JP2002153805A - 塗膜形成方法及び積層塗膜 - Google Patents

塗膜形成方法及び積層塗膜

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JP2002153805A
JP2002153805A JP2000353362A JP2000353362A JP2002153805A JP 2002153805 A JP2002153805 A JP 2002153805A JP 2000353362 A JP2000353362 A JP 2000353362A JP 2000353362 A JP2000353362 A JP 2000353362A JP 2002153805 A JP2002153805 A JP 2002153805A
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coating
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film
resin
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Koji Okuma
浩二 大熊
Hideaki Tsujioka
英顕 辻岡
Yoshiko Kobayashi
佳子 小林
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Nippon Paint Co Ltd
Toyota Motor Corp
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Nippon Paint Co Ltd
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基材上に、中塗り塗膜及び上塗り塗膜を順次
ウエットオンウエットで塗装した場合に、各塗膜層間の
界面でのなじみや反転を制御し、更に、塗膜物性、特に
耐チッピング性に優れた積層塗膜を形成する方法を提供
する。 【解決手段】 基材上に、中塗り塗膜、ベース塗膜及び
クリヤー塗膜を、順次ウエットオンウエットで形成する
塗膜形成方法であって、上記中塗り塗膜を形成する中塗
り塗料及び上記ベース塗膜を形成するベース塗料が、ア
ミド基含有アクリル樹脂及び硬化剤を含有するものであ
り、上記中塗り塗料中に含まれる硬化剤が、アミノ樹脂
及び脂肪族イソシアナート系ブロックイソシアナートか
らなるものであり、上記脂肪族イソシアナート系ブロッ
クイソシアナートは、平均官能基数が3よりも大きいも
のであることを特徴とする塗膜形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車車体等に形
成される積層塗膜の形成方法に関し、更に詳しくは、中
塗り塗膜、ベース塗膜及びクリヤー塗膜を順次ウエット
オンウエットで形成するいわゆる3コート1ベーク法に
よる塗膜形成方法、並びに、その方法により得られた積
層塗膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車の積層塗膜は、各塗膜を形成する
毎に焼付け硬化させる方法と、積層された複数の塗膜を
同時に硬化させる方法がある。例えば2コート1ベーク
でベース塗膜及びクリヤー塗膜を形成することは、一般
的に行われている方法であり、更に、特開平11−11
4489号公報に示されるように、上塗り塗膜の意匠性
を高めるために、カラーベース塗膜、メタリックベース
塗膜及びクリヤー塗膜を順次形成し、同時に焼付け硬化
させる塗膜形成方法も既に提案されている。
【0003】更に、中塗り塗膜のみを硬化させる工程を
省略し、中塗り塗膜と上塗り塗膜とをウエットオンウエ
ットで塗布し、2層又は3層の塗膜を同時に焼付け硬化
させて塗膜を形成する方法は、中塗り用の焼付け乾燥炉
を省略することができ、経済性及び環境面から大きい効
果が期待できるが、課題が多く実現には至っていない。
【0004】一方、車両が走行した場合等に小石を跳ね
上げ、これが塗膜に衝突する、いわゆるチッピングによ
り、塗膜剥離が発生する場合がある。従来の塗膜形成方
法では、中塗り塗膜を形成した後、この中塗り塗膜のみ
を一度硬化させる工程を備えていたので、耐チッピング
性を有する特有の中塗り塗膜を設けたり、上塗り塗膜と
の明度を合わせ、チッピングが目立たない中塗り塗膜を
設ける等の対策を講じることができた。
【0005】しかしながら、上述の中塗り塗膜のみを硬
化させる工程を省略して2層又は3層の塗膜をウエット
オンウエットで塗膜形成する方法に、従来の中塗り塗料
を適用すると、なじみ、反転等の不具合が発生し、積層
塗膜としての外観が成立しない。特に、凹凸の多い自動
車車体等を全面ウエットオンウエットで塗装する場合に
は、部位によってワキやなじみ等の外観不良が起こるた
め、従来の耐チッピング性を有する中塗り塗膜を形成す
る塗料を使用することはできなかった。
【0006】更に、従来の積層塗膜を形成する過程で
は、中塗り塗膜のみで一度焼付けられ、上塗り塗膜を形
成した後に更に焼き付けが行われるため、中塗り塗膜は
二度焼付けられることになっていたが、上記のウエット
オンウエットで塗膜形成する方法では中塗り塗膜は一度
しか焼付けられないため、塗膜物性等を充分に発揮する
ことができず、例えばチッピングにより電着塗膜や鋼板
表面から塗膜剥離が起こり、錆等の不具合が発生する場
合があった。
【0007】
【解決しようとする課題】本発明の目的は、基材上に、
中塗り塗膜及び上塗り塗膜を順次ウエットオンウエット
で塗装した場合に、各塗膜層間の界面でのなじみや反転
を制御し、更に、塗膜物性、特に耐チッピング性に優れ
た積層塗膜を形成する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、基材上に、中
塗り塗膜、ベース塗膜及びクリヤー塗膜を、順次ウエッ
トオンウエットで形成する塗膜形成方法であって、上記
中塗り塗膜を形成する中塗り塗料及び上記ベース塗膜を
形成するベース塗料が、アミド基含有アクリル樹脂及び
硬化剤を含有するものであり、上記中塗り塗料中に含ま
れる硬化剤が、アミノ樹脂及び脂肪族イソシアナート系
ブロックイソシアナートからなるものであり、上記脂肪
族イソシアナート系ブロックイソシアナートは、平均官
能基数が3よりも大きいものであることを特徴とする塗
膜形成方法である。
【0009】更に、本発明は、上記塗膜形成方法により
形成された積層塗膜である。以下、本発明についてさら
に詳細に説明する。
【0010】中塗り塗膜 本発明の塗膜形成方法において、中塗り塗膜の形成には
中塗り塗料が用いられ、この中塗り塗料は、アミド基含
有アクリル樹脂及び硬化剤を含有するものである。更
に、有機系や無機系の各種着色顔料及び体質顔料等を含
有することができる。本発明においては、塗膜形成性樹
脂として含まれるアミド基含有アクリル樹脂は、極性を
持つアミド基を含むものであるため、粘性制御効果が発
揮され、3コート1ベーク法で塗装した場合における各
塗膜層間の界面でのなじみや反転を制御することができ
る。また、耐チッピング性の向上にも寄与する。
【0011】上記アミド基含有アクリル樹脂は、数平均
分子量が5000〜30000であることが好ましく、
更に好ましくは7000〜25000である。5000
より小さいと作業性及び硬化性が充分でなく、3000
0を超えると塗装時の不揮発分が低くなりすぎ、かえっ
て作業性が悪くなる。なお、本明細書では、分子量はス
チレンポリマーを標準とするGPC法により決定され
る。
【0012】上記アミド基含有アクリル樹脂は、20〜
180の水酸基価を有することが好ましく、更に好まし
くは30〜160である。上限を超えると塗膜の耐水性
が低下し、下限を下回ると塗膜の硬化性が低下する。ま
た、2〜30mgKOH/gの酸価を有することが好ま
しく、更に好ましくは3〜25mgKOH/gである。
上限を超えると塗膜の耐水性が低下し、下限を下回ると
塗膜の硬化性が低下する。
【0013】上記アミド基含有アクリル樹脂は、アミド
基含有エチレン性不飽和モノマーとその他のエチレン性
不飽和モノマーとをラジカル重合させることにより得る
ことができる。このラジカル重合における配合割合は、
アミド基含有アクリル樹脂を製造するのに用いるエチレ
ン性不飽和モノマーの総量を基準にして、アミド基含有
エチレン性不飽和モノマーが好ましくは1〜20重量
%、より好ましくは2〜15重量%、その他のエチレン
性不飽和モノマーが好ましくは99〜80重量%、より
好ましくは98〜85重量%である。上記アミド基含有
エチレン性不飽和モノマーの含有量が1重量%を下回る
と粘性制御能及び耐チッピング性が低下する。20重量
%を超えると得られる塗膜の耐水性が低下する。
【0014】上記アミド基含有エチレン性不飽和モノマ
ーの例としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチロ
ール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メ
タ)アクリルアミド、N,N−ジブチル(メタ)アクリ
ルアミド、N,N−ジオクチル(メタ)アクリルアミ
ド、N−モノブチル(メタ)アクリルアミド及びN−モ
ノオクチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。好
ましいアミド基含有エチレン性不飽和モノマーは、アク
リルアミド、メタクリルアミド、N−モノブチルアクリ
ルアミド、N−モノブチルメタクリルアミドである。
【0015】上記その他のエチレン性不飽和モノマーと
しては、特に限定されるものではないが、まず、水酸基
含有エチレン性不飽和モノマーが挙げられる。具体的に
は、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロ
キシブチル(メタ)アクリレート、アリルアルコール及
びメタクリルアルコール、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレートとε−カプロラクトンとの付加物等が
挙げられる。なかでも長鎖の水酸基含有モノマーを水酸
基含有モノマーとして用いることが、耐チッピング性を
向上させる点で好ましい。例えば、4−ヒドロキシブチ
ル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレートとε−カプロラクトンとの付加物等が
挙げられる。
【0016】また次に、カルボキシル基を有するエチレ
ン性不飽和モノマーを挙げることができる。その例とし
て、(メタ)アクリル酸誘導体(例えば、アクリル酸、
メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、アクリル
酸二量体及びアクリル酸にε−カプロラクトンを付加さ
せたα−ハイドロ−ω−((1−オキソ−2−プロペニ
ル)オキシ)ポリ(オキシ(1−オキソ−1,6−ヘキ
サンジイル))等);並びに不飽和二塩基酸、そのハー
フエステル、ハーフアミド及びハーフチオエステル(例
えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、そのハーフ
エステル、ハーフアミド及びハーフチオエステル等)が
挙げられる。
【0017】更に、上記のモノマー以外の例としては、
(メタ)アクリレートエステルモノマー(例えばメチル
(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、
n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチルアクリレ
ート、t−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシル
(メタ)アクリレート、ラウリルメタアクリレート、フ
ェニルアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレー
ト、シクロヘキシルメタクリレート、t−ブチルシクロ
ヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニ
ル(メタ)アクリレート及びジヒドロジシクロペンタジ
エニル(メタ)アクリレート等)、重合性芳香族化合物
(例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルケト
ン、t−ブチルスチレン、パラクロロスチレン及びビニ
ルナフタレン等)、重合性ニトリル(例えばアクリロニ
トリル及びメタクリロニトリル等)、α−オレフィン
(例えばエチレン及びプロピレン等)、ビニルエステル
(例えば酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル等)、並び
に、ジエン(例えばブタジエン及びイソプレン等)等が
挙げられる。このようなその他のエチレン性不飽和モノ
マーは単独又は2種以上を混合して用いることができ
る。
【0018】上記の各エチレン性不飽和モノマーをラジ
カル共重合することによりアミド基含有アクリル樹脂を
得ることができる。重合方法は、溶液ラジカル重合のよ
うな公知の文献等に記載されている通常の方法を用いう
る。例えば、重合温度60〜160℃で2〜10時間か
けて適当なラジカル重合開始剤とモノマー混合溶液とを
適当な溶媒中へ滴下しながら撹拌する方法が挙げられ
る。ここで用いうるラジカル重合開始剤は通常重合に際
して使用するものであれば特に限定されず、例えば、ア
ゾ系化合物及び過酸化物等が挙げられる。また、ここで
用いうる溶媒は反応に悪影響を与えないものであれば特
に限定されず、例えば、アルコール、ケトン及び炭化水
素系溶媒等が挙げられる。更に、分子量を調節するため
に、ラウリルメルカプタンのようなメルカプタン及びα
−メチルスチレンダイマー等のような連鎖移動剤を必要
に応じて用いうる。
【0019】本発明において、塗膜形成性樹脂として
は、上記アミド基含有アクリル樹脂以外のその他の塗膜
形成性樹脂を含むことが好ましい。このようなその他の
塗膜形成性樹脂としては特に限定されるものではなく、
アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポ
キシ樹脂、ウレタン樹脂等を好ましいものとして挙げる
ことができ、1種又は2種以上を併用して用いることが
できる。
【0020】上記塗膜形成性樹脂成分においては、アミ
ド基含有アクリル樹脂とその他の塗膜形成性樹脂との固
形分重量比が30/70〜80/20であることが好ま
しく、より好ましくは50/50〜70/30である。
アミド基含有アクリル樹脂が下限を下回るとタレの抑制
及び外観が低下し、上限を超えると造膜性が悪くなる。
【0021】本発明において、上記中塗り塗料に含まれ
る硬化剤は、アミノ樹脂及び脂肪族イソシアナート系ブ
ロックイソシアナートからなるものである。本発明にお
いては、上記脂肪族イソシアナート系ブロックイソシア
ナートの有する軟質性によって得られる塗膜に柔軟性を
付与し、イソシアナートによって架橋点が長鎖化され、
得られる塗膜の柔軟性に寄与する結果、耐チッピング性
が向上する。また、脂肪族イソシアナート系のブロック
イソシアナートは、芳香族イソシアナートや脂環族イソ
シアナート等のその他のブロックイソシアナートに比べ
て、イソシアナート官能基が分子内で外側に向くような
構造を有し、又、官能基が長鎖の先端部に位置し、立体
障害が少ないため、反応性に富む。
【0022】上記脂肪族イソシアネート系ブロックイソ
シアナートは、平均官能基数が3よりも大きいものであ
る。イソシアナート平均官能基数が3よりも大きいもの
を使用することによって、反応性及び硬化性が高く、か
つ、強靱な網目構造を形成するので得られる塗膜の強度
を高くすることができる。3以下であると、反応性及び
硬化性、特に低温硬化性に劣る。好ましくは4以上であ
り、より好ましくは5以上である。
【0023】上記脂肪族イソシアネート系ブロックイソ
シアナートは、脂肪族系のポリイソシアナートにオキシ
ム系ブロック剤等を付加させることによって得られ、加
熱によりブロック剤が解離してイソシアナート基が発生
し、上記塗膜形成性樹脂中の官能基と反応し硬化するも
のが挙げられる。また、ヌレート体等の多量体及び混合
物を用いることができる。
【0024】上記脂肪族系のポリイソシアナートとして
は、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメ
チレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネ
ート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘ
キサメチレンジイソシアネート等の炭素数2〜12のジ
イソシアネートの多量体を挙げることができる。なかで
も、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)の多
量体が好ましい。
【0025】上記ブロック剤としては、例えば、ハロゲ
ン化炭化水素;メタノール、エタノール、n−プロパノ
ール、イソプロパノール、フルフリルアルコール、アル
キル基置換フルフリルアルコール、ベンジルアルコール
等の脂肪族、芳香族又は複素環式アルコール;メチルエ
チルケトンオキシム、メチルイソブチルケトンオキシ
ム、アセトンオキシム、シクロヘキサンオキシム等のオ
キシム類;その他にカプロラクタム等を挙げることがで
きる。
【0026】これらの中で好ましいものはオキシム類、
アルコール類である。なかでも、低温硬化性に優れるこ
とから、オキシム類をブロック剤として用いたものがよ
り好ましい。また更に、ブロック剤を解離させるための
触媒を用いることができる。
【0027】本発明においては、硬化剤として、上記脂
肪族イソシアネート系ブロックイソシアナートに加え
て、アミノ樹脂を使用する。上記アミノ樹脂を配合する
ことによって、低温硬化性及び塗膜性能とを一層向上す
ることができる。上記硬化剤として脂肪族イソシアネー
ト系ブロックイソシアナート及びアミノ樹脂を併用する
中塗り塗料は、低温硬化性に優れるものであるため、ウ
エットオンウエットで中塗り塗膜、ベース塗膜及びクリ
ヤー塗膜が形成され、その後焼付けが行われる場合にお
いて、中塗り塗膜の硬化が先に始まる結果、得られる積
層塗膜の外観を優れたものとすることができる。
【0028】上記アミノ樹脂としては、特に限定される
ものではなく、メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミ
ン樹脂、又は、メチル、ブチル混合型メラミン樹脂を用
いることができる。例えば三井東圧株式会社から市販さ
れている「サイメル−303」、「サイメル254」、
三井化学株式会社から市販されている「ユーバン22
6」、「ユーバン20N60」、住友化学工業株式会社
から市販されている「スミマールシリーズ」等が挙げら
れる。
【0029】上記脂肪族イソシアネート系ブロックイソ
シアナートと上記アミノ樹脂とを合計した硬化剤の配合
量は、アミド基含有アクリル樹脂とその他の塗膜形成樹
脂を含めた塗膜形成性樹脂の固形分総量に対して20〜
100重量%であることが好ましく、25〜100重量
%であることが更に好ましい。上記範囲外では硬化性が
不足する。
【0030】上記アミノ樹脂の配合量は、アミド基含有
アクリル樹脂とその他の塗膜形成樹脂を含めた塗膜形成
性樹脂の固形分総量に対して5〜80重量%とすること
が好ましく、より好ましくは10〜50重量%である。
含有量が5重量%を下回ると低温硬化性が不充分とな
り、80重量%を上回ると硬化膜が堅くなりすぎ脆くな
る。
【0031】上記脂肪族イソシアネート系ブロックイソ
シアナートの配合量は、アミド基含有アクリル樹脂とそ
の他の塗膜形成樹脂を含めた塗膜形成性樹脂の固形分総
量に対して5〜50重量%であることが好ましく、8〜
30重量%であることが更に好ましい。5重量%を下回
ると得られる塗膜の耐チッピング性が不充分となり、5
0重量%を上回ると硬化性が不足する。
【0032】上記脂肪族イソシアネート系ブロックイソ
シアナートと上記アミノ樹脂との固形分に基づく配合比
は、3/1〜1/5であることが好ましい。脂肪族イソ
シアネート系ブロックイソシアナートの配合量がこの比
の範囲を下回ると、得られる塗膜の耐チッピング性が不
充分となり、一方、アミノ樹脂の配合量がこの比の範囲
を下回ると、硬化性が不足する。
【0033】本発明に用いられる中塗り塗料に配合され
る着色顔料としては、例えば有機系のアゾキレート系顔
料、不溶性アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、ジケトピロロ
ピロール系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、フタロシ
アニン系顔料、インジゴ顔料、ペリノン系顔料、ペリレ
ン系顔料、ジオキサン系顔料、キナクリドン系顔料、イ
ソインドリノン系顔料、金属錯体顔料等が挙げられ、無
機系では黄鉛、黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラッ
ク、二酸化チタン等があげられる。また、体質顔料とし
ては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク
等が用いられる。更に、アルミニウム粉、マイカ粉等の
扁平顔料を添加しても良い。
【0034】標準的には、カーボンブラックと二酸化チ
タンとを主要顔料としたグレー系のものが用いられる。
更に、上塗りとの色相を合わせたものや各種の着色顔料
を組み合わせたものを用いることもできる。
【0035】また、上記中塗り塗料には、上塗り塗膜と
のなじみ防止、塗装作業性を確保するために、粘性制御
剤を添加することができる。粘性制御剤としては、一般
にチクソトロピー性を示すものを含有でき、例えば、脂
肪酸アマイドの膨潤分散体、アマイド系脂肪酸、長鎖ポ
リアミノアマイドの燐酸塩等のポリアマイド系のもの、
酸化ポリエチレンのコロイド状膨潤分散体等のポリエチ
レン系等のもの、有機酸スメクタイト粘土、モンモリロ
ナイト等の有機ベントナイト系のもの、ケイ酸アルミ、
硫酸バリウム等の無機顔料、顔料の形状により粘性が発
現する偏平顔料、架橋あるいは非架橋の樹脂粒子等を粘
性制御剤として挙げることができる。
【0036】本発明で用いられる中塗り塗料の塗装時の
全固形分量は、30〜80重量%であり、好ましくは3
5〜65重量%である。この範囲外では塗料安定性が低
下する。また上限を超えると、粘性が高すぎて塗膜外観
が低下し、下限を下回ると粘性が低すぎてなじみやムラ
等の外観不良が発生する。
【0037】本発明に用いられる中塗り塗料中には、上
記成分の他に塗料に通常添加される添加剤、例えば、表
面調整剤、酸化防止剤、消泡剤等を配合してもよい。こ
れらの配合量は当業者の公知の範囲である。
【0038】本発明に用いられる塗料組成物の製造方法
は、後述するものを含めて、特に限定されず、顔料等の
配合物をニーダー又はロール等を用いて混練、分散する
等の当業者に周知の全ての方法を用い得る。
【0039】ベース塗膜 本発明の塗膜形成方法においてベース塗膜とは、クリヤ
ー塗膜と共に上塗り塗膜を構成するものである。このベ
ース塗膜はベース塗料から形成される。ベース塗料に
は、塗膜形成性樹脂、硬化剤、着色顔料、必要に応じて
光輝性顔料等が含まれる。
【0040】本発明において、上記ベース塗膜を形成す
るベース塗料は、アミド基含有アクリル樹脂及び硬化剤
を含有するものである。上記ベース塗膜が、例えばカラ
ーベース塗膜及びメタリックベース塗膜等のように2層
以上からなるものである場合、ベース塗膜のうち少なく
とも最下層は、アミド基含有アクリル樹脂及び硬化剤を
含有する必要がある。本発明においては、全てのベース
塗膜がアミド基含有アクリル樹脂及び硬化剤を含有する
ものであることが好ましい。上記アミド基含有アクリル
樹脂としては、上述の中塗り塗膜の記載で示したアミド
基を含有するアクリル樹脂を挙げることができる。
【0041】上記ベース塗料においては、アミド基含有
アクリル樹脂とその他の塗膜形成性樹脂との固形分重量
比が30/70〜90/10であることが好ましく、よ
り好ましくは50/50〜80/20である。アミド基
含有アクリル樹脂が下限を下回るとタレの抑制及び外観
が低下し、上限を超えると造膜性が悪くなる。
【0042】上記ベース塗料において用いられる硬化剤
としては、アミノ樹脂、ブロックイソシアナート、エポ
キシ化合物、アジリジン化合物、カルボジイミド化合
物、オキサゾリン化合物等が好ましいものとして挙げら
れ、混合して用いることができる。得られた塗膜の諸性
能、コストの点からアミノ樹脂が特に好ましく用いられ
る。
【0043】上記硬化剤としてのアミノ樹脂としては、
上述の中塗り塗膜の記載で示したアミノ樹脂を用いるこ
とができる。上記アミノ樹脂の含有量は、アミド基含有
アクリル樹脂と塗膜形成性樹脂との固形分に対して20
〜100重量%とすることが好ましく、更に好ましくは
30〜100重量%である。含有量が20重量%を下回
ると硬化性が不充分となり、100重量%を上回ると硬
化膜が堅くなりすぎ脆くなる。
【0044】尚、中塗り塗料とベース塗料とに含まれる
塗膜形成性樹脂成分におけるアミド基含有アクリル樹脂
の含有率及びそれぞれの塗料内の硬化剤含有率を近づけ
ることで、それぞれの塗膜の硬化歪みを低減することが
でき、耐チッピング性が向上し特に好ましい。
【0045】上記中塗り塗料とベース塗料とに含まれる
塗膜形成性樹脂成分におけるアミド基含有アクリル樹脂
の含有率を近づけるとは、それぞれの塗料におけるアミ
ド基含有アクリル樹脂の含有率の差を、20重量%以下
にするということであり、10重量%以下にすることが
更に好ましい。また、上記中塗り塗料とベース塗料とに
含まれる硬化剤含有率を近づけるとは、それぞれの塗料
に含まれる塗膜形成性樹脂成分における硬化剤の含有率
の差を、20重量%以下にするということであり、10
重量%以下にすることが更に好ましい。
【0046】上記ベース塗料において使用される着色顔
料としては、例えば、上述の中塗り塗料についての記載
で挙げたもの等を含有することができる。上記ベース塗
料に必要に応じて含まれる光輝性顔料としては、形状は
特に限定されず、更に着色されていても良いが、例え
ば、平均粒径(D50)が2〜50μmであり、且つ厚さ
が0.1〜5μmであるものが好ましい。また、平均粒
径が10〜35μmの範囲のものが光輝感に優れ、更に
好適に用いられる。
【0047】上記塗料中の光輝性顔料の顔料濃度(PW
C)は、一般的に20%以下である。上限を超えると塗
膜外観が低下する。好ましくは、0.01%〜18%で
あり、より好ましくは、0.1%〜15%である。
【0048】上記光輝性顔料としては、アルミニウム、
銅、亜鉛、鉄、ニッケル、スズ、酸化アルミニウム等の
金属又は合金等の無着色あるいは着色された金属製光輝
剤及びその混合物が挙げられる。更に、干渉マイカ顔
料、ホワイトマイカ顔料、グラファイト顔料その他の着
色、有色偏平顔料等を併用しても良い。
【0049】上記光輝性顔料及びその他の全ての顔料を
含めた塗料中の全顔料濃度(PWC)としては、0.1
〜50%であり、好ましくは、0.5%〜40%であ
り、より好ましくは、1.0%〜30%である。上限を
超えると塗膜外観が低下する。
【0050】更に、上記ベース塗料には、上述の中塗り
塗料同様に、塗装作業性を確保するために、粘性制御剤
を添加することが好ましい。粘性制御剤は、ムラ及びた
れのない塗膜を良好に形成するために用いられるのであ
り、一般にチクソトロピー性を示すものを含有できる。
このようなものとして、例えば、上述の中塗り塗料につ
いての記載で挙げたものを含有することができる。
【0051】本発明に用いられるベース塗料中には、上
記成分の他に塗料に通常添加される添加剤、例えば、表
面調整剤、増粘剤、酸化防止剤、紫外線防止剤、消泡剤
等を配合してもよい。これらの配合量は当業者の公知の
範囲である。
【0052】本発明で用いられるベース塗料の塗装時の
全固形分量は、10〜60重量%であり、好ましくは1
5〜50重量%である。上限及び下限を超えると塗料安
定性が低下する。上限を超えると、粘性が高すぎて塗膜
外観が低下し、下限を下回ると粘性が低すぎてなじみや
ムラ等の外観不良が発生する。
【0053】クリヤー塗膜 上記クリヤー塗膜の形成にはクリヤー塗料が用いられ
る。このクリヤー塗料は、特に限定されず、塗膜形成性
熱硬化性樹脂及び硬化剤等を含有するものを利用でき
る。このクリヤー塗料の形態としては、溶剤型、水性型
及び粉体型のものが挙げられる。
【0054】上記溶剤型クリヤー塗料の好ましい例とし
ては、透明性あるいは耐酸エッチング性等の点から、ア
クリル樹脂及び/又はポリエステル樹脂とアミノ樹脂と
の組合わせ、あるいはカルボン酸・エポキシ硬化系を有
するアクリル樹脂及び/又はポリエステル樹脂等が挙げ
られる。
【0055】また、上記水性型クリヤー塗料の例として
は、上記溶剤型クリヤー塗料の例として挙げたものに含
有される塗膜形成性樹脂を、塩基で中和して水性化した
樹脂を含有するものが挙げることができる。この中和は
重合の前又は後に、ジメチルエタノールアミン及びトリ
エチルアミンのような3級アミンを添加することにより
行うことができる。
【0056】一方、粉体型クリヤー塗料としては、熱可
塑性及び熱硬化性粉体塗料のような通常の粉体塗料を用
い得ることができる。良好な物性の塗膜が得られるた
め、熱硬化性粉体塗料が好ましい。熱硬化性粉体塗料の
具体的なものとしては、エポキシ系、アクリル系及びポ
リエステル系の粉体クリヤー塗料等が挙げられるが、耐
候性が良好なアクリル系粉体クリヤー塗料が特に好まし
い。
【0057】本発明に用いる粉体型クリヤー塗料とし
て、硬化時の揮散物が無く、良好な外観が得られ、そし
て黄変が少ないことから、エポキシ含有アクリル樹脂/
多価カルボン酸の系の粉体塗料が特に好ましい。
【0058】更に、上記クリヤー塗料には、上述の中塗
り塗料同様に、塗装作業性を確保するために、粘性制御
剤を添加されていることが好ましい。粘性制御剤は、一
般にチクソトロピー性を示すものを含有できる。このよ
うなものとして、例えば、上述の中塗り塗料についての
記載で挙げたものを含有することができる。また必要に
より、硬化触媒、表面調整剤等を含むことができる。
【0059】基材 本発明の塗膜形成方法は、種々の基材、例えば金属、プ
ラスチック、発泡体等、特に金属表面、及び鋳造物に有
利に用い得るが、カチオン電着塗装可能な金属製品に対
し、特に好適に使用できる。
【0060】上記金属製品としては、例えば、鉄、銅、
アルミニウム、スズ、亜鉛等及びこれらの金属を含む合
金が挙げられる。具体的には、乗用車、トラック、オー
トバイ、バス等の自動車車体及び部品が挙げられる。こ
れらの金属は予めリン酸塩、クロム酸塩等で化成処理さ
れたものが特に好ましい。
【0061】また、本発明の塗膜形成方法に用いられる
基材には、化成処理された鋼板上に電着塗膜が形成され
ていても良い。電着塗膜を形成する電着塗料としては、
カチオン型及びアニオン型を使用できるが、カチオン型
電着塗料組成物が防食性において優れた積層塗膜を与え
るため好ましい。
【0062】塗膜形成方法 本発明の塗膜形成方法では、基材上に、中塗り塗料によ
り中塗り塗膜、ベース塗料によりベース塗膜及びクリヤ
ー塗料によりクリヤー塗膜を、順次ウエットオンウエッ
トで形成する。
【0063】本発明で中塗り塗料を自動車車体に塗装す
る場合は、外観を高めるために、例えば「リアクトガ
ン」等と言われるエアー静電スプレー塗装による多ステ
ージ塗装、好ましくは2ステージで塗装するか、或い
は、エアー静電スプレー塗装と、通称「μμ(マイクロ
マイクロ)ベル」、「μ(マイクロ)ベル」又は「メタ
ベル」等と言われる回転霧化式の静電塗装機とを組み合
わせた塗装方法等により塗膜を形成することができる。
【0064】本発明における、中塗り塗料による乾燥塗
膜の膜厚は所望の用途により変化するが、多くの場合1
0〜60μmが有用である。上限を超えると、鮮映性が
低下したり、塗装時にムラあるいは流れ等の不具合が起
こることがあり、下限を下回ると、下地が隠蔽できず膜
切れが発生する。
【0065】本発明の塗膜形成方法では更に、未硬化の
中塗り塗膜の上に、ベース塗料、及びクリヤー塗料をウ
エットオンウエットで塗布し、ベース塗膜、及びクリヤ
ー塗膜を形成する。
【0066】本発明の方法におけるベース塗膜を形成す
る為に用いるベース塗料は、上記中塗り塗料と同様に、
例えば「リアクトガン」等と言われるエアー静電スプレ
ー塗装あるいはμμベル、μベル等の回転霧化式の静電
塗装機により塗装することができ、その塗膜の乾燥膜厚
は5〜35μmに設定することができ、好ましくは7〜
25μmである。ベース塗膜の膜厚が35μmを超える
と、鮮映性が低下したり、塗膜にムラ又は流れが生じる
ことがあり、5μm未満であると、下地隠蔽性が不充分
となり、膜切れ(塗膜が不連続な状態)が生じることが
あるため、いずれも好ましくない。
【0067】本発明の塗膜形成方法において、上記ベー
ス塗膜を形成した後に塗装されるクリヤー塗膜は、上記
ベース塗膜に起因する凹凸、光輝性顔料が含まれる場合
に起こるチカチカ等を平滑にし、保護するために形成さ
れる。塗装方法として具体的には、先に述べたμμベ
ル、μベル等の回転霧化式の静電塗装機により塗膜形成
することが好ましい。
【0068】上記クリヤー塗料により形成されるクリヤ
ー塗膜の乾燥膜厚は、一般に10〜80μm程度が好ま
しく、より好ましくは20〜60μm程度である。上限
を超えると、塗装時にワキあるいはタレ等の不具合が起
こることもあり、下限を下回ると、下地の凹凸が隠蔽で
きない。
【0069】上述のようにして得られた積層された塗膜
は、同時に硬化させる、いわゆる3コート1ベークによ
って塗膜形成を行う。この場合、焼き付け乾燥炉を省略
することができ、経済性及び環境面からも好ましい。
【0070】上記積層塗膜を硬化させる硬化温度を80
〜180℃、好ましくは120〜160℃に設定するこ
とで高い架橋度の硬化塗膜が得られる。上限を超える
と、塗膜が固く脆くなり、下限未満では硬化が充分でな
い。硬化時間は硬化温度により変化するが、120℃〜
160℃で10〜30分が適当である。
【0071】本発明で形成される積層塗膜の膜厚は、多
くの場合30〜300μmであり、好ましくは50〜2
50μmである。上限を超えると、冷熱サイクル等の膜
物性が低下し、下限を下回ると膜自体の強度が低下す
る。
【0072】
【実施例】以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳細
に説明するが、本発明は以下の実施例により限定される
ものではない。尚、以下に於いて「部」とあるのは「重
量部」を意味する。
【0073】製造例 アミド基含有アクリル樹脂の製造1 窒素導入管、撹拌機、温度調節機、滴下ロート及びデカ
ンターを備えた冷却管を取り付けた1Lの反応容器にキ
シレン80部及び酢酸ブチル20部とを仕込み、温度を
120℃にした。次に、スチレン5部、メチルメタクリ
レート30部、4−ヒドロキシブチルアクリレート1
1.5部、エチルアクリレート38.3部、エチルメタ
クリレート7部、メタクリル酸2.3部、アクリルアミ
ド5部及び重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2
−エチルヘキサノエート2.5部を滴下ロートに仕込み
モノマー溶液とした。反応容器内を120℃に保持しな
がら3時間かけてこのモノマー溶液を滴下した。滴下後
さらに1時間120℃で保持した。数平均分子量140
00、水酸基価45及び酸価15mgKOH/gのアミ
ド基含有アクリル樹脂1を得た。
【0074】その他の塗膜形成性樹脂の製造 窒素導入管、撹拌機、温度調節機、滴下ロート及び冷却
管を備えた1Lの反応容器にキシレン80部及び酢酸ブ
チル20部を仕込んで、温度を120℃とした。スチレ
ン5部、メチルメタクリレート30部、2−ヒドロキシ
エチルメタクリレート10.4部、エチルアクリレート
44.4部、エチルメタクリレート7部、メタクリル酸
2.3部及びt−ブチルパーオキシ−2−ヘキサノエー
ト2部を混合することによりモノマー溶液を別途調製し
た。このモノマー溶液を反応容器に撹拌下、3時間かけ
て添加した後、1時間撹拌を継続した。数平均分子量2
1000、水酸基価45及び酸価15mgKOH/gの
アクリル樹脂2を得た。
【0075】架橋性樹脂粒子の製造 撹拌加熱装置、温度計、窒素導入管、冷却管及びデカン
タを装備した反応容器に、ビスヒドロキシエチルタウリ
ン213重量部、ネオペンチルグリコール208重量
部、無水フタル酸296重量部、アゼライン酸376重
量部及びキシレン30重量部を仕込んで還流温度まで昇
温した。ここで、反応により生成した水は、キシレンと
共沸させて除去した。還流開始より約3時間かけて反応
系内の温度を210まで上げて、樹脂固形分のカルボン
酸相当の酸価が、135mgKOH/gとなるまで、撹
拌及び脱水しながら反応させた。
【0076】反応系内の温度を140℃まで冷却した
後、シェル社製「カージュラーE10」(商品名、バー
サティック酸グリシジルエステル)500重量部を30
分かけて滴下した。その後、約2時間撹拌した後、反応
を終了させた。これにより、樹脂固形分の酸価が55m
gKOH/g及びヒドロキシル価が91mgKOH/g
であり、数平均分子量が1250の両性イオン基含有ポ
リエステル樹脂を得た。得られた両性イオン基含有ポリ
エステル樹脂10重量部、脱イオン水140重量部、ジ
メチルエタノールアミン1重量部、スチレン50重量部
及びエチレングリコールジメタクリレート50重量部
を、ステンレス鋼製ビーカー中で激しく撹拌することに
より、モノマー懸濁液を調製した。また、アゾビスシア
ノ吉草酸0.5重量部、脱イオン水40重量部及びジメ
チルエタノールアミン0.32重量部を混合することに
より、開始剤水溶液を別途調製した。
【0077】撹拌加熱装置、温度計、窒素導入管及び冷
却管を装備した反応容器に、両性イオン基含有ポリエス
テル樹脂5重量部、脱イオン水280重量部及びジメチ
ルエタノールアミン0.5重量部を仕込んで80℃まで
昇温した。ここへ、先に調製したモノマー懸濁液251
重量部と開始剤水溶液40.82重量部とを同時に60
分かけて滴下し、さらに60分間反応を継続した後、反
応を終了させて、架橋性樹脂粒子エマルションを得た。
【0078】架橋製樹脂粒子エマルションの平均粒径
は、動的光散乱法での測定により55nmであった。こ
の架橋性樹脂粒子エマルションにキシレンを加え、減圧
下で共沸蒸留することにより、水を除去して媒体をキシ
レンに置換した。こうして、構造粘性付与剤として機能
し得る、樹脂固形分含有量が20重量%の架橋性樹脂粒
子のキシレン溶液を得た。
【0079】実施例1 中塗り塗料1 先の製造例で得られたアミド基含有アクリル樹脂1を4
3部、タイペークCR−97(石原産業社製酸化チタ
ン)39.5部、MA−100(三菱カーボン社製カー
ボン顔料)0.4部、ASP200(エンゲルハード社
製鱗片状タルク)4.4部及びS−100(エクソン社
製芳香族系炭化水素溶剤)22.8部を1000mLの
ステンレス容器に仕込み、ペイントコンディショナーを
用いて室温で45分間混合分散し、灰色の顔料ペースト
とした。
【0080】このものに、先の製造例で得られたアクリ
ル樹脂2を29部、ユーバン226(三井化学社製ブチ
ル化メラミン樹脂)18部、デュラネートME20−B
80S(旭化成工業社製HMDI系のオキシムブロック
イソシアナート)10部及びジブチルチンジラウレート
(錫系触媒)1部とを添加し、ラボミキサーでさらに3
0分間撹拌混合し、灰色の中塗り塗料1を得た。尚、配
合量(部)は、固形分で表示した。
【0081】ベース塗料1 アルペースト7160N(東洋アルミニウム社製アルミ
ニウム顔料ペースト、アルミニウム含量65%)10部
に、先の製造例で得られたアミド基含有アクリル樹脂1
を42部、アクリル樹脂2を28部、ユーバン20N6
0(三井東圧社製ブチル化メラミン樹脂)30部を添加
し、均一混合した。更に、先の製造例で製造した架橋性
樹脂粒子10部を加えてさらに均一分散することにより
メタリックベース塗料1を得た。尚、配合量(部)は、
固形分で表示した。
【0082】塗膜形成方法 リン酸亜鉛処理した後、パワートップV−6(日本ペイ
ント社製カチオン電着塗料)を、乾燥膜厚が20μmと
なるように電着塗装し、160℃で30分間焼き付けた
塗板に、先の製造例の中塗り塗料1を、予め、酢酸エチ
ル/エチルエトキシプロパノール=6/4からなる希釈
シンナーを用いて19秒(No.4フォードカップを使
用し、20℃で測定)に希釈したものを、乾燥膜厚20
μmとなるように「マイクロベル」(回転霧化型静電塗
装機)で塗装した。塗布後に5分間のインターバルをと
り、セッティングを行った。
【0083】次いで、先の製造例のメタリックベース塗
料1を、トルエン/酢酸エチル/エチルエトキシプロパ
ノール=5/2/3からなる希釈シンナーを用いて18
秒(No.3フォードカップを使用し、20℃で測定)
に希釈したものを、乾燥膜厚20μmとなるように「マ
イクロベル」と「メタベル」で2ステージ塗装した。2
回の塗布の間に、1.5分間のインターバルを行った。
2回目の塗布後、8分間セッティングを行った。
【0084】次に、MAC O−380クリヤー(日本
ペイント社製酸エポキシ硬化型溶剤クリヤー塗料)を、
乾燥膜厚40μmとなるように「マイクロベル」によ
り、1ステージ塗装し、7分間セッティングした。つい
で、得られた塗装板を乾燥機で140℃で30分間焼き
付けを行った。
【0085】得られた塗装板について、塗膜外観、特に
艶感について以下の評価基準により目視評価した。 <艶感判断基準> 5;非常に艶がよい 4;艶がよい 3;艶はある 2;若干艶が落ちる 1;艶感がない
【0086】また更に、得られた塗板の耐チッピング性
の評価を以下のようにして行った。グラベロ試験機(ス
ガ試験機社製)を用いて、7号砕石100gを注入速度
50g/sで、35cmの距離から3.0kg/cm2
の空気圧で、−20℃に冷却した塗膜に30°の角度で
衝突させた。水洗乾燥後、ニチバン社製工業用ガムテー
プを用いて剥離テストを行い、その後、塗膜のはがれの
程度を目視により観察し、下記の判断基準により評価し
た。 <耐チッピング性判断基準> 5;剥離面積が小さく、頻度も極わずかである 4;剥離面積が小さく、頻度も少ない 3;剥離面積は小さいが、頻度がやや多い 2;剥離面積は大きいが、頻度は少ない 1;剥離面積が大きく、頻度も多い 以上の結果を表1に示した。
【0087】比較例1、2 予め、表1に示す塗料成分(固形分で表示)で中塗り塗
料を配合し、実施例1と同様に、中塗り塗料、メタリッ
クベース塗料及びクリヤー塗料を組み合わせ、積層塗膜
を作製し、評価した。ベース塗料及びクリヤー塗料とし
ては、実施例1と同じものを使用した。尚、硬化剤とし
て、比較例1の中塗り塗料ではメラミン樹脂のみを使用
し、比較例2の中塗り塗料ではメラミン樹脂及びイソホ
ロンジイソシアナート(IPDI)系ブロックイソシア
ナート(住友バイエルウレタン社製ディスモジュールB
L−4265)を使用した。
【0088】比較例3 中塗り塗料として、オルガP−2HGグレー(日本ペイ
ント社製ポリエステル/メラミン硬化系中塗り塗料;ポ
リエステル樹脂/メラミン樹脂の固形分比=7/3)を
用いて塗装した後、140℃で30分間焼き付けを行っ
た他は同様に、メタリックベース塗料及びクリヤー塗料
を組み合わせ、積層塗膜を作製し、評価した。以上の実
施例及び比較例について評価結果を表1に示した。
【0089】
【表1】
【0090】実施例1では、中塗り塗膜、ベース塗膜及
びクリヤー塗膜を、順次ウエットオンウエットで形成し
ても、比較例3の3コート2ベーク法により得られた積
層塗膜と同等以上の艶感に優れた積層塗膜を得ることが
できた。また、チッピングを受けた場合にも、外観上剥
離面積が小さい上、剥離頻度も少なく、優れた耐チッピ
ング性を示した。比較例1及び2では、外観(艶)及び
耐チッピング性の評価において劣るものであった。
【0091】
【発明の効果】本発明においては、中塗り塗料中に塗膜
形成性樹脂として含まれるアミド基含有アクリル樹脂に
よって、粘性制御効果が発揮されるので、3コート1ベ
ーク法で塗装した場合において、各塗膜層間の界面での
なじみや反転を制御し、高外観の積層塗膜を得ることが
できる。更に、硬化剤として、脂肪族イソシアネート系
ブロックイソシアナート及びアミノ樹脂からなるものを
使用することによって、良好な反応性及び低温硬化性を
有し、高外観の塗膜を得ることができ、かつ、得られる
塗膜の物性、特に耐チッピング性及び塗膜強度を優れた
ものとすることができる。なかでも、耐チッピング性に
ついては、中塗り塗膜を形成した後焼付け硬化させる工
程を含む従来の3コート2ベーク法と同等以上となり、
特に、衝突角度90度における耐チッピング性を飛躍的
に向上させることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 175/04 C09D 175/04 (72)発明者 辻岡 英顕 愛知県高浜市新田町3丁目1番5号 日本 ペイント株式会社内 (72)発明者 小林 佳子 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 4D075 AE06 CA47 DA06 DB02 DC12 EA05 EA43 EB22 EB38 EB45 4J038 DA162 DG141 DG191 DG301 GA03 GA06 GA09 GA10 NA11 PA19

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材上に、中塗り塗膜、ベース塗膜及び
    クリヤー塗膜を、順次ウエットオンウエットで形成する
    塗膜形成方法であって、前記中塗り塗膜を形成する中塗
    り塗料及び前記ベース塗膜を形成するベース塗料が、ア
    ミド基含有アクリル樹脂及び硬化剤を含有するものであ
    り、前記中塗り塗料中に含まれる硬化剤が、アミノ樹脂
    及び脂肪族イソシアナート系ブロックイソシアナートか
    らなるものであり、前記脂肪族イソシアナート系ブロッ
    クイソシアナートは、平均官能基数が3よりも大きいも
    のであることを特徴とする塗膜形成方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の塗膜形成方法により形成
    された積層塗膜。
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