JP2002128607A - ヨウ化アルキル含有ガスの凝縮防止方法 - Google Patents

ヨウ化アルキル含有ガスの凝縮防止方法

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JP2002128607A
JP2002128607A JP2000323161A JP2000323161A JP2002128607A JP 2002128607 A JP2002128607 A JP 2002128607A JP 2000323161 A JP2000323161 A JP 2000323161A JP 2000323161 A JP2000323161 A JP 2000323161A JP 2002128607 A JP2002128607 A JP 2002128607A
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alkyl iodide
gas
iodide
chamber
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Takaaki Miyazawa
孝明 宮沢
Nobuhiro Taguchi
信洋 田口
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Nippoh Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヨウ化アルキルを用いて燻蒸する際のヨウ化
アルキル含有ガスの凝縮を防止する方法を提供する。 【解決手段】 燻蒸剤を気化室で加熱によって発生させ
たヨウ化アルキル含有ガスを配管内を経て燻蒸庫に供給
する燻蒸方法において、該ヨウ化アルキル含有ガスにプ
ロペラントを添加し、または配管を保温若しくは加熱し
て燻蒸庫内に供給する方法である。この方法によれば、
従来の臭化メチルによる燻蒸用の気化装置、または燻蒸
装置を用いて、簡便にヨウ化アルキルを燻蒸剤として凝
縮させることなく使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヨウ化アルキルを
燻蒸剤として使用する際のヨウ化アルキル含有ガスの凝
縮を防止し、燻蒸剤を投薬ラインに残すことなく気化
し、かつ濃度ムラなく燻蒸庫に燻蒸剤ガスを供給するた
めの凝縮防止方法および、該方法によって得た燻蒸ガス
を燻蒸庫に供給して燻蒸する燻蒸方法に関する。
【0002】
【従来の技術】人の活動は多種多様な生物と調和を保ち
つつ営まれているが、時としてある種の生物は害となり
有害生物と呼ばれる。有害生物の排除は、生活や産業活
動維持のために不可欠となっており、その対策としては
殺菌、殺虫、除草あるいは駆除があり、殺生物剤等の薬
剤を使用することが多い。これら薬剤の使用形態として
は、散布、塗布、設置または燻蒸等の形態が一般的であ
る。
【0003】例えば、殺菌・殺虫を目的とする薬剤の使
用形態の一つである燻蒸は、薬剤をガス化して使用する
ものであり、土壌、農産物、建屋・構造物から文化財等
も対象とすることができるものである。そして、燻蒸対
象の規模や量に対応しやすく、かつ有効成分がガス化し
ていることから使用量を少なくでき、燻蒸後の薬剤成分
の排除も容易で残留性も低いという利点がある極めて有
用な殺菌・殺虫手段である。
【0004】燻蒸方法としては、文化財収蔵庫、図書
館、青果物や穀物の倉庫等からなる燻蒸庫を目貼して封
止し、内部を所定の温度に維持して燻蒸用ガスを充填
し、所定時間燻蒸することにより殺虫、殺黴、殺卵等を
行なうものがある。また、耐圧構造を持つ減圧チャンバ
ーを燻蒸庫として用い、予め内部を陰圧とした上で薬剤
を投与し、より高濃度で薬剤を供給するとともに酸素分
圧を下げることで引火性ガスでも安全に使用できる減圧
燻蒸方法などがある。このような燻蒸剤として、臭化メ
チル、青酸、エチレンオキシド、リン化水素、フッ化サ
ルフリル、クロルピクリン、ホルムアルデヒド、二硫化
炭素、メチルイソチオシアネート、D−D剤等の単剤ま
たはこれらの合剤が使用されている。
【0005】具体的には、例えば臭化メチルを燻蒸剤と
して使用する場合では、気化器に液状の臭化メチルを供
給してこれを気化器内の加熱器で気化させ、ついで臭化
メチルガスをその蒸気圧によって、またはブロアーを使
用して燻蒸庫内に供給する。燻蒸庫に供給された臭化メ
チルは、気化器からの臭化メチルガスの供給量の増減に
よって所定濃度に調整する。なお、燻蒸庫内に攪拌扇を
配置して気化器からの臭化メチルガスと燻蒸庫内の空気
とを攪拌し、均一にしてもよい。
【0006】しかしながら、従来の燻蒸剤の中でも臭化
メチルは殺虫効果が優れることや商品の価格等から多用
される化合物であるが、臭素がオゾン層破壊物質となる
ことが判明して以来、一部の不可欠用途、検疫・出荷前
処理並びに緊急使用の場合を除いて、生産およびその使
用が極めて限定されてきた。したがって、臭化メチルの
代替品の選択が急務となっている。
【0007】一方、このような臭化メチルの代替とし
て、有効性においてほぼ同等で物理的性質も比較的臭化
メチルに近いヨウ化メチルを含むヨウ化アルキル使用の
可能性が注目されている。例えば、特表平10−513
487号公報には、植物病原体、線虫、細菌および雑草
を効果的に制御する土壌燻蒸剤としてのヨウ化メチルの
使用が開示されている。また、特開平10−29901
号公報には、有機溶剤とヨウ化メチルとを含有する土壌
燻蒸剤が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、臭化メ
チルの沸点は標準状態で4.5℃であるため通常は常温
で気体であるが、例えばヨウ化メチルの沸点は標準状態
で42.5℃であるため、いったん気化しても凝縮しや
すい。特に、既存の燻蒸装置や燻蒸器、燻蒸剤用気化器
等は、臭化メチルや臭化メチルと他の燻蒸剤との合剤の
気化を目的として設計されているため、既存の燻蒸装置
をそのまま使用したのでは、気化器で発生させた燻蒸用
ガスを燻蒸庫に供給する配管内で燻蒸ガスが凝縮しやす
い。このため、燻蒸庫におけるヨウ化アルキル含有ガス
を所定の有効濃度とするには、凝縮によってガス量から
失われるヨウ化アルキル量を見込んで気化する必要があ
り、極めて不経済である。加えて、ヨウ化アルキルを代
替剤として用いる場合の根本的な問題として、製造原料
のヨウ素の希少性がある。ヨウ素は貴重な地下資源であ
り、産業上の採算ベースとしての採集地域が限定されて
いる。日本はその主要な供給国であり、チリの46%に
次いで二番目であって44%を供給し、残り10%はア
メリカ合衆国が供給している。その供給量は全世界でも
年間16,000トン程である。現に、ヨウ化アルキル
は化学合成時のメチル化試薬として僅かに市場に流通し
ているにすぎず、燻蒸剤として使用するには価格が高
い。普及に関しては、製造量の問題と有効性を高めるた
めの手段を検討し、いかに少量で効果を発揮できるかの
技術の確立が不可欠である。
【0009】更に、例えばヨウ化メチルは本来メチル化
剤であって、医薬、農薬の合成原料として使用され、反
応性が極めて高い化合物である。このため、例えば文化
財等を燻蒸する場合には問題がある。すなわち、文化財
の燻蒸は、防黴、防虫を対象とするものであるが、その
目的は文化財自体の後世への保存維持にある。従って、
文化財自体への影響が何より重要となる。しかしなが
ら、ヨウ化メチルは臭化メチルより沸点が高いため気化
しにくく凝縮され易い。このため燻蒸下において凝縮が
起これば凝縮したヨウ化メチル液は文化財の薬害原因と
なるおそれがあり、特に燻蒸剤としてヨウ化メチルをガ
ス状態で均一に供給する必要性は、従来の臭化メチル使
用の場合と比較して格段に高いといえる。
【0010】その上、例えばヨウ化メチルは、臭化メチ
ルと同様な殺虫性を有するものの臭化メチルに比較して
殺菌性が弱く、カビ等の微生物を燻蒸する場合には大量
の投薬が必要となる場合がある。実際の燻蒸では、害虫
のみならず有害菌を燻蒸対象とする場合が多く、投薬量
として最も効果の弱い対象物を基準とすると使用量が増
大するのも事実である。このため、迅速な燻蒸作業を目
的とすると高濃度のヨウ化アルキル含有ガスを燻蒸庫に
供給することが好ましいが、ヨウ化アルキル含有ガス濃
度の増加に伴ってその凝縮の程度も増加する。この点か
らも、燻蒸剤としてヨウ化アルキルをガス状態で均一に
供給する必要性は、極めて高い。
【0011】また、ヨウ化アルキルは、臭化メチルと相
違してオゾン層の破壊などの問題は少ないものの、燻蒸
使用後に、これを直ちに大気に放出したのでは、環境保
全の観点から好ましくない。
【0012】このように、ヨウ化アルキルを燻蒸剤とし
て使用するに際し、薬剤としての有効性に加え、環境問
題を十分に考慮し、有効に燻蒸剤としてヨウ化アルキル
を使用するシステムの開発が求められる。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、燻蒸剤と
してのヨウ化アルキルの使用において、ヨウ化アルキル
含有ガスが凝縮を生ずるメカニズムを詳細に検討した結
果、気化器から排出されるヨウ化アルキル含有ガスにプ
ロペラントを添加してヨウ化アルキル含有ガスとプロペ
ラントとを十分に混合すること、または燻蒸庫への配管
を保温しまたは加熱することで、ガス燻蒸用途のヨウ化
アルキルを投薬ラインに残すことなく気化させ、かつ濃
度ムラを生ずることなく燻蒸庫に供給できることを見出
し、本発明を完成させた。
【0014】すなわち、上記課題は、以下の(1)〜
(13)によって解決される。
【0015】(1) 燻蒸剤を気化室で加熱によって発
生させたヨウ化アルキル含有ガスを配管内を経て燻蒸庫
に供給する燻蒸方法において、該ヨウ化アルキル含有ガ
スにプロペラントを添加した後に該燻蒸庫に供給するこ
とを特徴とする、ヨウ化アルキル含有ガスの凝縮防止方
法。
【0016】(2) 該プロペラントが、空気、窒素、
二酸化炭素およびヘリウムからなる群から選ばれる少な
くとも1種以上のガス、または空気、窒素、二酸化炭素
およびヘリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種
以上と燻蒸剤気化ガスとの混合ガスである、前記(1)
記載の凝縮防止方法。
【0017】(3) 該プロペラントの添加が、該ヨウ
化アルキル含有ガスの温度がヨウ化アルキルの沸点より
1〜60℃高い温度で行うことを特徴とする、前記
(1)または(2)記載の凝縮防止方法。
【0018】(4) 該燻蒸庫と気化室とを連結する配
管内のガス組成が、該ヨウ化アルキル3〜97v/v%
であり、該プロペラント97〜3v/v%であることを
特徴とする、前記(1)〜(3)のいずれかひとつに記
載の凝縮防止方法。
【0019】(5) 燻蒸剤を気化室で加熱によって発
生させたヨウ化アルキル含有ガスを気化室と燻蒸庫とを
連結する配管を経て燻蒸庫に供給する燻蒸方法におい
て、該配管を保温材で被覆してガス温度をヨウ化アルキ
ルの沸点より−30〜60℃高い温度に維持することを
特徴とする、ヨウ化アルキル含有ガスの凝縮防止方法。
【0020】(6)該配管の内圧が20〜120kPa
である上記(5)記載の凝縮防止方法。
【0021】(7) 該保温材が、発泡スチロール、ウ
レタン、スポンジおよび布帛からなる群から選ばれる少
なくとも1種以上の部材であることを特徴とする、前記
(5)または(6)記載の凝縮防止方法。
【0022】(8) 燻蒸剤を気化室で加熱によって発
生させたヨウ化アルキル含有ガスを気化室と燻蒸庫とを
連結する配管に導入させて燻蒸庫に供給する燻蒸方法に
おいて、該配管を加熱装置で加熱することを特徴とす
る、ヨウ化アルキル含有ガスの凝縮防止方法。
【0023】(9) 該加熱装置が、電熱ヒーターまた
は熱媒を循環させる加熱ジャケットによるものである、
前記(8)記載の凝縮防止方法。
【0024】(10) 該ヨウ化アルキルが、ヨウ化メ
チルであることを特徴とする上記(1)〜(9)のいず
れかに記載の凝縮防止方法。
【0025】(11) 上記(1)〜(10)記載の凝
縮防止方法によって得たヨウ化アルキル含有ガスを燻蒸
庫に供給し、ヨウ化アルキル0.02〜12.6v/v
%で燻蒸することを特徴とする燻蒸方法。
【0026】(12) 該燻蒸庫内のガスの一部をプロ
ペラントとして循環使用することを特徴とする、上記
(11)記載の燻蒸方法。
【0027】(13) 該ヨウ化アルキルが、ヨウ化メ
チルであることを特徴とする上記(11)または(1
2)記載の燻蒸方法。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明の第一は、燻蒸剤を気化室
で加熱によって発生させたヨウ化アルキル含有ガスを配
管を経て燻蒸庫に供給する燻蒸方法において、該ヨウ化
アルキル含有ガスにプロペラントを添加した後に該燻蒸
庫に供給することを特徴とする、ヨウ化アルキル含有ガ
スの凝縮防止方法である。
【0029】ヨウ化アルキルの内で、最も低沸点の化合
物であるヨウ化メチルでもその沸点は標準状態で42.
5℃であり、通常は常温で液体である。このため、従来
の燻蒸装置を使用して臭化メチルに代えてヨウ化アルキ
ルを燻蒸剤として使用する場合には、気化室で加熱によ
って気化したヨウ化アルキルガスが燻蒸庫に至る間に凝
縮し、投薬ラインに残液する。しかしながら、ヨウ化ア
ルキルガスが凝縮する前にヨウ化アルキル含有ガスにプ
ロペラントを添加すると、ガス全体におけるヨウ化アル
キルのガス分圧が低下してヨウ化アルキルの凝縮が防止
でき、同時に、燻蒸庫に供給するヨウ化アルキル含有ガ
スの濃度ムラを抑制することができることが判明した。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0030】本発明の凝縮防止方法では、燻蒸剤を気化
室で加熱によって発生させたヨウ化アルキル含有ガスを
配管を経て燻蒸庫に供給するものである。「気化室」や
燻蒸剤をガス化するための「加熱」手段としては、燻蒸
剤を熱によって気化するものであれば、燻蒸剤を気化さ
せる公知のものをその名称の如何を問わず使用すること
ができる。従って、従来、臭化メチルやエチレンオキサ
イドなどを燻蒸剤として使用する場合に使用される気化
室、気化装置、気化器、発熱体、熱源、加熱器、加熱装
置等と称されるものを使用することができる。また、
「配管」としても、加熱手段によって発生させたヨウ化
アルキル含有ガスを燻蒸庫に供給するために使用するも
のであれば、その材質、管径、形状などを問わず、公知
のものを使用することができる。同様に、「燻蒸庫」
も、被燻蒸物を収納し、燻蒸ガスによって被燻蒸物を燻
蒸処理するものであればその名称を問わずに従来公知の
ものを使用することができる。
【0031】燻蒸剤を気化室で加熱してヨウ化アルキル
含有ガスを得るには、燻蒸成分である液状または固体状
のヨウ化アルキルを加熱するほか、ヨウ化アルキルを含
有する燻蒸剤を加熱すればよい。ヨウ化アルキルとして
は、炭素数1から4のアルキルモノヨード、アルキルジ
ヨード、アルキルトリヨード、アルキルテトラヨードな
どがある。これらの中でも、ヨウ化メチルまたはヨウ化
エチルが好ましい。これらは、例えば文化財に用いられ
る素材全般にわたっても腐蝕等の作用が比較的少く、殺
生物効果が確実だからであり、従来品である臭化メチル
よりも抗菌性に優れるからである。特に好ましくは、ヨ
ウ化メチルである。臭化メチルよりも抗菌性に優れると
共にコクゾウ虫に対する殺虫効果にも優れるからであ
る。
【0032】本発明においてヨウ化アルキル含有ガスと
しては、ヨウ化アルキル単独のほか、これに他の成分を
含んでいてもよい。例えば、ヨウ化アルキルに他の燻蒸
成分を含有する燻蒸剤を加熱して得たガスなどがある。
このようなヨウ化アルキルを含有する燻蒸剤としては、
セラミクスなどの担体にヨウ化アルキルを担持させ、ま
たは溶剤にヨウ化アルキルを溶解させたものなどがあ
る。これらのヨウ化アルキル含有燻蒸剤に含まれるヨウ
化アルキル含有量は、燻蒸剤全量に対してヨウ化アルキ
ルが5〜95質量%、より好ましくは10〜90質量
%、とくには15〜85質量%含有されていることが好
ましい。この範囲で、特に殺生物性に優れると共に、被
燻蒸物への変質腐食などの影響が少ないからである。
【0033】また、ヨウ化アルキルを含有する燻蒸剤と
してヨウ化アルキルを含有する溶液がある。このような
溶液に使用できる溶媒としては、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、ブタノール、イソプロパノールなど
の直鎖または分岐を有していてもよいアルコール類、テ
トラヒドロフラン、酢酸エチル等がある。本発明では、
これらの内、メタノール、テトラヒドロフランであるこ
とが好ましい。ヨウ化アルキルと沸点が近いからであ
る。
【0034】本発明の方法では、ヨウ化アルキル含有ガ
スとしてヨウ化アルキル含有燻蒸剤を加熱して得たガス
のほか、ヨウ化アルキルを含有しない他の燻蒸剤をヨウ
化アルキル含有燻蒸剤の気化と同時に気化させてたもの
も含まれる。使用できる他の燻蒸剤としては、エチレン
オキシド、プロピレンオキシド、ホルムアルデヒド、グ
ルタルアルデヒド、プロピオンアルデヒド、クロトンア
ルデヒド、アクロレイン、メタアクロレイン、ブチルア
ルデヒド、バレルアルデヒド、アリルアルコール、ブチ
ルアルコール、過酸化水素、クロルピクリン、二硫化炭
素、フッ化サルフリル、臭化メチルおよび青酸等があ
る。本発明では、ヨウ化アルキルと共に上記ヨウ化アル
キルを含有しない他の燻蒸剤の1種以上を併用してもよ
い。これらはヨウ化アルキルよりもその沸点が低いため
ヨウ化アルキルの気化条件で同時に気化することがで
き、かつ併用によってヨウ化アルキルの燻蒸効果が損な
われないからである。本発明では、これらヨウ化アルキ
ルを単独で使用するほか、燻蒸効果を有する他の燻蒸成
分の2種以上を併用して気化させてもよい。
【0035】ヨウ化アルキルを含有する燻蒸剤を加熱し
てヨウ化アルキル含有ガスを得るには、気化室内の加熱
手段によりヨウ化アルキルまたは他の成分をそれらの沸
点以上に加熱する。減圧燻蒸でなければ通常気化室内は
常圧または燻蒸剤ガスの発生により加圧下にある。含ま
れるヨウ化アルキルの種類によって加熱温度は異なる
が、ヨウ化アルキルの沸点よりも1〜150℃、より好
ましくは10〜100℃、特に好ましくは20〜80℃
高い温度に加熱することが好ましい。この範囲であれ
ば、燻蒸処理における気化条件下でヨウ化アルキルが気
化室内で凝縮することがないからである。なお、化合物
の沸点は気化室内の圧力によって異なるため、ここでい
う沸点とは、気化室内の圧力下におけるヨウ化アルキル
の沸点をいうものとする。気化室内におけるヨウ化アル
キル含有ガスの温度が含まれるヨウ化アルキルの沸点よ
り1℃を超えて温度が下がると、気化したヨウ化メチル
の凝縮が発生しやすいからである。その一方、該ヨウ化
アルキル含有ガスのガス温度が含まれるヨウ化アルキル
の沸点より150℃を超えると熱源エネルギーが過量に
必要となり、不経済である。
【0036】燻蒸剤をガス化するための加熱手段へのヨ
ウ化アルキル自体またはヨウ化アルキルを含有する燻蒸
剤の供給は、燻蒸庫のサイズ、燻蒸庫に供給する燻蒸ガ
スの供給量などによって適宜選択することができる。単
位体積当たりの気化量が多ければ気化室の内圧が上昇
し、このため気化ガスが凝縮しやすくなる。一般には、
気化室体積に対して、燻蒸剤を7ミリモル/m3〜1.
1モル/m3で供給し気化することが好ましく、より好
ましくは10ミリモル/m3〜1.1モル/m3、特に好
ましくは50ミリモル/m3〜1.1モル/m3である。
【0037】本発明における「プロペラント」とは、ヨ
ウ化アルキル含有ガスに含まれる「ヨウ化アルキル」の
ガス分圧を低下させるために添加させる他のガスであ
る。従って、ヨウ化アルキルおよび被燻蒸物と反応しな
いガスであれば広く使用することができる。具体的に
は、空気、窒素、二酸化炭素、ヨウ化アルキル以外の燻
蒸性ガス、燻蒸剤に含有される溶剤ガスおよびヘリウム
からなる群から選ばれる少なくとも1種以上のガスがあ
る。本発明では、これらの中でも空気、窒素、二酸化炭
素またはヘリウムを単独で使用し、または2種以上を併
用することが好ましい。このようなプロペラントをヨウ
化アルキル含有ガスに供給する態様としては下記の
i)、ii)、iii)がある。
【0038】i)気化ガスがヨウ化アルキル単独の場合
には、プロペラントとして、空気、窒素、二酸化炭素お
よびヘリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種以
上のガスを使用することが好ましい。ヨウ化アルキルを
気化室に導入して気化すると共に、該気化ガスにプロペ
ラントを供給してヨウ化アルキルのガス分圧を低下させ
る。これによって、たとえ気化温度よりも温度が低下
し、または圧力が増加した場合であってもヨウ化アルキ
ルガスの凝縮を防止することができるからである。
【0039】ii)ヨウ化アルキル含有ガスが、ヨウ化
アルキルと共に他のガス成分を含む場合、特に、他の燻
蒸成分を同時に気化させた場合や燻蒸剤に溶剤などの揮
発性物質を含有する場合するには、該燻蒸剤を加熱する
と気化室内にヨウ化アルキルと共にヨウ化アルキル以外
のガス成分が混在する。この場合には、ヨウ化アルキル
以外のガス成分はプロペラントとして作用する。このた
め、更に空気、窒素、二酸化炭素またはヘリウムを添加
すれば、結果として空気、窒素、二酸化炭素、ヨウ化ア
ルキル以外の燻蒸性ガス、燻蒸剤に含有される溶剤およ
びヘリウムからなる群から選ばれる少なくとも1種以上
のガスをプロペラントとして使用したことになる。な
お、空気、窒素、二酸化炭素またはヘリウムをヨウ化ア
ルキルガスに添加しない場合には、ヨウ化アルキル以外
の燻蒸性ガスおよび燻蒸剤に含有される溶剤がプロペラ
ントである。
【0040】iii)燻蒸庫に導入したガスを再度気化
室に循環させて使用する場合には、燻蒸庫内のガス成分
がプロペラントとなる。従って、ヨウ化アルキル含有ガ
スが他の燻蒸成分を含有するものであり、かつ気化ガス
に空気、窒素、二酸化炭素およびヘリウムからなる群か
ら選ばれる少なくとも1種以上を供給した場合には、空
気、窒素、二酸化炭素、ヨウ化アルキル以外の燻蒸性ガ
ス、燻蒸剤に含有される溶剤ガスおよびヘリウムからな
る群から選ばれる少なくとも1種以上のガスがプロペラ
ントとなる。
【0041】プロペラントは、ヨウ化アルキルの気化の
前後を問わず気化室または気化室と燻蒸庫とを連通する
配管等を経て供給することができる。しかしながら、い
ずれにしても気化したヨウ化アルキル含有ガスが凝縮す
る前にプロペラントを添加する必要がある。具体的に
は、ヨウ化アルキル含有ガスの温度が、ヨウ化アルキル
の沸点よりも1〜60℃高い温度、より好ましくは1〜
50℃高い温度において、プロペラントを供給する。ヨ
ウ化アルキルの沸点は外圧によって異なるため、ここで
いうヨウ化アルキルの沸点とは、プロペラントを添加す
る際の雰囲気下におけるヨウ化アルキルの沸点を意味す
るものとする。一般に、凝縮は温度の低下、ガス圧の増
加によって発生する。しかしながら、上記範囲のガス温
度を維持している場合にプロペラントを添加すると、凝
縮の発生がないからである。なお、該プロペラントの添
加後のガス全圧は、5〜150kPaであり、より好ま
しくは10〜130kpa、特に好ましくは20〜12
0kpaである。この圧力範囲であれば、気化室体積、
気化室と燻蒸庫とを連結する配管の体積、燻蒸庫体積、
該配管内温等に制限されずにヨウ化アルキルの凝縮を防
止することができるからである。
【0042】なお、ヨウ化アルキルに添加するプロペラ
ントは、ガス状であれば常温であっても、加熱によりヨ
ウ化アルキル含有ガスと同じ温度またはこれより高温に
調整してあってもよい。しかしながら、該プロペラント
が常温である場合には、プロペラントの添加によって形
成されるヨウ化アルキルとの混合ガスの温度が低下す
る。この結果、ヨウ化アルキル含有ガスとプロペラント
との混合ガスの温度が、該混合ガス雰囲気下におけるヨ
ウ化アルキルの沸点より−30℃より低くなると、一般
にヨウ化アルキルの凝縮が発生しやすくなる。その一
方、該混合ガス雰囲気下におけるヨウ化アルキルの沸点
より60℃を超えて高温になると、配管内のガス圧が高
くなり、プロペラントの添加による加圧とあいまって耐
圧性の配管を要し、新たな機器の調製が必要となる。こ
のため、ヨウ化アルキルとプロペラントとの混合後のガ
ス温度が、該混合ガス雰囲気下におけるヨウ化アルキル
の沸点より−30〜60℃高いガス温度を維持できるよ
うに、供給するプロペラントの温度を調製することが好
ましい。
【0043】本発明では、このようなヨウ化アルキルの
気化とプロペラントの添加によって、気化室と燻蒸庫と
を連結する配管内におけるヨウ化メチルと該プロペラン
トとの濃度が、全ガス成分を100%としてそれぞれ該
ヨウ化アルキル97〜3v/v%、プロペラント3〜9
7v/v%、より好ましくはヨウ化アルキル70〜4v
/v%、プロペラント30〜96v/v%、特に好まし
くはヨウ化アルキル60〜4v/v%、プロペラント4
0〜96v/v%とする。なお、燻蒸庫からの排気ガス
を気化室や該配管に循環させてプロペラントとして使用
する場合には、プロペラントにヨウ化アルキルが含まれ
る。この場合には、燻蒸庫からの排ガスに含まれるヨウ
化アルキル量は、上記気化室で気化したヨウ化アルキル
に加算してヨウ化アルキル濃度として算出するものとす
る。本発明は、ヨウ化アルキルにプロペラントを添加す
ることでヨウ化アルキルの凝縮を防止するものであり、
特にヨウ化アルキルとプロペラントの濃度とが特定範囲
になると、凝縮防止効果に優れることを見出したものだ
からである。もちろん、ヨウ化アルキル含有ガスが凝縮
を発生しないためのヨウ化アルキルの濃度はガス温度に
よって異なる。またこのガス温度は、燻蒸処理のための
気化および気化ガスの燻蒸庫への供給という実用に即し
た条件下における温度条件内で目的を達成することがで
きる。この意味で、好ましいガス温度は、該混合ガスが
燻蒸庫に供給される直前において含まれる該雰囲気下に
おけるヨウ化アルキルの沸点より−60〜60℃高く、
より好ましくは−30〜20℃高く、特に好ましくは−
30〜0℃高いことである。これによって、被燻蒸物を
加温することなく、かつヨウ化アルキルを凝縮すること
なく燻蒸庫に供給することができるからである。
【0044】本発明の第二は、燻蒸剤を気化室で加熱に
よって発生させたヨウ化アルキル含有ガスを配管内を経
て燻蒸庫に供給する燻蒸方法において、該配管を保温材
で被覆してガス温度をヨウ化アルキルの沸点より−30
〜60℃高い温度に維持することを特徴とする、ヨウ化
アルキル含有ガスの凝縮防止方法である。なお、ここに
いうヨウ化アルキルの沸点とは、該配管内の雰囲気下に
おけるヨウ化アルキルの沸点を意味するものとする。本
発明は、気化したヨウ化アルキル含有ガスの凝縮が、該
ガス温度の低下や圧力の増加によって発生することか
ら、配管内のガス温度の低下を防止して凝縮を回避する
ものだからである。配管長の相違や気化ガス温度の相
違、気化ガス濃度の相違などによって凝縮を防止できる
保温効果が異なるが、保温材の配設によって気化したヨ
ウ化アルキル含有ガスの温度をヨウ化アルキルの沸点よ
りも−30〜60℃、より好ましくは−20〜40℃、
特に好ましくは−10〜20℃高い温度に維持すること
で該ガスの凝縮を防止することができる。なお、本発明
の凝縮防止方法においても、「燻蒸剤」、「気化室」、
「加熱」、「配管」、「燻蒸庫」、および「ヨウ化アル
キル含有ガス」として、上記と同じものを使用すること
ができる。
【0045】本発明においては、保温材として一般に配
管内の流体の温度を維持するために使用できる公知の保
温材を広く使用することができる。従って、発泡スチロ
ール;ウレタンフォーム;スポンジ;フェルト、綿等の
布帛;コルク;断熱機構を有する積層紙等がある。本発
明では、これらの1種を単独で使用してもよく、または
2種以上を併用することもできる。特に、上記のように
配管長の相違や気化ガス温度の相違、気化ガス濃度の相
違などによって適宜保温材を選択することができる。保
温材によって保温効果が異なるためである。
【0046】気化室と燻蒸庫とを連結する配管内のヨウ
化アルキル含有ガスまたはプロペラントを添加した場合
には、ヨウ化アルキルとプロペラントとの混合ガスの温
度は、該配管内の雰囲気下におけるヨウ化アルキルの沸
点より−60〜60℃高い温度に維持することが好まし
く、この範囲であれば制限はないが、より好ましくは該
沸点より−30〜20℃高く、特に好ましくは−30〜
0℃が高いことである。この際のヨウ化アルキル濃度
は、配管内における全ガス成分を100%として、97
〜3v/v%であり同時にプロペラント97〜3v/v
%となる。より好ましくはヨウ化アルキル含有ガス70
〜4v/v%、プロペラント30〜96v/v%であ
る。特に好ましくはヨウ化アルキル60〜4v/v%、
プロペラント40〜96v/v%である。
【0047】なお、本願第二の発明においては、特にヨ
ウ化アルキル含有ガスの気化ガスに対して、空気や窒素
などのプロペラントを気化室または気化室と燻蒸庫とを
連結する配管に人為的に導入するプロペラントの供給操
作は必要ではない。第二の発明は、気化したヨウ化アル
キル含有ガスを所定温度に維持することで凝縮を防止す
るものだからである。しかしながら、蒸庫内を真空にし
て燻蒸処理する真空燻蒸は、気化室から配管を経て気化
ガスのみを燻蒸庫に供給するために空気などのプロペラ
ントは含まれないが、常圧燻蒸の場合には、気化室や配
管等に大気圧が存在するためプロペラントは常在する。
また、燻蒸成分としてヨウ化アルキルに加えて他の燻蒸
性ガスを気化させ、または燻蒸剤に溶剤が含まれる場合
には、気化室内に本発明で定義したプロペラントが結果
として含まれる。上記配管内におけるヨウ化アルキルの
濃度およびプロペラントの濃度とは、このような配管内
に存在するプロペラントを含む値である。本願第二の発
明においては、上記濃度のヨウ化アルキル含有ガスに関
して、気化室と燻蒸庫とを連結する配管を保温材で被覆
して上記混合ガス温度を維持することで、特にプロペラ
ントを添加しなくても凝縮を生じることがないとするも
のだからである。なお、該ヨウ化アルキル濃度を維持で
きれば、気化ガスに更に人為的にプロペラントを添加す
ることは、自由である。
【0048】また、配管を保温材で被覆したのみではガ
ス温度を上記範囲に維持することができない場合には、
配管を加熱装置の使用によって、該ガスを加温し上記範
囲のガス温にすることもできる。このような加熱装置と
しては、電熱ヒーターまたは熱媒を循環させる加熱ジャ
ケットによるもの等がある。
【0049】本発明の第三は、上記記載の凝縮防止方法
によって得たヨウ化アルキル含有ガスを燻蒸庫に供給
し、ヨウ化アルキル0.02〜12.6v/v%で燻蒸
することを特徴とする燻蒸方法である。
【0050】本発明では、ヨウ化アルキルの凝縮を防止
できるため、燻蒸庫内に該ガスを供給するに際して投薬
ラインに燻蒸剤を残すことなく、特に、該燻蒸剤がヨウ
化アルキルに他の燻蒸成分を含有する場合には含まれる
全ての燻蒸成分を投薬ラインに残存することなく燻蒸庫
に供給することができ、その生産量の少ないヨウ化アル
キルを有効に使用して燻蒸することができる。ヨウ化ア
ルキルを0.02〜12.6v/v%としたのは、この
範囲で、十分な燻蒸効果が得られると共に、被燻蒸物の
変質、腐食などが少ないからである。なお、燻蒸濃度
は、被燻蒸物の材質、特性などを考慮して適宜上記範囲
内で選択することができる。これにより、より被燻蒸物
の変質などを防止した燻蒸処理が可能となる。ヨウ化ア
ルキルの濃度は、より好ましくは0.2〜12.6v/
v%であり、特に好ましくは0.5〜1.0v/v%で
ある。特に、ヨウ化メチルの場合には、0.02〜1
2.6v/v%、より好ましくは0.2〜4v/v%で
あり、特に好ましくは0.5〜3v/v%である。な
お、ここにいうヨウ化アルキルの濃度は、燻蒸庫内の全
ガス成分に対する濃度である。
【0051】燻蒸庫内では、被燻蒸物に適した燻蒸剤濃
度および圧力で燻蒸処理を行うことができる。一般に
は、密閉式の燻蒸庫や被燻蒸物が収納された室内を目張
りなどして燻蒸ガスが遺漏しないようにしたものに、燻
蒸ガスを供給する。一般には、燻蒸温度は、被燻蒸物に
よって適宜選択しうるのであるが、温度0〜40℃であ
ることが好ましく、より好ましくは20〜30℃であ
る。燻蒸ガスであるヨウ化アルキル含有ガスが、ヨウ化
アルキルを凝縮することなく燻蒸庫内に導入されると、
燻蒸庫内のヨウ化アルキル濃度は気化室や気化室と燻蒸
庫とを連結する配管内よりも低いために、新たに凝縮を
生ずることはない。このため常温で燻蒸処理をすること
ができるのである。なお、燻蒸時間は、被燻蒸物や燻蒸
剤の種類により適宜選択できるが、一般には、5〜12
0時間で十分である。
【0052】また、気化器から燻蒸剤をガス化して燻蒸
庫に供給すると、ヨウ化アルキルの気体比重が大きいた
めに、供給した燻蒸剤と燻蒸庫内の空気との混合に時間
がかかる。このため、燻蒸庫内には攪拌扇を配置して庫
内の空気と燻蒸剤ガスとを攪拌して均一にしてもよい。
本発明においては、プロペラントを添加して凝縮を防止
した場合には、すでにプロペラントによって燻蒸剤がプ
ロペラント内に混合され、かつプロペラントの添加によ
ってガスの比重が下げられるために、燻蒸庫内に供給し
た燻蒸剤が気化ガスと容易に混合され、庫内の空気と均
一になる。
【0053】本発明の燻蒸方法においては、被燻蒸物の
特質を考慮した湿度を選択することができる。従って、
被燻蒸物が主として金属である場合には、湿度60%以
下で燻蒸することにより燻蒸処理中の金属の腐食を防止
することができる。その一方、屏風、掛け軸、書籍、
本、紙、漆器や絵画等の乾燥に弱い文化財の場合には、
湿度60〜80%、より好ましくは60〜70%で燻蒸
することにより、文化財の収縮、亀裂などの乾燥による
破損を防止することができる。
【0054】なお、本発明において、文化財とは文化財
保護法第2条に規定する第1号に規定する有形文化財お
よび第3号に規定する民俗文化財であって、建築物を除
いたものをいう。従って、従来から文化財の燻蒸処理の
対象となる一般に使用することができる。
【0055】また、文化財に制限されず、従来臭化メチ
ルを使用して燻蒸されていた各種の被燻蒸物、例えば、
建材、穀物、野菜や果物などの青果、花卉などの燻蒸に
応用することができる。
【0056】本発明の燻蒸方法では、更に燻蒸庫内に供
給した気化した燻蒸剤を含有する庫内ガスを燻蒸庫に循
環させてもよい。このように循環使用することで、燻蒸
剤を効率的に使用することができるからである。循環さ
せる燻蒸庫内ガス量については特に制限はない。また、
循環ガスの供給個所についても、再度燻蒸庫に供給する
ことができればいずれであってもよい。しかしながら、
上記配管の一部または気化室の一部から供給させると、
該燻蒸庫内ガスを上記するプロペラントとして使用する
ことができる。
【0057】
【実施例】以下、本発明の実施例により具体的に説明す
る。
【0058】(実施例1)図1に示す装置を用いて空気
ポンプの吸入口に塩化カルシウム管を装着して脱水し、
冷却装置の冷却温度22℃として、表1に示す条件でヨ
ウ化メチルを気化させ、空気による希釈の効果を評価し
た。結果を表1に示す。
【0059】その結果、上記条件下では、ヨウ化メチル
を1分間に2g(0.35L/分)蒸発でき、この条件
下で空気量10L/分でプロペラントを供給するとヨウ
化アルキルの凝縮が生じなかった。このときの排気直前
のヨウ化メチル濃度は、3.50v/v%であり、算出
したヨウ化メチルの分圧は350hPaであった。
【0060】
【表1】
【0061】(実施例2)冷却器の温度を0℃にし、表
2に示す条件に変更した以外は実施例1と同様に操作し
て空気による希釈の効果を評価した。結果を表2に示
す。
【0062】その結果、上記条件下では、ヨウ化メチル
を1分間に2g(0.35L/分)蒸発し、この条件下
で空気量10L/分でプロペラントを供給すると、0℃
における排気直前のヨウ化メチル濃度は、3.50v/
v%であり、算出したヨウ化メチルの分圧は170hP
aと算出された。
【0063】
【表2】
【0064】(実施例3)図2に示す装置を用いて、ヨ
ウ化メチルを気化して文化財を燻蒸した。まず、予め窒
素ガスにより1kg/cm2に加圧したヨウ化メチル
(2)を計量器(7)に1.68kg供給した。次いで
気化器(10)に付属させたブロア(12)を40L/
分の送風力で稼動させ、気化器を通過させ発生したガス
と混合させつつ混合ガスを燻蒸庫(30)に送った。ま
た、燻蒸庫(30)には前記ブロア(12)に連結する
配管(40)を設け、庫内のガスを該ブロア(12)に
循環させた。次いで、気化器(10)に付属するヒータ
ー(11)によって気化室内の温度を80℃に調整し、
保温材(24)燻蒸ガス送気配管(20)の温度を60
℃に維持した。その後、前記計量器(7)から50ml
/分程度の液量でヨウ化メチルを気化器(10)に送っ
た。計量器(7)内のヨウ化メチルがなくなった時点で
計量器バルブ(8)を閉鎖し、気化器ヒーター(11)
の電源を切り投薬終了とした。なお、燻蒸処理が終わる
までブロア(12)による送風を連続した。この際のヨ
ウ化メチルの含有量は、35.4〜37.8v/v%で
あり、プロペラントは64.6〜62.2v/v%であ
る。また、配管内の圧力は100〜110kPaであっ
た。
【0065】燻蒸庫の体積は12m3であり、ヨウ化メ
チル1.68kgの投与による到達濃度理論値は140
g/m3となる。燻蒸処理は、庫内温度30℃にて暴露
時間24時間で行った。なお、庫内のヨウ化メチルの濃
度は、理研計器株式会社、干渉式18型および北川式検
知管、またヨウ化メチルの分解をチェックするためにヨ
ウ素測定用ガステック9L検知管を使用した。
【0066】被燻蒸物としては、金属・木・竹製民具、
絹・木綿・麻製染め物、金糸刺繍、剥製、漆器類、古
書、カラーフィルム(ネガおよびプリント)、白黒フィ
ルム(ネガおよびプリント)、絹絵、カラー石版画、モ
ノクロ石版画、デンプン紙、、金属(銀、金、銅、錫、
鉛、ニッケル、真鍮、鉄、アルミニュウム)、岩絵具
(胡粉、黄土、岱赭、黄緑青、松葉緑青、群青、淡口
紫、木藍、岩桃、岩紅、鎌倉朱、コチニール、丹、弁柄
石黄、白亜、藤黄、シルバー・ホワイト、クロム・イエ
ロー、カドミニウム・レッド、カドミニウム・イエロ
ー)、油絵具(パーマネント・ホワイト、パーマネント
・イエロー・ライト、パーマネント・グリーン・ベー
ル、ビリジャン・ヒュー、コバルト・ブルー・ヒュー、
ウルトラ・マリン・ディープ、バーミリオン・ヒュー、
クリムソン・レーキ、イエロー・オーカー、バーント・
シェンナ、バーント・アンバー、アイボリー・ブラッ
ク)、水彩絵具(白色、レモン色、山吹色、朱色、赤
色、黄緑色、ビリジアン、青色、藍色、黄土色、茶色、
黒色)等、更に燻蒸効果効果判定用生物としてコクゾウ
ムシ、黒コウジカビを庫内に収納した。なお、被燻蒸物
の全体収容比率は40%であった。
【0067】この結果、気化器(10)と燻蒸庫(3
0)とを連結する燻蒸ガス送気配管(20)には、ヨウ
化メチルの凝縮は一切観察されなかった。これは、気化
システムによって完全にヨウ化メチルがガス化され、か
つプロペラントの添加によって凝縮が防止されたと解さ
れる。また、被燻蒸物への薬害は一切観察されず、ヨウ
化メチルも分解しなかった。その一方、効果判定用生物
は100%が死に至っていたため、十分な燻蒸が達成さ
れていた。
【0068】さらに、表3に示したように投薬終了直後
のヨウ化メチル濃度が投与理論値と良い一致を示し、燻
蒸24時間後の維持濃度も当初の85%を超えてほとん
ど損失を示していなかった。なお、15%の損失分につ
いては、ヨウ化メチルの分解で生じるヨウ素が検出され
ない(検出限界2ppm)ことにからヨウ化メチルの分
解による損失は考えられない。
【0069】
【表3】
【0070】(実施例4)下記表4に示す異なる濃度で
燻蒸庫内に燻蒸ガスを供給した場合の、庫中の投薬ヨウ
化アルキル含有ガスの濃度変化を経時的に測定した。な
お、燻蒸庫内温度は25℃である。結果を表4に示す。
この結果、燻蒸庫内に一旦均一にガス化されたヨウ化メ
チルは、その後24時間の燻蒸期間中にガスの液化など
による濃度変化は見られず安定であることが判明した。
【0071】
【表4】
【0072】(実施例5)実施例1等から得た実施可能
な投薬量について、燻蒸庫内を表5に示す温度に調整し
た場合の気化器への燻蒸剤の投与量と、プロペラト量と
の関係を算出した。結果を表5に示す。なお、表5にお
けるMIDは、ヨウ化メチルを示す。
【0073】
【表5】
【0074】
【発明の効果】本発明によれば、従来好ましく使用され
た臭化メチルの代替品であるヨウ化アルキルを、凝縮さ
せることなく燻蒸庫に供給することができる。このた
め、投薬ラインにおける燻蒸剤のロスを防止することが
できる。特に、プロペラントの添加や配管の保温または
加熱という簡便な方法によって従来臭化メチルの燻蒸に
使用された燻蒸装置をそのまま用いて、簡便にヨウ化ア
ルキルの凝縮を防止することができる。また、凝縮の防
止と同時に、燻蒸庫内の空気と気化した燻蒸剤とを極め
て均一に混合することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、実施例1〜3で使用した気化装置の
概略図である。
【図2】 図2は、本発明のヨウ化アルキルの凝縮防止
方法の好ましい実施態様を示す概略図である。
【符号の説明】
1…温水浴、 2…ヨウ化メチル、 3…冷却装置、 4…空気供給装置(塩化カルシウムによる脱水処理機構
を含む) 5…ヨウ化メチルガス、 6…窒素ガス、 7…計量器、 8…計量器バルブ、 10…気化器、 11…ヒーター、 12…ブロア、 20…燻蒸ガス送気配管、 21…投薬バルブ、 22…排気バルブ、 23…マノメータ、 24…保温材、 30…燻蒸庫、 40…配管。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燻蒸剤を気化室で加熱によって発生させ
    たヨウ化アルキル含有ガスを配管内を経て燻蒸庫に供給
    する燻蒸方法において、 該ヨウ化アルキル含有ガスにプロペラントを添加した後
    に該燻蒸庫に供給することを特徴とする、ヨウ化アルキ
    ル含有ガスの凝縮防止方法。
  2. 【請求項2】 該プロペラントが、空気、窒素、二酸化
    炭素およびヘリウムからなる群から選ばれる少なくとも
    1種のガス、または空気、窒素、二酸化炭素およびヘリ
    ウムからなる群から選ばれる少なくとも1種以上と燻蒸
    剤気化ガスとの混合ガスである、請求項1記載の凝縮防
    止方法。
  3. 【請求項3】 該プロペラントの添加が、該ヨウ化アル
    キル含有ガスの温度がヨウ化アルキルの沸点より1〜6
    0℃高い温度で行うことを特徴とする、請求項1または
    2記載の凝縮防止方法。
  4. 【請求項4】 該燻蒸庫と気化室とを連結する配管内の
    ガス組成が、該ヨウ化アルキル3〜97v/v%であ
    り、該プロペラント97〜3v/v%であることを特徴
    とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の凝縮防止
    方法。
  5. 【請求項5】 燻蒸剤を気化室で加熱によって発生させ
    たヨウ化アルキル含有ガスを気化室と燻蒸庫とを連結す
    る配管を経て燻蒸庫に供給する燻蒸方法において、 該配管を保温材で被覆してガス温度をヨウ化アルキルの
    沸点より−30〜60℃高い温度に維持することを特徴
    とする、ヨウ化アルキル含有ガスの凝縮防止方法。
  6. 【請求項6】 該配管の内圧が20〜120kPaであ
    る請求項5記載の凝縮防止方法。
  7. 【請求項7】 該保温材が、発泡スチロール、ウレタ
    ン、スポンジおよび布帛からなる群から選ばれる少なく
    とも1種以上の部材であることを特徴とする、請求項5
    または6記載の凝縮防止方法。
  8. 【請求項8】 燻蒸剤を気化室で加熱によって発生させ
    たヨウ化アルキル含有ガスを気化室と燻蒸庫とを連結す
    る配管に導入させて燻蒸庫に供給する燻蒸方法におい
    て、 該配管を加熱装置で加熱することを特徴とする、ヨウ化
    アルキル含有ガスの凝縮防止方法。
  9. 【請求項9】 該加熱装置が、電熱ヒーターまたは熱媒
    を循環させる加熱ジャケットによるものである、請求項
    8記載の凝縮防止方法。
  10. 【請求項10】 該ヨウ化アルキルが、ヨウ化メチルで
    あることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の
    凝縮防止方法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10記載の凝縮防止方法に
    よって得たヨウ化アルキル含有ガスを燻蒸庫に供給し、
    ヨウ化アルキル0.02〜12.6v/v%で燻蒸する
    ことを特徴とする燻蒸方法。
  12. 【請求項12】 該燻蒸庫内のガスの一部をプロペラン
    トとして循環使用することを特徴とする、請求項11記
    載の燻蒸方法。
  13. 【請求項13】 該ヨウ化アルキルが、ヨウ化メチルで
    あることを特徴とする請求項11または12記載の燻蒸
    方法。
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