JP2002133640A - 磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体およびその製造方法

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JP2002133640A
JP2002133640A JP2000332511A JP2000332511A JP2002133640A JP 2002133640 A JP2002133640 A JP 2002133640A JP 2000332511 A JP2000332511 A JP 2000332511A JP 2000332511 A JP2000332511 A JP 2000332511A JP 2002133640 A JP2002133640 A JP 2002133640A
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Satoshi Nakagawa
聡 中川
Ryuichi Saga
隆一 嵯峨
Tesshu Miyahara
鉄州 宮原
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ロット等の識別や同定が簡便、迅速かつ確実
にできる磁気記録媒体とその製造方法ならびに識別・同
定の方法を提供する。 【解決手段】 磁気記録媒体の主要構成要素である磁性
層中に、標識材料として、Y,Zr,In,Ta,W,
La,Ce,Pr,Nd,Sm,Gd,Dy,Ho,E
r,Ybから選ばれる1種類または2種類以上の元素お
よび/またはその化合物の粒子を含有化させた磁気記録
媒体とする。磁気記録媒体の磁性層の形成を、標識材料
・磁性粉・結着剤樹脂などにより調製した塗料を塗布す
る製造方法とする。標識材料の含有化量とケイ光X線分
析スペクトル強度との関係を利用した定性・定量分析を
行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁性層中に標識材
料を含有させた磁気記録媒体とその製造方法、ならびに
該磁気記録媒体を識別・同定する方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】製造物すなわち中間製品や最終製品など
を管理するとき、様々な理由から、製造物の識別や同定
が必要となる場合がある。その具体的例としては、品質
管理などの観点からの製造物『ロット』の管理であり、
その『ロット』の内容を知りたいときである。ここで、
『ロット』とは、その製造物の生産条件をある一定の範
囲で纏め、その内容から、生産工場・生産ライン・生産
年度・その他の生産に係る履歴情報や付随する顧客情報
などを把握できる生産単位のことである。
【0003】この、製造物『ロット』は、通常、ロット
番号として数字やバーコードなどで表示し、目視や簡単
な検出装置によって、たやすく判読・判別可能な状態と
している。そして、製造物『ロット』の識別や同定は、
一般的には、容易に確認できればできるほど良いと考え
られている。しかし、最終製品においては、その構成物
である中間製品のロット番号を表示しておくことが非常
に困難であったり、実際上、表示することが不可能にな
る場合がある。そのような場合、中間製品を識別したり
同定することは非常に困難なものとなる。また、その困
難さは、中間製品が、実質的に同一ないしは主要部分で
同一品質の原材料で構成されているときには、より一
層、大きなものとなる。
【0004】磁気記録媒体の最終製品形態のひとつであ
る磁気カードは、磁気原反または磁気テープを中間製品
として使用している。この磁気原反または磁気テープ
は、磁性層の生産単位であって、ロット番号を付与し表
示している。そのため、そのままの形態で、製造物とし
て取り引きする場合には、その識別および同定は容易で
ある。しかし、最終製品形態の磁気カードは、通常、磁
気原反または磁気テープの一部分を使用しており、ロッ
ト表示は消失した形となっている。そのため、磁性層に
よって磁気記録媒体を識別・同定することは非常に困難
な作業となり、多くの場合、精密な化学分析などの手間
のかかる解析手段を必要とする。
【0005】ところが、この化学分析などによる解析手
段では、実際には、充分な識別・同定作業を達成できな
いことが多い。すなわち、多くの時間と労力を費やした
割には有力な情報が得られ難く、最後まで不明部分が残
って決着が付かないのである。
【0006】識別・同定が困難であると、識別・同定を
必要とした事由解決の進捗が図れず、事態を停滞させ
る。最終製品形態である磁気カードの識別・同定が困難
であるということは、製品管理上の大きな問題点である
と共に欠点である。そのため、中間製品の『ロット番
号』が消失した後でもそれに代わり、磁気記録媒体ない
し磁気カードを、容易に識別・同定する方法の開発が長
い間待たれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、現状の磁気
記録媒体が、磁気記録層、特に磁性層のロット表示を消
失しているという問題点に鑑み、磁気記録媒体の必須構
成要素である磁性層中に特定の標識材料を含有させるこ
とによって、簡便、迅速かつ確実に、ロットの識別・同
定ができる磁気記録媒体の提供およびその製造方法の提
供、さらには、該磁気記録媒体の識別・同定方法の提供
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成する
に至った。すなわち本発明は、 Y,Zr,In,Ta,W,La,Ce,Pr,N
d,Sm,Gd,Dy,Ho,Er,Ybから選ばれる
1種類または2種類以上の元素および/またはその化合
物の粒子を、標識材料として磁性層中に含有する磁気記
録媒体、 標識材料が、粒子状態で、磁性層中に分散している
磁気記録媒体、 標識材料の化学構造が、化学的に安定な酸化物を使
用する磁気記録媒体、 標識材料の含有量を、磁性塗膜に対して、0.05
〜5質量%とした磁気記録媒体、 標識材料の平均粒子径を、5μm以下とした磁気記
録媒体、 上記〜の磁気記録媒体において、標識材料含有
磁性塗料の塗布により磁性層を形成する該磁気記録媒体
の製造方法、 上記〜の磁気記録媒体において、標識材料の含
有量とケイ光X線分析のスペクトル強度との関係から該
磁気記録媒体を識別・同定する方法、である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明における磁気記録媒体は、
非磁性支持体上に塗工によって磁性層を設けたものであ
り、必要に応じて磁性層を形成する前工程あるいは磁性
層を形成した後工程で、接着層、粘着層、隠蔽層、着色
層、印刷層、感熱発色層、保護層等を有していてもよ
く、また、磁性層を形成させた背面側にそれらを有して
いてもよい。非磁性支持体としては、ポリエチレンテレ
フタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートなど
のポリエステル樹脂、ポリプロピレンなどのポリオレフ
ィン類、セルローストリアセテートなどのセルロース誘
導体、アミド結合を主体とする構造を有したポリアミド
フィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリイミドフィ
ルムなど、公知慣用のプラスチックフィルムを使用する
ことができるが、中でも白色PETフィルムが好まし
い。非磁性支持体の厚さは、20〜500μmが好まし
い。
【0010】非磁性支持体上に磁性塗料を塗布して磁性
層を形成する磁性粉には、γ−Fe 23、Co被着γ−
Fe23、Fe34、Co被着Fe34、CrO2、B
aフェライト、Srフェライト、Pbフェライト、Ca
フェライトなどの従来公知の磁性粉が使用できる。尚、
磁気記録媒体を構成するこれら主要原材料の内、商業ベ
ースで使用可能な前記非磁性支持体中には、原子番号が
10以下の軽元素及び原子番号が93以降の重元素を除
き、Si、P、S、K、Ti、Mn、Nb、Sbの元素
が含まれており、同様に前記磁性粉には、Al、Si、
P、S、Cl、K、Ca、Ti、Cr、Mn、Fe、C
o、Ni、Zn、Pb、Cr、Sr、Nb、Ba、Bi
の元素が含まれていることがわかっている。
【0011】本発明において、磁気記録媒体の識別ある
いは同定の手段に、簡便なケイ光X線分析を使用する。
そのため、磁性層に含有させる標識材料としては、ケイ
光X線分析に対する高い検出感度を有すると共に、磁気
特性や再生出力特性などの諸特性に悪影響を及ぼさず、
かつ磁気記録媒体を構成する原材料自体には含有されな
い物質を選定する必要がある。また、放射性や毒性の有
無などについても考慮し、製品の安全性についても配慮
すべきである。標識材料のケイ光X線分析に対する感度
は、(株)リガク社製のケイ光X線分析装置(ZSXシ
リーズ)のFP法で、理論強度計算が可能であり、こう
した理論強度を参考にして、高い感度を有する標識材料
を選定することも可能である。
【0012】このような観点から種々検討した結果、本
発明では標識材料として、Y,Zr,In,Ta,W,
La,Ce,Pr,Nd,Sm,Gd,Dy,Ho,E
r,Ybから選ばれる1種類または2種類以上の元素お
よび/またはその化合物の粒子を選定した。Y,Zr,
In,Ta,W,La,Ce,Pr,Nd,Sm,G
d,Dy,Ho,Er,Ybの元素および/またはその
化合物の粒子純度は、単に、定性分析により、識別する
だけであれば90質量%以上の汎用品グレードで十分使
用可能であるが、ケイ光X線分析によって、磁性層に含
有される各元素を定量分析して磁気記録媒体を同定する
ためには、純度99質量%以上の高純度品を使用するこ
とが望ましい。
【0013】Y,Zr,In,Ta,W,La,Ce,
Pr,Nd,Sm,Gd,Dy,Ho,Er,Ybの化
合物安定性としては、希土類元素では3価の化合物が一
般に安定であるが、Ceでは4価、Sm,Eu,Ybな
どでは2価をもつものもある。Zrは4価の化合物が最
も安定であるが2価および3価の化合物も知られてい
る。Inは1〜3価が知られているが3価の化合物が最
も一般的であり安定性が高い。Taは2〜5価の化合物
が知られていて、5価が最も一般的であり、多くの化合
物が存在する。Wでは2〜6価の化合物が知られている
が、この他にタングステンカルボニルなどの0,1価の
化合物も存在する。
【0014】それら化合物の例としては、酸化物、窒化
物、水和物、炭化物、ケイ化物、硫化物、水素化物、ホ
ウ化物、水酸化物、ハロゲン化物、酸化硫化物、複酸化
物あるいはリン酸塩、シュウ酸塩、硫酸塩、硝酸塩など
の各種無機塩類を挙げることができるが、より好ましく
は、各元素の酸化物の粒子が安定性などので点で優れて
いる。各元素の酸化物の粒子としては、酸化イットリウ
ム(Y2O3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化
インジウム(In2O3)、酸化タンタル(Ta2O
5)、酸化タングステン(WO3)、酸化ランタン(L
a2O3)、酸化セリウム(CeO2)、酸化プラセオ
ジム(Pr6O11)、酸化ネオジム(Nd2O3)、
酸化サマリウム(Sm2O3)、酸化ガドリニウム(G
d2O3)、酸化ジスプロシウム(Dy2O3)、酸化
ホルミウム(Ho2O3)、酸化エルビウム(Er2O
3)、酸化イッテルビウム(Yb2O3)などを挙げる
ことができるが、これら以外でも各元素を含む酸化物の
粒子であればよい。
【0015】これら酸化物の粒子は、固形物として種々
の粒子形態のものが入手できるが、その平均粒子径は5
μm以下であることが好ましい。平均粒子径が5μmを
超えると、磁性塗料中に添加して磁性層を形成した際、
磁性層表面の平滑性を損なって、磁気特性や再生出力特
性などの諸特性を悪化させるので好ましくない。ここ
で、各元素の酸化物粒子の平均粒子径や最大粒子径など
は、レーザ回折散乱式粒度分析計によって測定される。
【0016】磁性層の結着樹脂としては、公知慣用の樹
脂、例えばブチラール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体樹脂、塩化ビニル系樹脂、ウレタン樹脂、ポリエ
ステル樹脂、フェノール樹脂、アクリル酸エステル共重
合体樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース誘導体、アクリ
ル樹脂、スチレンブタジエン共重合体樹脂、スチレン−
マレイン酸共重合体樹脂、エポキシ樹脂などの熱可塑性
樹脂、熱硬化性樹脂、反応性樹脂等を使用することがで
きる。
【0017】磁性塗料の溶剤としては、従来公知慣用
の、例えばメチルエチルケトン、シクロヘキサノンなど
のケトン類、酢酸エステルなどのエステル類、ジオキサ
ンなどのエーテル類、トルエン、キシレンなどの芳香族
炭化水素類等を単独で、または混合して使用することが
できる。
【0018】磁性塗料は、上記溶剤に結着樹脂、磁性
粉、Y,Zr,In,Ta,W,La,Ce,Pr,N
d,Sm,Gd,Dy,Ho,Er,Ybから選ばれる
1種類または2種類以上の元素および/またはその化合
物の粒子を分散させて調製する。各成分は、塗工後の磁
性塗膜中における含有量が、結着樹脂では8〜40質量
%、磁性粉では50〜80質量%、1種類または2種類
以上の元素および/またはそれらの化合物では0.03
〜10質量%、より好ましくは0.05〜5質量%とな
るようそれぞれ配合するのが好ましい。また、2種類以
上の元素およびその化合物を標識材料として使用する場
合は、その配合量の合算が0.03〜10質量%、より
好ましくは0.05〜5質量%となるようそれぞれ配合
するのが好ましい。
【0019】各元素の酸化物の含有量が0.05質量%
より少なくなると、ケイ光X線分析の際、各元素のスペ
クトル強度が小さくなるため、標識材料の検出精度が低
下する。逆に、5質量%を超えると、標識材料としては
使用可能であるものの、磁性層の残留磁束密度などの磁
気特性、再生出力特性、表面平滑性などが低下する。
【0020】Y,Zr,In,Ta,W,La,Ce,
Pr,Nd,Sm,Gd,Dy,Ho,Er,Ybから
選ばれる1種類または2種類以上の元素および/または
その化合物の粒子を添加する方法は、あらかじめ調製し
た磁性粉分散組成物中に粉末状態で添加しても、標識材
料分散組成物としたものを磁性粉分散組成物と混合して
もどちらでも構わない。
【0021】磁性粉分散組成物、標識材料分散組成物、
あるいはこれらを混合して磁性塗料を調製する場合の分
散方法は、例えば3本ロール、ボールミル、ヘンシェル
ミキサー、サンドミル、加圧ニーダ、アトライター等、
従来公知の分散機を使用した如何なる分散方法も使用で
きる。この際、必要に応じて、脂肪酸、脂肪酸エステ
ル、アミン化合物、レシチン、シランカップリング剤、
高級アルコールなどの各種添加剤を添加してもよいが、
いずれも標識材料として用いた元素を含有しないものを
使用するのが好ましい。
【0022】非磁性支持体上にY,Zr,In,Ta,
W,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Gd,Dy,H
o,Er,Ybから選ばれる1種類または2種類以上の
元素および/またはその化合物の粒子を含有する磁性層
を形成させる塗工方式としては、特に制限はなく、公知
の方式を使用することが出来る。この際、磁性層の層構
成は単層あるいは複数層のいずれであってもかまわな
い。塗工方式の具体的例としては、グラビヤ方式、リバ
ース方式、エアードクター方式、ブレードコータ方式、
エアーナイフコータ方式、キスコータ方式、ダイ方式等
を挙げることができる。
【0023】本発明により、磁性層に含有させたY,Z
r,In,Ta,W,La,Ce,Pr,Nd,Sm,
Gd,Dy,Ho,Er,Ybから選ばれる1種類また
は2種類以上の元素を、ケイ光X線分析により定性分析
することができ、該磁気記録媒体と標識材料を含有しな
い他の磁気記録媒体とを識別することが可能となる。さ
らに、磁性層に含有させるY,Zr,In,Ta,W,
La,Ce,Pr,Nd,Sm,Gd,Dy,Ho,E
r,Ybから選ばれる1種類または2種類以上の元素お
よび/またはその化合物粒子の添加量を0.05〜5質
量%の範囲内で規定量としておくことにより、標識材料
の含有量とケイ光X線分析のスペクトル強度との関係を
利用して、磁気記録媒体にさらに多くの識別情報をもた
せることができる。すなわち、ある標識材料を規定含有
量で添加した元素のスペクトル強度と、それとは異なっ
た規定含有量から得られるそれぞれの元素のスペクトル
強度との間で、統計学的に充分な分離・識別能を有して
いれば、標識材料として添加した元素および/またはそ
の化合物の粒子の含有量そのものが磁気記録媒体同定の
ための情報となり得る。こうした手段を利用すれば、当
該磁気記録媒体の識別が多岐にわたって可能であり、こ
れは磁気記録媒体自身が相当数の識別情報能を持つこと
を意味する。
【0024】ただし、このような高い分解能をもたせる
ためには、Y,Zr,In,Ta,W,La,Ce,P
r,Nd,Sm,Gd,Dy,Ho,Er,Ybから選
ばれる1種類または2種類以上の元素および/またはそ
の化合物の粒子の配合量の誤差や、ケイ光X線分析によ
り得られるスペクトル強度及び検量線の精度や誤差、そ
の他スペクトル強度を変動させる要因を極力排除する必
要があるが、本発明方法によれば、磁性層に含有させた
Y,Zr,In,Ta,W,La,Ce,Pr,Nd,
Sm,Gd,Dy,Ho,Er,Ybから選ばれる1種
類または2種類以上の元素および/またはその化合物の
粒子の量を、少なくとも数百質量ppm程度の差で識別
することが可能である。尚、一般の分光法による定量分
析と同様、磁気記録媒体固有の元素に対するスペクトル
強度比をとることで、さらに識別精度を高めることもで
きる。
【0025】ケイ光X線分析装置としては波長分散型及
びエネルギー分散型のいずれもが使用できる。いずれの
装置を使う場合でも、標識材料として添加する1種類ま
たは2種類以上の元素および/またはその化合物の粒子
から発生するケイ光X線の検出感度を高めるため、妨害
となる要因を極力排除すると共に、バックグランド補正
を行って検出精度を高める必要がある。具体的には、タ
ーゲットや試料台、フィルターなどの材質、試料の大き
さや質量・厚み、吸湿性、偏析の程度など充分に配慮す
ることが必要となる。また、2種類以上の標識材料を添
加する場合には、互いに干渉しないよう、その選定に注
意すると共に最適ピークを求めるための条件検討が必要
である。波長分散型のケイ光X線分析装置を使用する場
合では特に、前記標識材料としての元素の多くが重元素
であることを考慮して、分光結晶にはLiFを用いるの
が好ましい。定量分析を行う場合は、予め含有量が既知
である各元素の標準試料を用意の上、検量線を作成して
おくことが必要である。
【0026】
【実施例】以下、実施例および比較例を用いて本発明を
さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に
限定されるものではない。実施例中「部」は「質量部」
を意味する。
【0027】 (実施例1) a.標識材料分散組成物1 酸化イットリウム(Y)[微粉末](日本イットリウム社製、 100部 平均粒子径=1.47μm) ポリウレタン樹脂(『T−5206』、大日本インキ化学工業社製) 30部 メチルエチルケトン 145部 トルエン 48部 シクロヘキサノン 48部 上記原材料を、ボールミルを用いて15時間練肉分散
し、酸化イットリウムの分散組成物を調製した。
【0028】 b.磁性粉分散組成物 磁性粉A(バリウムフェライト、保磁力224.4(kA/m)) 100部 塩化ビニル系樹脂(『MR−110』、日本ゼオン社製) 10部 ポリウレタン樹脂(『T−5206』、大日本インキ化学工業社製) 10部 メチルエチルケトン 65部 トルエン 65部 シクロヘキサノン 35部 上記原材料を、ボールミルを用いて36時間練肉分散
し、使用直前にイソシアネート系硬化剤(『コロネート
L』日本ポリウレタン社製)8部を加え、充分に攪拌混
合して磁性粉分散組成物を調製した。
【0029】 c.磁性塗料 a.標識材料分散組成物1 0.16部 b.磁性粉分散組成物 100部 ディスパーで攪拌しながら上記b.に上記a.を添加
し、その後15分間攪拌混合し、酸化イットリウムの含
有量が磁性粉分散組成物の固形分の0.1質量%となる
磁性塗料c.を調製した。
【0030】次いで、この磁性塗料を厚さ188μmの
白色PETフィルム上に、乾燥後の磁性塗膜の厚さが1
2μmとなるようにリバースロールコーターで塗布して
磁性層を形成し、磁気記録媒体を得た。それを、85m
m×54mmの大きさに打ち抜いて磁気カードを得た。
【0031】(実施例2)実施例1における磁性塗料
c.の配合において、a.の添加量を0.32部として
酸化イットリウムの含有量が磁性粉分散組成物の固形分
の0.2質量%とした以外は、実施例1と同様の方法で
磁気カードを得た。
【0032】(実施例3)実施例1における磁性塗料
c.の配合において、a.の添加量を1.6部として酸
化イットリウムの含有量が磁性粉分散組成物の固形分の
1質量%とした以外は、実施例1と同様の方法で磁気カ
ードを得た。
【0033】(実施例4)実施例1における磁性塗料
c.の配合において、a.の添加量を8部として酸化イ
ットリウムの含有量が磁性粉分散組成物の固形分の5質
量%とした以外は、実施例1と同様の方法で磁気カード
を得た。
【0034】上記の実施例1〜4における標識材料は酸
化イットリウムであったが、それに代えて、次の2種の
標識材料を用いて行なった実施例を示す。 I.酸化セリウム−S(新日本金属化学社製、平均粒子
径=0.65μm) II.酸化ネオジム(日本イットリウム社製、平均粒子径
=3.6μm) ここで、標識材料を変更した以外は実施例1〜4と同様
であるので、標識材料含有量は、それぞれ、0.1、
0.2、1、5質量%である。また、実施例番号は実施
例1〜4に符合し、前記標識材料 I.によるものは実施
例5〜8、同II.によるものは実施例9〜12である。
【0035】次に、発明の効果を明確にするために、磁
性層中に標識材料を含有しないものと前記3種の標識材
料をそれぞれ10%含有するものとの合計4種を、比較
例として行なった。 (比較例1)実施例1における磁性塗料c.の代わりに
磁性粉分散組成物b.のみを使用し、乾燥後の磁性塗膜
の厚さが12μmとなるよう、酸化イットリウム、酸化
セリウム、酸化ネオジムのいずれも含有しない磁性塗膜
を形成した以外は、実施例1と同様の方法で磁気カード
を得た。
【0036】(比較例2)実施例1において、酸化イッ
トリウムの含有量が磁性粉分散組成物固形分の10質量
%とした以外は、実施例1と同様の方法で磁気カードを
得た。
【0037】(比較例3)実施例5において、酸化セリ
ウムの含有量が磁性粉分散組成物固形分の10質量%と
した以外は、実施例5と同様の方法で磁気カードを得
た。
【0038】(比較例4)実施例9において、酸化ネオ
ジムの含有量が磁性粉分散組成物固形分の10質量%と
した以外は、実施例9と同様の方法で磁気カードを得
た。
【0039】(評価項目及び結果)実施例1〜12、比
較例1〜4で得られた磁気カードについて、1)残留磁
束密度、2)表面の平滑性、3)ケイ光X線分析 の3
項目に関し、以下の方法で評価した。
【0040】1)残留磁束密度:理研電子社製の振動試
料型磁力計を用いて評価した。実施例及び比較例で得ら
れた磁気カードの残留磁束密度(φr)を、印加磁場8
00kA/mで求めた。 2)表面の平滑性:東京精密社製の表面粗さ計を用い
て、JISB0601に規定する中心線平均粗さ(R
a)を求めた。 3)ケイ光X線分析:リガク社製ケイ光X線分析装置
(波長分散型)を使用した。実施例及び比較例で得られ
た磁気カードから15mm角のサンプルを切り出し、ア
ルミニウム製の試料台に有機質のろ紙を介してサンプル
を置き、測定面積30mmφ、Crターゲット、分光結
晶LiF200、50kV−50mAの条件で定性分析
を実施し、イットリウム元素、セリウム元素、ネオジム
元素の検出にそれぞれ2θ=23.78°、66.51
°、60.72°の特性X線強度を使用することとし
た。さらに、この条件で測定したスペクトル強度をバッ
クグランド補正し、イットリウム元素、セリウム元素、
ネオジム元素のスペクトル強度(kcps)を求めた。
【0041】実施例1〜12、比較例1〜4における磁
気カードの評価結果を表1に示す。
【0042】
【表1】表.1 磁気カードの評価結果
【0043】表1の結果から明らかなように、本発明の
酸化イットリウムを含有する磁気記録媒体(実施例1〜
4)は、ケイ光X線分析法で酸化イットリウムに起因す
るイットリウム元素のスペクトルが検出されるため、比
較例1で示した標識材料を含有しない製造物と容易に識
別できる。同様に、酸化セリウムを含有する磁気記録媒
体(実施例5〜8)、および酸化ネオジムを含有する磁
気記録媒体(実施例9〜12)は、ケイ光X線分析法で
それぞれ酸化セリウム、酸化ネオジムに起因するセリウ
ム元素、ネオジム元素のスペクトルが検出されるため、
比較例1で示した標識材料を含有しない製造物と容易に
識別できる。
【0044】また、実施例1〜4、5〜8、9〜12に
示すように、酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化ネ
オジムの含有量をそれぞれ変化させれば、それぞれの含
有量に応じたスペクトル強度が得られる。したがって、
あらかじめ酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化ネオ
ジムの含有量既知の磁気記録媒体試料を用意し、これを
用いて検量線を作成しておけば、単なる識別だけでなく
同定も可能となる。すなわち、酸化イットリウム、酸化
セリウム、酸化ネオジムの含有量の異なる製造物が、事
前に定義された固有の情報を持つものであることが判
る。
【0045】一方、比較例2〜4に示すように、磁性層
に含有する酸化イットリウム、酸化セリウム、酸化ネオ
ジムの含有量が5%を超えて多くなると、標識材料とし
ての機能はあるものの、磁気記録媒体本来の機能である
残留磁束密度や表面の平滑性が損なわれるということが
判る。
【0046】
【発明の効果】本発明は、磁気記録媒体の磁性層中に、
Y,Zr,In,Ta,W,La,Ce,Pr,Nd,
Sm,Gd,Dy,Ho,Er,Ybから選ばれる1種
類または2種類以上の元素および/またはその化合物の
粒子を標識材料として含有させ、その磁気記録媒体に対
して、ケイ光X線分析法を適用して、対象とする元素の
スペクトルの有無及びその強度を測定することにより、
簡便でありながら正確で精度の高い磁気記録媒体の識別
や同定が可能となり、中間製品の管理が厳密かつ効率的
にできるという顕著な効果を奏する。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 標識材料として、磁性層中に、Y,Z
    r,In,Ta,W,La,Ce,Pr,Nd,Sm,
    Gd,Dy,Ho,Er,Ybから選ばれる1種類また
    は2種類以上の元素および/またはその化合物の粒子を
    含有することを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 標識材料の粒子が、磁性層中に分散して
    いることを特徴とする請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 化合物である標識材料の化学構造が、酸
    化物であることを特徴とする請求項1および請求項2記
    載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 標識材料の含有量が、磁性層を形成する
    磁性塗膜に対して、0.05〜5質量%であることを特
    徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の磁
    気記録媒体。
  5. 【請求項5】 標識材料の平均粒子径が、5μm以下で
    あることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれ
    かに記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし請求項5に記載の磁気記
    録媒体において、標識材料を含有させた磁性層を、磁性
    塗料の塗布によって形成することを特徴とする磁気記録
    媒体の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし請求項5に記載の磁気記
    録媒体において、磁性層中に存在する標識材料を対象と
    して、標識材料の含有量とケイ光X線分析のスペクトル
    強度との関係から、定性および定量法にて、磁気記録媒
    体を識別・同定する方法。
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