JP2002102021A - クッション材及びこれを用いた製品 - Google Patents

クッション材及びこれを用いた製品

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JP2002102021A
JP2002102021A JP2000300800A JP2000300800A JP2002102021A JP 2002102021 A JP2002102021 A JP 2002102021A JP 2000300800 A JP2000300800 A JP 2000300800A JP 2000300800 A JP2000300800 A JP 2000300800A JP 2002102021 A JP2002102021 A JP 2002102021A
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Japan
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cushion material
porous body
skeleton
thermoplastic elastomer
cushioning
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JP2000300800A
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English (en)
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Kazuhisa Takagi
和久 高木
Masashi Nemoto
雅司 根本
Ayako Meguro
彩子 目黒
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Asahi Rubber Inc
Original Assignee
Asahi Rubber Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 軽くて通気性があり、しかも洗濯可能で衛生
的で、さらに体圧のように継続的にかかる荷重の保持分
散に優れたクッション材、及び当該クッション材を用い
た、寝具や衣料品等のクッション製品を提供する。 【解決手段】 熱可塑性エラストマー及び軟化剤を含む
骨格と、該骨格間間隙が外部に連通する連通孔となって
いる多孔体であって、アスカーF硬度が72以下であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、長時間継続的にか
かる荷重圧力を分散し続けることができ、しかも洗濯可
能で通気性にも優れる衛生的なクッション材、及び当該
クッション材を用いた製品、具体的には肘あてや座布団
等のクッション;寝返りできない病人やケガ人の床ずれ
を低減防止できるマットレス等の寝具用品;シャツ、パ
ンツ、スリッパ、靴下、サポーター等の衣料に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】病人や
寝返りの打てない人用の寝具には、背中や臀部などの寝
具に直接接触する部分が、自らの身体の圧力(体圧)で
擦れたり、ただれたり等の床ずれをしないように、体圧
を継続的に分散させ続けることができるものが求められ
る。床ずれをを防止する寝具として、袋状物の内部に空
気を封入したエアーマットがあるが、エアーマットは高
価な上に、一般に大掛かりになりやすく、また洗濯が困
難であるため、衛生面から問題がある。
【0003】エアーマットのように大掛かりでなく、継
続的にかかる荷重を分散させることができるクッション
材として、袋状物の内部にゲルを封入したものがある。
ゲルを用いるクッション材は通気性を付与することが無
理であり、汚れた場合に洗濯できないので、衛生面の問
題を解決できない。また、クッション材自体が重くなる
ため、身体に直接つける衣料用クッション材としては不
適当である。
【0004】洗濯可能で通気性があり、しかも軽量なク
ッション材として、外部に連通する空隙を有する連続気
泡タイプの多孔体が考えられる。ここで、発泡ポリウレ
タンのような発泡プラスチックで、エアーマットやゲル
封入物のように身体になじむような柔軟性を確保するた
めには空隙率を十分高くする必要がある。しかしなが
ら、空隙率の増大に伴い、多孔体の形状保持強度が低下
するため、荷重をかけたときに変形ないしは潰れた空隙
は荷重が解除されるまで空気を保持した空隙の状態に回
復できず、結局荷重がかかっている部分では硬質のプラ
スチック充実体のようになり、クッション材としての役
目を果たせなくなる。
【0005】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、その目的とするところは、軽くて通気性
があり、しかも洗濯可能で衛生的で、さらに体圧のよう
に継続的にかかる荷重の保持分散に優れたクッション
材、及び当該クッション材を用いた、寝具や衣料品等の
クッション製品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のクッション材
は、熱可塑性エラストマー及び軟化剤を含む骨格と、該
骨格間間隙が外部に連通する連通孔となっている多孔体
であって、アスカーF硬度が72以下である。
【0007】前記骨格は、さらに熱可塑性樹脂を含むこ
とが好ましい。前記熱可塑性エラストマーは、スチレン
系熱可塑性エラストマーであることが好ましく、前記軟
化剤は、常温で液体のポリマーであることが好ましい。
【0008】前記多孔体の空隙率が60〜90%である
ことが好ましい。
【0009】また、前記多孔体は、気孔形成材を含む充
実成形体を成形し、該充実成形体から該気孔形成材を溶
媒で溶出することにより作製されたものであることが好
ましい。
【0010】本発明の衣料は、上記本発明のクッション
材を用いて作製したもので、クッション材がシート状で
あって、該シートを縫製して作製されるものであっても
よいし、荷重がかかる部分にだけクッション材が取り付
けられているものであってもよい。衣料の一部にクッシ
ョン材が取り付けられている場合には、着脱可能に取り
付けられていることが好ましい。
【0011】本発明の寝装具は、上記本発明のクッショ
ン材を用いたもので、布団、マットレス,枕等の寝具、
座布団、肘あて、膝あて、キーボード入力者用の手首お
きなど、家庭、オフィスに用いられるクッション全般を
包括する。
【0012】
【発明の実施の形態】〔クッション材〕本発明のクッシ
ョン材は、熱可塑性エラストマー及び軟化剤を含む骨格
と、該骨格間間隙が外部に連通する連通孔となっている
多孔体からなり、アスカーF硬度が72以下である。
【0013】熱可塑性エラストマーとは、常温でゴム弾
性を示し、高温で熱可塑性樹脂と同様に可塑化を示す高
分子物質である。このような熱可塑性エラストマーを多
孔体の骨格の主成分として用いることにより、多孔体に
粘弾性を付与し、荷重ないし圧力がかかったことにより
変形した後、緩やかに形状を回復しようとする。また、
熱可塑性エラストマーはその熱可塑性により後述するよ
うに脱塩法を利用して、連続気泡タイプで且つ微小で均
質な空隙を有する多孔体を得ることができる。エラスト
マーを骨格に用いた多孔体としては、従来よりフォーム
ラバーやスポンジゴムが知られているが、これらは、そ
の製造方法から、独立気泡タイプの多孔体が得られ、通
気性を有しないばかりか、個々の気泡が脱塩法の場合よ
りも大きく、空隙は荷重に対して変形しやすく形状回復
性が劣る。
【0014】本発明で用いられる熱可塑性エラストマー
としては、ゴム状弾性を示すソフトセグメント及び三次
元網目の結び目となるハードセグメントから構成される
ものであればよく、具体的には、ハードセグメントがポ
リスチレンでソフトセグメントがポリブタジエン、ポリ
イソプレン、又はこれらの水素添加物であるポリスチレ
ン系エラストマー;ハードセグメントがポリエチレン又
はポリプロピレンで、ソフトセグメントがブチルゴムや
EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン三共重合体)
であるポリオレフィン系エラストマー;ハードセグメン
トがポリアミドでソフトセグメントがポリエステル又は
ポリエーテルであるポリアミド系エラストマー;ハード
セグメントがポリエステルでソフトセグメントがポリエ
ーテルであるポリエステル系エラストマー;ハードセグ
メントがウレタン結合を有するポリウレタン系ブロック
でソフトセグメントがポリエステル又はポリエーテルで
あるポリウレタン系エラストマーなどが挙げられ、これ
らの1種、又は2種以上混合して用いていもよい。これ
らのうち、特にスチレン系エラストマーが好ましく用い
られる。より粘性が高く、体圧分散性に優れたクッショ
ン材を得やすいからである。スチレン系エラストマーと
しては、例えばクラレ社製のハイブラーがある。
【0015】軟化剤は、骨格に柔軟性を付与するために
添加されている。クッション材を軟らかくするためには
空隙率を上げることが考えられるが、空隙率を上げすぎ
ると、熱可塑性エラストマーによる形状回復性を確保す
ることが困難になる。この点、軟化剤による軟化は、熱
可塑性エラストマーの粘性を増大させ、荷重をかけたこ
とにより起こった変形がゆっくり回復して身体にフィッ
トし、体圧分散性を向上できる。
【0016】このような作用効果を付与できる軟化剤と
しては、骨格の主要構成成分である熱可塑性エラストマ
ーに可塑性を与える可塑剤、粘着性を付与する粘着付与
剤として従来より公知の物質を用いることができる。
【0017】可塑剤としては、フタル酸ジブチル、フタ
ル酸ジオクチル、フタル酸ブチルラウリル等のフタル酸
エステル;リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル等
のリン酸エステル;クエン酸トリ−n−ブチル、アジピ
ン酸ジオクチル、アゼライン酸ジオクチル、セバシン酸
ジオクチル等の脂肪酸エステル;アルキルエポキシステ
アレート、エポキシ化大豆油等のエポキシ系可塑剤;塩
素化パラフィン、シリコーンオイル等のオイル系可塑剤
などが挙げられる。粘着付与剤としては、常温で液状の
樹脂が該当し、具体的には、ポリブテン、テルペン系樹
脂、クマロンインデン樹脂、キシレン樹脂、石油系樹
脂、鉱物油などが挙げられる。これらは1種類だけ用い
てもよいし、複数種類の可塑剤あるいは複数種類の粘着
付与剤を混合して用いてもよいし、可塑剤と粘着付与剤
を混合して用いてもよい。
【0018】上記軟化剤としては、粘着付与剤に該当す
る常温で液状の樹脂が、特に体圧分散性に対する効果が
高くて好ましく、スチレン系熱可塑性エラストマーに対
してはポリブテンが好ましく用いられる。
【0019】多孔体の骨格における軟化剤の含有量は、
使用する軟化剤の種類により適宜設定される。軟化剤の
種類により、骨格の主成分たる熱可塑性エラストマーと
の相溶性が異なり、軟化効果が相違するからである。
【0020】軟化剤としてポリブテンを用いた場合に
は、熱可塑性エラストマー100質量部に対して10〜
65質量部が好ましく、より好ましくは35〜40質量
部である。10質量部未満では、骨格を十分に軟らかく
する効果が小さすぎてアスカーF硬度72以下とするの
が困難になるからである。また65質量部を超えると、
骨格が軟らかくなりすぎて、空隙率をそれ程上げていな
いにも拘わらず空隙を保持することが困難になって空隙
が変形、潰れた状態となり、骨格の主要成分である熱可
塑性エラストマー充実体としての硬度が現われ易くな
り、多孔体の硬度低下を図ることができなくなるからで
ある。
【0021】軟化剤としてシリコーンオイルを用いる場
合には、骨格を構成する熱可塑性エラストマー100質
量部に対して、70〜120質量部程度が好ましい。7
0質量部未満では、軟らかくする効果が小さく、120
質量部を超えると、オイルのブルーミングが生じ易くな
って逆に衛生性が低下し、身体に接触する衣料製品に用
いるクッション材として不適だからである。また、多孔
体の骨格強度を低下しすぎるからである。
【0022】本発明のクッション材の骨格を構成する成
分としては、上記必須成分(熱可塑性エラストマー、軟
化剤)の他、熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。熱可
塑性樹脂は、軟化剤により軟化させた骨格に強度を持た
せて、多孔体の空隙を保持する役割を果たすためであ
る。また、熱可塑性樹脂は、骨格材料溶融時の流動性を
高めることができる。これにより、後述の脱塩法で多孔
体を形成する場合に、射出成形法の適用が可能となる。
【0023】熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポ
リスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、EVA樹脂、エチ
レン−α−オレフィン共重合体、ポリプロピレン、ポリ
アミド6、ポリアミド6,6、ポリカーボネート、PO
Mなどを用いることができ、これらのうち、熱可塑性エ
ラストマーの成形温度より低い温度で成形できる熱可塑
性樹脂が好ましく用いられる。
【0024】多孔体の骨格を形成する組成物に熱可塑性
樹脂が含まれる場合、熱可塑性エラストマーに対する質
量比率(熱可塑性樹脂/熱可塑性エラストマー)を1/
3以下、好ましくは1/4以下となるようにすることが
好ましい。熱可塑性樹脂の含有率が大きくなって、相対
的に熱可塑性エラストマーの含有割合が小さくなると、
多孔体の粘弾性が低下し、体圧分散性が不十分となるか
らである。
【0025】本発明のクッション材の骨格には、上記成
分の他、さらに所望により、消臭剤、抗菌剤等の機能性
付与剤を含有してもよい。
【0026】本発明のクッション材を構成する骨格は、
上記のような熱可塑性エラストマーと軟化剤、必要に応
じて熱可塑性樹脂及び/または機能性付与剤を含むエラ
ストマー組成物の成形体で、骨格間間隙が外部に連通す
る空隙となっている。外部に連通する空隙ゆえに、通気
性を有し、また洗濯することが可能となり、衛生性に優
れる。
【0027】本発明のクッション材は、以上のような構
成を有する多孔体で、かつアスカーF硬度が72以下、
好ましくは65以下である。このように、本発明のクッ
ション材は、粘弾性を有する骨格で形成されているの
で、荷重がかかった場合に、容易に変形して、身体にフ
ィット感を与えるとともに、その後、ゆっくり回復しよ
うとする弾性力でクッション性を発揮する。結果とし
て、継続的にかかる荷重(体圧)を分散して、軟らかい
クッション材が体圧を支えた状態となるので、寝たきり
の場合に体圧を受け続けることにより起こる背中等の床
ずれを防止できる。尚、本発明のクッション材は、軟ら
かければ軟らかいほど良いが、実際には、アスカーF硬
度20程度が限界である。
【0028】本発明のクッション材を構成する多孔体の
空隙率は、60〜90%程度が好ましい。60%未満で
は、クッション材として必要な軟らかさを達成すること
ができず、また荷重に応じた変形もしにくくなって、身
体のフィット性に劣るからである。一方、空隙率90%
程度が体圧分散性を確保しつつ軟らかくできる最大限の
空隙率であり、また、以下の理由より、90%を超える
本発明の多孔体を形成することは困難だからである。す
なわち、体圧分散性を確保できるような柔軟な骨格で
は、空隙率90%を超える量に見合った気孔形成材を用
いると、空隙が変形、潰れた状態の多孔体となり、結果
として気孔形成材の含有量に見合った気孔率よりも低い
気孔率を有する多孔質しか得られないからである。
【0029】本発明のクッション材は、以上の要件を満
足するもので、そのような特性を有するものであれば、
その製造方法は特に限定しないが、いわゆる脱塩法と称
される方法で製造することが好ましい。
【0030】脱塩法とは、まず、多孔体の骨格を構成す
る熱可塑性エラストマー、軟化剤、及び必要に応じて添
加される熱可塑性樹脂、及び気孔形成材を分散してなる
成形材料で充実成形体を成形し、得られた充実成形体か
ら前記気孔形成材を溶解できる溶媒を用いて気孔形成材
を溶出除去することにより、多孔体を形成する方法であ
る。
【0031】このような脱塩法は、配合する気孔形成材
の含有量に応じて気孔率を容易に制御して、外部に連通
する空隙を有する多孔体を製造することができるだけで
なく、得られる多孔体は、形成された空隙が多孔体全体
に略均一に存在し、且つ個々の空隙が発泡剤を用いた場
合と比べて小さい。従って、従来の発泡剤を用いて製造
される多孔体よりも、荷重により変形した空隙の回復力
に優れ、クッション性、体圧分散性が優れている。
【0032】上記脱塩法で使用する気孔形成材として
は、成形時には成形材料中に略均一に分散されることが
でき、且つ充実成形体から溶媒で溶出することができる
もので、塩化ナトリウムや硫酸ナトリウム等の無機塩、
あるいは常温で固体の低分子有機化合物などが用いられ
る。このような有機化合物としては、ペンタエリスリト
ール、L−エリスリトール、D−エリスリトール、me
so−エリスリトール、ピナコール等の炭素数2〜5程
度の多価アルコール;尿素などが挙げられる。
【0033】比較的融点の低い有機系の気孔形成材、具
体的には骨格の構成成分である熱可塑性エラストマー及
び熱可塑性樹脂よりも低い融点を有する有機化合物を用
いることにより、充実成形体を射出成形法または押し出
し成形法により成形することができる。
【0034】気孔形成材を溶出するのに用いられる溶媒
としては、気孔形成材を溶解するが、軟化剤は溶解しな
いものであればよく、気孔形成材、軟化剤の種類により
適宜選択すればよい。具体的には、水、アルコール類、
エーテル類、エステル類、脂肪酸などが挙げられるが、
水を用いることが製品の衛生性の観点から特に好まし
い。
【0035】溶媒として水を用いることができるという
観点から、気孔形成材は、塩化ナトリウムのように水に
易溶性の無機塩、親水性に優れた多価アルコールを用い
ることが好ましい。
【0036】成形材料に配合する気孔形成材の量は、製
造しようとする多孔体の気孔率に応じて適宜選択すれば
よい。
【0037】熱可塑性エラストマー、軟化剤、気孔形成
材、必要に応じて添加される熱可塑性樹脂を配合して調
製した成形材料を用いて、充実成形体を成形する。充実
成形体の成形は、成形材料の種類、特性に応じて適宜選
択される。成形材料が熱溶融性、流動性に優れる場合
は、射出成形や押し出し成形を適用することができる
し、そうでない場合は圧縮成形、加熱加圧成形等を適用
すればよい。
【0038】得られた充実成形体から、溶媒を用いて気
孔形成材を溶出除去すれば、気孔形成材が空隙となる多
孔体が得られる。気孔形成材の溶出除去は、まず充実成
形表面に存在していた気孔形成材が溶出され、これによ
り形成される凹部から溶媒が次第に充実成形体内部へ侵
入して、成形体内部に存在する気孔形成材を溶出してく
ことから、外部に連通する微小な空隙が成形体全体にわ
たって形成された連続気泡タイプの多孔体が形成され
る。
【0039】このようにして形成される本発明のクッシ
ョン材は、通気性に優れ、しかも発泡剤を用いて製造さ
れる従来の連続気泡タイプの発泡体、例えばウレタンフ
ォーム等と比べて、空隙が微細であるため、骨格自体を
軟らかくしても空隙の保持が容易であるため、荷重がか
かった状態でクッション性を発揮することが可能とな
る。つまり、ウレタンフォームのように発泡剤による発
泡プラスチックタイプは、一般に個々の空隙が大きいた
めに、空隙率が高くなると、空隙を保持することが困難
になる。このため、荷重がかかった状態でのクッション
性に劣り、また粘性に欠けるので、体圧分散が十分でな
い。さらに、脱塩法で形成される多孔体は、気孔形成材
の溶出により空隙が形成されているので、発泡剤のよう
に多孔体中に残存することもなく、衛生的で人体に対す
る害が少なくて済む。さらにまた、汚れた場合にも、洗
濯可能であるから、衛生的である。
【0040】〔クッション製品〕本発明のクッション製
品は、本発明のクッション材を用いて作製される応用品
で、クッション材自体で形成される製品、製品の一部に
本発明のクッション材が用いられているものの双方を含
む。
【0041】具体的には、座布団等の腰掛け用クッショ
ン、敷布団用マットレス、枕、キーボード入力者の手首
サポート用クッション(アームレスト)等の寝装品;ズ
ボン、パンツ、シャツ、靴下、帽子、おむつカバー、膝
又は肘用サポーター等の衣料品などが挙げられる。いず
れの場合も、本発明のクッション材の骨格構成成分であ
る熱可塑性エラストマーに基づいて、身体の動きに追随
するフィット性が高い製品で、体圧のように継続的にか
かる荷重の分散性、クッション性に優れるので、荷重が
かかる部位(臀部、背中、手首、肘、膝等)の疲れを低
減、防止できる。特に、寝返りが自由にできない病人用
ベッドのマットレスや枕に用いた場合、床ずれを防止で
きるので好ましい。
【0042】本発明のクッション材を用いた衣料として
は、体圧分散が必要な荷重がかかる部位にだけクッショ
ン材を取り付けたものであってもよいし、本発明のクッ
ション材自体で構成されるズボン、シャツ等であっても
よい。本発明のクッション材をシート状とした場合、縫
製が可能となるので、シャツやズボンといった複雑な立
体形状の衣料製品の適用が可能となる。
【0043】衣料製品の一部にクッション材を取り付け
た製品としては、例えば、踵部にクッション材を用いた
靴下;肘部、肩峰突起部、あるいは前身頃、後ろ身頃の
腰周りに該当する部分、脇部にクッション材を用いたシ
ャツ;臀部、腸骨稜部、大転子部、仙骨部にクッション
材を用いたズボン及びパンツ;後頭部、耳介部にクッシ
ョン材を用いた帽子;踵、肘、膝にあてるサポータ;臀
部にクッション材を用いたおむつカバーなどが挙げられ
る。クッション材は布地に一体的に取り付けてもよい
し、着脱自在に取り付けてもよい。
【0044】以上のような衣料品は、いずれも本発明の
クッション材の特性に基づいて、身体にフィットするよ
うに変形して継続続的にかかる荷重を分散し、しかもそ
のクッション性に基づいて、接触している身体の部分
(臀部や背中、肘、手首など)を支持しつづけることが
できる。また、本発明のクッション材は、空隙が外部に
連通しているので通気性があるので、クッション材が取
り付けられていることによる蒸れなどが少なくて済む。
しかも、通気性があり、洗濯が可能であるから、発汗や
失禁等により汚れたら洗濯して、繰り返し使用しても衛
生性を保持することができる。特に寝たきり老人用おむ
つカバーの場合には、クッション材に尿排泄処理装置及
び局部洗浄装置を接続しておくことができる。空隙が外
部に連通しているので、尿、糞便等の人体からの排泄物
を外部排泄処理装置に排出することができ、さらに外部
から洗浄水を送り出すことができ、またさらに外部から
送風して局部の自動洗浄乾燥が可能となる。
【0045】
【実施例】〔評価方法〕はじめに、下記実施例で用いた
クッション材の評価方法について説明する。
【0046】多孔体の見掛け密度(g/cm3) JIS A 9511に準拠して、約200×200mm
の試験片を70±5℃で乾燥し、恒量となった後の質量
Wと多孔体全体の体積Vとから下記式により算出した。 見掛け密度(g/cm3)=W/V
【0047】多孔体のアスカーF硬度 平面部寸法が80mm×80mmで厚さ20mmの試料
を作製し、高分子計器株式会社製のASKER F型 硬
度計を用いて測定した。
【0048】多孔体の空隙率(%) で得られた多孔体の質量Wを、骨格の構成成分(熱可
塑性エラストマー、軟化剤、熱可塑性樹脂を配合したも
の)の比重で割って、骨格の体積V1を算出する。算出
した体積V1及びで得られた多孔体の体積Vを用い
て、下記式により算出した。 多孔体の空隙率=100−(V1/V)×100
【0049】体圧分散性 感圧フィルム上に、シート状クッション材(縦×横×厚
みが200mm×200mm×3mm)を載置し、クッ
ション材の上に面積612mm2で302Nの荷重(膝
に該当)をかけた。ここで使用した感圧フィルムは、マ
イクロカプセル化した発色剤を塗布したAフィルムと、
顕色剤を塗布したCフィルムを重ねたものである。この
ような感圧フィルムは、圧力がかかることによりマイク
ロフィルムが破壊され、その中に封入されていた無色染
料が顕色剤に吸着して、化学反応で発色する。この発色
の様子を、FUJIFILM社製の圧力画像解析システ
ム(FPD−901)を用いて感圧フィルムの発色の様
子を観察し、感圧した部分のうち、最大圧力を示した部
分の最大圧力値を測定した。シートを載置しない場合の
最大圧力は1.48MPaである。
【0050】最大圧力値が小さいほど、荷重が広い範囲
に亘ってかかっていることを示し、体圧分散性に優れて
いると言え、測定大圧力を1.20MPa未満の場合を
「◎」、1.20〜1.25MPaの場合を「○」、
1.25〜1.30MPaの場合を「△」、1.30M
Pa以上の場合を「×」の4段階に分類した。
【0051】〔クッション材の製造〕表1に示すような
組成を有する成形材料を調製し、この成形材料を、射出
成形(No.1〜6、No.8)又は加熱加圧成形(N
o.7)して、充実成形体を製造した。この充実成形体
を、水で洗浄することにより気孔形成材を溶出して、連
続気泡タイプの多孔体であるクッション材No.1〜8
を製造した。
【0052】これらのうち、No.1〜6が本発明実施
例に該当し、他は比較例に該当する。
【0053】これらのクッション材の空隙率、比重、硬
度、体圧分散性を測定した結果を表1に示す。
【0054】また、参考例として、エーテル系汎用ポリ
ウレタンフォーム(市販品)について、硬度及び体圧分
散性を測定した結果を表1に示す。
【0055】尚、ポリエステル系エラストマーとしては
「エラステージED1615U」(東ソー社製)を用
い、ポリスチレン系エラストマーとしては「ハイブラー
7125」(クラレ社製)を用い、ポリプロピレンとし
ては「グランドポリプロJ709W」(グランドポリマ
ー社製)を用い、ペンタエリスリトールとしては三井化
学社製の「ペンタエリスリトール」を用い、塩としては
「鳴門の焼塩70M」(富田製薬社製)を用い、エーテ
ル系汎用ウレタンフォームとしては「ポリウレタンフォ
ームMSC−E40」(丸鈴社製)を用い、粘着付与剤
としては「ポリブテン100R」(出光石油化学社製)
を用い、ジメチルシリコーンオイルとしては「SH20
0−10000CS」(東レ・ダウ・シリコーン社製)
を用い、変性シリコーンオイルとしては「SH203」
(東レ・ダウ・シリコーン社製)を用いた。
【0056】
【表1】
【0057】No.8とNo.3を比較すると、空隙率
は、No.3の方が低いにもかかわらず、No.8の方
がアスカーF硬度が高く、体圧分散性が劣っている。こ
のことから、骨格の構成成分として軟化剤を含むことに
より軟らかく、しかも体圧分散性に優れた多孔体を提供
できることがわかる。
【0058】No.1〜3は、骨格に軟化剤が含まれて
いるので、空隙率が70%程度であるが、アスカーF硬
度を72以下とすることができ、優れた体圧分散性を得
ることができた。但し、軟化剤であるポリブテンの含有
量が50質量部となると、骨格が軟らかくなって空隙の
変形が始まるため、結果として気孔形成材の配合量に見
合った空隙率が得られにくくなり、その結果、アスカー
F硬度の低下効果が小さくなって体圧分散性が低下しは
じめる。
【0059】No.4〜6は、軟化剤としてポリブテン
とシリコーンオイルとを併用した場合であり、空隙率を
70%以下としたにもかかわらず、アスカーF硬度を6
5以下にすることができ、優れた体圧分散性を達成でき
た。但し、オイルの含有量が多くなりすぎると、骨格が
軟らかくなりすぎて、空隙の変形が始まり、多孔体の空
隙率が成形材料に配合した気孔形成材の量に見合った空
隙率よりも低くなって、アスカーF硬度が上昇し、体圧
分散性も低下し始める。
【0060】No.7の空隙率は80%で、No.8の
空隙率が69%である。このように空隙率の差が大きい
にもかかわらず、両者のアスカーF硬度は同程度であっ
た。このことから、ポリエステル系エラストマーよりも
スチレン系エラストマーの方が軟らかいクッション材を
得易いことがわかる。
【0061】なお、市販のポリウレタンフォームは、荷
重をかけたときに空隙が変形し、形状回復性が劣るため
に、アスカーF硬度が高くなり、体圧分散性もよくなか
った。
【0062】
【発明の効果】本発明のクッション材は、身体にフィッ
トし、体圧のように継続的にかかる荷重の分散性に優れ
ている。従って、本発明のクッション材を用いた寝装具
は、寝返り等を打てない病人、ケガ人の床ずれ防止に優
れている。また、座布団や肘あて、膝あて等の一般人用
寝装具であっても、同一姿勢を取り続けることにより荷
重、体圧が係りつづける部分の疲労等を低減防止でき
る。また、本発明のクッション材を背中や腰などの体圧
がかかりやすい部位に用いた衣料は、エアーマット等の
体圧分散性に優れた寝具を用いていない場合の病人の床
づれ防止に優れている。さらに、本発明のクッション材
を縫製して作った衣料は、身体にフィットして、身体全
体を軟らかく包むので、こけたりしたときのケガ防止に
も役立つ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 目黒 彩子 福島県西白河郡泉崎村大字泉崎字坊頭窪1 番地 株式会社朝日ラバー内 Fターム(参考) 3B096 AD07

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性エラストマー及び軟化剤を含む
    骨格と、該骨格間間隙が外部に連通する連通孔となって
    いる多孔体であって、アスカーF硬度が72以下である
    クッション材。
  2. 【請求項2】 前記骨格は、さらに熱可塑性樹脂を含む
    請求項1に記載のクッション材。
  3. 【請求項3】 前記熱可塑性エラストマーは、スチレン
    系熱可塑性エラストマーである請求項1又は2に記載の
    クッション材。
  4. 【請求項4】 前記軟化剤は、常温で液体のポリマーで
    ある請求項1〜3のいずれかに記載のクッション材。
  5. 【請求項5】 前記多孔体の空隙率が60〜90%であ
    る請求項1〜4のいずれかに記載のクッション材。
  6. 【請求項6】 前記多孔体は、気孔形成材を含む充実成
    形体を成形し、該充実成形体から該気孔形成材を溶媒で
    溶出することにより作製されたものである請求項1〜5
    のいずれかに記載のクッション材。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載のクッシ
    ョン材を用いて作製したクッション性を有する衣料。
  8. 【請求項8】 前記クッション材はシート状であって、
    該シートを縫製して作製される請求項7に記載の衣料。
  9. 【請求項9】 前記クッション材は、荷重がかかる部分
    に取り付けられている請求項7に記載の衣料。
  10. 【請求項10】 前記クッション材は、着脱可能に取り
    付けられている請求項9に記載の衣料。
  11. 【請求項11】 請求項1〜6のいずれかに記載のクッ
    ション材を用いた寝装具。
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