JP2002105595A - 伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

伸びフランジ性に優れた高強度熱延鋼板およびその製造方法

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JP2002105595A
JP2002105595A JP2001222623A JP2001222623A JP2002105595A JP 2002105595 A JP2002105595 A JP 2002105595A JP 2001222623 A JP2001222623 A JP 2001222623A JP 2001222623 A JP2001222623 A JP 2001222623A JP 2002105595 A JP2002105595 A JP 2002105595A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高強度で、しかも優れた伸びフランジ性を備
えた熱延鋼板およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 mass%で、C:0.01〜0.10%、
Si:1.0%以下、Mn:2.5%以下、P:0.0
8%以下、S:0.005%以下、Al:0.015〜
0.050%、Ti:0.10%〜0.30%および残
部Feを本質的成分とし、フェライトを主体とする組織
を有し、隣接する粒との方位差がすべて15°以上で囲
まれた粒を単位粒とし、その平均粒径dμm を5μm 以
下とする。さらに前記単位粒と隣接する粒との平均境界
長さをLμm としたとき、L/dを4.0以上とするこ
とが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、メンバー類やアー
ム類などの脚周り部材やシャーシ材料などの自動車部品
用素材等として好適な、伸びフランジ性に優れた高強度
熱延鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車や産業機械などの鋼板使用
分野では、部材の軽量化が指向されており、これに伴い
高強度の熱延鋼板が使用されている。熱延鋼板が用いら
れる用途においては、プレスにより形状加工とともに穴
拡げ加工が施されるため、優れた伸びフランジ性(局部
延性)が要求されることが多い。
【0003】高強度かつ加工性に優れた、Tiを添加し
た熱延鋼板としては、例えば特開昭53−88620号
公報、特公昭62−4450号公報、特公昭63−66
367号公報、特公平4−110418号公報、特開平
11−106861号公報に記載されているものが知ら
れている。しかし、それらの先行文献においては、伸び
フランジ性を向上させるために望ましい組織についての
検討はまったくなされていない。
【0004】近年、鋼板組織を、隣接する粒の結晶方位
が15°(15度)以上のもので囲まれた粒を単位粒と
し、その大きさが数μm 以下の超細粒組織とする方法が
特開平11−246931号公報、持開平11−246
932号公報などに記載されているように盛んに検討さ
れているが、現在のところ、優れた伸びフランジ性を備
えた微細組織鋼板を得るには至っていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる問題に
鑑みなされたもので、高強度で、しかも優れた伸びフラ
ンジ性を備えた熱延鋼板およびその製造方法を提供する
ものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、Tiを0.
10〜0.30%含有する特定成分の下、フェライト以
外の第2相(主としてマルテンサイトやベイナイトの低
温変態生成相)を本質的に含まず、結晶粒径、粒形態を
コントロールしたフェライト単相組織とすることで、高
強度を損なうことなく、優れた伸びフランジ性を熱延鋼
板に付与することができることを知見し、本発明を完成
するに至った。すなわち、本発明の高強度熱延鋼板は、
mass%で、C :0.01〜0.10%、Si:1.0
%以下、Mn:2.5%以下、P :0.08%以下、
S :0.005%以下、Al:0.015〜0.05
0%、Ti:0.10%〜0.30%および残部Feを
本質的成分とし、フェライトを主体とする組織を有し、
隣接する粒との方位差がすべて15°以上で囲まれた粒
を単位粒とし、その平均粒径をdμm としたとき、dが
5μm 以下とされたものである。前記単位粒とこれに隣
接する粒との平均境界長さをLμm としたとき、L/d
を4.0以上とすることで、伸びフランジ性がより向上
する。また、前記成分において、さらに、Nb:0.4
0%以下、B:0.0010%以下の内の1種以上、お
よび/またはCa:0.01%以下を含むことができ
る。
【0007】また、本発明の高強度熱延鋼板の製造方法
は、前記成分を有する鋼を加熱後、圧延し、冷却し、巻
き取る高強度熱延鋼板の製造方法であって、前記鋼の加
熱を1150〜1300℃で行い、前記圧延における仕
上圧延を900〜840℃の温度領域で行い、仕上圧延
における圧下率を70%以上とし、前記冷却を60℃/s
ec以上で行い、前記巻き取りを300〜500℃あるい
は600〜750℃とするものである。前記圧下率は8
0%以上とすることにより、前記L/dを4.0以上と
することができ、より優れた伸びフランジ性を得ること
ができる。
【0008】
【発明の実施の形態】まず、本発明の高強度熱延鋼板に
おける化学成分(単位はmass%)の限定理由について説
明する。 C:0.01〜0.10% Cは強度を向上させるのに有効な元素である。しかし、
0.10%超では第2相組織が生じやすくなる。このた
め、C量の下限を0.01%、好ましくは0.02%と
し、一方その上限を0.10%、好ましくは0.08%
とする。
【0009】Si:1.0%以下 Siは延性をあまり損なわずに、鋼の強度を上げる元素
として有効である。しかし、多量に添加するとスケール
傷や表面欠陥が生じるほか、フェライト生成を促進し、
粒径dを粗大化させてL/dを低下させる。このため、
上限を1.0%、好ましくは0.8%とする。
【0010】Mn:2.5%以下 Mnは鋼の固溶強化、ひいては強度を得るために有効な
元素である。また、変態を促進させ、グラニュラー・ベ
イニティック・フェライトやベイニティック・フェライ
トを生成させて、粒界の形状を変える働きがある。この
ためには、0.5%以上の添加が好ましいが、過多に添
加すると焼き入れ性が過大となり、変態生成物を多量に
生成し、高い伸びフランジ性を得ることが困難となる。
このため、その上限を2.5%、好ましくは2.0%と
する。
【0011】P:0.08%以下 Pは延性を劣化させずに固溶強化する有効な元素である
が、過多に添加すると加工後、遷移温度を上昇させるの
で、0.08%以下とする。
【0012】S:0.005%以下 SはMnSなどの硫化物を生成し、伸びフランジ性を劣
化させる介在物を多く生成させるので低いことが望まし
く、本発明では0.005%以下に止める。
【0013】Al:0.015〜0.050% Alは脱酸剤として添加され、0.015%未満では脱
酸作用が過小であるほか、Nを多く残存させてTiNな
どの非金属介在物を生成し易くする。一方、0.050
%超ではAl23などの非金属介在物を生成し、清浄度
が劣化するようになる。このため、Al量を0.015
〜0.050%とする。
【0014】Ti:0.10〜0.30% Tiは、焼き入れ性を向上させるほか、粒径を変化させ
て伸びフランジ性を向上させる作用を有する。このた
め、0.10%以上、好ましくは0.20%以上添加す
る。しかし、多量に添加するとTiNなどの非金属介在
物を多く生成させることになるので、0.30%以下、
好ましくは0.25%以下とする。本発明鋼板を熱間圧
延により製造する場合、後述のように未再結晶オーステ
ナイト域にて圧延を行い、この時に蓄積される加工歪み
エネルギーを利用して、伸びフランジ性に有効な細粒さ
らにはジグザグ粒界の粒を得るのであるが、この未再結
晶オーステナイト域を広げるための効果および上記結晶
粒を得るための効果は、本発明者らが鋭意研究した結
果、Ti添加が最も有効であり、例えばNb単独添加で
は全く効果がないことが確かめられている。Ti量が
0.10%未満と少ない場合には、フェライト生成が促
進され、ジグザグ粒が得られないようになる。
【0015】本発明の高強度熱延鋼板は、上記成分のほ
か、残部Feを本質的成分とするものであり、他の成分
として不可避的不純物のほか、上記各成分の作用、効果
を妨げない範囲で適宜の元素を添加することができる。
例えば、下記のNb、Bの1種以上、および/またはC
aを記載した範囲で含有することができる。
【0016】 Nb:0.40%以下、B:0.0010%以下 これらの元素は、Tiと同様、焼き入れ性向上作用、粒
径変化による伸びフランジ性向上作用を有するが、多量
に添加しても効果が飽和し、経済的でないのでNbは
0.40%以下、好ましくは0.30%以下、Bは0.
0010%以下、好ましくは0.0005%以下に止め
る。
【0017】Ca:0.01%以下 Caは穴拡げ性に害を及ぼすMnSを低減させ、CaS
という球状硫化物にすることによって伸びフランジ性に
無害な形態にすることができる。しかし、0.01%を
越えるとその効果が飽和し、経済的でないので、0.0
1%以下に止める。
【0018】次に、本発明の熱延鋼板の組織について説
明する。本発明鋼板の組織はフェライトを主体とするも
のである。フェライト以外の第2相(主としてベイナイ
ト、マルテンサイトなどの低温変態生成物)が有ると、
フェライトと第2相との境界にこれらの硬度差に起因し
てボイド、クラックが生じて伸びフランジ性が劣化す
る。前記フェライトとは、ポリゴナルフェライトのほ
か、グラニュラー・ベイニティック・フェライト組織や
ベイニティック・フェライト組織を含む。これらのフェ
ライトの典型的な形態は、日本鉄鋼協会基礎研究会発行
「鋼のベイナイト写真集−1」によって知ることができ
る。前記フェライトは、全組織がフェライト単相組織で
あることが好ましいが、面積率で5%未満であれば第2
相を含んでいても伸びフランジ性の劣化は軽微であり、
実用上差し支えない。
【0019】組織中のフェライト粒径、さらにその粒界
の形状は高い塑性変形を得るためには重要な要素であ
り、伸びフランジ性に重要な影響を及ぼす。すなわち、
結晶粒界はクラックの伝播に対して障害として働き、結
晶粒の粒径が細かいほど、クラックが進展する際、数多
くの粒界を伝播していかなければならないため、クラッ
クの進展抑止効果が大きい。さらに結晶粒の外周縁が凹
凸状、ジグザグ状であるほど、ストレート状、平坦状の
粒界より粒界強度が大きくなるため、変形の際に粒界か
らの割れ発生を防止する効果が大きくなる。このため、
本発明では、方位差がすべて15°以上ある粒によって
囲まれた粒を単位粒とし、その平均粒径dを5μm 以下
の微細フェライト組織とする。dが5μm 超では、クラ
ックの進展抑止効果が減少し、優れた伸びフランジ性が
得難くなる。さらに、より優れた伸びフランジ性を得る
には、単に単位粒のサイズを微細化するのみならず、単
位粒とこれに隣接する粒との平均境界長さをL(μm)
としたとき、L/dを4.0以上とするのがよい。4.
0未満では結晶粒が平坦状になり、粒界からの割れ抑制
効果が劣化し、伸びフランジ性の向上作用が望めないよ
うになる。上記のように、単位粒を方位差がすべて15
°以上ある粒によって囲まれた粒とするのは、15°未
満の方位差の結晶粒同士の境界はクラックの進展に対す
る阻止効果が小さく、クラック進展抑止作用の点からは
実質的に一つの粒として取り扱って差し支えないからで
ある。
【0020】なお、前記単位粒の粒径およびその境界長
さは、エッチングした試料に対し、EBSP(Electron
Back Sccatering Pattern)法により鋼板表面の結晶方
位を測定し(測定条件:2000倍に拡大、100μm
を100stepとして測定)、方位差がすべて15°以上
ある粒によって囲まれた粒をマッピング後、画像解析に
より測定することができる。また、前記平均粒径の意味
は次のとおりである。まず、方位差がすべて15°以上
ある粒によって囲まれた粒を単位粒とし、各単位粒の面
積を持つ円を想定し、その想定円の直径を求める。そし
て、その想定円の直径の平均値を求める。この平均値が
平均粒径を意味する。
【0021】本発明の高強度熱延鋼板は、前記成分を有
する鋼を溶製し、そのスラブを加熱後、圧延し、冷却
し、これによって得られた鋼板を巻き取るに際して、仕
上圧延を900〜840℃の温度領域で行い、この仕上
圧延における圧下率を70%以上とし、巻き取り温度を
300〜500℃あるいは600〜750℃以上とする
ことによって製造される。スラブの加熱温度は、Tiを
十分固溶させるように1150〜1300℃とするのが
よい。また、前記900〜840℃における圧延(仕上
圧延)から巻き取りまでの間は、フェライトを生成しな
いように冷却することが好ましく、冷却速度を60℃/s
ec以上、好ましくは80℃/sec以上で冷却し、速やかに
所定温度にて巻き取ることが望ましい。
【0022】Tiを0.10〜0.30%添加した鋼で
は、900℃以下の圧延は、通常、粗圧延後の仕上圧延
において、オーステナイト域(γ域)で再結晶をしない
未再結晶オーステナイト域での圧延となる。この温度領
域での圧下率を70%以上とすることにより、未再結晶
オーステナイトに十分な加工歪みを付与することができ
る。もっとも、840℃未満では、フェライト+γ域の
2相域となり、フェライトの加工組織が混在するように
なって、伸びフランジ性が低下するため好ましくない。
一方、900℃超の温度領域での仕上圧延については、
再結晶域における圧延となるため、フェライト粒dが粗
大化し、目的とするL/dが得られないようになる。こ
のため、仕上圧延を900〜840℃の温度領域で行
い、同温度域における圧下率を70%以上とする。この
未再結晶オーステナイトからなる熱延鋼板を後述の巻き
取り温度にて巻き取ることによって、巻き取りの際に結
晶方位の相違した微細フェライトが速やかに生成し、巻
き取り後の熱延鋼板のフェライトの単位粒の平均粒径を
5μm 以下にすることができる。前記圧下率が70%未
満では、未再結晶オーステナイトに蓄積される歪みエネ
ルギーが少ないため、巻き取りの際にフェライトの核生
成サイトが少なく、生成速度も遅くなり、フェライト結
晶粒が粗大化し、所定サイズのフェライト単位粒を得る
ことが困難になる。さらに、圧下率を好ましくは80%
以上とすることで、巻き取りの際にフェライト変態が急
速に生じ、しかも結晶粒界が凹凸状になり、L/dを
4.0以上にすることができる。結晶粒界が凹凸状にな
る理由は必ずしも明らかでないが、本発明者は、高圧下
率の下でTiを所定量添加することによって、結晶粒が
整粒化せず、前記現象が顕著に生じることを観察してい
る。かかる観察からTiの存在が重要な作用を及ぼして
いるものと考えられる。
【0023】巻き取り温度については、300〜500
℃(好ましくは320〜480℃)、あるいは600〜
750℃(好ましくは620〜720℃)とする。30
0℃未満ではマルテンサイトのような第2相が生成し易
くなり、一方750℃超ではフェライトの結晶粒径が成
長して大きくなり、フェライト単位粒が5μm を超える
ようになる。また、500℃超〜600℃未満では、T
iCが母相マトリックスに整合析出するようになり、延
性や伸びフランジ性を劣化させるようになるため、この
間での巻き取りを避ける必要がある。巻き取り温度が低
いほど、また未再結晶オーステナイト域での圧下率が高
いほど、フェライト結晶粒の微細化には効果的である。
【0024】以下、実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明するが、本発明はかかる実施例によって限定的に
解釈されるものではない。
【0025】
【実施例】表1に示す化学成分を有する鋼を溶製し、そ
のスラブを1250℃に加熱し、30分保持後、粗圧
延、仕上圧延を行った。仕上圧延における開始温度(F
ET)、終了温度(FDT)およびその間の圧下率
(R)を表2および表3に示す。仕上圧延終了後、鋼板
温度をミスト冷却(冷却速度65℃/secまたは50℃/s
ec)し、同表に示す巻き取り温度(CT)にて巻き取
り、2.5mm厚の熱延鋼板を得た。
【0026】このようにして得られた熱延鋼板からJl
S5号引張試験片を採取して圧延方向の引張試験を行
い、引張強さ(TS)を測定した。また、伸びフランジ
性を評価するため穴拡げ試験を行った。穴拡げ試験は、
径10mmφの打ち抜き穴(初期穴径d0=10mm)に頂
角60°の円錐ポンチを押し込んで初期穴を押し拡げ広
げ、割れが鋼板板厚を貫通した時点での穴径dを測定す
るものであり、伸びフランジ性は下記の穴拡げ率λによ
って評価される。これらの測定結果を表2および表3に
併せて示す。 λ={(d−d0)/d0}×100(%)(d0=1
0mm) また、熱延鋼板から組織観察試験片を採取し、SEMに
て組織の種類およびフェライト面積率を測定した。ま
た、EBSP法により方位差15°の結晶方位マップを
作成し、方位差が15°以下の単位粒の粒径d0とその
粒界の長さL0を測定し、d0の平均値(d)、L0/
d0の平均値(L/d)を求めた。これらの測定結果を
表2および表3に併せて示す。同表中の組織において、
pFはポリゴナルフェライト、bFはベイニティックフ
ェライトである。なお、試料No. 3、10、24および
34は同じものであるが、データの整理上、別の番号を
付して併記した。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】表2および表3より、本発明の鋼成分を満
足しない鋼種No. 1,4,8,9,10,13,14,
17を用いた試料No. 1,4,8,36,37,40,
41,44では引張強さTSまたはλの低下が著しい。
特に、No. 1ではC量が高いため、フェライトのほかに
マルテンサイトが10%生成し、フェライト主体の組織
が得られず、λの劣化が著しい。また、試料No. 21は
巻き取り温度が高すぎるため、dが粗大化し、またNo.
23は巻き取り温度が不適切であるためTiCが析出
し、ともにλが低下している。また、No. 31,32は
未再結晶オーステナイト域での圧下率が低すぎるため、
巻き取り温度が適正であるにもかかわらず、dが大粒化
し、高いλが得られていない。また、No. 36ではSi
含有量が高いため、フェライトの生成が促進され、L/
dが低下している。また、No. 37ではTi含有量が低
いため、フェライトの生成が促進され、L/dが低下し
ており、一方、No. 40ではTi含有量が高いため、T
iO介在物、TiN介在物が多く生成し、λが低下して
いる。また、No. 41ではAl含有量が低いため、Ti
N介在物が多く生成し、λが低下しており、一方、No.
44ではAl含有量が高いため、Al23介在物が生成
し、λが低下している。また、No. 48ではFETが高
いため、dが粗大化し、λが低下しており、一方、No.
49ではFDTが低いため、加工組織となり、λが低下
している。また、No. 50ではCTが低いため、フェラ
イトのほかマルテンサイトが20%生成し、またL/d
が低下している。また、No. 52ではCRが低いため、
dが粗大化し、λが低下している。
【0031】これらに対して、成分、製造条件が本発明
条件を満足する実施例(試料No. に*記号が付記されて
いない例)では、570N/mm2 以上の高強度を有し、
しかもλが60%以上であり、優れた伸びフランジ性を
備えている。特に、dが5μm 以下で、かつL/Dが
4.0以上の実施例(No. 3,9〜13,22,24,
34,35,38,39,42,43,45,46,4
7,51)では、λが90%以上で、かつTS×λが7
0000 N/mm2・%以上あり、高強度かつ優れた伸び
フランジ性を備えている。
【0032】
【発明の効果】本発明の熱延鋼板によれば、Tiを0.
10〜0.30%含有した特定成分の下、フェライトを
主体とし、クラック進展の抑制能を有するフェライト単
位粒の粒径、あるいはさらにその外周形態を特定したの
で、高強度を損なうことなく、優れた伸びフランジ性を
備えることができる。また、本発明の製造方法によれ
ば、前記高強度熱延鋼板を容易に製造することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4E002 AD04 BC05 BC07 BD07 BD08 CB01 4K037 EA01 EA02 EA05 EA09 EA15 EA16 EA19 EA23 EA25 EA27 EA31 EB08 EB09 FA03 FC03 FC04 FD04 FE01 FE02 FE03 HA02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 mass%で、C :0.01〜0.10
    %、Si:1.0%以下、Mn:2.5%以下、P :
    0.08%以下、S :0.005%以下、Al:0.
    015〜0.050%、Ti:0.10%〜0.30%
    および残部Feを本質的成分とし、フェライトを主体と
    する組織を有し、隣接する粒との方位差がすべて15°
    以上で囲まれた粒を単位粒とし、その平均粒径をdμm
    としたとき、dが5μm 以下である伸びフランジ性に優
    れた高強度熱延鋼板。
  2. 【請求項2】 前記単位粒とこれに隣接する粒との平均
    境界長さをLμm としたとき、L/dが4.0以上であ
    る請求項1に記載した高強度熱延鋼板。
  3. 【請求項3】 さらに、Nb:0.40%以下、B :
    0.0010%以下の1種以上を含む請求項1または2
    に記載した高強度熱延鋼板。
  4. 【請求項4】 さらに、Ca:0.01%以下を含む請
    求項1〜3のいずれか1項に記載した高強度熱延鋼板。
  5. 【請求項5】 請求項1、3および4のいずれか1項に
    記載した成分を有する鋼を加熱後、圧延し、冷却し、巻
    き取って得られた高強度熱延鋼板であって、 前記鋼の加熱を1150〜1300℃で行い、前記圧延
    における仕上圧延を900〜840℃の温度領域で行
    い、仕上圧延における圧下率を70%以上とし、前記冷
    却を60℃/sec以上で行い、前記巻き取りを300〜5
    00℃あるいは600〜750℃で行う、伸びフランジ
    性に優れた高強度熱延鋼板。
  6. 【請求項6】 請求項1、3および4のいずれか1項に
    記載した成分を有する鋼を加熱後、圧延し、冷却し、巻
    き取る高強度熱延鋼板の製造方法であって、 前記鋼の加熱を1150〜1300℃で行い、前記圧延
    における仕上圧延を900〜840℃の温度領域で行
    い、仕上圧延における圧下率を70%以上とし、前記冷
    却を60℃/sec以上で行い、前記巻き取りを300〜5
    00℃あるいは600〜750℃とする、伸びフランジ
    性に優れた高強度熱延鋼板の製造方法。
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