JP2002102328A - 生体用部材 - Google Patents
生体用部材Info
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Abstract
定が容易であるとともに、術後に外部から負荷がかかっ
ても十分形状が保てるものを提供するものである。 【解決手段】 少なくとも緻密な部分1とリン酸カルシ
ウム系焼結体からなる多孔質の部分2を有する部材であ
る。緻密な部分1は気孔率0%以上50%以下である。
多孔質の部分2は気孔率55%以上85%以下である。
多孔質の部分2の気孔は、ほぼ球状の気孔の集まりから
なる。多孔質の部分2の平均気孔径が50μm以上80
0μm以下である。平均気孔径以上の大きさの気孔がひ
とつあたり平均して3点以上の割合で直径5μm以上の
連通孔を有する。連通孔のうち、少なくとも平均して1
点以上の割合で直径25μm以上の連通孔が形成され
る。平均気孔径以上の大きさの気孔が、平均してその気
孔表面積の50%以下の割合で、連通孔として開口して
いる。
Description
骨を形成するために補助的に用いる部材であって、詳し
くは傷病等により骨が欠損したり、切除した場合に、そ
の部位に補填し、再び自分の骨を再生させるための生体
用部材に関する。また、徐放剤としての利用も可能なも
のである。
金属、セラミックスを用いた人工的な骨、関節などが研
究されている。そして、セラミックスとしてはアルミ
ナ、ジルコニアなどが、強度および生体為害性がないこ
とから実用化されている。一方、靭性や加工性に優れる
金属では生体為害性がない等の点からチタンやその合金
などが実用化されている。
ルコニア、チタン合金などはあくまでも骨を可能な限り
無害な部材で置き換えたものであり、いつまで経っても
生体になじまない死組織であることはかわりない。この
様な組織は、成長期や老齢期など患者の加齢に合わせて
変化するものではなく、つまり、成長期の患者に用いて
も当然成長せず、老齢期の患者に用いても他の骨に合わ
せて変形せず、患者に苦痛を強いることになる。また、
長年の使用により、為害性がないといってもイオンの放
出などは生じることが予想され、不安要因が無いわけで
はなかった。
シウム系セラミックス焼結体が実用化されるに至った。
リン酸三カルシウム、リン酸四カルシウム、ハイドロキ
シアパタイトなどのリン酸カルシウム系セラミックス
は、生体為害性が無く、また、生体内で馴染みやすく、
特に多孔質体では徐々に自分の組織と結合したり、リン
酸カルシウム系セラミックスを破骨細胞が浸食し、その
後、浸食部に自分の骨が形成されたりすることがわかっ
ている。
後、完全に自分の骨に入れ替わることも可能という優れ
た特徴を有している。ところが、そのリン酸カルシウム
系セラミックスは、緻密体としなければ強度が弱い。
骨と入れ替わりにくく、そのまま体内に残るなどして、
本来の特徴を生かせない。また、強度が弱いために骨内
に挿入するときに加圧すると、加圧面が崩れやすく扱い
づらい面があった。
48561号において、多孔質体の気孔の形状を特有な
ものとし、特に骨の再生の早い生体用部材を開示した
が、本発明はそれを用途に合わせてさらに扱いやすく改
良したものである。
からなり、特願2000−148561号と同様に従来
にない特徴的な気孔と特性を有する多孔質体を有しなが
ら同時にその一部に緻密な部分を有するようにしたもの
を生体用部材として用いることにより、手術後に優れた
回復力が望めるものを提供すると同時に、実際の手術に
適するように主に強度的改良を施したものである。
施術部への打設による固定がいっそう容易になるもので
あり、または、術後に外部から負荷がかかっても十分形
状が保てるものを提供するものである。
密な部分とリン酸カルシウム系焼結体からなる多孔質の
部分を有する部材であって、該緻密な部分は気孔率0%
以上50%以下であり、該多孔質の部分は気孔率55%
以上85%以下であり;かつ、該多孔質の部分の気孔
は、ほぼ球状の気孔の集まりからなり;平均気孔径が5
0μm以上800μm以下であり;平均気孔径以上の大
きさの気孔がひとつあたり平均して3点以上の割合で直
径5μm以上の連通孔(開口)を有し、かつ、該連通孔
のうち、少なくとも平均して1点以上の割合で直径25
μm以上の連通孔が形成されており;かつ、平均気孔径
以上の大きさの気孔が、平均してその気孔表面積の50
%以下の割合で、該連通孔として開口しており;さらに
該多孔質の部分は乾燥状態で、水および血液の滴下によ
り全体を濡らすことが可能なことを特徴とする生体用部
材である(請求項1)。
あると好ましい(請求項2)。本発明においては、少な
くとも多孔質の部分の気孔がスラリーの撹拌起泡により
形成されたものであることが好ましい(請求項3)。リ
ン酸カルシウム系焼結体がハイドロキシアパタイトであ
るのが好ましい(請求項4)。
孔内表面に活性物質を付着させると、好ましい(請求項
5)。また、生体用部材の多孔質の部分の気孔内に、骨
形成細胞、自家骨髄細胞、同種骨髄細胞、胎児骨髄細
胞、未分化幹細胞の内の少なくとも一つを導入するのが
好ましい(請求項6)。
内に、活性因子の遺伝子導入した骨形成細胞、活性因子
の遺伝子導入した自家骨髄細胞、活性因子の遺伝子導入
した同種骨髄細胞、活性因子の遺伝子導入した胎児骨髄
細胞、活性因子の遺伝子導入した未分化幹細胞の内の少
なくとも一つを導入するのが好ましい(請求項7)。一
方、多孔質の気孔内に薬剤を貯留すると徐放剤として使
用することが可能となる(請求項8)。
がリン酸カルシウム系焼結体であって、その気孔率が5
5%以上85%以下であり、かつ、該多孔質の部分は、
ほぼ球状の気孔の集まりからなり、平均気孔径が50μ
m以上800μm以下であり、平均気孔径以上の大きさ
の気孔がひとつあたり平均して3点以上の割合で直径5
μm以上の連通孔(開口)を有し、かつ、該連通孔のう
ち、少なくとも平均して1点以上の割合で直径25μm
以上の連通孔が形成されているので、気孔内に血液や細
胞が浸潤しやすい。
るので骨の再生を促すことができる。気孔は、全体的に
ほぼ球状の気孔により形成されるので方向性が無く強度
を保ちやすい。また、細胞の取り付く表面積を大きくす
ることができる。
%以下であり、強度を保ちながら気孔の表面積を大きく
することが可能であり、骨の迅速な再生を可能とする。
多孔質の部分の気孔径は平均50〜800μmのものが
適し、50μm未満では細胞の侵入が困難であり、80
0μmより大きいと強度低下と気孔の表面積の減少が生
じてしまう。好ましくは、平均気孔径は100μm以上
600μm以下である。さらに好ましくは100μm以
上400μm以下である。多孔質の部分の気孔率は65
%以上85%以下であることが好ましい。
上の大きさの気孔が、平均して3点以上の割合で直径5
μm以上の連通孔(開口)を有しているので、隅々まで
体液が浸潤する。
1点以上の割合で直径25μm以上の連通孔が形成され
ているので、気孔内に体液に加えて細胞が侵入しやすく
なる。
あり、また成人の赤血球も8〜9μmであり、よって連
通孔は25μmあれば十分効果があるが、連通孔を40
μm以上としてやれば、酸素、栄養、細胞などの通過量
が格段に向上し、好ましい。つまり、3点以上の割合で
存在する直径5μm以上の連通孔(開口)の中には1点
以上の割合で直径40μm以上の連通孔が存在すること
が好ましい。
孔と三次元的に連通することで生体部材内全体の体液の
循環を良くし、細胞も生体用部材の深部まで侵入しやす
くなるのである。
の内表面に平均して4点以上の割合で直径5μm以上の
連通孔を有し、そのうち1点以上の割合で50μm以上
の直径の連通孔を有することが望ましい。さらに好まし
くは、平均気孔径以上の気孔が平均して6点以上の割合
で直径10μm以上の連通孔を有することにより、気孔
内への体液の循環が活発となる。この直径10μm以上
の連通孔のうち2点以上が直径50μm以上であればさ
らに好ましい。なお、前記の2点以上の割合の50μm
以上の直径の連通孔は、その直径が80μm以上であれ
ば特に好ましい。
の大きさの気孔が、平均してそのひとつの球状気孔の表
面積の50%以下の割合で、該連通孔として開口してい
ることが好ましいのは、連通孔として失われる気孔内表
面積が50%より大きくなると細胞が付着するための表
面積が小さくなりすぎてしまうからであり、強度にも影
響を及ぼすようになるからである。好ましくは40%以
下である。
さらに本発明では体液や細胞が侵入し易いように少なく
とも多孔質の部分では水および血液で気孔内表面を細部
に渡って濡らすことができなければならない。
ような特定の状態のものを用いているので、また、内部
にわたって構造が均一なので、乾燥状態で、水および血
液の滴下により全体を濡らすことが可能である。
り加工し、その後、洗浄、乾燥したものが、前処理無
く、乾燥状態であっても例えば、水(純水)の中に一部
を浸漬すると毛細管現象で水を吸い上げることができ
る。また、水を垂らすと内部を流れるようにして底部ま
で行き着くことができるという特性を備える。血液(全
血)についても水と同様である。
塗布したり、呼び水で予め濡らすなどの処理をしないこ
とを言い、生体用に前処理無く用いることが可能とな
る。なお、この表現は、実際の使用方法を制限する意味
ではない。
分と一体的に緻密な部分を有している。緻密な部分は多
孔質の部分と同じくリン酸カルシウム系焼結体であれば
好ましく、気孔率を低くすることにより強度を向上させ
ている。このように多孔質の部分と緻密な部分を一体化
することにより種々の効果を生じるようになる。
度向上が十分にはかれ、好ましい。緻密な部分がハイド
ロキシアパタイトの場合、気孔率を50%以下にすれ
ば、曲げ強度が30〜50MPa程度になり、さらに気
孔率を20%以下にすれば、曲げ強度は80〜150M
Pa程度となり、大きな負荷がかけられるようになり患
者の骨から受ける荷重を支えるのに十分な強度となる。
また、例えば打撃に耐え、一層手術等での取り扱いが行
いやすくなる。
%以下であると、骨に置換できる多孔質の部分が十分に
取れ好ましい。緻密な部分が外表面の一部に形成されて
いると、例えば骨に埋設するときに、緻密な部分をたた
き、挿入することができて好ましい(図2、図4、図
6、図9)。
内で外表面の多孔質の部分が骨に置換されるまでの間、
緻密な部分が生体用部材の強度を維持することができ好
ましい(図3)。緻密な部分が外表面の一部および内部
に形成されていると、前記の両方の効果が得られて好ま
しい(図7、図8)。
あると、実際の手術によく利用される形状となり、かつ
打設可能となり好ましい(図4、図7)。そして、その
円錐体の頂点付近に多孔質の膨大部を設けると、骨に挿
入するときに膨大部の一部が削れ、余分な空間を埋める
ことができるので更に好ましい(図9)。全体の形が円
柱状で外周面のみが緻密な部分であると、例えば大腿
骨、上腕骨などの棒状の骨の中間部を本発明の生体用部
材だけで形成することができ、好ましい(図5)。
な部分であると、例えば大きな骨の一部に埋設するのに
適し好ましい(図6)。また、打撃の力を内部に伝達す
るために、打撃部から内部にむかって、垂直に緻密な部
分を設けても良い(図7)。
の衝撃を生体用部材に全体的に伝えるために、ひとつの
面全体に形成し、その厚みも3ミリ程度以上あることが
望ましい。緻密な部分の表面での面積を大きくする場合
には多孔質の部分に対する血液や細胞の透過を妨げない
ように緻密な部分に小孔を設けると良い。そして、この
小孔内は多孔質の部分で充填されてもよい。
部分における任意の平らな断面にあらわれる気孔におい
て、平均気孔径以上の気孔径としてあらわれる気孔の平
面積の合計が該断面全体の平面積の25〜60%である
ことが好ましい。25%未満では気孔部が小さくなり、
細胞侵入が難しくなり、60%より大きいと強度的に弱
くなりやすい。より好ましくは、35〜55%である。
さらに好ましくは、40〜50%である。
り合って形成される連通孔の円周部が、リン酸カルシウ
ム粒子ひとつの厚みから成ると、結果的に表面積を増す
ことになり、好ましい。
ラリーの撹拌起泡により形成することが好ましいのは、
スラリーを起泡させることにより製造するとほぼ球状で
連通孔が多く大きいという特徴的な気孔形状を維持しな
がら全体にわたって気孔径の制御が容易であるためであ
る。
がリン酸カルシウム系焼結体の中でも特に強度において
すぐれているハイドロキシアパタイトから成ることが好
ましいが、その純度も98%以上が好ましく、100%
であれば特によい。緻密な部分も同様にハイドロキシア
パタイトから成ることが好ましい。
孔内表面に活性物質を付着させると、骨の再生がいっそ
う早まり、好ましい。活性物質は細胞接着促進物質、細
胞増殖促進物質、骨形成促進物質、骨吸収抑制物質、血
管新生促進物質の1種または2種以上の組合わせから成
ることが好ましい。
に骨形成細胞、自家骨髄細胞、同種骨髄細胞、胎児骨髄
細胞、未分化幹細胞の内の少なくとも一つを導入する
と、やはり骨の再生が早まり好ましい。
内に活性因子の遺伝子導入した骨形成細胞、活性因子の
遺伝子導入した自家骨髄細胞、活性因子の遺伝子導入し
た同種骨髄細胞、活性因子の遺伝子導入した胎児骨髄細
胞、活性因子の遺伝子導入した未分化幹細胞の内の少な
くとも一つを導入すると、やはり骨の再生が早まり好ま
しい。このように多孔質の部分の気孔内に各種細胞を遺
伝子導入した各種細胞を導入する場合には、もちろん各
種活性物質を併用してもよい。
となるが、例えば緻密な部分の表面割合を調整すること
により、薬剤の徐放量を調整でき、また、薬剤が溶出す
るのに方向性を持たせることができる。
実施の形態を示す。例えば、手術により、本発明の生体
用部材を導入する際には、病気や怪我により切除しなけ
ればならない部分を予め取除き、その欠損部の状況によ
り適当な大きさと形状の生体用部材を準備する。この
時、骨の外表面が緻密な部分1となるように生体用部材
の形状、大きさを選定し、必要が有れば加工する。挿入
に際しては、多孔質の部分2が骨の内部に位置し、緻密
な部分1が骨の外表面と同じ面を成すように配置する。
どして、衝撃が小さくなるようにして、木槌などで少し
ずつたたき込む。多孔質の部分2は骨と接触し多少表面
が欠けることもあるが、欠けた粉は余分な空間部を埋め
る働きをするので骨と生体用部材の間に余分な空間が残
ってしまうよりもむしろ好ましい。緻密な部分1は打設
に耐え、打設面が粉砕されにくくなる。さらに全体とし
て形状を維持し、骨の外表面を形成するのにもよい。打
撃を与えれば緻密な部分1に亀裂が入る場合もあるが、
粉々に粉砕されることはないので、術後の回復には影響
ない。
ことが好ましい。なお、緻密な部分1には、生体用部材
を埋設・使用するときにかかる荷重の程度により必要が
あれば、アパタイトの緻密体に替えて、チタンなどの金
属材やアルミナなどのセラミックスを用いても良いし、
アパタイトのコーティングを施したチタンなどの金属材
やアルミナなどのセラミックスを用いても良い。
2はスラリーを起泡させ、気泡を固定し焼成することに
より形成される。このとき、スラリー原料中のリン酸カ
ルシウム粒子は、平均粒径がサブミクロンオーダー(す
なわち、0.1μm以上1μm未満)の粒径であること
が好ましく、最大粒径もサブミクロンオーダーであるこ
とが好ましい。
ーを使って製造しても良いし、予め緻密な部分1を通常
のファインセラミックスの成形方法により形成してお
き、その上に起泡スラリーを流して固定しても良いし、
別々に形成された緻密な部分1と多孔質の部分2を焼成
の前または後に接着し、固定しても良い。このような場
合、緻密な部分1と多孔質の部分2の間に、中間的な性
質を有する中間層を配置しても良い。
るが、隣の気孔3と接してその界面に連通孔を形成する
場合は、平面形状が二つの円を一部重ねて描いたときの
輪郭のような形状となる。この様な形状を用いるのは、
表面積を大きくする目的からである。本発明の生体用部
材の気孔3同士の境目である連通孔は、ビーズの焼き抜
きによるものと比べれば格段に広く、かつ焼結後であっ
ても連通孔の円周上にエッジが鋭く残されている。
にも連通孔の円周部が鋭く形成された多孔体が開示され
ているが焼き抜きによるため、やはり連通孔が10μm
以下と小さいことからも分かる。エッジは血液など体液
を流通させやすくする目的でエッチングなどにより若干
であれば落としても良い。
の気孔3について各種限定したのは、実際に気孔3とし
ては平均気孔径付近より大きなもののほうが効果などの
面において影響が極めて大きいからである。
樹脂包埋により測定することができる。そして、その5
0%体積気孔径(すなわち大きな気孔3(または小さな
気孔3)から体積を積算していき、その値がちょうど気
孔3…全体の50%になったときの気孔3の径)を平均
気孔径としている。
孔で互いに繋がっているので部材の内部の部位において
も迅速に骨に置換され始める。平均気孔径以上の気孔3
を中心に迅速に全体に血液が行き渡るので、平均気孔径
以下の小さな気孔3においても大きな気孔3と同様に血
液などが行き渡る。
おいて、その最大気孔径が平均気孔径の3倍以内である
ことが好ましい。局所的に大きすぎる気孔3は強度、細
胞付着性の面から好ましくない。好ましくは、2倍以内
である。
00μmおよび190μmの焼結体の気孔3の累積体積
分率である。本発明では、このグラフ図のように、平均
気孔径の±30%の範囲内に、全気孔の50%以上が含
まれるのが好ましい。
は、ほぼ0であることが好ましく、加えて、多孔質の部
分2(リン酸カルシウム多孔体)の骨格表面を微視的に
観察しても、殆ど気孔が無く、リン酸カルシウム粒子の
丸みによる凹凸のみが存在することが好ましい。
どが全体的に侵入しやすく表面積が大きいという特徴を
利用して、気孔内表面に各種の骨を形成するに適するも
のなどをコーティングすることができる。
着促進物質、細胞増殖促進物質、骨形成促進物質、骨吸
収抑制物質、血管新生促進物質などの活性物質や細胞お
よび遺伝子組換えを施した細胞などの内の少なくとも一
つである。
養したものを、本発明の生体用部材の特性を利用し、隅
々まで浸透させる。一般には浸漬すれば容易に全体に行
き渡るが、細胞培養などで細胞が大きな場合や粘性の大
きな場合などは、生体部材のある面に負圧をかけて吸引
することができる。いずれにしても、全体に対する浸透
性の良さと表面への付着性の良さの両方を兼ね備える本
発明の生体用部材を利用することにより、従来の製品で
はできなかった厚肉な部材であっても中心部まで一様に
行き渡らせることができる。
の部分2が円筒体であって、緻密な部分1が、多孔質の
部分2の内部に収納されて設けられる円柱体とされる。
この場合、緻密な部分1が内部に形成されているので、
主に大きな荷重がかかる場合など、外部からの負荷に耐
えるのに適する。すなわち、外表面の多孔質の部分2の
外表面が骨に置換・再生されて強度が出るまでの間、多
孔質の部分2を保護し、生体用部材の強度を維持するこ
とができ好ましい。
成されるので、緻密な部分1が荷重を支え、多孔質の部
分2を守る役目をする。この場合、緻密な部分1はアパ
タイトの緻密体であることが好ましい。
形が三角錐状で、底面側が緻密な部分1であって、頂点
側が多孔質の部分2とされる。この形状は、実際の手術
によく利用される形状である。そして、緻密な部分1を
打って、この生体用部材を打設することができる。
部分1が円筒体であって、多孔質の部分2がその円筒体
の内部に収納状に設けられる円柱体とされる。つまり、
緻密な円筒体の中に多孔質の円柱体が打設により、打ち
込んで一体化される。この場合、例えば、大腿骨、上腕
骨などの棒状の骨の中間部を本発明の生体用部材だけで
形成することができ、好ましい。
形状が直方体であって、外表面の一面のみが緻密な部分
1とされる。例えば大きな骨の一部に埋設するのに適
し、好ましい。
部分1が外表面の一部及び内部に形成される。具体的に
は、全体の形が三角錐状で、底面が緻密な部分1であ
る。そして、打撃部(底面)から内部に向う方向に、垂
直に緻密な部分1が設けられる。
ときに、緻密な部分1をたたいて挿入することができ
る。また、外表面の多孔質の部分2が骨に置換されるま
での間、生体用部材の強度を維持することができ好まし
い。また、打撃部から内部に向って、垂直に緻密な部分
1が設けられるので、打撃の力が内部に効率良く伝達さ
れる。
状が円柱であって、略円筒型の多孔質の部分2の外曲面
側と内曲面側に緻密な部分1,1が設けられている。そ
して、略円筒型の多孔質の部分2の外曲面側と内曲面側
の緻密な部分1,1は、所定高さに放射線方向に設けら
れた枝部5…にて連結されている。
ときに、緻密な部分1のうち略円筒型の多孔質の部分2
の内曲面側の緻密な部分1をたたき、挿入することがで
きて好ましい。また、多孔質の部分2が骨に置換される
までの間、生体用部材の強度を維持することができて好
ましい。
状が略円錐体であって、円錐体の頂点付近に多孔質の膨
大部4が設けられる。骨に挿入するときに、膨大部4の
一部が削れ、余分な空間を埋めることができるので好ま
しい。
0%、多孔質部(多孔質の部分2)は図1のような(図
1は実際には平均気孔径150μmである)気孔形状を
有する気孔率75%、平均気孔径300μm、緻密部
(緻密な部分1)は気孔率10%で、およそ底面の直径
20mm、高さ26mmとなるように円錐を作成した。
緻密部は底面に厚さ3mmだけ用い、他は多孔質部とし
た。
20mm、高さ25mmの穴に木槌で緻密体を軽くたた
きながら挿入した。緻密部は割れることなく完全に挿入
できた。挿入後、取り出してみると円錐の側面は、一部
多孔質部が粉末状に欠け、金属型の穴に適合していた。
この取り出した円錐体に、血液を0.5ml滴下したと
ころ多孔質部においてはスポンジ上に滴下したように瞬
時に全てを吸収した。
同様に、緻密部を有さず、多孔質部だけから成る円錐
(底面の直径がおよそ20mm)を金属型にたたき込ん
だところ、斜面部が一部潰れて粉末化したことは同様で
あったが、打撃部の一部が粉砕され粉末化していた。こ
の取り出した円錐体に、血液を0.5ml滴下したとこ
ろ多孔質部においてはスポンジ上に滴下したように瞬時
に全てを吸収した。
高さ37.5mmの緻密なアパタイトの円筒体を作成
し、その中に多孔質部を形成するためのアパタイトスラ
リーを充填し、乾燥し、焼成した。できあがった焼結体
は、多孔質部の気孔率75%、直径20mm、高さ20
mmの円筒体であった。焼結体は、上下からの圧縮に2
00MPaまで耐えた。
高さ20mmの緻密なアパタイト焼結体の円筒体を作成
し、その中にアパタイトスラリーから作成した多孔質焼
結体から成る直径14.1mm、高さ20mmの円筒体
を挿入した。焼結体は、上下からの圧縮に280MPa
まで耐えた。
径20mm、高さ30mm、気孔率75%の多孔質アパ
タイト焼結体の円筒体を作成した。焼結体は、上下から
の圧縮に17MPaまで耐えた。
の気孔形状を有する平均気孔径が150μm、300μ
m、600μmのハイドロキシアパタイト100%焼結
体から成る生体用部材角柱体φ6×15mmを準備し
た。それらをラビットの大腿骨に埋め込み、術後1週、
3週、6週間後に取り出しホルマリン固定、脱灰処理
後、ヘマトキシリン・エオジン染色し光学顕微鏡にてハ
イドロキシアパタイト内の組織侵入、骨新生の様子を観
察した。結果を以下の〜に示す。
m、300μm、600μmの3種類ともに内部の気孔
3…すべてに血管を伴う肉芽組織を認めた。骨新生はハ
イドロキシアパタイト表層にわずかに認めるのみであっ
た。
ぼ最深部(中央部)まで気孔3の辺縁に張り付くように
骨新生がみられ骨新生部の表面積を測定したところ平均
気孔径が600μmよりは300μmが、300μmよ
りは150μmのほうが有意差は認めないものの上回っ
ていた。
全ての気孔径において気孔3内に骨髄細胞が観察され造
血機能をもちハイドロキシアパタイトを埋め込む前の骨
髄に近い状態になったと考えられる。
孔形状を有する平均気孔径300μmでφ10×6mm
の本発明の生体用部材の多孔質の部分に相当する円柱を
(a)成長因子なし(b)VEGF血管内皮増殖因子3μg/
blockを添加の2種類をマウスの広背筋筋膜下に移
植した。移植後3週間後に取り出しアパタイト内の組織
を観察した。その結果を、以下のに示す。 成長因子なしでは細胞の進入がアパタイトの表層か
ら約1mm程度にすぎなかった。 VEGF添加例ではアパタイトの中心部にまで細胞
の進入を認めた(表層から3mm〜4mm以上細胞が進
入していることとなる)。
質の部分2においてほぼ球状の気孔3ができ、一方、多
数の大きな連通孔が確保されているから単位体積当たり
の表面積が格段に大きく、毛細管現象で内部まで体液が
行き渡り、血液と接触する割合が高く、より多くの細胞
が付着しやすい。
ることができ、また、表面に付着させやすくなり、種々
の活性物質を付着させたものや細胞導入をしたものが作
製しやすく、さらにその後の培養も容易で、それを患者
に用いることにより術後の著しい回復が可能となるもの
である。
みならず、生体内に留置し、長期に渡って薬剤を放出す
る徐放剤にも応用可能である。また、本生体用部材の中
心部に強度向上などを目的として緻密な部材を適宜配置
しても多孔質の部分2だけで体液の循環が可能なため、
本発明の効果は十分に期待できる。
於て、気孔3内に血液や細胞が浸潤しやすい。また、骨
の再生を促すことができる。また、緻密な部分1を有す
るので、強度を保ちやすい。また、細胞の取付く表面積
を大きくすることができる。そして、多孔質の部分2と
緻密な部分1とを同時に有することにより、強度を保ち
ながら、気孔3の表面積を大きくすることが可能であ
り、骨の迅速な再生を可能とする。
孔3内に体液に加えて細胞が侵入しやすくなる。また、
酸素、栄養、細胞などの通過量が各段に向上し、好まし
い。また、生体部材内全体の体液の循環を良くし、細胞
も生体用部材の深部まで侵入しやすくなる。
り全体を濡らすことが可能である。また、前処理なしで
乾燥状態であっても、例えば、水の中に一部を浸漬する
と、毛細管現象で水を吸上げることができる。また、水
を垂らすと、内部を流れるようにして底部まで行き着く
ことができる。また、生体用に前処理無しで用いること
が可能である。また、気孔率を低くすることにより、強
度を向上させている。また、骨に置換できる多孔質の部
分2が十分にとれる。
れ、好ましい。曲げ強度が80〜150MPa程度となり、
大きな負荷がかけられるようになり、例えば打撃に耐
え、一層手術等での取扱いが行いやすくなる。また、患
者の骨から受ける荷重を支えるのに十分な強度となる。
ることにより製造すると、ほぼ球状で連通孔が多く大き
いという特徴的な気孔形状を維持しながら気孔径の制御
を容易に行うことができる。
イトは、リン酸カルシウム系焼結体の中でも特に強度に
おいてすぐれているので、大きな負荷がかけられるよう
になり、例えば打撃に耐え、一層手術等での取扱いが行
いやすくなる。また、患者の骨から受ける荷重を支える
のに十分な強度となる。
なり、好ましい。 (請求項6によれば)骨の再生が早まり、好ましい。 (請求項7によれば)骨の再生が早まり、好ましい。
ることができる。すなわち、緻密な部分1の表面割合を
調整することにより、薬剤の徐放量を調整でき、また、
薬剤が溶出するのに方向性を持たせることができる。
真図である。
を示すグラフ図である。
様子を示すグラフ図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 少なくとも緻密な部分1とリン酸カルシ
ウム系焼結体からなる多孔質の部分2を有する部材であ
って、該緻密な部分1は気孔率0%以上50%以下であ
り、該多孔質の部分2は気孔率55%以上85%以下で
あり、 かつ、該多孔質の部分2の気孔3は、ほぼ球状の気孔3
の集まりからなり、 平均気孔径が50μm以上800μm以下であり、 平均気孔径以上の大きさの気孔3がひとつあたり平均し
て3点以上の割合で直径5μm以上の連通孔を有し、か
つ、該連通孔のうち、少なくとも平均して1点以上の割
合で直径25μm以上の連通孔が形成されており、 かつ、該平均気孔径以上の大きさの気孔3が、平均して
その気孔表面積の50%以下の割合で、該連通孔として
開口しており、 少なくとも該多孔質の部分2は乾燥状態で、水および血
液の滴下により全体を濡らすことが可能なことを特徴と
する生体用部材。 - 【請求項2】 緻密な部分1が気孔率0%以上20%以
下である請求項1記載の生体用部材。 - 【請求項3】 少なくとも多孔質の部分2の気孔3がス
ラリーの撹拌起泡により形成されたものである請求項1
又は2記載の生体用部材。 - 【請求項4】 リン酸カルシウム系焼結体がハイドロキ
シアパタイトである請求項1,2又は3記載の生体用部
材。 - 【請求項5】 気孔内表面に活性物質を付着させた請求
項1,2,3又は4記載の生体用部材。 - 【請求項6】 気孔3内に、骨形成細胞、自家骨髄細
胞、同種骨髄細胞、胎児骨髄細胞、未分化幹細胞の内の
少なくとも一つを導入した請求項1,2,3又は4記載
の生体用部材。 - 【請求項7】 気孔3内に、活性因子の遺伝子導入した
骨形成細胞、活性因子の遺伝子導入した自家骨髄細胞、
活性因子の遺伝子導入した同種骨髄細胞、活性因子の遺
伝子導入した胎児骨髄細胞、活性因子の遺伝子導入した
未分化幹細胞の内の少なくとも一つを導入した請求項
1,2,3又は4記載の生体用部材。 - 【請求項8】 気孔3内に薬剤を貯留した請求項1,
2,3又は4記載の生体用部材。
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