JP2002101897A - 気液界面培養を利用した気体状物質の毒性を評価するための方法及び装置 - Google Patents

気液界面培養を利用した気体状物質の毒性を評価するための方法及び装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、気相中の物質が気液界面に存在す
る細胞に与える影響をインビトロで正確且つ簡便に評価
することができる方法及び装置を提供することを目的と
する。 【解決手段】 前記課題を解決するために、本発明の方
法及び装置は、気液界面培養された細胞に対する気相中
の物質の影響を評価するための方法及び装置を提供す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、気相中の物質が気
液界面に存在する細胞に与える影響をインビトロで評価
するための方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、大気中に気化した有機溶媒などの
気相中の物質が動物の呼吸器系などに影響を与えること
が問題となっており、気相中の物質が気液界面に存在す
る細胞に与える影響を正確に評価するための装置が望ま
れている。
【0003】気相中の物質が生物に与える影響を最も正
確に評価するには、生物を気相中の物質に暴露するイン
ビボ法が適しているが、インビボ法は、多大な労力とコ
ストを要するのみならず、最近高まりつつある動物愛護
の要請にも反する。
【0004】このため、インビボ法に代えて、気相中の
物質の培養細胞に対する影響を測定するインビトロ法を
利用した装置及び方法が幾つか提案されているが、何れ
も精度や構造の複雑さ等の点で欠点を有している。
【0005】例えば、細胞を培養皿で培養し、適当な有
機溶媒を溶解させた培養液を添加することにより、液体
中で培養した細胞を用いた通常のインビトロ法と同様に
毒性を評価する方法は、生体内の状況を模倣していない
ので、正確な評価を行うことができない。また、全ての
気相中の物質を常に所望の濃度で液体中に溶解させ得る
とは限らないので、包括的な毒性評価を行うには十分で
ない。
【0006】このため、培養液を入れた培養皿を上下左
右に動かすことで、細胞と気体が接触する部分を設ける
方法や、培養液を取り除いた状態で極短時間で評価を行
う方法、さらに気体を透過するが、液体は透過しないと
いう特殊な膜を利用した方法などが提案されている。し
かしながら、これらの方法は、それぞれ、液体の表面張
力のために液層が残る、極短時間での評価では正確な評
価がなし得ない、特殊な膜上での培養が困難であるなど
の欠点を有している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術に
存する前記課題を解決するためになされたものであり、
気相中の物質が気液界面に存在する細胞に与える影響を
インビトロで正確且つ簡便に評価するための方法及び装
置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、請求項1に係る発明は、気液界面培養された培養細
胞を用いて、気相中の物質が気液界面に存在する細胞に
与える影響を評価するための方法であって、表面の少な
くとも一部が前記気相中の物質を含有する気相に接触す
るように支持体上に支持された少なくとも一つの培養細
胞に培養液を供給することにより、気液界面培養を行う
工程と、前記培養細胞に前記気相中の物質を接触させる
工程と、前記気相中の物質に対する前記培養細胞の影響
を測定することによって、前記気相中の物質が気液界面
に存在する細胞に与える影響を評価する工程を備えた方
法を提供する。
【0009】請求項2に係る発明は、気液界面培養され
た培養細胞を用いて、気相中の物質が気液界面に存在す
る細胞に与える影響を評価するための装置であって、表
面の少なくとも一部が前記気相中の物質を含有する気相
に接触するように支持体上に支持された少なくとも一つ
の培養細胞と、該培養細胞に供給すべき培養液が収容さ
れた培養液収容槽であって、前記培養細胞の前記気相に
接触している前記表面とは異なる表面に前記培養液が接
触するように前記支持体を装着した培養液収容槽と、前
記培養細胞に接触すべき前記気相中の物質を収容するた
めの気体収容部を備えた装置を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、気液界面培養された培
養細胞を用いて、気相中の物質が気液界面に存在する細
胞に与える影響を評価するための方法を提供する。
【0011】本明細書において、「気液界面培養」と
は、培養細胞に一方向から培養液を供給することによ
り、細胞表面の少なくとも一部が気相中の物質と接触し
得るように培養する方法をいう。気液界面培養されてい
る細胞の表面は、大きくとも10μm以下の液面で覆わ
れることが多い。従って、細胞の「表面が気相に接触す
る」とは、細胞の表面が直接気相に接触することのみな
らず、培養細胞表面を被覆する10μm以下の極めて薄
い液面を介して培養細胞に気相中の物質を接触すること
も含む。
【0012】気液界面培養は、気液界面に存在する細胞
のインビボでの環境と類似している。それ故、気液界面
培養された細胞を用いた本方法によれば、気相中の物質
が気液界面に存在する細胞に与える影響を正確に評価す
ることができる。
【0013】本方法を実施するためには、まず、気相中
の物質に対する影響を測定すべき細胞を気液培養する。
細胞の気液培養には、まず、気液界面に存在する細胞、
例えば、呼吸器系に存在する細胞(肺気道や肺胞由来の
細胞、気管由来の細胞、及び鼻腔由来の細胞など)、皮
膚細胞、角膜を構成する細胞、及び毛髪からなる群から
選択される一種以上の細胞を支持体に付着させる。支持
体には、ニ種類以上の細胞を支持してもよい。また、細
胞の他に細胞間物質を含んでもよい。すなわち、本明細
書において、「細胞」には、ニ種類以上の細胞と細胞間
物質を含んでなる組織のようなものも含まれる。
【0014】続いて、支持体に支持した細胞に培養液を
供給する。培養液の供給は、細胞表面の一部に培養液が
供給されるようにして行う。例えば、支持体の一方のみ
から培養液を供給すればよい。
【0015】使用する培養液は、細胞の種類に応じて適
切なものを選択すればよく、特に限定されない。
【0016】温度、湿度、気相の組成(二酸化炭素濃度
など)、培養時間などの培養条件は任意に選択し得る。
【0017】前記支持体を介して細胞に培養液を供給す
る場合には、培養液を通過させ得るフィルターなどを支
持体として使用する。
【0018】気液培養法自体は公知であり、気液培養を
行うための装置も市販されているので、市販の装置を使
用してもよい。
【0019】次に、このように気液培養を行った培養細
胞に、気相中の物質を接触させる。本明細書において
「気相中の物質」とは、気体中に分散含有され得る任意
の物質を意味する。従って、気体のみならず、粉塵や花
粉などの微粒子、微細な液滴なども「気相中の物質」に
含まれる。好ましい気相中の物質には、ベンゼン、トル
エン、ホルムアルデヒド、揮発性エステル類、ケトン
類、及びアルコール等の有機物質、焼却炉から排出され
るばい煙、並びにタバコの煙などが含まれる。
【0020】培養細胞に気相中の物質を接触させるに
は、培養細胞を覆うように閉鎖された空間の中に気相中
の物質を封入することが好ましいであろう。しかし、必
要に応じて、開放された空間中に前記物質を分散させて
もよく、あるいは、前記物質を含む気体を連続的に供給
してもよい。
【0021】気相中の物質の濃度、該物質を接触させる
時間などは特に限定されず、細胞が置かれる実際の環境
に基づいて適切に設定すればよい。
【0022】気相中の物質を接触させた後、気相中の物
質に対する前記培養細胞の影響を測定する。該工程にお
いて、測定すべき「影響」は、典型的には、気相中の物
質の毒性であるが、気相中の物質の有用な作用、例え
ば、細胞増殖速度の増加、細胞内酵素の培養液中への漏
出、好ましい物質の分泌量の増加、又は新生物の縮小若
しくは消滅であってもよい。
【0023】気相中の物質に対する培養細胞の影響の
「測定」は、測定すべき影響の種類に応じて異なる。気
相中の物質の毒性を評価する場合には、例えば、細胞の
生存率の減少、細胞内酵素の培養液中への漏出、細胞に
よって分泌される物質の量の変化、及び細胞の形態の変
化などを測定し得るがこれらに限定されない。気相中の
物質の有用な作用を評価する場合には、正常細胞の生存
率の増加、有用な物質の量の増加、及び新生物の減少な
どを測定し得るがこれらに限定されない。
【0024】このような測定を行った後、実験者が任意
に設定した評価基準に従って、気相中の物質が気液界面
に存在する細胞を与える影響を評価する。該評価は、必
要に応じて、気相中の物質の不存在下で同様の操作を実
施したときの結果に基づいて行う。
【0025】本方法によって得た評価は、体内に存在す
る細胞や組織に対する影響、薬物動力学的における体内
各臓器のパラメーターを間接的に推定すること、さらに
は生体全体への影響を評価するためにも使用し得る。
【0026】本発明は、気液界面培養された培養細胞を
用いて、気相中の物質が気液界面に存在する細胞に与え
る影響を評価するための装置も提供する。
【0027】該装置は、支持体上に支持され、該支持体
上で気液界面培養された培養細胞と、該培養細胞に供給
すべき培養液が収容された培養液収容槽に加えて、前記
培養細胞に接触すべき気相中の物質を収容するための気
体収容部を備えた点で、従来の気液界面培養装置とは異
なる。前記気体収容部は、気液界面培養された培養細胞
を用いて、気相中の物質が気液界面に存在する細胞に与
える影響を評価するために設けられたものである。
【0028】該装置で使用する培養細胞、気液界面培養
の条件、培養細胞に与える影響を評価すべき気相中の物
質は、本発明の方法において前述したとおりである。
【0029】該装置の構成については、以下の実施例に
おいて詳述する。
【0030】[実施例]本実施例では、図1を参照しな
がら、本気液界面培養された培養細胞を用いて、気相中
の物質が気液界面に存在する細胞に与える影響を評価す
るための装置について説明する。
【0031】該装置は、大きさ150mm×φ150m
m程度のコンパクトなものである。該装置は、培養細胞
に対する影響を評価すべき気相中の物質の種類に応じ
て、適切な材料を用いて作成される。例えば、気相中の
物質として有機溶剤を使用するときには、ガラスを使用
し得る。
【0032】該装置は、支持体固定部1に固定された支
持体2上で気液界面培養されている培養細胞3と、前記
支持体固定部1を有し、前記培養細胞に供給すべき培養
液が収容された培養液収容槽4とをそれぞれ左右に一つ
ずつ備え、両培養液収容槽4上の支持体2を覆うよう
に、両培養液収容槽4の上に気体収容部6が装着されて
いる。
【0033】支持体2の種類、及び支持体2の上に支持
すべき培養細胞3の種類は、本発明の方法について上述
したとおりである。
【0034】培養液収容槽4には、培養細胞3の一方か
らのみ培養液を供給し得るように支持体2が固定されて
いるので、培養細胞3を気液界面培養することができ
る。
【0035】培養液収容槽4の形状は、図1に記載のも
のに限定されず、三角柱、四角柱、円柱などの形状であ
り得る。図1のような断面がU字状の形状の容器を培養
液収容槽4として用いれば、また細胞膜表層より培養液
添加剤の液面を高めておくことで気液界面培養の完成を
確認することができる。つまり、この状況下で細胞表層
上に培養液が漏れ出てこないことをもって、気液界面培
養の完成が簡単に確認できる。支持体2が固定されてい
ない側から新たな培養液を補給しやすいであろう。
【0036】培養液中で発生したガスを排出するため
に、培養液収容槽4には、必要に応じて、ガス抜き5を
設置してもよい。
【0037】図1の装置では、二つの培養液収容槽4が
使用されているが、これは、同一の条件で二回の測定を
可能にして、測定の精度を向上させるためである。従っ
て、所望の測定精度に応じて、培養液収容槽4の数は一
つであってもよいし、三以上であってもよい。
【0038】培養液収容槽4に収容すべき培養液は、培
養細胞3の種類に応じて適宜選択すればよい。
【0039】培養液収容槽4の上には、ニつの支持体2
を覆うように気体収容部6が装着されており、該気体収
容部6の中に、培養細胞3に対する影響を評価すべき気
相中の物質7が収容される。
【0040】気体収容部6は、前記気相中の物質7の拡
散を防止して、培養細胞3に接触する気相中の物質7の
濃度を所定の濃度に保つ役割を果たす。それ故、気体収
容部6は、気相中の物質7を密閉封入し得る構造である
ことが好ましい。しかし、気相中の物質7が拡散する条
件下での培養細胞3への影響を測定したいときには、必
要に応じて、気体収容部6を開放してもよい。あるい
は、気体収容部6に気体注入口と気体排出口を設けて、
気体注入口から連続的に気相中の物質7を含む気体を導
入してもよい。
【0041】気体収容部6の形状は、図1のものに限定
されず、気相中の物質7の拡散を防止する役割を果たす
ものであればよい。例えば、気体収容部6は、開閉可能
な蓋を有してもよい。あるいは、気体収容部6は上部開
口部を有し、測定時には測定者がガラスプレートなどで
蓋をするような構造であってもよい。
【0042】気体収容部6は、必要に応じて、測定時に
気相中の物質7の濃度をサンプリングするためのサンプ
リング口8を設けてもよい。サンプリング口8を設ける
場合、サンプリング口8には、気相中の物質7の濃度を
自動計測し得る機械、装置などを接続してもよい。
【0043】また、気体収容部6には、気体漏出口9を
設けることもできる。気体漏出口9を設ければ、ガスバ
ックなどを装着して、気体収容部6中の気体の圧力を一
定に保つことができる。気体漏出口9には、圧力計を取
りつけてもよい。
【0044】図1の気体収容部6の中には、それぞれ、
湿度調整用の水、及び気相中の物質7を揮発する揮発性
物質を入れるための水貯留部10及び揮発性物質収納部
11が設けられている。水貯留部10は、必ずしも必要
ではないが、培養細胞3の生育を維持するためには、水
貯留部10を設けることが好ましいであろう。
【0045】また、気体収容部6に直接気体を導入する
ときには、揮発性物質収納部11は必ずしも必要ではな
い。揮発性物質収納部11を設ける場合において、複数
の支持体2の上で培養細胞3を気液界面培養するときに
は、各支持体2からの距離が略等しくなるようにするこ
とが好ましい。
【0046】以下、図1の装置の使用法について説明す
る。
【0047】まず、装置をオートクレーブした後、支持
体固定部1に滅菌済みの支持体を取り付る。ピペット等
によって、培養液収容槽4の中に培養液を入れ、ガス抜
き5からガスを抜きながら、培養液をラインに満たす。
初めは、細胞上にも培養液を添加し、細胞を増殖させる
ことによって細胞の層を形成させる。
【0048】その後上の培養液を取り除き、膜下方から
のみ供給し気液界面培養を開始する。
【0049】その状態で、水貯留部10に水を入れ、揮
発性物質収納部11に揮発性の対象化学物質等を入れ、
本体に蓋をする(クリップなどで固定する)。このと
き、気体漏出口9にはガスバッグをつけておく。
【0050】装置をインキュベータ等に入れ、所定の時
間、気相中の物質7に培養細胞3を接触させる。
【0051】気相中の物質7の濃度は、適宜、サンプリ
ング口8からマイクロシリンジ等で採取し、定量する。
【0052】所定の時間が経過した後、細胞の障害の度
合いを様々なエンドポイント測定法で確認する。
【0053】図2〜4には、本装置を用いて、ベンゼン
に対するヒト気管支細胞株Calu3の影響を評価した
実験の結果が示されている。
【0054】図2は、培養細胞の層の電気抵抗を測定し
たものであり、電気的抵抗の測定により培養細胞の層の
形成を確認した。培養開始後、電気的抵抗は、12日程
度で一定値となり層形成が確認された。その後、細胞層
上の培養液を取り除くと、電気的抵抗が上昇した後、再
び一定値に達した。これは、気液界面培養が達成される
ことによって、細胞の分化が促進されたことによるもの
と考えられた。これによって、気液界面培養が達成され
たことが確認された。さらに、U字型の培養液添加層で
細胞膜に圧力をかけたときに、培養液が細胞層上面に漏
れ出てこないことをもって気液界面培養の達成を確認で
きる(図示せず)。
【0055】図3と図4は、それぞれ、ベンゼンを接触
させた細胞の生存率の用量作用曲線と時間依存性を示し
ている。
【0056】図3及び図4の実験では、細胞膜に障害を
受けた細胞から培養液中に遊離した乳酸脱水素酵素(L
DH)活性を測定することにより行った。
【0057】図3から明らかなように、ベンゼンの濃度
が5mmol/Lを超えると、接触開始後第一目(黒三
角)と第二日目(黒四角)の何れにおいても、Calu
3細胞の生存性は、急激に低下した。
【0058】図4は、気液界面培養を含む異なる培養条
件下でCalu3細胞の生存率の時間依存性を調べた実
験の結果を示している。ベンゼンを接触させたときのベ
ンゼン濃度は、44000ppmであった。
【0059】ベンゼンの存在下で気液界面培養を行った
とき(黒三角)には、細胞の生存率は24時間で60%
にまで低下したが、ベンゼンの非存在下で気液界面培養
を行ったとき(白丸)には、細胞の生存率は、24時間
後でも95%であった。
【0060】これに対して、ベンゼンの存在下で液中培
養を行ったとき(黒四角)には、ベンゼンの非存在下で
液中培養を行ったとき(ばつ印)と、細胞の生存率に有
意な差はなかった。
【0061】以上の結果より、気液界面培養を行い得る
本装置を用いなければ、細胞に対する毒性を正確に評価
できないことが明らかとなった。
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、気相中の物質が気液界
面に存在する細胞に与える影響をインビトロで正確且つ
簡便に評価することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装置の断面図。
【図2】支持体上に形成された培養細胞が気液海面培養
されていることを実証するために測定した電気的抵抗の
経時変化を示す図。
【図3】気相中のベンゼンの培養細胞の生存率に対する
用量作用曲線を示した図。
【図4】気相中のベンゼンの細胞生存率に対する影響の
時間依存性を示した図。
【符号の説明】
1 支持体固定部 2 支持体 3 培養細胞 4 培養液収容槽 5 ガス抜き 6 気体収容部 7 気相中の物質 8 サンプリング口 9 気体漏出口 10 水貯留部 11 揮発性物質収納部
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年12月5日(2000.12.
5)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B029 AA02 BB11 CC11 DB19 4B063 QA01 QA07 QQ18 QR77 QR82 QS39 QX04 4B065 AA93X BC41 BD24 BD25 BD27 BD28 BD30 CA46

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 気液界面培養された培養細胞を用いて、
    気相中の物質が気液界面に存在する細胞に与える影響を
    評価するための方法であって、 表面の少なくとも一部が前記気相中の物質を含有する気
    相に接触するように支持体上に支持された少なくとも一
    つの培養細胞に培養液を供給することにより、気液界面
    培養を行う工程と、 前記培養細胞に前記気相中の物質を接触させる工程と、 前記気相中の物質に対する前記培養細胞の影響を測定す
    ることによって、前記気相中の物質が気液界面に存在す
    る細胞に与える影響を評価する工程を備えた方法。
  2. 【請求項2】 気液界面培養された培養細胞を用いて、
    気相中の物質が気液界面に存在する細胞に与える影響を
    評価するための装置であって、 表面の少なくとも一部が前記気相中の物質を含有する気
    相に接触するように支持体上に支持された少なくとも一
    つの培養細胞と、 該培養細胞に供給すべき培養液が収容された培養液収容
    槽であって、前記培養細胞の前記気相に接触している前
    記表面とは異なる表面に前記培養液が接触するように前
    記支持体を装着した培養液収容槽と、 前記培養細胞に接触すべき前記気相中の物質を収容する
    ための気体収容部を備えた装置。
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