JP2002143329A - 防火衣の性能評価装置 - Google Patents

防火衣の性能評価装置

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JP2002143329A JP2000346888A JP2000346888A JP2002143329A JP 2002143329 A JP2002143329 A JP 2002143329A JP 2000346888 A JP2000346888 A JP 2000346888A JP 2000346888 A JP2000346888 A JP 2000346888A JP 2002143329 A JP2002143329 A JP 2002143329A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 人体が着衣できる全ての防火服を人体模型に
そのままの状態で着脱可能とし、計測結果のばらつきの
原因が火炎によるものか人体模型の形状によるものかを
容易に識別でき、その上、映像と火傷の推定結果を同時
に出力することにより火炎の影響の確認が可能な防火衣
の性能評価装置。 【解決手段】 火炎を放射するための火炎放射手段
(4)、防火服を着用した状態で該火炎が放射される人体
模型からなる被放射対象物(3)、該被放射対象物の熱流
束または温度を検知するための検知手段、そして該検知
手段によって得られた情報から予め決められたプログラ
ムにしたがって人体における火傷状態を演算して推定す
る演算処理手段(1)を含む防火衣の性能評価装置であっ
て、その際該被放射対象物(3)は直立に自立固定できる
構造を有し、かつ電気配線(5)を該被放射対象物(3)の内
部から取り出す着脱自在の連結手段を有することを特徴
とする防火衣の性能評価装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、消防服などに用い
られる防火衣の性能評価装置に関し、更に詳しくは、火
炎を被放射対象物に放射して得られた温度情報を検出し
て、防火衣の性能を評価するための防火衣の性能評価装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、消防服などの防火衣の評価は、
様々な評価方法で行なわれている。例えば、実際に防火
衣を人体模型(マネキン)などの被放射対象物に着せた
後、この被放射対象物に向けて火炎を放射し、その際に
得られる温度の変化や熱量などを測定して、火傷の度合
いの推定や防火衣の防炎性能などを評価することは、極
めて重要である。
【0003】なかでも、防火衣を人体模型に着用させ、
この人体模型に火炎を放射し、そのとき実際に人体が受
けると推定される火傷の度合いを推定することは、高性
能な防火衣を開発する上で、極めて重要である。このよ
うな従来の評価システムとして例を挙げると、アルバー
タ大学のM.CrownとJ.D.Daleらによっ
て、"Instrumented manikin evaluation of thermal pr
otective clothing,Performance of Protective Clothi
ng" (Fourth Volume.ASTM STP 1133)で提案されている
ものがある。この従来技術において、彼らは被火炎放射
対象物である人体模型を天井より吊り下げ、この人体模
型に火炎を放射した時に得られる温度変化などの情報を
総合して、防火衣の性能を評価するシステムを提案して
いる。
【0004】なお、この従来技術では、試験時の温度変
化を測定するために、熱電対などの検知手段などと接続
する全ての電気配線を、吊り下げ構造を利用して、人体
模型の頭部より取り出し、これらの配線を介して、テス
ト時に得られた情報を演算して評価している。
【0005】ところで、この従来技術では、被放射対象
物である人体模型に配された計測手段に接続された電気
配線を頭部から取り出して、直接計測機器に接続してい
る。このため、人体模型の頭部から取り出される電気配
線が障害となり、防火衣に重ね着させる下着などを、頭
部の方から着用させることは、極めて難しい。
【0006】したがって、人体模型に着用させる下着の
前部を切り裂いて着用させることが行なわれていた。そ
のため、従来の評価システムは、実際状態でのテストと
異なってしまい、正確な防火衣の評価試験とは言えない
という問題を有している。
【0007】また、この評価技術では、火炎の熱量較正
や火炎放射手段の較正に際して、標準的な白人成人男性
サイズの人体模型をそのまま使用している。このため、
テスト時に、経時的な温度変化などを計測して得られた
熱量などにばらつきが生じた場合、このばらつきが、火
炎の放射状態に係わるものなのか、あるいは人体模型自
体の形状によるものかを識別するのが困難であるという
問題を有している。
【0008】さらに、従来技術は、評価試験中の火炎放
射中の実際映像と、この評価試験中に測定される温度変
化などを使用して得られる火傷の推定状況などの演算結
果は独立に表示するようになっている。このため、評価
試験中の実際映像と火傷を推定する演算結果が独立に表
示され、火炎そのものの影響をリアルタイムに同時把握
するのが困難であるという問題も有している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前述
の従来技術が有する諸問題に鑑み、本発明が解決しよう
とする課題は、第一に、下着などを切り裂いて被測定対
象物に着用させることがなく、実際の状態に即応して防
火衣の評価を可能とする評価装置を提供することにあ
る。
【0010】また、火炎の熱量較正や火炎放射手段の較
正に際して、経時的な温度変化などを計測して得られた
熱量などにばらつきが生じた場合、火炎の放射状態に係
わるものなのか、あるいは人体模型自体の形状によるも
のかを容易に識別可能な評価装置を提供することにあ
る。
【0011】さらには、評価試験中の実際映像と火傷を
推定する演算結果がリアルタイムで同時に表示され、火
炎の影響をリアルタイムに同時把握できる評価装置を提
供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上記目的を達成するために鋭意検討した結果、以下の手
段を採ることによって解決できることを見出した。
【0013】すなわち、請求項1に係わる本発明とし
て、「火炎を放射するための火炎放射手段、防火服を着
用した状態で該火炎が放射される人体模型からなる被放
射対象物、該被放射対象物の温度を検知するための検知
手段、そして該検知手段によって得られた情報から予め
決められたプログラムにしたがって人体における火傷状
態を演算して推定する演算処理手段を含む防火衣の性能
評価装置であって、その際該被放射対象物は直立に自立
固定できる構造を有し、かつ電気配線を該被放射対象物
の内部から取り出す着脱自在の連結手段を有することを
特徴とする防火衣の性能評価装置。」である。
【0014】また、請求項2に係わる発明として、「前
記火炎放射手段を調整するための較正器として、円筒形
状を有し、かつその円筒側面に前記検知手段が配された
被放射対象物を含むことを特徴とする請求項1記載の防
火衣の性能評価装置。」が提供される。
【0015】また、請求項3に係わる本発明として、
「少なくとも2台の火炎放射手段から放射される炎を所
定時間に渡って連続かつ同期させながら放射させるため
の制御手段を備えたことを特徴とする請求項1又は請求
項2記載の防火衣の性能評価装置。」が提供される。
【0016】また、請求項4に係わる本発明として、
「少なくとも該被放射対象物への火炎放射中の映像を記
録する撮像手段と、撮像された画像を表示するための表
示手段とから構成されることを特徴とする請求項1〜3
のいずれか一項記載の防火衣の性能評価装置。」が提供
される。
【0017】また、請求項5に係わる本発明として、
「前記表示手段が評価試験中の各時刻での火傷の推定結
果と同期した該試験中の映像を視覚的に並列に出力する
表示手段であることを特徴とする請求項4記載の防火衣
の性能評価装置。」が提供される。
【0018】そして、請求項6に係わる本発明として、
「前記演算処理手段が、人体模型のモデル形状上に演算
した火傷の進行状態を動画として時系列的に表示する演
算処理手段であることを特徴とする請求項1〜5のいず
れか一項に記載の防火衣の性能評価装置。」が提供され
る。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態につい
て、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明の図1
は、防火衣の評価装置のシステム構成を表すブロック図
である。
【0020】該図1において、参照符号1は演算処理手
段、参照符号2は制御手段、参照符号3はマネキン人形
などの人体模型からなる被放射対象物(以下、単に「人
体模型」と称する)、参照符号4は火炎放射手段、そし
て、参照符号5は電気配線をそれぞれ示す。
【0021】ここで、前記演算処理手段1へは、人体模
型3に付設された熱電対などの温度検知手段から得られ
た温度情報を電気信号として電気配線5を介して入力さ
れる。そして、これらのこれらの情報から、予めプログ
ラムされた評価式や評価基準に従って、人体の火傷の度
合いを、演算処理する役割を果たす。なお、火炎放射手
段としては、公知のガスバーナーなどを使用することが
できる。また、温度検知手段(図示せず)としては、熱
電対の他には、トランジスターやダイオードなどの半導
体を使用したもの、磁気素子を使用したものなどを上げ
ることができる。
【0022】この場合、防火衣への火炎放射中におい
て、前記演算処理手段1は、人体の火傷の度合いを、リ
アルタイムで演算処理して推定するようにすることもで
きるし、一旦、ハードディスクなどの記憶手段に温度情
報を収集して記憶させておき、評価試験が終わった後
で、火傷の評価式や評価基準に従って、これらの情報を
演算させてその結果を表示するようにしても良いことは
勿論である。
【0023】通常、この演算処理手段1としては、人体
模型3から得られた温度変化などの情報から、防火性能
を演算処理するための中央演算処理装置を有するコンピ
ュータ本体、該コンピュータ本体に温度情報などを入力
する入力手段、該入力手段を介して入力された情報や演
算処理情報を一旦記憶する記憶手段、そして、演算処理
した結果をCRTなどの表示手段や印刷手段などへ出力
する出力手段などの公知の手段を含んで構成される。な
お、このときの防火衣の性能評価基準に関しては、IS
O 13506規格に準じて評価できるようにしてい
る。
【0024】次に、制御手段2としては、複数個(例え
ば、12個)の火炎放射手段4を制御対象とし、これら
の火炎放射手段にそれぞれ設けられた電磁弁を制御する
ことによって、火炎放射手段へ供給するガスの流量や開
閉のタイミングを制御する。つまり、制御手段2は、人
体模型3に対して、複数個の火炎放射手段4が同時に同
期させられて火炎の放射を開始するように制御がされ
る。また、火炎放射手段4からの火炎の放射を同期させ
て停止するようにも制御される。
【0025】さらに、人体模型3は、例えば標準的な白
人の成人男性の大きさに合わせて造られた公知のマネキ
ンを使用する。また、防火衣の評価を行なうにあたっ
て、先ず前記火炎放射手段4の火炎放射を較正するため
に、本発明においては、円筒模型(図示せず)使用す
る。この円筒模型(図示せず)に関しては、その大きさ
は、円筒直径が400mm、円筒高さが1800mmと
した。なお、これらの人体模型3及び円筒模型(図示せ
ず)の材質は、共にアルミナセメントで成形したもので
ある。
【0026】また、これらの人体模型3あるいは円筒模
型(図示せず)には、例えば熱電対からなる温度検知手
段が付設されている。したがって、これらの人体模型3
あるいは円筒模型(図示せず)に火炎が放射されて、こ
れらの模型3及び円筒模型の表面温度が上昇していく過
程で得られる温度情報は、前述の演算処理手段2へ送る
ことが可能である。そして、このようにして得られた温
度情報は、前記の演算処理手段2に予めプログラムされ
た評価式に基づいて演算処理され、実際に人体が受ける
であろうと推定される火傷の度合いなどを即時に算出す
る。
【0027】その際、この演算処理手段2によって得ら
れた結果は、表示手段であるディスプレイにリアルタイ
ム表示又は録画再生表示される。このとき、実際に火炎
を浴びている人体模型3のモデル形状上にこれらの映像
を重ね合わせて表示することができるのは、言うまでも
ない。
【0028】なお、このようにして得られる演算結果
は、演算処理手段の一部を構成する記憶手段に記録され
るとともに、必要に応じて印刷手段などによって紙上に
その結果を打ち出すこともできる。また、ハードディス
ク、MO、フロッピー(登録商標)ディスクなどの記録
媒体などへ電子情報として記録することもできる。
【0029】その際、前記の人体模型3及び円筒模型の
表面部には前述のように温度検知手段が必要な個数だ
け、測定したい各部位に付設されていることは、既に述
べたところである。例えば、温度検知手段の配置に関し
ては、円筒模型の上下方向に14段の円周に分配し、こ
れらの各円周上に9個づつ、各円周上の温度検知手段が
それぞれ千鳥配列をとるように、合計126個を等配し
ている。
【0030】また、人体模型3に関しては、模型の各部
(頭部、胴体、腕部、腿、膝下)毎に等面積に領域をそ
れぞれ分割し、下記の表1に記載したような割合で、分
割された領域毎に合計126個の温度検知手段を配して
いる。
【0031】
【表1】
【0032】ここで、人体模型3及び円筒模型に対して
火炎を放射するための前記火炎放射手段4について簡単
に説明する。先ず、この火炎放射手段4は、模型3及び
円筒模型への火炎の放射角度を自由に変更が可能なよう
に、上下2段に配された火炎放射手段からなる。そし
て、これらの火炎放射手段4は、上下2段に配されたも
のを一対として、人体模型3及び円筒模型を中心とした
円周上に6組12個が、等間隔に配されている。
【0033】なお、この火炎放射手段4は、火炎を放射
するノズルの先端が円筒模型に対しては、その表面から
500mmの距離を保つように配されている。また、人
体模型3に対しては、これら使用する火炎放射手段4の
数及び配置する位置については、放射熱量がISO 1
3506規格を満足するように、変更することが可能と
されている。
【0034】また、その際、火炎を発生させるために使
用するガスの規格に関しては、例えば、ガスの種類はプ
ロパンガス、ガス供給圧力は50〜300KPa、そし
て、ガス供給流量は15〜400L/minとしてい
る。ただし、場合によっては、これらの規格を変更する
ことができることは言うまでもない。例えば、本発明の
実施形態では、プロパンガスを用いているが、他の種類
のガスを使用しても問題が無いことは明らかである。
【0035】そして、このようにして構成される火炎放
射手段4は、公知のシーケンサーなどの制御手段2によ
って制御され、少なくとも2個の火炎放射手段から放射
される火炎を所定時間に渡って連続かつ同期させながら
人体模型3または円筒模型に放射させられ、これによっ
て評価試験が進行することは、言うまでもない。
【0036】以上のように構成される本発明の防火衣の
評価装置においては、人体模型3と較正器である円筒模
型(図示せず)とは、従来技術のように頭部から吊り下
げるのではなく、直立に固定でき、かつ自立できるよう
にしたことを一大特徴とする。
【0037】何故ならば、このような構造とすること
で、人体模型3に下着や防火衣を着用させたり、脱がせ
たりすることが極めて容易となり、従来技術のように下
着を切り裂いて人体模型に着用させるといった問題から
開放され、実際の着用試験に則した評価結果が得られる
からである。
【0038】その際、これらの人体模型3及び円筒模型
の表面に取り付けた温度検知手段に接続される電気配線
5に関しては、その内部が空洞にされた人体模型3また
は円筒模型の内部を通すこととする。また、人体模型3
の外部へこれらの電気配線5を引き出す場合には、例え
ば、D−SUBコネクターのような市販の連結手段(図
示せず)を介して行なう。このように、連結手段を介す
ることによって、人体模型3からの取り出し部で電気配
線5を着脱自在とする。
【0039】ここで、その実施形態の一例を挙げれば、
人体模型3においては、その足の裏に電気配線5の着脱
が可能な前述のような連結手段を設けることで、また、
円筒模型においては、その円筒底面に連結手段を設ける
ことにより、電気的配線を取り出す。このような本発明
の実施形態においては、人体模型3を頭部から最早吊り
下げる必要がないため、人体模型3の荷重を電気配線5
で受け止める必要はなく、前記のような市販の連結手段
を介して簡単に着脱自在の構造とすることができる。
【0040】この場合、さらには、人体模型3の腕部な
どに取り付けた温度検知手段(図示せず)に関しても、
その内部に温度検知手段の信号取出し線に連結手段を設
けて、前述した足の裏のような構造とすることで、電気
配線5を着脱自在とすることも、もちろん可能である。
【0041】なお、人体模型3の頭部には、人体模型3
にズボンを着脱させる場合において、着脱操作が容易と
なるように、人体模型3の昇降を昇降させるための昇降
機に接続する接続金具を取り付けることも好ましい実施
態様である。
【0042】本発明の評価装置は、もちろん屋外に設置
することができるが、屋内に設置することが好ましい。
例えば、人体模型3および円筒模型(図示せず)と火炎
放射手段4とが設けられた部屋(以後、「燃焼スペー
ス」と称する)と、演算処理手段1と制御手段2とが設
けられた部屋(以後、「観測スペース」と称する)とを仕
切り、燃焼スペースの前後の壁にガラスをはめ込むこと
により、観測スペースから燃焼スペースの様子を観測で
きるようにすることができる。また、このようにするこ
とで、観測スペースには、ビデオカメラを設置し、ガラ
ス越しに燃焼スペースの様子を記録することもできる。
【0043】ところで、本発明の防火衣の評価装置に使
用する火炎放射手段4は、その評価結果を共有するため
に定められたISO 13506規格に準じる必要があ
る。このため、火炎放射手段4をこの規格に準じるよう
に較正する必要が生じる。その際、従来技術では、火炎
放射手段4を較正するために、人体模型3自体をそのま
ま較正器として使用していた。
【0044】しかしながら、本発明においては、前述の
ように人体模型3に代えて単純形状の円筒模型を用いる
ことを一大特徴とする。このように、較正器として従来
使用されていた人体模型3に代えて、単純形状の円筒模
型を用いることで、人体模型3の複雑な形状に起因する
影響を取り除くことができる。
【0045】ここで、本発明における円筒模型(図示せ
ず)を使用した較正方法について、簡単に説明する。
【0046】先ず、前述のように円筒模型(図示せず)
の表面に温度検知手段を取り付け、円筒模型の表面温度
を電気信号として、サンプリング周期0.2秒でコンピ
ュータに取り込み、取り込んだ表面温度の変化から円筒
模型へ流入する熱流束を算出する。
【0047】そして、このようにして算出した熱流束か
ら、火炎放射手段4から円筒模型(図示せず)に与えら
れる熱量がISO 13506規格に準じた値、すなわ
ち、84KW/m2となるように調整する。この調整に関
しては、火炎放射手段4のノズル口径、火炎放射手段4
の火炎放射角度、そして、ガスーナー4へ供給するガス
の流量などの変更により行なった。
【0048】なお、表2は、円筒模型を較正器として使
用した場合と、人体模型3を較正器として使用した場合
との較正結果を示したものであって、各温度検知手段に
よって温度変化を検出して算出した熱流束の平均値とそ
の標準偏差である。
【0049】
【表2】
【0050】ここで、表2から明らかなごとく、円筒模
型(図示せず)で火炎放射手段4の熱量を調整して較正
した場合に、人体模型3の場合と比較して、標準偏差が
大きいのは、火炎放射のばらつきによるものではなく、
人体模型3自体の複雑な形状によるものである。したが
って、較正器として円筒模型を使用することは、人体模
型3の形状に起因するばらつき因子を排除する上で有効
である。
【0051】このとき、防火衣の評価試験は、演算処理
手段1と制御手段2を共同させて処理する操作により、
全ての火炎放射手段4の火炎を同時に点火させ、所定の
時間(試験例では4秒間)に渡って、連続的に火炎を放
射することができる。このとき、火炎放射を終わらせる
ために、全ての火炎放射手段4の火炎放射を同時に停止
させるようにできる。
【0052】また、火炎放射時の模型3の様子は、ビデ
オカメラのような撮像手段と、この撮像手段によって得
られた画像を表示する表示手段とによってリアルタイム
で表示した。なお、このときの試験データとビデオ信号
とは、コンピュータ本体に設けられた記憶手段とビデオ
信号の録画手段とに、記憶及び記録させ、試験が終了し
た後においても、その様子を再生できるようにした。
【0053】以上に述べた防火衣の評価装置において、
予め入力されたプログラムによって前記の温度検知手段
で検知された温度情報を演算処理する演算処理手段の実
施態様の一例に関して、以下に数式を使用しながら詳細
に説明する。
【0054】なお、この演算処理手段において使用する
数式は、下記の(1)〜(4)式である。ここで、
(1)式は、放射された火炎から防火服や下着などを介
して人体模型3あるいは円筒模型が受け取る熱流束Qを
算出するための式である。なお、この熱流束Qは、温度
検知手段によって検出される人体模型3あるいは円筒模
型の表面温度から算出される。このとき、人体模型3あ
るいは円筒模型の表面に取り付けられた温度検知手段か
らは、0.5秒のサンプリング周期で温度情報をコンピ
ュータに取り込んだ。
【0055】その際、(1)式における温度検知手段の
熱伝導率k、温度検知手段の密度ρ、そして温度検知手
段の比熱cに関しては、126個の温度検知手段それぞ
れについて実験によって予め決定することができる既知
の値である。また、温度検知手段の初期温度Tiも任意
に設定することができる値である。このため、温度検知
手段が検知した温度が与えられると、その時点での熱流
束Qを直ちに計算することができる。
【0056】
【数1】
【0057】ここで、 Q : 人体模型3または円筒模型が受ける熱流束(W
/m2) Ts: 温度検知手段によって検出される温度(K) Ti: 温度検知手段初期温度(K) k : 温度検知手段の熱伝導率(W/m・K) ρ : 温度検知手段の密度(kg/m3 c : 温度検知手段の比熱(J/kg・℃) t : 時刻(sec)
【0058】このようにして、(1)式から熱流束Qが
求まると、次に、人体の皮膚の温度上昇を下記の(2)
式を使用して算出する。なお、(2)式は人体の皮膚組
織を数式モデル化したものであって、皮膚組織の内部へ
の温度伝導を算出するための式である。なお、(2)式
に含まれるエネルギー減衰関数fは、(3)式から算出
される。
【0059】なお、人体の皮膚組織を数式モデル化した
(2)式において、(1)式で計算される熱流束q
((1)式のQと同じ値)以外は、人体の皮膚組織を数式
モデル化する際に実験あるいは評価条件によって一義的
に予め決定することができる既知の値であり、また
(3)式で定義されるエネルギー減衰関数もこれらの既
知の値から計算される値である。
【0060】
【数2】
【0061】ここで、 T : 皮膚推定温度(K) Tb : 血液の温度(K) q : (1)式で算出した熱流束Q(W/m2) k : 皮膚の熱伝導(W/m・K) Cρ: 体積熱容量(cal/cm3・℃) (Cρ)b: 血液の体積熱容量(cal/cm3・℃) x : 皮膚表面からの距離(m) G : 組織体積に対する血液の流れる割合(cc/s
ec) f : エネルギー減衰関数(下記の(3)式から算出
する。)
【0062】
【数3】
【0063】ここで、 γ1 : 表皮の吸収係数(cm-1) γ2 : 真皮と皮下層の吸収係数(cm-1) δ1 : 表皮の厚み(cm)
【0064】以上のようにして、人体の皮膚温度Tを算
出して推定すると、次に、皮膚組織内への熱の伝播によ
って生じる皮膚組織の温度上昇によって、皮膚組織が受
けるダメージを算出する。このとき、皮膚組織が受ける
ダメージは、(4)式によって定義されるダメージ関数
から求めることができる。
【0065】
【数4】
【0066】ここで、 Ω : ダメージ関数 P : 周波数要因(sec-1) ΔE: 皮膚の活性化エネルギー(J/mol) R : 気体定数(8.315 J/kmol・K) T : 真皮のそれぞれの深さにおける絶対温度(K) t : Tが44℃(317.15K)以上になる時間
(sec)
【0067】以上に述べたようにして、ダメージ関数か
ら皮膚組織のダメージの度合いΩが求まると、このダメ
ージの度合いΩから、皮膚組織の火傷の度合いを推定す
ることができる。
【0068】例えば、以上に述べた皮膚表面から皮膚下
までの距離xが0.008cmにおける皮膚組織のダメ
ージ関数を算出して、Ω≦0.5であれば、「皮膚に火
傷が起こらない」ものと推定し、0.5<Ω<1.0で
あれば、「1度火傷」と推定する。また、皮膚下距離x
が0.008cmの場合に、Ω≧1.0と算出された場
合において、さらに皮膚下距離xが0.2cmにおける
Ωの値を算出し、Ω <1.0であれば、「2度火傷」と
推定し、Ω≧1.0であれば、「3度火傷」と推定す
る。
【0069】なお、前記のダメージ関数は、演算処理手
段1によって、時間の経過と共にリアルタイムで計算す
るようにしてもよい。このようにすれば、必要に応じ
て、火炎放射の開始に始まる火傷の進行度合いを時系列
的に動画としてリアルタイムで表示することもできるこ
とは、言うまでもない。ただし、リアルタイムでの処理
が必要でなければ、温度などの計測データを取り込んだ
後、評価試験後に演算処理し、その結果を表示するよう
にしても良い。
【0070】このとき、火傷の推定結果は、人体模型3
の形状を演算処理手段1にインプットしておけば、人体
模型3の画像上に、温度検知手段の取り付けた領域ご
と、あるいは隣接する温度検知手段を取り付けた領域を
補間することで、火傷の進行状態を等高線(コンター
線)で表示した画像を得ることもできる。
【0071】なお、火傷状態の推定は、温度検知手段を
含む分割された領域毎及び一定の時間毎に行なう。この
ようにして算出された人体模型3の火傷の推定結果は、
試験中の各時刻について、単独に表示しても良いし、異
なる試験条件での火傷の推定結果と並列に表示するよう
にしても良い。
【0072】さらには、火炎放射試験中に撮影するビデ
オ映像と共に並列に出力表示してもよい。つまり、映像
と火傷推定データは、映像の録画時に記録されたタイム
コードから試験開始タイミングを合わせ、映像をコンピ
ュータに取り込む際にスキャンのタイミングをサンプリ
ング周期の0.5秒と等しくして記録し、その結果を同
期をとって並列に出力することができる。
【0073】
【発明の効果】本発明は、前述の通り、人体模型3を自
立させて直立に固定でき、しかも、人体模型3の足の裏
から連結手段を介して電気配線5を取り出すことができ
る。したがって、頭から被る形状の防火服や足からはく
防火ズボンであっても、これらを切り開くことなく、そ
のままの状態で人体模型3に着衣させることが可能とな
る。したがって、人体が着衣できる全ての形状の防火衣
について、実際の着用状態に則した形で評価試験を行な
うことができるという極めて顕著な効果を奏する。
【0074】また、較正器として円筒模型(図示せず)
を用いて火炎の熱量を較正することにより、従来の方法
においては、複雑な形状を有する人体模型に起因する測
定値のばらつきを分離して識別することが困難であった
が、容易に均一な火炎調整が可能となった。
【0075】さらには、実際の火炎放射映像と、これに
対応する部分の火傷の推定結果についても、互いに同期
をとって出力を行い、同じ試験時刻におけるデータを対
比することにより火炎の影響を確認することもできる、
という顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】防火衣の評価装置の構成を模式的に例示したブ
ロック線図である。
【符号の説明】 1 演算処理手段 2 制御手段 3 人体模型 4 火炎放射手段 5 電気配線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西村 謙史 大阪府茨木市耳原3丁目4番1号 帝人株 式会社大阪研究センター内 Fターム(参考) 2E185 CC80 2G040 AA01 AA09 BA25 DA03 HA08

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 火炎を放射するための火炎放射手段、 防火服を着用した状態で該火炎が放射される人体模型か
    らなる被放射対象物、 該被放射対象物の温度を検知するための検知手段、そし
    て 該検知手段によって得られた情報から予め決められたプ
    ログラムにしたがって人体における火傷状態を演算して
    推定する演算処理手段を含む防火衣の性能評価装置であ
    って、その際該被放射対象物は直立に自立固定できる構
    造を有し、かつ電気配線を該被放射対象物の内部から取
    り出す着脱自在の連結手段を有することを特徴とする防
    火衣の性能評価装置。
  2. 【請求項2】 前記火炎放射手段を調整するための較正
    器として、円筒形状を有し、かつその円筒側面に前記検
    知手段が配された被放射対象物を含むことを特徴とする
    請求項1記載の防火衣の性能評価装置。
  3. 【請求項3】 少なくとも2個の火炎放射手段から放射
    される炎を所定時間に渡って連続かつ同期させながら放
    射させるための制御手段を備えたことを特徴とする請求
    項1又は請求項2記載の防火衣の性能評価装置。
  4. 【請求項4】 少なくとも該被放射対象物への火炎放射
    中の映像を記録する撮像手段と、撮像された画像を表示
    するための表示手段とから構成されることを特徴とする
    請求項1〜3のいずれか一項記載の防火衣の性能評価装
    置。
  5. 【請求項5】 前記表示手段が評価試験中の各時刻での
    火傷の推定結果と同期した該試験中の映像を視覚的に並
    列に出力する表示手段であることを特徴とする請求項4
    記載の防火衣の性能評価装置。
  6. 【請求項6】 前記演算処理手段が、人体模型のモデル
    形状上に演算した火傷の進行状態を動画として時系列的
    に表示する演算処理手段であることを特徴とする請求項
    1〜5のいずれか一項に記載の防火衣の性能評価装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101871901A (zh) * 2010-05-25 2010-10-27 上海理工大学 一种消防服热防护性能检测系统及方法
JP2018165631A (ja) * 2017-03-28 2018-10-25 パナソニックIpマネジメント株式会社 熱移動を示す物理量の推定方法
KR101957183B1 (ko) * 2017-09-15 2019-03-13 서울대학교산학협력단 화상 측정 장치

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