JP2002102329A - 生体用部材 - Google Patents

生体用部材

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JP2002102329A JP2000294843A JP2000294843A JP2002102329A JP 2002102329 A JP2002102329 A JP 2002102329A JP 2000294843 A JP2000294843 A JP 2000294843A JP 2000294843 A JP2000294843 A JP 2000294843A JP 2002102329 A JP2002102329 A JP 2002102329A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 迅速に骨との一体化が可能な生体用部材を提
供する。 【解決手段】 緻密な部材1の外表面の一部または全部
をリン酸カルシウム系焼結体から成る多孔質の部材2と
する。緻密な部材1は気孔率0%以上15%以下であ
る。多孔質の部材2は気孔率55%以上85%以下であ
る。多孔質の部材2の気孔は、ほぼ球状の気孔の集まり
から成る。その平均気孔径が50μm以上400μm以
下である。平均気孔径以上の大きさの気孔がひとつあた
り平均して3点以上の割合で直径5μm以上の連通孔を
有する。連通孔のうち、少なくとも平均して1点以上の
割合で直径25μm以上の連通孔が形成されている。平
均気孔径以上の大きさの気孔が、平均してその気孔表面
積の50%以下の割合で、連通孔として開口している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生体内において、
迅速に骨と一体化が可能な生体用部材に関する。特に大
きな荷重がかかる部位の人工骨として、または人工関節
用として使用するのに優れたものである。
【0002】
【従来の技術】傷病による骨の欠損に対して、従来より
金属、セラミックスを用いた人工的な骨、関節などが研
究されている。そして、セラミックスとしてはアルミ
ナ、ジルコニアなどが、強度があり、生体為害性がない
ことから実用化されている。また加工性に優れる金属で
は生体為害性がない等の点からチタンやチタン合金など
が実用化されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これらは単に可能な限
り無害な部材で骨を置換えたものであり、いつまで経っ
ても生体になじみにくく、死組織として機能するもの
の、その強度、金属の場合は靭性も十分なレベルにあ
る。
【0004】このような金属やセラミックスは例えば人
工関節としてそのまま骨内に固定しようとしても骨と人
工関節の間に新しい骨細胞が形成されにくく、骨内で人
工関節が固定されるまで長い時間がかかっていた。その
ため、骨セメントなどで骨と人工関節を強制的に接合す
ることが行われているが、骨セメントは経時的な劣化も
予想される。
【0005】この点を解決するために、人工関節表面を
生体に馴染みやすい物質でコーティングする技術がでて
きた。たとえば、特開平10−72666号や特許第2
858126号には、表面を生体に馴染みやすいハイド
ロキシアパタイトとすることが開示されている。
【0006】一方、本出願人は、特願2000−148
561号においてハイドロキシアパタイトなどリン酸カ
ルシウム系焼結体の気孔形状を特定のものとすることに
より、従来の生体用部材に比べて非常に早く骨との一体
化や骨の再生などが行われることを開示している。
【0007】本発明は、従来の人工関節などの生体用部
材に、出願人が有する特徴的な気孔形状のリン酸カルシ
ウム系焼結体を組み合わせることにより、従来になく迅
速に骨との一体化が可能な生体用部材を提供するもので
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明に係る生体用部材は、緻密な部材の外表面
の一部または全部をリン酸カルシウム系焼結体から成る
多孔質の部材とし;該緻密な部材は気孔率0%以上15
%以下であり;該多孔質の部材は気孔率55%以上85
%以下であり;かつ、該多孔質の部材の気孔は、ほぼ球
状の気孔の集まりから成り、その平均気孔径が50μm
以上400μm以下であり、平均気孔径以上の大きさの
気孔がひとつあたり平均して3点以上の割合で直径5μ
m以上の連通孔を有し、かつ、該連通孔のうち、少なく
とも平均して1点以上の割合で直径25μm以上の連通
孔が形成されており;かつ、該平均気孔径以上の大きさ
の気孔が、平均してその気孔表面積の50%以下の割合
で、該連通孔として開口しており;該多孔質の部材は乾
燥状態で、水および血液の滴下により全体を濡らすこと
が可能なものである。
【0009】本発明の生体用部材は、その多孔質の部材
がリン酸カルシウム系焼結体であって、その気孔率が5
5%以上85%以下であり、かつ、該多孔質の部分は、
ほぼ球状の気孔の集まりから成り、平均気孔径が50μ
m以上400μm以下であり、平均気孔径以上の大きさ
の気孔がひとつあたり平均して3点以上の割合で直径5
μm以上の連通孔(開口)を有し、かつ、該連通孔のう
ち、少なくとも平均して1点以上の割合で直径25μm
以上の連通孔が形成されているので、気孔内に血液や細
胞が浸潤しやすい。
【0010】つまり、リン酸カルシウム系焼結体から成
るので骨の再生を促すことができる。気孔は、全体的に
ほぼ球状の気孔により形成されるので方向性が無く強度
を保ちやすい。また、細胞の取り付く表面積を大きくす
ることができる。
【0011】多孔質の部材の気孔率は、55%以上85
%以下であり、強度を保ちながら気孔の表面積を大きく
することが可能であり、骨の迅速な再生を可能とする。
多孔質の部材の気孔径は平均50μm以上400μm以
下のものが適し、50μm以下では細胞の侵入が困難で
あり、400μm以上だと強度低下と気孔の表面積の減
少が生じてしまう。好ましくは、平均気孔径は100μ
mから300μmである。さらに好ましくは100μm
以上200μm以下である。気孔率は好ましくは65%
以上85%以下である。
【0012】本発明の多孔質の部材では、平均気孔径以
上の大きさの気孔が、平均して3点以上の割合で直径5
μm以上の連通孔(開口)を有しているので、隅々まで
体液が浸潤する。特に該連通孔のうち、少なくとも平均
して1点以上の割合で直径25μm以上の連通孔が形成
されているので、気孔内に体液に加えて細胞が侵入しや
すくなる。
【0013】一般に人の細胞は10μm近くの大きさが
あり、また成人の赤血球も8〜9μmであり、連通孔は
25μmあれば十分効果があるが、連通孔を40μm以
上としてやれば、酸素、栄養、細胞などの通過量が格段
に向上し、好ましい。つまり、3点以上の割合で存在す
る直径5μm以上の連通孔(開口)の中には1点以上の
割合で直径40μm以上の連通孔が存在することが好ま
しい。
【0014】このように大きな連通孔を持ち、多くの気
孔と三次元的に連通することで生体部材内全体の体液の
循環を良くし、細胞も生体用部材の深部まで侵入しやす
くなるのである。
【0015】好ましくは、平均気孔径以上の気孔が、そ
の内表面に平均して4点以上の割合で直径5μm以上の
連通孔を有し、そのうち1点以上の割合で50μm以上
の直径の連通孔を有することが望ましい。さらに好まし
くは、平均気孔径以上の気孔が平均して6点以上の割合
で直径10μm以上の連通孔を有し、そのうち2点以上
が直径50μm以上とすることにより、気孔内への体液
の循環が活発となる。なお、前記の2点以上の割合の5
0μm以上の直径の連通孔は、その直径が80μm以上
であれば特に好ましい。
【0016】本発明の生体用部材では、多孔質の部材に
おける平均気孔径以上の大きさの気孔が、平均してその
ひとつの丸い気孔の表面積の50%以下の割合で、該連
通孔として開口していることが好ましいのは、連通孔と
して失われる気孔内表面積が50%より大きくなると細
胞が付着するための表面積が小さくなりすぎてしまうか
らであり、強度にも影響を及ぼすようになるからであ
る。好ましくは40%以下である。
【0017】なお、平均気孔径以上の大きさの気孔につ
いて各種限定したのは、実際に気孔としては平均気孔径
付近より大きなもののほうが効果などの面において影響
が極めて大きいからである。
【0018】ところで、本発明の平均気孔径は、例えば
樹脂包埋により測定することができる。そして、その5
0%体積気孔径(すなわち大きな気孔(または小さな気
孔)から体積を積算していき、その値がちょうど気孔全
体の50%になったときの気孔の径)を平均気孔径とし
ている。
【0019】また、任意の平らな断面において、平面的
に気孔の様子を観察すると、平均気孔径以上の気孔が平
面積の25〜60%であることが好ましい。25%未満
では気孔部が小さくなり、細胞侵入が難しくなり、60
%より大きいと強度的に弱くなりやすい。より好ましく
は、35〜55%である。さらに好ましくは、40〜5
0%である。
【0020】本発明の生体用部材は、気孔と気孔が重な
り合って形成される連通孔の円周部すなわち前述のエッ
ジが、リン酸カルシウム粒子ひとつの厚みから成るほど
鋭く形成され、表面積を広げている。このような気孔の
特徴は、スラリー原料を撹拌して起泡させ、その後乾燥
し、焼成することにより得られるものである。このと
き、スラリー原料中のリン酸カルシウム粒子は、平均粒
径がサブミクロンオーダー(すなわち、0.1μm以上
1μm未満)の粒径であることが好ましく、最大粒径も
サブミクロンオーダーであることが好ましい。
【0021】ウレタンなどの球状粒子を利用した焼抜き
による気孔形成ではないため、加圧成形も必要なく、気
孔が扁平になるなどの方向性が無く、かつウレタンの接
点が開口するのに比べて、本発明では格段に連通孔が大
きくなり、かつ同時に表面積も大きくできる。例えば、
特開平10−167853号にも連通孔の円周部が鋭く
形成された多孔体が開示されているが焼き抜きによるた
め、やはり連通孔が10μm以下と小さく、細胞が通過
しにくい。
【0022】以上のような条件を備えたものにおいて、
さらに本発明では体液や細胞が侵入し易いように少なく
とも多孔質の部材では水または血液で気孔内表面を細部
に渡って濡らすことができなければならない。
【0023】本発明では、多孔質の部材の気孔が前記の
ような特定の状態のものを用いているので、また、内部
にわたって構造が均一なので、乾燥状態で、水および血
液の滴下により全体を濡らすことが可能である。
【0024】このような多孔質の部材は、焼結体を必要
により加工し、その後、洗浄、乾燥したものが、前処理
無く、乾燥状態であっても、例えば、水(純水)の中に
一部を浸漬すると毛細管現象で水を吸い上げることがで
きる。また、水を垂らすと内部を流れるようにして底部
まで行き着くことができるという特性を備える。血液
(全血)についても水と同様である。
【0025】なお、「乾燥状態で」とは、界面活性剤を
塗布したり、呼び水で予め濡らすなどの処理をしないこ
とを言い、生体用に前処理無く用いることが可能とな
る。なお、この表現は、実際の使用方法を制限する意味
ではない。
【0026】この多孔質の部材は、骨との一体化が必要
な部分に設けられる。人工股関節であればステム部であ
る。その厚みは気孔径との関連もあるが、300μm以
上であることが望ましく、500μm以上であればさら
に好ましい。しかし、この多孔質の部材は強度が小さい
ので骨と一体化された後は、骨に吸収されて無くなるこ
とが好ましく、その意味で3mm以下であることが好ま
しい。
【0027】緻密な部材は、実際に荷重を支えるもので
あり、従来の人工関節に用いられる部材でよく、例えば
アルミナ、ジルコニアなどのセラミックス、チタン、チ
タン合金などの金属が用いられる。緻密な部材は気孔率
15%以下とすることが好ましいが、セラミックスなど
で気孔ができてしまう場合でも5%以下とすることが好
ましい。好ましくは気孔が無いことである。強度的に問
題が無ければ、リン酸カルシウム焼結体の緻密体を用い
ることが望ましい。
【0028】このような緻密体は、そのままでは骨の中
に埋設しても隙間ができたり、ずれたりの繰り返しでな
かなか馴染まないが、その表面を本発明の特定の気孔形
状のリン酸カルシウム多孔質体とすることにより骨との
馴染みが格段に早まる。多孔質体で骨の再生が始まり、
一体化するものと考えられる。
【0029】表面に多孔質の部材を形成する方法には特
に制限は無いが、リン酸カルシウム系焼結体と金属や別
材質のセラミックスとは、熱膨張率が異なるなどの理由
で接合、接着が難しい場合があるので間に中間層を設け
ても良い。
【0030】中間層は生体用ガラス、リン酸カルシウ
ム、チタン酸カルシウムのセラミックスから選択するこ
とが好ましい。特に、中間層は溶射により形成されるハ
イドロキシアパタイトであることが好ましい。
【0031】生体用部材が、人工関節であり、多孔質の
部材がステム部外表面であると本発明の効果を特に発揮
できる。その場合、ステムの緻密な部材が、表面に凹凸
を有していても良い。ステムの緻密質の部分が、小孔ま
たはスリットを有していても良い。
【0032】本発明の多孔質の部材は、薄板状のものを
接着しても良いし、顆粒状としたリン酸カルシウム焼結
体を接着しても良い。緻密質な部材の外表面に溶射によ
るハイドロキシアパタイト層を形成した後、スラリーを
介して外表面層を接着し、または、発泡スラリーで表面
層を形成し、熱処理または焼成により一体化してもよ
い。
【0033】さらに、骨と生体用部材の一体化を早める
ために、多孔質の部材の気孔内表面に活性物質を付着さ
せても良く、気孔内に骨形成細胞、自家骨髄細胞、同種
骨髄細胞、胎児骨髄細胞、未分化幹細胞を導入してもよ
い。更には、気孔内に活性因子の遺伝子導入した骨形成
細胞、活性因子の遺伝子導入した自家骨髄細胞、活性因
子の遺伝子導入した同種骨髄細胞、活性因子の遺伝子導
入した胎児骨髄細胞、活性因子の遺伝子導入した未分化
幹細胞を導入しても良い。また、各種細胞や遺伝子導入
した各種細胞は、活性物質と併用されてもよい。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、実施の形態を示す図面に基
づき、本発明を詳説する。
【0035】例えば人工関節のステム部を骨に導入する
際には、骨端を除去しステム挿入用の穴をドリルなどで
形成し、ステムを挿入し固定しているが、ステムは一般
にチタン合金などであり骨となじみにくい。
【0036】そのため、骨に固定されるのに時間がかか
り、その間、荷重がかかるたびにズレを生じ痛みを感じ
ることがある。本発明は、人工関節の骨内に挿入される
部分の外表面に特定の気孔形状を有するリン酸カルシウ
ム系多孔質体を配置することにより、その特定の気孔形
状であるが故に骨になじみやすく、固定が早く行われ、
痛みを早期に軽減させることができる。
【0037】実際に本発明の生体用部材の外表面を構成
する多孔質体をブロック状に形成し、骨内に挿入する
と、多孔質体の部位で骨の再生が始まり、その様子がレ
ントゲンに白く写るのに従来の多孔体では3ヶ月程度か
かっていたところが、3週間で確認できるようになっ
た。
【0038】本発明の部材は、必要な形状に加工し、生
体内に固定することにより、多孔質の部材2に血液など
が侵入し、酸素や栄養分が十分に行き渡る。血液など体
液が循環すれば細胞が部材内壁面に付着し始める。本発
明の生体用部材は表面積が大きく細胞が付着する機会が
多い。また、平均気孔径以上の大きな気孔3が25μm
以上の開口部を有するので血液などが入り込みやすい。
気孔3同士が互いに繋がっているので部材の内部の部位
においても迅速に骨に置換され始める。
【0039】平均気孔径以上の気孔3を中心に迅速に全
体に血液が行き渡るので、平均気孔径以下の小さな気孔
3においても大きな気孔3と同様に血液などが行き渡
る。本発明の生体用部材の多孔質の部材2は、その最大
気孔径が平均気孔径の3倍以内であることが好ましい。
局所的に大きすぎる気孔3は強度、細胞付着性の面から
好ましくない。好ましくは、2倍以内である。図3及び
図4のグラフは、気孔率が300μmおよび190μm
の焼結体の気孔3…の累積体積分率である。平均気孔径
の±30%の範囲内に全気孔3…の50%以上が含まれ
るのが好ましい。
【0040】また、20μm以下の気孔3の累積体積分
率は、ほぼ0であることが好ましく、加えてリン酸カル
シウム多孔体の骨格表面を微視的に観察しても殆ど気孔
が無く、リン酸カルシウム粒子の丸みによる凹凸のみが
存在することが好ましい。
【0041】本発明の生体用部材は、リン酸カルシウム
系焼結体の中でも特に強度においてすぐれているハイド
ロキシアパタイトから成ることが好ましい。その純度も
98%以上が好ましく、100%であれば特によい。
【0042】また、本発明は、このように内部に血液な
どが全体的に侵入しやすく表面積が大きいという特徴を
利用して、気孔内表面に各種の骨を形成するに適するも
のなどをコーティングすることができる。
【0043】コーティングさせるものとしては、細胞接
着促進物質、細胞増殖促進物質、骨形成促進物質、骨吸
収抑制物質、血管新生促進物質などの活性物質や細胞お
よび遺伝子組換えを施した細胞などである。
【0044】これらは、液状にし、また、培養液中で培
養したものを、本発明の生体用部材の特性を利用し、隅
々まで浸透させる。一般には浸漬すれば容易に全体に行
き渡るが、細胞培養などで細胞が大きな場合や粘性の大
きな場合などは、生体用部材のある面に負圧をかけて吸
引することができる。いずれにしても、全体に対する浸
透性の良さと表面への付着性の良さの両方を兼ね備える
本発明の生体用部材を利用することにより、従来の製品
ではできなかった厚肉な部材であっても中心部まで一様
に行き渡らせることができる。
【0045】
【実施例】実施例1:直径10mm、長さ100mmの
気孔率0のチタン合金棒の外表面に溶射によりハイドロ
キシアパタイト膜を形成し、更にその上に平均粒径1m
m、気孔率75%、平均気孔径150μmの顆粒状の多
孔質アパタイト層を1.5mmの厚みで設け、加熱によ
り接着した。
【0046】実施例2:直径10mm、長さ100mm
の気孔率0のチタン合金棒の外表面に接着剤を介して平
均粒径2mm、気孔率75%、平均気孔径300μmの
顆粒状の多孔質アパタイト層を2.5mmの厚みで設
け、接着した。
【0047】実施例3:直径10mm、長さ100mm
の気孔率10%のアルミナ棒の外表面に溶射によりアパ
タイト膜を形成し、更にその上に平均粒径1mm、気孔
率75%、平均気孔径150μmの顆粒状の多孔質アパ
タイト層をアパタイト含有スラリーを介して1.5mm
の厚さで設け、加熱により接着した。
【0048】実施例4:直径10mm、長さ100m
m、気孔率0のアパタイト棒の外表面にアパタイト含有
起泡スラリーを塗布し、焼成して気孔率75%、平均気
孔径150μmの多孔質の部材2を3mmの厚さで設け
た。
【0049】実施例5:10×10×100mm、気孔
率5%のアルミナ柱の外表面にアパタイト含有起泡スラ
リーを塗布し、あらかじめ焼成しておいた気孔率75
%、平均気孔径150μmの多孔質の部材2を2mmの
厚さでひとつの面に貼り付け加熱した。
【0050】実施例1〜5のいずれも多孔質の顆粒は緻
密体にしっかり固定されていた。また、多孔体の気孔3
は特定の形状を維持していた。これらの多孔質の部材2
に血液を滴下すると、多孔質の部材2全体に広く行き渡
った。
【0051】実施例6:気孔率が75%で、図1と同様
の気孔形状を有する平均気孔径が150μm、300μ
m、600μmのハイドロキシアパタイト100%焼結
体から成る生体用部材角柱体φ6×15mmを準備し
た。それらをラビットの大腿骨に埋め込み、術後1週
間、3週間、6週間後に取り出しホルマリン固定、脱灰
処理後、ヘマトキシリン・エオジン染色し光学顕微鏡に
てハイドロキシアパタイト内の組織侵入、骨新生の様子
を観察した。結果を以下〜に示す。
【0052】 術後1週間後には平均気孔径150μ
m、300μm、600μmの3種類ともに内部の気孔
3…すべてに血管を伴う肉芽組織を認めた。骨新生はハ
イドロキシアパタイト表層にわずかに認めるのみであっ
た。
【0053】 術後3週間後にはφ6mmの円柱のほぼ
最深部(中央部)まで気孔3の辺縁に張り付くように骨
新生がみられ骨新生部の表面積を測定したところ平均気
孔径が600μmよりは300μmが、300μmより
は150μmのほうが有意差は認めないものの上回って
いた。
【0054】 術後6週間後にはの骨新生に加えて
全ての気孔径において気孔3内に骨髄細胞が観察され造
血機能をもちハイドロキシアパタイトを埋め込む前の骨
髄に近い状態になったと考えられた。
【0055】実施例7:気孔率75%で図1と同様の気
孔形状を有する平均気孔径300μmでφ10×6mm
の本発明の生体用部材の多孔質の部分に相当する円柱を
(a)成長因子なし(b)VEGF血管内皮増殖因子3μg/
blockを添加の2種類をマウスの広背筋筋膜下に移
植した。移植後3週間後に取り出しアパタイト内の組織
を観察した。その結果を、以下のに示す。 成長因子なしでは細胞の進入がアパタイトの表層か
ら約1mm程度にすぎなかった。 VEGF添加例ではアパタイトの中心部にまで細胞
の進入を認めた(表層から3mm〜4mm以上細胞が進
入していることとなる)。
【0056】本発明の生体用部材は、外表面の一部また
は全部を形成する多孔質の部材2の各気孔3が比較的均
一な大きさで、それらが互いに連通しており、特に平均
気孔径以上の気孔3においてその連通孔が大きいために
血液や細胞の侵入が容易で、早期にリン酸カルシウムか
ら成る多孔質の部材2で骨の再生が始まり、緻密な部材
1と骨とを馴染ませることができるものである。
【0057】よって、連通孔が確保されていながら単位
体積当たりの表面積が格段に大きく、毛細管現象で内部
まで体液が行き渡り、血液と接触する割合が高く、より
多くの細胞が付着しやすい。
【0058】さらに、活性物質などを全体に行き渡らせ
ることができ、また、表面に付着させやすくなり、種々
の活性物質を付着させたものや細胞導入をしたものが作
製しやすく、さらにその後の培養も容易で、それを患者
に用いることにより術後の著しい回復が可能となるもの
である。このような多孔質の部材2を緻密な部材1の外
表面に配置すれば、骨との馴染みが早く、早期に一体化
される。
【0059】
【発明の効果】(請求項1によれば)緻密な部材1は、
そのままでは骨の中に埋設しても隙間ができたり、ずれ
たりの繰り返しでなかなか馴染まないが、その表面に特
定の気孔形状の多孔質の部材2が設けられるので、骨と
の馴染みが格段に早まる。また、緻密な部材1によっ
て、(生体用部材全体が多孔質の場合と比較してさら
に)強度が保たれる。
【0060】すなわち、気孔3内に血液や細胞が浸潤し
やすい。また、骨の再生を促すことができる。また、方
向性が無く、強度を保ちやすい。また、細胞の取付く面
積を大きくすることが可能である。
【0061】また、緻密な部材1の外表面の一部又は全
部が多孔質の部材2とされるので、強度を保ちながら気
孔の表面積を大きくすることが可能であり、骨の迅速な
再生を可能とする。また、隅々まで体液が浸潤する。ま
た、気孔内に体液に加えて細胞が侵入しやすくなる。ま
た、酸素、栄養、細胞などの通過量が格段に向上し、好
ましい。また、生体部材内全体の体液の循環を良くし、
細胞も生体用部材の深部まで侵入しやすくなる。
【0062】また、気孔内への体液の循環が活発とな
る。また、加圧成形も必要なく、気孔が扁平になるなど
の方向性が無く、かつウレタンの接点が開口するのに比
べて、格段に連通孔が大きくなり、さらに同時に表面積
も大きくできる。
【0063】乾燥状態で、水及び血液の滴下により全体
を濡らすことが可能である。また、前処理無しで、乾燥
状態であっても、例えば、水の中に一部を浸漬すると毛
細管現象で水を吸上げることができる。また、水を垂ら
すと内部を流れるようにして底部まで行き着くことがで
きるという特性を備える。また、生体用に前処理無しで
用いることができる。
【0064】(請求項2によれば)表面を本発明の特定
の気孔形状のリン酸カルシウム多孔質体とすることによ
り骨との馴染みが格段に早まる。 (請求項3によれば)リン酸カルシウム系焼結体と金属
や別材質のセラミックスとは、熱膨張が異なるなどの理
由で接合、接着が難しい場合があるが、中間層を設ける
ことにより、簡単に接合、接着を行うことができる。
【0065】(請求項4によれば)各種材料の接合、接
着を容易に行うことができる。 (請求項5によれば)各種材料の接合、接着をより容易
に行うことができる。 (請求項6によれば)本発明の効果を特に発揮すること
ができる。 (請求項7,8,9によれば)骨と生体用部材の一体化
を早めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の生体用部材の多孔質の部分の気孔を示
す説明図である。
【図2】本発明の生体用部材の説明図である。
【図3】本発明の実施例の多孔質の部材の気孔分布の様
子を示すグラフ図である。
【図4】本発明の他の実施例の多孔質の部材の気孔分布
の様子を示すグラフ図である。
【符号の説明】
1 緻密な部材 2 多孔質の部材 3 気孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C12N 15/09 C12N 15/00 A Fターム(参考) 4B024 AA01 BA21 HA20 4C081 AB05 BA12 CD28 CD29 CD34 CF021 CF031 CF142 DB03 DC04 4C097 AA03 BB01 CC02 CC03 DD07 DD09 FF05 SC02

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 緻密な部材1の外表面の一部または全部
    をリン酸カルシウム系焼結体から成る多孔質の部材2と
    し、 該緻密な部材1は気孔率0%以上15%以下であり、 該多孔質の部材2は気孔率55%以上85%以下であ
    り、 かつ、該多孔質の部材2の気孔3は、ほぼ球状の気孔3
    の集まりから成り、その平均気孔径が50μm以上40
    0μm以下であり、平均気孔径以上の大きさの気孔3が
    ひとつあたり平均して3点以上の割合で直径5μm以上
    の連通孔を有し、かつ、該連通孔のうち、少なくとも平
    均して1点以上の割合で直径25μm以上の連通孔が形
    成されており、 かつ、該平均気孔径以上の大きさの気孔3が、平均して
    その気孔表面積の50%以下の割合で、該連通孔として
    開口しており、 該多孔質の部材2は乾燥状態で、水および血液の滴下に
    より全体を濡らすことが可能なことを特徴とする生体用
    部材。
  2. 【請求項2】 緻密な部材1が金属またはセラミックス
    である請求項1記載の生体用部材。
  3. 【請求項3】 緻密な部材1と多孔質の部材2の間に中
    間層を形成した請求項1又は2記載の生体用部材。
  4. 【請求項4】 中間層が生体用ガラス、リン酸カルシウ
    ム、チタン酸カルシウムの一種以上から成る請求項3記
    載の生体用部材。
  5. 【請求項5】 多孔質の部材2がハイドロキシアパタイ
    トであり、中間層も溶射により形成されたハイドロキシ
    アパタイトである請求項4記載の生体用部材。
  6. 【請求項6】 生体用部材が人工関節であり、多孔質の
    部材2がそのステム部である請求項1,2,3,4又は
    5記載の生体用部材。
  7. 【請求項7】 多孔質の部材2の気孔内表面に活性物質
    を付着させた請求項1,2,3,4,5又は6記載の生
    体用部材。
  8. 【請求項8】 多孔質の部材2の気孔3内に骨形成細
    胞、自家骨髄細胞、同種骨髄細胞、胎児骨髄細胞、未分
    化幹細胞を導入した請求項1,2,3,4,5又は6記
    載の生体用部材。
  9. 【請求項9】 多孔質の部材2の気孔3内に活性因子の
    遺伝子導入した骨形成細胞、活性因子の遺伝子導入した
    自家骨髄細胞、活性因子の遺伝子導入した同種骨髄細
    胞、活性因子の遺伝子導入した胎児骨髄細胞、活性因子
    の遺伝子導入した未分化幹細胞を導入した請求項1,
    2,3,4,5又は6記載の生体用部材。
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