JP2002100471A - 有機エレクトロルミネッセンス素子の駆動方法、駆動装置およびそれを用いた表示装置 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子の駆動方法、駆動装置およびそれを用いた表示装置

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JP2002100471A
JP2002100471A JP2000288203A JP2000288203A JP2002100471A JP 2002100471 A JP2002100471 A JP 2002100471A JP 2000288203 A JP2000288203 A JP 2000288203A JP 2000288203 A JP2000288203 A JP 2000288203A JP 2002100471 A JP2002100471 A JP 2002100471A
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Japan
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organic
driving
duty ratio
emitting
red light
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JP2000288203A
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English (en)
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Tsuyoshi Tsujioka
強 辻岡
Yuji Hamada
祐次 浜田
Sukeyuki Fujii
祐行 藤井
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Sanyo Electric Co Ltd
Original Assignee
Sanyo Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低いデューティ比でのパルス駆動時において
長寿命化を達成することができる赤色発光の有機エレク
トロルミネッセンス素子の駆動方法、駆動装置およびそ
れを用いた表示装置を提供することである。 【解決手段】 パルス電圧印加回路10は、赤色発光の
有機EL素子20にデューティ比10%以下のパルス電
圧を印加する。この場合、赤色発光の有機EL素子20
に流れる平均駆動電流が(平均注入電流密度)3mA/
cm2 以下となるように駆動条件が設定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、赤色に発光する有
機エレクトロルミネッセンス素子の駆動方法、赤色発光
する有機エレクトロルミネッセンス素子の駆動装置およ
びそれを用いた表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、情報機器の多様化に伴い、一般に
使用されているCRT(陰極線管)に比べて消費電力の
少ない平面表示素子に対する要求が高まってきている。
このような平面表示素子の1つとして、有機エレクトロ
ルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と称する)を
用いたディスプレイの研究開発が活発に行われている。
有機EL素子を用いたディスプレイは、中または高効率
を有し、薄型かつ軽量であり、視野角依存性がない等の
特徴を有する。
【0003】有機EL素子は、電子注入電極およびホー
ル注入電極からそれぞれ電子およびホールを発光部内へ
注入し、これらの電子およびホールを発光中心で再結合
させて有機分子を励起状態にし、この有機分子が励起状
態から基底状態に戻るときに蛍光を発生するものであ
る。有機EL素子を用いた表示装置は、複数の有機EL
素子が基板上にマトリックス状に配置された構造を有す
る。
【0004】このような有機EL素子は、5V〜20V
程度の低い電圧で駆動できるという利点を有する。ま
た、発光材料である蛍光物質を選択することにより適当
な色彩に発光する有機EL素子を得ることができ、マル
チカラーまたはフルカラーの表示装置としても利用する
ことが期待されている。
【0005】有機EL素子を高精細ディスプレイに応用
するために、2つの方式が検討されている。1つは、単
純マトリックス方式(パッシブ方式)であり、基板上に
ITO(インジウム・錫酸化物)からなる透明な複数の
陽極と複数の陰極とを交差するように配置し、交差する
陽極と陰極との間に有機層を挟み込み、2つの電極間に
電圧を印加することにより有機層にキャリアを注入して
発光させる方式である。このような単純マトリックス方
式により構成されたディスプレイは、例えば9th Intern
ational Workshop on Inorganic and Organic Electrol
uminescence Sep.14-18,1998,Oregon :Extended Abstr
acts pp.137-140 にも報告されている。
【0006】もう1つは、アクティブマトリックス方式
であり、基板上に多結晶シリコンからなる複数のTFT
(薄膜トランジスタ)を形成し、TFTからなる回路上
に有機層を形成することにより、画素となる各有機EL
素子の点灯および消灯を対応するTFTのオンオフによ
り行うものである。各TFTにはコンデンサが接続され
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】単純マトリックス方式
では、各有機EL素子の電極間に電圧が印加されている
ときにのみその有機EL素子が点灯する。そのため、例
えば、横320ドット×縦240ドットの解像度を有す
るQVGA仕様のディスプレイでは、1つのラインの画
素を同時に点灯させる場合でも、1フレームの表示を行
うときに1つの画素が1/240のデューティ比で駆動
される。
【0008】これに対して、アクティブマトリックス方
式では、1つの画素に対応するTFTがコンデンサに蓄
積された電荷によりオン状態を長く保持することができ
る。そのため、1フレームの表示を行うときに各有機E
L素子がほぼ直流駆動に近い状態で点灯される。
【0009】したがって、同じ明るさを維持するために
は、単純マトリックス方式では、アクティブマトリック
ス方式に比べて各有機EL素子を瞬間的に240倍もの
明るさで発光させる必要がある。すなわち、単純マトリ
ックス方式では、アクティブマトリックス方式に比べて
各有機EL素子にほぼ240倍の電流を瞬間的に流す必
要がある。
【0010】例えば、「日経エレクトロニクス 200
0.3.13(no.765)」の第58頁に記載され
ているように、有機EL素子に低デューティ比でのパル
ス駆動により瞬間的に大電流を流すことは発光材料およ
び有機EL素子の寿命を低下させる要因になるというこ
とが当該技術分野の研究者間の共通認識であった。すな
わち、低いデューティ比のパルス駆動では、所定の平均
輝度を得るために駆動電流のピーク値を高くする必要が
あるため、素子に負担がかかり寿命が短くなると考えら
れていた。
【0011】このように、当業者間では、有機EL素子
を低いデューティ比でのパルス駆動時に寿命が低下する
という認識があるために高精細度のディスプレイを単純
マトリックス方式で構成することは困難であると考えら
れていた。
【0012】フルカラー表示のためには、三原色である
R(赤)、G(緑)およびB(青)の3つの色をそれぞ
れ発光する有機EL素子が必要となるが、赤色発光の有
機EL素子は緑色発光の有機EL素子と比較して発光寿
命が短く、実用化のための課題となっていた。
【0013】本発明の目的は、低いデューティ比でのパ
ルス駆動時において長寿命化を達成することができる赤
色発光の有機エレクトロルミネッセンス素子の駆動方
法、駆動装置およびそれを用いた表示装置を提供するこ
とである。
【0014】
【課題を解決するための手段および発明の効果】上記の
ように、有機エレクトロルミネッセンス素子を低いデュ
ーティ比でパルス駆動することは、寿命の低下をもたら
すので望ましくないということが当業者間での認識であ
った。しかしながら、本発明者は、特に赤色発光の有機
エレクトロルミネッセンス素子について、パルス電圧の
デューティ比と素子寿命との関係について鋭意実験およ
び検討を重ねた結果、当業者間での上記認識は必ずしも
成立せず、特定の条件下で逆に低いデューティ比でのパ
ルス駆動により赤色発光の有機エレクトロルミネッセン
ス素子の寿命が改善されるという知見を得た。そして、
その知見に基づいて以下の発明を案出するに至った。
【0015】第1の発明に係る有機エレクトロルミネッ
センス素子の駆動方法は、赤色に発光する有機材料層を
含む有機エレクトロルミネッセンス素子の駆動方法であ
って、有機エレクトロルミネッセンス素子の電極間にデ
ューティ比が10%以下のパルス電圧を印加するととも
に、有機エレクトロルミネッセンス素子に流れる平均駆
動電流を3mA/cm2 以下に設定するものである。
【0016】本発明に係る駆動方法においては、赤色発
光の有機エレクトロルミネッセンス素子の電極間にパル
ス電圧が印加されると、有機エレクトロルミネッセンス
素子に電流が流れ、有機エレクトロルミネッセンス素子
が間欠的に赤色に発光する。
【0017】この場合、デューティ比が10%以下、お
よび平均駆動電流が3mA/cm2以下という駆動条件
で赤色発光の有機エレクトロルミネッセンス素子をパル
ス駆動することにより、低いデューティ比でのパルス駆
動において、所定の平均輝度を得るために駆動電流のピ
ーク値が高くなるにもかかわらず、赤色発光の有機エレ
クトロルミネッセンス素子の長寿命化が達成される。
【0018】なお、赤色発光の有機エレクトロルミネッ
センス素子が発生する赤色は、CIE(Commission Int
ernational d'Eclairage)色度座標におけるx>0.6
5およびy<0.35の範囲内にある純粋の赤色である
ことが好ましいが、本発明における赤色はオレンジ色も
含み、CIE色度座標におけるx>0.55およびy<
0.45の範囲内にある色でもよい。xはCIE色度図
の横軸であり、yはCIE色度図の縦軸である。
【0019】有機材料層は、赤色発光ドーパントがドー
プされたアルミキノリノール錯体を含むことが好まし
い。この場合、上記駆動条件により赤色発光の有機エレ
クトロルミネッセンス素子の寿命が改善される。
【0020】第2の発明に係る有機エレクトロルミネッ
センス素子の駆動装置は、赤色に発光する有機材料層を
含む有機エレクトロルミネッセンス素子を駆動する駆動
装置であって、有機エレクトロルミネッセンス素子の電
極間にデューティ比が10%以下のパルス電圧を印加す
るパルス電圧印加回路を備え、有機エレクトロルミネッ
センス素子に流れる平均駆動電流が3mA/cm2 以下
に設定されたものである。
【0021】本発明に係る駆動装置においては、デュー
ティ比が10%以下、および平均駆動電流が3mA/c
2 以下という駆動条件で赤色発光の有機エレクトロル
ミネッセンス素子をパルス駆動することにより、低いデ
ューティ比でのパルス駆動において、所定の平均輝度を
得るために駆動電流のピーク値が高くなるにもかかわら
ず、赤色発光の有機エレクトロルミネッセンス素子の長
寿命化が達成される。
【0022】第3の発明に係る表示装置は、赤色に発光
する有機材料層を含む赤色発光有機エレクトロルミネッ
センス素子、緑色に発光する有機材料層を含む緑色発光
有機エレクトロルミネッセンス素子および青色に発光す
る有機材料層を含む青色発光有機エレクトロルミネッセ
ンス素子からなる1組または複数組の有機エレクトロル
ミネッセンス素子群と、各有機エレクトロルミネッセン
ス素子群の各有機エレクトロルミネッセンス素子の電極
間にパルス電圧を印加する駆動装置とを備え、少なくと
も赤色発光の有機エレクトロルミネッセンス素子の電極
間に印加されるパルス電圧のデューティ比が10%以下
に設定されるとともに、赤色発光の有機エレクトロルミ
ネッセンス素子に流れる平均駆動電流が3mA/cm2
以下に設定されたものである。
【0023】本発明に係る表示装置においては、デュー
ティ比が10%以下、および平均駆動電流が3mA/c
2 以下という駆動条件で各赤色発光の有機エレクトロ
ルミネッセンス素子をパルス駆動することにより、低い
デューティ比でのパルス駆動において、所定の平均輝度
を得るために駆動電流のピーク値が高くなるにもかかわ
らず、各赤色発光の有機エレクトロルミネッセンス素子
の長寿命化が達成される。したがって、長寿命のフルカ
ラー表示装置を実現することができる。
【0024】ここで、赤色発光の有機エレクトロルミネ
ッセンス素子は、必ずしも純粋の赤色に発光する必要は
なく、緑色発光の有機エレクトロルミネッセンス素子お
よび青色発光の有機エレクトロルミネッセンス素子とと
もにフルカラーを表現することができれば、赤色からず
れた色に発光してもよい。
【0025】特に、駆動装置が単純マトリックス方式の
駆動装置であることが好ましい。この場合、低いデュー
ティ比により各赤色発光の有機エレクトロルミネッセン
ス素子をパルス駆動した場合でも、各赤色発光の有機エ
レクトロルミネッセンス素子の長寿命化が達成されるの
で、高精細度のフルカラー表示装置を単純マトリックス
方式で実現することが可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】図1は赤色発光の有機エレクトロ
ルミネッセンス素子(以下、赤色発光の有機EL素子と
称する)の構造の一例およびパルス電圧印加回路を示す
模式図である。
【0027】図1の赤色発光の有機EL素子20におい
て、ガラス基板1上に、透明導電膜からなる陽極(ホー
ル注入電極)2が形成されている。陽極2上には、有機
材料からなるホール注入層3、有機材料からなるホール
輸送層4および赤色発光ドーパントがドープされた有機
材料からなる発光層5が順に形成されている。発光層5
上には、陰極(電子注入電極)6が形成されている。
【0028】ここで、赤色とは、CIE(Commission I
nternational d'Eclairage)色度座標におけるx>0.
65およびy<0.35の範囲内にある純粋の赤色であ
ることが好ましいが、本発明における赤色はオレンジ色
も含み、CIE色度座標におけるx>0.55およびy
<0.45の範囲内にある色でもよい。xはCIE色度
図の横軸であり、yはCIE色度図の縦軸である。
【0029】特に、フルカラーの表示装置を構成する場
合には、図1の有機EL素子20はR、GおよびBの三
原色を構成する赤色要素、緑色要素および青色要素のう
ち赤色要素を担う有機EL素子に相当する。
【0030】有機EL素子20の陽極2と陰極6との間
にパルス電圧印加回路10が接続される。パルス電圧印
加回路10が有機EL素子20にパルス電圧を印加する
ことにより、赤色発光の有機EL素子20の発光層5が
赤色に発光し、ガラス基板1の裏面から光100が出射
される。
【0031】本実施の形態では、パルス電圧印加回路1
0は、赤色発光の有機EL素子20にデューティ比10
%以下のパルス電圧を印加する。この場合、赤色発光の
有機EL素子20に流れる平均駆動電流が(平均注入電
流密度)3mA/cm2 以下となるように駆動条件が設
定される。それにより、以下の実施例からわかるよう
に、低いデューティ比でのパルス駆動時において赤色発
光の有機EL素子20の長寿命化が達成される。
【0032】
【実施例】以下、赤色発光の有機EL素子を用いて寿命
のデューティ比依存性および寿命と平均駆動電流との関
係を測定した。
【0033】[実施例1]実施例1においては、ガラス
基板1上に透明導電膜であるITOからなる陽極2を形
成し、陽極2上に真空蒸着法により、(化1)の分子構
造式を有する2−TNATA(4,4',4"-tris(2-naphthy
lphenylamino)triphenyl-amine)からなる膜厚400Å
のホール注入層3、(化2)の分子構造式を有するα−
NPB(α−N,N'-Di(naphthalene-1-y1)-N,N'-Di(phen
yl-benzidine) )からなる膜厚100Åのホール輸送層
4、および膜厚350Åの発光層5を積層し、さらに発
光層5上にMgからなる陰極6を形成した。発光層5
は、(化3)の分子構造式を有するアルミキノリノール
錯体であるAlq3 (Tris(8-hydroxy-quinolinate)alu
minumまたはTris(8-quinolinolato)aluminum)に発光ア
シストドーパントとして(化4)の分子構造式を有する
ルブレン(Rubrene )を5wt%および赤色発光ドーパ
ントとして(化5)の分子構造式を有するDCJTBを
3%の濃度で加えてなる。それにより、赤色発光の有機
EL素子を得た。
【0034】
【化1】
【0035】
【化2】
【0036】
【化3】
【0037】
【化4】
【0038】
【化5】
【0039】この赤色発光の有機EL素子に直流駆動方
式およびパルス駆動方式により駆動電圧を印加して室温
で連続発光実験を行い、時間経過に伴う輝度の低下量を
調べた。
【0040】直流駆動方式では、有機EL素子に一定電
圧を連続的に印加し、パルス駆動方式では、有機EL素
子にデューティ比50%、デューティ比10%およびデ
ューティ比1%のパルス電圧を印加した。パルス電圧の
周波数は60Hzとした。例えば、デューティ比50%
のパルス駆動では、1周期のうち50%の期間に有機E
L素子に電圧を印加して発光させ、残りの50%の期間
には有機EL素子に電圧を印加せずに発光させない。直
流駆動、デューティ比50%のパルス駆動、デューティ
比10%のパルス駆動およびデューティ比1%のパルス
駆動のいずれにおいても、初期平均輝度が75cd/m
2 となり、平均駆動電流(平均注入電流密度)の初期値
が2.4mA/cm2 となるように駆動条件を調整し
た。また、この連続発光実験は、平均駆動電圧を一定に
保つ定電圧駆動で行った。
【0041】駆動電圧のピーク値は、直流駆動時には1
0V、デューティ比50%のパルス駆動時には12V、
デューティ比10%のパルス駆動時には15V、デュー
ティ比1%のパルス駆動時には23Vであった。平均駆
動電圧は、直流駆動時には10V、デューティ比50%
のパルス駆動時には6V、デューティ比10%のパルス
駆動時には1.5V、デューティ比1%のパルス駆動時
には0.23Vとなる。
【0042】なお、平均駆動電圧はデューティ比に応じ
て異なるが、初期平均輝度を等しく設定した場合、平均
駆動電流の初期値は、輝度と電流との線形関係によりデ
ューティ比には依存せずほぼ等しくなる。上記の駆動条
件では、デューティ比50%のパルス駆動時のピーク電
流は約4.8mA/cm2 、デューティ比10%のパル
ス駆動時のピーク電流は約24mA/cm2 、デューテ
ィ比1%のパルス駆動時のピーク電流は約240mA/
cm2 であった。なお、時間経過に伴って平均駆動電流
は低下する。
【0043】図2は実施例1の赤色発光の有機EL素子
における寿命のデューティ比依存性の測定結果を示す図
である。図2において、横軸は時間を表し、縦軸は初期
平均輝度を1とした場合の相対輝度を表す。
【0044】図2において、連続発光実験の開始から輝
度が初期平均輝度の70%に低下するまでの時間(以
下、70%寿命と呼ぶ)を比較すると、直流駆動では7
0%寿命が10時間程度であったのに対し、デューティ
比50%のパルス駆動では70%寿命が300時間程度
にまで延び、さらにデューティ比10%およびデューテ
ィ比1%のパルス駆動では70%寿命が500時間以上
にまで改善された。
【0045】このように、パルス電圧のデューティ比が
10%以下の場合に、駆動電流のピーク値が高くなるに
もかかわらず、初期の輝度劣化が大幅に抑制され、70
%寿命が直流駆動時の約50倍にも向上していることが
わかる。
【0046】なお、デューティ比10%およびデューテ
ィ比1%のパルス駆動において、連続発光実験の開始直
後に一時的に輝度が上昇しているのは、これらの駆動条
件では駆動電圧のピーク値が高くなることにより消費電
力が高くなって素子温度の上昇が起こり、ショットキメ
カニズムによる発光層5へのキャリアの注入が促進され
るためである。
【0047】なお、デューティ比0.2%のパルス駆動
時にも、デューティ比10%のパルス駆動時と同様の長
寿命化の効果が確認された。
【0048】上記の連続発光実験は、平均駆動電圧を一
定に保つ定電圧駆動で行ったが、平均駆動電流を一定に
保つ定電流駆動においても、時間経過に伴って赤色発光
の有機EL素子の劣化により輝度が低下する。この定電
流駆動においても、低デューティ比のパルス駆動におい
て同様の長寿命化の効果が確認された。
【0049】[実施例2]実施例2では、実施例1と同
じ素子構造を有する赤色発光の有機EL素子を作製し、
直流駆動方式、デューティ比50%のパルス駆動方式お
よびデューティ比10%のパルス駆動方式により駆動電
圧を印加し、それぞれ平均駆動電流の初期値が1.9m
A/cm2 となる駆動条件で室温において連続発光実験
を行い、時間経過に伴う輝度の低下量を調べた。
【0050】デューティ比50%のパルス駆動では70
%寿命が直流駆動時の50倍程度であったのに対し、デ
ューティ比10%のパルス駆動では70%寿命が直流駆
動時の170倍以上に改善された。
【0051】実施例1の結果と実施例2の結果との比較
から、平均駆動電流が低くなると、パルス電圧のデュー
ティ比が10%以下の場合に、初期の輝度劣化がさらに
大幅に抑制されることがわかる。
【0052】上記の実施例1および2の連続発光実験の
結果にさらに種々の条件下での実験結果を加え、平均駆
動電流と寿命との関係を調べた。
【0053】図3は平均駆動電流の初期値と寿命との関
係を示す図である。図3において、横軸は平均駆動電流
の初期値を表し、縦軸は寿命の向上率として直流駆動時
の70%寿命に対するデューティ比10%またはデュー
ティ比50%のパルス駆動時の70%寿命の比を表す。
【0054】図3に示すように、平均駆動電流の初期値
が3mA/cm2 よりも大きい場合には、デューティ比
10%のパルス駆動による寿命の向上率は、デューティ
比50%のパルス駆動による寿命の向上率の約10倍程
と小さくなっている。これに対して、平均駆動電流の初
期値が3mA/cm2 以下の場合には、デューティ比1
0%のパルス駆動による寿命の向上率がデューティ比5
0%のパルス駆動による寿命の向上率に比べてより顕著
に高くなることがわかる。
【0055】また、パルス電圧のデューティ比が10%
以下であれば、パルス電圧のデューティ比が1%の場合
もデューティ比が0.2%の場合も平均駆動電流が3m
A/cm2 以下という条件で同様の寿命向上の効果を得
ることができることがわかった。
【0056】以上の結果から、パルス電圧のデューティ
比が10%以下、および平均駆動電流が3mA/cm2
以下という駆動条件で赤色発光の有機EL素子を駆動す
ることにより、発光寿命を大幅に改善することができ
る。
【0057】図4は本発明の駆動装置を用いた単純マト
リックス方式(パッシブ方式)のフルカラー表示装置の
構成の一例を示すブロック図である。
【0058】図4のフルカラー表示装置においては、共
通の基板上に、赤色発光の有機EL素子20R、緑色発
光の有機EL素子20Gおよび青色発光の有機EL素子
20Bからなる複数組の有機EL素子群が複数行および
複数列にマトリクス状に配置されている。
【0059】各赤色発光の有機EL素子20Rは、図1
に示した構造を有する。各緑色発光の有機EL素子20
Gは、例えばAlq3 からなる発光層を有する。各青色
発光の有機EL素子20Bは、例えばアゾメチン錯体に
ぺリレンをドープしてなる発光層を有する。
【0060】各行の複数の有機EL素子20R,20
G,20Bの陽極6(図1参照)は駆動信号線31に接
続されている。複数行に対応する複数の駆動信号線31
はロウドライバ30に接続されている。ロウドライバ3
0により複数の駆動信号線31にそれぞれ駆動信号が印
加される。
【0061】また、各列の複数の有機EL素子20R,
20G,20Bの陰極6(図1参照)は列選択信号線4
1に接続されている。複数列に対応する複数の列選択信
号線41はコラムドライバ40に接続されている。コラ
ムドライバ40により複数の列選択信号線41に順次列
選択信号が印加される。
【0062】ロウドライバ30により駆動信号線31に
印加される駆動信号およびコラムドライバ40により列
選択信号線41に印加される列選択信号は、発光すべき
赤色発光の有機EL素子20Rにデューティ比が10%
以下のパルス電圧が印加され、非発光の有機EL素子2
0Rにパルス電圧が印加されないように設定される。
【0063】この場合、発光すべき赤色発光の有機EL
素子20Rに流れる平均駆動電流が3mA/cm2 以下
に設定される。このようにして、高精細度の単純マトリ
ックス方式のフルカラー表示装置が実現する。
【0064】なお、赤色発光の有機EL素子20Rは、
必ずしも純粋の赤色に発光する必要はなく、緑色発光の
有機EL素子20Gまたは青色発光の有機EL素子20
Bとともにフルカラーを表現することができれば、赤色
からずれた色に発光してもよい。
【0065】本発明に用いる赤色発光の有機EL素子に
おいて、赤色ドーパントはDCJTBに限らず、その他
の種々の赤色ドーパントを用いることができる。また、
発光層を構成する材料として種々の有機材料を用いるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】赤色発光の有機EL素子の構造の一例およびパ
ルス電圧印加回路を示す模式図である。
【図2】実施例1の赤色発光の有機EL素子における寿
命のデューティ比依存性の測定結果を示す図である。
【図3】平均駆動電流の初期値と寿命との関係を示す図
である。
【図4】本発明の駆動装置を用いた単純マトリックス方
式のフルカラー表示装置の構成の一例を示すブロック図
である。
【符号の説明】 1 ガラス基板 2 陽極 3 ホール注入層 4 ホール輸送層 5 発光層 6 陰極 10 パルス電圧印加回路 20,20R 赤色発光の有機EL素子 20G 緑色発光の有機EL素子 20B 青色発光の有機EL素子 30 ロウドライバ 31 駆動信号線 40 コラムドライバ 41 列選択信号線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤井 祐行 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内 Fターム(参考) 3K007 AB02 AB04 AB11 BA06 CA01 CB01 DA01 DB03 EB00 GA02 GA04 5C080 AA06 BB05 CC03 DD29 EE30 FF12 JJ01 JJ02 JJ05 JJ06

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 赤色に発光する有機材料層を含む有機エ
    レクトロルミネッセンス素子の駆動方法であって、 前記有機エレクトロルミネッセンス素子の電極間にデュ
    ーティ比が10%以下のパルス電圧を印加するととも
    に、前記有機エレクトロルミネッセンス素子に流れる平
    均駆動電流を3mA/cm2 以下に設定することを特徴
    とする有機エレクトロルミネッセンス素子の駆動方法。
  2. 【請求項2】 前記有機材料層は、赤色発光ドーパント
    がドープされたアルミキノリノール錯体を含むことを特
    徴とする請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス
    素子の駆動方法。
  3. 【請求項3】 赤色に発光する有機材料層を含む有機エ
    レクトロルミネッセンス素子を駆動する駆動装置であっ
    て、 前記有機エレクトロルミネッセンス素子の電極間にデュ
    ーティ比が10%以下のパルス電圧を印加するパルス電
    圧印加回路を備え、 前記有機エレクトロルミネッセンス素子に流れる平均駆
    動電流が3mA/cm 2 以下に設定されたことを特徴と
    する有機エレクトロルミネッセンス素子の駆動装置。
  4. 【請求項4】 赤色に発光する有機材料層を含む赤色発
    光の有機エレクトロルミネッセンス素子、緑色に発光す
    る有機材料層を含む緑色発光の有機エレクトロルミネッ
    センス素子および青色に発光する有機材料層を含む青色
    発光の有機エレクトロルミネッセンス素子からなる1組
    または複数組の有機エレクトロルミネッセンス素子群
    と、 各有機エレクトロルミネッセンス素子群の各有機エレク
    トロルミネッセンス素子の電極間にパルス電圧を印加す
    る駆動装置とを備え、 少なくとも赤色発光の有機エレクトロルミネッセンス素
    子の電極間に印加されるパルス電圧のデューティ比が1
    0%以下に設定されるとともに、前記赤色発光の有機エ
    レクトロルミネッセンス素子に流れる平均駆動電流が3
    mA/cm2 以下に設定されたことを特徴とする表示装
    置。
  5. 【請求項5】 前記駆動装置は単純マトリックス方式の
    駆動装置であることを特徴とする請求項4記載の表示装
    置。
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