JP2002143178A - 剥離深さを予測するための装置及び方法 - Google Patents

剥離深さを予測するための装置及び方法

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JP2002143178A
JP2002143178A JP2000341059A JP2000341059A JP2002143178A JP 2002143178 A JP2002143178 A JP 2002143178A JP 2000341059 A JP2000341059 A JP 2000341059A JP 2000341059 A JP2000341059 A JP 2000341059A JP 2002143178 A JP2002143178 A JP 2002143178A
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ジュニアス・イー・テイラー
Shen Hii Dein
ディン・シェン・ヒー
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加熱を制御し且つ剥離場所での十分な大きさ
及び深さの組織損傷の発生を検知しその後に剥離場所の
更なる剥離を終了させる。 【解決手段】 第1の仕事関数を有する金属電極30、
第2の仕事関数を有する第2の金属電極34、及び電解
質として働く介在する組織18により形成されたガルヴ
ァーニ電池は、剥離場所での外傷の形成を表す出力電流
信号を生成する。出力電流信号を表す曲線は、外傷の形
成点で最大値を有し、そしてその後値が低減する。その
曲線の隆起発生後で且つ組織のインピーダンスの上昇前
にRFパワーの印加を終了することにより、組織の炭化
の発生を生じないようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、組織を剥離する装
置及び方法に関し、特に、剥離場所での予測可能な深さ
及び容量を有する外傷の明白な形成を決定することに関
する。
【0002】
【従来の技術】心臓は、血液を体の全ての部分へそして
それから種々の導管を介して圧送する4つの室の筋肉臓
器(心筋)である。血液が心臓血管系において規則的に
移動されるため、心筋は、規則的な順序で収縮及び弛緩
すること、及び心筋血管系の弁が周期中の適切な時点で
開閉することが必要である。特殊伝導経路は、電気的イ
ンパルスを心筋全体に迅速に伝達させる。電気的インパ
ルスに応答して、心筋は、最初に心臓の頂部で収縮し、
その後に心臓の底部が引き続く。収縮が始まるにつれ、
酸素が枯渇した静脈血は、右心房(2つの小さい上側室
の1つ)から絞り出されて下側のより大きい右心室に入
れられる。右心室は、血液を肺循環の中に駆出し、肺循
環は、酸素を再び供給して、その血液を心臓の左側に供
給する。右側での事象と並行して、心筋は、新しく酸化
された血液を左心房から左心室へそしてそこから出て大
動脈へ圧送し、大動脈は、血液を体の全ての部分に分配
する。これらの活動を生じさせる信号は、ひとまとめに
して洞房(SA)結節として知られている一群の伝達組
織から発する。心房の頂部に位置された洞房結節は、心
拍のテンポを確立する。従って、それは、多くの場合心
臓ペースメーカと呼ばれる。それは、単にそれが他の心
臓部が行うより頻繁にインパルスを出すので、テンポを
設定する。洞房結節が心臓の外側からの信号に応答する
ことができるにも拘わらず、それは通常自発的に能動的
になる。洞房結節からインパルスは心室の上の房室(A
V)結節へ走り、そして中隔に沿って心臓の底部へそし
てその側部に沿って上へ早く動く。インパルスはまた、
伝導繊維から、重なっている筋肉を横切ってそして心内
膜から心外膜まで移動して、血液を心臓を介して動脈循
環の中へ押し込む収縮を起動する。健康な心臓を通る電
気の広がりは、良く知られている心電図を生じさせる。
欠陥のある又は疾患のある細胞は電気的に異常である。
即ち、それらは、インパルスを異常にゆっくりと導通さ
せ又はインパルスが通常沈黙しているとき起きているこ
とがあり得る。これらの疾患のある細胞又は領域は、再
入回路を筋肉の中に形成することにより円滑な信号伝送
を混乱させ得る。そのような回路は、インパルスがそれ
を介して消えることなく繰り返し循環することができる
電気的導通経路である。その結果生じるインパルスは、
持続性の心室頻拍を誘発する、即ち心室による過剰に迅
速な圧送を誘発する可能性がある。頻拍律動異常は、疾
患のある心臓が通常拡張した周期に対する迅速な速度に
耐えることができないので、重大な危険を患者に負わせ
る場合がある。そのような迅速な速度は、低血圧症及び
心不全を生じさせ得る。基礎心臓疾患がある場合、頻拍
は、細動のようなより深刻な心室律動異常に変質するこ
とができる。頻拍の一因となる再入回路又は信号経路を
排除することにより、迷走する電気的インパルスの源が
排除されであろう。そのような経路に付随の場所の剥離
は、迷走インパルスの源及びその結果生じる不整脈を排
除するであろう。存在し得るそのような場所の各々の位
置を捜すマッピング技術は、周知であり、現在用いられ
ている。
【0003】迷走電気的インパルスの離断は、一般的
に、適切な場所を剥離することにより達成される。その
ような剥離はレーザにより実行されてきた。剥離場所で
用いられる最も共通の技術は、無線周波数(RF)放射
により付勢されたプローブの使用を含む。無線周波数
(RF)カテーテル剥離は、副経路に起因する持続性の
上室頻拍のような持続性の上室頻拍の治療に対して有効
な療法である。(Jackman他「無線周波数電流に
よる副AV経路(ウオルフ−パーキンソン−ホワイト症
候群(WPW症候群)のカテーテル剥離(Cathet
er ablation of accessory
AV pathways(Wolff−Parkins
on−White Syndrome)by radi
ofrequency current)」N Eng
J.Med、1991年、324:1605−161
1頁;Calkins他「単一の電気生理学試験中にお
けるウオルフ−パーキンソン−ホワイト症候群(WPW
症候群)又は発作性上室頻拍の診断及び治療(Diag
nosis and cure of the Wol
ff−Parkinson−White Syndro
me or paroxysmal supraven
tricular tachycardiasduri
ng a single electrophysio
logy test)」N Eng J.Med、19
91年、324:1612−1618頁;Kuck他
「副房室経路の無線周波数電流カテーテル剥離(Rad
iofrequency current cathe
ter ablation ofaccessory
atrioventricular pathway
s)」、Lancet、1991年、337:1557
−1561頁;Lesh他「副経路の全ての場所に無線
周波数エネルギを用いた治療の経皮カテーテル剥離;1
00人の続発性患者の結果(Curative per
cutaneouscatheter ablatio
n using radiofrequency en
ergy for accessory pathwa
ys inall locations;Result
s in 100 consecutive pati
ents)」J.Am.Coll Cardiol、1
992年、19:1303−1309頁;Lee他「房
室結節再入頻拍の制御のため無線周波数エネルギによる
房室接合部のカテーテル修正(Catheter mo
dification of the atriove
nticular junction with ra
diofrequency energy for c
ontrol of atrioventicular
nodalreentry tachycardi
a)」Circulation、1991年、83:8
27−835頁;Jackman他「ゆっくりした経路
導通の無線周波数カテーテル剥離による、房室経路再入
に起因した上室頻拍の治療(Treatment of
supraventricular tachyca
rdia due to atrioventricu
lar nodal reetry by radio
frequency catheter ablati
on of slow pathway conduc
tion)」N Eng J.Med、1992年、3
27:313−318頁;Kay他「房室結節再入頻拍
の治療のためのゆっくりした経路の選択的無線周波数剥
離。再入回路内の周辺結節心筋の併発に対する証拠(S
elective radiofrequency a
blation of the slow pathw
ayfor the treatment of at
rioventricular nodal reen
trant tachycardia. Eviden
ce for involvement of per
inodal myocardium within
the reentrant circuit)」Ci
rcular.、1992年、85(5):1675―
88頁;Jazayeri他「房室結節再入頻拍を有す
る患者に無線周波数エネルギを用いた早い及び遅い経路
の選択的経カテーテル剥離(Selective tr
anscatheter ablation of t
he fast and slow pathways
using radiofrequency ene
rgy in patients with atri
oventricularnodal reentry
tachycardia)」Circulatio
n、1992年、85:1318−1328頁;Kle
in他「構造的心臓疾患を持たない患者における心室頻
拍の無線周波数カテーテル剥離(Radiofrequ
ency catheter ablation of
ventricular tachycardia
in patients without struc
tural heart disease)」Circ
ulation、1992年、85:1666−617
4;ナカガワ他「プルキンエ・ポテンシャルにより誘導
された特発性左心室頻拍の無線周波数カテーテル剥離
(Radiofrequency catheter
ablation ofidiopathic lef
t ventricular tachycardia
guided by a Purkinje pot
ential)」Ciculation、1993年、
88:2607―2617頁)。カテーテル剥離による
心房細動及び心室頻拍の治療はより長い外傷又はより深
い外傷を必要とする。電極の下の外傷形成がその形成中
に正確にモニタされることができる場合、心房細動の剥
離に必要とされる連続的な線の外傷を生成する能力を改
善することができる。また、より深い外傷を生成するこ
とは、心室頻拍の剥離の成功を増大させることができ
る。
【0004】印加されるRFエネルギの測定及び制御
は、カテーテル・プローブのチップのRF要素に近接し
て配置されたサーミスタ(又はそれは熱電対であり得
る。)を介してである。そのようなサーミスタがそのサ
ーミスタの温度を表すのに十分正確であり得るとはい
え、それは剥離場所での組織の温度を決定するのに本来
的に不正確で且つ的確でない。(Hindricks他
「心室の心筋の無線周波数凝固:カテーテル・チップ温
度をモニタリングすることによる外傷サイズの改善され
た予測(Radiofrequency coagul
ation of ventricular mayo
cardium:Improved predicti
on of lesion size by moni
toringcatheter tip temper
ature)」Eur HeartJournal、1
989年、10:972−984頁;Langberg
他「副経路の無線周波数カテーテル剥離中における温度
モニタリング(Temperature monito
ring during radiofrequenc
y catheter ablation of ac
cessory pathways)」Circula
tion、1992年、86:1469−1474頁;
Haines他「電極−組織の境界温度の観察及び心室
心筋の無線周波数剥離中の電気的インピーダンスの効果
(Observation on electrode
−tissue temperature and e
ffect on electrical imped
ance during radiofrequenc
y ablation of ventricular
myocardium)」Circulation、1
990年、82:1034−1038頁;Blouin
他「温度測定の正確さに関して電極カテーテルにおける
無線周波数エネルギ場及びサーミスタ位置の効果の評価
(Assesment of effects of
a radiofrequency energy f
ield and thermistor locat
ion in an electrode cathe
ter on the accuracy of te
mperature measurement)」PA
CE、1991年、Part I 14:807−81
3頁)。これは幾つかの原因からもたらされる。最初
に、剥離場所(通常電極の位置のため可変である。)と
RFチップの表面との間の境界面にまたがる温度損失が
ある。第2に、伝導性RFチップの非組織接触部分の周
りの血液の流れが熱を剥離から引き出し、それはサーミ
スタを剥離下の組織より冷たくする。(McRury他
「無線周波数カテーテル剥離中の組織の決定因子として
の温度測定:測定の正確さのための電極のサーミスタの
位置決め試験(Temperature measur
ementas a determinant of
tissue during radiofreque
ncy catheter ablation:an
examination of electrode
thermistor positioning fo
r measurement accuracy)」
J.Cardiovasc Elactrophysi
ol、1995年、6(4):268−78頁;Rum
brecht他「無線周波数カテーテル剥離における内
部組織温度に関する流れの影響(Influence
of flowon intratissue tem
perature in radiofrequenc
y catheter ablation)」(要約)
Circulation、1997年、96(8):I
−143)。しかしながら、100度を越える温度は、
RFチップ上の凝固形成、RFチップの電気的インピー
ダンスの急速な上昇、及び心内膜に対する過剰な損傷を
起こす。第3に、RFチップとサーミスタとの間の熱伝
導に遅れがあり、その遅れは、材料、距離及び温度差の
関数である。これらの変数の各々は、剥離処置中絶えず
変化し得る。
【0005】剥離場所の組織がその温度を上昇させる程
十分な熱を被って、不可逆性の組織損傷を生じるのを保
証するため、RFチップに伝送されるパワーは、変わり
得る損失から見て剥離にとって望ましいものより著しく
大きく増大されねばならない。カテーテル/サーミスタ
検知システムのエラーに起因して、剥離場所の組織を不
必要に過熱する傾向が存在する。(He他「サーミスタ
又は熱電対の使用なしでのRFエネルギ印加中における
温度モニタリング(Temperaturemonit
oring during RF energy ap
plication without the use
of the thermistor or the
rmocouples)」(要約)PACE、1996
年、19:626頁;He他「バイオ・バッテリにより
誘導された温度モニタリングを用いた無線周波数(R
F)エネルギ印加の生体内実験(In vivo ex
periments of radiofrequen
cy(RF) energy application
using bio−battery−induce
d temperature monitorin
g)」(要約)J.AmColl Cardiol、1
997年、29:32A;Sharma他「無線周波数
エネルギ印加中温度をモニタリングするためのバイオ−
バッテリ(Bio−battery to monit
or temperature during rad
iofrequency energy applic
ation)」1997年(手書き文書で提出され
た。)。これは、可能性のある3つの有害な状態を生成
する。第1に、RFチップは、凝固状態になり得る。第
2に、剥離場所での組織がRFチップに「くっつき」得
て、そしてプローブの除去の際に組織の裂傷をもたら
す。この状態は、剥離場所が組織の薄い壁にあるとき、
特に危険である。第3に、不適切な組織温度制御は、直
ちの又は続の穿孔を含む心臓への不必要な損傷をもたら
すことがある。
【0006】無線周波数電流が、カテーテルの無線周波
数で付勢された電極又はチップを用いて心臓の内壁(心
内膜)上の組織場所を剥離する処置中に生じるように組
織を介して導通されるとき、加熱が、カテーテルのチッ
プとの心筋組織境界で予備的に起こる。固定のパワーレ
ベル及びカテーテル・プローブの幾何学的形状が与えら
れたとすると、プローブ境界面から組織の中への距離r
での温度勾配は1/r 4に比例する。加熱は、心筋組織
の抵抗(オーミック)特性により生じ、そしてそれは、
電流密度に正比例する。予想されるように、最高温度
は、RFチップと組織との境界である剥離場所で生じ
る。
【0007】剥離場所での組織の温度が100℃に近づ
くとき、RFチップの電気的導通表面を制限する沈着物
がRFチップ上に形成される。RFチップに対する入力
インピーダンスが増大するであろう。パワー・レベルが
一定に維持される場合、境界の電流密度が増大し、そし
て最終的に炭化が起こるであろう。これらの比較的極端
な温度では、RFチップが組織の表面にくっつくことが
多く、RFチップが剥離場合から取り除かれるとき組織
を裂くことが起こり得る。
【0008】剥離を行う、又は組織を生きていないよう
にするため、組織温度は50℃を越えねばならない。カ
テーテルのRFチップのパラメータが一定に保持される
場合、剥離により生じる外傷の大きさ及び深さは、(熱
平衡に対して十分な時定数を仮定すると)境界での温度
及び時間に正比例する。境界での組織を過熱することな
く最大の深さの外傷を生成するため、RFチップの臨界
的温度測定技術が必要とされる。
【0009】RFチップの温度を測定するための現在の
技術は、小型サーミスタをプローブのRFチップに配置
することを実現させる。現状技術水準は、サーミスタと
RFチップの外側表面との間に存在する熱抵抗の不適切
な補償を与え、そのRFチップの外側表面は、組織と可
変の接触状態であり、そしてRFチップの外側表面と隣
接組織の表面との間の血液の冷却により影響を受ける。
境界での組織の特定の温度の決定に寄与する不確定性の
ため、剥離が実際に起こる時を正確に決定する装置は、
心筋組織の特定の場合を所定の範囲及び深さ(又は容
量)に剥離するため電気生理学的処置を実行する点で大
きな利点であろう。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の主要目的は、
十分且つ予測可能な大きさ及び深さの心筋の外傷の形成
を示す信号を与えることにある。
【0011】本発明の別の目的は、剥離場所の更なるR
F放射を終了させるため剥離場所での組織損傷の発生を
表す出力信号を与えることにある。本発明のなお別の目
的は、剥離するRF電極からのRFエネルギの放射を終
了させることにより剥離場所の更なる加熱を止めるため
剥離場所での実際の組織損傷を表す信号を発生すること
にある。
【0012】本発明の更に別の目的は、心悸動経路の予
測可能な大きさ及び深さの組織損傷の発生を決定しその
後に剥離場所の加熱を止める装置を提供することにあ
る。本発明の更に別の目的は、頻拍律動異常を被ってい
る心臓の心内膜上の剥離場所での実際の組織損傷を表す
出力信号により制御される、カテーテルに設けられた自
己調整型RF放射要素を提供し、頻拍律動異常に少なく
とも部分的に寄与する迷走電気的インパルスの経路を破
壊することにある。
【0013】本発明の更なる目的は、加熱を制御し且つ
剥離場所での十分な大きさ及び深さの組織損傷の発生を
検知しその後に剥離場所の更なる剥離を終了させる方法
を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】RF発生器により付勢さ
れた金属チップを有するカテーテル・プローブは、無線
周波数(RF)エネルギを、印加されたRFパワーの関
数として放射する。チップ、又はプローブのチップに隣
接して配置された第1の金属電極が剥離場所での組織に
隣接して置かれるとき、放射RFエネルギは、組織のオ
ーミック抵抗特性のためその組織を加熱する。第1の仕
事関数を有し且つ組織上の剥離場所に隣接して配置され
た第1の電極は、プローブとは独立に又はその一部であ
り且つ第2の仕事関数を有し且つ剥離場所から離れた場
所の組織と接触している電導性で異種金属の第2の電
極、及び介在する組織により形成される電解質と組わさ
って、それらの間の電荷の移動のためガルヴァーニ電池
を形成する。ガルヴァーニ電池に負荷をかけることによ
り、DC出力電流信号は、RFエネルギにより加熱され
る剥離場所の温度の線形関数である。ガルヴァーニ電池
のDC出力電流信号を用いて、第1の電極に印加される
RF発生器の出力を調整して、剥離場所での電流密度を
制御する。剥離場所での剥離が起こり始めるとき、DC
出力電流信号の値は、更に印加されるRFエネルギに関
係なく急激に降下する。剥離場所での炭化、第1の電極
の凝固、組織の第1の電極へのくっつき、及び組織のあ
り得る穿孔の前に、DC出力電流信号の値は、低減し続
ける前に変曲又は隆起を示す。剥離場所のオーミック抵
抗を表すインピーダンス信号は、組織の炭化の発生と同
時の急激な上昇を表す。DC出力信号の隆起及びインピ
ーダンス信号の急速な上昇は、十分な大きさ及び予測可
能な深さの外傷が形成されたときRFエネルギの更なる
印加を終了させるためのインディケータ又はブラケット
(brackets)として働く。
【0015】本発明の上記及び他の目的は、その説明が
進むにつれ当業者に明らかになるであろう。本発明が、
図面を参照してより特定的且つ明瞭に説明され得る。
【0016】
【発明の実施の形態】(血液のような)電解質、食塩液
又は生きている組織が存在する中で異なる仕事関数を有
する異なる金属の2つの電極は、電荷の交換を生じさ
せ、起電力(emf)が発生される。このemf発生器
は、ガルヴァーニ電池として知られている。ガルヴァー
ニ電池の歴史の技術的説明は、John O’M.Bo
ckris著の書名が「最新電気化学(Modern
Electrochemistry)」という本(Pl
emum Press、ニューヨーク、1970年発
行)の1.3章の題名「基本的電気化学(Basic
Electrochemistry)」(12−31
頁)に記載されている。ガルヴァーニ電池の詳細な技術
的説明は次のものに見つけることができる。即ち、Ed
mund C.Potter著の書名が「電気化学原理
及び応用(ElectrochemistryPrin
ciples and Applications)」
という本(Cleaver−Hume Press,L
td.,1956年発行)の4章の題名「可逆的電極ポ
テンシャルズ(Reversible Electro
de Potentials)」(73−100頁);
D.Bryan Hibbert著の書名が「電気化学
概論(Introduction to Electr
ochemistry)」という本(MacMilla
n Press Ltd.、1993年発行)の4章の
題名「電極及び電気化学電池(Electrodes
and Electrochemical Cell
s)」(59−89頁);及びS.Glasstone
著の書名が「溶液の電気化学(Electrochem
istry of Solution)」という本(M
ethuen& Co.Ltd.、ロンドン、1937
年発行)(第2版)の12章の題名「可逆的電池(Re
versible Cells)」(282−311
頁)である。これらの技術的説明は、本明細書に援用さ
れている。
【0017】ガルヴァーニ電池のポテンシャルの大きさ
は、電解質の濃縮物及び金属の仕事関数の関数である。
ガルヴァーニ電池の開回路電圧は、電極と電解質との間
の境界における温度変化にも拘わらず本質的に一定であ
る。しかしながら、ガルヴァーニ電池に固定値のシャン
ト抵抗を負荷することにより、ガルヴァーニ電池は、金
属と電解質の境界の温度に正比例する出力信号を有する
電流発生器を模擬する。電流発生器の出力信号は、境界
における温度の関数として較正されることができる。較
正の単純な方法は、電流発生器の出力を電極に埋め込ま
れたサーミスタの出力と、定常パワー及び温度条件で初
期又は第1の温度及び第2の温度で参照する方法であ
る。これは、電流発生器のパワー/温度曲線に対して2
つのデータ点を与えるであろう。電流発生器の出力が線
形であるので、その曲線は、関心の全ての温度を含むよ
う拡張されることができる。
【0018】本発明は、心臓の不整脈の原因である又は
一因となる迷走心臓導通経路を剥離する装置を指向す
る。心臓が本発明の主要焦点であるが、本発明を用いて
種々の目的のため他の組織を剥離することができること
を理解すべきである。剥離プロセスは、典型的には50
℃を越え、迷走インパルス経路に寄与する細胞の剥離を
行わせるに十分な温度に剥離場所の組織を加熱すること
により実行される。剥離は、剥離場所の組織を無線周波
数(RF)エネルギにより放射することにより実行され
る。この目的のため、カテーテル・プローブ・チップ
は、剥離場所に隣接して配置される。なお、その剥離場
所は、医者及び当業者に周知のマッピング手順により先
に決定されている。プローブ・チップ又はプローブの他
の電極の剥離場所での位置決めが行われると、RFエネ
ルギ源が作動されて、RFエネルギを導体を介してプロ
ーブのチップ(又は他の電極)に伝送する。RFエネル
ギが、そのチップから剥離場所の組織に放射する。剥離
場所での電流密度は、その剥離場所を放射するRFエネ
ルギのパワーと、チップ及び剥離場所の組織の間の境界
を形成する表面面積との関数である。剥離に必要な程度
を実行するため、チップ上の凝固を防止するため、チッ
プが組織にくっつくのを防止するため、避けるべき隣接
組織への不必要な外傷を防止するため、組織の穿孔を防
止するため、及びチップの中に及びその周りを流れる血
液を不必要に加熱するのを避けるため剥離の範囲及び深
さを制御するために、境界での組織の温度の制御は著し
く重要である。
【0019】チップに埋め込まれたサーミスタを有する
カテーテル・プローブは、剥離処置を実行するため用い
られてきており、そして印加されるRFエネルギ量は、
サーミスタにより検知される温度の関数として調整され
てきた。そのような温度検知は、存在する多数の変数の
ため剥離場所での温度を決定するのに本来的に不正確で
ある。第1に、剥離場所と、組織と接触しているチップ
の表面範囲との間の境界を通した温度損失が存在する。
第2に、剥離場所と接触しているチップの表面範囲とサ
ーミスタとの間の温度遅れを生じさせるチップ内の熱抵
抗が存在する。第3に、チップの剥離場所に対する向き
は、剥離場所の加熱の連続的な変動と共に変化するであ
ろう。最後に、組織内接触してないチップ範囲の周りを
流れる血液は、流速と、チップのその流れに対する向き
の両方の関数で熱を引き出すであろう。実験によると、
剥離場所での組織温度と、サーミスタにより記録される
温度との相違は10℃から35℃の範囲にあることが分
かった。そのような温度偏倚は、医者が剥離処置の時間
に生じた外傷を知らずに、不必要な外傷をもたらし得
る。剥離が薄い壁の心筋に実行されている場合、剥離中
又はその後の時間に穴あき又は穿孔が、潜在的に悲惨な
結果を伴って起こる場合があり、そしてまさに起こる。
【0020】本発明が図1に単純化した形式で示されて
いる。RF発生器10は、RFエネルギ源として働く。
RF発生器10の出力は、J1として識別される入力信
号により制御される。J1により制御されるRFエネル
ギは、導体12を介してカテーテル・プローブ14に伝
送される。このカテーテル・プローブ14は、心臓の血
液が充満した室(以下「血液充満室」と記す。)16内
にあるように示されている。その血液充満室16は、右
心房又は左心房、又は右心室又は左心室であり得る。カ
テーテル・プローブ14は、例えば、剥離されるべき再
入回路(reentrant circuit)を表す
剥離場所20での組織18に隣接して置かれる。示され
ているように、血液は、血液充満室16を通りカテーテ
ル・プローブ14の周りに及びそれを回って連続的に流
れる。
【0021】カテーテル・プローブ14は、導体12に
電気的に接続されて剥離場所20にRFエネルギを用い
て放射するチップ30を含む。典型的には、周波数は、
約350kHzから約1200kHzの範囲にあり得
る。剥離場所のそのような放射は、剥離場所をその剥離
場所での電流密度の関数として加熱することをもたら
す。電流密度は、放射RFエネルギのエネルギ・レベル
及び溶液場所の表面面積により決定される。詳細には、
発生される熱は、電流密度の二乗に比例する。これは次
式のように表され得る。
【0022】
【数1】T(τ)=kPd=kI2R=(J0 2/r4)R ここで、T=温度、r=境界からの距離、J0=境界面
での電流密度、Pd=放散されるパワー、I=境界での
電流、及びR=境界における抵抗である。RF発生器1
0への戻り経路は、導体32により表される。導体32
は、患者の皮膚、好ましくは患者の背中の大きな表面範
囲に隣接して配置された比較的大きな寸法のプレート3
4に電気的に接続されている。良好な電気的接触を保証
するため、導電性軟膏が、プレート34と患者の背中3
6との中間に配置され得る。参照番号38により表され
る、チップ30とプレート34との中間の患者の体液及
び組織は、組合わさって、電解質を、従ってチップ30
とプレート34との間の電気的導通経路を構成する。D
C電流の流れはiSにより表され、DC電圧はvSにより
表される。
【0023】図2に一層詳細に図示されているように、
剥離場所20は、参照番号42、参照番号42、44、
46、48、50及び52で識別される発散する線によ
り代表的に示される、比較的高く集中した電流経路を有
する。これらの電流経路は、剥離場所で互いに近接して
いる。その結果生じる高電流密度は、電流密度の関数と
しての剥離場所の加熱を生成する。剥離される組織の深
さは、線54により代表的に図示されている。プレート
34に隣接した患者の背中36に近いところの電流密度
は比較的低い。そのような低い電流密度のため、プレー
ト34に隣接した皮膚の加熱が本質的には生じないであ
ろう。図2は尺度どおりに描かれてなく、チップ30に
よる剥離場所の放射から生じる相対的電流密度を単に表
すことを意図していることが認められるべきである。
【0024】組織温度制御を有する剥離は、医者がチッ
プ上の凝固の形成に資する温度より下である最大温度で
剥離が起こるのを可能にすることにより剥離プロセスを
最適化するのを可能にする。そのような温度は剥離場所
の組織を放射するRFエネルギの関数であるので、導体
12を介してチップ30に伝送されるRFエネルギ量の
制御は必要である。現在入手可能なタイプのカテーテル
・プローブ60が図3に図示されている。このカテーテ
ル・プローブ60は、RFエネルギ源から導体64を介
して受け取られるRFエネルギを放射するためのチップ
62を含む。サーミスタ66が、チップ62の温度に応
答するようチップ62に又はチップ62に十分近接して
埋め込まれている。1対の導体68及び70は、サーミ
スタ66を単一の検出回路に相互接続させて、検知され
た温度を表す出力信号を与える。更に、カテーテル・プ
ローブ60は、マッピング電極72、74及び76を含
み得る。これらの電極は、心臓内のカテーテル・プロー
ブ60の操作と連携して用いられて、心不整脈を起こす
迷走インパルス経路を検出して識別し得る。導体78、
80及び82は、電極72、74及び76のそれぞれ
を、周知のように、マッピング機能と関連した回路に接
続する。
【0025】前述のように、サーミスタ66は、剥離場
所の温度の正確な表示を与えることができない。つま
り、不正確な温度表示に寄与する原因は、チップ30と
剥離場所20との間の境界(図2参照)を介する熱損
失、チップと接触している組織の範囲とサーミスタの検
知要素との間の熱の遅れ、及び組織と接触していないチ
ップ範囲の周りの血液の流れから生じる熱損失である。
【0026】実験により、チップ30、プレート34及
び体38の組合わせは、チップ30及びプレート34が
金属性であり且つ異なる仕事関数であることが与えられ
る場合、体38が電解質として作用するので、ガルヴァ
ーニ電池のように働くことが分かった。体は、食塩液に
類似の電気的性質を有する体液により浸透されている。
実験は、チップ30にとって好ましい材料はプラチナで
あり、そしてプレート34にとって好ましい材料は銅で
あることを示している。このガルヴァーニ電池の開回路
電圧(vS)は、本質的に剥離場所20の温度とは独立
である。しかしながら、ガルヴァーニ電池がシャント抵
抗を重く負荷された場合、ガルヴァーニ電池は、電流源
として作用して、そしてその電流の大きさ(iS)は、
剥離場所での組織温度の関数として関心の37℃から1
00℃にわたり線形である。プレート34に隣接する組
織の温度は、電流密度がいずれの重大な熱を発生するに
は不十分であるので、体温である。従って、図2に図示
された装置により生成されたガルヴァーニ電池は、チッ
プ30の温度に関係なく剥離場所20での組織温度を表
す出力信号を与える。
【0027】ガルヴァーニ電池を較正する1つの方法が
説明されるが、サーミスタがチップに存在することを要
しない以下に記載の他の方法も用いられ得る。サーミス
タは、カテーテル・プローブ60のようなカテーテル・
プローブのチップに埋め込まれている。前述した理由の
ため、サーミスタの出力は、剥離場所での実際の組織温
度に関して本来的に不正確であり、更に、印加されたパ
ワーの関数としてサーミスタにより検知された温度は、
一般的に非線形である。しかしながら、剥離場所での静
止スタンドバイ状態から小さい温度増加(印加されるパ
ワーの小さい増加)までの温度範囲内では、サーミスタ
の出力信号は、本質的に線形である。サーミスタの出力
曲線をガルヴァーニ電池の一般的に線形の応答曲線と一
致させることにより、2つの一致した基準点を決定する
ことができる。
【0028】図4を参照すると、点0から点1まで一致
するよう操作されたサーミスタ応答曲線とガルヴァーニ
電池応答曲線とが図示されている。これらの2点におけ
るサーミスタの温度指示をガルヴァーニ電池の電流出力
(iS)と相関させることにより、温度応答が線形に外
挿され、ガルヴァーニ電池の電流出力と相関した温度読
取りを得ることができる。即ち、ガルヴァーニ電池のい
ずれの所与の電流出力に対して、剥離場所の組織温度を
決定することができる。従って、図1及び図2に図示さ
れているカテーテル・プローブ14が図3に示されるタ
イプである場合、剥離場所でのプローブの較正は容易に
決定することができる。電流出力を温度に対して較正す
る他の方法も前述したように採用することができる。
【0029】図5を参照すると、剥離場所での迷走イン
パルス経路を剥離するためのカテーテル・プローブに印
加されるパワーを制御するに必要な主要構成要素のブロ
ック図が図示されている。図5は、剥離処置が実行され
るべき剥離場所のため求められた組織温度と等価の基準
電圧を設定するための温度入力回路90を示す。生じた
出力信号は、導体92を介してサーボ増幅器94に伝送
される。サーボ増幅器94は、出力信号を導体96上に
与えて、RF発生器98の出力パワーを制御する。スイ
ッチ100は、RF発生器98の動作を制御する。RF
エネルギ出力は、導体102上に与えられる。ブロッキ
ング・キャパシタ104は、高域通過フィルタを表し、
導体102上の信号のいずれのDC成分を阻止する。導
体106は、ブロッキング・キャパシタ104をカテー
テル・プローブ14のチップ30と相互接続し、そして
RFエネルギをチップ30に伝送する。チップ30は、
放射されるべき心内膜、壁、膜、又は他の生きた組織の
剥離場所20をRFエネルギでもって放射する。チップ
30は、第1の仕事関数を有する、プラチナ又は他の金
属のような材質である。チップ30とは異なる位置に配
置されているプレート34は、第1の仕事関数とは異な
る第2の仕事関数を有する、銅又は他の金属のような材
質である。プレート34は、チップ30とプレート34
との中間の一塊の組織38と電気的に接触している。こ
の組織38は本質的に液体であり且つ食塩液の電気的特
性を有するが、その組織38は、チップ30とプレート
34とを相互接続する電解質のように働く。前述したよ
うに、形成されたガルヴァーニ電池は、DC出力電圧v
Sを導体106と108との間に与える。シャント・イ
ンピーダンスR1は、形成されたガルヴァーニ電池に重
く負荷を与えて、ガルヴァーニ電池を電流源(iS)に
変換して、剥離場所20での組織温度を表す出力信号を
与える。ガルヴァーニ電池からの出力信号は、導体11
0を介して低域通過フィルタ112に伝送される。低域
通過フィルタ112の出力は、導体114を介して較正
回路116の演算増幅器120に送られる。更に、信号
測定及び処理回路118が、導体103を介して導体1
02に接続されて、出力負荷電圧(VO)のサンプリン
グを与える。この信号測定及び処理回路118はまた、
導体105を介して導体107に接続されて、検知され
た負荷電流(IO)の入力信号を与え、そしてその入力
信号を処理して、インピーダンス、パワー、及び電圧及
び電流レベルの指示を与える。読出し部123は導体1
19を介して信号測定及び処理回路118に接続されて
いるが、この読出し部123は、インピーダンス、パワ
ー、電圧レベル、電流レベル等の複数の指示の各々を与
える。
【0030】可変抵抗R3及びR4は、演算増幅器12
0と組合わさって、なされるべき調整を表し、ガルヴァ
ーニ電池の出力電流(iS)を剥離場所20の組織温度
と相関させる。較正回路116は、サーミスタにより指
示された温度の、ガルヴァーニ電池の電流出力信号との
前述の相関を実行して、剥離場所の組織温度指示を、ガ
ルヴァーニ電池により発生された電流(iS)の関数と
して得る。読出し部122は導体124、126を介し
て較正回路116と接続されるが、その読出し部122
は、剥離場所の組織温度の指示を与えるため用いられ得
る。較正回路116からの出力信号はまた、導体124
及び128を介してサーボ増幅器94に送られる。この
出力信号は、剥離場所での組織温度を表す。それによ
り、サーボ増幅器94は、剥離場所での組織温度を表す
入力信号を受け取る。サーボ増幅器94の回路は、剥離
場所の組織温度を上昇させるか又は低下させるか、又は
組織温度をそのプリセット温度に維持するかを決定する
であろう。RF発生器98のパワー出力を増大するか、
低減するか、又は維持するかの指令信号は、サーボ増幅
器94から導体96を介してRF発生器98に伝送され
る。
【0031】図6を参照すると、本発明と使用可能なカ
テーテル・プローブ14の変形が図示されている。最初
に関心の場所をマッピングし、次いでその場所を剥離す
る組合わせは、長い手順である。プローブを再配置する
ことなしに、又はマッピング・プローブを剥離プローブ
と置換することなしに、マッピング手順中に識別された
場所を剥離することが可能であれば、著しく時間が節約
されるであろう。図6はカテーテル・プローブ130を
図示し、そのカテーテル・プローブ130は、マッピン
グされるべき心筋組織の表面と接触関係にあってそのカ
テーテル・プローブ130の長さの全て又は一部を位置
決めするのに十分に柔軟であり得る。チップ132はカ
テーテル・プローブ14のチップ30と似ていてもよい
が、そのチップ32は遠端に配設される。リング13
4、136、138、140及び142のような複数の
マッピング電極は、チップ132からプローブに沿って
近接して配設される。これらのリングは、関心の組織を
マッピングして、迷走インパルスの原因である回路を破
壊するため剥離されるべき場所を識別し且つ場所を特定
する機能を働く。これらのリングの一部又は全てがチッ
プ30のように働くため、図1から図5を参照して説明
したように、リングは、金属性で、且つプレート(又は
電極)34の仕事関数とは異なる仕事関数を有すること
が好ましい。代替として、1つ以上のリングが、残りの
リング又はチップの仕事関数とは異なる仕事関数を有す
る銅又は他の金属から形成されることによりプレート3
4のように働き得る。それにより、プレート34に対す
る必要性が排除される。代替として、RFエネルギがチ
ップ又は近接して配置された電極の1つとプレート34
との間に印加され得る。ガルヴァーニ電池信号が、チッ
プ及び近接の電極の1つのうちのRF付勢されたものと
チップ又は近接の電極のうちの残りの1つとの間でスイ
ッチ回路160の適切な動作により決定され得る。その
ような接続の主要要件は、接続されたチップ/単数の電
極(又は複数の電極)が前述のように異なる仕事関数で
あることである。複数の導体144、146、148、
150、152及び154のうちの1つは、それぞれの
チップとリングとをスイッチ回路160の出力を用いて
相互接続する。データ取得回路162は、スイッチ回路
160を介して各リング132−142及びあり得るチ
ップ132に対して選択的に相互接続される。データ取
得回路162は、リング及び/又はチップにより検知さ
れたデータを収集して、プローブにより横切られる組織
表面をマッピングする。インパルス経路(回路)を破壊
するため剥離されるべき場所を検出すると、スイッチ回
路160は、各リング(又はチップ)をRF発生器16
4と相互接続するよう切り換える。そのような相互接続
がなされると、各リング(又はチップ)は、識別された
場所をRFエネルギを用いて放射し、そして(以下に説
明されるように、排除されない場合)組織温度制御機能
と共に前述したような剥離機能が、実行されるであろ
う。
【0032】この記載から、マッピング機能を実行する
ことにより位置を捜された場所を検出すると、その場所
の剥離が、カテーテル・プローブの更なる移動又は操作
なしに直ちに実行されることができる。更に、剥離機能
は、図5に図示された回路を用いて実行されて、剥離が
完了するまでその組織を所定の温度に加熱及び維持する
ことができる。
【0033】経験的に、図5に図示されるように、組織
を剥離する回路及び装置は、医者に剥離場所での剥離の
組織温度/状態の非常に正確な指示を与える。そのよう
な正確さでもって、剥離処置は、チップの凝固、組織の
チップへの癒着、又は突き刺しの恐怖なしに薄い壁組織
について実行されることができる。更に、剥離場所での
温度の正確な表示は、もはや剥離場所でのプローブの向
きに決定的に依存せず、またプローブ・チップにより及
ぼされる圧力に応答した組織の抑圧の程度にも依存しな
い。これらの制御するのが非常に困難な変数のため、迷
走インパルス経路の完全な剥離は、医者が過度に用心深
い場合も常に達成されるものではなかった。医者がより
積極的である場合、チップ凝固、組織のくっつき、及び
時に組織への過剰な損傷及び組織への突き刺しが生じ
た。これらの結果は、主に、処置中において医者へ供給
される情報の不正確さに起因し、それ程貧弱な技術に起
因するものではなかった。
【0034】上記の記載から明らかになるように、チッ
プ30(及びチップ132)は、剥離場所の温度を設定
又は決定するためのサーミスタ又は熱電対を必要としな
い。従って、プローブは、既存のプローブより小さく且
つより融通のきくものにすることができる。更に、プロ
ーブは、それが既存のデバイスより単純であるので、実
質的に低減したコストで製造されることができる。カテ
ーテル上に配置されたリング(又は他の電極)は、迷走
インパルスの場所をマッピングするため用いられること
ができ、そしていずれのリング(又は他の電極)は、場
所の識別後に且つカテーテルの再位置決めなしにそのよ
うな場所での組織を放射するため用いられることができ
る。
【0035】より正確で且つ拡大された信号表示と関係
した犬のインビボ試験の結果として、本発明の更に重要
な能力が明らかにされた。図7の(A)を参照すると、
剥離処置中に存在する3つの信号のグラフが図示されて
いる。グラフの横座標は時間(単位は秒)を表し、縦座
標は電圧を表す。曲線170(パワー)は、カテーテル
のチップ30に印加されるRFパワー・レベルを表し、
電圧の尺度はパワー・レベルに比例する。印加されるパ
ワーは、ステップ172、174及び176として示さ
れている。パワーは、これらのパワー・レベルの各々に
おいて本質的に一定に維持される。パワーは、時点T1
でターンオンされ、時点T2でターンオフされる。曲線
180(温度)は、(図3に示されるチップ60内のサ
ーミスタTのような)チップ30内のサーミスタの出力
を表し、そして電圧の尺度は、サーミスタにより検知さ
れた温度に比例する。時点T1の前に、曲線180のセ
クション182は、本質的に静止していて、本質的に一
定温度を表す。パワーを印加すると、サーミスタにより
記録された温度は、セクション184により示されるよ
うに増大し、その増大は、本質的にパワー・レベル17
2と相関される。パワー・レベル(174)が更に増大
すると、セクション186は、より高い温度を示す。同
様に、パワー・レベル176を印加すると、セクション
188は、更に高い温度レベルを示す。時点T2でのパ
ワーの印加の終了後に、サーミスタの温度は、セクショ
ン189により示されるように降下する。
【0036】ガルヴァーニ電池により発生された電流
(IO)は、曲線190(バイオ−バッテリ信号)によ
り表され、そして電圧の尺度は、電流に比例する。時点
T1の前に、電流は、セグメント192により示される
ように、本質的に一定である。時点T1でRFパワーを
印加すると、電流は、静止状態がパワー・レベル172
と一致する印加されたパワーの初期持続時間後に確立さ
れるまで、セグメント194に示されるように増大す
る。印加されたパワー・レベル174の増大の際に、電
流はセグメント196において鋭く増大する。パワー・
レベル174の後ろの時間期間中に、セグメント196
の間の電流の増加速度は低減する。パワー・レベル17
6により表される追加のパワーの印加の際に、セグメン
ト198により示される電流レベルの増加速度は、本質
的に、参照番号200により識別されるピークに一定の
ままである。このピークは、パワー・レベル176と一
致するパワーが短時間印加された後に起こることを注目
すべきである。その後、電流は定常的に低減(減衰)す
る。サーミスタの温度を表す曲線のピークであって点1
88Aにより示されるそのピークは、点200における
曲線190のピーク温度より著しく後に生じたことを注
目すべきである。
【0037】一定のパワー・レベルの印加中にガルヴァ
ーニ電池により生成された電流(バイオ−バッテリ信
号)のピーク化の原因は、データから直ちに理解されな
くまたそれから明らかではなかった。犬の心臓の生体内
の剥離場所を更に検査すると、ピーク化が、カテーテル
・チップと組織の間の境界で組織損傷(脱色)と同時に
生じたことが分かった。(Scharma他「外傷形成
を予測し且つ急速なインピーダンス上昇を防止するため
のバイオ−バッテリ電池出力の使用(The use
of bio−battery cell to pr
edict lesion formation an
d prevent rapid impedance
rise)」(要約)J.Am Coll Card
iol、1998年発行、31:159A)。組織損傷
は、剥離場所でのイオン及び陽イオン分布の変化、又は
電荷分布の変化をもたらしたと考えられる。(Bago
tzky,VS.「電気化学の基礎(Fundamen
tals of Electrochemistr
y)」1−103、Plenum−Press、ニュー
ヨーク、1993年発行;Cisak他「高エネルギ非
水バッテリ(High Energy Non−Aqu
eous Batteries)」20−38頁、El
lis Horwood、ニューヨーク、1993年発
行;IsraelRubinstein編「物理的電気
化学:原理、方法及び応用(Physical Ele
ctrochemistry:Principles,
Methods and Application
s)」1−26頁、Marcel Dekker,In
c.,1995年発行)。即ち、低減した電荷分布を有
する損傷された組織の生じた環境は、ガルヴァーニ電池
により発生された電流に著しく影響を及ぼし、そして明
瞭且つ明白な信号を与えた。
【0038】従って、これらの結果から、人は以下の結
論を引き出すことができる。第1に、そして前述したよ
うに、ガルヴァーニ電池の出力電流は、RFエネルギで
もって放射された剥離場所の温度の関数として相関可能
である。第2に、剥離処置を受ける被験者により形成さ
れたガルヴァーニ電池の電流出力は、剥離場所で剥離さ
れるため捜し求められた組織が実際に剥離された時の明
白で容易に明らかな指示(信号)を与える。第3に、剥
離処置中にバイオ−バッテリ信号のピーク200を検出
すると直ちに、RFパワーの更なる印加が終了され得
る。剥離が一般的に約50℃から55℃の範囲の温度を
必要とするので、チップ凝固、組織のくっつき、及び組
織の穿孔を起こすより高い温度状態は生じないであろ
う。剥離処置のその結果生じる安全特徴、及び重大な損
傷に対する深刻な可能性の排除が、以前利用可能でなか
った程度まで達成されるであろう。
【0039】図7の(B)を参照すると、印加されたR
Fパワー・レベルを示す曲線210(パワー)、剥離処
置を実行するカテーテル・チップに配設されたサーミス
タの温度を示す曲線212(温度)、及び剥離処置中に
存在するであろうガルヴァーニ電池の電流出力を示す曲
線214(バイオ−バッテリ信号)が代表的に示されて
いる。曲線214は、パワー・レベル218と一致す
る、パワーの印加中に生じるピーク216を示す。この
パワー・レベルにおいて、曲線212のセグメント22
0は、初期上昇を有し、この初期上昇に温度の低減した
上昇速度が続く。パワー・レベルが一定に印加されてい
るにも拘わらず、曲線214は、ピーク216の後に低
減する。参照番号222により表されるより高いパワー
・レベルを印加すると、曲線214の低減は、停止さ
れ、そして小さい上昇の後に本質的に静止状態を維持す
る。しかしながら、曲線212のセグメント224は、
続く低減した増加速度でもって急に増大する。時点T2
でパワーを終了すると直ちに、曲線214及び212は
低減する。
【0040】図7の(B)に示される曲線は、曲線21
4において生じるピーク216が増大したパワーが剥離
場所における組織の剥離の明白な指示を与えるにも拘わ
らず、そのような増大したパワーの後続の印加により影
響を受けないことを明らかに示す。
【0041】電流信号(曲線180又は曲線214)の
減衰の程度は、組織外傷の関数であると現在考えられ
る。更に、剥離の深さは、剥離の発生の後のパワー・レ
ベル及び時間の関数(ピーク200又は216)として
制御されることができると考えられる。
【0042】図8を参照すると、図5に示された装置の
改良版が図示されている。改良版は、データ、2次元イ
メージ等を示す視覚的に知覚しうる表示スクリーン25
1を含むコンピュータ250を具体化する。例えば、読
出し部123(図5に示される)は、コンピュータ25
0により表示されるであろう1群のイメージの1つであ
り得る。コンピュータ250は、ブロック252により
表される複数のポートを含み、その複数のポートを介し
てデータが、ディジタルであれアナログであれ、入力又
は出力され得る。負荷/インピーダンス測定回路118
は、ブロック252のポート254に導体256を介し
て接続される。コンピュータ250は、パラメータ、動
作、又は剥離処置中に得られた結果に影響を及ぼすであ
ろうデータを手動又は別な方法で入力する能力を含む。
ポート256は、導体260を介して、RF発生器98
のためのオン/オフ・スイッチング機能を与える。温度
を表す基準電圧は、ポート264を介して導体262を
通りサーボ増幅器94に印加されることができる。読出
し部122(図5参照)により先に実行された読出し機
能は、導体266をポート268を介して相互接続する
ことによりコンピュータ250により与えられることが
できる。更に、図7の(A)及び(B)に表示された曲
線は、コンピュータ250によりその表示スクリーン2
51の使用を通して容易に表示され得る。
【0043】コンピュータ及び関連のソフトウエアの使
用により、ここで外科医がピーク200(図7の
(A))又はピーク216(図7の(B))の存在を示
すことにより剥離が剥離場所で生じる正確な瞬間を実時
間ベースで決定することを可能にする。その後、RFパ
ワーの更なる印加が不必要であり、そして剥離場所での
過熱の全ての潜在的危険が回避される。しかしながら、
その組織における剥離の深さは、印加されるRFパワー
の時間当たりのパワー・レベルの関数であり又はあり得
るので、RFエネルギの放射は、外科医により所望され
る剥離のレベルが達成されるまで継続され得る。
【0044】前述のように、図6に示されるように、複
数の要素を有するカテーテル・チップは、複数の場所の
各々を同時に又は順次に剥離するため用いられることが
できる。コンピュータ250の使用は、各剥離場所の実
時間モニタリングを可能にする。そのようなモニタリン
グにより、各剥離場所に印加されるRFパワーの制御
が、医者にとって容易に利用可能となる。
【0045】図7の(A)及び(B)に示される曲線1
90、210を生成するため行った実験から、これらの
曲線のピーク値で、剥離が起こり、そして外傷が形成さ
れたことが明らかになった。この発見は、これまでその
ような明白な信号が処置を実行する医者にとって利用可
能でなかったので重要であった。しかしながら、実験
は、形成された外傷の大きさ及び深さに関連する明白で
決定的な情報を与えなかった。ガルヴァーニ電池の電流
出力信号に含まれている又はそれにより与えられる情報
の程度を更に探求するため、更に実験が行われた。更
に、ガルヴァーニ電池及びそれからの出力信号は、現譲
受人により所有されている登録商標バイオ−バッテリ
(Bio−Battery)及びバイオ−バッテリ信号
(Bio−Battery signal)のそれぞれ
により呼称され始め、そのような命名を本明細書におい
て時折用いる。
【0046】前述のように、バイオ−バッテリ技術の基
礎をなすメカニズムが以下に説明されるであろう。異な
る仕事関数を有する2つの異なる金属の電極が組織と接
触して置かれるとき、ガルヴァーニ電池が発生される。
この電流が負荷抵抗を通って流れるとき、電極金属の固
有特性及び温度の組合わせ、並びに局所的イオン濃度、
及びこれらのイオンの酸化形と還元形との比と関連する
出力電流信号を測定することができる。RFエネルギの
印加の過程中に、出力電流信号は、心筋組織の性質の局
所的変化を表し得る特性的変化を示す。出力電流信号の
この特性的変化は、心筋の外傷形成のプロセスを示し得
る。一連の実験は、出力電流信号の特性を調査し且つそ
れを用いて心筋の外傷形成を予測し且つ外傷の深さを決
定できるか否かを決定するため開発された。その結果、
インビトロ及びインビボ実験が実行され、それらの実験
が以下に詳細に説明される。
【0047】図9に示されるように、全てのインビトロ
実験が、7−フランス(7−French)EPTカテ
ーテル250(EPテクノロジーズ(EP Techn
ogies)6303及び6304、カリフォルニア州
Sunnyvale)を用いて実行された。このカテー
テルの形態は、4mmの遠端電極のチップ252に設け
られた熱的に隔離されたサーミスタを有する。RFパワ
ーは、本譲受人により作られ且つ前述したコンピュータ
制御されたカスタムRF発生器254を用いて供給さ
れ、そのRF発生器254は、RFパワー出力、サーミ
スタ−組織の境界温度、バイオ−バッテリ電池電流(ガ
ルヴァーニ電池の出力電流信号)及び組織インピーダン
スの生物物理学パラメータを同時にオンラインで表示し
且つ記録する能力を有する。新鮮な牛の心室心筋256
が、温度制御されたバスに浸され、新鮮な牛の血液25
8を37℃で且つ2リットル/分の流速でボウル260
内で循環させた。銅戻りプレート262が、心筋の下に
置かれた。チップ252は、心筋の切断表面に垂直に配
向され(そしてある一定の実験においては心外膜又は心
内膜表面上に向けられ)、そしてスタンド264により
適所に保持された。電極−組織の接触は、事前剥離組織
インピーダンスにより評価された。各処置は、別に言及
しない場合には、異なる場所で6回繰り返された。RF
パワー出力、サーミスタ−組織の境界温度、バイオ−バ
ッテリ電池出力(ガルヴァーニ電池の出力電流信号)及
び組織インピーダンスのオンライン・データは、図10
に示されるように、同時に表示され且つオフライン解析
のため記録された。全ての剥離場所に形成された外傷
は、最初に総体的に測定され、そしてニトロブルーテト
ラゾリウム(NBT)でもって染色した後再び測定され
た。外傷の寸法は、長さ×幅×深さで与えられる。外傷
の容量は、2/3πr1×r2×d(xxx)で与えら
れる。全てのデータは、平均±標準偏差の形式で与えら
れる。一方向(oneway)ANOVA解析及びポス
ト−ホック試験(post−hoc testing)
並びにスチューデントのt検定が実行された。0.05
より小さいp値が、統計的に有意であると考えられる。
【0048】外傷深さを、変化する終了基準、RFエネ
ルギ、電極−組織の温度、及びRF印加時間と相関させ
るため、以下のプロトコルが実行された。チップ252
が、図9に示されるように、心筋256の切断表面上に
ほぼ12グラムの接触圧力で置かれた。以下の試験が行
われ、図10及び図11は一般的に、観察された信号を
表す。 1) バイオ−バッテリ出力電流信号270においてそ
の出力電流信号の最大値に対してそれぞれ20、40及
び60パーセント降下が起こるまで、RFエネルギが2
0ボルトの一定レベルで印加された。 2) バイオ−バッテリ出力電流信号270におけるそ
れぞれ20、40及び60パーセント降下が起こり且つ
迅速で著しいインピーダンス上昇272aが起こる(イ
ンピーダンス上昇は200オームより大きいインピーダ
ンスとして定義される。)まで、RFエネルギが30ボ
ルトの一定レベルで印加された。 3) 最大バイオ−バッテリ出力電流信号270のそれ
ぞれ20、40及び60パーセント降下が起こり且つイ
ンピーダンスにおける迅速で著しい上昇272aが存在
するまで、RFエネルギが40ボルトの一定レベルで印
加された。 4) バイオ−バッテリ出力電流信号270におけるそ
れぞれ20、40及び60パーセント降下が起こり且つ
インピーダンスにおける迅速で著しい上昇272aが存
在するまで、RFエネルギが50ボルトの一定レベルで
印加された。 5) 第1の「隆起(バンプ)(bump)」274が
起こる(「隆起」は、バイオ−バッテリ出力電流信号の
最大値に続く低減後にバイオ−バッテリ出力電流信号に
おける瞬間的増大(変曲)により特徴付けられる。)ま
で、RFエネルギが50ボルトの一定レベルで印加され
た。
【0049】種々のタイプの組織におけるバイオ−バッ
テリ信号についてのデータを得るため、50V及び12
グラム・プロトコルが、心筋の心外膜及び心内膜表面に
対して繰り返された。
【0050】インビトロ試験が、以下の表1に要約され
ている。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】図10に示されるように、RFエネルギ供
給の開始で、バイオ−バッテリ出力電流信号270及び
電極−組織の境界温度276の両方は、急速に上昇し
た。同時に、組織インピーダンス272は、最初低減
し、次いで平らになった。70±℃より上の温度で、バ
イオ−バッテリ出力電流信号270は、最大レベルに到
達し、それにインピーダンス272における急峻な上昇
272aが観察される前に低減が続いたことが一貫して
観察された。バイオ−バッテリ出力電流信号の低減27
0a(下降)の時間に、RF外傷が一貫して形成され
た。組織インピーダンス272aが上昇する直前の数
秒、バイオ−バッテリ出力電流信号270において「隆
起」274が存在する。一部のケースにおいては、バイ
オ−バッテリ出力電流信号において2個以上の「隆起」
があった。「隆起」での平均温度276は、85±℃で
あり、そしてインピーダンス上昇点での平均温度は、9
0±℃である。大部分のケースにおいて、RFエネルギ
がこの「隆起」信号の後に継続的に印加された場合、一
連の可聴の「ポンという音(pops)」がし、そして
迅速なインピーダンス上昇が続くであろう(これらの
「ポンという音」は、同時に破裂する細胞(cell)
の音と考えられ、その破裂は、破片(凝塊)を血液に注
入し、そしてそれは卒中を起こすことができる。)最大
バイオ−バッテリ出力電流信号の点と「隆起」との間
に、及び「隆起」と迅速なインピーダンス上昇との間
に、30±秒の「窓時間(window time
s)」がそれぞれある(図11も参照のこと)。この
「隆起」が迅速なインピーダンス上昇の発生に先行する
ので、それは、インピーダンス上昇及び/又は「ポンと
いう音(POP)」を避けるための終了信号として用い
られることができる。実験の間、バイオ−バッテリ出力
電流信号270の隆起274でRFエネルギ印加を終了
する1つのプロトコルが追加された。
【0054】表1に示されるように、RFエネルギ・レ
ベルが増大するにつれ、バイオ−バッテリ出力電流信号
のより高い振幅が観察された。40V及び50VのRF
レベルで、心筋の外傷が一貫して形成された。例えば、
50Vのグループにおいて、RFエネルギ印加がバイオ
−バッテリ出力電流信号についてピークの20、40、
60%の点で終了されたとき、平均外傷深さは3.6−
4.4mmであった。しかしながら、RFエネルギ印加
が隆起点(274)で終了されたとき、6.8±1mm
の深さの外傷が生成された。外傷の隆起点グループの平
均外傷深さは、外傷のインピーダンス上昇グループの深
さとは著しく異ならなかった。このデータは、バイオ−
バッテリ出力電流信号の隆起点で生成された外傷の深さ
が20、40及び60%出力電流信号点と一致するRF
終了点で生成された外傷の深さより殆ど2倍深いが、し
かし迅速なインピーダンス上昇点で生成された外傷の深
さとは著しく異ならないことを表している。隆起点で終
了されたRFエネルギ印加を用いた外傷形成のプロトコ
ルは、心筋の心外膜及び心内膜表面について繰り返され
た。心外膜及び心内膜表面に作られた外傷の深さは、切
断表面に作られた外傷の深さと統計的に異ならなかっ
た。
【0055】インビボ実験については、雑種の犬が用い
られた。犬は、イソフルランを用いて麻酔をかけられ、
そして機械的に血液に酸素を補給された。銅戻りプレー
トが、毛を剃った後の背中の表面上の皮膚に直接接触し
て置かれた。導電性ゲルが、動物の皮膚と戻りプレート
(図1、図2、図5及び図8に示されるプレート34及
び図9に示されるプレート262に似ている。)との間
に用いられた。
【0056】遠端電極の中心に設けられた熱電対を備え
る7−フランスEPTカテーテル(EPT6304)及
び7−フランス・ウェブスター(Webster)・カ
テーテル(Cordis Webster、カリフォル
ニア州)が用いられた。インビトロ実験において説明し
たRF発生器及びオンライン・コンピュータ化制御シス
テムが用いられた。RFエネルギが、単極モードで供給
され、そして銅バックプレートがRF戻り電極として用
いられた。実験手順を次のように説明する。
【0057】EPTカテーテルが左心室(LV)に右大
腿動脈を介して挿入された。RFエネルギが、X線透視
により評価されるように心内膜に垂直に位置決めされた
遠端電極を用いて左心室の種々の場所に印加された。電
極−組織の接触は、単極内部心拍曲線において組織イン
ピーダンス及び損傷電流の増大を観察することにより確
認された。電極−組織の良好な接触を有する全部で6個
の位置が予測された。RFエネルギが、左心室の6個の
位置に供給された。バイオ−バッテリ出力電流信号がそ
のピークから20%降下するまで、50±1ボルトの一
定RF電圧が印加され、その20%降時点でRFエネル
ギの印加が自動的に終了された。その結果が、以下の表
2に示されている。
【0058】
【表3】
【0059】上記と同じ基準を用いて、ウェブスター・
カテーテルが、X線透視案内の下に右大腿静脈を介して
右心室(RV)に配置された。遠端電極が心筋に平行に
配置され、そしてRFエネルギがこの電極を介して供給
された。電極−組織の良好な接触を有するRVにおける
4つの位置が予測された。最後のRV位置上で、良好な
組織接触が得られ、次いでカテーテルが最少接触を維持
するため引き出された。RFエネルギが、右心室におけ
る5つの位置に供給された。57±4ボルトの一定RF
エネルギ出力が、バイオ−バッテリ出力電流信号がその
ピークから20%降下するまで供給され、次いでRFエ
ネルギ印加が自動的に終了された。その結果が、以下の
表3に示されている。
【0060】
【表4】
【0061】前述の同じウェブスター・カテーテルが、
X線透視案内の下に右大腿静脈を介して右心房(RA)
に配置された。電極−組織の接触が、単極内部心拍曲線
において観察された組織インピーダンス及び外傷電流に
おける上昇により予測された。RFエネルギが、バイオ
−バッテリ出力電流信号がそのピークから20%降下す
るまで供給され、その20%降下時点でRFエネルギ印
加が自動的に終了された。その結果が以下の表4に示さ
れている。
【0062】
【表5】
【0063】これらの全ての手順において、RFパワー
出力、電極−組織の境界温度、バイオ−バッテリ出力電
流信号、及び組織インピーダンスが、同時に表示され、
そして将来の解析のため記憶された。図13はこれらの
信号を表す。心臓の全体検査は、動物を犠牲にした後に
行い、外傷の寸法が測定され、そして記録された。
【0064】インビボ研究の結果が上記の表2、表3及
び表4に要約されている。左心室において、RFエネル
ギ供給は、9から15ワットの範囲にあり、そして持続
時間は、30から180秒の範囲にあった。最大バイオ
−バッテリ出力電流信号及び信号変曲(隆起274)
は、6個全部のRF印加において観察された。6個の白
い均質の心内膜外傷が、心臓の病理学的検査中に観察さ
れ、そして測定された(表2)。右心室において、4個
の固い(solid)外傷が観察されそして測定され
た。4個全ての外傷は経壁であった。これら4個の外傷
は、良好な組織接触を有すると予測され且つバイオ−バ
ッテリ出力電流信号の折り曲げ点を有するそれらの位置
に対応した(表3)。右心房において、4個の心房外傷
のうちの3個が経壁であった(表4)。
【0065】温度モニタリングが、無線周波数経カテー
テル剥離中の外傷形成及び寸法のための制御機構として
提案された。実効的測定は、加熱された心臓組織に対す
る熱電対又はサーミスタ位置及び循環の伝導性冷却効果
に依存する。電極−組織の境界のピーク温度の尺度とし
ての単一のチップ・サーミスタの正確さは知られてな
い。また、単一のチップ・サーミスタの正確さは、カテ
ーテル−組織の配向に依存する。温度モニタリングのた
めサーミスタ及び熱電対を利用するカテーテルが、現在
入手可能であるが、しかしながら、測定された電極−組
織の境界温度は、チップの変化する向き、及び取り囲む
血液の流れの冷却効果のため正確でない。更に、複数の
電極に熱電対又はサーミスタを設けることは、技術的に
難しく且つ高価である。
【0066】安全な動作及び最適な外傷形成を達成する
ため、組織インピーダンス、パワー消費及びオンライン
単極電気記録図モニタリングのような他の生物物理学的
パラメータがまた、RFエネルギ印加を調整するため、
並びにRF剥離のための外傷形成及び深さを予測するた
め探求されてきた。しかしながら、これらのパラメータ
は、実の組織温度及び組織特性の進行中の変化を表すの
に適切な感度及び一貫性に欠けているように見える。
【0067】バイオ−バッテリ出力電流信号とサーミス
タにより測定された電極組織境界温度とは、35℃−7
0℃の間で良く相関する。これらの結果は、RF剥離温
度が埋め込まれた熱電対又はサーミスタを持たないカテ
ーテルによりモニタリングされ得ることを示している。
これらの研究から得られた証拠は、外傷形成中の低減さ
れたバイオ−バッテリ出力電流信号が外傷形成の進行を
示したことを示唆する。従って、バイオ−バッテリ出力
電流信号は、図10に示されるように、迅速なインピー
ダンス上昇により示されるように、カテーテル電極上の
血液凝固及び組織の炭化を避けるためRF印加を制御す
るためのフィードバック制御信号を表す。バイオ−バッ
テリ出力電流信号がRF印加中の外傷深さ及び大きさを
決定するのに有効であり得ること、及びバイオ−バッテ
リ出力電流信号が心臓病専門医が外傷を所望の深さ及び
大きさに生成するのを助けることがより重要である。例
えば、心房壁が心室壁よりかなり薄いので、人は、心房
における外傷を心室におけるそれより一層少ない深さで
生成することを欲するかも知れない。バイオ−バッテリ
出力電流信号のピークでのRFエネルギ印加の終了は、
その目標を達成するのに十分であろう。他方、心室の頻
拍を治療するため、迅速なインピーダンス上昇及び「ポ
ンという音」なしに最も深い有り得る外傷を生成するた
めバイオ−バッテリ出力電流信号270の隆起274で
RF印加を終了するのが望ましいであろう。バイオ−バ
ッテリ出力電流信号の別の特徴は、その信号の振幅及び
形態が剥離された組織と剥離されない組織との間で十分
に異なることである。この特徴は、心臓病専門医がマッ
ピング及び剥離の過程の間にこれらの2つの組織状態を
区別し、従って心筋組織に対する手術時間及び不必要な
損傷を低減するのに有効であろう。
【0068】この研究からのデータは、バイオ−バッテ
リ技術の使用により、心筋の外傷形成を予測し且つ外傷
の深さ及び大きさを決定することが、通常のカテーテル
を用いて、RFエネルギ印加中に可能である。バイオ−
バッテリ技術は、サーミスタ又は熱電対を用いることな
く、外傷形成を予測するための有用な標識を与え、それ
により一層安定で上手に操作できるカテーテルの助けと
なり得る。最大バイオ−バッテリ出力電流信号は、外傷
形成を予測するばかりでなく、フィードバックを与えて
パワー印加を調整して凝固形成及び迅速なインピーダン
ス上昇を防止するため用いられ得る。この技術は、多重
電極カテーテルを用いて長い直線の外傷を作るとき特に
有益であり得る。
【0069】最近、食塩水洗浄カテーテルの応用が、電
極上の血液凝固及び迅速なインピーダンス上昇の危険な
しに増大したRFエネルギを印加するその能力故に、非
常に関心を引いている。しかしながら、生体内における
RFエネルギ印加中の正確な組織温度モニタリングが存
在しないので、上記技術は、組織温度に関して事実上
「盲目状態」である。結果として、過剰のRFエネルギ
が供給された場合、深い組織の中での「泡及びポンとい
う音(Bubble and POP)」の形成、及び
従って穿孔及び働いている筋肉繊維(working
myofiber)の厳しい損傷が起こり得る。バイオ
−バッテリ出力電流信号が局所的組織特性の変化を表し
得るので、そしてその信号が「泡及びポンという音」形
成に対する標識を与えるので、その信号は、食塩水洗浄
カテーテルの適用を補助するための安全な尺度として有
用であり得る。
【0070】前述の現象を更に詳細に調査するため、そ
して外傷形成と外傷の深さとを相関させるため、前述の
回路構成要素の概略図である図14に示される装置を用
いて更なる実験が行われた。図15は、図9に類似して
おり、以下に説明する実験を実行するため用いられる機
械的装置を図示する。
【0071】RF放射による剥離中の外傷形成及び外傷
深さを表す正確なインディケータ(信号)を用いて決定
するため、インビトロ実験が、7−フランスEPTカテ
ーテル280(EPテクノロジーズ(EP Techn
ologies)6303及び6304、カリフォルニ
ア州Sunnyvale)を用いて実行された。このカ
テーテルは、4mm遠端電極282に設けられた熱的に
隔離されたサーミスタを有する。RFパワーが、コンピ
ュータ制御されたRF発生器284(Enginner
ing Research & Associate
s, Inc.、アリゾナ州Tucson)を用いて供
給された。新鮮な牛の心室心筋286が、温度制御され
たボウル288の中に浸された。その温度制御されたボ
ウル288は、37℃且つ2リットル/分の流速でポン
プ292により圧送された新鮮な牛のヘパリン添加血液
290を循環させている。胴戻りプレート294は、血
液の中に浸された。遠端電極282は、図示のように、
心筋の切断、心外膜又は心内膜表面に垂直に配向され
た。電極−組織の接触は、事前剥離組織インピーダンス
により評価された。RFエネルギ、サーミスタ−組織の
境界温度、バイオ−バッテリ信号及び組織インピーダン
スのオンライン・データは、同時にコンピュータ296
のスクリーンに表示され、そして解析のため記録され
た。外傷の寸法は、長さ×幅×深さ(単位mm)で与え
られる。外傷の容量は、2/3π×(0.5×外傷深
さ)×(0.5×外傷長さ)×外傷幅として計算され
る。(Mackey他「単極モードにおける同時多極無
線周波数剥離が外傷の大きさを増大する(Simult
aneous multipolar radiofr
equency ablation in the m
onopolar mode increases l
esion size)」PACE、1996年発行、
19(7):1042−8頁)。全てのデータが平均±
標準偏差として与えられる。データは、一方向ANOV
A並びにスチューデントのt検定により解析された。p
値<0.05は、統計的に有意であると考えられる。R
F剥離がバイオ−バッテリ信号曲線の種々の異なる点で
終了されたときの外傷深さを相関させるため、以下の実
験が実行された。
【0072】カテーテル280の遠端電極282が、カ
テーテルを可変部材302、304を介して支持するス
タンド298及び固定具300により与えられるほぼ1
2グラムの一定の力で心筋286の切断表面に対して垂
直に置かれた。各RFエネルギの印加は、別に言及がな
ければ、心筋上の種々の場所で6回繰り返された。
【0073】RFエネルギが20、30、40、50ボ
ルトのうちのいずれかの一定出力で印加され、そして図
16に示されるように、最大バイオ−バッテリ信号30
2から20、40又は60%の低減があったとき、又は
図17に示されるインピーダンス信号306の上昇30
4が存在したとき終了される一連の実験が実行された。
20ボルトでのRFエネルギの印加は、インピーダンス
上昇をもたらさなかった。
【0074】別の一連の実験においては、RFエネルギ
が、50ボルトの一定レベルで印加され、そしてバイオ
−バッテリ信号302における「隆起」308が現れた
とき(図16参照)手動で終了された。この点は、バイ
オ−バッテリ信号が低減し始めた後であるが、迅速なイ
ンピーダンス上昇304の前に生じた(図17参照)。
「隆起」は、通常低減が続くバイオ−バッテリ信号30
2における過渡増大により特徴付けられる。この「隆
起」は、40ボルトを用いたときたとえインピーダンス
上昇が生じたにも拘わらず、RFエネルギが50ボルト
より下で印加されたとき一貫しては存在しなかった。バ
イオ−バッテリ信号と外傷の深さとの関係を比較する更
なるデータは、心外膜表面及び心内膜表面のそれぞれに
供給された50ボルトを用いて前述のプロトコルを繰り
返すことにより得られた。
【0075】電極−組織接触力のバイオ−バッテリ信号
302への効果を決定しそして異なる電極接触力の場合
のこれらの曲線の相違に注目するため、以下の実験が行
われた。遠端電極282が、ほぼ12グラムの接触力
で、次いで5グラムの接触力で、最後に最小接触力で心
筋286の切断表面に対して垂直に置かれた。電極−組
織の最小接触は、最小接触を保証するためカテーテル2
80の重さを相殺するためばね310(図15において
代表的に示す)を用いることにより確立された。RFエ
ネルギは、ほぼ50ボルトの一定電圧で印加された。各
RFエネルギ印加が、各接触グループに対して異なる場
所で5回繰り返された。
【0076】第1の一連の実験の結果が以下の表5に要
約されている。
【0077】
【表6】
【0078】
【表7】
【0079】データは、RFエネルギが12グラムの接
触力の状態での心筋の切断表面に印加されたときに得ら
れた。「Imp.」は、組織インピーダンスを示す。
「RFパワー」は、用いられた平均パワーである。「T
emp.@Cell Max.」は、バイオ−バッテリ
信号がその最大に達したときのその電極温度読取り値を
示す。「Tem. Max.」は、RFエネルギ印加の
過程中の最大電極温度読取り値を示す。インピーダンス
上昇は30ボルトの試験で起こらなかったことに注意さ
れたい。
【0080】50ボルトのRFエネルギ印加の過程中の
バイオ−バッテリ信号変化のオンライン表示の例が、図
17に示されている。RFエネルギ供給の開始で、組織
インピーダンス信号312が低減し、それに台地状の平
坦部分314が続く。バイオ−バッテリ信号302は、
電極−組織の境界温度信号316と平行に指数関数的に
上昇する。電極−組織の境界温度信号316がほぼ69
±6.8℃(n=72)に達するとき、バイオ−バッテ
リ信号302は、最大点318に達し、そしてその勾配
を反転する。それは、インピーダンス信号312におけ
る急峻な上昇304がある前に負の方向に継続する。R
F外傷は、最大バイオ−バッテリ信号の点318で一貫
して形成される(上記の表5及び以下の表6を参照)。
インピーダンス信号312の迅速な上昇前の丁度数秒、
バイオ−バッテリ信号における過渡又は隆起308が存
在する。隆起点での平均温度は、86.6±5.23℃
(n=6)である。最大バイオ−バッテリ信号の点31
8と隆起308との間の時間は、49.9±32.3秒
(n=7)であり、そして隆起308から迅速なインピ
ーダンス上昇304までの時間は、14.3±10.1
秒(n=6)であった。RFエネルギ印加がこの隆起3
08後に継続されるとき、一連の「ポンという音」が聞
こえ、そして迅速なインピーダンス上昇が続く。この隆
起は迅速なインピーダンス上昇の発生に先行するので、
それは、迅速なインピーダンス上昇及びその結果生じる
組織炭化を避けるためのRF終了信号として用いること
ができる。比較により、終了が40ボルト試験における
迅速なインピーダンス上昇304であったとき、隆起
は、迅速なインピーダンス上昇に対して16±2.7秒
(n=4)だけ先行した。
【0081】40及び50ボルトにおいては、心筋外傷
は一貫して形成された。RFエネルギの50ボルトが印
加されそしてバイオ−バッテリ信号のピーク後に20、
40又は60%で終了されたとき(図16参照)、外傷
深さは4±0.4mmであった。RFエネルギが最大点
318後の20、40又は60%で停止されたとき、外
傷深さに相違がなかった。しかしながら、RFエネルギ
印加が隆起308で終了されたとき、全体の測定された
外傷深さは7.8±1.4mmであった。これは、先の
終了点で得られたそれらの外傷より著しく深かった(p
<0.01)。他方、図18の(A)及び(B)に示さ
れるように、RFエネルギが隆起で終了されたとき、平
均外傷深さは、RFエネルギが迅速なインピーダンス上
昇304が起こるまで継続を許されたときとは著しく異
なることはなかった(8.2±0.9mm)(p=0.
86)。これらのデータは、バイオ−バッテリ信号の隆
起で生成された外傷の深さが、RFエネルギがバイオ−
バッテリ信号302の最大点18に続く20、40又は
60%で停止されたときに生成された外傷の深さの殆ど
2倍であったことを示す。RFエネルギがインピーダン
ス上昇で終了されたとき、外傷が、組織炭化並びにカテ
ーテル280の電極382上の凝血形成を一貫して示し
た。他方、RFエネルギが隆起点で終了されたとき、時
々電極上に柔らかい凝血形成があったにも拘わらず、組
織炭化の証拠はなかった。
【0082】詳細には、図18の(A)におけるこのヒ
ストグラムは外傷の深さを示し、図18の(B)におけ
るヒストグラムはバイオ−バッテリ信号の異なるRF終
了時点での容量を示す。これらの外傷は、50ボルトの
一定RF電圧及び12グラムの接触重量を用いて心室の
心筋の切断表面上に作られた。一方向ANOVA解析が
両方のパラメータについて実行された。図18の(A)
におけるヒストグラムの未訂正のp値は次のとおりであ
る。即ち、20%対40%グループに対してp=0.5
8;20%対60%グループに対してp=0.18;2
0%グループ対隆起グループに対してp<0.001;
20%グループ対インピーダンス上昇グループに対して
p<0.0001;40%対60%グループに対してp
=0.36;40%対隆起グループに対してp<0.0
001;40%対インピーダンス上昇グループに対して
p<0.0001;60%対隆起グループに対してp<
0.0001;60%対インピーダンス上昇グループに
対してp<0.0001;隆起対インピーダンス上昇に
対してp+0.46である。図18の(B)におけるヒ
ストグラムの未訂正p値は次のとおりである。即ち、2
0%対40%グループに対してp+0.47;20%対
60%グループに対してp+0.24;20%グループ
対隆起グループに対してp=0.0002;20%グル
ープ対インピーダンス上昇グループに対してp=0.0
002;40%対60%グループに対してp=0.6
2;40%対隆起グループに対してp=0.0005;
40%対インピーダンス上昇グループに対してp=0.
0005;60%対隆起グループに対してp=0.00
01;60%対インピーダンス上昇グループに対してp
=0.0001;隆起対インピーダンス上昇に対してp
>0.8である。
【0083】詳細には、図19の(A)におけるヒスト
グラムは外傷の深さを示し、図19の(B)におけるヒ
ストグラムは心室の心筋の切断、心外膜、心内膜表面の
それぞれの上に作られた外傷容量を示す。RFエネルギ
が、50ボルトの一定RFエネルギ及び12グラムの接
触重量の状態で印加され、そして隆起点で終了された。
一方向ANOVA解析が、これらの3つのグループの外
傷の深さ及び容量について実行された。外傷深さの比較
に対する報告された未訂正p値は次のとおりである。即
ち、心外膜表面対心内膜表面に対してp=0.32;心
外膜対切断表面に対してp=0.73;心内膜表面対切
断表面に対してp=0.5である。外傷容量に対する報
告された未訂正p値は次のとおりである。即ち、心外膜
表面対心内膜表面に対してp=0.127;心外膜表面
対切断表面に対してp=0.024;心内膜表面対切断
表面に対してp=0.37である。実験は、遠端電極2
82が心筋286の心外膜表面及び心外膜表面のそれぞ
れの上に配置されたことを除いて同じプロトコルを用い
て繰り返された。これらの外傷の深さは、図19の
(A)及び(B)に示されるように、切断表面上に作ら
れたそれらの外傷の深さと実質的に相違はなかった。
【0084】異なる接触力のバイオ−バッテリ信号への
効果の結果は、以下の表6に要約される。
【0085】
【表8】
【0086】データは、ほぼ50ボルトの一定RFパワ
ーで収集された。遠端電極が、心室の心筋の切断表面に
対して垂直に配置された。RFエネルギは、180秒
で、「隆起」時に、又はインピーダンス上昇で、終了さ
れた。「最小」は、最小接触力を示す。「RFパワー」
は、用いられた平均化されたパワーである。「Tem
p.@Cell Max.」は、バイオ−バッテリ信号
がその最大に達したときのその電極温度読取り値を示
す。「Max.Temp.」は、RFエネルギ印加過程
中における最大電極温度読取り値を示す。
【0087】RFエネルギは、バイオ−バッテリ信号の
隆起308、インピーダンス信号312のインピーダン
ス上昇304及び180秒後のうちのいずれかが最初に
生じたときに終了された。遠端電極282が12グラム
の重量を用いて心筋286との接触を維持されていると
き、指数関数的上昇、最大点318、下方方向の傾斜及
びそれに続く隆起308から成るバイオ−バッテリ信号
302の典型的な曲線が観察された。最小接触又は5グ
ラムの接触が電極に印加されたとき、バイオ−バッテリ
信号における初期上昇があったが、しかし下方方向の傾
斜はより緩やかであった。最小及び5グラムの電極及び
組織の接触力を用いた全てのしかし2つの試験におい
て、明らかな隆起は、たとえRFエネルギが180秒印
加されたにも拘わらず観察されなかった。印加の間隆起
308が観察された2つのその印加に対して、隆起30
8が、RFエネルギ印加の開始後追って136秒間生じ
た。異なる接触力を用いた3つのグループに対して最大
外傷深さにおいて著しい相違はなかった(最小対5グラ
ム力に対してp=−0.11;最小対12グラム力に対
してp=0.11;5グラム力対12グラム力に対して
p>0.8)。最小対12グラム接触力グループに対す
る外傷容量は、著しく小さく、p=0.0035及び5
グループ力対12グループ力に対して境界線上の有意、
p=0.52であった。最小対5グラム力グループにお
ける外傷容量には統計的相違がなく、p=0.11であ
った。12グラムの力が電極に印加されたとき深い外傷
を生成するのに平均67秒要し、一方5グラム及び最小
接触グループにおいては等価の外傷を生成するのにそれ
の2倍から3倍長く要した。
【0088】要約すると、温度モニタリングは、放射カ
テーテル剥離中の外傷形成のための制御機構として用い
られている。しかしながら、電極に設けられた熱センサ
の温度は、熱センサが組織境界になく且つ電極が流れて
いる血液により冷却されるので、電極−組織の境界温度
又は内部組織温度の正確な測定値でない。(前掲書にお
ける「無線周波数カテーテル剥離中の組織の決定要素と
しての温度測定:測定精度のための電極サーミスタの位
置決めの検査(Temperature measur
ement as a determinant of
tissueduring radiofreque
ncy catheter ablation:an
examination of electrode
thermistor positioning fo
r measurementaccuracy)」;前
掲書における「無線周波数カテーテル剥離における内部
組織温度への流れの影響(Influence of
flow on intratissue tempe
rature in radiofrequency
catheter ablation)」)。更に、熱
電対又はサーミスタを多重電極カテーテルに設けること
は技術的に難しく且つ高価であり、そして熱センサを備
えるこれらの多重電極カテーテルを操作することは一層
難しい。安全で最適な外傷形成を達成するため、組織イ
ンピーダンス、パワー消費及びオンライン単極電気記録
図モニタリングのような他の生物物理学的パラメータ
が、RFエネルギ印加を調整するため並びに外傷形成を
予測するため用いられてきた。(He他「無線周波数エ
ネルギ印加の前及びその間における生体内での電極−組
織の接触の予測パラメータ(Predictive p
arametersof electrode−tis
sue contact in vivoprior
to and during radiofreque
ncy energy application)」
(要約)Circulation、1997年発行、9
6(8):I−143;Huang他「無線周波数カテ
ーテル剥離中の加熱効率を予測するため生体インピーダ
ンスを測定する有効性(Usefulness of
measuring the bio−impedan
ce for predicting the eff
iciency ofheating during
radiofrequency catheter a
blation)」(要約)Circulation、
1997年発行、96(8):I−143;Satak
e他「剥離場所での電気記録図のモニタリングを有する
洗浄されたチップ電極を用いた心房組織の経壁の剥離
(Transmural ablation of t
he atrial tissueusing an
irrigated tip electrode w
ith monitoring the electr
ogram at theablation sit
e)」(要約)Circulation、1997年発
行、96(8):I−576)。しかしながら、これら
のパラメータは、迅速なインピーダンス上昇の直前に最
大RFエネルギ供給を再現性良く可能にするためには十
分定量的でなく又十分に敏感ではない。バイオ−バッテ
リ信号とサーミスタで測定された電極組織境界温度と
が、35℃−70℃の範囲の間で良く相関する。最大バ
イオ−バッテリ出力は、生体外で70℃と80℃との間
(72±4.6℃)で、そして生体内で85℃と89℃
との間(88±7.3℃)で生じる。(前掲書における
「サーミスタ又は熱電対を使用しないRFエネルギ印加
中の温度モニタリング(Temperature mo
nitoring during RF energy
appilication without the
use of the thermistors o
r thermocouples)」;前掲書における
「バイオ−バッテリにより導出された温度モニタリング
を用いた無線周波数(RF)エネルギ印加のインビボ実
験(In vivo experiments of
radiofrequency(RF) energy
application using bio−ba
ttery−induced temperature
monitoring)」;前掲書における「無線周
波数エネルギ印加中の温度をモニタリングするためのバ
イオ−バッテリ(Bio−battery to mo
nitor temperature during
radiofrequency energymoni
toring)」。犬のインビボ実験において、RFエ
ネルギ印加が最大バイオ−バッテリ信号より20%下の
点で終了されたとき、十分区別される外傷が、右心房、
及び右心室及び左心室に一貫して存在した。(前掲書に
おける「外傷形成を予測し且つ迅速なインピーダンス上
昇を防止するためのバイオ−バッテリ電池出力の使用
(The use of bio−battery c
ell output to predict les
ion formationand prevent
rapid impedance rise)」)。
【0089】本インビトロ・データは、バイオ−バッテ
リ信号302の最大点318が一貫して形成されたこと
を示す。更に、RFエネルギが隆起308で終了された
とき、外傷は、組織の炭化又はインピーダンス上昇30
4なしでより深かった(表5及び表6参照)。従って、
迅速なインピーダンス上昇による示されるように、カテ
ーテル電極上の血液凝固及び組織の炭化を避けるため印
加されるRFエネルギを調整するため、バイオ−バッテ
リ信号をフィードバック制御信号として用い得る。更
に、バイオ−バッテリ信号は、RF印加中の外傷深さ及
び大きさの案内として有効であろう。例えば、心室頻拍
を治療するために迅速なインピーダンス上昇及びポンと
いう音なしに最も深い可能な外傷を生成するため、RF
パワーの印加を隆起308で終了することが望ましいで
あろう。
【0090】本研究からのデータは、バイオ−バッテリ
信号がサーミスタ又は熱電対なしの通常のカテーテルを
用いてRFエネルギの印加中に心筋の外傷形成を予測し
且つ最大外傷深さ及び大きさを決定する手段を与え得る
ことを示唆する。また、凝固形成及び迅速なインピーダ
ンス上昇を防止するためにRFパワーの印加を調整する
ためのフィードバックを与えるためバイオ−バッテリ信
号を用い得る。この技術はまた、多重電極カテーテルを
用いて長い直線状の外傷を作るとき有益である。例え
ば、多重電極カテーテルは、熱センサ、サーミスタ又は
熱電対が電極に設けられてなく一層柔軟性がある。これ
は、良好な連続的電極−組織接触を達成する可能性を有
するカテーテルの設計を可能にする。なお、その良好な
連続的電極−組織接触が、長い直線状外傷を作る上での
最も臨界的要因である。更に、各個別の電極に対するR
Fパワーの印加及び外傷形成が、各個別の電極からのバ
イオ−バッテリ信号によりオンラインで評価され、調整
され、そして最適化されることができる。
【0091】最近、増大したRFパワーを印加し且つよ
り深い外傷をしかし電極上の血液凝固及び迅速なインピ
ーダンス上昇の危険なしに生成する能力の故に、RFパ
ワーの供給のための食塩液で洗浄されるカテーテルの使
用にかなりの関心が出てきた。(ナカガワ他「犬の大腿
筋肉試料における、無線周波数剥離のためのインビボ組
織温度プロフィール及び外傷の幾何学的形状と食塩液洗
浄電極対温度制御との比較(Comparison o
f in vivo tissue temperat
ure profile and lesion ge
ometryfor radiofrequency
ablation with a saline−ir
rigated electrode versus
temperature control in a
canine thigh muscle prepa
ration)」Circulation、1995
年、91(8):2264−73頁)。しかしながら、
電極が冷却されるので、生体内でRFパワーの印加中の
内部組織温度をモニタリングすることは可能でない。従
って、食塩液洗浄カテーテルを用いるこの技術の安全性
は、組織を炭化させずに又はポンという音をたてずに印
加されることができる最大RFパワーを知らないことに
より制限される。その結果、過剰のRFパワーが供給さ
れた場合、組織の中の深いところでの小さい破裂又は
「ポンという音」を生成し、その結果重い筋肉繊維の外
傷、又は心房内の穿孔を伴った危険が存在する。バイオ
−バッテリ信号が局所的な組織特性の変化を表すので、
食塩液洗浄カテーテルを用いたRFパワーの安全な印加
を許可することが可能である。
【0092】要約すると、我々の予備的データは、バイ
オ−バッテリ技術が心臓の不整脈の治療のため安全で最
適なRF剥離に有用であり得る独特の生物物理学的パラ
メータを与えることを例証した。バイオ−バッテリ技術
が、RF剥離のための制御信号及び安全標識を与えるた
め他の生物物理学的パラメータを越えた利点を有するこ
とは明らかである。
【0093】本発明がその幾つかの特定の実施形態を参
照して説明されたが、当業者は、本発明の真の趣旨及び
範囲を離れることなく本発明の記載された実施形態に対
して種々の修正をすることができるであろう。同じ結果
を達成するため実質的に同じ方法で実質的に同じ機能を
実行する構成要素及びステップの全ての組合わせは本発
明の範囲内にあることを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の単純化した図示である。
【図2】図2は、剥離処置中の剥離場所での電流密度を
図示する。
【図3】図3は、本発明に有効なサーミスタを設けてい
るカテーテル・プローブの図を示す。
【図4】図4は、サーミスタを設けているプローブの使
用による剥離場所の温度を較正するための代表的曲線を
図示する。
【図5】図5は、図1に代表的に示される回路ブロック
図である。
【図6】図6は、心内膜を順次マッピングし、剥離すべ
き場所を識別し、そしてその場所を、プローブを再配置
することなしに剥離するための、又は剥離中に剥離場所
の特性的特徴を表す種々の信号を生成するためプローブ
の2つ以上の電極を用いるための代表的カテーテル・プ
ローブを図示する。
【図7】図7の(A)及び(B)は、剥離処置中におけ
る、カテーテル・チップにより印加されたパワー・レベ
ル、カテーテルに設けられたサーミスタにより検知され
た温度、及び剥離場所でのガルバニ電流のそれぞれの出
力信号を図示するグラフである。
【図8】図8は、手動で実行されるある一定の機能を図
5に示される回路を用いて実行し、且つ剥離中の剥離場
所の特性に関連するリアルタイム情報を含む信号の表示
を与えるためのコンピュータの使用を図示する。
【図9】図9は、インビトロ試験を行って、剥離処置中
のガルヴァーニ電池(バイオ−バッテリ)の出力電流信
号、及びまた導出可能であるインピーダンス、パワー及
び温度を含む他の信号を示す曲線の時間ごとの振幅を決
定するための構成要素を図示する。
【図10】図10は、インビトロ実験中におけるバイオ
−バッテリ信号(単位mV)、電極組織温度(単位
℃)、組織インピーダンス(単位Ω)及びRFエネルギ
(単位ボルト)の代表的記録を図示する。
【図11】図11は、インビトロ及びインビボ実験中に
発生された典型的なバイオ−バッテリ出力電流信号を図
示する。
【図12】図12は、図11に示されるバイオ−バッテ
リ出力電流信号上の種々のパワー・ターンオフ点で形成
される外傷の相対的深さを図示する。
【図13】図13は、インビボ実験中におけるバイオ−
バッテリの出力電流信号、温度、インピーダンス及びR
Fパワー・レベルの代表的曲線を図示する。
【図14】図14は、組織を剥離し且つそこに外傷を形
成する装置の単純化した概略図を図示する。
【図15】図15は、心筋についての実験中に用いられ
る装置を図示する。
【図16】図16は、剥離及び外傷形成中のバイオ−バ
ッテリ信号を図示する。
【図17】図17は、バイオ−バッテリ信号、インピー
ダンス信号、温度信号、及びRFパワーの印加を表す信
号を全て時間ラインに対して図示する。
【図18】図18の(A)及び(B)は、バイオ−バッ
テリ信号、及びRFパワーの印加の停止と一致するイン
ピーダンス信号についての曲線の種々の点で形成された
外傷の深さ及び容量をそれぞれ図示する。
【図19】図19の(A)及び(B)は、心筋の切断、
心外膜及び心内膜の各表面に形成された外傷の深さ及び
容量をそれぞれ図示する。
【符号の説明】
10 RF発生器 14 カテーテル・プローブ 16 血液充満室 18 組織 20 剥離場所 30 チップ 34 プレート 38 体
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年11月22日(2000.11.
22)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図13】
【図7】
【図8】
【図10】
【図9】
【図11】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図12】
【図14】
【図15】
フロントページの続き (72)発明者 ディン・シェン・ヒー アメリカ合衆国アリゾナ州85742,トゥー ソン,ウェスト・カミノ・デ・ラ・カテル バ 2631 Fターム(参考) 4C060 KK03 KK04 KK09 KK13 KK23 KK30

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チップの凝塊、組織のくっつき又は組織
    の穿孔の可能性を避けながら人間の心臓において予測可
    能な深さの外傷を形成するため剥離場所での組織を剥離
    する装置において、 (a)剥離場所での組織を放射して当該剥離場所での組
    織の温度上昇を生じさせるRFエネルギ源と、 (b)剥離場所に接触状態に係合し且つ組織にRFエネ
    ルギを放射して剥離場所での組織を加熱する第1の電極
    であって第1の仕事関数を有する材料の第1の電極から
    成る第1の電極を有するカテーテルと、 (c)RFエネルギを前記エネルギ源から前記第1の電
    極に伝送する伝送手段と、 (d)前記第1の電極とは異なる位置に配置され且つ第
    1の仕事関数とは異なる第2の仕事関数を有する材料の
    第2の電極であって、人間の組織の範囲に電気的に接触
    する第2の電極と、 (e)前記第1の電極、前記第2の電極、及び電気的相
    互接続する電解質として働く人間の組織とにより形成さ
    れるガルヴァーニ電池であって、剥離場所での組織への
    RFエネルギによる放射の際に電気信号を発生するガル
    ヴァーニ電池と、を備え、 前記電気信号は、剥離場所での組織の剥離の初期発生と
    一致するピーク値、及びそのピーク値に続く低減値、値
    の変曲及び低減値を有し、 (f)前記RFエネルギ源の動作を調整して、前記電気
    信号の値の変曲の検出の際に剥離場所におけるRFエネ
    ルギの放射を制御する制御回路を更に備える装置。
  2. 【請求項2】 前記電気信号の変曲値の発生に続く剥離
    場所での組織のインピーダンスの上昇であって、組織の
    状態を表し且つRFエネルギの印加の終了に対する終わ
    り限界を規定するインピーダンスの上昇を検出する手段
    を含む請求項1記載の装置。
  3. 【請求項3】 生物の剥離場所での組織を放射して、剥
    離場所の温度を上昇させ、剥離の発生を検知し、剥離場
    所の加熱を終了させる装置において、 (a)剥離場所に配置可能な第1の電極であって第1の
    仕事関数を有する材料から形成されている第1の電極を
    有するカテーテルと、 (b)前記第1の電極とは異なる位置に配置され且つ生
    物の組織と電気的接触しているよう適合された第2の電
    極であって、第1の仕事関数とは異なる第2の仕事関数
    を有する材料から形成されている第2の電極と、 (c)前記第1の電極、前記第2の電極、及び前記第1
    の電極と前記第2の電極との中間の電解質として働く生
    物の組織とにより形成されるガルヴァーニ電池であっ
    て、剥離の発生及び剥離場所での組織の外傷の形成を表
    すピーク値を有し且つ剥離場所での適切な深さの組織の
    剥離の発生を表す値の特性変曲を有する出力電流信号を
    発生するガルヴァーニ電池と、 (d)前記第1の電極及び前記第2の電極と相互接続さ
    れ、RFエネルギを前記第1の電極を介して剥離場所で
    の組織に印加して剥離場所での組織を加熱するRF発生
    器と、 (e)RFエネルギを前記RF発生器から前記第1及び
    第2の電極に印加し且つ前記出力電流信号の変曲後にR
    Fエネルギの印加を終了させる制御回路とを備える装
    置。
  4. 【請求項4】 剥離場所での組織であってその組織の炭
    化の発生の際にインピーダンスの急激な増加を有する当
    該組織を剥離する装置において、 (a)RFエネルギを剥離場所に印加して剥離場所の組
    織を加熱するRF発生器と、 (b)剥離場所の組織と接触するよう適合され剥離場所
    の組織をRFエネルギにより放射する第1の電極を有す
    るプローブと、 (c)RFエネルギを前記RF発生器から前記プローブ
    に伝送する伝送線と、 (d)剥離の発生を表すピーク値と、当該ピーク値後の
    値の低減に後続する値の変曲であって剥離を表す当該値
    の変曲とを有する出力電流信号を生成するガルヴァーニ
    電池であって、前記第1の電極、前記第1の電極とは異
    なる位置に位置され且つ前記剥離場所とは異なる位置の
    組織と接触して配置された第2の電極、及び前記第1及
    び第2の電極と電気的に接触している電解質を含むガル
    ヴァーニ電池と、 (e)前記ガルヴァーニ電池により生成された前記出力
    電流信号の値の前記変曲の後でRFエネルギの剥離場所
    への印加を終了させて、前記プローブに印加されるRF
    エネルギを制御する回路とを備える装置。
  5. 【請求項5】 人間の心臓における剥離場所での組織を
    剥離する方法において、 (a)RFエネルギをRFエネルギ源から発生するステ
    ップと、 (b)RFエネルギを前記RFエネルギ源から剥離場所
    と接触している第1の電極に伝達するステップと、 (c)剥離場所での組織を前記第1の電極からのRFエ
    ネルギにより放射して、剥離場所での組織を加熱するス
    テップであって、前記第1の電極は第1の仕事関数を有
    する材料から構成されている、前記加熱するステップ
    と、 (d)人間の組織の範囲を、前記第1の電極とは異なる
    位置に配置され且つ第1の仕事関数とは異なる第2の仕
    事関数を有する材料から成る第2の電極と電気的に接触
    させるステップと、 (e)剥離場所での組織の剥離の発生を表すピーク値及
    び当該ピーク値の発生後の値の変曲を有する出力電流信
    号を、前記第1の電極、前記第2の電極、及び電気的に
    相互接続する電解質として働く人間の組織により形成さ
    れるガルヴァーニ電池を用いて発生するステップと、 (f)剥離場所での組織炭化を防止するため、前記発生
    するステップにより発生された出力電流信号の値の変曲
    の後に剥離場所でのRFエネルギの印加を終了させるス
    テップとを備える方法。
  6. 【請求項6】 剥離場所での組織を剥離する方法におい
    て、 (a)RFエネルギをRF発生器により発生するステッ
    プと、 (b)RFエネルギを前記RF発生器から伝送線を介し
    てプローブの第1の電極に伝送するステップと、 (c)剥離場所に近接の前記第1の電極を介して当該剥
    離場所をRFエネルギにより放射するステップと、 (d)剥離場所の組織での剥離の発生を表すピーク値及
    び当該ピーク値の発生後の値の変曲を有する信号を前記
    ガルヴァーニ電池を用いて生成するステップであって、
    前記ガルヴァーニ電池は前記第1の電極、当該第1の電
    極とは異なる位置に配置された第2の電極、及び前記第
    1及び第2の電極と電気的に接触している電解質を備え
    る、前記生成するステップと、 (e)組織の炭化を避けるため、前記生成するステップ
    により生成された信号の変曲の後にRFエネルギの剥離
    場所への印加を終了するステップとを備える方法。
  7. 【請求項7】 剥離場所での組織の剥離の発生を検出す
    る装置において、 (a)剥離場所と接触して剥離場所をRFエネルギによ
    り放射して組織を加熱するチップを有するカテーテル
    と、 (b)RFエネルギを前記チップに送るRFエネルギ源
    と、 (c)組織を電解質として用いたガルヴァーニ電池であ
    って、剥離場所での剥離の発生を表す値の低減が続くピ
    ーク値、及び予測可能な深さの剥離を表す値の後続の変
    曲を有する電気的信号を発生するガルヴァーニ電池と、 (d)電気的信号の値の前記変曲の後にRFエネルギの
    前記チップへの伝達を終了させる回路とを備える装置。
  8. 【請求項8】 剥離場所での組織の剥離を組織の剥離処
    置中に検知する装置において、 (a)剥離場所をRFエネルギにより放射して、剥離処
    置を実行するチップを有するカテーテルと、 (b)RFエネルギを前記チップに送るRFエネルギ源
    と、 (c)組織に隣接するよう適合された電極と、 (d)前記チップ、前記電極及び前記組織により形成さ
    れたガルヴァーニ電池であって、剥離場所での組織の予
    測可能な深さの剥離を表す値の変曲を有する独特の電気
    信号を発生するガルヴァーニ電池と、 (e)RFエネルギを前記チップに伝達するのを終了さ
    せる回路とを備える装置。
  9. 【請求項9】 剥離場所での組織の剥離を組織の剥離処
    置中に検知する方法において、 (a)RFエネルギをRFエネルギ源からチップに送る
    ステップと、 (b)剥離場所を前記チップからのRFエネルギにより
    放射して、剥離処置を実行するステップと、 (c)電極を組織に隣接して配置するステップと、 (d)剥離場所での組織の予測可能な深さの剥離を表す
    値の変曲を有する電気信号を、前記チップ、前記電極及
    び前記組織により形成されたガルヴァーニ電池を用いて
    発生するステップと、 (e)前記電気信号の値の前記変曲の発生の際にRFエ
    ネルギの前記チップへの伝達を終了させるステップとを
    備える方法。
  10. 【請求項10】 剥離場所での組織の剥離を組織の剥離
    処置中に検知する装置において、 (a)剥離場所をRFエネルギにより放射して剥離処置
    を実行するチップを有するカテーテルと、 (b)RFエネルギを前記チップに送るRFエネルギ源
    と、 (c)組織に隣接するよう適合された電極と、 (d)剥離場所での組織の予測可能な深さの剥離を表す
    値の変曲を有する電気信号を発生する発生器であって、
    前記チップ、前記電極及び前記組織を備える発生器と、 (e)前記電気信号の値の前記変曲に応答して、RFエ
    ネルギの前記チップへの伝達を終了させる回路とを備え
    る装置。
  11. 【請求項11】 剥離場所での組織の剥離の発生を組織
    の剥離処置中に検知する方法において、 (a)RFエネルギをRFエネルギ源からチップに送る
    ステップと、 (b)剥離場所を前記チップからのRFエネルギにより
    放射して剥離処置を実行するステップと、 (c)電極を組織に隣接して配置するステップと、 (d)剥離場所での組織の予測可能な深さの剥離を表す
    値の変曲を有する電気信号を、前記チップ、前記電極及
    び前記組織により形成された発生器により発生するステ
    ップと、 (e)前記電気信号の値の前記変曲に応答して、RFエ
    ネルギの前記チップへの伝達を終了させるステップとを
    備える方法。
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