量の観測値の分散である。なおここでは、特
性量の種類がy個(y=1,2,…,z)存在すること
を明示する目的で添え字yを表示し、yについての総和
を採る形式で表示している。
【0058】iの採る任意の一つの値sにおける特性量
群gsは、以下の式(3)で表される。
【0059】
【数3】
【0060】ここで、gsyq(vs)は、q番目のサンプ
ルに対して外部要因群vsが与えられた場合に得られる
特性量群gsのy番目の特性量の観測値であり、uはサ
ンプルの個数である。例えばチップ上に一つ形成される
MISトランジスタを例に採れば、実デバイス製作また
はデバイスシミュレーションのいずれかで得られた複数
のチップのq番目のサンプルの、例えば1番目の特性量
のドレイン電流Idsの外部要因群vsたる条件下での観
測値がgs1q(vs)に相当する。なお式(3)を見れば
分かるように、特性量gsyはサンプル個々の物性の観測
値gsyq(vs)の平均値となっている。
【0061】また、特性量群gsの分散σs 2および特性
量ごとの分散σsy 2は、以下の式(4)で表される。
【0062】
【数4】
【0063】なお、ここでいう分散σsy 2は不偏推定値
である。そのため、式(4)は、標本分散にu/(u−
1)を乗じて得られる値となっている。すなわち、標本
分散の場合は式(4)の分母にu−1ではなくuが用い
られる値となるが、サンプルの母集団の分散を不偏推定
値として表現するために、標本分散にu/(u−1)を
乗じた値を式(4)に採用するのである。
【0064】ここで特性量群giyの各特性量の観測値の
分散σiy 2を誤差関数Sに導入した理由は以下の通りで
ある。
【0065】式(2)に示すように、複数のサンプルの
観測値の分散σiy 2で各々の特性量giyごとの誤差要素
の平方を除することにより、各特性量giyにおいて生じ
る誤差要素の値に大小の差があったとしても、各特性量
iyごとに分散σiy 2で除されることで、誤差要素に含
まれる観測値のばらつきや偏りの影響を補正することが
できる。すなわち、誤差関数Sは各特性量giyについて
規格化された関数となり、特定の特性量giyの誤差要素
が偏って誤差関数Sに強い影響を与えることがない。
【0066】よって、各特性量において生じる誤差要素
の値に大小の差があったとしても、従来の技術における
第1の問題点のような問題は生じることなく、誤差要素
の値を各特性量ごとに充分に減少させることが可能な物
性モデルのパラメータ抽出方法を得ることができる。
【0067】なお、図3においてステップS01〜S0
4として記載された工程を、一体として処理させるため
のプログラムによって、コンピュータに対して実行させ
ることもできる。あるいはハードウエアを用いてステッ
プS01〜S04として記載された工程を一体として実
行してもよい。また、各ステップS01〜S04を独立
して実行させるプログラムによって、コンピュータに対
して実行させることもできる。
【0068】あるいはステップS01〜S04として記
載された工程をそれぞれ別個に実行するハードウエアを
用いてパラメータ最適化部12を構成しても良い。
【0069】b3)数え上げ的手法.数え上げ的手法の
例として、Simulated Annealingと呼ばれる手法や、Sim
ulated Diffusionと呼ばれる手法(以下それぞれ「SA
法」、「SD法」と仮称する)が公知である。例えばS
A法を半導体素子に適用した例としては“Modeling of
Microwave Semiconductor Devices Using Simulated An
nealing Optimization”(Man-Kuan Vai, et al., IEEE
Trans. Electron Devices, Vol.ED-36, No4,pp761-76
2, Apr. 1989、以下「文献1」とする)があり、SD法
を半導体素子に適用した例としては“Fast Simulated D
iffusion: An Optimization Algorithmfor Multiminimu
m Problems and Its Application to MOSFET Model Par
ameterExtraction”(T. Sakurai, et al., IEEE Tran
s. computer-Aided Design, Vol.CAD-11, No2, pp228-2
33, Feb. 1992、以下「文献2」とする)がある。
【0070】SA法、SD法では所定の更新量が与えら
れたパラメータを用いて誤差関数Sを求め、誤差関数S
が増大する場合には確率Qで上記更新量が与えられたパ
ラメータを、更新されたパラメータとして採用する。例
えば文献1では、更新の基礎量V0と乱数R(0≦R≦
1)とを用いて、パラメータの更新に供せられる更新量
としてΔV=RV0を採用している。そしてΔVだけ増
加したパラメータが所定の範囲を越えない限り、更新さ
れたパラメータとして次の計算に採用される。また文献
2では、誤差関数Sの勾配に比例した更新量がパラメー
タに加算され、この加算されたパラメータによって得ら
れた誤差関数Sの値が大きくなれば、確率Qを以てその
パラメータを更新されたパラメータとして採用する。具
体的には誤差関数Sの値を増大させたパラメータが得ら
れた場合には乱数Rを発生させ、これが確率Q以下であ
ることを条件としてそのパラメータを更新されたパラメ
ータとして採用する。逆に、得られた誤差関数Sの値が
小さくなればそのパラメータを更新されたパラメータと
して採用する。
【0071】SA法、SD法のいずれにもいわゆるメト
ロポリス法が採用される。メトロポリス法は例えば“Si
mulated Annealing Algorithms: An Overview”(Rob A.
Rutenbar, IEEE Circuits and Devices Magazine, Ja
n., 1989, pp19-25、以下「文献3」とする)に紹介され
ている。これをSA法、SD法に則していえば、誤差関
数Sが増加量δS(>0)だけ増加する確率Qを、ex
p(−δS/T)として求め、0<Q≦1が成立する。
【0072】ここで除数Tはパラメータを更新して繰り
返し計算を行う度に減少して更新される所定量である。
例えば文献1では擬温度(pseudo-temperature)と呼ば
れ、その初期値は500以上に設定され、繰り返し計算
の度に90%の値へと更新される。
【0073】SA法、SD法において収束判定条件とし
ては、例えばパラメータの大きさが所定範囲内にあるか
否かや、乱数の発生回数が予め定められた上限に達した
か否かが採用される。あるいは擬温度Tが十分冷却され
たか否かが採用される。
【0074】その他にも例えば、数え上げ的手法の収束
判定条件として、誤差関数Sが所定回数連続して減少す
るか否かを採用しても良い。
【0075】すなわち、誤差関数Sが所定回数連続して
減少すれば、誤差関数Sはパラメータの更新を伴った繰
り返し計算に対して単調に減少すると判断して数え上げ
的手法を終了する。即ち、k回目の繰り返し計算で得ら
れた誤差関数Sの大きさをS kとして式(5)を以て収
束判定条件とする。
【0076】
【数5】
【0077】連続して誤差関数Sの値が減少する回数t
は、例えば6に設定される。この収束判定条件は図3に
おけるステップS02に相当し、連続するt個の状態の
間、即ちパラメータ群Pを更新して行われたt回の計算
の間で、誤差関数Sが減少すればステップS04へと進
み、そうでなければステップS03へと進む。
【0078】なおSD法では、メトロポリス法に加え
て、更にブラウン運動の揺らぎの項(Brownian)もパラ
メータの更新量の一部として採用する。例えば文献2で
はパラメータの更新に供せられる更新量dxとして、式
(6)が示されている。
【0079】
【数6】
【0080】但し式(6)ではパラメータ群P、誤差関
数Sに相当するものとしてそれぞれパラメータx、関数
fが採用されている。右辺第1項はドリフト項であり、
同第2項がブラウン運動の揺らぎに相当する。但しdw
はガウスのランダムノイズ(Gaussian random noise)
である。
【0081】b4)ニュートン法系解法.誤差関数Sが
最小となる場合には、式(7)が満足されることにな
る。
【0082】
【数7】
【0083】これはパラメータ群Pを構成するパラメー
タp1,p2,…,pnを未知変数とするn次の非線形連
立方程式である。この連立方程式を解くために繰り返し
計算が行われてパラメータ群Pが更新される。更新され
たパラメータ群Pに基づいて得られる誤差関数Sが単調
に減少する手法として、ニュートン法が最も一般的な数
値解法である。この解法においては、パラメータ群Pに
対する更新量ΔPは式(8)の表記を用いて、式(9)
で計算される。
【0084】
【数8】
【0085】
【数9】
【0086】但し、k=1,2,…,nであり、JT
Jの転置行列を示している。また鉤括弧内は関数f
(v,P)のヘシアンを表している。
【0087】更新量ΔPを求める計算効率を向上させる
ために種々の近似手法が用いられており、例えばGauss-
Newton法では関数fの2階微分以上の項を無視して、
【0088】
【数10】
【0089】を採用する。式(10)からは、QR分解
を用いて、逐次的にパラメータ群Pが求められる。
【0090】収束性を更に改善するために、ヘシアンの
近似として、誤差関数Sの大きさが小さくなる方向の成
分を強調するために対角項を付加するLevenberg-Marqua
rdt法が提案されている。この手法に関しては、例えば
“General Optimization andExtraction of IC Device
Model Parameters”(K. Dogains and D.L.Scharfetter,
IEEE Trans. Electron Devices, Vol.ED-30, No9, pp1
219-1228, Sep. 1983)に紹介されている。具体的には、
式(11)に基づいて更新量ΔPを計算する。
【0091】
【数11】
【0092】ここで、Iは単位行列であり、diag()
は、対角成分として()内の行列の対角成分を採用し、
その他の成分としては零を有する行列を示す。また係数
λは繰り返し計算の開始当初は大きく、例えば0.1程
度に設定され、解の近傍においては零となるように設定
される。
【0093】図4は、ニュートン法系解法において式
(10)を用いた場合を示すフローチャートである。ス
テップ124において、第r回目にパラメータ群P(r)
に対し、更新量[ATA]-1Cだけ増加させて、第(r
+1)回目に求められるパラメータ群P(r+1)を計算す
る。そしてステップ125においてパラメータ群P
(r+1)を用いて誤差関数Sを更新する。そしてステップ
126において、誤差関数Sが十分小さいか、即ち所定
の誤差範囲において零であるかが判断される。そして所
定の誤差範囲内で誤差関数Sが零であれば最適化は終了
し、そうでなければステップ127において回数rを1
増加させた後、ステップ124に戻る。
【0094】ステップ126において、更新されたパラ
メータ群P(r+1)が更新前のパラメータ群P(r)と所定の
範囲内に収まると判断されれば、それ以上計算を続けて
もパラメータ群Pの精度を上げることができないので、
最適化は終了する。これがニュートン法系解法における
収束判定条件である。なお、所定の範囲内に収まらなけ
れば、ステップ127を介してステップ124へと戻
る。
【0095】なお、図4におけるステップ124,12
5が図3におけるステップS01に相当し、図4におけ
るステップ126が図3におけるステップS02に相当
する。
【0096】C.変形:文献3ではメトロポリス法にお
いて確率をボルツマン分布の形で扱う場合を述べている
が、文献2に紹介されているようにローレンツ分布を採
用しても良い。また、ボルツマン分布を級数展開して、
その低次項から所定数の項以降を無視した関数を採用し
ても良い。
【0097】<実施の形態2>本実施の形態は、実施の
形態1にかかる物性モデルのパラメータ抽出方法の変形
例であり、誤差要素の値を各特性量ごとに充分に減少さ
せることができるだけでなく、さらに、パラメータの抽
出を効率良くかつ迅速に行うことができる物性モデルの
パラメータ抽出方法である。
【0098】式(2)に示された誤差関数Sを用いて、
物性モデルとして設定された関数f y(vi,P)と観測
値とをフィッティングする際に、どの程度まで誤差関数
Sの値が減少すれば質の良いパラメータ群Pが得られた
と判断すればよいか、という問題がある。
【0099】すなわち、従来の技術の説明において第2
の問題点として示したように、最小値ソルバとして数え
上げ的手法を用いると、真の最小値へ到達するのに必要
な計算負荷は膨大となってしまうという問題があった。
また、ニュートン法系解法を用いる場合には、局所最小
値に陥るという問題があった。
【0100】そこで、何らかの基準に照らし合わせて誤
差の最小化の程度が充分に小さくなったと判断したとき
に、その段階で直ちに計算を終了させてパラメータ群P
の抽出を行う方が効率的である。
【0101】さて、式(2)に示された誤差関数Sに注
目すると、関数fy(vi,P)が観測対象となるu個の
サンプルの母集団についての特性量giyの平均値を表し
ていると考えれば、この式(2)はχ2分布に従うと考
えられる。外部要因群viの各バイアス点(例えばvs
において、特性量gsyの観測値の誤差要因が偶発的なも
のであるとすれば、その母集団における誤差分布は正規
分布をなしていると考えられ、また、式(2)中の特性
量gsyが各サンプルの物性の観測値を表し、分散σsy 2
が母集団の分散の不偏推定値を表しているからである。
【0102】よって、式(2)に示された誤差関数Sが
χ2分布に従うことを利用して、更新されたパラメータ
群Pを用いて計算した関数fy(vs,P)が複数のサン
プルから得られた各々の特性量群gsyの観測値を再現で
きているかどうかを検定し、再現できていると検定され
た場合には、そのときのパラメータ群Pを、誤差関数S
の最小値を与えるパラメータ群として抽出するようにす
ればよい。
【0103】この検定は、関数fy(vi,P)が観測対
象の母集団の平均値を表しているとの仮説が棄却される
か否かを判断することにより行える。すなわち、更新さ
れたパラメータ群Pの各値に基づいて誤差関数Sの値を
計算し、0からその値までのχ2分布関数の積分を行っ
て得られる確率の値が、所定の棄却水準の値の範囲内に
収まるかどうかによって仮説が棄却されるか否か判断す
るのである。そして、仮説が棄却される場合には、その
ときのパラメータ群Pを採用せずに更新を行う。一方、
仮説が棄却されなかった場合には、関数fy(vs,P)
が特性量群gsの観測値を再現できているとみなして、
そのときのパラメータ群Pを質の良いパラメータ群Pと
判断する。
【0104】具体的には、以下の手法により検定を行
う。まず、χ2分布関数は以下の式(12)で表され
る。
【0105】
【数12】
【0106】ここで、Fx(S)はχ2分布関数を、xは
自由度を、Γ()はガンマ関数を、それぞれ表してい
る。なお、自由度xは、外部要因群viのバイアス点の
数mとパラメータ群Pの数nとを用いてx=m−n−1
として計算される。
【0107】そして、式(12)を、以下の式(13)
の左辺に示すように、S=0からS=S0(S0は更新さ
れたパラメータ群Pの各値に基づいて計算された誤差関
数Sの値)まで積分して、χ2分布関数の確率値を計算
する。
【0108】
【数13】
【0109】ここで、右辺の(1−α)は棄却水準を表
し、αとしては例えば0.01、0.05、0.10等
の値が採用される。
【0110】式(13)に示すように、左辺の計算値が
右辺の値よりも小さくなれば、仮説は棄却されず、その
ときのパラメータ群Pが誤差関数Sの最小値を与えるパ
ラメータ群として採用される。一方、左辺の計算値が右
辺の値よりも大きくなれば、仮説は棄却され、そのとき
のパラメータ群Pは採用されず、関数fy(vs,P)が
特性量群gsの観測値を再現できていないと検定され
る。
【0111】なお、更新されたパラメータ群Pを用いて
計算した関数fy(vs,P)が特性量群gsyの観測値を
再現できていないと検定された場合には、実施の形態1
におけると同様の最小値ソルバの収束判定条件を用い
て、そのときのパラメータ群Pが誤差関数Sの最小値を
与えるかどうかを判断すればよい。
【0112】そして、最小値を与えると判断された場合
には、そのときのパラメータ群Pを、誤差関数Sの最小
値を与えるパラメータ群として採用し、最小値を与える
と判断されなかった場合には、実施の形態1におけると
同様、更新の回数に応じてパラメータ群Pの更新を行う
かどうか判断すればよい。
【0113】図5のフローチャートは、上記の一連のス
テップを表したものである。すなわち、ステップS11
は数え上げ的手法やニュートン法系解法などの最小値ソ
ルバを行うステップであり、ステップS12はχ2分布
関数の確率値を計算して、更新されたパラメータ群Pを
用いて計算した関数fy(vs,P)が特性量群gsyの観
測値を再現できているかどうかを検定するステップであ
る。そして、ステップS13は最小値ソルバの収束判定
条件を満たすかどうかを判断するステップであり、ステ
ップS14は更新の回数に応じてパラメータ群Pの更新
を行うかどうか判断するステップである。
【0114】そして、ステップS12において再現でき
ていると検定されたとき、および、ステップS13にお
いて収束判定条件を満たすと判断されたときには、いず
れも、誤差関数Sが収束したとみなして、そのときのパ
ラメータ群Pを、誤差関数Sの最小値を与えるパラメー
タ群として抽出する(ステップS15)。また、ステッ
プS14において、更新の回数#Iterが所定の回数Im
axを超えなかったと判断されたときにはパラメータ群P
を更新してステップS11に戻り、超えたと判断された
ときにはそのときのパラメータ群Pを誤差関数Sの最小
値を与えるパラメータ群として抽出する(ステップS1
5)。
【0115】本実施の形態に係る物性モデルのパラメー
タ抽出方法を用いれば、誤差関数Sの値がχ2分布に従
うことを利用して関数fy(vs,P)が観測値を再現で
きているか検定を行い、再現できていると検定された場
合には、そのときのパラメータ群Pを、誤差関数Sの最
小値を与えるパラメータ群として抽出するので、誤差関
数Sの値が最小値とみなせる程度に収束するまで計算を
繰り返す必要はなく、パラメータ群の抽出を効率的かつ
迅速に行える。
【0116】また、ステップS13,S14を備えてい
るので、関数fy(vs,P)が観測値を再現できていな
いと検定された場合であっても、副次的にパラメータ群
Pの抽出を行うことができる。
【0117】<実施の形態3>本実施の形態は、実施の
形態2にかかる物性モデルのパラメータ抽出方法の変形
例である。すなわち、本実施の形態においては、図5に
示したフローチャートのうちステップS14において更
新の回数#Iterが所定の回数Imaxを超えたときには、
そのときのパラメータ群Pを誤差関数Sの最小値を与え
るパラメータ群として抽出する代わりに、最小値ソルバ
の手法を変更する。そして、新たな最小値ソルバを用い
て、再度、関数fy(vs,P)が観測値を再現できてい
るかの検定、最小値ソルバの収束判定条件を満たすかど
うかの判断、および、更新の回数に応じてパラメータ群
Pの更新を行うかどうかの判断を行う。
【0118】図6は、本実施の形態の一例として、最初
に数え上げ的手法を最小値ソルバに採用し、更新の回数
#Iterが所定の回数Imaxを超えたときにはニュートン
法系解法を最小値ソルバに採用する場合のフローチャー
トである。すなわち、ステップS21は数え上げ的手法
を行うステップであり、ステップS22はχ2分布関数
の確率値を計算して、更新されたパラメータ群Pを用い
て計算した関数fy(vs,P)が特性量群gsyの観測値
を再現できているかどうかを検定するステップである。
そして、ステップS23は最小値ソルバの収束判定条件
を満たすかどうかを判断するステップであり、ステップ
S24は更新の回数に応じてパラメータ群Pの更新を行
うかどうか判断するステップである。なお、ステップS
22において再現できていると検定されたとき、およ
び、ステップS23において収束判定条件を満たすと判
断されたときには、いずれも、誤差関数Sが収束したと
みなして、そのときのパラメータ群Pを、誤差関数Sの
最小値を与えるパラメータ群として抽出する(ステップ
S29)。また、ステップS24において、更新の回数
#Iterが所定の回数Imaxを超えなかったと判断された
ときにはパラメータ群Pを更新してステップS21に戻
る。
【0119】一方、ステップS24において更新の回数
#Iterが所定の回数Imaxを超えたと判断されたときに
は、更新の回数#Iterを初期値0に戻し、最小値ソル
バをニュートン法系解法に変化させる(ステップS2
5)。そして、ステップS22〜S24と同様のステッ
プS26〜S28を行う。
【0120】そして、ステップS26において再現でき
ていると検定されたとき、および、ステップS27にお
いて収束判定条件を満たすと判断されたときには、いず
れも、誤差関数Sが収束したとみなして、そのときのパ
ラメータ群Pを、誤差関数Sの最小値を与えるパラメー
タ群として抽出する(ステップS29)。また、ステッ
プS28において、更新の回数#Iterが所定の回数Im
axを超えなかったときにはパラメータ群Pを更新してス
テップS25に戻り、超えたときにはそのときのパラメ
ータ群Pを誤差関数Sの最小値を与えるパラメータ群と
して抽出する(ステップS29)。
【0121】また図7は、本実施の形態の他の一例とし
て、最初にニュートン法系解法を最小値ソルバに採用
し、更新の回数#Iterが所定の回数Imaxを超えたとき
には数え上げ的手法を最小値ソルバに採用する場合のフ
ローチャートである。図7に示すステップS31〜S3
9は、数え上げ的手法を行うステップS21とニュート
ン法系解法を行うステップS25とを入れ替えた点を除
いては、図6と同様である。
【0122】図6の場合には、最初に数え上げ的手法を
行うので、大域的にある程度、誤差関数Sを最小値に近
づけることができ、その後、ニュートン法系解法によっ
て局所的な最小値を求めることができる。
【0123】一方、図7の場合には最初にニュートン法
系解法を行うので、計算負荷が小さく、早い段階で質の
良いパラメータ群Pを求めることができる場合がある。
そして、ニュートン法系解法で質の良いパラメータ群P
を求めることができなかったとしても、その後、数え上
げ的手法によりパラメータ群Pを求めることが可能であ
る。
【0124】本実施の形態に係る物性モデルのパラメー
タ抽出方法を用いれば、パラメータ群Pの更新の回数が
所定の回数を超えたかどうか判断を行う際に、超えたと
判断された場合には、そのときのパラメータ群Pを、誤
差関数Sの最小値を与えるパラメータ群として抽出する
代わりに、最小値ソルバの手法を変化させて、再び関数
y(vs,P)が観測値を再現できているかの検定、最
小値ソルバの収束判定条件を満たすかどうかの判断、お
よび、更新の回数に応じてパラメータ群Pの更新を行う
かどうかの判断を行うので、例えば数え上げ的手法また
はニュートン法系解法のいずれか一方を最初に最小値ソ
ルバに採用しておき、その手法でパラメータ群Pを抽出
できなかった場合には、他方の手法を最小値ソルバに採
用し直してパラメータ群Pの抽出を再度試みることがで
きる。
【0125】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、ステッ
プ(b)において、複数のサンプルの観測値の分散σiy
2で各々の特性量giyとこれに対応する関数fy(vs
P)との差の平方を除した値を、外部要因群の複数に亘
って総和することで誤差関数Sを求めるので、誤差関数
S内の各特性量において生じる誤差の値に大小の差があ
ったとしても、各特性量ごとに分散σiy 2で除されるこ
とで誤差に含まれる観測値のばらつきや偏りの影響を補
正することができる。よって、誤差関数Sは各特性量に
ついて規格化された関数となり、特定の特性量の誤差が
偏って誤差関数Sに強い影響を与えることはなく、誤差
の値を各特性量ごとに充分に減少させることが可能な物
性モデルのパラメータ抽出方法を得ることができる。
【0126】請求項2に記載の発明によれば、ステップ
(b−1)において、誤差関数Sの値がχ2分布に従う
ことを利用して、関数fy(vs,P)が特性量群gs
観測値を再現できているかどうかを検定し、関数f
y(vs,P)が観測値を再現できていると検定された場
合には、そのときのパラメータ群Pを、誤差関数Sの最
小値を与えるパラメータ群として抽出するので、誤差関
数Sの値が最小値とみなせる程度に収束するまで計算を
繰り返す必要はなく、パラメータ群の抽出を効率的かつ
迅速に行える。
【0127】請求項3に記載の発明によれば、ステップ
(b−1)において、パラメータ群Pを更新して求めら
れた誤差関数Sの値が最小値とみなすことができるかど
うか判断するステップ(b−2)と、更新の回数が所定
の回数を超えたかどうか判断するステップ(b−3)と
をステップ(b)が含むので、関数fy(vs,P)が観
測値を再現できていないと検定された場合であっても、
副次的にパラメータ群Pの抽出を行うことができる。
【0128】請求項4に記載の発明によれば、ステップ
(b−3)において更新の回数が所定の回数を超えたか
どうか判断を行う際に、超えたと判断された場合には、
そのときのパラメータ群Pを、誤差関数Sの最小値を与
えるパラメータ群として抽出する代わりに、ステップ
(b−a)の手法を変化させて、再びステップ(b−
1)〜(b−3)を行うので、例えば数え上げ的手法ま
たはニュートン法系解法のいずれか一方を最初にステッ
プ(b−a)に採用しておき、その手法でパラメータ群
Pを抽出できなかった場合には、他方の手法をステップ
(b−a)に採用し直してパラメータ群Pの抽出を再度
試みることができる。
【0129】請求項5に記載の発明によれば、請求項1
乃至請求項4のいずれか一つに記載の物性モデルのパラ
メータ抽出方法をコンピュータに実行させることができ
る。
【0130】請求項6に記載の発明によれば、精度良く
かつ計算コストの低い特性シミュレーションに基づいて
物理的プロセスが実行されるので、作製される非線形素
子も設計仕様に近く、またコストが低く実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るLSI装置の製造工程の概略を
例示するフローチャートである。
【図2】 本発明に係るパラメータ抽出装置の動作を示
すフローチャートである。
【図3】 実施の形態1に係る物性モデルのパラメータ
抽出方法を示すフローチャートである。
【図4】 ニュートン法系解法を示すフローチャートで
ある。
【図5】 実施の形態2に係る物性モデルのパラメータ
抽出方法を示すフローチャートである。
【図6】 実施の形態3に係る物性モデルのパラメータ
抽出方法を示すフローチャートである。
【図7】 実施の形態3に係る物性モデルのパラメータ
抽出方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 回路シミュレータ、903 回路設計工程。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)少なくとも一つの外部要因からな
    る外部要因群の複数vi(i=1,2,…,m)の各々
    に対応して、それぞれ1乃至z番目(z≧2)の特性量
    iy(y=1,2,…,z)からなる特性量群giが得
    られる物性に関し、各々の前記特性量群gs(sはiの
    採る任意の一つの値を示す)に対応する計算値の各々
    を、対応する前記外部要因群vs及び複数のパラメータ
    からなるパラメータ群Pの関数fy(vs,P)として与
    える物性モデルを適用するステップと、 (b)複数のサンプルの前記物性を観測することにより
    得られた前記特性量g iyの観測値の分散σiy 2で、各々
    の前記特性量giyとこれに対応する前記関数fy(vi
    P)との差の平方を除した値を、前記外部要因群の複数
    に亘って総和することで誤差関数Sを求め、前記誤差関
    数Sに対し、その最小値を与える前記パラメータ群Pを
    抽出するステップとを備える物性モデルのパラメータ抽
    出方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の物性モデルのパラメー
    タ抽出方法であって、 前記ステップ(b)は、 前記パラメータ群Pを更新しつつ、前記誤差関数Sの値
    を繰り返し求めることにより、その最小値を与える前記
    パラメータ群Pを抽出するステップ(b−a)であっ
    て、 前記誤差関数Sの値がχ2分布に従うことを利用して、
    更新された前記パラメータ群Pを用いて計算した前記関
    数fy(vs,P)が前記複数のサンプルから得られた各
    々の特性量群gsの前記観測値を再現できているかどう
    かを検定し、再現できている場合には、そのときの前記
    パラメータ群Pを、前記誤差関数Sの最小値を与えるパ
    ラメータ群として抽出するステップ(b−1)を含む物
    性モデルのパラメータ抽出方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の物性モデルのパラメー
    タ抽出方法であって、 前記ステップ(b)は、 前記ステップ(b−1)において、前記関数fy(vs
    P)が前記複数のサンプルから得られた各々の特性量群
    sの前記観測値を再現できていない場合には、前記パ
    ラメータ群Pを更新して求められた前記誤差関数Sの値
    が最小値とみなすことができるかどうか判断し、最小値
    とみなせる場合には、そのときの前記パラメータ群P
    を、前記誤差関数Sの最小値を与えるパラメータ群とし
    て抽出するステップ(b−2)と、 前記ステップ(b−2)において、前記誤差関数Sの値
    が最小値とみなせなかった場合には、前記更新の回数が
    所定の回数を超えたかどうか判断し、超えた場合には、
    そのときの前記パラメータ群Pを、前記誤差関数Sの最
    小値を与えるパラメータ群として抽出し、超えなかった
    場合には、前記パラメータ群Pの更新を行って前記誤差
    関数Sの値を求め前記ステップ(b−1)に戻るステッ
    プ(b−3)とをさらに含む物性モデルのパラメータ抽
    出方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の物性モデルのパラメー
    タ抽出方法であって、 前記ステップ(b−3)において前記更新の回数が前記
    所定の回数を超えたかどうか判断を行う際に、超えたと
    判断された場合には、そのときの前記パラメータ群Pを
    前記誤差関数Sの最小値を与えるパラメータ群として抽
    出する代わりに、前記誤差関数Sの最小値を与える前記
    パラメータ群Pを抽出する前記ステップ(b−a)の手
    法を変化させて、再び前記ステップ(b−1)〜(b−
    3)を行う物性モデルのパラメータ抽出方法。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載
    の物性モデルのパラメータ抽出方法を単独で、若しくは
    予めコンピュータに備えられたプログラムと相俟って、
    前記コンピュータに実行させるプログラムが記録され
    た、コンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載
    の物性モデルのパラメータ抽出方法を用いたデバイスモ
    デリングを採用する特性シミュレーションと、 前記特性シミュレーションに基づく物理的プロセスとを
    実行して非線形素子を作製する非線形素子の製造方法。
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