JP2002135022A - 格納型アンテナ装置及びそれを含む無線装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 携帯型無線通信機における格納型アンテナ装
置であって、アンテナ格納時、伸長時の電気的特性、生
産性に優れ、構造が簡単で低コストの格納型アンテナ装
置を提供することを目的とする。 【解決手段】 筐体内に配置する内蔵のλ／４アンテナ
もしくは逆Ｆアンテナ８と筐体内に格納可能なλ／２ロ
ッド状アンテナ９と、前記λ／２ロッド状アンテナ９を
支持し、格納時、伸長時にこれら２つのアンテナ８と９
を接続導通、開放することのできるアンテナホルダ１０
で構成され、アンテナ格納時は筐体内の内蔵のλ／４ア
ンテナもしくは逆Ｆアンテナ８のみが動作し、λ／２ロ
ッド状アンテナ９の伸長時、内蔵のλ／４アンテナもし
くは逆Ｆアンテナ８はアンテナホルダ１０にてλ／２ロ
ッド状アンテナ９と接続導通され、双方がアンテナとし
て動作する格納型アンテナ装置とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、携帯型無線通信機
に設ける格納、伸長可能な格納型アンテナ装置およびそ
れを含む無線装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、携帯無線電話機のような携帯無線
機は小型化され、この種の無線機に使用するアンテナも
携帯性を向上させるために、筐体内部に格納でき、か
つ、伸長自在な格納型として小型化されたものが種々開
発され、実用化されている。このような格納型のアンテ
ナ装置は、一般的に収納時にも通話、着信を行う必要が
あるため、格納時のアンテナ特性がアンテナ伸長時から
大幅に悪化するのは好ましくない。

【０００３】前記格納型アンテナ装置には各種方式が実
用化されているが、その一例を図９、図１０を用いて説
明する。

【０００４】図９は、特開平７−９４９２３号公報で公
開されている従来の格納型アンテナ装置を備えた無線通
信機の概略構成図である。図に示すように、伸長自在な
格納型アンテナ装置は、筐体内に設置されたプリント基
板上に形成するλ／４励振器１と、ロット状のλ／２ア
ンテナ素子２と、これらを静電容量で結合するための静
電結合器３で構成される。そして前記λ／４励振器１の
給電端はマイクロストリップ線路により無線通信機回路
側に接続され、他端は静電結合器３を介してλ／２アン
テナ素子２に高周波的に結合されている。

【０００５】上記格納型アンテナ装置の構成において、
無線通信機を動作させると、アンテナ伸長時はλ／２ア
ンテナ素子２とλ／４励振器１が直列に結合される状態
になり、電気的には３／４λのアンテナとして機能す
る。またアンテナ格納時はプリント基板上に形成するλ
／４励振器１のみで機能し、電気的にλ／４のアンテナ
となる。

【０００６】図１０も、特開平８−８４０１７号公報に
記載されている従来の格納型アンテナ装置を備えた無線
通信機の概略構成図である。図に示すように、伸長自在
な格納型アンテナ装置は、電気長λ／４のロッド状アン
テナ部４と、その先端に電気的に絶縁状態で接続された
電気長λ／４のローディングコイルアンテナ５で構成さ
れている。そしてアンテナ格納時には先端の電気長λ／
４のローディングアンテナ５が給電部に接続して動作
し、アンテナ伸長時には電気長λ／４ロッド状アンテナ
部４がアンテナとして動作するものである。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】ところで携帯電話機な
どの無線通信機に図９のような従来の格納型アンテナ装
置を用いる場合、プリント基板の大きさも小さいため
に、そこに形成するλ／４励振器１のレイアウトならび
に大きさは厳しい制約を受けてしまう。一般的に携帯無
線通信機は、その上部にアンテナを設置する場合が多い
が、その場合、λ／４励振器１はプリント基板上部にジ
グザグ形にして基板スペースを節約する必要がある。

【０００８】通常、線状アンテナは全長を短くするため
にそのエレメントをコイル状に巻いたり、ジグザグ状に
曲げたりすると輻射効率が悪化したり、共振帯域が狭く
なる等の特性悪化が現れる。また、プリント基板上にパ
ターンで形成する場合、周りの回路部品、シールドケー
ス等の影響でさらに特性が悪化してしまう。したがっ
て、このタイプのアンテナでは格納時の輻射特性が伸長
時と比較して大幅に悪化する傾向がある。

【０００９】また、プリント基板のパターンでアンテナ
を構成するため、アンテナの諸特性を変更する場合はプ
リント基板全体を変更する必要があり、設計開発段階で
の細かい調整作業などが困難で非常に煩雑である。

【００１０】これらの問題点は、図１０に示すようなロ
ーディングコイル接続格納アンテナを用いると若干解消
されるが、この方式のアンテナの場合、無線通信機が
２．４ＧＨｚ帯と非常に高い周波数を使用する場合は、
伸長時の全長が３５ｍｍ（λ／４：２．４ＧＨｚ）程度
の非常に短いアンテナとなる。一般的に短いアンテナは
周囲の影響を受け、輻射特性の劣化が起こりやすいとい
う問題がある。携帯電話機などの無線通信機では人体に
近接した状態で使用するため、人体や周囲の影響を受け
にくく、安定した特性のアンテナを使用する必要があ
る。

【００１１】本発明は前記従来の問題に留意し、２．４
ＧＨｚ帯のような高い周波数帯において、アンテナ伸長
時、アンテナ格納時ともに良好な輻射特性を持ち、か
つ、人体に近接して使用する際も良好な特性となる格納
型アンテナ装置を提供することを目的としている。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的の達成
するために、アンテナ格納時にはプリント基板上に装着
される内蔵アンテナを使用し、アンテナ伸長時にはその
内蔵アンテナの先端が筐体外部に伸長するロッド状アン
テナに接触し、内蔵アンテナ、ロッドアンテナが接触導
通して内蔵アンテナとロッド状アンテナの双方がアンテ
ナとして機能する構成の格納型アンテナ装置とする。

【００１３】本発明による格納型アンテナ装置は、アン
テナ格納時には内蔵アンテナ、ロット状アンテナ伸長時
には内蔵アンテナとロッドアンテナが直列に接続し、全
体でアンテナとして機能するので、アンテナ格納時、ア
ンテナ伸長時ともに良好な輻射特性を得られ、人体に近
接して使用する場合にもその輻射特性の劣化を少なくす
ることができる。

【００１４】

【発明の実施の形態】本発明の請求項１に記載の発明
は、筐体に内蔵する所定の大きさの内蔵アンテナと、筐
体に対し伸長、格納可能なロッド状アンテナと、ロッド
状アンテナを摺動および固定させるスリーブ状のアンテ
ナホルダを備え、ロッド状アンテナが格納時は内蔵アン
テナのみが機能し、ロッド状アンテナが伸長時は内蔵ア
ンテナとロッド状アンテナがアンテナホルダ部で機械的
に接触し双方がアンテナとして機能するようにした格納
型アンテナ装置であり、アンテナ格納時、伸長時ともに
良好な輻射特性を得られ、人体に近接して使用する場合
にもその輻射特性の劣化を少なくすることができるとい
う作用を有する。

【００１５】本発明の請求項２に記載の発明は、請求項
１に記載の格納型アンテナ装置において、アンテナホル
ダは、金属より構成されるロッド状アンテナを伸長、格
納する際に、ロッド状アンテナ下端と接触、断絶可能な
金属端子を有する構成としたものであり、内蔵アンテナ
とロッド状アンテナの接続と切離しが有効に行われ、ア
ンテナ格納時、伸長時ともに良好な輻射特性を得られる
という作用を有する。

【００１６】本発明の請求項３に記載の発明は、請求項
１に記載の格納型アンテナ装置において、ロッド状アン
テナは、電気長でλ／２波長に相当する長さを有するも
のとしたものであり、ロッド状アンテナの伸長時に無線
回路の給電端から見たインピーダンスは理論的にはアン
テナ格納時と同じものとなり、無線回路側に整合回路を
付加する必要はないという作用を有する。

【００１７】本発明の請求項４に記載の発明は、電気回
路を収容する筐体と、請求項１に記載する格納型アンテ
ナ装置および請求項２記載の断絶可能な金属端子をもつ
アンテナホルダを有する無線装置であり、アンテナ格納
時、伸長時ともに良好な輻射特性を得られ、人体に近接
して使用する場合にもその輻射特性の劣化を少なくする
無線装置とすることができるという作用を有する。

【００１８】本発明の請求項５に記載の発明は、電気回
路を収容する筐体と、請求項１に記載する格納型アンテ
ナ装置を有し、ロッド状アンテナが電気長でλ／２波長
に相当する長さを有する無線装置であり、無線回路側に
アンテナインピーダンスの整合回路を付加する必要はな
い無線装置か得られるという作用を有する。

【００１９】以下、本発明の実施の形態を図面を参照し
て説明する。

【００２０】（実施の形態１）図１は本発明の実施の形
態１の格納型アンテナ装置を備えた無線通信機のアンテ
ナ伸長状態の概略構成図、図２は同無線通信機のアンテ
ナ格納状態の概略構成図、図３は同無線通信機の概略側
面図、図４は同格納型アンテナ装置における逆Ｆアンテ
ナの上面図、図５は同逆Ｆアンテナの側面図、図６は同
格納型アンテナ装置の要部の分解斜視図、図７および図
８は同内蔵アンテナの他の応用例を示す構成図である。

【００２１】図１〜図３に示すように、無線機筐体６に
は本発明に係わる無線通信機用の格納型アンテナ装置７
が設けられる。この格納型アンテナ装置７は、無線機の
プリント基板に装着される内蔵の逆Ｆアンテナ８と伸長
自在なλ／２ロッド状アンテナ９、および前記逆Ｆアン
テナ８とλ／２ロッド状アンテナ部９との接触導通、伸
長、格納時にλ／２ロッド状アンテナ部９を摺動、その
両端で固定させるアンテナホルダ１０から構成されてい
る。図中の１２は無線回路給電部、１３は無線回路グラ
ンド、１４は無線機シールドケース、１９はＡＢＳ樹脂
のアンテナキャップ、２３はプリント基板である。

【００２２】前記逆アンテナ８は、図４、図５に示すよ
うにリン青銅にニッケルメッキを施した逆Ｆ型アンテナ
板金１１ＡとＡＢＳ樹脂１１Ｂで一体成形されており、
逆Ｆ型アンテナ板金１１Ａの第１の突片１１ａは無線回
路給電部１２に半田付けで接続され、逆Ｆ型アンテナ板
金１１Ａの第２の突片１１ｂは無線回路グランド１３に
半田付けで接続される。また逆Ｆ型アンテナ板金１１Ａ
の先端の第３の突片１１ｃはアンテナホルダ１０と接触
導通する必要があるため、板バネの弾性をもっており、
安定してアンテナホルダ１０に接触できるようになって
いる。

【００２３】なお、逆Ｆアンテナ８は無線機筐体６や人
体の影響を受け難くするため、極力、無線機シールドケ
ース１４やプリント基板２３に実装された部品から遠ざ
けて配置することが望ましい。

【００２４】図６に示すように、前記アンテナホルダ１
０はポリアセタール樹脂で形成され、λ／２ロッド状ア
ンテナ９を伸長、収納する際に摺動させ、また、λ／２
ロッド状アンテナ９の両端で固定できるように中心部に
穴１０ａを設けてスリーブ状となっている。前記アンテ
ナホルダ１０は、逆Ｆアンテナ板金１１Ａの第３の突片
１１ｃ部分の先端と接触導通し、そしてアンテナ伸長時
はλ／２ロッド状アンテナ９のアンテナストッパー部２
０で接触導通させる必要がある。したがって、アンテナ
ホルダ１０には逆Ｆアンテナ板金１１Ａの第３の突片１
１ｃとλ／２ロッド状アンテナ９を接触、導通させるリ
ン青銅製の連結板１５を装着する。この連結版１５は樹
脂のアンテナホルダ１０を挟み込むように装着され、そ
の一部は中心部のスリーブの側面に現れるように折り曲
げられ、そして挿入される。したがって、この部分がλ
／２ロッド状アンテナ９のアンテナストッパー部２０と
接触導通することが可能となっている。

【００２５】前記アンテナホルダ１０は、図１〜図３に
示すように子機筐体の背面部分（便宜上、背面キャビネ
ットという）の上部に固定して装着する。

【００２６】また、λ／２ロッド状アンテナ部９は、図
６に示すようにチタンニッケル弾性合金の芯線１７にナ
イロン樹脂のコーティング１８を施し、先端にはアンテ
ナの伸長、格納を容易にするため、ＡＢＳ樹脂のアンテ
ナキャップ１９を装着して形成されている。そしてアン
テナ格納時にはこのアンテナキャップ１９がアンテナホ
ルダ１０の中心穴１０ａに挿入して固定され、λ／２ロ
ッド状アンテナ９とアンテナホルダ１０の中心穴１０ａ
の側面の連結板１５とは電気的に絶縁状態になる。ま
た、λ／２ロッド状アンテナ９の他方の下端には、ニッ
ケルメッキを施した真鍮のアンテナストッパー部２０を
装着する。これによりアンテナ伸長時にλ／２ロッド状
アンテナ部９をアンテナホルダ１０の中心穴１０ａの側
面の連結板１５で固定し、電気的に接触、導通させる。

【００２７】上記構成の格納型アンテナ装置の動作を説
明すると、アンテナ格納時は、無線回路からの無線出力
は半田付けで接続された逆Ｆ型アンテナ板金１１の第１
の突片１１ａに給電され、逆Ｆ型アンテナ８が内蔵アン
テナとして機能する。なお、逆Ｆ型アンテナ８のインピ
ーダンスを５０Ωになるように設計することで、無線回
路側に整合回路を付加する必要はない。

【００２８】アンテナ伸長時は収納時と同様に逆Ｆ型ア
ンテナ板金１１Ａの第１の突片１１ａに給電され、その
先端の第３の突片１１ｃでアンテナホルダ１０に接続、
さらにアンテナホルダ１０でλ／２ロッド状アンテナ９
のアンテナストッパー部２０に接続され、逆Ｆ型アンテ
ナ板金１１Ａとアンテナホルダ１０で接続されるλ／２
ロッド状アンテナ９までがアンテナとして機能する。な
お、伸縮するロッドの長さがλ／２であるので、理論的
には無線回路の給電端から見たインピーダンスは理論的
にはアンテナ格納時と同じ５０Ωとなり、無線回路側に
整合回路を付加する必要はない。

【００２９】このように本発明の実施の形態１の格納型
アンテナ装置は、アンテナ格納時には内蔵逆Ｆアンテナ
８、アンテナ伸長時には逆Ｆアンテナ８とλ／２ロッド
状アンテナ９が直列に接続し、全体でアンテナとして機
能するので、アンテナ格納時、伸長時ともに良好な輻射
特性を得られ、人体に近接して使用する場合にもその輻
射特性の劣化を少なくすることができる。

【００３０】なお、内蔵逆Ｆアンテナ８から応用させ
て、図７、図８のように内蔵アンテナをλ／４逆Ｌアン
テナ２１、または外形寸法を小さくしたλ／４アンテナ
２２を使用しても同様の効果が得られる。

【００３１】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
による格納型アンテナは、アンテナ格納時には内蔵アン
テナが機能し、アンテナ伸長時には内蔵アンテナとロッ
ド状アンテナ双方がアンテナとして機能するため、アン
テナ格納時、伸長時ともに良好な輻射特性を得られ、人
体に近接して使用する場合にもその輻射特性の劣化を少
なくすることができるものであり、その効果は大きい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の形態１の格納型アンテナ装置を
備えた無線通信機のアンテナ伸長状態の概略構成図

【図２】同無線通信機のアンテナ格納状態の概略構成図

【図３】同無線通信機の概略側面図

【図４】同格納型アンテナ装置における逆Ｆアンテナの
上面図

【図５】同逆Ｆアンテナの側面図

【図６】同格納型アンテナ装置の要部の分解斜視図

【図７】同内蔵アンテナの他の応用例を示す構成図

【図８】同内蔵アンテナの他の応用例を示す構成図

【図９】従来の格納型アンテナ装置を備えた無線通信機
の概略構成図

【図１０】従来の他の格納型アンテナ装置を備えた無線
通信機の概略構成図

【符号の説明】

６ 無線機筐体 ７ 格納型アンテナ装置 ８ 逆Ｆアンテナ ９ λ／２ロッド状アンテナ １０ アンテナホルダ １０ａ 中心穴 １１Ａ 逆Ｆ型アンテナ板金 １１ａ 第１の突片 １１ｂ 第２の突片 １１ｃ 第３の突片 １１Ｂ ＡＢＳ樹脂 １２ 無線回路給電部 １３ 無線回路グランド １４ 無線機シールドケース １５ 連結板 １７ 芯線 １８ ナイロン樹脂のコーティング １９ アンテナキャップ ２０ アンテナストッパー部 ２３ プリント基板

フロントページの続き (72)発明者 坂田 徹 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Ｆターム(参考） 5J047 AA04 AB06 FA09 FA12 5K011 AA03 AA06 JA01 KA13 5K067 AA34 BB04 KK01 KK17

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】筐体に内蔵する所定の大きさの内蔵アンテ
   ナと、筐体に対し伸長、格納可能なロッド状アンテナ
   と、前記ロッド状アンテナを摺動および固定させるスリ
   ーブ状のアンテナホルダを備え、前記ロッド状アンテナ
   が格納時は内蔵アンテナのみが機能し、ロッド状アンテ
   ナが伸長時は内蔵アンテナとロッド状アンテナがアンテ
   ナホルダ部で機械的に接触し双方がアンテナとして機能
   するようにしたことを特徴とする格納型アンテナ装置。
2. 【請求項２】アンテナホルダは、金属より構成されるロ
   ッド状アンテナを伸長、格納する際に、前記ロッド状ア
   ンテナ下端と接触、断絶可能な金属端子を有することを
   特徴とする請求項１記載の格納型アンテナ装置。
3. 【請求項３】ロッド状アンテナは、電気長でλ／２波長
   に相当する長さを有することを特徴とする請求項１記載
   の格納型アンテナ装置。
4. 【請求項４】電気回路を収容する筐体と、請求項１に記
   載する格納型アンテナ装置および請求項２記載の断絶可
   能な金属端子をもつアンテナホルダを有することを特徴
   とする無線装置。
5. 【請求項５】電気回路を収容する筐体と、請求項１に記
   載する格納型アンテナ装置を有し、ロッド状アンテナが
   電気長でλ／２波長に相当する長さを有することを特徴
   とする無線装置。