JP2002144363A - 樹脂発泡体及びその製造方法 - Google Patents

樹脂発泡体及びその製造方法

Info

Publication number
JP2002144363A
JP2002144363A JP2000341068A JP2000341068A JP2002144363A JP 2002144363 A JP2002144363 A JP 2002144363A JP 2000341068 A JP2000341068 A JP 2000341068A JP 2000341068 A JP2000341068 A JP 2000341068A JP 2002144363 A JP2002144363 A JP 2002144363A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
resin foam
gas
phase
hydroxyphenyl
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000341068A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroshi Saito
拓 斎藤
Daisuke Narishima
大介 成嶋
Hiroyuki Kawahigashi
宏至 川東
Toshitaka Kanai
俊孝 金井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Idemitsu Petrochemical Co Ltd filed Critical Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Priority to JP2000341068A priority Critical patent/JP2002144363A/ja
Publication of JP2002144363A publication Critical patent/JP2002144363A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】連結多孔構造の機能を充分に達成することがで
きるとともに環境上優れた樹脂発泡体及びその製造方法
を提供する。 【解決手段】樹脂相2と気孔相3とが各々連続して形成
され、かつ、互いに絡み合った周期構造を備える。発泡
前の剛性を保ちつつ耐衝撃性、吸音性を向上させるとい
う連結多孔構造としての機能を達成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂相と気孔相と
からなる樹脂発泡体及びその製造方法に関する。
【0002】
【背景技術】マトリックス相を形成する樹脂相と気孔相
とからなる樹脂発泡体は、種々の分野で使用されてお
り、このうち、ウィルス分離膜や人工肺等のフィルタや
防音材として用いるためには、樹脂発泡体は、連結多孔
構造であることが望ましい。従来では、樹脂発泡体の製
造方法の一つとしてマイクロセル発泡法が知られてい
る。このマイクロセル発泡法は、高圧ガス中に樹脂を配
置し、その後、ガスを急激に解放することで気泡の核を
形成し、さらに、ガラス転移温度(Tg)以上で加熱して
気泡を成長させた後、冷却することで気泡を固定して樹
脂発泡体を製造する。
【0003】また、従来では、スピノーダル分解によ
り、連結多孔構造を有する多孔質体の製造方法がある。
この製造方法は、2つの樹脂成分からなる半相溶系組成
物を、一度、一相状態としておき、これを二層領域で相
分解させ、さらに、一方の樹脂成分を溶媒で溶出除去さ
せる方法で多孔質体を製造する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】マイクロセル発泡法の
従来例は、核成形後に発泡セルが球状のまま成長するこ
とになるため、独立した気泡が多数形成されることがあ
っても、複数の孔部が連結された連結多孔構造を得るこ
とが困難である。そのため、マイクロセル発泡法で製造
された樹脂発泡体では、連結多孔構造が有する本来の機
能を達成することができず、そのため、例えば、ウィル
ス分離膜や人工肺等といったフィルタに利用することが
できない。
【0005】また、スピノーダル分解により、多孔質体
を製造する従来例では、有機溶媒等の溶媒を使用するた
め、環境上、好ましくない。その上、この製造方法で製
造された多孔質体は、樹脂成分を溶媒で溶出除去させて
孔を形成するため、その孔を大きくすると、いわゆる
「す」の状態となり、弾性力が低くなる等、連結多孔構
造の機能を低下させることになる。
【0006】本発明の目的は、連結多孔構造の機能を充
分に達成することができるとともに環境上優れた樹脂発
泡体及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を重ねた結果、樹脂相と気孔相とが各々連続して形成さ
れるとともに、互いに絡み合った樹脂発泡体の周期構造
を所定の範囲とすることで、前記目的を効果的に達成し
うることを見出し、本発明を完成したものである。即
ち、本発明の樹脂発泡体は、樹脂相と気孔相とからなる
樹脂発泡体であって、前記樹脂相と気孔相とが各々連続
して形成されるとともに、互いに絡み合った周期構造を
備えたことを特徴とする。
【0008】本発明では、樹脂相(マトリックス相)と
気孔相とが各々連続して形成され、かつ、これらが互い
に絡み合った周期構造を有する樹脂発泡体であるため、
独立した気泡が形成される従来のマイクロセル発泡法と
は異なり、連続形成された気孔相によって連結多孔構造
としての機能、例えば、発泡前の剛性を保ちつつ耐衝撃
性、吸音性を向上させるという機能を充分に達成するこ
とができる。そのため、フィルタ等の用途にも利用する
ことができる。
【0009】ここで、本発明では、前記周期構造は、1
周期の長さが5nm以上100μm以下であり、好まし
くは、10nm以上50μm以下である。この構成で
は、周期構造の1周期の長さを、5nm以上100μm
以下としたので、「す」の状態となることがなく、連結
多孔構造としての機能を充分に維持することができる。
1周期の長さを5nm未満とすると、気孔相が小さすぎ
てフィルタとして使用できないという不都合がある。1
周期の長さを、100μmを超えるものとすると、連結
多孔構造としての機能、例えば、発泡前の剛性の維持等
を達成することができない。また、樹脂発泡体の発泡倍
率は、周期構造が保持される限り制限はないが、通常、
1.1〜3倍、好ましくは、1.5〜2.5倍である。本発明で
用いられる樹脂には、制限がないが、熱可塑性樹脂が好
ましい。本発明では、目的に応じて複数の熱可塑性樹脂
のアロイでもよい。例えば、樹脂として、ポリカーボネ
ート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリスチレン(P
S)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(P
E)、ポリエーテル、ABS、ポリエチレンテレフタレ
ート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PB
T)、PMMA、SPS、PPS、PAR、ポリエーテ
ルイミド(PEI)、ポリエーテルスルフォン(PE
S)、ポリエーテルニトリル(PEN)、各種熱可塑性
エラストマー等を例示できる。
【0010】ポリカーボネートとしては、通常のポリカ
ーボネートの他に、分岐状ポリカーボネートを用いるこ
とができる。分岐状ポリカーボネートの一つは、分岐剤
として、一般式(I)
【0011】
【化1】
【0012】で表される化合物から誘導された分岐核構
造を有するものである。〔式中、Rは水素又は炭素数1
〜5のアルキル基であり、R1 〜R6 は、それぞれ水素
原子,ハロゲン原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示
す。〕 ここで、Rは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、
例えば、メチル基,エチル基,n−プロピル基,n−ブ
チル基,n−ペンチル基などである。また、R 1 〜R6
は、水素原子,ハロゲン原子(例えば、塩素,臭素,フ
ッ素,沃素など)又は炭素数1〜5のアルキル基(例え
ば、メチル基,エチル基,n−プロピル基,n−ブチル
基,n−ペンチル基など)であり、それらは同一であっ
てもよいし、異なっていてもよい。そのうち、Rとして
は、メチル基が好ましく、また、R1 〜R6 としては、
それぞれ水素原子が好ましい。そして、一般式(I)で
表される化合物としては、具体的には、1,1,1−ト
リス(4−ヒドロキシフェニル)−メタン;1,1,1
−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−エタン;1,
1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−プロパ
ン;1,1,1−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ
フェニル)−メタン;1,1,1−トリス(2−メチル
−4−ヒドロキシフェニル)−エタン;1,1,1−ト
リス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−メタ
ン;1,1,1−トリス(3−メチル−4−ヒドロキシ
フェニル)−エタン;1,1,1−トリス(3,5−ジ
メチル−4−ヒドロキシフェニル)−メタン;1,1,
1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)−エタン;1,1,1−トリス(3−クロロ−4−
ヒドロキシフェニル)−メタン;1,1,1−トリス
(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−エタン;
1,1,1−トリス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキ
シフェニル)−メタン;1,1,1−トリス(3,5−
ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−エタン;1,
1,1−トリス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニ
ル)−メタン;1,1,1−トリス(3−ブロモ−4−
ヒドロキシフェニル)−エタン;1,1,1−トリス
(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−メタ
ン;1,1,1−トリス(3,5−ジブロモ−4−ヒド
ロキシフェニル)−エタンなどが挙げられる。これらの
中では、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−アルカン類が好ましく、特に、Rがメチル基,R
1 〜R6 が、それぞれ水素原子である1,1,1−トリ
ス(4−ヒドロキシフェニル)−エタンが好適である。
本発明において用いられる分岐状ポリカーボネートは、
分岐剤として、上記一般式(I)で表わされる化合物か
ら誘導された分岐核構造を有し、具体的には、下記の式
で表わされるものである。
【0013】
【化2】
【0014】〔式中、m,n及びoは、整数であり、P
Cはポリカーボネート部分を示す。〕上記分岐状ポリカ
ーボネートにおいて、PCは、例えば、原料成分として
ビスフェノールAを使用した場合には、下記の式の繰り
返し単位を示す。
【0015】
【化3】
【0016】上記以外の分岐剤としては、例えば、フロ
ログルシン;メリト酸;トリメリト酸;トリメリト酸ク
ロリド;無水トリメリト酸;没食子酸;没食子酸n−プ
ロピル;プロトカテク酸;ピロメリト酸;ピロメリト酸
第二無水物;α−レゾルシン酸;β−レゾルシン酸;レ
ゾルシンアルデヒド;トリメチルクロリド;トリメチル
トリクロリド;4−クロロホルミルフタル酸無水物;ベ
ンゾフェノンテトラカルボン酸;2,4,4' −トリヒ
ドロキシベンゾフェノン;2,2' ,4,4'−テトラ
ヒドロキシベンゾフェノン;2,4,4' −トリヒドロ
キシフェニルエーテル;2,2' ,4,4'−テトラヒ
ドロキシフェニルエーテル;2,4,4'−トリヒドロ
キシジフェニル−2−プロパン;2,2'−ビス(2,
4−ジヒドロキシ)プロパン;2,2',4,4'−テト
ラヒドロキシジフェニルメタン;2,4,4'−トリヒ
ドロキシジフェニルメタン;1−〔α−メチル−α−
(4'−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α',
α'−ビス(4"−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼ
ン;α,α',α"−トリス(4−ヒドロキシフェニル)
−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン;2,6−ビ
ス(2'−ヒドロキシ−5'−メチルベンジル)−4−メ
チルフェノール;4,6−ジメチル−2,4,6−トリ
ス(4'−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン−2;4,
6−ジメチル−2,4,6−トリス(4'−ヒドロキシ
フェニル)−ヘプタン−2;1,3,5−トリス(4'
−ヒドロキシフェニル)−ベンゼン;2,2−ビス−
〔4,4−ビス(4'−ヒドロキシフェニル)シクロヘ
キシル〕−プロパン;2,6−ビス(2'−ヒドロキシ
−5'−イソプロピルベンジル)−4−イソプロピルフ
ェノール;ビス〔2−ヒドロキシ−3−(2'−ヒドロ
キシ−5'−メチルベンジル)−5−メチルフェニル〕
メタン;ビス〔2−ヒドロキシ−3−(2'−ヒドロキ
シ−5'−イソプロピルベンジル(5−メチルフェニ
ル)メタン;テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)メ
タン;トリス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタ
ン;2',4',7−トリヒドロキシフラバン;2,4,
4−トリメチル−2',4',7−トリヒドロキシフラバ
ン;1,3−ビス(2',4'−ジヒドロキシフェニルイ
ソプロピル)ベンゼン;トリス(4'−ヒドロキシアリ
ール)−アミル−s−トリアジン;1−〔α−メチル−
α−(4'−ヒドロキシフェニル)エチル〕−3−
〔α',α'−ビス(4"−ヒドロキシフェニル)エチ
ル〕ベンゼン等があげられる。これらの分岐剤はそれぞ
れ単独で用いてもよいし、二種以上組み合わせて用いて
もよい。
【0017】分岐状ポリカーボネートは、好ましくは、
10,000〜40,000の粘度平均分子量を有するものである。
粘度平均分子量が10,000未満では、耐衝撃性が低下する
恐れがあり、一方、40,000を超えると、成形性が悪くな
る場合がある。また、この分岐状ポリカーボネートは、
好ましくは、アセトン可溶分が3.5重量%以下のもので
ある。アセトン可溶分が3.5重量%を超えると、耐衝撃
性が低下することがある。なお、ここでアセトン可溶分
とは、対象とする分岐状ポリカーボネートから、アセト
ンを溶媒としてソックスレー抽出される成分を意味する
ものである。
【0018】分岐状ポリカーボネートは、各種の方法に
より製造することができる。例えば、特開平3−182
524号公報に開示されている方法、即ち、芳香族二価
フェノール類,一般式(I)で表わされる分岐剤及びホ
スゲンから誘導されるポリカーボネートオリゴマー,芳
香族二価フェノール類及び末端停止剤を、これらを含む
反応混合液が乱流となるように撹拌しながら反応させ、
反応混合液の粘度が上昇した時点で、アルカリ水溶液を
加えると共に反応混合液を層流として反応させる方法に
より効率よく製造することができる。
【0019】また、ポリカーボネートは、前記の分岐状
ポリカーボネート以外のもの、つまり非分岐状ポリカー
ボネートであればよく、各種のものがある。好ましく
は、一般式(II)
【0020】
【化4】
【0021】〔式中、Xは、それぞれ水素原子,ハロゲ
ン原子(例えば、塩素,臭素,フッ素,沃素)又は炭素
数1〜8のアルキル基(例えば、メチル基,エチル基,
プロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,アミル基,
イソアミル基,ヘキシル基など)であり、このXが複数
の場合、それらは同一であってもよいし、異なっていて
もよく、a及びbは、それぞれ1〜4の整数である。そ
して、Yは、単結合,炭素数1〜8のアルキレン基又は
炭素数2〜8のアルキリデン基(例えば、メチレン基,
エチレン基,プロピレン基,ブチレン基,ペンテリレン
基,ヘキシレン基,エチリデン基,イソプロピリデン基
など),炭素数5〜15のシクロアルキレン基又は炭素
数5〜15のシクロアルキリデン基(例えば、シクロペ
ンチレン基,シクロヘキシレン基,シクロペンチリデン
基,シクロヘキシリデン基など),又は−S−,−SO
−,−SO2 −,−O−,−CO−結合もしくは式(II
I) あるいは(III')
【0022】
【化5】
【0023】で表される結合を示す。〕で表される構造
単位を有する重合体である。このうち、Xは水素原子が
好ましく、また、Yはエチレン基,プロピレン基が好ま
しい。このポリカーボネートは、一般式(IV)
【0024】
【化6】
【0025】〔式中、X,Y,a及びbは、前記と同じ
である。〕で表される二価フェノールとホスゲン又は炭
酸ジエステル化合物とを反応させることによって容易に
製造することができるものである。すなわち、例えば、
塩化メチレンなどの溶媒中において、公知の酸受容体や
分子量調節剤の存在下、二価フェノールとホスゲンのよ
うなカーボネート前駆体との反応により、あるいは二価
フェノールとジフェニルカーボネートのようなカーボネ
ート前駆体とのエステル交換反応などによって製造され
る。
【0026】ここで、前記一般式(IV)で表わされる二
価フェノールとしては、様々なものがある。例えば、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)メタン;ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)ナフチルメタン;ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−(4−イソプロピルフェニル)メタン;ビス
(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)メタ
ン;ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)メタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
エタン;1−ナフチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)エタン;1−フェニル−1,1−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)エタン;1,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)エタン;2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン〔通称:ビスフェノールA〕;2
−メチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン;2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン;1−エチル−1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス
(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン;2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン;2,2−ビス(3−クロロ−4−
ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(3−メ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビ
ス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン;
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン;1,
4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン;2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン;4−メチル
−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン;
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン;
4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン;
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン;1,
10−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン;1,1
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリ
メチルシクロヘキサン;2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ
プロパンなどのジヒドロキシジアリールアルカン類、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサ
ン;1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ
フェニル)シクロヘキサン;1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)シクロデカンなどのジヒドロキシジアリ
ールシクロアルカン類、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルホン;ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキ
シフェニル)スルホン;ビス(3−クロロ−4−ヒドロ
キシフェニル)スルホンなどのジヒドロキシジアリール
スルホン類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテ
ル;ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)エーテルなどのジヒドロキシジアリールエーテル
類、4,4'−ジヒドロキシベンゾフェノン;3,3',
5,5'−テトラメチル−4,4'−ジヒドロキシベンゾ
フェノンなどのジヒドロキシジアリールケトン類、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド;ビス(3−メ
チル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド;ビス
(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフ
ィドなどのジヒドロキシジアリールスルフィド類、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシドなどのジヒド
ロキシジアリールスルホキシド類、4,4'−ジヒロキ
シジフェニルなどのジヒドロキシジフェニル類、9,9
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンなどのジ
ヒドロキシアリールフルオレン類などが挙げられる。こ
れらの中では、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン〔通称:ビスフェノールA〕が好適であ
る。
【0027】前記一般式(IV)で表される二価フェノー
ル類以外としては、ヒドロキノン,レゾルシノール,メ
チルヒドロキノンなどのジヒドロキシベンゼン類、1,
5−ジヒドロキシナフタレン;2,6−ジヒドロキシナ
フタレンなどのジヒドロキシナフタレン類等が挙げられ
る。これらの二価フェノールは、それぞれ単独で用いて
もよく、2種以上を組合わせて用いてもよい。また、炭
酸ジエステル化合物としては、ジフェニルカーボネート
等のジアリールカーボネートやジメチルカーボネート,
ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネートが挙
げられる。
【0028】そして、分子量調節剤としては、通常、ポ
リカーボネートの重合に用いられるものでよく、各種の
ものを用いることができる。具体的には、一価フェノー
ルとして、例えば、フェノール,p−クレゾール,p−
tret−ブチルフェノール,p−tret−オクチルフェノー
ル,p−クミルフェノール,ブロモフェノール,トリブ
ロモフェノール,ノニルフェノールなどが挙げられる。
更に、本発明で用いる芳香族ポリカーボネートは、2種
以上の芳香族ポリカーボネートの混合物であってもよ
い。そして、該芳香族ポリカーボネートは、機械的強度
及び成形性の点から、その粘度平均分子量が10,000
〜100,000のものが好ましく、特に、20,000〜
40,000のものが好適である。また、場合によって
は、ポリカーボネートとしては、一般式(V)
【0029】
【化7】
【0030】〔式中、X,Y,a及びbは、前記と同じ
である。〕で表される構造の繰返し単位を有するポリカ
ーボネート部と、一般式(VI)
【0031】
【化8】
【0032】〔式中、R7 ,R8 及びR9 は、それぞれ
水素原子,炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル
基,エチル基,プロピル基,n−ブチル基,イソブチル
基,アミル基,イソアミル基,ヘキシル基など)又はフ
ェニル基であり、それぞれ同じであっても異なるもので
あってもよい。また、s及びtは、それぞれ0又は1以
上の整数である。〕で表される構造の繰返し単位を有す
るポリオルガノシロキサン部とからなるポリカーボネー
ト−ポリオルガノシロキサン共重合体を用いてもよい。
このポリオルガノシロキサン部の重合度は5以上が好ま
しい。
【0033】ここで、本発明では、前記樹脂は非晶性樹
脂であって、前記樹脂相中に結晶構造を有するものが好
ましく、さらには、この結晶構造は、球晶結晶構造又は
棒状結晶構造であることが好ましい。さらに、前記結晶
構造は、偏光顕微鏡によるマルテーゼクロス像と光散乱
による四葉型パターンとの少なくとも一方が観察される
結晶構造である構成が好ましい。本発明では、非晶性樹
脂、例えば、非晶性ポリカーボネートを材料として用い
た場合でも、樹脂発泡体が光学異方性の結晶構造を有す
ることになるので、結晶構造の樹脂が持つ効果、例え
ば、剛性が大きい等の効果を奏することができる。
【0034】本発明の樹脂発泡体の製造方法は、前記構
成の樹脂発泡体を製造する方法であって、超臨界状態の
ガス雰囲気中に樹脂を配置してガスを浸透させ、ガスが
浸透した樹脂に急冷と急減圧とを略同時に行うことを特
徴とする。超臨界状態は、気体状態と液体状態との中間
の性質を示す状態である。ガスの種類で定まった温度及
び圧力(臨界点)以上になると超臨界状態となり、樹脂
内部への浸透力も液体状態に比べて強くなり、かつ、均
一である。ガスが抜けた後には気孔相が形成されること
になり、この気孔相と樹脂相とが各々連続相を形成し、
かつ、これらが絡み合った状態となる。この状態は樹脂
を急冷・急減圧することで保持される。従って、本発明
では、浸透工程及び急冷・急減圧工程を経ることで、ス
ピノーダル分解が発生し、前記構成の樹脂発泡体を製造
することができる。しかも、樹脂発泡体を製造するにあ
たり、有機溶媒等の溶媒を使用しないため、環境を悪化
させることがない。
【0035】本発明では、ガスは、超臨界状態の際に樹
脂に浸透するものであれば、その種類は問わない。例え
ば、ガスとして、二酸化炭素、窒素、空気、酸素、水
素、ヘリウム等の不活性ガスを例示することができる
が、中でも、二酸化炭素、窒素が好ましい。さらに、ガ
スにより、使用する樹脂と親和性のある樹脂とを選択し
た方がよい。
【0036】ここで、樹脂発泡体の製造方法の発明にお
いて、前記樹脂を、そのガラス転移温度より20℃低い
温度以上のガス雰囲気中に配置し、その後、急冷及び急
減圧することで、前記樹脂とガスとのスピノーダル分解
の初期過程を凍結した構成が好ましい。この構成では、
スピノーダル分解の初期過程を凍結することで、微細な
空隙が連続的につながるので、品質のよい樹脂発泡体を
得ることができる。
【0037】ガスを樹脂に浸透させる方法はバッチ式、
射出・押出方法等、種々のものがある。樹脂にガスを浸
透させる条件は、ガスの臨界条件を保つ限りにおいて特
に制限はないが、本発明では、使用するガスの臨界値よ
り、より高温高圧であることが好ましい。これにより、
発泡倍率が高い樹脂発泡体が得られるとともに、ガスが
均一に樹脂内に浸透することになり、ガスと樹脂とが均
一に相溶する。そのため、品質の良い樹脂発泡体を得る
ことができる。具体的には、非晶性樹脂の場合にあって
は、ガス雰囲気中の温度を、ガラス転移温度Tgの近傍
以上、より具体的には、ガラス転移温度Tgより20℃
低い温度以上とすることで、樹脂とガスとが均一に相溶
しやすくなる。この温度の上限値は、樹脂材料に悪影響
を与えない範囲で自由に設定することができるが、ガラ
ス転移温度Tgより250℃を超えない範囲が好まし
い。この温度を超えると、樹脂発泡体の周期構造が大き
くなり、多孔連結構造として充分に機能しないばかり
か、樹脂発泡体が熱で劣化することになる。また、結晶
性樹脂であって射出・押出成形時に押出機内で樹脂にガ
スを浸透する射出・押出方法にあっては、ガス雰囲気中
の温度を、融点(Tm)以上融点より50°高い温度
(Tm+50℃)以下とする。結晶性樹脂であってオー
トクレーブ内に充填されたガスを浸透するバッチ式にあ
っては、ガス雰囲気中の温度を、結晶化温度(Tc)よ
り20℃低い温度(Tc−20℃)以上結晶化温度(T
c)より50℃高い温度(Tc−50℃)以下とする。
さらに、ガスを樹脂に浸透させる場合のガス圧は15M
Pa以上、好ましくは、20MPa以上である。ここで、非
晶性樹脂には、結晶性樹脂であっても無配向状態であっ
て実質的に非晶性のものが含まれる。
【0038】ガスを浸透させる量は目的とする発泡倍率
に応じて決定されるが、本発明では、通常、樹脂重量の
0.1〜20重量%、好ましくは、1〜10重量%である。ガ
スを浸透させる時間は特に制限はなく、浸透方法や樹脂
の厚みにより適宜選択できる。このガスの浸透量が多け
れば、周期構造が大きくなり、少なければ、周期構造が
小さくなるという相関関係がある。バッチ式で浸透させ
る場合には、10分〜2日が通常であり、好ましくは、30
分〜3時間である。また、射出・押出方法の場合には、
浸透効率が高くなるため、20秒〜10分でよい。
【0039】さらに、樹脂発泡体の製造方法の発明にお
いて、前記樹脂の冷却速度は、その下限値が0.5℃/sec
以上、好ましくは、5℃/sec以上、さらに好ましく
は、10℃/secである。これに対して、樹脂の冷却速
度の上限値は樹脂発泡体の製造方法によって異なるが、
バッチ式では50℃/secであり、射出・押出方法では1
000℃/secである。この冷却工程により、非晶性樹脂の
場合では、少なくともTgまで冷却し、結晶性樹脂の場
合では、少なくともTcまで冷却する。冷却速度が0.5
℃/sec未満であると、気孔相が独立気泡を有する球状
に形成されることになり、連結多孔構造の機能を達成す
ることができない。冷却速度が前記上限値を超えると、
冷却装置の設備が大掛かりなものになり、樹脂発泡体の
製造コストが高いものになる。
【0040】さらに、前記樹脂の減圧速度は、0.5MPa
/sec以上が好ましく、15MPa/sec以上がより好まし
く、特に、20MPa/sec以上が好ましく、かつ、50MPa
/sec以下が好ましい。減圧されて最終的に50MPa以下
になった場合には、連結多孔構造が凍結維持される。減
圧速度が0.5MPa/sec未満であると、気孔相が独立気泡
を有する球状に形成されることになり、連結多孔構造の
機能を達成することができない。減圧速度が50MPa/se
cを超えると、冷却装置の設備が大掛かりなものにな
り、樹脂発泡体の製造コストが高いものになる。例え
ば、二酸化炭素をポリカーボネートにバッチ式で浸透さ
せる場合には、100℃以上で10MPa以上、好ましく
は、120℃以上、20MPa以上の高温高圧雰囲気下
で、1〜3時間浸透させる。減圧と急冷とは略同時に行
う。略同時とは、本願発明の目的を達成する範囲での誤
差を許容する意味である。ただし、ガスが浸透した樹脂
の急冷を先行させて急減圧を後で行う場合は問題がない
が、冷却しないで急減圧のみを行うと、樹脂に球状の独
立気泡が形成されることになる。
【0041】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づいて説明する。図1には、本実施形態にかかる樹
脂発泡体1が示されている。図1(A)は、樹脂発泡体
1の要部を拡大した概略斜視図であり、図1(B)は、
樹脂発泡体1の二次元の模式図である。図1において、
樹脂発泡体1は、マトリックス相と称される樹脂相2
と、気孔相3とからなる。これらの樹脂相2と気孔相3
とが各々連続して形成されるとともに、互いに絡み合っ
た周期構造を備える。この周期構造は、変調構造と称さ
れるもので、樹脂相2と気孔相3との濃度ゆらぎが周期
的に変化するものである。このゆらぎの1周期の長さX
が周期構造の1周期の長さ寸法であり、本実施形態で
は、1周期の長さXは5nm以上100μm以下である
が、好ましくは、10nm以上50μm以下である。
【0042】次に、本実施形態の樹脂発泡体1の製造方
法を図2に基づいて説明する。図2(A)は浸透工程を
行うための装置を示し、図2(B)は急冷・急減圧工程
を行うための装置を示す。図2(A)において、所定の
樹脂1Aはオートクレーブ10の内部に配置される。こ
のオートクレーブ10は、樹脂1Aを加熱するためのオ
イルバス11に浸されており、その内部には樹脂1Aに
浸透させるガスがポンプ12によって供給される。本実
施形態では、樹脂1Aを、そのガラス転移温度より20
℃低い温度以上の温度で加熱する。これにより、樹脂1
Aは超臨界状態のガス雰囲気中に配置されることにな
る。
【0043】図2(B)において、ガスが浸透された樹
脂1Aはオートクレーブ10ごとアイスバス20に配置
される。このアイスバス20は、その内部にドライアイ
スが充填された構造であり、オートクレーブ10を冷却
することで、樹脂1Aを冷却する。また、オートクレー
ブ10には圧力調整装置21が接続されており、オート
クレーブ10から排出されるガスの量を調整すること
で、オートクレーブ10の内部圧力が調整される。な
お、本実施形態では、アイスバスに代えてアイスボック
スを用いてもよい。
【0044】本実施形態では、ガスが浸透した樹脂1A
に急冷と急減圧と略同時に行うことで、樹脂1Aとガス
とのスピノーダル分解の初期過程を凍結する。樹脂1A
の冷却速度は、0.5℃/sec以上、好ましくは、5℃/se
c以上、さらに好ましくは、10℃/secである。これに
対して、樹脂1Aの冷却速度の上限値は50℃/secで
ある。樹脂1Aの減圧速度は、0.5MPa/sec以上、好ま
しくは、15MPa/sec以上、より好ましくは20MPa/sec
以上であって、50MPa/sec以下である。なお、本実施
形態では、大気圧に樹脂1Aを曝すことで減圧すること
でもよい。
【0045】従って、本実施形態の樹脂発泡体1は、樹
脂相2と気孔相3とからなり、樹脂相2と気孔相3とが
各々連続して形成され、かつ、互いに絡み合った周期構
造を備えたから、独立した気泡が形成される従来のマイ
クロセル発泡法とは異なり、発泡前の剛性を保ちつつ耐
衝撃性、吸音性、断熱性、高誘電性、高反射性を向上さ
せるという連結多孔構造としての機能を達成することが
できる。しかも、周期構造の1周期の長さが5nm以上
100μm以下としたので、樹脂発泡体1が「す」の状
態となることがなく、連結多孔構造としての機能を充分
に維持することができる。
【0046】本実施形態にかかる樹脂発泡体の製造方法
は、超臨界状態のガス雰囲気中に樹脂1Aを配置してガ
スを浸透させ、ガスが浸透した樹脂1Aに急冷と急減圧
とを略同時に行ったから、浸透工程及び急冷・急減圧工
程の一連の工程を経ることで樹脂内に核生成が発生せ
ず、スピノーダル分解が発生することで品質良好な樹脂
発泡体1を製造することができる。しかも、樹脂発泡体
1を製造するにあたり、有機溶媒等の溶媒を使用しない
ため、環境を悪化させることがない。しかも、樹脂1A
を、そのガラス転移温度より20℃低い温度以上のガス
雰囲気中に配置し、その後、樹脂1Aを急冷及び急減圧
することで、樹脂とガスとのスピノーダル分解の初期過
程を凍結したから、微細な空隙が連続的につながること
になり、品質のよい樹脂発泡体1を得ることができる。
【0047】さらに、樹脂1Aの冷却速度を、0.5℃/s
ec以上50℃/sec以下としたから、気孔相3が独立気泡
を有する球状となることがないとともに、冷却装置の設
備が大掛かりなものになることがない。また、前記樹脂
の減圧速度を、0.5MPa/sec以上50MPa/sec以下とし
たので、この点からも、気孔相3が独立気泡を有する球
状となることがないとともに、冷却装置の設備が大掛か
りなものになることがない。
【0048】
【実施例】次に、本実施形態の効果を確認するために、
実施例を説明する。なお、本発明は、これらの実施例に
よって限定されるものではない。 〔実施例1〕実施例1では、樹脂1Aとしてポリカーボ
ネート(出光石油化学株式会社製光ディスク用PC[M
D1500]:粘度平均分子量14200)を使用した。こ
の材料を溶融後プレスして0.1mm厚みのフィルムとし
た。この樹脂1Aをオートクレーブ10の内部に配置
し、このオートクレーブ10の内部に二酸化炭素を導入
するとともに圧力15MPa及び温度140℃になるまで
昇温昇圧して超臨界状態とした。
【0049】このガス雰囲気下で樹脂1Aを2時間放置
した後、ドライアイス入りのアイスボックスに10秒間
入れて急速に冷却して樹脂発泡体1を得た。この場合の
冷却速度は10℃/secであり、減圧速度は13MPa/secで
ある。この樹脂発泡体1をSEM(走査電子顕微鏡)で
観察したところ、非常に微細な連続多孔構造が認められ
た。さらに、樹脂発泡体1を光学顕微鏡で撮影したした
ところ、図3(A)に示される画像が得られた。この画
像によれば、従来のマイクロセル発泡法で得られる球状
の空隙は観察されず、周期構造をなす細長いひも状の空
隙が観察された。この周期構造の1周期の長さを測定し
たところ、約5μmであった。
【0050】〔実施例2〕実施例2では、実施例1と同
じ樹脂を使用した。オートクレーブ10の内部を圧力2
5MPa及び温度140℃になるまで昇温昇圧した以外
は、実施例1と同じ条件で樹脂発泡体1を得た。この場
合の冷却速度は10℃/secであり、減圧速度は20MPa/s
ecである。この樹脂発泡体1を光学顕微鏡で撮影したと
ころ、図3(B)に示される画像が得られた。この画像
によれば、実施例1と同様に、周期構造をなす細長いひ
も状の空隙が観察された。この周期構造の1周期の長さ
を測定したところ、約3μmであった。
【0051】〔実施例3〕実施例3では、実施例1と同
じ樹脂を使用した。オートクレーブ10の内部を圧力4
5MPa及び温度140℃になるまで昇温昇圧した以外
は、実施例1と同じ条件で樹脂発泡体1を得た。この場
合の冷却速度は10℃/secであり、減圧速度は30MPa/s
ecである。この樹脂発泡体1を光学顕微鏡で撮影したと
ころ、図3(C)に示される画像が得られた。この画像
によれば、実施例1と同様に、周期構造をなす細長いひ
も状の空隙が観察された。この周期構造の1周期の長さ
を測定したところ、約20μmであった。
【0052】以上の実施例1〜3で製造された樹脂発泡
体1を偏光顕微鏡で撮影したところ、図4に示される画
像が得られた。この画像によれば、マルテーゼクロス像
が観察される。また、別途、光散乱においても四葉型パ
ターンが観察された。これは、樹脂発泡体1が連結多孔
構造であって、光学異方性の結晶構造を有することによ
る。
【0053】なお、前記実施形態では、周期構造の1周
期の長さを5nm以上100μm以下としたが、本発明
では、1周期の長さはこれに限定されるものではない。
【0054】
【発明の効果】本発明では、連結多孔構造の機能を充分
に達成することができるとともに環境上優れるという効
果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる樹脂発泡体を示す
もので、(A)は樹脂発泡体の要部を拡大した概略斜視
図であり、(B)は樹脂発泡体の二次元の模式図であ
る。
【図2】本発明の一実施形態にかかる樹脂発泡体の製造
方法を実施するための装置を示すもので、(A)はガス
の浸透工程を実施するための装置概略図、(B)は急冷
・急減圧工程を実施するための装置概略図である。
【図3】実施例の樹脂発泡体を光学顕微鏡で撮影した画
像である。
【図4】実施例の樹脂発泡体を偏光顕微鏡で撮影した画
像である。
【符号の説明】
1 樹脂発泡体 2 樹脂相 3 気孔相
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金井 俊孝 千葉県市原市姉崎海岸1番地1 Fターム(参考) 4F074 BA32 CA24 CC03X CC04X CC05Y CC32X CC32Y CC34X CC34Y CC36X CC36Y CC45 CC46 DA13 DA14 DA43 DA57 4F212 AA28 AE06 AE07 AG20 UA09 UB01 UC04 UH30 UN11

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂相と気孔相とからなる樹脂発泡体で
    あって、前記樹脂相と気孔相とが各々連続して形成され
    るとともに、互いに絡み合った周期構造を備えたことを
    特徴とする樹脂発泡体。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の樹脂発泡体において、
    前記周期構造は、1周期の長さが5nm以上100μm
    以下であることを特徴とする樹脂発泡体。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の樹脂発泡体にお
    いて、前記樹脂は非晶性樹脂であって、前記樹脂相中に
    結晶構造を有することを特徴とする樹脂発泡体。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の樹脂発泡体において、
    前記結晶構造は、球晶結晶構造又は棒状結晶構造である
    ことを特徴とする樹脂発泡体。
  5. 【請求項5】 請求項3又は4に記載の樹脂発泡体にお
    いて、前記結晶構造は、偏光顕微鏡により観察されるマ
    ルテーゼクロス像と散乱光による四葉型パターンとの少
    なくとも一方が観察される結晶構造であることを特徴と
    する樹脂発泡体。
  6. 【請求項6】 請求項3から5のいずれかに記載の樹脂
    発泡体であって、前記樹脂相がポリカーボネートから形
    成されていることを特徴とする樹脂発泡体。
  7. 【請求項7】 請求項1から6のいずれかに記載の樹脂
    発泡体を製造する方法であって、超臨界状態のガス雰囲
    気中に樹脂を配置してガスを浸透させ、ガスが浸透した
    樹脂に急冷と急減圧とを略同時に行うことを特徴とする
    樹脂発泡体の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の樹脂発泡体の製造方法
    において、前記樹脂を、そのガラス転移温度より20℃
    低い温度以上のガス雰囲気中に配置し、その後、急冷及
    び急減圧することで、前記樹脂とガスとのスピノーダル
    分解の初期過程を凍結したことを特徴とする樹脂発泡体
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の樹脂発泡体の製造方法
    において、前記樹脂は、0.5℃/sec以上の冷却速度で急
    冷することを特徴とする樹脂発泡体の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項8又は9に記載の樹脂発泡体の
    製造方法において、前記樹脂は、0.5MPa/sec以上の減
    圧速度で急減圧することを特徴とする樹脂発泡体の製造
    方法。
JP2000341068A 2000-11-08 2000-11-08 樹脂発泡体及びその製造方法 Withdrawn JP2002144363A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000341068A JP2002144363A (ja) 2000-11-08 2000-11-08 樹脂発泡体及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000341068A JP2002144363A (ja) 2000-11-08 2000-11-08 樹脂発泡体及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002144363A true JP2002144363A (ja) 2002-05-21

Family

ID=18815864

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000341068A Withdrawn JP2002144363A (ja) 2000-11-08 2000-11-08 樹脂発泡体及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002144363A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2005067728A1 (ja) * 2004-01-19 2007-07-26 実 藤本 保液性物質の加工方法及び保液性物質を加工するための加工装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2005067728A1 (ja) * 2004-01-19 2007-07-26 実 藤本 保液性物質の加工方法及び保液性物質を加工するための加工装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7040708B2 (ja) ポリカーボネート系樹脂組成物及びその成形品
TWI373490B (en) Polymeric foams with nanocellular morphology and methods for making them
JP6913028B2 (ja) ポリカーボネート系樹脂組成物
EP4071194A1 (en) Polycarbonate/polyorganosiloxane copolymer and resin composition including said copolymer
WO2017191150A1 (de) Copolycarbonat als stützmaterial im 3d-druck
WO2021112260A1 (ja) ポリカーボネート-ポリオルガノシロキサン共重合体及び該共重合体を含む樹脂組成物
EP4071196A1 (en) Polycarbonate/polyorganosiloxane copolymer and resin composition including said copolymer
TW201137029A (en) Polycarbonate compositions having improved surface hardness
JP7109421B2 (ja) ポリカーボネート系樹脂組成物及びその成形品
JP2002144363A (ja) 樹脂発泡体及びその製造方法
JPWO2003004552A1 (ja) 難燃性発泡体およびその製造方法
EP0494445B1 (de) Verfahren zur Herstellung von Polycarbonatschaumformkörper
JP2020094137A (ja) 熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物
EP2408840A1 (de) Copolycarbonate mit verbesserten eigenschaften
JP6336300B2 (ja) 熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品
EP3957672A1 (en) Polycarbonate-polyorganosiloxane copolymer, method for producing the same, and resin composition comprising the copolymer
JPH07179596A (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
EP0500129B1 (en) Polycarbonate resin solution for film formation by casting
JP6279357B2 (ja) 熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品
JP2014062178A (ja) 高熱伝導性ポリカーボネート樹脂組成物
JP7109420B2 (ja) 難燃性ポリカーボネート系樹脂組成物及びその成形品
JP2023012168A (ja) ポリカーボネート-ポリシロキサン樹脂およびそれから成形して得られる成形品
JP6438291B2 (ja) 超臨界発泡成形用ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品
WO2023189316A1 (ja) ポリカーボネート系発泡粒子およびその製造方法
EP3957674A1 (en) Polycarbonate-polyorganosiloxane copolymer, method for producing the same, and resin composition comprising the copolymer

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20041001

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20070703

A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20080108