JP2002113090A - 生体用セラミックス多孔質部材 - Google Patents

生体用セラミックス多孔質部材

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JP2002113090A
JP2002113090A JP2000311820A JP2000311820A JP2002113090A JP 2002113090 A JP2002113090 A JP 2002113090A JP 2000311820 A JP2000311820 A JP 2000311820A JP 2000311820 A JP2000311820 A JP 2000311820A JP 2002113090 A JP2002113090 A JP 2002113090A
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tricalcium phosphate
pores
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living body
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JP2000311820A
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Takuji Umezawa
卓史 梅沢
Koichi Imura
浩一 井村
Katsuhiro Chagi
勝弘 茶木
Akihiko Ichikawa
明彦 市川
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Coorstek KK
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Toshiba Ceramics Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生体内に埋入する人工骨、人工骨補填材、薬
剤徐放容器等に好適に使用でき、生体内での骨組織形成
促進性、吸収置換性に優れ、かつ強度特性に優れた生体
用セラミックス多孔質体を提供する。 【解決手段】 多数の気孔が三次元的に密に分布し、隣
接する気孔同士がそれらを区画する骨格壁部1において
相互に連通した連球状開気孔2を有するリン酸三カルシ
ウム多孔質焼結体からなる生体用セラミックス多孔質体
において、前記焼結体の気孔率が45%〜65%の範囲
にあり、気孔径が100μm未満である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体用セラミック
ス多孔質部材に関し、より詳細には、生体内に埋入する
人工骨等に好適に使用でき、生体内での骨組織形成促進
性、吸収置換性に優れ、かつ強度特性に優れたリン酸三
カルシウム多孔焼結体からなる生体用セラミックス多孔
質部材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から外科、整形外科等の医療分野に
おいて、疾病、事故、手術等によって生じた骨の欠損部
及び空隙に対して、自分の他の身体部分の骨や、親、兄
弟等の骨を採取、充填することで当該部分の骨組織の再
建を図ることが広く行われてきた。しかしながら、骨採
取のための手術は大きな苦痛を伴う上に、それに要する
費用や労力も多大なものが必要とされる。また、骨欠損
部を人骨だけで補綴するにはその量に限度があり、欠損
部分が広範囲に及ぶ場合には必要な量が確保できない場
合も多い。このため、近年、このような骨の補綴用人工
骨材に関する研究が盛んに行われるようになってきてい
る。
【0003】ところで、生体内に人工骨材を埋入するに
際しては、人工骨が、無毒、安全でしかも大きな機械強
度を有し、生体組織に対し親和性があり、骨組織の細胞
や血管組織と結合しやすい材料であることが要求され
る。このような材料として、これまでにリン酸三カルシ
ウム、ハイドロキシアパタイト等の焼結体からなるリン
酸カルシウム系焼結材が提案されている。
【0004】しかし、無気孔の(緻密な)リン酸カルシ
ウム系焼結材を埋入した場合には、生体内での骨組織形
成が速やかに行われず、治癒までに非常な長期間を必要
とするという問題がある。そのため、埋入するリン酸カ
ルシウム系焼結材の構造を多孔質体とし、体内に埋入し
た際に、生体組織と結合し易くした、すなわち、開気孔
内に骨組織が入り込み易くしたリン酸カルシウム系焼結
材が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、提案されて
いる従来の生体用セラミックス多孔質部材(多孔質のリ
ン酸カルシウム系焼結材)は多孔質体からなるため、無
気孔の(緻密な)リン酸カルシウム系焼結材と比べて機
械的強度の低下をきたし、人工骨として用いる場合に所
要の強度が得られず、大きな骨欠陥部の治療には利用す
ることができないという課題があった。一方、前記した
ように機械的強度を保つために、緻密なリン酸カルシウ
ム系焼結材を用いると、前記したように生体内での骨組
織形成が速やかに行われず、治癒までに非常な長期間を
必要とするという課題があった。
【0006】本発明者等は、従来の生体用セラミックス
多孔質部材(リン酸カルシウム系焼結材)の上記欠点を
改善すべく鋭意研究を行った結果、リン酸三カルシウム
焼結体(以下、TCPと略称することがある)の生体用
セラミックス多孔質部材が、人工骨、人工骨補填材とし
て適し、しかも特定の多孔構造を有する場合に、焼結材
の機械的強度の低下が少なく、人工骨材として必要とさ
れる機械的強度を保持することを見出した。また、前記
TCP質焼結材の特定多孔質構造にあっては、骨組織細
胞(骨芽細胞)や血管が孔内に入り込むことによって、
骨組織形成が早期になされることを見出し、またTCP
質焼結材の吸収や自家骨置換が促進されることを見出
し、これらの知見に基づき本発明を完成するに至った。
【0007】本発明は、上記技術的課題を解決するため
になされたものであり、充分な機械的強度を維持し、し
かも骨組織形成速度が早く、人工骨、人工骨補填材に適
した生体用セラミックス多孔質部材を提供することを目
的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる生体用セ
ラミックス多孔質部材は、多数の気孔が三次元的に密に
分布し、隣接する気孔同士がそれらを区画する骨格壁部
において相互に連通した連球状開気孔を有するリン酸三
カルシウム多孔質焼結体からなるにおいて、前記多孔質
焼結体の気孔率が45%〜65%の範囲にあり、気孔径
が100μm未満であることを特徴としている
【0009】本発明にかかる生体用セラミックス多孔質
部材は、骨格壁部がリン酸三カルシウム質で形成され、
かつ、気孔径が100μm未満である連球状開気孔が、
気孔率45〜65%の範囲に形成されている点に特徴が
ある。即ち、本発明にかかる生体用セラミックス多孔質
部材は、骨格壁部がリン酸三カルシウムを主成分として
成るため、例えば、同じ生体活性セラミックスであるハ
イドロキシアパタイト焼結体等に比較して体液等に対す
る分解溶解性が高く、生体内で分解除去されやすい。
【0010】このことは、本発明にかかる生体用セラミ
ックス多孔質部材を生体内に埋入した場合、当初、気孔
径が比較的小さく、骨形成細胞(骨芽細胞)や血管がか
ろうじて入り込める程度であっても、時間経過と共にそ
の気孔径は次第に拡大していくことを意味する。また、
その気孔率(全細孔容積)も気孔径の拡大にしたがって
増加する。
【0011】前記生体用セラミックス多孔質部材は、生
体中に存在する骨芽細胞を生体内に埋入した前記生体用
セラミックス多孔質部材の気孔内に導入し、かつ血流を
維持することにより、骨形成を速やかに行うものであ
る。したがって、約10μmの骨芽細胞を安定に保持
し、効率的に骨形成を行わせるためには、気孔径として
は100μm〜300μmであることが必要であると言
われている。気孔径が100μm未満の場合には、骨形
成細胞(骨芽細胞)が気孔内に進入することができず、
また300μmを越えると、体液の循環に伴い、細胞が
流出しまうからである。
【0012】本発明にかかる生体用セラミックス多孔質
部材は、気孔径が100μm未満である連球状開気孔か
らなるため、かろうじて生体中に存在する骨芽細胞を導
入し、かつ血流を維持することができる程度である。し
かし、生体用セラミックス多孔質部材を構成するリン酸
三カルシウムは、体液等によってしだいに分解溶解さ
れ、その気孔径は徐々に拡大し、暫くすると、骨芽細胞
を気孔内に導入できる十分な気孔径となる。
【0013】一方、本発明にかかる生体用セラミックス
多孔質部材は、気孔径が100μm未満で、気孔率も4
5〜65%とそれほど大きくないため、埋入時及び埋入
当初は十分な機械的強度を保持している。生体埋入後、
生体用セラミックス多孔質部材の強度は、徐々に低下し
て行くが、その分、気孔径が拡大し、骨組織の気孔の進
入が進行し、自家骨組織形成によって補強されるのでそ
の機能は充分に達成できる。
【0014】また、リン酸三カルシウム焼結体には、高
温時安定型のαー型と低温時に安定なβー型とがある
が、βー型リン酸三カルシウム焼結体の方が生体内での
分解、溶出速度が適度であるため本発明にはより好まし
い。リン酸三カルシウム焼結体の原料にMg化合物が添
加されているものは、焼成時にβー型からαー型への転
移が抑制され、安定化するため好ましい。更に、リン酸
三カルシウム多孔質焼結体の骨格壁部表面の任意のリン
酸三カルシウム粒子と、表面にある他の隣接するリン酸
三カルシウム粒子との間で形成される凹凸が、平均粒子
径以下であることが、骨形成細胞(骨芽細胞)の定着化
の観点からより好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を図1に基づいて
より詳細に、かつ、具体的に説明する。なお、図1は、
本発明の生体用セラミックス多孔質部材の多孔構造を模
式的に示した図である。図1に示したように、本発明に
かかる生体用セラミックス多孔質部材を構成するリン酸
三カルシウム多孔質焼結体は、多数の気孔が開口3で連
通した連球状の開気孔2が3次元的に形成され、かつ、
気孔を区画する骨格壁部1はリン酸三カルシウム質焼結
体よりなる。
【0016】本発明において上記骨格壁部1を構成する
リン酸三カルシウム質焼結体は、リン酸三カルシウムの
みよりなる場合はもちろんのこと、リン酸三カルシウム
焼結体の特性を失わない限り少量の他成分を含有してい
ても差し支えない。
【0017】本発明にかかる生体用セラミックス多孔質
部材においては、その気孔率が45〜65%の範囲にあ
ると共に、前記連球状の開気孔2の有効径が100μm
未満であることが圧縮強度等の機械的強度を所定以上に
高く維持するために特に重要である。気孔率が65%を
越える場合は、例え、気孔径が100μm未満であって
も、生体用セラミックス多孔質部材の圧縮強度が、人工
骨、人工骨補填材として必要とされる30MPa程度の
値を下回ってしまう。一方、気孔率が45%未満の場合
は、強度的には充分であるが、気孔の存在密度が低く緻
密質に近くなるため、細胞や血管の導入され難く、治癒
に長期間を必要とするようになる。
【0018】また、例え、気孔率が45〜65%の範囲
内にあっても、気孔径が100μm以上の場合は、やは
り強度的に充分でない。また、気孔径が100μm以上
の気孔のみからなる場合には、生体内埋入後分解溶出に
より徐々に気孔径が拡大し、骨芽細胞等が流出して定着
しない傾向が現れるため好ましくない。このように、気
孔径が100μm以上の場合には、機械的強度の問題、
体液循環による骨形成細胞(骨芽細胞)の流出等の問題
が生ずる。
【0019】一方、気孔径が30μm未満のものは、少
なくとも孔径が拡大されない生体埋入初期の段階では、
骨形成細胞(骨芽細胞)や血管が進入し難い。したがっ
て、本発明の生体用セラミックス多孔質部材の気孔径
は、極端に小さな孔径のものばかりでない方が好まし
く、特に30μm未満の微細な気孔は、全気孔体積の2
0%以内であることが好ましい。本発明にかかる生体用
セラミックス多孔質部材の気孔は、有効径30〜100
μmの範囲にあることが特に好ましい。
【0020】本発明にかかる生体用セラミックス多孔質
部材は、リン酸三カルシウム(TCP)またはそれを主
成分としている。このTCPには、低温で安定なβ−T
CP(1180℃以下で安定;菱面体晶系)と、高温で
安定なα−TCP(1180〜1430℃で安定;単斜
晶系)とがある。α−TCPは、β−TCPに比べて生
体内での体液等により分解、溶出されやすい性質を有
し、人工骨、人工骨補填材としては、やや分解溶出速度
が速すぎる。また、分解後にハイドロキシアパタイトを
生成しやすく、これは逆に生体吸収されにくいという性
質を有している。そのため、本発明にかかる生体用セラ
ミックス多孔質部材はには、特別なケ−スを除き、β−
TCPを用いることがより好ましい。
【0021】また、β−TCP粉末等の原料を焼成して
焼結体とする焼結工程において、相転移の生成を抑制
し、β−TCP焼結体を安定化させるため、予め(焼結
工程以前に)、MgO、MgCl2 、MgCO3 等のM
g化合物を添加することが好ましい。これにより、相転
移を抑制すると共に、転移の際に生ずる膨張による体積
変化を回避し、粒界での応力発生や亀裂発生を回避する
ことができる。
【0022】また、本発明にかかる生体用セラミックス
多孔質部材は、上記焼結体気孔内の表面(骨格壁部)の
任意のリン酸三カルシウム粒子と、表面にある他の隣接
するリン酸三カルシウム粒子との間で形成される凹凸
が、平均粒子径以下であることが好ましく、これにより
細胞や血管の定着化がより一層容易に図られる。
【0023】次に、本発明にかかる生体用セラミックス
多孔質部材の製造方法について説明する。なお、必ずし
もこの製造方法にこれに限定されるものではない。例え
ば、平均粒径0.1〜125μm程度のβ−TCP[C
3 (PO42]粉末にMgO等のマグネシウム化合
物を少量加え(0.1%程度)、更に、架橋重合性樹脂
としてポリエチレンイミン(Mn8000〜10500
程度)等を添加し、分散媒として超純水を用いて混合・
解砕し、スラリ−を調製する。
【0024】続いて、該スラリ−に起泡剤(ポリオキシ
エチレンラウリルエ−テル、ラウリルベタイン、ラウリ
ル硫酸トリエタノ−ルアミン、ノニルフェノ−ル系界面
活性剤等から選ばれた一種)を添加して攪拌し、起泡さ
せる。更に架橋剤(ソルビト−ルポリグリシジルエ−テ
ル等)を加え、泡沫状スラリ−を成形型に入れて泡構造
を固定して乾燥し、次いで1100〜1200℃程度の
温度で焼結して多孔質焼結体を得る。
【0025】この多孔質焼結体の気孔径や気孔率を所望
範囲値に制御するには、原料のTCP粉末の粒径、起泡
剤、純水、架橋剤の配合割合等を適宜変化させて行う。
上記本発明の方法においては泡構造(気孔構造)が組織
内に密に形成されるので、その隣接する気孔を区画する
骨格壁部の厚さは薄く、乾燥時や焼結時に崩れて連通孔
となる。このようにして得られた本発明の生体用セラミ
ックス多孔質部材は、生体内での骨組織の形成促進性や
多孔質焼結体の吸収置換性に優れ、かつ強度特性に優れ
ているため、人工骨、人工骨補填材として好適に使用さ
れる。
【0026】
【実施例】「実施例1」平均粒径125μmのβ−TC
P[Ca3 (PO42 ]粉末100重量部にMgO
0.1重量部と架橋重合性樹脂としてポリエチレンイミ
ン(Mn8000〜10500)8.8重量部を添加
し、分散媒として超純水57.8重量部を用いて混合・
解砕し、スラリ−を調製した。この調整したスラリーの
うち、153.98gを容量240cm3 の容器に投入
した。続いて、該スラリ−に起泡剤(ポリオキシエチレ
ンラウリルエ−テル)0.30gを添加して攪拌し、体
積が200cm3 となるように起泡させた。更に架橋剤
(ソルビト−ルポリグリシジルエ−テル)3.01gを
加えて泡構造を固定した後、その泡沫状スラリ−を成形
型に入れて乾燥し、次いで1150℃で約1時間焼結し
てβ−TCP多孔焼結体試料片(65×65×13m
m)を得た。この試料片の寸法から得た見かけ容積と重
量から算出した気孔率は57.1%であった。また、こ
の試料片の圧縮試験強度と気孔径を測定したところ、夫
々65.6MPa、及び50μm以下であった。図2
に、この実施例1の試料の電子顕微鏡による断面構造写
真を示す。
【0027】「実施例2、3」実施例2として、実施例
1同様に調整したスラリー136.02gを容量240
cm3 の容器に投入した。続いて、ポリオキシエチレン
ラウリルエ−テル0.25gに、及びソルビト−ルポリ
グリシジルエ−テル添加量を2.63gに、夫々変更し
た以外は実施例1と同様にして、夫々実施例1と同様の
寸法の試験片を得て、気孔率、気孔径及び圧縮強度を実
施例1と同様にして測定した。その結果を表1に示す。
図3に実施例2の電子顕微鏡による断面構造写真を示
す。
【0028】実施例3として、実施例1同様に調整した
スラリー172.68gを容量240cm3 の容器に投
入した。続いて、ポリオキシエチレンラウリルエ−テル
0.34gに、及び、ソルビト−ルポリグリシジルエ−
テル添加量を3.37gに、夫々変更した以外は実施例
1と同様にして、夫々実施例1と同様の寸法の試験片を
得て、気孔率、気孔径及び圧縮強度を実施例1と同様に
して測定した。その結果を表1に示す。図4に実施例3
の電子顕微鏡による断面構造写真を示す。
【0029】「比較例1、比較例2」原料β−TCP粉
末の粒径、ポリエチレンイミン、超純水、ポリオキシエ
チレンラウリルエ−テルの配合量、ソルビト−ルポリグ
リシジルエ−テルの配合量、焼結温度等の焼結条件を制
御することにより表1の比較例1、比較例2に示した気
孔率の多孔焼結体を得た。これらの多孔焼結体の圧縮強
度と気孔径を測定し、夫々表1にまとめて示した。ま
た、図5に比較例1、図6に比較例2の電子顕微鏡によ
る断面構造写真を夫々示す。
【0030】
【表1】
【0031】上記実施例1〜3、比較例1、2の気孔率
と圧縮強度との関係を図7に示す。この図7から明らか
なように、生体用セラミックス多孔質部材の圧縮強度が
30MPa程度の値とするには、気孔率65%以下であ
る必要がある。また、気孔率45%以下の場合、気孔の
存在密度が低く緻密質に近くなるため、機械的強度は十
分であるが、細胞や血管の導入され難く、治癒に長期間
を必要とするようになる。具体的に、実施例1の試料か
ら直径10mm、長さ4mmの小片を作成し、常法にし
たがって滅菌した後、ネズミの背中に埋設した。その結
果、2週間後、生体用セラミックス多孔質部材の内部に
骨形成がなされていることが認められた。
【0032】なお、本発明にかかる生体用セラミックス
多孔質部材は、人工骨、人工骨補填剤のほか、生体内に
埋入される薬剤徐放容器に用いることができる。すなわ
ち、本発明にかかる生体用セラミックス多孔質部材より
なる薬剤徐放容器の場合、埋入当初は容器内の充填薬剤
量が充分多いため、例え、容器の気孔径が小さくても充
分な量が生体側に放出される。一方、時間が経過して充
填量が減少してくるにしたがい気孔径は拡大するため、
薬剤放出がより容易となり、結果的に、ほぼ一定な薬剤
徐放を長期間行うことができる。また、本発明にかかる
生体用セラミックス多孔質部材を構成するリン酸三カル
シウム焼結体は、生体内で徐々に吸収置換されて行くの
で、生体不活性セラミックス容器の場合のように、完全
治癒後再手術して容器を除去する必要がない。
【0033】このように、本発明にかかる生体用セラミ
ックス多孔質部材を薬剤徐放容器等として用いた場合に
は、容器内の充填薬剤量が充分多い生体埋入初期では気
孔径が小さいため生体に放出される薬剤量が抑制され
る。逆に、時間が経過して充填量が減少してくるにした
がい気孔径は拡大するため、薬剤放出が容易となり、結
果として、ほぼ一定な量の薬剤徐放を長期間行うことが
できるという利点を有する。
【0034】
【発明の効果】本発明にかかる生体用セラミックス多孔
質部材は、生体内での骨組織形成促進性や吸収置換性に
優れかつ強度特性に優れているため、人工骨、人工骨補
填材として好適に使用できるという効果を奏するもので
ある。また、本発明にかかる生体用セラミックス多孔質
部材は気孔径が徐々に拡大するため、生体用セラミック
ス多孔質部材を薬剤徐放容器として用いた場合、一定な
量の薬剤徐放を長期間行うことができるという効果を奏
するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明にかかる実施形態の多孔構造を
模式的に示した図である。
【図2】図2は、実施例1の試料の電子顕微鏡による断
面構造(×200)を示す写真である。
【図3】図3は、実施例2の試料の電子顕微鏡による断
面構造(×200)を示す写真である。
【図4】図4は、実施例3の試料の電子顕微鏡による断
面構造(×200)を示す写真である。
【図5】図5は、比較例1の試料の電子顕微鏡による断
面構造(×200)を示す写真である。
【図6】図6は、比較例2の試料の電子顕微鏡による断
面構造(×100)を示す写真である。
【図7】図7は、実施例1〜3、比較例1、2における
気孔率と圧縮強度との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 骨格壁部 2 連球状開気孔 3 開口 4 凹凸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 茶木 勝弘 神奈川県秦野市曽屋30番地 東芝セラミッ クス株式会社開発研究所内 (72)発明者 市川 明彦 神奈川県秦野市曽屋30番地 東芝セラミッ クス株式会社開発研究所内 Fターム(参考) 4C081 AB03 BA12 CF021 CF24 DB05 EA04 4G019 FA13 FA15 4G030 AA62 AA67 BA35 CA09 GA09 GA14 GA36

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数の気孔が三次元的に密に分布し、隣
    接する気孔同士がそれらを区画する骨格壁部において相
    互に連通した連球状開気孔を有するリン酸三カルシウム
    多孔質焼結体からなる生体用セラミックス多孔質部材に
    おいて、 前記多孔質焼結体の気孔率が45%〜65%の範囲にあ
    り、気孔径が100μm未満であることを特徴とする生
    体用セラミックス多孔質部材。
  2. 【請求項2】 前記リン酸三カルシウムがβ−リン酸三
    カルシウムであることを特徴とする請求項1に記載され
    た生体用セラミックス多孔質部材。
  3. 【請求項3】 前記リン酸三カルシウム多孔質焼結体の
    原料にマグネシウム成分が、添加されることを特徴とす
    る請求項1または請求項2に記載された生体用セラミッ
    クス多孔質部材。
  4. 【請求項4】 前記リン酸三カルシウム多孔質焼結体の
    骨格壁部表面の任意のリン酸三カルシウム粒子と、表面
    にある他の隣接するリン酸三カルシウム粒子との間で形
    成される凹凸が、平均粒子径以下であることを特徴とす
    る請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された生体用
    セラミックス多孔質部材。
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Cited By (3)

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