JP2002154016A - 接触面を有する部材及び接触面の仕上げ加工方法 - Google Patents

接触面を有する部材及び接触面の仕上げ加工方法

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JP2002154016A
JP2002154016A JP2001269381A JP2001269381A JP2002154016A JP 2002154016 A JP2002154016 A JP 2002154016A JP 2001269381 A JP2001269381 A JP 2001269381A JP 2001269381 A JP2001269381 A JP 2001269381A JP 2002154016 A JP2002154016 A JP 2002154016A
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finishing
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rolling
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JP2001269381A
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English (en)
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Takao Taniguchi
孝男 谷口
Kazumasa Tsukamoto
一雅 塚本
Koji Obayashi
巧治 大林
Fumihiro Honda
文洋 本多
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Aisin AW Co Ltd
Original Assignee
Aisin AW Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の砥粒を用いた表面仕上げ方法よりも容
易に表面粗さを小さくできる接触面の仕上げ加工方法及
び優れた接触面を有する部材を提供すること。 【解決手段】 他部材と接触して転がり又は滑りを行う
接触面を有する被加工部材1の接触面を仕上げ加工する
方法において,被加工部材1に少なくとも1つの対向部
材2を接触させた状態で,両者の接触部分に,砥粒を含
有しない水4又は水溶液を供給しながら転がり又は滑り
運動させることにより,被加工部材1の接触面に表面粗
さの小さい面を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,接触面を有する部材の接触面の
仕上げ加工方法に関する。
【0002】
【従来技術】自動車,工作機械,その他の各種の機械装
置には非常に多くの部品が,互いに接触した状態で組み
込まれている。他の部品と接触する接触面を有する部材
としては,代表的には歯車があるが,それ以外の部品も
多々存在する。例えば,円筒状の部材の内周面あるいは
外周面を他の部品との接触面とする部材,あるいは,円
錐形状のテーパ面全体を接触面とする部材などがある。
これらの接触面を有する部材を作製するに当たっては,
その最終工程において,表面粗さを小さくするための仕
上げ加工を行う。
【0003】従来の仕上げ加工方法としては,例えば,
ホーニング,超仕上げ,ラッピング,ポリシングと呼ば
れるような砥粒を用いた研磨仕上げ方法,化学腐食液を
用いた化学研磨方法等がある。また,上記各方法とその
他の方法を組み合わせたような方法も種々の提案されて
いる。
【0004】
【解決しようとする課題】しかしながら,上記従来の仕
上げ加工方法には,未だ改善点がある。即ち,上記砥粒
を用いる方法では,砥粒の粒径よりも表面粗さを小さく
することが困難であり,必ずしも十分な表面粗さの低減
が図れない。そして,十分な表面粗さ低減がなされない
ままその部品を機械装置に組み込んだ場合には,騒音や
振動が大きくなる場合がある。また,化学研磨の場合に
は,非常に加工時間が長くなるという問題もある。ま
た,状況によっては摩擦抵抗が大きくなり,接触面での
エネルギー損失が大きくなり,機械装置の効率も悪化す
る場合がある。
【0005】本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてな
されたもので,従来の砥粒を用いた表面仕上げ方法より
も容易に表面粗さを小さくできる接触面の仕上げ加工方
法及びその優れた接触面を有する部材を提供しようとす
るものである。
【0006】
【課題の解決手段】請求項1の発明は,他部材と接触し
て転がり又は滑りを行う接触面を有する被加工部材の該
接触面を仕上げ加工する方法において,上記被加工部材
に少なくとも1つの対向部材を接触させた状態で,両者
の接触部分に,砥粒を含有しない水又は水溶液を供給し
ながら転がり又は滑り運動させることにより,上記被加
工部材の上記接触面に表面粗さの小さい面を得ることを
特徴とする接触面の仕上げ加工方法にある。
【0007】本発明において最も注目すべき点は,上記
のごとく,被加工部材と対向部材を接触させ,その接触
部分に,水又は水溶液を供給しながら両者を転がり又は
滑り運動させること,そして,上記水又は水溶液には,
砥粒をまったく含有させないことである。なお,上記水
又は水溶液の供給は液体状態だけでなく気体状態で行う
こともできる。
【0008】上記被加工部材としては,円筒状,円柱
状,円錐状,平板状など形状は問わず,少なくとも,そ
の一部の表面に,他部材との接触面を有する部材を適用
することができる。なお,代表的な部材としては上記接
触面として歯面を有する歯車がある。
【0009】被加工部材の材質としては,炭素鋼,合金
鋼をはじめとする金属材料のほかに,セラミック等の種
々の材質を適用することができる。また,上記対向部材
としては,後述するごとく被加工部材において実使用す
る部材と同形状のものでもよいし,異なる形状のもので
もよい。
【0010】次に,本発明の作用効果につき説明する。
本発明の接触面の仕上げ加工方法においては,上記のご
とく被加工部材に接触させる対向部材を少なくとも1つ
準備する。そして,この対向部材を被加工部材の接触面
に接触させた状態で,その接触部分に,砥粒を含有しな
い水又は水溶液を供給しながら両者を転がり又は滑り運
動させる。これにより,被加工部材の接触面は,表面粗
さの小さい優れた接触面となる。
【0011】即ち,上記被加工部材に対向部材を接触さ
せた接触部分に上記水又は水溶液を供給することによ
り,被加工部材の接触面は,空気中に晒されている場合
よりも酸化され易い雰囲気に晒されることとなる。ま
た,被加工部材の接触面上において対向部材を滑り又は
転がり運動させることにより,接触面にエネルギーが付
与される。
【0012】これにより,接触面の表面の酸化が促進さ
れると共に,酸化物が除去される。即ち,いわゆるメカ
ノケミカル的な作用が,上記接触面に付与される滑り又
は転がり運動によって適切に制御されながら発現され
る。それ故,被加工部材の接触面は,実使用時に最適な
形状及び表面粗さを持った状態に改善される。
【0013】また,上記水又は水溶液には,砥粒を一切
含有していない。そして,砥粒による研削ではなく,上
記の酸化促進と酸化物の除去というメカニズムによって
表面の平滑化を図る。そのため,上記被加工部材の接触
面には,砥粒を用いて研削した場合のような研削跡等が
生じない。それ故,被加工部材の接触面は従来よりも非
常に表面粗さの小さい面となる。また,上記のごとく,
接触面上に転がり又は滑り運動を与えるので,その面圧
によって面強度の向上及び耐久性,耐摩耗性の向上をも
得られる場合がある。
【0014】また,このような表面粗さの向上効果は,
上記被加工部材が炭素鋼などの金属である場合だけでな
くセラミックその他の場合であっても有効に発揮され
る。
【0015】次に,請求項2の発明のように,上記対向
部材の接触面は,上記被加工部材の接触面の表面粗さと
同等又はそれ以下の表面粗さを有することが好ましい。
対向部材の接触面が被加工部材の接触面よりも大きな表
面粗さを有している場合には,対向部材の接触面の凸部
により被加工部材の接触面に研削跡等が生じるおそれが
ある。
【0016】また,請求項3の発明のように,上記対向
部材の接触面は,上記被加工部材の接触面の硬度と同等
又はそれ以上の硬度を有することが好ましい。対向部材
の接触面の硬度が被加工部材の接触面の硬度よりも低い
場合には,対向部材の接触面が被加工部材の凸部により
研削跡等を生じる。さらに,対向部材の硬度が小さい場
合には,対向部材の接触面で塑性変形が生じてしまい,
接触面の酸化物の生成,その除去作用が円滑に進まない
という問題が生ずる。
【0017】また,請求項4の発明のように,上記被加
工部材は鉄を主成分とする合金とすることができる。即
ち,機械部品等に広く使用されている炭素鋼,合金鋼,
ステンレス鋼等の鉄を主成分とする合金部材に設けた接
触面を仕上げ加工する際に,上記の優れた仕上げ加工方
法を適用することができる。それ故,非常に表面粗さの
小さい接触面を有する機械部品を容易に作製することが
できる。
【0018】また,請求項5の発明のように,上記対向
部材は上記被加工部材又はこれと同形の部材と実使用時
において組み合わせて使用される実部材であることが好
ましい。この場合には,上記仕上げ加工を実施する際
に,実使用時とほぼ同様の転がりまたは滑り運動をさせ
ることができ,実使用時に最も適した状態に上記接触面
を仕上げることができる。またこの場合には,対向部材
の接触面も被加工部材の接触面と同時に最適な状態に仕
上げられるので,製造工程を合理化することができる。
また,上記被加工部材と対向部材とは,実使用時におい
て必ずしも同じ組み合わせで使用する必要はないが,実
使用時においても同じ組合せとすることによって,振動
や騒音の抑制効果を向上させることができる。
【0019】また,請求項6の発明のように,上記対向
部材は上記被加工部材よりも耐酸化性に優れた部材であ
ることが好ましい。この場合には,上記対向部材を,基
準となるいわゆるマスター部材として複数回使うことが
でき,被加工部材の仕上がり状態の安定性を向上させる
ことができる。
【0020】また,請求項7の発明のように,上記被加
工部材と上記対向部材とは,接触させた両者の接触面の
間に5MPa以上の圧力を付与した状態で転がり又は滑
り運動させることが好ましい。上記圧力が5MPa未満
の場合には被加工部材の接触面の酸化促進作用が小さく
なる可能性がある。一方,実使用時の圧力よりもあまり
にも高いと被加工部材に大きな変形を生じさせた状態
で,接触面仕上げを行うこととなり,実使用時において
の接触状態にずれが生じてしまう。また,炭素鋼,合金
鋼をはじめとする金属材料の被加工部材の場合,部材自
体の強度上の問題から,上記圧力は実使用時の圧力以下
とすることが好ましい。金属材料以外のセラミックなど
の部材に適用する場合も,同様に被加工部材の強度,実
使用時圧力を考慮して上記圧力を設定すればよい。
【0021】また,請求項8の発明のように,上記対向
部材の接触面は,表面粗さRzが0.5〜10の範囲に
あることが好ましい。対向部材の表面粗さRzが0.5
未満の場合には,かえって被加工部材から仕上げ作用を
大きく受け,対向部材の摩耗が大きくなるという問題が
あり,一方,Rzが10を超える場合には,対向部材の
接触面の凸部により被加工部材の接触面に研削跡等が生
じるという問題がある。
【0022】また,請求項9の発明のように,上記水溶
液は,フッ酸,硝酸,シュウ酸,過酸化水素,硫酸,塩
酸,塩化ナトリウムの少なくとも一種を含有させること
ができる。即ち,上記接触部分に供給するものは水だけ
でも良いが,水に所定の溶質を溶解させた水溶液でも良
い。そして,この水溶液に溶解させる溶質としては,上
記のごとく酸化性を向上させる各種の物質,及びその混
合物とすることができる。この場合には,上記接触面上
での滑り又は転がりの運動により酸化促進作用を向上さ
せ,これにより,仕上げ加工時間を短縮することができ
る。
【0023】また,請求項10の発明のように,上記転
がり又は滑り運動に伴う上記被加工部材の振動又は騒音
が所望の大きさとなるまで上記転がり又は滑り運動をさ
せることが好ましい。被加工部材の振動又は騒音を上記
転がり又は滑り運動を行う期間の判断に用いることによ
って,被加工部材の接触面の状態を的確に判断すること
ができる。
【0024】具体的に上記振動又は騒音が所望の大きさ
になることを判断する方法としては,実際に上記被加工
部材の振動又は騒音を測定しながら加工を行う方法と,
予備実験等によって振動又は騒音が所望の大きさになる
加工時間等を求めておき,振動又は騒音を直接測定しな
がらではなく,加工時間等に基づいて振動又は騒音が所
望の大きさとなることを判断する方法もある。
【0025】また,請求項11の発明のように,上記接
触面の粗さが所望の大きさとなるまで上記転がり又は滑
り運動をさせることも好ましい。例えば,予備実験等に
よって上記接触面の面粗さが所望の大きさになる加工時
間等を求めておき,面粗さを直接測定しながらではな
く,加工時間等に基づいて面粗さが所望の大きさとなる
ことを判断する方法を取ることができる。
【0026】また,請求項12の発明は,上記転がり又
は滑り運動は,上記被加工部材の振動又は騒音を測定し
ながら行い,振動又は騒音の測定値に基づいて上記転が
り又は滑り運動を終了させる方法である。この方法で
は,振動又は騒音が所望の値に達したことを直接把握す
ることができ,加工時間をより一層最適化することがで
きる。上記振動又は騒音の測定値が最適な状態に到達し
たことを判断する方法としては,様々な方法がある。
【0027】例えば,請求項13の発明のように,上記
振動又は騒音の測定は,一定又は不定の時間間隔をおい
て連続的に行い,得られた測定値が所定値よりも小さく
なった時点で上記転がり又は滑り運動を終了させること
ができる。
【0028】また,請求項14の発明のように,上記振
動又は騒音の測定は,一定又は不定の時間間隔をおいて
連続的に行い,得られた測定値が連続して3回以上増加
に転じた時点で上記転がり又は滑り運動を終了させるこ
ともできる。これは,上記振動又は騒音の測定値の変極
点を上記連続3回以上の測定値の増加によって判断し,
この時点を最適な加工が完了した時点と判断するもので
ある。
【0029】また,請求項15の発明のように,上記振
動又は騒音の測定は,一定又は不定の時間間隔をおいて
連続的に行い,得られた測定値の経時変化の時間Xに関
する近似式aX+bを求め,該近似式の傾きであるaが
負から正へと転じた時点で上記転がり又は滑り運動を終
了させることもできる。これは,上記振動又は騒音の測
定値の変極点を上記近似式の傾きによって判断し,この
時点を最適な加工が完了した時点と判断するものであ
る。上記いずれの判断方法によっても,騒音又は振動の
測定値を用いて,加工の終了時点を的確に判断すること
ができる。また,上記例示した方法以外の判断方法を採
用することも勿論可能である。
【0030】また,請求項16の発明は,表面粗さの小
さい面が得られるように接触面に仕上げ加工を施してな
る部材において,該部材の接触面の上記仕上げ加工は,
請求項1〜9のいずれか1項に記載の接触面の仕上げ加
工方法により行っていることを特徴とする接触面を有す
る部材にある。この部材は,上記の仕上げ加工方法によ
り仕上げ加工した接触面を有しているので,機械装置に
組み込まれて作動した際に非常に振動や騒音の少ない静
粛性に優れたものとなる。
【0031】また,請求項17の発明は,互いに接触し
て転がり又は滑りを行う接触面を有する被加工部材と他
の被加工部材のそれぞれの接触面を仕上げ加工する方法
において,上記被加工部材に少なくとも1つの他の被加
工部材を接触させた状態で,両者の接触部分に,砥粒を
含有しない水又は水溶液を供給しながら転がり又は滑り
運動させることにより,上記被加工部材と上記他の被加
工部材のそれぞれの接触面に表面粗さの小さい面を得る
ことを特徴とする接触面の仕上げ加工方法にある。
【0032】本発明においては,上記仕上げ加工を実施
する際に,複数の被加工部材のそれぞれの接触面を同時
に仕上げ加工することができる。そのため,製造工程の
合理化を図ることができる。また,上記被加工部材と他
の被加工部材とは,実使用時において必ずしも同じ組み
合わせで使用する必要はないが,実使用時においても同
じ組合せとすることによって,振動や騒音の抑制効果を
向上させることができる。また,上記仕上げ加工の終了
条件は,予め予備実験等で振動又は騒音が小さくなる仕
上げ加工時間などの仕上げ加工条件を求め,その求めた
仕上げ加工条件に基づいて仕上げ加工することも考えら
れる。また,歯面粗さを目標にして仕上げ加工条件を決
めてもよい。
【0033】
【発明の実施の形態】実施形態例1 本発明の実施形態例にかかる接触面を有する部材及びそ
の接触面の仕上げ加工方法につき,図1,図2を用いて
説明する。本例では,接触面を有する被加工部材1の代
表として,歯車を例にとる。被加工部材1は,自動車の
自動変速機用のはすば歯車であり,その歯面(接触面)
を仕上げ加工した。対向部材2としては,被加工部材1
と実使用時において組み合わせて使用可能な実歯車であ
るはすば歯車を用いた。いずれの歯車も,合金鋼を用い
て,鍛造及び切削工程,シェービング工程,浸炭焼入れ
工程を経て成形したものである。
【0034】上記被加工部材1の接触面を仕上げ加工す
るに当たっては,図1に示すごとく,被加工部材1と対
向部材2とを噛み合わせ,両者の歯面(接触面)を接触
させる。そして,両者の接触部分に,砥粒を含有しない
水4を供給しながら,両歯車1,2を回転させる。本例
では,このときの回転数を500rpm,噛み合わせ部
分において当接した両者の接触面の間に付与される圧力
を250MPaに設定した。また,上記水4の供給は室
温の液体状で行い,上記噛合い部分の接触面が十分に濡
れるように500cc/分の割合で供給しつづけた。
【0035】そして,約4時間ほど上記仕上げ加工を施
して,その性能を評価した。評価は,仕上げ加工装置上
で噛合い振動を計測し,振動低減効果を確認すると共
に,上記被加工部材1と対向部材2とを実際に変速機に
組み込んで運転させた際のギヤノイズを測定することに
より行った。また,比較のために,上記仕上げ加工を行
う前においても同様に測定を行った。その結果を表1に
示す。
【0036】
【表1】
【0037】表1より知られるごとく,本例の接触面の
仕上げ加工方法を施した被加工部材1は,実使用時にお
ける振動や騒音が少なく静粛性に優れた歯車となること
がわかる。この理由は,上述したと同様に,次のように
考えられる。即ち,被加工部材1に対向部材2を噛み合
わせた部分に水4を供給することにより,被加工部材1
の接触面は,空気中に晒されている場合よりも酸化され
易い雰囲気に晒されることとなる。また,被加工部材1
と対向部材2とを回転させることにより,被加工部材1
の各接触面においては,対向部材2の接触面が順次当接
して滑り又は転がり運動が繰り返される。
【0038】これにより,接触面の表面においては,振
動等に悪影響を及ぼす部分の酸化が促進されると共に,
酸化物が除去される。そのため,被加工部材1の接触面
(歯面)は,実使用時に最適な形状及び表面粗さを持っ
た状態に改善される。また,水4には,砥粒を一切含有
していないので,砥粒を用いて研削した場合のような研
削跡等が生じない。それ故,図2に示すごとく,被加工
部材1の接触面10は,その中央部分105が鏡面状態
となり,従来よりも非常に表面粗さの小さい面となる。
そして,これにより,上記被加工部材1は,振動,騒音
が少なく静粛性に優れたものとなる。
【0039】上述した実施形態例では水を滴下するよう
にして接触面に供給したが,少なくとも一方の歯車の接
触面を水中に浸して接触面に水を供給してもよい。ま
た,上記被加工部材1に対しては,上記の仕上げ加工が
終了した後,100℃以上の雰囲気に保持するか,エア
ガン等によって空気を吹き付けるなどの作業を行う。こ
れにより,被加工部材1の表面に付着している水4を除
去し,被加工部材1への錆の発生を防止する。なお,上
記水4に代えて酸化性の強い水溶液を用いた場合には,
十分な水洗を行った後に水を除去することが好ましい。
また,長期間の錆の発生防止が必要な場合には,防錆油
や潤滑油などを被加工部材に塗布することも考えられ
る。
【0040】実施形態例2 本例では,実施形態例1を実施するための装置,即ち,
歯車の歯面(接触面)の仕上げ加工装置につき,簡単に
図3を用いて説明する。本例の装置5は,同図に示すご
とく,被加工部材1を回転可能に保持する第1回転軸5
1と,該被加工部材1に噛み合わせ可能な対向部材2を
回転可能に保持する第2回転軸52と,上記被加工部材
1と上記対向部材2との接触部分である噛み合わせ部分
に,砥粒を含有しない水4を供給するための水分供給手
段58とを有する。そして,噛み合わせ部分に水4を供
給しながら被加工部材1と対向部材2とを回転できるよ
う構成されている。
【0041】上記第1回転軸51は,同図に示すごと
く,入力モータ511に変速機512を介して接続され
ており,その先端に上記被加工部材1を固定できるよう
構成されている。また,第2回転軸52は,出力モータ
521に変速機522を介して接続されており,その先
端に上記対向部材2を固定できるよう構成されている。
そして本例では,図示しない制御部において,上記入力
モータ511と出力モータ521のトルク制御を行っ
て,被加工部材1と対向部材2の当接した接触面の間に
所定の圧力を付与できるよう構成してある。
【0042】また,同図に示すごとく,被加工部材1と
対向部材2との下方には水4を受ける液溜め部53を設
けてある。そして,液溜め部53に溜まった水4は,濾
過装置54において濾過して再び上記水分供給手段58
に供給されるよう構成されている。なお,上記水分供給
手段58は,滴下量を調整可能なノズルであって,図示
しないハウジングに固定されている。このような構成の
接触面の仕上げ加工装置5を用いることにより,実施形
態例1の仕上げ加工方法を容易に実施することができ
る。
【0043】実施形態例3 本例では,実施形態例1における効果を明らかにするた
め,従来の仕上げ加工方法を行った場合と比較した。従
来の仕上げ加工方法としては,4種類行った。第1の方
法は,シェービング加工した後浸炭焼入れする方法(S
V−HTという),第2の方法は,バニシング加工によ
り仕上げる方法(バーニッシュという),第3の方法
は,ホーニング加工により仕上げる方法(HOとい
う),第4の方法は,歯研により仕上げる方法(GRと
いう)である。
【0044】そして,これら4種類の方法で歯面を仕上
げた歯車と,実施形態例1において歯面を仕上げた歯車
(本発明)との各歯面の面粗さを測定して比較した。な
お,SV−HTで歯面を仕上げた歯車に本発明を適用し
た。面粗さの測定は,歯面における歯形方向と歯筋方向
とにおいて行った。各粗さ測定は,基準長さ0.8mm
で行った。また,歯筋方向の測定部は,ピッチ円上で歯
の両端部からの中心点が測定開始点となるようにした。
また,歯形方向測定部は,歯の両端部からの中心部で,
ピッチ点より0.4mm歯底側の点が測定開始点となる
ようにした。なお,歯形方向とは,歯底側から歯先側に
向かう方向であり,歯筋方向とはその直角の方向であ
る。
【0045】歯面の面粗さの測定結果を図4〜図6に示
す。図4及び図5は,それぞれ,歯形方向及び歯筋方向
における面粗さの測定チャートを示したものであり,横
軸が測定位置,縦軸が凹凸を示している。図6は,横軸
に歯車の種類をとり,それぞれ歯形方向と歯筋方向の表
面粗さRzをとったものである。
【0046】まず,図4,図5から知られるごとく,本
発明品の場合には,他のいずれの場合に比べても,上下
方向の凹凸が非常に小さくなって,非常に滑らかな面に
仕上がっていることがわかる。また,図6から知られる
ように,表面粗さRzの値も本発明品が最も小さくなっ
ていることがわかる。
【0047】以上の結果から,本発明の方法によって仕
上げ加工した部材である歯車の歯面(接触面)は,従来
のいずれの方法を行った場合よりも平滑に仕上がること
がわかる。そして,このような優れた接触面が得られる
ことによって,実施形態例1に示したような,大幅な騒
音,振動の低減が実現され,さらに良好な歯当たりが得
られるので,歯面の面圧が低減して歯面強度を向上させ
ることができ,歯車の耐久性が向上する。
【0048】実施形態例4 本例は,プラネタリギアの1つを被加工部材1とした場
合の例である。即ち,図7に示すごとく,プラネタリギ
ア対の中心に位置するギアを被加工部材1とし,その周
囲に4組の対向部材21を配設した。さらにその周囲に
は4つの対向部材21に噛合わせ可能な歯車22を配設
し,それぞれ回転させた。このとき,各歯車の噛合わせ
部分には,ノズルによって水4を供給しつづけた。
【0049】なお,本例では,すべての歯車に実歯車を
使用した。この場合にも実施形態例1と同様に被加工部
材1,対向部材21,及び歯車22の接触面は,いずれ
も非常に表面粗さの小さい面に仕上がった。その他は実
施形態例1と同様の作用効果が得られる。
【0050】実施形態例5 本例では,実施形態例1と同様の仕上げ加工方法を実施
することができる歯車の具体例を示す。図8には,オー
トマチックトランスアクスル6の構造を示してある。そ
して,その中に組み込まれている種々の歯車を示した。
歯車の種類としては,例えば歯車対61,62における
はすば歯車や,プラネタリギア対63における各歯車が
ある。
【0051】図9にはプラネタリギア対63の詳細をさ
らに示す。同図より知られるごとく,一組のプラネタリ
ギア対63においても,歯車631〜635に代表され
るように非常に多くの歯車が使用されている。図10に
は,デフ7の構造を示す。同図より知られるようにデフ
7においても,センタデフ右サイドギア71,センタデ
フ左サイドギア72をはじめとして多数の歯車が組み込
まれている。
【0052】これらすべての歯車に対して,上記実施形
態例1と同様の仕上げ加工方法を適用することができ
る。そしてまた,上記対向部材として,実歯車を適用す
ることにより,複数の歯車を同時に仕上げ加工すること
ができ,歯車製造の工程合理化を図ることができる。そ
して,何よりも,本発明の接触面の仕上げ加工方法を適
用して仕上げた歯車を組み込んだ上記オートマチックト
ランスアクスル6,デフ7等の機械装置が,総合的に騒
音や振動の少ない静粛性に優れたものとなるという大き
な利益を得ることができる。
【0053】実施形態例6 本例では,接触面を有する部材として,自動車の自動変
速機におけるCVT用のプーリ81,82を適用させた
例を示す。CVT用のプーリ81,82は,図11に示
すごとく,円錐状の対向する接触面810,820を有
し,これらの間に台形状の断面を有するベルト85を配
置し,接触面810,820の距離を変化させることに
よって,ベルト85を巻きつける半径を変更できるよう
構成される。
【0054】上記プーリ81,82は,常にベルト85
と接触した状態で回転するため,その接触面810はで
きる限り表面粗さの小さい滑らかな状態に仕上げられて
いることが望まれる。従来,上記プーリ81,82の接
触面810,820の仕上げ加工方法を行うに当たって
は,これが円錐状の面であるため,特殊な複合研削盤と
いう加工装置を用いることが必要であった。この加工装
置は非常に高価であると共に,そのメンテナンスにも多
くの工数が必要であった。また,仕上げ加工された接触
面810,820においては,さらなる表面粗さの低下
が望まれていた。
【0055】本例では,上述した本発明の仕上げ加工方
法を用いることによって,上記プーリ81,82の接触
面810,820を従来よりも優れた状態に容易に仕上
げ加工することができる。なお,本例では,プーリ81
からみればこれが被加工部材であって他方のプーリ82
が対向部材となり,プーリ82からみればこれが被加工
部材であって他方のプーリ81が対向部材となる関係と
なる。
【0056】具体的には,図12,図13に示すごと
く,一対のプーリ81,82を平行な軸831,832
にそれぞれ固定して,互いの接触面810,820を接
触させる。この状態で,両者の接触部分に,砥粒を含有
しない水4を供給しながら軸831,832を回転させ
る。これにより,互いの接触面810,820において
は,転がり又は滑り運動がなされる。そして,上述した
ごとく,接触面810,820の表面においては,酸化
が促進されると共に,酸化物が除去される。それ故,プ
ーリ81,82の接触面810,820は,表面粗さが
非常に小さくなり,CVTに適した優れた接触面とな
る。
【0057】また,本例では,一対のプーリ81,82
を一度に仕上げ加工できるので,工程の合理化をも図る
ことができる。その他は,実施形態例1と同様の作用効
果が得られる。
【0058】実施形態例7 本例は,図14に示すごとく,接触面840を外周面に
有する円筒上の部材84に適用した例である。この円筒
状の部材84の接触面840を仕上げ加工するに当たっ
ては,同図に示すごとく,被加工部材である部材84の
接触面840に,対向部材としての円柱状の部材85の
接触面850を接触させる。
【0059】この状態で,両者の接触部分に,砥粒を含
有しない水4を供給しながら互いに同方向に回転させ
る。これにより,両者の接触面840,850に滑り運
動が付与される。それ故,上記と同様に,被加工部材で
ある円筒状部材84の接触面840に表面粗さの小さい
面を得ることができる。その他は実施形態例1と同様の
作用効果が得られる。
【0060】実施形態例8 本例は,図15に示すごとく,接触面860を内周面に
有する円筒上の部材86に適用した例である。この円筒
状の部材86の接触面860を仕上げ加工するに当たっ
ては,同図に示すごとく,被加工部材である部材86の
接触面860に,対向部材としての円柱状の部材87の
接触面870を接触させる。
【0061】この状態で,両者の接触部分に,砥粒を含
有しない水4を供給しながら互いに同方向に回転させ
る。これにより,両者の接触面860,870に滑り運
動が付与される。それ故,上記と同様に,被加工部材で
ある円筒状部材86の接触面860に表面粗さの小さい
面を得ることができる。その他は実施形態例1と同様の
作用効果が得られる。
【0062】実施形態例9 本例では,実施形態例2と同様の装置5を用い,被加工
部材(被加工歯車)の振動を測定しながらその接触面
(歯面)の仕上げ加工方法を行った例を示す。具体的に
は,以下のように,FFTアナライザーを用いて振動を
測定しながら実施形態例1と同様のはすば歯車よりなる
被加工歯車の歯面の仕上げ加工を行う実験を複数行っ
た。
【0063】(実験1)実験1では,被加工歯車と対向
歯車とを噛み合わせ,お互いの歯面に負荷が加わるよう
に22Nmの負荷を与えながら,被加工歯車の回転数を
500rpmとし,被加工歯車と対向歯車との噛み合わ
せ部分に水を供給しながら60分間回転させた。そし
て,その回転を行っている間,一定の間隔で被加工歯車
の振動をFFTアナライザーにより1次振動データ及び
2次振動データを測定した。
【0064】実験結果を図16に示す。同図は,横軸に
噛合回数を,縦軸に振動(dB)をとり,1次振動デー
タを太線V1,2次振動データを細線V2により示した
ものである。同図より知られるごとく,本実験1では,
噛合回数がおよそ20000回に達した際に1次振動デ
ータ,2次振動データ共に低下し,その後は再び上昇す
る傾向があることがわかった。
【0065】(実験2)次に,実験2においては,実験
1の結果を踏まえ,実験1と同条件で処理を行うと共
に,噛合回数が18000回となった時点で回転を終え
た。そして,この処理の前後における被加工歯車の振動
の変化を測定した。振動変化の測定の条件は,歯面への
負荷は22Nm,回転数1444rpmとして,比較的
振動のでやすい条件で行った。
【0066】実験2の結果を図17,図18に示す。図
17の縦軸及び横軸は図16と同様である。図18は,
横軸に処理前後及び1次データと2次データの区別を,
縦軸に振動(dB)をとったものである。まず,図17
より知られるごとく,噛合回数が増加するに従って,1
次振動データ,2次振動データ共に低下し,その傾向は
噛合回数が18000回に達するまで継続された。
【0067】次に,図18より知られるごとく,上記処
理の前後において測定した振動データを比較すると,そ
の1次データが大幅に低下している。ことから,上記仕
上げ加工処理が非常に有効であることがわかる。
【0068】(実験3)次に,実験3においては,実験
2と同様にして,噛合回数が10000回となった時点
で回転を終えた。そして,この処理の前後における被加
工歯車の振動の変化を測定した。振動変化の測定の条件
も実験2と同様である。また,本実験3においては,仕
上げ加工処理の前後において,被加工歯車を自動変速機
に実際に組み込んで運転し,そのギアノイズを測定し
た。そのときの被加工歯車の回転の条件は,上記振動変
化の測定の場合と同様に,歯面への負荷は22Nm,回
転数1444rpmとした。
【0069】実験3の結果を図19,図20に示す。図
19及び図20の縦軸等は,それぞれ図16及び図18
と同様である。まず,図19より知られるごとく,噛合
回数が増加するに従って,1次振動データ,2次振動デ
ータ共に低下し,その傾向は噛合回数が10000回に
到達するまで継続された。
【0070】次に,図20より知られるごとく,上記処
理の前後において測定した振動データを比較すると,特
に1次データが大幅に低下している。ことから,上記仕
上げ加工処理が10000回の噛合回数でも非常に有効
であることがわかる。次に,実際に被加工歯車を自動変
速機に組み込んで測定したギヤノイズの一次振動データ
(dB)と2次振動データ(dB)の結果を表2に示
す。
【0071】
【表2】
【0072】上記表2より知られるごとく,上記のごと
く仕上げ加工した被加工歯車を用いることにより,自動
変速機全体のギアノイズを低減できることがわかる。
【0073】(実験4)本実験4においては,実験1と
同様の実験を,歯面に付与される負荷を60Nmに高め
て行った例である。その他の条件は実験1と同様とし
た。実験結果を図21に示す。同図の縦軸等は図16と
同様である。同図より知られるごとく,本実験4では,
噛合回数がおよそ13000回に達した際に1次振動デ
ータ,2次振動データ共に低下し,その後は再び上昇す
る傾向があることがわかった。
【0074】(実験5)次に,実験5においては,実験
4の結果を踏まえ,実験4と同条件で処理を行うと共
に,噛合回数が13000回となった時点で回転を終え
た。この実験5の結果を図22に示す。図22の縦軸及
び横軸は図16と同様である。
【0075】図22より知られるごとく,噛合回数が増
加するに従って,1次振動データは低下し,その傾向は
噛合回数が13000回に達するまで継続された。ま
た,2次振動データは噛合回数がおよそ10000回に
達するまでは低下し続けたが,それ以降増加した。この
結果から,本例の場合には,噛合回数がおよそ1000
0回を超えたあたりに処理を終了するのが最適であると
考えられた。
【0076】(実験6)本実験6においては,実験1と
同様の実験を,被加工歯車の回転数を5800rpmに
変更,即ち,歯面における滑り速度を高めて,噛合回数
13000回まで仕上げ加工を行った例である。その他
の条件は実験1と同様とした。なお,振動データとして
は1次データのみを測定した。
【0077】実験結果を図23に示す。同図の縦軸等は
図16と同様である。同図より知られるごとく,本実験
6でも,噛合回数の増加に伴って1次振動データが低下
した。また,本実験では,実験2と同様に,仕上げ加工
処理の前後における被加工歯車の振動の変化を測定し
た。振動変化の測定の条件は,上記と同様に,歯面への
負荷は22Nm,回転数1444rpmである。図24
より知られるごとく,上記処理の前後において測定した
1次データが大幅に低下していることから,回転数を高
めた場合においても,上記仕上げ加工処理が非常に有効
であることがわかる。
【0078】なお,上記各実施形態例においては,鋼製
の被加工部材を例にとって示したが,上記の優れた作用
効果は,上記被加工部材1が炭素鋼などの金属である場
合だけでなくセラミックその他の場合であっても有効に
発揮される。そして,例えば上記被加工部材がセラミッ
クあるいは銅などの場合には,上記酸化物の生成に代え
て水酸化物を生成するが,この場合も素材の原子から電
子が除去される酸化が生じていると考えられる。
【0079】
【発明の効果】上述のごとく,本発明によれば,従来の
砥粒を用いた表面仕上げ方法よりも容易に表面粗さを小
さくできる接触面の仕上げ加工方法及びその優れた接触
面を有する部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態例1における,接触面の仕上げ加工方
法を示す説明図。
【図2】実施形態例1における,仕上げ加工後の接触面
の状態を示す説明図。
【図3】実施形態例2における,接触面の仕上げ加工装
置の構成を示す,(a)正面図,(b)側面図。
【図4】実施形態例3における,歯形方向の面粗さ測定
チャートを示す説明図。
【図5】実施形態例3における,歯筋方向の面粗さ測定
チャートを示す説明図。
【図6】実施形態例3における,表面粗さRzを示す説
明図。
【図7】実施形態例4における,プラネタリギア対の場
合の接触面の仕上げ加工方法を示す説明図。
【図8】実施形態例5における,オートマチックトラン
スアクスルの構造を示す説明図。
【図9】実施形態例5における,プラネタリギア対の構
造を示す説明図。
【図10】実施形態例5における,デフの構造を示す説
明図。
【図11】実施形態例6における,CVT用プーリの機
能を示す説明図。
【図12】実施形態例6における,CVT用プーリの接
触面を仕上げ加工する際の接触状態を上面から見た説明
図。
【図13】実施形態例6における,CVT用プーリの接
触面を仕上げ加工する際の接触状態を正面から見た説明
図。
【図14】実施形態例7における,円筒状部材の接触面
を仕上げ加工する際の接触状態を示す説明図。
【図15】実施形態例8における,円筒状部材の接触面
を仕上げ加工する際の接触状態を示す説明図。
【図16】実施形態例9の実験1における噛合回数と振
動データとの関係を示す説明図。
【図17】実施形態例9の実験2における噛合回数と振
動データとの関係を示す説明図。
【図18】実施形態例9の実験2における仕上げ加工処
理前後における振動データを示す説明図。
【図19】実施形態例9の実験3における噛合回数と振
動データとの関係を示す説明図。
【図20】実施形態例9の実験3における仕上げ加工処
理前後における振動データを示す説明図。
【図21】実施形態例9の実験4における噛合回数と振
動データとの関係を示す説明図。
【図22】実施形態例9の実験5における噛合回数と振
動データとの関係を示す説明図。
【図23】実施形態例9の実験6における噛合回数と振
動データとの関係を示す説明図。
【図24】実施形態例9の実験6における仕上げ加工処
理前後における振動データを示す説明図。
【符号の説明】
1...被加工部材, 10...接触面, 2...対向部材, 4...水, 5...接触面の仕上げ加工装置,
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大林 巧治 愛知県安城市藤井町高根10番地 アイシ ン・エィ・ダブリュ株式会社内 (72)発明者 本多 文洋 愛知県名古屋市天白区久方2−12−1 豊 田工業大学内 Fターム(参考) 3C025 DD12 3C049 AA01 AA09 CB01 CB03

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 他部材と接触して転がり又は滑りを行う
    接触面を有する被加工部材の該接触面を仕上げ加工する
    方法において,上記被加工部材に少なくとも1つの対向
    部材を接触させた状態で,両者の接触部分に,砥粒を含
    有しない水又は水溶液を供給しながら転がり又は滑り運
    動させることにより,上記被加工部材の上記接触面に表
    面粗さの小さい面を得ることを特徴とする接触面の仕上
    げ加工方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において,上記対向部材の接触
    面は,上記被加工部材の接触面の表面粗さと同等又はそ
    れ以下の表面粗さを有することを特徴とする接触面の仕
    上げ加工方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において,上記対向部材
    の接触面は,上記被加工部材の接触面の硬度と同等又は
    それ以上の硬度を有することを特徴とする接触面の仕上
    げ加工方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項において,
    上記被加工部材は鉄を主成分とする合金であることを特
    徴とする接触面の仕上げ加工方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項において,
    上記対向部材は上記被加工部材又はこれと同形の部材と
    実使用時において組み合わせて使用される実部材である
    ことを特徴とする接触面の仕上げ加工方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれか1項において,
    上記対向部材は上記被加工部材よりも耐酸化性に優れた
    部材であることを特徴とする接触面の仕上げ加工方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項において,
    上記被加工部材と上記対向部材とは,接触させた両者の
    接触面の間に5MPa以上の圧力を付与した状態で転が
    り又は滑り運動させることを特徴とする接触面の仕上げ
    加工方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項において,
    上記対向部材の接触面は,表面粗さRzが0.5〜10
    の範囲にあることを特徴とする接触面の仕上げ加工方
    法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれか1項において,
    上記水溶液は,フッ酸,硝酸,シュウ酸,過酸化水素,
    硫酸,塩酸,塩化ナトリウムの少なくとも一種を含有し
    ていることを特徴とする接触面の仕上げ加工方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか1項におい
    て,上記転がり又は滑り運動に伴う上記被加工部材の振
    動又は騒音が所望の大きさとなるまで上記転がり又は滑
    り運動をさせることを特徴とする接触面の仕上げ加工方
    法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜9のいずれか1項におい
    て,上記接触面の粗さが所望の大きさとなるまで上記転
    がり又は滑り運動をさせることを特徴とする接触面の仕
    上げ加工方法。
  12. 【請求項12】 請求項1〜9のいずれか1項におい
    て,上記転がり又は滑り運動は,上記被加工部材の振動
    又は騒音を測定しながら行い,振動又は騒音の測定値に
    基づいて上記転がり又は滑り運動を終了させることを特
    徴とする接触面の仕上げ加工方法。
  13. 【請求項13】 請求項12において,上記振動又は騒
    音の測定は,一定又は不定の時間間隔をおいて連続的に
    行い,得られた測定値が所定値よりも小さくなった時点
    で上記転がり又は滑り運動を終了させることを特徴とす
    る接触面の仕上げ加工方法。
  14. 【請求項14】 請求項12において,上記振動又は騒
    音の測定は,一定又は不定の時間間隔をおいて連続的に
    行い,得られた測定値が連続して3回以上増加に転じた
    時点で上記転がり又は滑り運動を終了させることを特徴
    とする接触面の仕上げ加工方法。
  15. 【請求項15】 請求項12において,上記振動又は騒
    音の測定は,一定又は不定の時間間隔をおいて連続的に
    行い,得られた測定値の経時変化の時間Xに関する近似
    式aX+bを求め,該近似式の傾きであるaが負から正
    へと転じた時点で上記転がり又は滑り運動を終了させる
    ことを特徴とする接触面の仕上げ加工方法。
  16. 【請求項16】 表面粗さの小さい面が得られるように
    接触面に仕上げ加工を施してなる部材において,該部材
    の接触面の上記仕上げ加工は,請求項1〜X15のいず
    れか1項に記載の接触面の仕上げ加工方法により行って
    いることを特徴とする接触面を有する部材。
  17. 【請求項17】 互いに接触して転がり又は滑りを行う
    接触面を有する被加工部材と他の被加工部材のそれぞれ
    の接触面を仕上げ加工する方法において,上記被加工部
    材に少なくとも1つの他の被加工部材を接触させた状態
    で,両者の接触部分に,砥粒を含有しない水又は水溶液
    を供給しながら転がり又は滑り運動させることにより,
    上記被加工部材と上記他の被加工部材のそれぞれの接触
    面に表面粗さの小さい面を得ることを特徴とする接触面
    の仕上げ加工方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004042178A (ja) * 2002-07-10 2004-02-12 Yutaka Seimitsu Kogyo Ltd 歯車ラッピング方法および歯車ラッピング機
JP2014018918A (ja) * 2012-07-19 2014-02-03 Toyota Motor Corp ラッピング加工装置及びラッピング加工方法

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