JP2002113105A - 酸素濃縮装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸素濃縮装置の空気取入口の目詰まりを簡便
な方法で検出する手段を提供する。 【解決手段】 酸素濃縮装置の防塵フィルターを備えた
空気取入口から酸素濃縮手段に原料空気を供給する空気
流入経路上の外殻筐体部分に、外気空気の通過する細孔
部を備える酸素濃縮装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、空気中の酸素を分
離して使用者に供給する酸素濃縮装置に関する。更に詳
細には窒素を選択的に吸着し得る吸着剤を使用した圧力
変動吸着型酸素濃縮装置に関するものであり、装置内へ
の空気取入口のフィルター目詰まりを容易に検知するこ
とが出来る装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、喘息、肺気腫症、慢性気管支炎な
どの呼吸器系疾患に苦しむ患者が増加する傾向がある
が、その最も効果的な治療法の一つとして酸素吸入療法
があり、空気中から酸素濃縮気体を直接分離する酸素濃
縮装置が開発され、使用時の利便性、保守管理の容易さ
から酸素吸入療法用の治療装置として、次第に普及する
ようになってきている。

【０００３】かかる酸素濃縮装置として、窒素を選択的
に吸着し得る吸着剤を１個或いは、複数の吸着床に充填
した吸着型酸素濃縮装置が知られ、中でも空気供給手段
としてコンプレッサーを用いた圧力変動吸着型酸素濃縮
装置が多用されている。かかる装置は、通常、窒素を選
択的に吸着し得る吸着剤を充填した１個或いは複数の吸
着床にコンプレッサーから圧縮空気を供給して加圧状態
で窒素を吸着させることにより酸素濃縮気体を得る吸着
工程と、吸着床の内圧を減少させて窒素を脱着させ吸着
剤の再生を行う脱着工程を一定サイクルで繰り返し行
い、更に必要に応じて、脱着工程終了直前に、既に生成
した乾燥酸素濃縮気体を一部逆流させ再生効率の向上と
昇圧を目的とする均圧工程を加えて、順次一定サイクル
で行うことにより酸素濃縮気体を得る装置である。

【０００４】また、近年、特開平６−２１９８６１号公
報、特表平７−５０４３５４号公報、特表平１０−５０
０４５０号公報に記載のように酸素イオン伝導性を有す
る固体電解質が開発され、かかる固体電解質を介して電
気化学的に酸素イオンを輸送し、酸素を濃縮発生させる
酸素濃縮装置が考案されている（特開平６−１５０９４
５号公報、特開平９−１３２４０２号公報、特開２００
０−７０７０６号公報等）。

【０００５】このような酸素濃縮装置は、大気中の空気
を装置内に取り入れ、物理的、電気的に酸素を分離する
装置であり、原料が空気であり設置場所をあまり選ばな
いことから、在宅医療用として呼吸器疾患患者の自宅で
使用されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】近年開発される酸素濃
縮装置では、静穏化を図るために内部の機械音、空気音
が外部に伝わらないように筐体である外装ケースの気密
性を上げてきている。一方、装置内部の機械冷却は、一
般に空冷方式が採用され、装置内への空気の取入れが必
須となる。酸素濃縮装置への空気の取り込みは、通常送
風ファンなどによって行われる。原料空気を装置内に取
り入れる空気取入口には、通常メッシュフィルター等の
防塵フィルターが取り付けられており、空気中の塵や埃
を吸い込まないようにしている。埃やゴミ、灰塵の装置
内への進入は、機器内部の汚れ、装置の寿命の短縮を引
き起こし、例えばコンプレッサーのピストンカップの磨
耗や吸着床の吸着剤吸着性能の低下、切替バルブ類の故
障などの原因となるほか、コンプレッサーの冷却ファン
用の冷却空気の取入れ口も併用している場合には、装置
内の冷却効率の低下、機器性能全体に影響を及ぼすこと
がある。従って、使用者に対して、使用に際し、定期的
にフィルター部分の清掃を求めている。

【０００７】一方、フィルターの目詰まりを直接検知す
る警報手段は、通常設けられておらず、酸素濃度異常警
報や吸気・排気温度異常警報などフィルター目詰まりに
よって２次的に起こる事象の警報が設けられている場合
が多い。しかしかかる２次情報の警報では、装置に対す
るダメージも大きく、事前にフィルターの清掃を使用者
に喚起する警報手段が求められる。かかる警報には圧力
センサー等によりフィルターの目詰まりを直接検出する
方法もあるが、データ-の変動やセンサー自身の長期信
頼性等の面で必ずしも充分なものとは言えない。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明は、従来の装置が
持つ上記課題を解決するものであり、より簡便な方法で
フィルターの目詰まりを検出する手段を見出したもので
ある。

【０００９】即ち本発明は、空気から酸素を分離する酸
素濃縮手段、該酸素濃縮手段で分離された酸素濃縮ガス
を使用者に供給する酸素供給手段を備えた酸素濃縮装置
において、該酸素濃縮装置の筐体に該酸素濃縮手段への
空気を取り入れるための防塵フィルターを備えた空気取
入口を備え、更に該酸素濃縮手段に供給する原料空気の
空気流入経路上の筐体に、外気空気の通過する細孔部を
備えることを特徴とする酸素濃縮装置を提供するもので
ある。

【００１０】また本発明は、かかる細孔部が、該筐体内
部が陰圧になった場合に空気流入により音を発する笛構
造体であることを特徴とするものであり、特にかかる細
孔部の口径が１〜７ｍｍΦの大きさであることを特徴と
する酸素濃縮装置を提供するものである。

【００１１】更に本発明は、かかる酸素濃縮手段が、酸
素よりも窒素を選択的に吸着する吸着剤を充填した少な
くとも１つの吸着塔と、該吸着塔に加圧空気を供給する
コンプレッサーを備えた圧力変動吸着型酸素濃縮手段で
あり、該酸素濃縮装置の筐体の防塵フィルターを備えた
空気取入口から該コンプレッサーに供給する原料空気の
空気流入経路上の筐体部分に、外気空気の通過する細孔
部を備えることを特徴とする酸素濃縮装置を提供するも
のである。

【００１２】

【発明の実施の形態】本発明は、空気から酸素を分離
し、使用者に供給する酸素濃縮装置に関するものであ
り、その防塵フィルターの目詰まりによって装置内が陰
圧になった場合、装置外装ケースに開けた細孔部より外
気が流入し、そこで発生する吸気音によって、目詰まり
を検知し且つ警報を発する装置である。

【００１３】従って、本発明は、空気から酸素を分離す
る酸素濃縮手段、該酸素濃縮手段で分離された酸素濃縮
ガスを使用者に供給する酸素供給手段を備えた酸素濃縮
装置であり、該酸素濃縮装置の筐体に該酸素濃縮手段へ
の空気を取り入れるための防塵フィルターを備えた空気
取入口を備え、更に該酸素濃縮手段に供給する原料空気
の空気流入経路上の筐体に、外気空気の通過する細孔部
を備えることを特徴とする酸素濃縮装置を提供するもの
である。

【００１４】かかる細孔部の大きさは、使用する機器の
大きさ、酸素発生能力によって異なる。在宅医療などで
使用される２Ｌ／分〜７Ｌ／分程度の酸素流量を発生す
る能力の酸素濃縮機の場合には、１〜７ｍｍφの口径の
細孔、更に好ましくは３〜６ｍｍφの口径のものが好ま
しい。流入空気量に比べて必要以上に大きい細孔を開け
ると音が発生せず、異物混入の可能性がある一方、逆に
小さすぎると少しの目詰まりでも音が発生してしまう。
音発生には、細孔部は渦流が発生する形状のものが好ま
しく、細孔表面部の角を面取りすると音の発生は抑制さ
れる。

【００１５】また、細孔部に積極的に笛構造体を設ける
装置であってもよく、リードを設けたり、内部より許容
できるフィルターの圧損に相当する与圧を板弁やばね等
でかけておき、目詰まりを起こした場合に細孔から流入
する空気で笛を鳴らす構造を採用することも可能であ
る。

【００１６】本発明の酸素濃縮装置は、空気中の酸素を
分離して使用者に供給する装置であり、例えば、酸素濃
縮手段として、酸素よりも窒素を選択的に吸着する吸着
剤を充填した少なくとも１つの吸着塔と、該吸着塔に加
圧空気を供給するコンプレッサーを備えた圧力変動吸着
型酸素濃縮装置であることができる。特にコンプレッサ
ーの発生する熱を冷却する冷却ファンが必須となり、冷
却性能の維持は機器性能の維持に有効である。

【００１７】また、例えば固体電解質膜を利用した酸素
発生装置に適用することも可能であり、原料空気供給用
のフィルター目詰まりを容易に検知することができる。

【００１８】本発明の細孔部分を設置する場所は筐体部
分であるが、筐体の空気取入口から酸素濃縮手段の空気
取入口を繋ぐ空気流入経路と外気を区切る筐体部分に設
けられる。酸素濃縮装置の場合、装置内は空気流入経路
と排気排出経路は明確に分離されており、空気流入経路
上の筐体部分に設けられる。但し、かかる空気流入経路
は空気取入口から酸素濃縮手段までの最短経路である必
要はなく、装置内部の構造上、設けられた空気流入経路
上の分岐部分も含まれる。

【００１９】かかる細孔の口径の大きさの変更によりフ
ィルターの目詰まり度合いの感知閾を容易に変更するこ
とが出来る。また酸素濃度センサーや温度センサー等の
センサー類による間接的な検知ではなく、フィルター目
詰まりを直接検知することが出来、圧力センサーでは検
出できないような圧力変動が大きい領域でも検出するこ
とが出来る。更に電気的検出ではなく物理的手段による
検出であり、制御手段等が不要であり、確実で簡便なフ
ィルター目詰まりを検出し、使用者に清掃等を直接知ら
せることが出来る。

【００２０】

【実施例】図１に本発明の酸素濃縮装置の概略断面図を
示す。かかる酸素濃縮装置は、酸素よりも窒素を選択的
に吸着する吸着剤として５A型ゼオライトを充填した吸
着筒にコンプレッサーにより加圧空気を供給し、酸素濃
度９０％の酸素濃縮ガスを取り出し、サージタンクに貯
留した後、加湿器を経由して使用者である呼吸器疾患患
者に３L/minで供給する１筒式の圧力変動吸着型酸素濃
縮装置である。

【００２１】装置内部に設けられた冷却ファンによっ
て、空気取入口から防塵フィルターを介して大気中から
空気を取り込み、筐体内部に設けられた空気流入経路を
通ってコンプレッサーが収容されているコンプレッサー
ボックス内に空気が送られる。かかる空気は酸素生成の
原料空気として使用される一方、コンプレッサーを空冷
する冷却空気として使用され、空気排出経路を通って装
置外に放出される。

【００２２】空気取入口の防塵フィルターが目詰まりを
起こした場合、冷却効率が低下し、装置内の温度上昇、
酸素生成にかかわる吸着筒の吸着効率の低下を引き起こ
し生成酸素濃度低下を引き起こす。防塵フィルターが目
詰まりを起こした場合、空気流入経路内が陰圧になり、
空気流入系路上の筐体部分に設けた直径２．５ｍｍφの
細孔から空気が流入し笛吹き音を発生する。かかる細孔
部の形状はエッジを残したままの円形状の穴である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の酸素濃縮装置の概略断面図。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 空気から酸素を分離する酸素濃縮手段、
   該酸素濃縮手段で分離された酸素濃縮ガスを使用者に供
   給する酸素供給手段を備えた酸素濃縮装置において、該
   酸素濃縮装置の筐体に該酸素濃縮手段への空気を取り入
   れるための防塵フィルターを備えた空気取入口を備え、
   更に該酸素濃縮手段に供給する原料空気の空気流入経路
   上の筐体に、外気空気の通過する細孔部を備えることを
   特徴とする酸素濃縮装置。
2. 【請求項２】 該細孔部が、該筐体内部が陰圧になった
   場合に空気流入により音を発する笛構造体であることを
   特徴とする請求項１記載の酸素濃縮装置。
3. 【請求項３】 該細孔部の口径が１〜７ｍｍΦの大きさ
   の細孔であることを特徴とする請求項１，２記載の酸素
   濃縮装置。
4. 【請求項４】 該酸素濃縮手段が、酸素よりも窒素を選
   択的に吸着する吸着剤を充填した少なくとも１つの吸着
   塔と、該吸着塔に加圧空気を供給するコンプレッサーを
   備えた圧力変動吸着型酸素濃縮手段であり、該酸素濃縮
   装置の筐体の防塵フィルターを備えた空気取入口から該
   コンプレッサーに供給する原料空気の空気流入経路上の
   筐体部分に、外気空気の通過する細孔部を備えることを
   特徴とする、請求項１〜３記載の酸素濃縮装置。