JP2002111578A - 無線受信システム - Google Patents

無線受信システム

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JP2002111578A
JP2002111578A JP2000302218A JP2000302218A JP2002111578A JP 2002111578 A JP2002111578 A JP 2002111578A JP 2000302218 A JP2000302218 A JP 2000302218A JP 2000302218 A JP2000302218 A JP 2000302218A JP 2002111578 A JP2002111578 A JP 2002111578A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 エラーフリーとなりにくいユーザ信号に対応
するレプリカ信号からの減算を禁止することにより、干
渉波除去の精度を高めた無線受信システムを提供するこ
とである。 【解決手段】 受信信号から干渉除去選択器10で応答
ベクトルの推定精度に基づき干渉除去を行うか否か判定
し、応答ベクトルの推定精度が高い場合に当該干渉除去
部で算出されたレプリカ信号が入力信号ベクトルから減
算され、次ステージに送られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は無線受信システム
に関し、特に、PDMA(Path Division MultipleAcce
ss)、CDMA(Code Division Multiple Access)な
どの通信方式による無線受信システムであって、受信信
号から、他のユーザによる干渉信号成分を除去すること
ができる無線受信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、急速に発達しつつある携帯型電話
機のような移動通信システムにおいて、周波数の有効利
用を図るべく種々の伝送チャネル割当方法が提案されて
おり、その一部のものは実用化されている。
【0003】図12は、FDMA(Frequency Division
Multiple Access)、TDMA(Time Division Multip
le Access)およびPDMAの各種通信システムにおけ
るチャネルの配置図である。まず、図12を参照して、
FDMA、TDMAおよびPDMAについて簡単に説明
する。
【0004】図12(a)はFDMAのチャネル配置を
示す図であって、異なる周波数f1〜f4の電波でユー
ザ1〜4のアナログ信号が周波数分割されて伝送され、
各ユーザ1〜4の信号は周波数フィルタによって分離さ
れる。
【0005】図12(b)はTDMAのチャネル配置を
示す図であって、各ユーザのデジタル化された信号は、
異なる周波数f1〜f4の電波でかつ一定の時間(タイ
ムスロット)ごとに時分割されて伝送され、各ユーザ1
〜8の信号は、周波数フィルタと、基地局および各ユー
ザ移動端末装置間の時間同期とにより分離される。
【0006】一方、最近では、携帯型電話機の普及によ
り電波の周波数利用効率を高めるために、PDMA方式
が提案されている。このPDMA方式は、図12(c)
に示すように、同じ周波数における1つのタイムスロッ
トを空間的に分割して複数のユーザのデータを伝送する
ものである。このPDMAでは各ユーザの信号は、周波
数フィルタと、基地局および各ユーザ移動端末装置間の
時間同期と、アダプティブアレイなどの信号抽出装置と
を用いて分離される。
【0007】図13は従来のPDMA用基地局の受信シ
ステムを示す図である。この例では、ユーザ1と2とを
識別するために、4本のアンテナ3〜6が設けられてい
て、それぞれのアンテナの出力は周波数変換回路7に与
えられて、それぞれ対応する局部発振信号Loによって
周波数変換され、A/D変換器8によってデジタル信号
に変換されてデジタル信号プロセッサ(DSP)10に
与えられる。
【0008】DSP10Dには、アダプティブアレイ1
1,12と、受信信号ベクトル計算機13と、メモリ1
4と、相関値計算機15と、チャネル割当装置16とが
内蔵されている。アダプティブアレイ11,12は、A
/D変換器8から出力される受信信号から特定のユーザ
信号のみを抽出する。各アダプティブアレイはたとえ
ば、タイムスロットに含まれるプリアンブルを用いる方
法、変調信号の包絡線が一定となる性質を用いる方法な
どのウェイトベクトル計算方法に依拠して、後述するチ
ャネル割当装置16で指定されたユーザ信号を抽出す
る。
【0009】受信信号ベクトル計算機13はA/D変換
器8からの受信信号とアダプティブアレイ11,12の
出力信号とを入力し、すべてのユーザに対応した受信信
号ベクトルを計算してメモリ14に記憶させる。チャネ
ル割当装置16はメモリ14と相関値計算機15とに対
して二人のユーザを指定する。相関値計算機15はメモ
リ14に記憶した受信信号ベクトルのうち、指定された
二人のユーザの受信信号ベクトルの相互相関値を計算す
る。チャネル割当装置16は二人のユーザの受信信号ベ
クトルの算出された相互相関値を受取る。そして、その
相互相関値がある一定値以下であれば、その二人のユー
ザを同一時刻のタイムスロットにパス多重接続させる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】図13に示したアダプ
ティブアレイ11,12はそれぞれ対応のユーザ1およ
び2の信号を抽出するが、ユーザ1および2に加えてた
とえばユーザ3がユーザ1と同じ方向から信号を送信し
てきた場合、アダプティブアレイ11からユーザ1およ
びユーザ3の信号が混ざり合って出力されることにな
る。しかしながら、従来のアダプティブアレイ11では
ユーザ1および3の信号を分離できず、ユーザ1の信号
のみを抽出することができなかった。
【0011】それゆえに、この発明の主たる目的は、干
渉除去の精度を上げ、不要なユーザの信号をキャンセル
することにより通信品質を向上できるような無線受信シ
ステムを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
よれば、複数のアンテナを用いて複数のユーザからの信
号を受信することができる無線受信システムであって、
前記複数のアンテナで受信された信号に所定の信号処理
を施す信号処理手段と、前記複数のアンテナで受信され
た信号に基づいて、干渉除去を行うか否か判定する第1
の干渉除去判定手段と、前記信号処理手段から出力され
る信号に基づいて、前記複数のユーザにそれぞれ対応す
る信号成分を抽出する複数の第1の信号抽出手段と、前
記信号処理手段から出力される信号に対する前記第1の
信号抽出手段で抽出された信号成分の関係に関するパラ
メータ情報を推定する複数の第1の推定手段と、前記信
号処理手段から出力される信号から、前記干渉除去判定
手段により干渉除去を行う判定された前記抽出された信
号成分を、対応する前記パラメータ情報を考慮して減算
する第1の演算手段と、を備える。
【0013】請求項2に記載の発明によれば、前記第1
の干渉除去判定手段は、前記第1の信号抽出手段で抽出
された複数のユーザに対応する信号成分に基づきそれぞ
れが干渉除去を行うか否かを判定する。
【0014】請求項2に記載の発明によれば、前記第1
の干渉除去判定手段は、第1の推定手段にて推定された
応答ベクトルの推定精度に基づき干渉除去を行うか否か
を判定する。
【0015】請求項4に記載の発明によれば、前記第1
の信号抽出手段で抽出された複数のユーザに対応する信
号成分がそれぞれ復調エラーを含むか否かを判定する複
数の第1のエラー判定手段と、を更に備え、前記信号処
理手段から出力される信号から、前記干渉除去判定手段
により干渉除去を行う判定され且つ前記第1のエラー判
定手段により復調エラーを含まないと判定された前記抽
出された信号成分を、対応する前記パラメータ情報を考
慮して減算する第1の演算手段とをさらに備える。
【0016】請求項5に記載の発明によれば、前記第1
の演算手段から出力される信号に基づいて、前記第1の
エラー判定手段により復調エラーを含むと判定されたユ
ーザにそれぞれ対応する信号成分を抽出する複数の第2
の信号抽出手段と、前記第1の演算手段から出力される
信号に対する前記第2の信号抽出手段で抽出された信号
成分の関係に関するパラメータ情報を推定する複数の第
2の推定手段と、前記第2の信号抽出手段で抽出された
複数のユーザに対応する信号成分に基づきそれぞれが干
渉除去を行うか否かを判定する第2のの干渉除去判定手
段と、前記第2の信号抽出手段で抽出された信号成分が
それぞれ復調エラーを含むか否かを判定する複数の第2
のエラー判定手段とをさらに備える。
【0017】請求項6に記載の発明によれば、前記信号
処理手段から出力される信号から、前記第1および第2
のエラー判定手段により復調エラーを含まず且つ前記第
1および第2の干渉除去判断手段により干渉除去を行う
と判定された前記第1および第2の信号抽出手段で抽出
された信号成分を、対応する前記パラメータ情報を考慮
して減算する第2の演算手段とをさらに備える。
【0018】請求項7に記載の発明によれば、前記第1
の演算手段から出力される信号から、前記第2のエラー
判定手段により復調エラーを含まないと判定された前記
第2の信号抽出手段で抽出された信号成分を、対応する
前記パラメータ情報を考慮して減算する第3の演算手段
とをさらに備える。
【0019】請求項8に記載の発明によれば、請求項1
から6のいずれかに記載の無線受信システムにおいて、
複数のユーザからの信号はPDMA通信方式によって伝
送された信号である。
【0020】請求項9に記載の発明によれば、請求項1
から6のいずれかに記載の無線受信システムにおいて、
複数のユーザからの信号はCDMA通信方式によって伝
送された信号である。
【0021】
【発明の実施の形態】図1は、この発明の前提となるマ
ルチステージの干渉キャンセラとして提案されたPDM
A用基地局の受信システムを示すブロック図である。こ
の発明の前提となる提案された受信システムは、同じ時
刻に送信されたm(mは2以上の整数)人のユーザ1,
…,k,…,mからの信号S1(t),…,Sk(t),
…,S m(t)を互いに分離して並列に取出すものであ
る。
【0022】図1において、図13の従来例と同様に、
PDMA用基地局の受信システムには、4本のアンテナ
3〜6と、周波数変換回路7と、A/D変換器8とが設
けられている。A/D変換器8から出力された入力信号
ベクトルX1(t)は、第1段目の演算装置101と、
第1段目のアダプティブアレイAA11,…,AAk1
…,AAm1と、第1段目のパラメータ推定器PE11
…,PEk1,…,PEm1とに与えられる。アダプティブ
アレイの詳細については後で説明する。
【0023】アダプティブアレイAA11,…,AAk1
…,AAm1からは、対応するユーザの信号成分を最も強
く含む(その他にも他のユーザからの干渉信号成分をも
含む)複素信号であるユーザ信号Y11(t),…,Yk1
(t),…,Ym1(t)がそれぞれ出力され、第1段目
の演算装置101に与えられるとともに、それぞれ対応
する検波器DE11,…,DEk1,…,DEm1で検波され
る。
【0024】パラメータ推定器PE11,…,PEk1
…,PEm1は、それぞれ、入力信号ベクトルX1(t)
と、検波器DE11,…,DEk1,…,DEm1の対応する
検波出力とに基づいて、対応するユーザの受信応答ベク
トルH11,…,Hk1,…,Hm1を推定し、第1段目の演
算装置101に与える。より具体的に、各パラメータ推
定器は、対応するユーザの信号成分が入力信号ベクトル
にどの程度含まれているか、対応するユーザの信号成分
が入力信号ベクトルに対してどの程度位相回転している
か、などを推定する。
【0025】第1段目の演算装置101は、各ユーザi
(i=1,2,…,m)ごとに、入力信号ベクトルX1
(t)から、当該ユーザiを除く他のすべてのユーザの
信号成分を差し引くことにより、干渉信号成分を除去
し、当該ユーザiのさらなる入力信号ベクトルX
i2(t)を算出し出力する。演算装置101の動作につ
いては、図2を参照して後で詳細に説明する。
【0026】第1段目の演算装置101は、ユーザごと
に対応して入力信号ベクトルX12(t),…,X
k2(t),…,Xm2(t)を出力し、対応する第2段目
のアダプティブアレイAA12,…,AAk2,…,AAm2
に与える。
【0027】第2段目のアダプティブアレイAA12
…,AAk2,…,AAm2から出力されるユーザ信号Y12
(t),…,Yk2(t),…,Ym2(t)は、第2段目
の演算回路102に与えられるとともに、それぞれ対応
する検波器DE12,…,DEk2,…,DEm2で検波され
る。
【0028】パラメータ推定器PE12,…,PEk2
…,PEm2は、それぞれ、入力信号ベクトルX1(t)
と、検波器DE12,…,DEk2,…,DEm2の対応する
検波出力とに基づいて、対応するユーザの受信応答ベク
トルH12,…,Hk2,…,Hm2を推定し、第2段目の演
算装置102に与える。演算装置102は、さらなる入
力信号ベクトルX13(t),…,Xk3(t),…,Xm3
(t)を出力し、対応する(図示省略した)第3段目の
アダプティブアレイAA13,…,AAk3,…,AAm3
与える。
【0029】このように、アダプティブアレイとパラメ
ータ推定器と演算装置とからなる干渉キャンセラを直列
に複数段(第1段から第L段まで)設けたことにより、
それぞれの段から出力されるユーザ信号に含まれる他の
ユーザ信号成分の割合を段階的に減少させて、干渉の除
去がさらに図られることになる。その結果、通信特性の
さらなる向上が図られる。
【0030】図2は、図1に示した複数段の演算装置の
一例としての演算装置101の具体的なブロック図であ
る。図2において、演算装置101は、乗算器MP1
…,MPk-1,MPk+1,…,MPmと加算器ADkとから
構成されている。なお、説明の簡略化のために図示して
いないが、図示した乗算器および加算器以外にも、乗算
器MPkおよび加算器AD1,…,ADk-1,ADk+1
…,ADmが演算装置101に内蔵されているものとす
る。
【0031】乗算器MP1,…,MPk-1,MPk+1
…,MPmにはそれぞれ、アダプティブアレイAA11
…,AAk-1,AAk+1,…,AAmからのユーザ信号Y
11(t),…,Y(k-1)1(t),Y(k+1)1(t),…,
m1(t)と、パラメータ推定器PE11,…,PE
(k-1)1,PE(k+1)1,…,PEm1からの受信応答ベクト
ルH11,…,H(k-1)1,H(k+1)1,…,Hm1とが与えら
れる。
【0032】乗算器MP1,…,MPk-1,MPk+1
…,MPmの出力は加算器ADkの負の入力に与えられ、
入力信号ベクトルX1(t)は加算器ADkの正の入力に
与えられる。これにより、入力信号ベクトルX1(t)
からユーザk以外のユーザに対応する信号成分が減算さ
れ、ユーザkに対応する信号成分Xk2(t)が加算器A
kから出力されることになる。前述のように、これら
のアダプティブアレイ、パラメータ推定器および演算装
置は全体として、1段の干渉キャンセラを構成している
ものとする。
【0033】この結果、かなりの干渉信号成分が除去さ
れることになる。そして、このようにして演算装置10
1により干渉信号成分がかなり除去された新たな入力ベ
クトル信号Xk2(t)を第2段目以降の干渉キャンセラ
に与えることにより、最終的に出力されるユーザ信号S
k(t)に含まれる他のユーザからの干渉信号成分の割
合を十分に低下させることができ、良好な通信特性を実
現することができる。
【0034】なお、加算器ADk以外の図示しない加算
器の各々にも、並行して同様に、乗算器MP1,…,M
k,…,MPmのうちの当該加算器に対応する乗算器以
外のものからの出力と、入力信号ベクトルX1(t)と
が与えられる。そしてこれらの加算器はそれぞれ、図1
に示す新たな入力信号ベクトルを出力して第2段目以降
の干渉キャンセラに与えている。
【0035】次に、図1および図2に示した装置のさら
に具体的な動作について説明する。アンテナ素子数をn
本、同時に通話するユーザ数をm人とすると、A/D変
換器8から出力される入力信号ベクトルX1(t)は次
式で表わされる。
【0036】 X1(t)=[x1(t),x2(t),…xn(t)]T … (1) xj(t)=hj11(t)+hj22(t)+…+hjii(t)+…+hjm m (t)+nj(t),(j=1,2,…,n) … (2) 上記の第(1)式および第(2)式をベクトル表記に直
すと次の第(3)式が得られる。
【0037】 X1(t)=H11(t)+H22(t)+…+Hii(t)+…+Hmm( t)+N(t) … (3) Hi=[h1i,h2i,…,hniT,(i=1,2,…,m) … (4) N(t)=[n1(t),n2(t),…,nn(t)]T … (5)
【0038】次に,図2の演算装置101から新たな入
力信号ベクトルXk2(t)が出力される動作についてさ
らに詳細に説明する。
【0039】パラメータ推定器PE11,…,PEk1
…,PEm1でHi(i=1,2,…,m)が推定できる
ものとする。また1段目のアダプティブアレイAA11
…,AAk1,…,AAm1が比較的良好に動作したとする
と、Yi1(t)≒Si(t)とみなすことができる。
【0040】この段階で、すべてのユーザ信号とすべて
のユーザ信号の受信応答ベクトルとが求まったことにな
る。ここで、2段目のユーザkの信号検出に用いる入力
信号ベクトルXk2(t)を第(6)式により求めること
ができる。
【0041】 Xk2(t)=X1(t)−H11(t)−…−Hk-1k-1(t)−Hk+1k+1 (t)−…−Hmm(t) … (6) この第(6)式に第(3)式を代入すると、第(7)式
が得られる。
【0042】 Xk2(t)=Hkk(t)+N(t) … (7) X1(t)とXk2(t)を比較すると、Xk2(t)の方
がSk(t)以外の干渉成分Si(t)(i=1,2,…
m、ただしi≠k)が減少していて、2段目のアダプテ
ィブアレイがより動作しやすくなる。
【0043】図1に示すように、干渉キャンセラを複数
段接続して構成したマルチステージの干渉キャンセラで
は、受信信号をアダプティブアレイによってユーザごと
に分離し、当該ユーザ以外のユーザの信号を干渉波とし
て受信信号から除去して得た結果を、当該ユーザの入力
信号として次段の干渉キャンセラに与えている。この結
果、次段の干渉キャンセラでは、入力されるユーザ信号
の干渉波が少ない分、通信特性の良いユーザ信号が得ら
れる。そして、このような干渉波の除去を複数段繰返す
ことによって干渉波の除去はさらに進み、CIR(Carr
ier to Interference Ratio)はより改善され、所望の
ユーザ信号をより抽出しやすくなる。
【0044】しかしながら、上述のようなマルチステー
ジ干渉キャンセラを用いれば確かに干渉波の除去は進む
ものの、次のような問題点が生じる。
【0045】(1)上述のマルチステージ干渉キャンセ
ラの例では、各アダプティブアレイで抽出されたユーザ
信号を、その復調エラーの有無を判定することなく、受
信信号から干渉波成分として除去するように構成されて
いる。したがって、もしもアダプティブアレイで抽出さ
れたユーザ信号に復調エラーがあり、何らかの変形した
波形、たとえばインパルス状の波形を有する信号となっ
ていれば、このようなエラーを含む信号成分が受信信号
から減算された結果得られる各演算装置の出力(次段の
干渉キャンセラへの入力信号)には、復調エラーの影響
によるインパルス状のノイズが含まれることになるなど
の影響が生じることになる。
【0046】(2)信号の復元においては、復元するユ
ーザの受信電力が低い、フェージングが速い(ドップラ
ー周波数が大きい)、干渉信号が多いなどの悪条件時に
は、復元精度の劣化が生じる。復元精度が悪い信号で干
渉除去を行うと不必要な信号成分を除去することがあ
る。
【0047】このような復元信号で干渉除去をした場
合、干渉除去後の信号(次のステージに持ち越される入
力信号)の精度が悪くなるため、次のステージに遷移し
ても所望の信号を得ることができずマルチステージ干渉
キャンセラの効果が見られなくなる。
【0048】この発明は、上述の問題点(1)および
(2)を解決しようとするものである。
【0049】[実施の形態1]図3は、この発明の実施
の形態1によるPDMA用基地局の受信システムを示す
ブロック図である。
【0050】図3において、演算装置101′と、複数
のユーザごとに設けられた第1のゲート部GA,干渉除
去部ICおよび第2のゲート部GBとが、第1段目の干
渉キャンセラの基本構成をなしている。
【0051】なお、図示の簡略化のために省略している
が、演算装置102′の後段にも複数のユーザごとに第
1段目の干渉キャンセラと全く同じ態様で第1のゲート
部GA,干渉除去部ICおよび第2のゲート部GBが設
けられており、演算装置102′とこれらの図示しない
構成要素GA,IC,GBとで第2段目の干渉キャンセ
ラが構成されているものとする。
【0052】さらに図示省略するが、この2段目の干渉
キャンセラの後段にも、第1段目の干渉キャンセラと全
く同じ態様で構成された(演算装置と、第1および第2
のゲート部と、干渉除去部とからなる)干渉キャンセラ
が複数段続いているものとする。
【0053】したがって、図3の受信システムは、全体
としてマルチステージの干渉キャンセラで構成されたこ
とになり、最終段の干渉キャンセラの複数のユーザごと
に設けられた第2のゲート部GB(図示せず)の出力
が、当該受信システムの最終出力となる。
【0054】まず、図1の受信システムと同様に、A/
D変換器8からは入力信号ベクトルX1(t)が出力さ
れ、第1段目の干渉キャンセラの演算装置101′に与
えられるとともに、第1段目の干渉キャンセラの前段に
複数のユーザごとに対応して設けられた複数の干渉除去
部IC11,…,ICk1,…,ICm1にも共通に与えられ
る。
【0055】この実施の形態の例では、4本のアンテナ
3〜6が設けられていて、それぞれのアンテナの出力は
周波数変換回路7に与えられて、それぞれ対応する局部
発振信号Loによって周波数変換され、A/D変換器8
によってデジタル信号に変換されて受信電力検出部9に
与えられる。
【0056】受信電力検出部9はA/D変換器8から与
えらた4本のアンテナからのデジタル出力により、当該
ユーザの受信電力の大きさを求め、干渉除去選択器10
に与える。この干渉除去選択器10は、後述するよう
に、干渉除去部ICで算出された各ユーザの受信応答ベ
クトルHが与えられ、SNRを推定する。更に、この干
渉除去選択器10は、後述するように、算出された受信
応答ベクトルHに基づき、フェージング速度(FD)、
干渉信号の度合(SIR:信号対干渉波比)を検出す
る。そして、これら得られたデータに基づき、当該ステ
ージにおいて干渉除去を行うかを判定する。
【0057】図3の受信システムにおいて、干渉除去部
ICはすべて同じ構成を有しており、その一例として干
渉除去部ICk1の構成を図4に示す。
【0058】図4において、干渉除去部ICk1に入力さ
れた入力信号ベクトルX1(t)からアダプティブアレ
イAAk1で抽出されたユーザkの複素信号は、復調器D
k1によってビット情報信号に変換される。このビット
情報信号は、エラー判定器EDk1に与えられるとともに
再変調器RMk1にも与えられる。
【0059】エラー判定器EDk1は、復調器DMk1から
のビット情報信号に基づいて、アダプティブアレイAA
k1からの抽出信号の復調エラーの有無を判定する。そし
て、復調エラー有りと判定すれば、Lレベルのエラー判
定信号Ek1を発生して第1段目の干渉キャンセラの演算
装置101′に与える。
【0060】再変調器RMk1は、復調器DMk1からのビ
ット情報信号を再度、複素信号であるユーザ信号Y
k1(t)に変換し、第1段目の干渉キャンセラの演算装
置101′に与えるとともに、パラメータ推定器PEk1
に与える。
【0061】パラメータ推定器PEk1は、入力信号ベク
トルX1(t)と、ユーザ信号Yk1(t)とに基づい
て、対応するユーザの受信応答ベクトルHk1を算出し、
第1段目の干渉キャンセラの演算装置101′に与え
る。さらに、パラメータ推定器PEk1は、算出した受信
応答ベクトルHk1を干渉除去選択器10に与える。
【0062】この干渉除去選択器10は、算出した受信
応答ベクトルHk1に基づき、この応答ベクトルの推定精
度が高いか否か判断し、推定精度の高いユーザの復元信
号のみ当該ステージでの干渉除去を行うように制御信号
を出力する。すなわち、応答ベクトルの推定精度が高い
か否か判断し、干渉除去を行わないランクの信号である
と判定すれば、Lレベルの選択信号Ik1を発生して各干
渉キャンセラの演算装置101′…並びにゲート部G
A、GBに与える。
【0063】この干渉除去選択器10において、応答ベ
クトル推定精度の高いユーザを選択する方法は次のよう
に行われる。予めシミュレーションを実施し、当該ユー
ザの受信電力の大きさ(SNR:信号対雑音比)、フェ
ージング速度(FD)、干渉信号の度合(SIR:信号
対干渉波比)の各条件に応じた応答ベクトル推定精度を
取得しておき、それをランキングし、テーブルに保持し
ておく。そして、算出した応答ベクトルHk1に基づきF
D及びSIRを検出し、また、受信電力検出部9からの
信号に基づき、SNRを推定し、当該ステージでの干渉
除去を行うか否かを判定する。応答ベクトルの推定精度
が高いと干渉除去するレプリカ信号の精度が向上するた
め、次ステージに入力される信号の精度が高くなる。そ
の結果、次ステージでのエラーフリーとなる確率が高く
なる。
【0064】上記したように、テーブルには、当該ユー
ザの受信電力の大きさ(SNR:信号対雑音比)、フェ
ージング速度(FD)、干渉信号の度合(SIR:信号
対干渉波比)の各条件を保持してこれらのランキングに
基づいて、当該ステージでの干渉除去を行うか否かを判
定を行うように構成したが、処理速度等を考慮して、い
ずれかの条件により判定を行うようにしても良い。例え
ば、干渉信号の度合(SIR:信号対干渉波比)の値に
応じてランキングしたものをテーブルに保持し、このラ
ンキング値に応じて算出した応答ベクトルHk1から当該
ステージでの干渉除去を行うか否かを判定するように構
成しても良い。
【0065】図5は、この発明の実施の形態による干渉
除去選択器10の構成を示すブロック図である。図5を
参照してこの発明の実施の形態による干渉選択器10の
動作につき説明する。
【0066】ここでは、例えば、上下回線のそれぞれ4
スロットからなる合計8スロットを1フレームとする。
そして、このようなフレームが時系列的に連続して上下
回線の通信が交互に行われることになる。
【0067】干渉除去部ICk1のパラメータ推定器PE
k1は、受信信号または入力信号ベクトルX1(t)と、
ユーザ信号Yk1(t)とに基づいて、現在のフレームの
スロットにおける受信応答ベクトルHk1を算出し、干渉
除去選択器10の相関演算および各条件推定回路101
及びメモリ102に与える。
【0068】相関演算および各条件推定回路101は、
パラメータ推定器PEk1で推定された現在のフレームの
スロットにおける受信応答ベクトルとメモリ102に格
納されている前フレームの対応するスロットにおける受
信応答ベクトルとの相関値を演算する。
【0069】なお、時間的に前後する2フレームの受信
応答ベクトルの相関値αは次式により定義される。
【0070】α=│h12 H│/│h1││h2│ ここで、h2 Hはh2の各成分の複素共役をとり、さらに
転置したものを表す。
【0071】また、hi(i=1,2)は、フレームi
におけるアンテナ素子ごとの位相振幅情報を要素とする
受信応答ベクトル(h11,h12,h13,h14)を表して
いる。
【0072】このようにして算出される相関値と、ドッ
プラー周波数(フェージング速度)との正確な対応関係
を求めることは困難であるが、実験によりおおよその対
応関係を経験的に求めることができる。例えば、相関値
が1から0.95の範囲内にあれば、ドップラー周波数
FDはFD=0Hzであると推定する。また、相関値が
0.95から0.80の範囲内にあれば、FD=10H
zであると推定する、等である。
【0073】このように経験的に得られたと受信応答ベ
クトル相関値とドップラー周波数FDとのおおよその対
応関係が相関演算および各条件推定回路101に予め格
納されており、上述の計算式により算出されたベクトル
同士の相関値から、該当するドップラー周波数FDが有
無判定回路104に出力される。
【0074】ユーザの受信電力の大きさ(SNR:信号
対雑音比)の算出につき説明する。受信電力検出部9か
らの信号は全ユーザの合成信号であるため、ユーザ毎の
受信電力に変換しなければならない。そのためには、算
出した受信応答ベクトルHを必要とする。
【0075】基本的には、各ユーザの応答ベクトル(複
素数)のI成分とQ成分の2乗和がそれぞれのユーザの
電力となるが、応答ベクトルの大きさからは絶対的な大
きさは分からない。そのために。受信電力検出部9から
の受信電力を基準にして、それぞれのユーザの受信電力
に分配する。以下のようにして分配される。
【0076】ユーザiの受信電力=(受信電力×ユーザ
iの応答ベクトルの大きさ(2乗和)/(全ユーザの応
答ベクトルの大きさ(2乗和)の総和)
【0077】例えば、2多重時において、受信電力検出
部9からの電力が50[dBμV]であり、ユーザ2の
応答ベクトルの大きさが30,ユーザ1の応答ベクトル
の大きさが70、全てのユーザの応答ベクトルの大きさ
が100(=30+70)であれば、ユーザ1の受信電
力は35[dBμV],ユーザ2の受信電力は15[d
BμV]となる。
【0078】受信電力検出部9からの信号がノイズが含
まれないとすると、上記値はS(所望波)信号の値であ
る。従って、SNRに換算するためにはノイズとの比を
取らなければならない。ノイズは基地局ごと若干異なる
が事前に測定されているものとすると、 SNR=10・log10(所望波電力/ノイズ電力)で
計算される。
【0079】干渉信号の度合(SIR:信号対干渉波
比)の算出について説明する。SIRはSNRとは異な
り、受信電力検出部9からの絶対的な受信電力は必要と
せず、ユーザごとの受信電力の比で計算される。従っ
て、上記した方法により、各ユーザの応答ベクトルから
各ユーザの受信電力を計算し、それらの比を取ればよ
く、同様に SIR=10・log10(所望波電力/干渉波電力)で
計算される。
【0080】このようにして、各条件推定回路101
は、受信応答ベクトルや受信応答ベクトル相関値とユー
ザの受信電力の大きさ(SNR:信号対雑音比)、干渉
信号の度合(SIR:信号対干渉波比)を得、その値が
有無判定回路104に出力される。
【0081】予めシミュレーションを実施し、当該ユー
ザの受信電力の大きさ(SNR:信号対雑音比)、フェ
ージング速度(FD)、干渉信号の度合(SIR:信号
対干渉波比)の各条件に応じた応答ベクトル推定精度を
取得しておき、それをランキングしたものがテーブルメ
モリ103に格納されている。
【0082】有無判定回路104は、相関演算および各
条件推定回路101から与えられたSNR、SIR、F
Dを引数として、テーブルメモリ103を参照し、これ
らのランキングに基づいて、当該ステージでの干渉除去
を行うか否かを判定し、その結果を出力する。
【0083】このように、干渉除去選択器10は干渉除
去部ICにて算出された受信応答ベクトルに応じて当該
ステージでの干渉除去を行うか否かを判定し、その結果
を後述するように、ゲート部GA、GB及び演算装置に
出力する。
【0084】図5に示すような処理は、通常、例えば、
デジタルシグナルプロセッサ(DSP)を用いてソフト
ウェア的に実行される。
【0085】また、図4に示すような、アダプティブア
レイ、復調器、エラー判定器、再変調器、パラメータ推
定器及び干渉信号除去選択器からなる配列は、図3のす
べての干渉除去部ICに共通であるので、さらなる説明
は繰返さない。
【0086】図6は、図3の受信システムを構成する複
数段の干渉キャンセラの一例としての第1段目の干渉キ
ャンセラの演算装置101′の具体的構成を示すブロッ
ク図である。図6において、演算装置101′は、乗算
器MP1,…,MPk-1,MP k,MPk+1,…,MP
mと、ANDゲートAND1,…,ANDk-1,ANDk
ANDk+1,…,ANDmと、加算器ADとから構成され
ている。
【0087】乗算器MP1,…,MPk-1,MPk,MP
k+1,…,MPmにはそれぞれ、前段の干渉除去部I
11,…,IC(k-1)1,ICk1,IC(k+1)1,…,IC
m1からのユーザ信号Y11(t),…,Y(k-1)1(t),
k1(t),Y(k+1)1(t),…,Ym1(t)と、応答
ベクトルH11,…,H(k-1)1,Hk1,H(k+1)1,…,H
m1とが与えられる。
【0088】乗算器MP1,…,MPk-1,MPk,MP
k+1,…,MPmの出力はそれぞれ対応する3入力AND
ゲートAND1,…,ANDk-1,ANDk,ANDk+1
…,ANDmの第1入力に与えられ、これらのANDゲ
ートの第2入力には、前段の干渉除去部IC11,…,I
(k-1)1,ICk1,IC(k+1)1,…,ICm1からの対応
のエラー判定信号E11,…,E(k-1)1,Ek1
(k+1)1,…,Em1が入力される。そして、これらのA
NDゲートの第3入力には、前段の干渉除去部IC11
…,IC(k-1)1,ICk1,IC(k+1)1,…,ICm1の受
信応答ベクトルに対応して干渉除去選択器10で算出し
た干渉除去選択信号I11,…,I(k-1)1,Ik1,I
(k+1)1,…,Im1が入力される。
【0089】3入力ANDゲートAND1,…,AND
k-1,ANDk,ANDk+1,…,ANDmの出力は加算器
ADの負の入力に与えられ、A/D変換器8からの入力
信号ベクトルX1(t)は加算器ADの正の入力に与え
られる。
【0090】加算器ADの出力は入力信号ベクトルX2
(t)として演算装置101′から出力され、図3に示
すように、複数のユーザにそれぞれ対応する第1のゲー
ト部GA12,…,GAk2,…,GAm2に共通に与えられ
る。
【0091】また、図6の演算装置101′のブロック
図では図示省略したが、前段のそれぞれの干渉部I
11,…,ICk1,…,ICm1から出力された受信応答
ベクトルH11,…,Hk1,…,Hm1、エラー判定信号E
11,…,Ek1,…,Em1、およびユーザ信号Y
11(t),…,Yk1(t),…,Ym1(t)は、演算装
置101′をそのまま通過し、ユーザごとに第1段目の
干渉キャンセラの対応する第1のゲート部GA12,…,
GAk2,…,GAm2にそのまま与えられる。
【0092】ここで、図6を参照して、上述のように前
段の干渉除去部において復調エラー有り及び/又は干渉
除去選択器10で干渉除去を行わないと判定されたユー
ザ信号、たとえばY11(t)に対応した干渉除去部IC
11のエラー判定器ED11からLレベルのエラー判定信号
11が及び/又は干渉除去選択器10からのLレベルの
選択信号Ik1が演算装置101′の対応するANDゲー
トAND1の他方入力に与えられる。この結果、当該A
NDゲートは閉じられ、対応する乗算器MP1から出力
される、受信応答ベクトルH11とユーザ信号Y11(t)
との積、すなわちレプリカ信号の加算器ADへの入力は
阻止される。
【0093】この結果、入力信号ベクトルX1(t)か
ら減算されるべきそれぞれのユーザの干渉波成分(レプ
リカ信号)から、復調エラーを含むユーザ信号及び/又
は干渉除去を行わないものと判定されたユーザ信号に対
応する干渉波成分(レプリカ信号)が除外される。この
ため、第1段目の干渉キャンセラの演算装置101′か
ら出力される入力信号ベクトルX2(t)に、たとえば
インパルス状のノイズが含まれることがなくなる。
【0094】第1段目の干渉キャンセラにおいて、ユー
ザごとに対応する第1のゲート部GA、たとえばユーザ
1に対応するゲート部GA12の選択制御入力には、前段
の干渉除去部IC11から演算装置101′を通過したエ
ラー信号E11及び干渉除去選択器10からの干渉除去選
択信号I11が与えられる。
【0095】そして、前段の干渉除去部IC11でエラー
有り及び/又は干渉除去を行わないとの判定がなされて
いたときには、第1のゲート部GA12は、エラー判定信
号E 11及び/又は干渉除去選択信号I11に応じて、演算
装置101′で新たに算出された、ノイズを含まない高
精度の入力信号ベクトルX2(t)を選択して干渉除去
部IC12に与える。
【0096】この干渉除去部IC12は、先に図4のIC
k1に関連して説明したように、この入力信号ベクトルX
2(t)に基づいて、受信応答ベクトルH12と、エラー
判定信号E12と、ユーザ信号Y12(t)とを新たに算出
し、第2のゲート部GB12に与える。
【0097】一方、前段の干渉除去部IC11でエラー無
し及び干渉除去選択器10で干渉除去を行うとの判定が
なされていたときには、第1のゲート部GA12は、エラ
ー判定信号E11及び干渉除去選択信号I11に応じて、演
算装置101′を通過してきた、受信応答ベクトル
11,エラー判定信号E11,ユーザ信号Y11を選択して
第2のゲート部GB12へ与える。
【0098】第2のゲート部GB12の選択制御入力に
は、第1のゲート部GA12と共通にエラー判定信号E11
及び干渉除去選択信号I11が与えられる。第2のゲート
部GB 12は、前段の干渉除去部IC11でエラー有り及び
/又は干渉除去選択器10で干渉除去を行わないの判定
がなされていたときは、エラー判定信号E11及び/又は
干渉除去選択信号I11に応じて、干渉除去部IC12で新
たに算出された受信応答ベクトルH12,エラー判定信号
12およびユーザ信号Y12(t)を選択して出力し、第
2段目の干渉キャンセラを構成する演算装置102′に
与える。
【0099】一方、第2のゲート部GB12は、前段の干
渉除去部IC11でエラー無しの判定及び干渉除去選択器
10で干渉除去を行うとの判定がなされていたときに
は、エラー判定信号E11及び干渉除去選択信号I11に応
じて、第1のゲート部GA12から送られてきた、受信応
答ベクトルH11,エラー判定信号E11及びユーザ信号Y
11(t)をそのまま選択出力して、受信応答ベクトルH
12,エラー判定信号E12及びユーザ信号Y12(t)とし
て、第2段目の干渉キャンセラを構成する演算装置10
2′に与える。この演算装置102’には、受信応答ベ
クトルH12に基づいて干渉除去選択器10で判定された
干渉除去選択信号I12が与えられる。
【0100】ユーザ1以外の他のユーザに対応するゲー
ト部GA,GB、干渉除去部ICにおいても全く同じ動
作がなされるので、その説明を省略する。
【0101】以上の動作を要約すると、入力信号ベクト
ルX1(t)を受けた前段の干渉除去部ICのうち、エ
ラー無し及び干渉除去を行うと判定されたユーザに関し
ては、当該干渉除去部ICで算出された受信応答ベクト
ルHと、エラー判定信号Eと、ユーザ信号Y(t)とが
そのまま、第1段目の干渉キャンセラの演算装置10
1′と、第1のゲート部GAと、第2のゲート部GBと
を通過し、第2段目の干渉キャンセラに与えられる。す
なわち、一旦干渉除去部ICでエラー無し及び干渉除去
を行うと判定されたユーザに関しては、もはや後段の干
渉キャンセラの干渉除去部ICに与えられることはな
く、受信応答ベクトルHやエラー判定信号Eやユーザ信
号Y(t)が新たに算出されることはない。
【0102】一方、入力信号ベクトルX1(t)を受け
た前段の干渉除去部ICのうち、エラー有り及び/又は
干渉除去選択器10で干渉除去を行わないと判定された
ユーザに関しては、第1段目の干渉キャンセラの演算装
置101′でノイズを導入することなく高精度に干渉波
除去がなされた入力信号ベクトルX2(t)に基づい
て、第1段目の干渉キャンセラの干渉除去部ICが改め
て受信応答ベクトルHとエラー判定信号Eとユーザ信号
Y(t)とを算出し、第2段目の干渉キャンセラに与え
る。また、干渉除去選択器10は、算出された受信応答
ベクトルHに基づいて、干渉除去の有無を判定し、干渉
除去選択信号Iを第2段目の干渉キャンセラに与える。
【0103】第2段目の干渉キャンセラの演算装置10
2′は、第1段目の干渉キャンセラの演算装置101′
と全く同じ構成を有しており、図6に関連して説明した
動作と全く同じ動作を実行する。すなわち、初期入力信
号ベクトルX1(t)から、復調エラーを含まないユー
ザ信号に対応するレプリカ信号のみが減算され、次の入
力信号ベクトルX2(t)が加算器AD(図6)から出
力されることになる。
【0104】すなわち、前段の干渉除去部IC11,…,
ICk1,…,ICm1でエラー無し及び干渉除去を行うと
一旦判定されたユーザに関しては、後段のどの段の干渉
キャンセラにおいてもそのレプリカ信号は初期入力信号
ベクトルX1(t)からの減算の対象となる。
【0105】一方、一旦前段の干渉除去部IC11,…,
ICk1,…,ICm1でエラー有り及び/又は干渉除去を
行わないと判定され第1段目の干渉キャンセラの演算装
置101′で初期入力信号ベクトルX1(t)からの減
算対象から除外されたユーザであっても、第1段目の干
渉キャンセラの干渉除去部IC12,…,ICk2,…,I
m2のいずれかでエラー無し及び干渉除去を行うと判定
された場合には、後段のどの段の干渉キャンセラにおい
てもそのレプリカ信号は初期入力信号ベクトルX
1(t)からの減算の対象となる。
【0106】この結果、第2段目の干渉キャンセラの演
算装置102′では、ノイズを導入することなくさらに
高精度で干渉波除去がなされた入力信号ベクトルX
3(t)が得られる。
【0107】演算装置102′を含む第2段目の干渉キ
ャンセラの動作は、演算装置101′、第1のゲート部
GA12,…,GAk2,…,GAm2、干渉除去部IC12
…,ICk2,…,ICm2、第2のゲート部GB12,…,
GBk2,…,GBm2からなる上述の第1段目の干渉キャ
ンセラの動作と全く同じである。
【0108】このような干渉キャンセラを複数段直列に
接続し、各段の干渉キャンセラの演算装置において、初
期入力信号ベクトルX1(t)から、エラー無し及び干
渉除去を行うと判定されたユーザのレプリカ信号のみを
減算することによって、各段の干渉キャンセラにおいて
高精度な干渉波の除去を行なうことができる。
【0109】そして、前段を含むいずれかの段における
干渉除去部ICでエラー無し及び干渉除去選択器10で
干渉除去を行うと一旦判定されたユーザに関しては、そ
の干渉除去部ICで算出された受信信号ベクトルHとエ
ラー判定信号Eとユーザ信号Y(t)とが最終段の干渉
キャンセラの第2のゲート部GB(図示せず)から出力
され、そのうちのユーザ信号Y(t)が最終的なエラー
のないユーザ信号として抽出され、当該受信システムか
ら出力されることになる。
【0110】ところで、応答ベクトルは、エラーフリー
ユーザの再変調信号に対して周波数オフセット情報を付
加(周波数オフセットを逆補償)し、周波数オフセット
の逆補償後の再変調信号と受信信号(アンテナ入力信
号)の相関のアンサンブル平均により推定される。応答
ベクトルに誤差が含まれると、干渉除去時に誤った情報
を除去することになり、結果として、必要な情報を除去
してしまったり、ノイズを挿入することになるため、応
答ベクトルは精度が要求される。即ち、応答ベクトルの
精度が悪いと、干渉除去の精度は悪くなり、次ステージ
において、所望信号の抽出精度が悪くなり、その結果、
エラーフリーになりにくい。
【0111】上記したように、本発明によれば応答ベク
トル推定精度が高いと予めシミュレーションした結果に
応じて、干渉除去するか否か判断されるため、干渉除去
の精度は良くなり、次ステージにおいて、所望信号の抽
出精度が良く、その結果、エラーフリーになりやすい。
【0112】一方、すべての段における干渉除去部IC
においてエラー有り及び/又は干渉除去を行わないと判
定されたユーザに関しては、最終段の干渉キャンセラの
干渉除去部ICで算出された受信信号係数ベクトルHと
エラー判定信号Eと干渉除去選択信号Iとユーザ信号Y
(t)とが第2のゲート部GBから出力され、そのうち
ユーザ信号Y(t)が最終的にエラーを伴うユーザ信号
として抽出され、当該受信システムから出力されること
になる。
【0113】この実施の形態1の効果についてより具体
的に説明する。上述の実施の形態1においては、マルチ
ステージの干渉キャンセラの各段ごとに、演算装置にお
いて初期入力信号X1(t)から、それぞれのユーザに
対応する干渉成分すなわちレプリカ信号を除去するよう
に構成されている。このような実施の形態1の構成によ
り、次のような効果が得られる。
【0114】たとえば、4人のユーザのうち、ユーザ4
の受信信号を求める場合において、前段の干渉除去部I
11およびIC21でユーザ1および2のみが復調エラー
無しと判定された場合、ユーザ1および2のレプリカ信
号のみが第1段目の干渉キャンセラの演算装置101′
において初期入力信号ベクトルX1(t)から減算され
ることになる。この結果、第1段目の干渉キャンセラの
ユーザ4に関する受信信号X2(t)は、初期入力信号
−(ユーザ1のレプリカ信号+ユーザ2のレプリカ信
号)となる。
【0115】しかも干渉除去を行うと選択されている場
合には、エラーとなる確率が少ないので、干渉除去する
復元信号の精度も増す。
【0116】次に、第1段目の干渉キャンセラの干渉除
去部IC32において、ユーザ1および2に加えて、ユー
ザ3についても復調エラー無しと判定された場合、第2
段目の干渉キャンセラの演算装置102′において、ユ
ーザ1、ユーザ2およびユーザ3のレプリカ信号が初期
入力信号X1(t)から減算されることになる。この結
果、第2段の干渉キャンセラのユーザ4に関する受信信
号X3(t)は、初期入力信号−(ユーザ1のレプリカ
信号+ユーザ2のレプリカ信号+ユーザ3のレプリカ信
号)となる。
【0117】[実施の形態2]図7は、この発明の実施
の形態2によるPDMA用基地局の受信システムを示す
ブロック図である。この実施の形態2による受信システ
ムは、各段の干渉キャンセラの演算装置において初期入
力信号ベクトルX1(t)からレプリカ信号の減算を行
なった図3の実施の形態1における受信システムと異な
り、各段の干渉キャンセラの演算装置で新たに算出され
た入力信号ベクトルから、それぞれのユーザに対応する
干渉成分すなわちレプリカ信号を減算するように構成し
たものである。
【0118】図7に示した実施の形態2による受信シス
テムは、以下の点で図3に示した実施の形態1による受
信システムと異なっている。すなわち、図7における演
算装置101′と、ゲート部GA12,…,GAk2,…,
GAm2と、干渉除去部IC12,…,ICk2,…,ICm2
とからなる第1段目の干渉キャンセラでは、演算装置1
01から出力された入力信号ベクトルX2(t)が、図
3のX1(t)の代わりに、2段目の干渉キャンセラの
演算装置102’に与えられている。また、図7では、
図3の第2のゲート部GBが設けられておらず、干渉除
去部ICの出力である受信応答ベクトルH,エラー信号
Eおよびユーザ信号Y(t)と、ゲート部GAを介して
前段の干渉除去部ICから通過してきた受信応答ベクト
ルH,エラー判定信号E、干渉除去信号Iおよびユーザ
信号Y(t)とが並列に、2段目の干渉キャンセラの演
算装置102’に与えられている。
【0119】また、この2段目の干渉キャンセラの演算
装置102’(および以降の各段の干渉キャンセラの演
算装置)は、前述の図6に示す構成ではなく、図8に示
すような構成を有している。
【0120】図8に示した演算装置102’では、前段
の干渉キャンセラの干渉除去部IC、たとえば干渉除去
部IC12からの受信応答ベクトルH12,エラー判定信号
12,干渉除去選択器10からの干渉除去選択信号I12
及びユーザ信号Y12(t)と、さらに前段の干渉除去部
IC11から第1段目の干渉キャンセラを通過してきた受
信応答ベクトルH11、エラー判定信号E11、そして干渉
除去選択信号I11およびユーザ信号Y11(t)とがゲー
ト部GC1に与えられる。
【0121】ゲート部GC1の選択制御入力には、エラ
ー判定信号E11及び干渉除去選択信号I11が与えられ、
エラー判定信号E11がエラー無し、干渉除去選択信号I
11が干渉除去を行うことを示す場合には、干渉除去部I
11からの受信応答ベクトルH11,エラー判定信号
11,干渉除去選択器10からの干渉除去選択信号
11、ユーザ信号Y11(t)を選択して受信応答ベクト
ルH12,エラー判定信号E12,干渉除去選択信号I12、
ユーザ信号Y12(t)として出力し、エラー判定信号E
11がエラー有り及び/又は干渉除去選択信号I11が干渉
除去を行わない場合には、干渉除去部IC12からの受信
応答ベクトルH12,エラー判定信号E12,干渉除去選択
器10からの干渉除去選択信号I12、ユーザ信号Y
12(t)を選択して出力する。
【0122】一方、第1段目の干渉キャンセラの干渉除
去部IC12からの受信応答ベクトルH12とユーザ信号Y
12(t)とが乗算器MP1で乗算され、その出力はAN
DゲートAND1の第1の入力に与えられる。またAN
DゲートAND1の第2の入力には、干渉除去部IC12
からのエラー判定信号E12が与えられる。そして、AN
DゲートAND1の第3の入力には、干渉除去選択器1
0からの干渉除去選択信号I12が与えられる。
【0123】ANDゲートAND1と加算器ADとの間
には、ゲート部GD1が設けられており、ゲート部GD1
の選択制御入力には、エラー判定信号E11、干渉除去選
択信号I11がエラー無し及び干渉除去を行うことを示す
場合、ゲート部GD1は閉じてANDゲートAND1の出
力を加算器ADの負入力に与えない。一方、エラー判定
信号E11がエラー有りを示す場合及び/又は干渉除去選
択信号I11が干渉除去を行わない場合は、ゲート部GD
1は開いてANDゲートAND1の出力を加算器ADの負
入力に与える。
【0124】加算器ADの正入力には、実施の形態1の
ように入力信号ベクトルX1(t)ではなく、前段の干
渉キャンセラの演算装置101′で算出された入力信号
ベクトルX2(t)が入力される。
【0125】以上は、ユーザ1に対応する構成の説明で
あるが、演算装置102’は、ユーザ1からユーザmま
で同様の構成を含むものとする。
【0126】以上の構成を有する実施の形態2の受信シ
ステムの動作を説明すると、入力信号ベクトルX
1(t)を受けた前段の干渉除去部IC11,…,I
k1,…,ICm 1のうち、エラー無し及び干渉除去を行
うと判定されたユーザに関しては、当該干渉除去部IC
で算出された受信信号ベクトルHと、エラー判定信号E
と、干渉除去選択器10からの干渉除去選択信号Iと、
ユーザ信号Y(t)とが、そのまま第1段目の干渉キャ
ンセラの演算装置101′と、ゲート部GAと、第2段
目の干渉キャンセラの演算装置102’のゲート部GC
とを通過し、第2段目の干渉キャンセラのゲート部GA
(図示せず)に与えられる。
【0127】すなわち、一旦前段の干渉除去部ICでエ
ラー無し及び干渉除去選択器10で干渉除去を行うと判
定されたユーザに関しては、後段の干渉除去部ICに与
えられることはない。
【0128】一方、入力信号ベクトルX1(t)を受け
た前段の干渉除去部IC11,…,ICk1,…,ICm1
うちエラー有り及び/又は干渉除去を行わないと判定さ
れたユーザに関しては、第1段目の干渉キャンセラの演
算装置101′でノイズを導入することなく高精度で干
渉波除去がなされた入力信号ベクトルX2(t)に基づ
いて、第2段目の干渉キャンセラの干渉除去部ICが、
改めて受信応答ベクトルHと、エラー判定信号Eと、ユ
ーザ信号Y(t)とを算出し、第2段目の干渉キャンセ
ラの演算装置102’(図7)に与える。更に、この干
渉除去選択部ICが算出した受信応答ベクトルHに基づ
いて判定した干渉除去選択信号Iが第2段目の干渉キャ
ンセラの演算装置102’に与える。
【0129】第2段目の干渉キャンセラの演算装置10
2’では、前段の干渉キャンセラの演算装置101′か
ら出力された入力信号ベクトルX2(t)から、復調エ
ラーを含まないことが前段(第1段目)の干渉キャンセ
ラの干渉除去部ICで判定されたユーザに対応するレプ
リカ信号のみが、入力信号ベクトルX2(t)から減算
される。
【0130】ここで、既に、前段の干渉除去部IC11
…,ICk1,…,ICm1のいずれかで、たとえば干渉除
去部IC11でエラー無し及び干渉除去選択器10で干渉
除去を行うと判定されたユーザ1に関しては、そのレプ
リカ信号は既に演算装置101′で、初期入力信号ベク
トルX1(t)から減算されてしまっており、演算装置
102’の加算器ADに与えられる入力信号ベクトルX
2(t)にはもはや含まれてはいない。そのようなエラ
ー無し及び干渉除去を行うと判定されたユーザ1に関し
ては、第1段目の干渉キャンセラのゲート部GA12で、
前段の干渉除去部IC11の出力である受信応答ベクトル
11、エラー判定信号E11、干渉除去選択信号I11、ユ
ーザ信号Y11(t)が選択されて、さらに演算装置10
2’のゲート部GC1を通過して後段に出力される。し
たがって、このユーザ1に対応する第1段の干渉キャン
セラの干渉除去部IC12にはX2(t)は与えられず、
受信応答ベクトルH12、エラー判定信号E12、ユーザ信
号Y12(t)は出力されない。
【0131】したがって、エラー無し及び干渉除去を行
うと既に判断されたユーザ1に関しては、乗算器M
1、ANDゲートAND1による演算は行なわれず、加
算器ADによる入力信号ベクトルX2(t)からの減算
からは除外される。ただし、干渉除去部IC12への入力
2(t)が0であっても、干渉除去部IC12の動作に
よって何らかのノイズが発生し、乗算器MP1、AND
ゲートAND1を介して加算器ADに入力されることを
防止するため、エラー無しが判定されたユーザ1に関し
てはゲート部GD1が閉じ、ANDゲートAND1から加
算器ADへの出力は完全に遮断される。
【0132】この実施の形態2の効果についてより具体
的に説明すると、この実施の形態2によれば、各段の干
渉キャンセラは、自段の演算装置で算出した入力信号ベ
クトルから、レプリカ信号を次段の演算装置で除去する
ように構成されている。
【0133】たとえば、4人のユーザのうち、ユーザ4
の受信信号を求める場合において、前段の干渉除去部I
11およびIC21においてユーザ1および2のみがエラ
ー無し及び干渉除去を行うと判定された場合、第1段目
の干渉キャンセラのユーザ4に関する受信信号ベクトル
2(t)は、 初期入力信号−(ユーザ1のレプリカ信号+ユーザ2の
レプリカ信号)となる。
【0134】次に、第2段目の干渉キャンセラでのユー
ザ4に関する受信信号は、この実施の形態2では、 X2(t)−(ユーザ3のレプリカ信号)となる。
【0135】すなわち、前述の実施の形態1では、各段
の干渉キャンセラの演算装置において、初期入力信号ベ
クトルX1(t)からのレプリカ信号の減算を行なって
いるため、一旦エラー無しとして減算したユーザのレプ
リカ信号も、後続の各段で繰返し入力信号ベクトルから
減算し直す必要があるが、この実施の形態2では、エラ
ー無しとして既に入力信号ベクトルから減算されたユー
ザについては、後段でもはや入力信号ベクトルから減算
をやり直す必要はない。したがって、この実施の形態2
によれば、計算処理量の大幅な軽減を図ることができ
る。
【0136】[実施の形態3]ところで、図3〜図8に
示された実施の形態は、PDMA用基地局の受信システ
ムに関するものである。近年、このPDMA通信方式に
加えて、CDMA通信方式が提案されており、すでに実
用化されている。
【0137】このCDMA通信方式では、送信側で、送
信されるデジタルデータのシンボルに所定の拡散符号を
乗算して遥かに高い周波数の信号として送信し、受信側
では上記拡散符号を用いて受信信号を逆拡散することに
よりデータの復調を行なっている。
【0138】ここで、拡散符号として互いに相関のない
異なるものを複数種類用いれば、同一周波数の複数のデ
ータ信号が拡散されて送信されている場合であっても、
送信時に対応する拡散符号で逆拡散を行なうことにより
所望のユーザの信号のみを確実に分離抽出することがで
きる。したがって、このCDMA通信方式を用いること
により、さらなる通信容量の増大を図ることが可能とな
る。このようなCDMA通信方式はすでに実用化され、
当該技術分野において周知であるので、詳細な説明は省
略する。
【0139】以下に説明する実施の形態は、この発明に
よる無線受信システムを、CDMA通信方式に適用した
ものである。
【0140】図9は、この発明の実施の形態3によるC
DMA用基地局の受信システムを示すブロック図であ
り、図10および図11は、それぞれ、図9に示した干
渉除去部および演算装置の具体的なブロック図である。
【0141】図9ないし図11示す実施の形態3のCD
MA受信システムは、以下の点を除いて、図3ないし図
5に示した実施の形態1のPDMA受信システムと同じ
である。
【0142】すなわち、図3に示す実施の形態1の受信
システムの干渉除去部ICの構成を、図4に示す実施の
形態1の構成から、図10に示す実施の形態3の構成に
変更したものである。図10に示す干渉除去部(一例と
しての干渉除去部ICK1′)では、アダプティブアレイ
およびパラメータ推定器の前段に、CDMA通信方式で
送信されアンテナ3〜6で受信された信号を逆拡散する
ための逆拡散器ISk1が設けられている。各干渉除去部
において逆拡散器でユーザごとに逆拡散された受信信号
は、対応するアダプティブアレイおよびパラメータ推定
器に与えられ、前述の実施の形態1と同じ動作により、
それぞれのユーザ信号が抽出されて、後段の干渉キャン
セラの演算装置に与えられる。
【0143】図11に示す1段目の干渉キャンセラの演
算装置101aは、乗算器MP1,…,MPk-1,M
k,MPk+1,…,MPmの出力をそれぞれ拡散する拡
散器S11,…,S(k-1)1,Sk1,S(k+1)1,…,Sm1
設けられている点を除いて、図5に示した演算装置10
1′と同じである。
【0144】すなわち、CDMA通信方式により拡散さ
れたままの入力信号ベクトルX1(t)からの減算を行
なうために、各乗算器の出力が再度対応する拡散符号に
より拡散される。
【0145】そして各拡散器の出力、すなわち演算装置
101aの出力は、後段の対応する干渉除去部の逆拡散
器により再度逆拡散されて、アダプティブアレイおよび
パラメータ推定器に与えられる。
【0146】第2段の干渉キャンセラの演算装置102
aは、図11に示す演算装置101aと同じ構成を有し
ている。他の動作は、図3ないし図5に示した実施の形
態1と同じである。
【0147】上記した各実施の形態においては、干渉除
去部ICでエラー判定信号Eを、干渉除去選択器10で
干渉除去選択信号Iとを求め、双方の信号を用いて次段
の干渉除去動作を行うか否か決定しているが、干渉除去
部ICではエラー判定を行わず、干渉除去選択器10で
干渉除去選択信号Iとを求め、この信号のみで次段の干
渉除去動作を行うか否か決定するように構成してもよ
い。この場合は、精度は若干落ちることは否めないが、
干渉除去を行う復元信号の精度が高いものを予め条件と
して選択しておけば、復元精度の高いものは十分得るこ
とができる。
【0148】今回開示された実施の形態はすべての点で
例示であって制限的なものではないと考えられるべきで
ある。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求
の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味お
よび範囲内でのすべての変更が含まれることが意図され
る。
【0149】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、ユー
ザに対応する信号抽出手段で抽出された干渉ユーザ信号
成分を入力信号ベクトルから干渉除去手段で取除くこと
により、所望のユーザ信号成分を、干渉成分がより抑制
された状態で抽出することができ、移動通信システムな
どの無線通信システムにおける通信品質の向上を図るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の前提となるPDMA用基地局の受信
システムのブロック図である。
【図2】図1に示した演算装置の構成を示すブロック図
である。
【図3】この発明の実施の形態1によるPDMA用基地
局の受信システムのブロック図である。
【図4】図3に示した干渉除去部の構成を示すブロック
図である。
【図5】この発明の実施の形態による干渉除去選択器の
構成を示すブロック図である
【図6】図3に示した演算装置の構成を示すブロック図
である。
【図7】この発明の実施の形態2によるPDMA用基地
局の受信システムのブロック図である。
【図8】図7に示した演算装置の構成を示すブロック図
である。
【図9】この発明の実施の形態3によるCDMA用基地
局の受信システムのブロック図である。
【図10】図8に示した干渉除去部の構成を示すブロッ
ク図である。
【図11】図9に示した演算装置の構成を示すブロック
図である。
【図12】FDMA,TDMAおよびPDMAの各通信
方式におけるユーザ信号のチャネル配置図である。
【図13】従来のPDMA用基地局の受信システムを示
すブロック図である。
【符号の説明】
1,2 ユーザ、3〜6 アンテナ、7 周波数変換回
路、8 A/D変換器、 9 電力検出部、 10 干
渉除去選択器、 11,12,AA アダプティブアレ
イ、IC 干渉除去部、DM 復調器、RM 再変調
器、ED エラー判定器、PE パラメータ推定器、M
P 乗算器、AD 加算器、AND ANDゲート、G
A,GB,GC,GD,GE,GF,GG,GH ゲー
ト部、S 拡散器、IS 逆拡散器。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H04B 7/10 H04J 15/00 5K067 H04J 13/04 H04B 7/26 B 15/00 H04J 13/00 G (72)発明者 小池 広高 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 岩見 昌志 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 (72)発明者 東田 宣男 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機ソフトウェア株式会社内 Fターム(参考) 5J021 AA04 DB01 DB04 EA04 EA07 FA13 FA14 FA16 FA18 FA31 HA06 HA10 5K022 EE02 EE35 5K046 AA05 BA00 BB01 HH01 5K052 AA02 BB02 BB21 CC04 CC06 DD04 FF32 GG32 5K059 CC03 CC04 DD36 5K067 AA23 BB04 CC01 CC04 CC10 DD17 EE10 HH21 KK02 KK03

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のアンテナを用いて複数のユーザか
    らの信号を受信することができる無線受信システムであ
    って、 前記複数のアンテナで受信された信号に所定の信号処理
    を施す信号処理手段と、 前記複数のアンテナで受信された信号に基づいて、干渉
    除去を行うか否か判定する第1の干渉除去判定手段と、 前記信号処理手段から出力される信号に基づいて、前記
    複数のユーザにそれぞれ対応する信号成分を抽出する複
    数の第1の信号抽出手段と、 前記信号処理手段から出力される信号に対する前記第1
    の信号抽出手段で抽出された信号成分の関係に関するパ
    ラメータ情報を推定する複数の第1の推定手段と、 前記信号処理手段から出力される信号から、前記干渉除
    去判定手段により干渉除去を行う判定された前記抽出さ
    れた信号成分を、対応する前記パラメータ情報を考慮し
    て減算する第1の演算手段とを備えたことを特徴とする
    無線受信システム。
  2. 【請求項2】 前記第1の干渉除去判定手段は、前記第
    1の信号抽出手段で抽出された複数のユーザに対応する
    信号成分に基づき干渉除去を行うか否かを判定すること
    を特徴とする請求項1に記載の無線受信システム。
  3. 【請求項3】 前記第1の干渉除去判定手段は、第1の
    推定手段にて推定された応答ベクトルの推定精度に基づ
    き干渉除去を行うか否かを判定することを特徴とする請
    求項1に記載の無線受信システム。
  4. 【請求項4】 前記第1の信号抽出手段で抽出された複
    数のユーザに対応する信号成分がそれぞれ復調エラーを
    含むか否かを判定する複数の第1のエラー判定手段と、
    を更に備え、 前記信号処理手段から出力される信号から前記干渉除去
    判定手段により干渉除去を行う判定され且つ前記第1の
    エラー判定手段により復調エラーを含まないと判定され
    た前記抽出された信号成分を、対応する前記パラメータ
    情報を考慮して減算する第1の演算手段とを備えたこと
    を特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の無線
    受信システム。
  5. 【請求項5】 前記第1の演算手段から出力される信号
    に基づいて、前記第1のエラー判定手段により復調エラ
    ーを含むと判定されたユーザにそれぞれ対応する信号成
    分を抽出する複数の第2の信号抽出手段と、 前記第1の演算手段から出力される信号に対する前記第
    2の信号抽出手段で抽出された信号成分の関係に関する
    パラメータ情報を推定する複数の第2の推定手段と、前
    記第2の信号抽出手段で抽出された複数のユーザに対応
    する信号成分に基づきそれぞれが干渉除去を行うか否か
    を判定する第2の干渉除去判定手段と、 前記第2の信号抽出手段で抽出された信号成分がそれぞ
    れ復調エラーを含むか否かを判定する複数の第2のエラ
    ー判定手段とをさらに備えたことを特徴とする請求項4
    に記載の無線受信システム。
  6. 【請求項6】 前記信号処理手段から出力される信号か
    ら、前記第1および第2のエラー判定手段により復調エ
    ラーを含まず且つ前記第1および第2の干渉除去判断手
    段により干渉除去を行うと判定された前記第1および第
    2の信号抽出手段で抽出された信号成分を、対応する前
    記パラメータ情報を考慮して減算する第2の演算手段を
    さらに備えたことを特徴とする請求項4に記載の無線受
    信システム。
  7. 【請求項7】 前記第1の演算手段から出力される信号
    から、前記第2のエラー判定手段により復調エラーを含
    まないと判定された前記第2の信号抽出手段で抽出され
    た信号成分を、対応する前記パラメータ情報を考慮して
    減算する第3の演算手段をさらに備えたことを特徴とす
    る請求項6に記載の無線受信システム。
  8. 【請求項8】 前記複数のユーザからの信号はPDMA
    通信方式によって伝送された信号であることを特徴とす
    る請求項1から7のいずれかに記載の無線受信システ
    ム。
  9. 【請求項9】 前記複数のユーザからの信号はCDMA
    通信方式によって伝送された信号であることを特徴とす
    る請求項1から7のいずれかに記載の無線受信システ
    ム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014116933A (ja) * 2012-11-15 2014-06-26 Nippon Telegr & Teleph Corp <Ntt> 受信装置及び受信信号処理方法
JP2016195408A (ja) * 2005-08-22 2016-11-17 クゥアルコム・インコーポレイテッドQualcomm Incorporated Multiple hypothesis復号

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