JP2002114832A - 高耐熱難燃性シアネート樹脂 - Google Patents

高耐熱難燃性シアネート樹脂

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JP2002114832A
JP2002114832A JP2000308822A JP2000308822A JP2002114832A JP 2002114832 A JP2002114832 A JP 2002114832A JP 2000308822 A JP2000308822 A JP 2000308822A JP 2000308822 A JP2000308822 A JP 2000308822A JP 2002114832 A JP2002114832 A JP 2002114832A
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resin
cyanate
cyanate resin
flame retardant
flame
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JP2000308822A
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Isao Hagiwara
猪佐夫 萩原
Katsutoshi Yamazaki
克敏 山崎
Jun Yokoyama
潤 横山
Masao Hiramatsu
聖生 平松
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Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】高い溶融温度の無鉛ハンダに対応し、ノンハロ
ゲンで難燃性を達成する環境調和型のシアネート化合物
およびその組成物を提供する。 【構成】下記一般式1 【化1】 (式中、R1およびR2は、同一もしくは異なる水素原
子、低級アルキル基、アリール基もしくはアラルキル基
の何れかであり、xは0〜3、yは0〜5の整数であり、n
およびmは同一もしくは異なる自然数を示す)で表され
るリン酸エステル構造を有する難燃性シアネート樹脂お
よびこれを用いた組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハロゲンを含まな
い難燃性シアネート樹脂であり、これを用いたプリプレ
グ、及び積層板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電気・電子機器に広く使用されているプ
リント配線板には、エポキシ樹脂が一般的に用いられて
いる。そして、火災に対する安全性を確保するために難
燃性を考慮した樹脂組成物としてハロゲン含有化合物が
一般的に用いられている。近年、高密度、低誘電率そし
て高信頼性の要求される半導体パッケージ用プリント配
線板を中心にエポキシ樹脂よりも高性能な樹脂としてシ
アネート樹脂が用いられるようになった。現在一般的に
用いられているシアネート樹脂としては、ビスフェノー
ルAのジシアネートであり必要特性に応じてビスマレイ
ミドやエポキシ化合物と共用されている。そして、同様
に火災に対する安全性を確保するために難燃性を考慮し
た樹脂組成物としてハロゲン含有化合物が一般的に用い
られている。
【0003】このハロゲン化合物として代表的なもの
は、臭素化エポキシ樹脂等の芳香族臭素化物であり、他
の物性を低下することなく難燃性を付与できる点で優れ
ている。しかし、これらの化合物は燃焼時に有毒な臭化
水素が出るだけではなく、不完全燃焼の際に内分泌かく
乱作用物質(環境ホルモン)として知られる猛毒なポリ
ブロモベンゾジオキサン及びポリブロモベンゾフランが
発生する恐れがある。この様な指摘を受けて臭素含有難
燃剤に代わる環境調和型難燃剤の開発が検討されてい
る。
【0004】ハロゲン系以外の難燃剤としては、窒素化
合物、リン化合物、金属水酸化物などが知られている。
金属水酸化物は、大量に添加する必要があるため積層板
の誘電率などの物性変化が大きく問題であった。リン化
合物は、比較的少量で難燃化が可能であることから種々
検討されている。しかし、一般的なリン系難燃剤である
トリフェニルホスフェートやクレジルジフェニルホスフ
ェートは、これらの化合物の可塑性作用により樹脂のガ
ラス転移点が大幅に低下するばかりではなく、積層板を
加工する際のメッキ工程において処理液中に添加したリ
ン系難燃剤が溶出して汚染する問題も生じる。
【0005】一方、シアネート樹脂は、環化3量化して
トリアジン環を生成しながら重合することが知られてい
る。このトリアジン環の生成が、シアネート樹脂の耐熱
性の要因である。窒素系難燃剤であるメラミン誘導体も
トリアジン環を有しているように、シアネート樹脂の硬
化物は、エポキシ樹脂と比較すれば、燃焼しにくい樹脂
である。しかし、窒素化合物は、効能が小さいので単独
使用では難燃化させることが困難であり、他の難燃剤と
組み合わせる必要がある。
【0006】ところが、フェノール化合物、有機酸、ア
ミン類、金属塩等は、シアネート樹脂の硬化触媒として
知られており、多量に添加するとシアネート樹脂の保存
安定性が低下し、時には加熱しなくても硬化してしまう
ことも起こる。このようにシアネート樹脂は、非常に反
応活性が高いため、組み合わせ可能な難燃剤の範囲は同
様な熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂等に比較して大幅
に制限されてしまう。さらに、新規なシアネート樹脂を
分子設計する場合もシアネート基の反応活性を考慮した
合成を行なう必要があり、エポキシ樹脂で多用される変
性等が困難である。以上のような制約からハロゲン化合
物を使用せずにシアネート樹脂を難燃化することは難し
く、新たな技術の開発が望まれていた。
【0007】また、同様な環境への配慮として有害金属
である鉛を使用しないハンダの使用が検討されている。
この無鉛ハンダとしては、種々の合金組成が検討されて
いるが、接続信頼性を重視した場合、現在の鉛ハンダよ
りも高い溶融温度の組成が必要と言われている。このこ
とから、半導体パッケージ等の接続信頼性の要求される
プリント配線板に対しては、今まで以上の耐熱性が耐燃
性とともに必要とされている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、この
様な問題を解決すべく検討されたものであり、無鉛ハン
ダの高い溶融温度に対応し、更にハロゲン化合物を用い
ずに高度に難燃性を付与した環境調和型の高性能シアネ
ート樹脂組成物およびこれを用いた積層板を提供するこ
とである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、シアネー
ト化合物の骨格構造と難燃性発現のメカニズムについて
鋭意研究を続けた結果、特定のリン酸エステル構造を有
するシアネート化合物が上記の目的を満足することを見
出し、本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明は次のような分子設計に
基づき達成されたものである。まず、難燃性を発現させ
る元素としてリンに注目して検討した結果、リン酸エス
テル構造であれば、シアネート基の反応性に影響を与え
ないことを見出した。そして、添加型のリン酸エステル
に見られる可塑剤的作用による耐熱性の低下を防止する
目的でシアネート化合物にリン酸エステル構造を組み込
む方法を検討した。その結果、リン酸エステル構造を有
しフェノール性水酸基の残存している化合物を予め合成
し、最終段階で残ったフェノール性水酸基をシアネート
化する方法で目的とするリン酸エステル構造を有するシ
アネート化合物が得られ、このものが総合性能で優れて
いることを見出した。
【0011】更に、無鉛ハンダの高温に耐えうる構造に
関して分子設計を進めた。まず、高耐熱を確保するため
には、架橋密度が重要であり、3官能であるリン酸エス
テルを主鎖に持つ樹脂が有利である。しかし、リンの難
燃作用メカニズムは、燃焼により分解生成したリン酸が
樹脂の炭化触媒となる事と言われている。すなわち、主
鎖にリン酸エステル構造を導入した場合、樹脂の分解が
進まないとリン酸が耐燃剤の作用をしないことになるた
め、樹脂中のリン含量を高くしてリン酸の出る確率を上
げる必要がある。ところが、リン酸エステルの構造は、
樹脂の吸湿率を増加させる傾向があり、吸湿した樹脂は
電気性能が劣化し、さらに無鉛ハンダの高温処理でフク
レ等の問題を引き起こす。
【0012】そこで、本発明者等はこれらの問題を解決
するために検討した結果、シアネート樹脂の難燃化には
次の基本構造が適していることを発見した。 (a)樹脂の主鎖は、炭素−炭素結合であること (b)リン酸エステルは、樹脂の側鎖として導入されて
いること (c)シアネート基は、1分子中に少なくとも2個以上
有すること これらの構造を満足すると樹脂組成物中のリン含量が少
なくても難燃性が良好であり、吸湿率も低く無鉛ハンダ
の高温処理にも耐えうる材料となる可能性がある。
【0013】この特性の発現メカニズムは、不明な点も
多く断定できないが、以下のように推察される。リン酸
エステルを側鎖に導入したことにより、主鎖の切断の前
に燐酸が発生し、樹脂の炭化を促進する。従って、難燃
に必要なリン含量が少なくても目的を達しうる。また、
1分子中に2個以上のシアネート基が存在することによ
り、架橋密度が保たれ高耐熱を維持した。
【0014】すなわち、本発明を具体的な構造で示すと
次のとおりである。下記一般式(1)
【化2】 (式中、R1およびR2は、同一もしくは異なる水素原
子、低級アルキル基、アリール基もしくはアラルキル基
の何れかであり、xは0〜3、yは0〜5の整数であり、n
およびmは同一もしくは異なる自然数を示す)で表され
るシアネート樹脂。 (2)一般式(1)で表されるシアネート化合物を必須
成分とすることを特徴として、他のシアネート化合物も
しくはそのプレポリマーと、ハロゲン化されていないエ
ポキシ樹脂および硬化剤を含むシアネート樹脂組成物。 (3)上記(2)の樹脂組成物を基材に含浸してなるこ
とを特徴とするプリプレグであり、更にこのプリプレグ
を1枚以上積層して加熱加圧することで硬化させた難燃
性積層板である。
【0015】
【発明の実施の形態】上記一般式(1)で示される本発
明のリン化合物は、フェノール樹脂類とジアリールホス
ホロハライドを塩基の存在下で反応させ部分的にジアー
リルホスホロ化したフェノール樹脂類を合成し、次いで
塩基の存在下でハロゲン化シアンと反応させることによ
り容易に合成できる。無置換のフェノール樹脂(一般的
にはフェノールノボラック樹脂と呼ばれ、以後、「PN
V」と略す)とジフェニルホスホロクロリデート(以
後、「DPC」と略す)そして塩化シアンを用いた場合
を例示する。
【化3】 (式中、nおよびmは前述と同じ意味を持つ) 1段目の反応は、トリアリールリン酸エステルの製法と
して知られる一般的な方法が使用できる。例えば、PN
Vと塩基を含む有機溶媒中にDPCを滴下する方法にて
実施できるが、これに限定されるものではない。反応で
副生する塩化水素の捕捉剤である塩基としては、3級ア
ミンであれば、特に制限はないが、トリエチルアミンや
ピリジン等を用いることができる。中でもトリエチルア
ミンが好ましい。用いる有機溶媒としては特に限定され
ないが、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン
類、酢酸エチルのようなエステル類、N,N-ジメチルホ
ルムアミドのような非プロトン系極性溶媒、テトラヒド
ロフラン等のエーテル類が好適である。また、2種以上
の溶媒を混合して用いることもできる。反応温度は、溶
媒により適宜選択されるが、一般的に100℃以下が好ま
しく、0〜60℃が好適である。
【0016】2段目の反応は、ハロゲン化シアンを用い
るアリールシアネートの製法として知られる一般的な方
法が使用できる。例えば、1段目の反応で調整した部分
的にジフェニルホスホロ化(以後、「DPC化」と略
す)したフェノールノボラック樹脂(以後、「DPC-
PNV」と略す)と塩化シアンを有機溶媒に溶解し、塩
基を滴下する方法にて実施できるが、これに限定される
ものではない。反応で副生する塩化水素の捕捉剤である
塩基としては、3級アミンであれば、特に制限はない
が、トリエチルアミンやピリジン等を用いることができ
る。中でもトリエチルアミンが好ましい。用いる有機溶
媒としては特に限定されないが、アセトン、メチルエチ
ルケトンのようなケトン類、酢酸エチルのようなエステ
ル類、N,N-ジメチルホルムアミドのような非プロトン
系極性溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル類が好適
である。また、2種以上の溶媒を混合して用いることも
できる。更に、1段目の反応を行った反応液をそのまま
2段目に供することも可能である。反応温度は、溶媒に
より適宜選択されるが、一般的に60℃以下が好まし
く、0〜30℃が好適である。
【0017】なお、この反応で得られた上記一般式
(1)で表される本発明のシアネート化合物をDPC-P
NV-CNと略すことがある。上記一般式(1)で表され
る本発明のシアネート樹脂DPC-PNV-CNにおける
シアネート基含量とリン含量は、PNVとDPCの量比
である n/(m+n)で決定される。 n/(m+n)が小さい場
合は、リン含量が小さいため難燃性の作用が減少する。
そこで、難燃性を維持するために組成物中の含量を大き
くするか、他の難燃剤との併用が必要になる。一方、n
/(m+n)が大きい場合は、リン含量が大きくなるが硬化
性の基であるシアネート基が減少するため硬化時の架橋
密度が減少し、耐熱性の低下を起こす恐れがあることか
ら架橋密度の高い樹脂との組み合わせが必要となる。以
上の観点からn/(m+n)は、0.05以上が必要であり、通常
0.1〜0.95が好ましく、0.2〜0.8がさらに好ましい。
【0018】また、原料であるフェノール樹脂(PN
V)は、分子量が小さい場合、DPC化率(n/(m+n))を
上げると水酸基の全てがDPC化され架橋反応基である
シアネート基を含まない物質が多く含まれる可能性があ
る。一方、分子量が大きい場合、樹脂ワニスの粘度上昇
により基材に対する含浸性が悪化する可能性がある。以
上の観点からPNVとしては、低分子である2核体の含
量が少なく分子量が1万以下のものが好ましい。
【0019】本発明の樹脂組成物に用いるリン酸エステ
ル構造を有するシアネート樹脂の使用量は、構造および
難燃の等級により適宜選択されるため一概には規定でき
ないが、難燃性の発現は、樹脂組成物中のリン含量に相
関する。例えば、ULの難燃規格に適合するためのリン
含量としては、0.1重量%が必要であり、0.5重量%
以上が更に好ましい。また、リン酸エステル構造は、樹
脂の吸湿率を増加させるため、ハンダの高温処理に対応
するにはリン含量として3重量%以下が好ましく、2重
量%以下が更に好ましい。
【0020】本発明の樹脂組成物には目的を損なわない
範囲で、他の熱硬化性樹脂を併用することができる。具
体的に例示すれば、ビスフェノールAおよびビスフェノ
ールFのグリシジルエーテル、フェノールノボラックお
よびクレゾールノボラックのグリシジルエーテルなどに
代表されるエポキシ樹脂、ビスフェノールAジシアネー
トもしくはそのプレポリマーで代表されるシアネート樹
脂、ビスマレイミド類、シアネート樹脂をビスマレイミ
ドで変性した樹脂、(メタ)アクリル酸エステルまたは
ジアリルテレフタレートのような重合性不飽和基含有樹
脂が挙げられるが、これらに限定されない。また、熱可
塑性樹脂も添加することができる。具体的には、ポリフ
ェニレンエーテル、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポ
リイミド、およびこれらの樹脂の各種変性された樹脂を
挙げることができるが、これらに限定されない。
【0021】本発明の樹脂組成物の硬化触媒は、シアネ
ート基の硬化触媒として知られる公知のものを用いるこ
とができる。具体的には、オクチル酸亜鉛、オクチル酸
錫、ジブチル錫ジマレエート、アセチルアセトン鉄など
の有機金属化合物、塩化アルミニウム、塩化スズ、塩化
亜鉛などの金属塩、トリエチルアミン、ジメチルベンジ
ルアミン、2−メチルイミダゾールなどのアミン類、フ
ェノール、カテコールなどのフェノール類が挙げられる
が、これらに限定されない。更に、併用する樹脂の種類
によっては、必要に応じてその樹脂用の硬化触媒を併用
することができる。なお、本発明の組成物には目的に応
じて無機あるいは有機のフィラーを添加することができ
る。無機フィラーの具体例としては、水酸化アルミニウ
ム、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ
素、炭化ケイ素、マイカ、タルク等およびその表面処理
品が挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】本発明のシアネート樹脂組成物を用いた銅
張積層板の製造は、公知の方法に従うことにより行われ
る。すなわち、シアネート化合物等を含む熱硬化性樹脂
組成物を有機溶剤に溶解させた樹脂ワニスを調整し、こ
れを基材に含浸させ、熱処理してプリプレグとし、この
プリプレグと銅箔とを積層して加熱成形して銅張積層板
とする方法である。樹脂ワニスに使用される溶媒として
は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン、トルエン、キシレン、N,N-ジメチルホルムアミ
ド等の単独もしくは2種類以上の混合溶媒が挙げられ
る。樹脂ワニスを含浸させる基材としては、ガラス繊
維、アルミナ繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維
等の無機または有機繊維からなる職布、不織布、マッ
ト、紙あるいはこれらの組み合わせを挙げることができ
る。
【0023】プリプレグを得る熱処理条件は、使用した
溶媒、触媒量およびその他の添加剤の種類により適宜選
択されるが、一般的に知られた条件で行なうことができ
る。例えば、100℃〜200℃の温度で1分〜30分
加熱する方法が挙げられる。プリプレグと銅箔を積層し
銅張積層板とする加熱成形条件としては、150℃〜2
50℃の温度範囲で1MPa〜10MPaの成形圧力で
30分〜300分の加熱プレスする方法が挙げられる。
【0024】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。なお、実施例、比較例
における部および%は特に断らない限り重量基準であ
る。 合成例1 [DPC-PNVの合成] メチルエチルケトン1リットルにフェノールノボラック
樹脂(PNV)[大日本インキ化学(株)製、TD-2093
(数平均分子量Mn=1,400)]200gを溶解し、温度
計、攪拌装置、冷却管、滴下管を付けた5リットル反応
器に仕込んだ。この溶液を5℃まで冷却した後、ジフェ
ニルホスホロクロリデート(DPC)[大八化学(株)
製 DPC]256gとメチルエチルケトン500ミリリ
ットルを加えた。次に反応温度を5℃に維持しながらト
リエチルアミン106gを滴下することにより反応を行
なった。滴下終了後、25℃にて2時間熟成反応を行い
反応を完結させた。反応液を0.1N塩酸500ミリリッ
トルで2回および水500ミリリットルで1回の洗浄を
行なうことにより過剰のトリエチルアミンおよび反応で
生成したトリエチルアミン塩酸塩を除去した。洗浄後の
反応液から減圧下でメチルエチルケトンを留去して目的
とするDPC-PNV 419gを得た(収率=99.5
%)。なお、この合成例1の化合物はPNVの水酸基の
1/2がDPC化されており、1/2DPC-PNVと呼
ぶ。1/2DPC-PNVは、ゲルパーミネーションクロマ
トグラフィー(GPC)により低分子物質が無いことで
DPCとPNVが結合していることを確認し、赤外吸収
スペクトル(IR)分析によりリン酸エステルの吸収
(P=O : 1200Cm-1, P-O-C : 980cm-1)があることで同
定した。
【0025】合成例2 合成例1と同様な操作にてPNV 200g、DPC 128
g、トリエチルアミン 53gを用いて1/4DPC-PNV
310g(収率=99.8%)を得た。
【0026】合成例3 [原料フェノール樹脂の合成] フェノール 470部、ビスフェノールA 1140
部、ホルマリン(HCHO 35%)738部およびシュウ酸
16部を反応器に仕込み、加熱還流下で60分反応を行
なった。次に、塩酸 8部を加えて更に40分間反応を
継続した。反応終了後、反応液を2リットルの氷水中に
投入して反応を停止させると共に生成物を固形化させ
た。析出した粗生成物を吸引濾過で集めて水で3回洗浄
した。洗浄後の粗生成物をフラスコに移し、減圧下で1
50℃まで加熱して水および低沸点不純物を留去した。
最後に、フラスコに残った生成物をアルミ製バットに流
し込んで固形化させた。得られた生成物の収量は、17
02gであり、GPC分析の結果、数平均分子量Mn= 95
1の高分子であった。また、滴定法で水酸基当量を測定
した結果、114(g/mol)であり、目的物であることを
確認した。得られた生成物は、フェノールとビスフェノ
ールAが1:1のモル比である混合ノボラックであり、以
後「KNV」と略す。
【0027】合成例4 合成例1と同様な操作にて、PNVの代わりに合成例3
のフェノールとビスフェノールAの混合ノボラック樹脂
(KNV)200g、DPC 236g、トリエチルアミン
98gを用いて1/2DPC-KNV 401g(収率=99.4
%)を得た。
【0028】合成例5 [DPC-PNV-CNの合成] 温度計、攪拌装置、冷却管、滴下管を付けた5リットル
反応器にクロロシアン76gを含むジクロロメタン溶液
1リットルを仕込み0℃に冷却した。次に、合成例1で
得られた1/2DPC-PNV 419gおよびトリエチル
アミン115gをアセトン1リットルに溶解した溶液を
反応温度が0℃になるように滴下した。滴下終了後、2
5℃で2時間熟成反応を行い反応を完結させた。反応液
を0.1N塩酸500ミリリットルで2回および水500
ミリリットルで1回の洗浄を行なうことにより過剰のト
リエチルアミンおよび反応で生成したトリエチルアミン
塩酸塩そしてアセトンを除去した。洗浄後の反応液から
減圧下でジクロロメタンを留去し、最後に真空下で14
0℃まで加熱して低沸不純物を留去した。フラスコに残
った不揮発成分が目的性生物であるDPC-PNV-CN
443gであった(収率=100%)。なお、この不揮
発成分をアルミバットに投入し、冷蔵庫にて冷却して固
形化した。また、この生成物は原料が1/2DPC-PNV
であることから1/2DPC-PNV-CNと呼ぶ。生成物
は、ゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GP
C)によりDPC-PNVの分子量が維持されているこ
とを確認し、赤外吸収スペクトル(IR)分析により水
酸基の3300cm-1の吸収が無くなり、シアネート基の2200
cm-1の吸収が出現したことで同定した。
【0029】合成例6 合成例5と同様な操作にて合成例2で得られた1/4DP
C-PNV 310g、クロロシアン 114g、トリ
エチルアミン 173gを用いて1/4DPC-PNV-C
N 345g(収率=99.8%)を得た。
【0030】合成例7 合成例5と同様な操作にて合成例4で得られた1/2DP
C-KNV 401g、クロロシアン 70g、トリエ
チルアミン 105gを用いて1/2DPC-KNV-CN
419g(収率=99.1%)を得た。
【0031】合成例8 ビスフェノールA・ジシアネート[2,2-ビス(4-シアナ
トフェニル)プロパン、 商品名:スカイレックスCA
200(三菱ガス化学(株)製)]1000部を反応温
度155℃にて7時間反応させることによりビスフェノ
ールA・ジシアネートのプレポリマーを得た。得られた
プレポリマーは、GPCによる測定の結果、数平均分子
量(Mn)=1360であった(以後、このプレポリマ
ーをBPA-CN-Pと呼ぶ)。
【0032】実施例1 フェノールノボラック・エポキシ(大日本インキ化学
(株)製、商品名:エピクロンN-770)100部、合成
例8の2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパンのプレ
ポリマー(BPA-CN-P)105部、合成例5のDP
C化PNVのシアネート(1/2DPC-PNV-CN)4
5部をメチルエチルケトン 250部に溶解し、不揮発
分50%の溶液とし硬化触媒2-エチルヘキサン酸亜鉛
(Zn-EHex)0.01部を添加して樹脂ワニスを調整し
た。この樹脂ワニスを厚さ0.1mmのガラスクロス
(有沢製作所製 1031)に含浸させ160℃で5分間の
加熱熟成を行なうことにより、樹脂量50%のプリプレ
グを得た。このプリプレグを4枚積層し、両面に厚さ1
8μmの銅箔(三井金属工業(株)製 3EC-III)を
重ね、面圧2MPa、昇温1.5℃/minで230℃−1
20minの条件で真空加熱プレスを行い、銅張積層板を
得た。この積層板の特性を表-1に示した。
【0033】実施例2および3と比較例1〜4 表-1に記載した樹脂組成にて実施例1と同様のプリプ
レグを作成し、同様に銅張積層板をえた。この積層板の
特性を表−1に示した。比較例1では、硬化反応しない
レゾルシノールビスジフェニルホスフェート(RDP)
の比率が高く、ガラス転移点が低下し、耐熱性が劣る。
比較例2では、水酸化アルミニウムを併用することでR
DPの使用量を削減したが、水酸化アルミニウムの分解
の影響もあり、耐熱性が低い。比較例3では、難燃成分
を添加しないため耐熱および電気特性は良好であるが、
難燃性試験において消炎せずに最上端まで燃焼してしま
った。比較例4は、臭素化されたエポキシを難燃成分と
して使用した例である。
【0034】表-1 (a)大日本インキ化学(株)製 フェノールノボラック
・エポキシ (b)合成例8の2,2-ビス(4-シアナトフェニル)プロパ
ンのプレポリマー (c)合成例5のシアネート樹脂 (d)合成例6のシアネート樹脂 (e)合成例7のシアネート樹脂 (f)味の素ファインテクノ(株)製 レゾルシノールビ
スジフェニルホスフェート (g)昭和電工(株)製 水酸化アルミニウム (h) 大日本インキ化学(株)製 臭素化エポキシ樹脂 (i)硬化触媒:和光純薬工業(株)製 2-エチルヘキサ
ン酸亜鉛 表-1において、物性は次に記載する方法もしくは測定器
を用いて行なった。 (1)難燃性: UL94垂直法に準拠して燃焼時間によ
り評価した。各種銅張積層板の銅箔をエッチング除去し
た板から幅12.7mm、長さ127mmを切り出したものを
試験片とした。試験は、各5個の試験片に対して対して
2回の接炎を行い、消炎時間を測定した。なお、平均消
炎時間が5秒以内で且つ最長消炎時間が10秒以内であ
る物がUL94V-0である。消炎しない物がHBとなる。 (2)ガラス転移温度(Tg): セイコーインスツルメ
ンツ(株)製の熱分析システム製SSC5200を用い
て、昇温速度5℃/min、周波数10Hzで動的粘弾
性測定(DMA)を行い、損失正接(tan δ)ピークよ
り求めた。 (3)銅箔引き剥がし強度: JIS規格(C6481)
に準拠して行なった。銅箔は、三井金属工業(株)の3
EC-III(18μm)を使用した。単位は、kN/mで
ある。 (4)288℃耐ハンダ性: 5センチメートル角の積層
板を10枚用意し、288℃のハンダ浴に10分間浸漬
した。浸漬後の積層板の表面状態を目視で観察して膨れ
等の異常が無いかを調べた。結果の表記は、異常の発生
しなかった試験片の枚数である(全て異常が無い場合
は、10/10となる)。
【0035】
【発明の効果】本発明の特定のリン酸エステル構造を有
するシアネート化合物およびそれを用いた組成物は、リ
ン含有量が低くても高度に難燃性を発現し、シアネート
樹脂の本来の特性である高耐熱性や低吸湿率等を劣化さ
せることなくノンハロゲンで難燃性樹脂を作り出した。
これは、接続信頼性の要求される高い溶融温度の無鉛ハ
ンダにも対応し、更にハロゲン化合物を使用せずに難燃
性を実現できることから、接続信頼性が要求される半導
体パッケージ用の環境調和型材料として有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平松 聖生 東京都葛飾区新宿6丁目1番1号 三菱瓦 斯化学株式会社東京研究所内 Fターム(参考) 4F072 AA01 AA06 AA07 AB05 AB06 AB09 AB11 AB28 AB29 AD18 AE01 AG03 AG14 AG19 AH02 AH22 AJ04 AK14 AL13 4J033 CA02 CA11 CA19 CA28 CA29 CA44 CB18 CC03 CC09 CD04 HA07 HA12 HA21 HA27 HA28 HB02 HB03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フェノール型化合物がメチレン基で結合し
    たフェノール樹脂の水酸基に対してジアリールホスホロ
    化およびシアネート化して得られるシアネート樹脂。
  2. 【請求項2】下記一般式1 【化1】 (式中、R1およびR2は、同一もしくは異なる水素原
    子、低級アルキル基、アリール基もしくはアラルキル基
    の何れかであり、xは0〜3、yは0〜5の整数であり、n
    およびmは同一もしくは異なる自然数を示す)で表され
    る請求項1記載のシアネート樹脂。
  3. 【請求項3】請求項2の一般式1中のR1およびR2が全
    て水素原子であることを特徴とする請求項1記載のシア
    ネート樹脂。
  4. 【請求項4】請求項1から3記載のいずれかのシアネー
    ト樹脂を必須成分とする難燃性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】請求項4記載の樹脂組成物を加熱硬化して
    得られる積層板。
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