JP2002097139A - オキシイミノアルカン酸誘導体の結晶を含有する医薬 - Google Patents

オキシイミノアルカン酸誘導体の結晶を含有する医薬

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JP2002097139A
JP2002097139A JP2001249536A JP2001249536A JP2002097139A JP 2002097139 A JP2002097139 A JP 2002097139A JP 2001249536 A JP2001249536 A JP 2001249536A JP 2001249536 A JP2001249536 A JP 2001249536A JP 2002097139 A JP2002097139 A JP 2002097139A
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sodium
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Yu Momose
百瀬  祐
Hiroshi Imoto
広士 井元
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Takeda Pharmaceutical Co Ltd
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Takeda Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた抗糖尿病作用を有するオキシイミノア
ルカン酸誘導体の結晶を含有する医薬の提供。 【解決手段】 (E)−4−[4−(5−メチル−2−
フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)ベンジルオキシ
イミノ]−4−フェニル酪酸の結晶(ただし、126−
127℃の融点を有する結晶を除く)と糖尿病治療剤と
を組み合わせてなる医薬。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗糖尿病作用を有
するオキシイミノアルカン酸誘導体の結晶、その結晶を
含有してなる医薬組成物およびレチノイド関連受容体機
能調節剤等に関する。
【0002】
【従来の技術】多くの有機化合物において、組成が同一
であっても結晶形が異なる、いわゆる結晶多形が存在す
ることが知られている。結晶多形においては、融点、溶
解度、安定性などの物理化学的性質、あるいは体内動態
(吸収性、分布、代謝、排泄)、薬効発現などの生物学
的性質が異なる場合があるが、化合物の構造からそれら
を予測することは不可能である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】医薬産業上、吸収性が
良く、安定な結晶などの医薬としての性質が優れた結晶
が望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
した結果、安定な(E)−4−[4−(5−メチル−2
−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)ベンジルオキ
シイミノ]−4−フェニル酪酸(以下、化合物Aと略記
することもある)の結晶を得ることに成功し、該結晶が
医薬として優れた性質(最終医薬および原薬としての優
れた性質)を有していることを初めて見出した。本発明
者らは、これらの知見に基づいて、本発明を完成した。
即ち、本発明は、 (1)(E)−4−[4−(5−メチル−2−フェニル
−4−オキサゾリルメトキシ)ベンジルオキシイミノ]
−4−フェニル酪酸の結晶(ただし、126−127℃
の融点を有する結晶を除く); (2)約136℃〜約139℃の融点を有する前記
(1)記載の結晶; (3)粉末X線結晶回折により、面間隔(d値)約1
7.5、約6.0オングストロームに特徴的ピークを有
する回折パターンを示す(E)−4−[4−(5−メチ
ル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)ベンジ
ルオキシイミノ]−4−フェニル酪酸の結晶; (4)前記(1)または(3)のいずれかに記載の結晶
を含有してなる医薬組成物; (5)糖尿病の予防・治療剤である前記(4)記載の医
薬組成物; (6)高脂血症の予防・治療剤である前記(4)記載の
医薬組成物; (7)耐糖能不全の予防・治療剤である前記(4)記載
の医薬組成物; (8)炎症性疾患の予防・治療剤である前記(4)記載
の医薬組成物; (9)動脈硬化症の予防・治療剤である前記(4)記載
の医薬組成物; (10)前記(1)または(3)のいずれかに記載の結
晶を含有してなるレチノイド関連受容体機能調節剤; (11)ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンド
である前記(10)記載の剤; (12)レチノイドX受容体リガンドである前記(1
0)記載の剤; (13)インスリン感受性増強剤である前記(4)記載
の医薬組成物; (14)インスリン抵抗性改善剤である前記(4)記載
の医薬組成物;などに関する。
【0005】(1)製造法 (E)−4−[4−(5−メチル−2−フェニル−4−
オキサゾリルメトキシ)ベンジルオキシイミノ]−4−
フェニル酪酸の結晶(ただし、126−127℃の融点
を有する結晶を除く)(以下、「本発明の結晶」と略記
することもある)は、化合物Aに自体公知の結晶化法を
適用して、結晶化することによって製造することができ
る。そのような結晶化の方法としては、例えば、溶液か
らの結晶化、蒸気からの結晶化、溶融体からの結晶化が
挙げられる。該「溶液からの結晶化」の方法としては、
例えば濃縮法、除冷法、反応法(拡散法、電解法)、水
熱育成法、融剤法などが挙げられる。用いられる溶媒と
しては、例えば、芳香族炭化水素類(例、ベンゼン、ト
ルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素類(例、ジ
クロロメタン、クロロホルム等)、飽和炭化水素類
(例、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等)、エー
テル類(例、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテ
ル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、ニトリル類
(例、アセトニトリル等)、ケトン類(例、アセトン
等)、スルホキシド類(例、ジメチルスルホキシド
等)、酸アミド類(例、N,N−ジメチルホルムアミド
等)、エステル類(例、酢酸エチル等)、アルコール類
(例、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコー
ル等)、水などが用いられる。これらの溶媒は単独ある
いは二種以上を適当な割合(例、1:1ないし1:10
0(容積比))で混合して用いられる。該「蒸気からの
結晶化」の方法としては、例えば気化法(封管法、気流
法)、気相反応法、化学輸送法などが挙げられる。該
「溶融体からの結晶化」の方法としては、例えばノルマ
ルフリージング法(引上げ法、温度傾斜法、ブリッジマ
ン法)、帯溶融法(ゾーンレベリング法、フロートゾー
ン法)、特殊成長法(VLS法、液相エピタキシー法)
などが挙げられる。例えば、結晶化は、化合物Aを20
〜120℃の温度下に、適当な溶媒(例、メタノール、
エタノールなどのアルコール類など)に溶解し、得られ
る溶液を溶解時の温度以下(例えば0〜50℃、好まし
くは0〜20℃)に冷却することによって行われる。こ
のようにして得られる結晶は、例えばろ過などによって
単離することができる。得られた結晶の解析方法として
は、X線回折による結晶解析の方法が一般的である。さ
らに、結晶の方位を決定する方法としては、機械的な方
法または光学的な方法なども挙げられる。
【0006】化合物Aは、自体公知の方法、例えば特開
2000−34266(特願平11−130543号、
WO99/58510)の明細書に記載された以下に示
す方法あるいはこれに準ずる方法により製造することが
できる。なお、化合物Aは、R1がヒドロキシ基である
化合物(III)および化合物(III')と同一である。
【0007】
【化1】
【0008】[式中、Zはヒドロキシ基、ハロゲン原子
またはOSO23(R3は炭素数1〜4のアルキル基、
炭素数1〜4のアルキル基で置換されていてもよい炭素
数6〜10のアリール基を示す。)で表される基を、R
1はヒドロキシ基または−OR2( R2は置換されていて
もよい炭化水素基を示す。)を示す。]
【0009】ここで、R3で示される「炭素数1〜4の
アルキル基」および「炭素数1〜4のアルキル基で置換
されていてもよい炭素数6〜10のアリール基」におけ
る炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチ
ル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、se
c.-ブチル、t.-ブチルが挙げられ、なかでもメチルが好
ましい。また、R3で示される「炭素数1〜4のアルキ
ル基で置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール
基」における炭素数6〜10のアリール基としては、フ
ェニル、ナフチルが挙げられ、なかでもフェニルが好ま
しい。
【0010】R2で示される「置換されていてもよい炭
化水素基」における炭化水素基としては、脂肪族炭化水
素基、脂環族炭化水素基、芳香脂肪族炭化水素基、芳香
族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基として
は、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基が好ましい。該脂
肪族炭化水素基としては、例えばメチル、エチル、プロ
ピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec.-ブチ
ル、t.-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチ
ル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、オクチルなど
炭素数1〜8の飽和脂肪族炭化水素基(例、アルキル基
など);例えばエテニル、1−プロペニル、2−プロペ
ニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2
−メチル−1−プロペニル、1−ペンテニル、2−ペン
テニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、3−メチル
ー2−ブテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、
2,4−ヘキサジエニル、5−ヘキセニル、1−ヘプテ
ニル、1−オクテニル、エチニル、1−プロピニル、2
−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチ
ニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニ
ル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、3−ヘキシニ
ル、2,4−ヘキサジイニル、5−ヘキシニル、1−ヘ
プチニル、1−オクチニルなど炭素数2〜8の不飽和脂
肪族炭化水素基(例、炭素数2〜8のアルケニル基、炭
素数4〜8のアルカジエニル基、炭素数2〜8のアルケ
ニルアルキニル基、炭素数4〜8のアルカジイニル基
等)が挙げられる。脂環族炭化水素基としては、炭素数
3〜7の脂環族炭化水素基が好ましい。該脂環族炭化水
素基としては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、
シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなど
炭素数3〜7の飽和脂環族炭化水素基(例、シクロアル
キル基等);例えば1−シクロペンテニル、2−シクロ
ペンテニル、3−シクロペンテニル、1−シクロヘキセ
ニル、2−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、
1−シクロヘプテニル、2−シクロヘプテニル、3−シ
クロヘプテニル、2,4−シクロヘプタジエニルなど炭
素数5〜7の不飽和脂環族炭化水素基(例、シクロアル
ケニル基、シクロアルカジエニル基等)が挙げられる。
芳香脂肪族炭化水素基としては、炭素数7〜13の芳香
脂肪族炭化水素基(例、炭素数7〜13のアラルキル
基、炭素数8〜13のアリールアルケニル基等)が好ま
しい。該芳香脂肪族炭化水素基としては、例えばベンジ
ル、フェネチル、1−フェニルエチル、1−フェニルプ
ロピル、2−フェニルプロピル、3−フェニルプロピル
など炭素数7〜9のフェニルアルキル;α−ナフチルメ
チル、α−ナフチルエチル、β−ナフチルメチル、β−
ナフチルエチルなど炭素数11〜13のナフチルアルキ
ル;スチリルなど炭素数8〜10のフェニルアルケニ
ル;2−(2−ナフチルビニル)など炭素数12〜13
のナフチルアルケニルなどが挙げられる。芳香族炭化水
素基としては、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基
(例、アリール基等)が好ましい。該芳香族炭化水素基
としては、例えばフェニル、ナフチル、アントリル、フ
ェナントリル、アセナフチレニル、ビフェニリルなどが
挙げられ、なかでもフェニル、1−ナフチル、2−ナフ
チルなどが好ましい。R2は、好ましくは、それぞれ置
換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、炭素数
8〜10のフェニルアルケニル基、炭素数6〜14のア
リール基である。R2で示される炭化水素基は、置換可
能な位置に1〜5個、好ましくは1〜3個置換基を有し
ていてもよい。該置換基としては、ハロゲン原子(例、
フッ素、塩素、臭素、ヨウ素など)、炭素数1〜4のア
ルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イ
ソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec.−ブトキ
シ、t.−ブトキシなど)、炭素数6〜14のアリール
オキシ基(例、フェノキシ、ナフチルオキシなど)およ
び芳香族複素環基(例、フリル、チエニル)などが挙げ
られる。
【0011】本法では、化合物(I)と化合物(II)と
の反応により化合物(III)を製造する。Zがヒドロキ
シ基の場合、本反応は、自体公知の方法、例えば、シン
セシス(Synthesis) 1頁 (1981年)に記載の方
法、あるいはそれに準じた方法により行われる。すなわ
ち、本反応は、通常、有機リン化合物および親電子剤の
存在下、反応に悪影響を及ぼさない溶媒中で行われる。
有機リン化合物としては、例えばトリフェニルホスフィ
ン、トリブチルホスフィンなどが挙げられる。親電子剤
としては、例えばアゾジカルボン酸ジエチル、アゾジカ
ルボン酸ジイソプロピル、アゾジカルボニルジピペラジ
ンなどが挙げられる。有機リン化合物および親電子剤の
使用量は、化合物(II)に対し、好ましくは1〜5モル当
量である。反応に悪影響を及ぼさない溶媒としては、例
えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ンなどのエーテル類;クロロホルム、ジクロロメタンな
どのハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシ
レンなどの芳香族炭化水素類;N,N−ジメチルホルム
アミドなどのアミド類;ジメチルスルホキシドなどのス
ルホキシド類などが挙げられる。これらの溶媒は、適宜
の割合で混合して用いてもよい。反応温度は、通常、−
50〜150℃、好ましくは−10〜100℃である。
反応時間は、0.5〜20時間である。
【0012】Zがハロゲン原子またはOSO23で表さ
れる基の場合、本反応は、常法に従い、塩基の存在下、
反応に悪影響を及ぼさない溶媒中で行われる。塩基とし
ては、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸
水素ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属塩;
ピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリ
ン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−
7−エンなどのアミン類;水素化カリウム、水素化ナト
リウムなどの金属水素化物;ナトリウムメトキシド、ナ
トリウムエトキシド、カリウム t.-ブトキシドなどのア
ルカリ金属アルコキシドが挙げられる。これら塩基の使
用量は、化合物(II)に対し、好ましくは1〜5モル当量
である。反応に悪影響を及ぼさない溶媒としては、例え
ばベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素
類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル
類;アセトン、2−ブタノンなどのケトン類;クロロホ
ルム、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素類;
N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類;ジメチ
ルスルホキシドなどのスルホキシド類などが挙げられ
る。これらの溶媒は、適宜の割合で混合して用いてもよ
い。反応温度は、通常、−50〜150℃、好ましくは
−10〜100℃である。反応時間は、通常、0.5〜
20時間である。
【0013】ついで、所望により、化合物(III、R1
−OR2)を加水分解反応に付すことにより、化合物(I
II')を製造する。本加水分解反応は、常法に従い、酸
または塩基の存在下、含水溶媒中で行われる。酸として
は、例えば塩酸、硫酸、酢酸、臭化水素酸などが挙げら
れる。塩基としては、例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリ
ウムなどのアルカリ金属炭酸塩;ナトリウムメトキシド
などのアルカリ金属アルコキシド;水酸化カリウム、水
酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの水酸化アルカリ
金属などが挙げられる。酸または塩基の使用量は、通
常、化合物(III)に対して過剰量である。好ましく
は、酸の使用量は、化合物(III)に対し、2〜50当
量、塩基の使用量は、化合物(III)に対し、1.2〜
5当量である。含水溶媒としては、例えばメタノール、
エタノールなどのアルコール類;テトラヒドロフラン、
ジオキサンなどのエーテル類;ジメチルスルホキシドお
よびアセトンなどから選ばれる1種以上の溶媒と水との
混合溶媒などが挙げられる。反応温度は、通常、−20
〜150℃、好ましくは−10〜100℃である。反応
時間は、通常、0.1〜20時間である。このようにし
て得られる化合物(III)および(III')は,公知の分
離精製手段、例えば濃縮、減圧濃縮、溶媒抽出、クロマ
トグラフィーなどにより単離精製することができる。
【0014】なお、上記方法で原料化合物として用いら
れる化合物(I)および化合物(II)は、公知化合物で
あり、例えばZがヒドロキシ基である化合物(I)は、
EP−A 710659に記載されている。また、化合
物(I)は、EP−A 629624(特開平7−53
555)、WO 98/03505等に記載されてい
る。さらに、化合物(I)は、これらの公報に記載され
た方法に準ずる方法によって製造することもできる。一
方、化合物(II)は、例えばヨールナル フィア プラ
クティシェ ヘミー(Journal fur Praktische Chemi
e)、311巻、370頁(1969年);カナディア
ン ジャーナル オブ ケミストリー(Canadian Journ
al of Chemistry)、48巻、1948頁(1970
年);ジャーナル オブ ヘテロサイクリック ケミス
トリー(Journal of Heterocyclic Chemistry)、25
巻、1283頁(1988年)等に記載されている。ま
た、化合物(II)は、これらの文献に記載された方法に
準ずる方法によって製造することもできる。
【0015】(2)塩 化合物Aは塩を形成していてもよい。このような塩とし
ては、薬理学的に許容される塩が好ましく、例えば無機
塩基との塩、有機塩基との塩などが挙げられる。無機塩
基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カ
リウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネ
シウム塩などのアルカリ土類金属塩;ならびにアルミニ
ウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。有機塩基と
の塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、ト
リエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミ
ン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシ
クロヘキシルアミン、N,N−ジベンジルエチレンジア
ミンなどとの塩が挙げられる。
【0016】(3)結晶の性質 本発明の結晶としては、化合物Aの結晶であって、12
6−127℃の融点を有する結晶でなければ特に限定さ
れないが、とりわけ130℃以上、好ましくは約136
℃〜約139℃の融点を有する結晶が好ましい。また、
本発明の結晶としては、例えば粉末X線結晶回折によ
り、面間隔(d値)約17.5、約6.0オングストロ
ーム(好ましくは、約17.5、約8.91、約7.8
1、約5.98、約4.65、約4.29、約4.0
9、約3.54オングストローム)に特徴的ピークを有
する回折パターンを示す結晶も挙げられる。本発明の結
晶は、好ましくは、約136℃〜約139℃の融点を有
し、面間隔(d値)約17.5、約6.0オングストロ
ーム(好ましくは、約17.5、約8.91、約7.8
1、約5.98、約4.65、約4.29、約4.0
9、約3.54オングストローム)に特徴的ピークを有
する回折パターンを示す結晶である。本明細書中、融点
は、例えば微量融点測定器(ヤナコ、MP−500D
型)を用いて測定される融点を意味する。また、本明細
書中、粉末X線回折による特徴的ピークは、例えば線源
としてCu−Kα1線(管電圧:40KV;管電流:4
0mA)を用い、RINT1100型(理学電気)を用
いて測定されるピークを意味する。一般に、融点および
粉末X線回折による特徴的ピークは、測定機器、測定条
件などによって変動する場合がある。本発明の結晶は、
通常の誤差範囲内であれば、上記した融点または粉末X
線回折による特徴的ピークと異なる値を示す結晶であっ
てもよい。本発明の結晶は、物理化学的性質(例、融
点、溶解度、安定性など)および生物学的性質(例、体
内動態(吸収性、分布、代謝、排泄)、薬効発現など)
に優れ、医薬として極めて有用である。
【0017】(4)処方 本発明の結晶は、毒性が低く、そのまま、または薬理学
的に許容し得る担体などと混合して医薬組成物とするこ
とにより、哺乳動物(例、ヒト、マウス、ラット、ウサ
ギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、サル等)に対し
て、後述する各種疾患の予防・治療剤として用いること
ができる。
【0018】ここにおいて、薬理学的に許容される担体
としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機
担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、滑沢
剤、結合剤、崩壊剤;液状製剤における溶剤、溶解補助
剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤などとして
配合される。また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着
色剤、甘味剤などの製剤添加物を用いることもできる。
賦形剤の好適な例としては、例えば乳糖、白糖、D−マ
ンニトール、D−ソルビトール、デンプン、α化デンプ
ン、デキストリン、結晶セルロース、低置換度ヒドロキ
シプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナ
トリウム、アラビアゴム、デキストリン、プルラン、軽
質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸ア
ルミン酸マグネシウムなどが挙げられる。滑沢剤の好適
な例としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステ
アリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカなどが挙
げられる。結合剤の好適な例としては、例えばα化デン
プン、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム、メチルセルロ
ース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチル
セルロースナトリウム、結晶セルロース、白糖、D−マ
ンニトール、トレハロース、デキストリン、プルラン、
ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメ
チルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられ
る。崩壊剤の好適な例としては、例えば乳糖、白糖、デ
ンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチ
ルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウ
ム、カルボキシメチルスターチナトリウム、軽質無水ケ
イ酸、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙
げられる。
【0019】溶剤の好適な例としては、例えば注射用
水、生理的食塩水、リンゲル液、アルコール、プロピレ
ングリコール、ポリエチレングリコール、ゴマ油、トウ
モロコシ油、オリーブ油、綿実油などが挙げられる。溶
解補助剤の好適な例としては、例えばポリエチレングリ
コール、プロピレングリコール、D−マンニトール、ト
レハロース、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスア
ミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、
炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、サリチル酸ナト
リウム、酢酸ナトリウムなどが挙げられる。懸濁化剤の
好適な例としては、例えばステアリルトリエタノールア
ミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピ
オン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼ
トニウム、モノステアリン酸グリセリンなどの界面活性
剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリド
ン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセ
ルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエ
チルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの
親水性高分子;ポリソルベート類、ポリオキシエチレン
硬化ヒマシ油などが挙げられる。等張化剤の好適な例と
しては、例えば塩化ナトリウム、グリセリン、D−マン
ニトール、D−ソルビトール、ブドウ糖などが挙げられ
る。緩衝剤の好適な例としては、例えばリン酸塩、酢酸
塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液などが挙げられ
る。無痛化剤の好適な例としては、例えばベンジルアル
コールなどが挙げられる。
【0020】防腐剤の好適な例としては、例えばパラオ
キシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジル
アルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソ
ルビン酸などが挙げられる。抗酸化剤の好適な例として
は、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸塩などが挙げられ
る。着色剤の好適な例としては、例えば水溶性食用ター
ル色素(例、食用赤色2号および3号、食用黄色4号お
よび5号、食用青色1号および2号などの食用色素、水
不溶性レーキ色素(例、前記水溶性食用タール色素のア
ルミニウム塩など)、天然色素(例、β−カロチン、ク
ロロフィル、ベンガラなど)などが挙げられる。甘味剤
の好適な例としては、例えばサッカリンナトリウム、グ
リチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビアな
どが挙げられる。
【0021】(5)投与形態 医薬組成物の剤形としては、例えば錠剤、カプセル剤
(ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)、顆粒
剤、散剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤などの経口剤;お
よび注射剤(例、皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注
射剤、腹腔内注射剤など)、外用剤(例、経鼻投与製
剤、経皮製剤、軟膏剤など)、坐剤(例、直腸坐剤、膣
坐剤など)、ペレット、点滴剤、徐放性製剤等の非経口
剤が挙げられ、これらはそれぞれ経口的あるいは非経口
的に安全に投与できる。医薬組成物は、製剤技術分野に
おいて慣用の方法、例えば日本薬局方に記載の方法等に
より製造することができる。以下に、製剤の具体的な製
造法について詳述する。
【0022】例えば、経口剤は、有効成分に、例えば賦
形剤(例、乳糖,白糖,デンプン,D−マンニトールな
ど)、崩壊剤(例、カルボキシメチルセルロースカルシ
ウムなど)、結合剤(例、α化デンプン,アラビアゴ
ム,カルボキシメチルセルロース,ヒドロキシプロピル
セルロース,ポリビニルピロリドンなど)または滑沢剤
(例、タルク,ステアリン酸マグネシウム,ポリエチレ
ングリコール6000など)などを添加して圧縮成形
し、次いで必要により、味のマスキング、腸溶性あるい
は持続性を目的として、コーティング基剤を用いて自体
公知の方法でコーティングすることにより製造される。
該コーティング基剤としては、例えば糖衣基剤、水溶性
フィルムコーティング基剤、腸溶性フィルムコーティン
グ基剤、徐放性フィルムコーティング基剤などが挙げら
れる。糖衣基剤としては、白糖が用いられ、さらに、タ
ルク、沈降炭酸カルシウム、ゼラチン、アラビアゴム、
プルラン、カルナバロウなどから選ばれる1種または2
種以上を併用してもよい。水溶性フィルムコーティング
基剤としては、例えばヒドロキシプロピルセルロース、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチ
ルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロースなど
のセルロース系高分子;ポリビニルアセタールジエチル
アミノアセテート、アミノアルキルメタアクリレートコ
ポリマーE〔オイドラギットE(商品名)、ロームファ
ルマ社〕、ポリビニルピロリドンなどの合成高分子;プ
ルランなどの多糖類などが挙げられる。
【0023】腸溶性フィルムコーティング基剤として
は、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース フタ
レート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース アセテ
ートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロー
ス、酢酸フタル酸セルロースなどのセルロース系高分
子;メタアクリル酸コポリマーL〔オイドラギットL
(商品名)、ロームファルマ社〕、メタアクリル酸コポ
リマーLD〔オイドラギットL−30D55(商品
名)、ロームファルマ社〕、メタアクリル酸コポリマー
S〔オイドラギットS(商品名)、ロームファルマ社〕
などのアクリル酸系高分子;セラックなどの天然物など
が挙げられる。徐放性フィルムコーティング基剤として
は、例えばエチルセルロースなどのセルロース系高分
子;アミノアルキルメタアクリレートコポリマーRS
〔オイドラギットRS(商品名)、ロームファルマ
社〕、アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル共重合
体懸濁液〔オイドラギットNE(商品名)、ロームファ
ルマ社〕などのアクリル酸系高分子などが挙げられる。
上記したコーティング基剤は、その2種以上を適宜の割
合で混合して用いてもよい。また、コーティングの際
に、例えば酸化チタン、三二酸化鉄等のような遮光剤を
用いてもよい。
【0024】注射剤は、有効成分を分散剤(例、ポリソ
ルベート80,ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60な
ど),ポリエチレングリコール,カルボキシメチルセル
ロース,アルギン酸ナトリウムなど)、保存剤(例、メ
チルパラベン,プロピルパラベン,ベンジルアルコー
ル,クロロブタノール,フェノールなど)、等張化剤
(例、塩化ナトリウム,グリセリン,D−マンニトー
ル,D−ソルビトール,ブドウ糖など)などと共に水性
溶剤(例、蒸留水,生理的食塩水,リンゲル液等)ある
いは油性溶剤(例、オリーブ油,ゴマ油,綿実油,トウ
モロコシ油などの植物油、プロピレングリコール等)な
どに溶解、懸濁あるいは乳化することにより製造され
る。この際、所望により溶解補助剤(例、サリチル酸ナ
トリウム,酢酸ナトリウム等)、安定剤(例、ヒト血清
アルブミン等)、無痛化剤(例、ベンジルアルコール
等)等の添加物を用いてもよい。
【0025】(6)組成物、剤 本発明の他の観点は、本発明の結晶を含有する医薬組成
物である。特に、この医薬組成物は糖尿病、高脂血症、
耐糖能不全、炎症性疾患、動脈硬化症などの予防・治療
に使用できる。本発明の結晶は、インスリン感受性増強
剤、インスリン抵抗性改善剤、レチノイド関連受容体機
能調節剤、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガン
ド、レチノイドX受容体リガンドなどとして使用でき
る。ここでいう機能調節剤とは、アゴニストおよびアン
タゴニストの両方を意味し、好ましくはアゴニストであ
る。該機能調節剤とは、部分アゴニスト(パーシャルア
ゴニスト)または部分アンタゴニスト(パーシャルアン
タゴニスト)であってもよい。本発明の結晶は、血糖低
下作用、血中脂質低下作用、血中インスリン低下作用、
インスリン感受性増強作用、インスリン抵抗性改善作用
およびレチノイド関連受容体機能調節活性を有する。こ
こで、レチノイド関連受容体とは、核内レセプターに含
まれ、脂溶性ビタミンなどのシグナル分子をリガンドと
するDNA結合性の転写因子であり、これらは単量体型
受容体、ホモ二量体型受容体およびヘテロ二量体型受容
体のいずれであってもよい。ここで、単量体型受容体と
しては、例えばレチノイドO受容体(以下、RORと略
記することがある)α(GenBank Accession No. L1461
1)、RORβ(GenBank Accession No. L14160)、R
ORγ(GenBank Accession No. U16997);Rev−e
rb α(GenBank Accession No. M24898)、Rev−
erb β(GenBank Accession No. L31785);ERR
α(GenBank Accession No. X51416)、ERRβ(GenB
ank Accession No. X51417);Ftz−FI α(GenB
ank Accession No. S65876)、Ftz−FI β(GenB
ank Accession No. M81385);TIx(GenBank Access
ion No. S77482);GCNF(GenBank Accession No.
U14666)などが挙げられる。ホモ二量体型受容体として
は、例えばレチノイドX受容体(以下、RXRと略記す
ることがある)α(GenBank Accession No. X52773)、
RXRβ(GenBankAccession No. M84820)、RXRγ
(GenBank Accession No. U38480);COUPα(GenB
ank Accession No. X12795)、COUPβ(GenBank Ac
cession No.M64497)、COUPγ(GenBank Accession
No. X12794);TR2α(GenBankAccession No. M299
60)、TR2β(GenBank Accession No. L27586);ま
たはHNF4α(GenBank Accession No. X76930)、H
NF4γ(GenBank Accession No. Z49826)などが形成
するホモ二量体が挙げられる。
【0026】ヘテロ二量体型受容体としては、例えば上
記したレチノイドX受容体(RXRα、RXRβまたは
RXRγ)と、レチノイドA受容体(以下、RARと略
記することがある)α(GenBank Accession No. X0661
4)、RARβ(GenBank Accession No. Y00291)、R
ARγ(GenBank Accession No. M24857);甲状腺ホル
モン受容体(以下、TRと略記することがある)α(Ge
nBank Accession No. M24748)、TRβ(GenBank Acce
ssion No. M26747);ビタミンD受容体(VDR)(Ge
nBank Accession No. JO3258);ペルオキシソーム増殖
剤応答性受容体(以下、PPARと略記することがあ
る)α(GenBank Accession No. L02932)、PPARβ
(PPARδ)(GenBank Accession No. U10375)、P
PARγ(GenBank Accession No. L40904);LXRα
(GenBank Accession No. U22662)、LXRβ(GenBan
k Accession No. U14534);FXR(GenBank Accessio
n No.U18374);MB67(GenBank Accession No. L29
263);ONR(GenBank Accession No. X75163);お
よびNURα(GenBank Accession No. L13740)、NU
Rβ(GenBank Accession No. X75918)、NURγ(Ge
nBank Accession No. U12767)から選ばれる1種の受容
体とが形成するヘテロ二量体が挙げられる。
【0027】本発明の結晶は、上記したレチノイド関連
受容体の中でも、とりわけレチノイドX受容体(RXR
α、RXRβ、RXRγ)およびペルオキシソーム増殖
剤応答性受容体(PPARα、PPARβ(PPAR
δ)、PPARγ)に対して優れたリガンド活性を有す
る。さらに、本発明の結晶は、レチノイドX受容体とペ
ルオキシソーム増殖剤応答性受容体とが形成するヘテロ
二量体型受容体、好ましくはRXRαとPPARγとが
形成するヘテロ二量体型受容体におけるペルオキシソー
ム増殖剤応答性受容体に対して優れたリガンド活性を有
する。よって、本発明のレチノイド関連受容体リガンド
は、ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体リガンドまた
はレチノイドX受容体リガンドとして好適に用いられ
る。
【0028】(7)治療される病気 本発明の結晶および本発明の医薬組成物は、例えば糖尿
病(例、インスリン依存型(1型)糖尿病、インスリン
非依存型(2型)糖尿病、妊娠糖尿病等)の予防・治療
剤;高脂血症(例、高トリグリセライド血症、高コレス
テロール血症、低HDL血症、食後高脂血症等)の予防
・治療剤;インスリン感受性増強剤;インスリン抵抗性
改善剤;耐糖能不全(IGT)の予防・治療剤;および
耐糖能不全から糖尿病への移行抑制剤として用いること
ができる。また、本発明の結晶および本発明の医薬組成
物は、例えば糖尿病性合併症[例、神経障害、腎症、網
膜症、白内障、大血管障害、骨減少症、糖尿病性高浸透
圧昏睡、感染症(例、呼吸器感染症、尿路感染症、消化
器感染症、皮膚軟部組織感染症、下肢感染症等)、糖尿
病性壊疽、口腔乾燥症、聴覚の低下、脳血管障害、末梢
血行障害等]、肥満、骨粗鬆症、悪液質(例、癌性悪液
質、結核性悪液質、糖尿病性悪液質、血液疾患性悪液
質、内分泌疾患性悪液質、感染症性悪液質または後天性
免疫不全症候群による悪液質)、脂肪肝、高血圧、多嚢
胞性卵巣症候群、腎臓疾患(例、糖尿病性ネフロパシ
ー、糸球体腎炎、糸球体硬化症、ネフローゼ症候群、高
血圧性腎硬化症、末期腎臓疾患等)、筋ジストロフィ
ー、心筋梗塞、狭心症、脳血管障害(例、脳梗塞、脳卒
中)、インスリン抵抗性症候群、シンドロームX、高イ
ンスリン血症、高インスリン血症における知覚障害、腫
瘍(例、白血病、乳癌、前立腺癌、皮膚癌等)、過敏性
腸症候群、急性または慢性下痢、炎症性疾患(例、慢性
関節リウマチ、変形性脊椎炎、変形性関節炎、腰痛、痛
風、手術外傷後の炎症、腫脹の緩解、神経痛、咽喉頭
炎、膀胱炎、肝炎(非アルコール性脂肪性肝炎などの脂
肪性肝炎を含む)、肺炎、膵炎、炎症性大腸疾患、潰瘍
性大腸炎等)、動脈硬化症(例、アテローム性動脈硬化
症等)、内臓肥満症候群などの予防・治療剤としても用
いることができる。また、本発明の結晶および本発明の
医薬組成物は、消化性潰瘍、急性または慢性胃炎、胆道
ジスキネジアー、胆のう炎等に伴う腹痛、悪心、嘔吐、
上腹部不快感などの症状の改善などにも用いることがで
きる。さらに、本発明の結晶および本発明の医薬組成物
は、食欲および食物摂取を調整(亢進または抑制)する
ため、例えば痩身、虚食症の治療剤(痩身または虚食症
の投与対象における体重増加)または肥満の治療剤とし
て用いることができる。
【0029】本発明の結晶および本発明の医薬組成物
は、TNF−αが関与する炎症性疾患の予防・治療薬と
しても用いられる。ここで、TNF−αが関与する炎症
性疾患とは、TNF−αの存在により発症し、TNF−
α抑制効果を介して治療され得る炎症性疾患である。こ
のような炎症性疾患としては、例えば糖尿病性合併症
(例、網膜症、腎症、神経障害、大血管障害など)、慢
性関節リウマチ、変形性脊椎症、変形性関節炎、腰痛、
痛風、手術・外傷後の炎症、腫脹の緩解、神経痛、咽喉
頭炎、膀胱炎、肝炎、肺炎、胃粘膜損傷(アスピリンに
より引き起こされた胃粘膜損傷を含む)などが挙げられ
る。本発明の結晶および本発明の医薬組成物は、アポト
ーシス抑制作用を有し、アポトーシスの促進が関わる疾
患の予防・治療薬としても用いられる。ここで、アポト
ーシスの促進が関わる疾患疾患としては、例えばウイル
ス疾患(例、エイズ、劇症肝炎など)、神経変性疾患
(例、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側
索硬化症、色素性網膜炎、小脳変性など)、脊髄異形成
疾患(例、再生不良性貧血など)、虚血性疾患(例、心
筋梗塞、脳卒中など)、肝疾患(例、アルコール性肝
炎、B型肝炎、C型肝炎など)、関節疾患(例、変形性
関節症など)、アテローム性動脈硬化症などが挙げられ
る。本発明の結晶および本発明の医薬組成物は、内臓脂
肪の減少、内臓脂肪蓄積の抑制、糖代謝改善、脂質代謝
改善、インスリン抵抗性改善、酸化LDL産生抑制、リ
ポタンパク代謝改善、冠動脈代謝改善、心血管合併症の
予防・治療、心不全合併症の予防・治療、血中レムナン
ト低下、無排卵症の予防・治療、多毛症の予防・治療、
高アンドロゲン血症の予防・治療などにも用いられる。
本発明の結晶および本発明の医薬組成物は、上記した各
種疾患(例、心筋梗塞などの心血管イベント)の2次予
防および進展抑制にも用いられる。本発明の結晶および
本発明の医薬組成物は、ミダゾラム、ケトコナゾールな
どと組み合わせて用いることもできる。
【0030】本発明の結晶および本発明の医薬組成物の
投与量は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状など
によっても異なるが、例えば成人に経口投与する場合、
有効成分である本発明の結晶を通常1回量として約0.
05〜100mg/kg体重、好ましくは0.1〜10
mg/kg体重、さらに好ましくは0.2〜4mg/k
g体重であり、この量を1日1回〜3回投与するのが望
ましい。
【0031】(8)剤の組み合せ利用 本発明の結晶は、糖尿病治療剤、糖尿病性合併症治療
剤、抗高脂血症剤、降圧剤、抗肥満剤、利尿剤、化学療
法剤、免疫療法剤、骨粗鬆症治療剤、抗痴呆剤、勃起不
全改善剤、尿失禁・頻尿治療剤などの薬剤(以下、併用
薬剤と略記する)と組み合わせて用いることができる。
この際、本発明の結晶および併用薬剤の投与時期は限定
されず、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよ
いし、時間差をおいて投与してもよい。併用薬剤の投与
量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択
することができる。また、本発明の結晶と併用薬剤の配
合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み
合わせなどにより適宜選択することができる。例えば投
与対象がヒトである場合、本発明の結晶1重量部に対
し、併用薬剤を0.01〜100重量部用いればよい。
【0032】なお、糖尿病治療剤としては、インスリン
製剤(例、ウシ、ブタの膵臓から抽出された動物インス
リン製剤;大腸菌、イーストを用い、遺伝子工学的に合
成したヒトインスリン製剤など)、インスリン感受性増
強剤(例、塩酸ピオグリタゾン、トログリタゾン、ロシ
グリタゾンまたはそのマレイン酸塩、GI−26257
0、JTT−501、MCC−555、YM−440、
KRP−297、FK−614、CS−011等)、α
−グルコシダーゼ阻害剤(例、ボグリボース、アカルボ
ース、ミグリトール、エミグリテート等)、ビグアナイ
ド剤(例、フェンホルミン、メトホルミン、ブホルミン
等)、スルホニルウレア剤(例、トルブタミド、グリベ
ンクラミド、グリクラジド、クロルプロパミド、トラザ
ミド、アセトヘキサミド、グリクロピラミド、グリメピ
リド、グリピザイド、グリブゾール等)やその他のイン
スリン分泌促進剤(例、レパグリニド、セナグリニド、
ナテグリニド、ミチグリニドまたはそのカルシウム塩水
和物、GLP−1等)、アミリンアゴニスト(例、プラ
ムリンチド等)、フォスフォチロシンフォスファターゼ
阻害剤(例、バナジン酸等)、ジペプチジルペプチダー
ゼIV阻害剤(例、NVP−DPP−278、PT−1
00、P32/98等)、β3アゴニスト(例、CL−
316243、SR−58611−A、UL−TG−3
07、AJ−9677、AZ40140等)、糖新生阻
害剤(例、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコ
ース−6−ホスファターゼ阻害剤、グルカゴン拮抗剤
等)、SGLT(sodium-glucose cotransporter)阻
害剤(例、T−1095等)等が挙げられる。糖尿病性
合併症治療剤としては、アルドース還元酵素阻害剤
(例、トルレスタット、エパルレスタット、ゼナレスタ
ット、ゾポルレスタット、ミナルレスタット、フィダレ
スタット、SNK−860、CT−112等)、神経栄
養因子(例、NGF、NT−3、BDNF等)、PKC
阻害剤(例、LY−333531等)、AGE阻害剤
(例、ALT946、ピマゲジン、ピラトキサチン、N
−フェナシルチアゾリウム ブロマイド(ALT76
6)、EXO−226等)、活性酸素消去薬(例、チオ
クト酸等)、脳血管拡張剤(例、チアプリド、メキシレ
チン等)が挙げられる。抗高脂血症剤としては、コレス
テロール合成阻害剤であるスタチン系化合物(例、プラ
バスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバ
スタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、イタバス
タチンまたはそれらの塩(例、ナトリウム塩)等)、ス
クアレン合成酵素阻害剤あるいはトリグリセリド低下作
用を有するフィブラート系化合物(例、ベザフィブラー
ト、クロフィブラート、シンフィブラート、クリノフィ
ブラート等)等が挙げられる。降圧剤としては、アンジ
オテンシン変換酵素阻害剤(例、カプトプリル、エナラ
プリル、デラプリル等)、アンジオテンシンII拮抗剤
(例、ロサルタン、カンデサルタン シレキシチル、エ
プロサルタン、バルサンタン、テルミサルタン、イルベ
サルタン、タソサルタン等)、カルシウム拮抗剤(例、
マニジピン、ニフェジピン、アムロジピン、エホニジピ
ン、ニカルジピン等)、クロニジン等が挙げられる。
【0033】抗肥満剤としては、例えば中枢性抗肥満薬
(例、デキスフェンフルラミン、フェンフルラミン、フ
ェンテルミン、シブトラミン、アンフェプラモン、デキ
サンフェタミン、マジンドール、フェニルプロパノール
アミン、クロベンゾレックス等)、膵リパーゼ阻害薬
(例、オルリスタット等)、β3アゴニスト(例、CL
−316243、SR−58611−A、UL−TG−
307、SB−226552,AJ−9677、BMS
−196085、AZ40140等)、ペプチド性食欲
抑制薬(例、レプチン、CNTF(毛様体神経栄養因
子)等)、コレシストキニンアゴニスト(例、リンチト
リプト、FPL−15849等)等が挙げられる。利尿
剤としては、例えばキサンチン誘導体(例、サリチル酸
ナトリウムテオブロミン、サリチル酸カルシウムテオブ
ロミン等)、チアジド系製剤(例、エチアジド、シクロ
ペンチアジド、トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチ
アジド、ヒドロフルメチアジド、ベンチルヒドロクロロ
チアジド、ペンフルチジド、ポリチアジド、メチクロチ
アジド等)、抗アルドステロン製剤(例、スピロノラク
トン、トリアムテレン等)、炭酸脱水酵素阻害剤(例、
アセタゾラミド等)、クロルベンゼンスルホンアミド系
製剤(例、クロルタリドン、メフルシド、インダパミド
等)、アゾセミド、イソソルビド、エタクリン酸、ピレ
タニド、ブメタニド、フロセミド等が挙げられる。
【0034】化学療法剤としては、例えばアルキル化剤
(例、サイクロフォスファミド、イフォスファミド
等)、代謝拮抗剤(例、メソトレキセート、5−フルオ
ロウラシル等)、抗癌性抗生物質(例、マイトマイシ
ン、アドリアマイシン等)、植物由来抗癌剤(例、ビン
クリスチン、ビンデシン、タキソール等)、シスプラチ
ン、カルボプラチン、エトポキシドなどが挙げられる。
なかでも5−フルオロウラシル誘導体であるフルツロン
あるいはネオフルツロンなどが好ましい。免疫療法剤と
しては、例えば微生物または細菌成分(例、ムラミルジ
ペプチド誘導体、ピシバニール等)、免疫増強活性のあ
る多糖類(例、レンチナン、シゾフィラン、クレスチン
等)、遺伝子工学的手法で得られるサイトカイン(例、
インターフェロン、インターロイキン(IL)等)、コ
ロニー刺激因子(例、顆粒球コロニー刺激因子、エリス
ロポエチン等)などが挙げられ、中でもIL−1、IL
−2、IL−12などが好ましい。骨粗鬆症治療剤とし
ては、例えばアルファカルシドール(alfacalcidol)、
カルシトリオール(calcitriol)、エルカルトニン(el
caltonin)、サケカルシトニン(calcitonin salmo
n)、エストリオール(estriol)、イプリフラボン(ip
riflavone)、パミドロン酸二ナトリウム(pamidronate
disodium)、アレンドロン酸ナトリウム水和物(alen
dronate sodium hydrate)、インカドロン酸二ナトリ
ウム(incadronate disodium)等が挙げられる。抗痴
呆剤としては、例えばタクリン(tacrine)、ドネペジ
ル(donepezil)、リバスチグミン(rivastigmine)、
ガランタミン(galantamine)等が挙げられる。勃起不
全改善剤としては、例えばアポモルフィン(apomorphin
e)、クエン酸シルデナフィル(sildenafil citrate)
等が挙げられる。尿失禁・頻尿治療剤としては、例えば
塩酸フラボキサート(flavoxate hydrochloride)、塩
酸オキシブチニン(oxybutynin hydrochloride)、塩
酸プロピベリン(propiverine hydrochloride)等が挙
げられる。
【0035】さらに、動物モデルや臨床で悪液質改善作
用が認められている薬剤、すなわち、シクロオキシゲナ
ーゼ阻害剤(例、インドメタシン等)〔キャンサー・リ
サーチ(Cancer Reseach)、第49巻、5935〜59
39頁、1989年〕、プロゲステロン誘導体(例、メ
ゲステロールアセテート)〔ジャーナル・オブ・クリニ
カル・オンコロジー(Journal of Clinical Oncolog
y)、第12巻、213〜225頁、1994年〕、糖
質ステロイド(例、デキサメサゾン等)、メトクロプラ
ミド系薬剤、テトラヒドロカンナビノール系薬剤(文献
はいずれも上記と同様)、脂肪代謝改善剤(例、エイコ
サペンタエン酸等)〔ブリティシュ・ジャーナル・オブ
・キャンサー(British Journal of Cancer)、第68
巻、314〜318頁、1993年〕、成長ホルモン、
IGF−1、あるいは悪液質を誘導する因子であるTN
F−α、LIF、IL−6、オンコスタチンMに対する
抗体なども本発明の結晶と併用することができる。
【0036】上記併用薬剤は、2種以上を適宜の割合で
組み合わせて用いてもよい。2種以上の併用薬剤を用い
る場合の好ましい組み合わせしては、例えば以下のもの
が挙げられる。 1)インスリン感受性増強剤、インスリン製剤およびビ
グアナイド剤; 2)インスリン感受性増強剤、インスリン分泌促進剤
(好ましくはスルホニルウレア剤)およびビグアナイド
剤; 3)インスリン感受性増強剤、インスリン分泌促進剤
(好ましくはスルホニルウレア剤)およびα−グルコシ
ダーゼ阻害剤; 4)インスリン感受性増強剤、ビグアナイド剤およびα
−グルコシダーゼ阻害剤; 5)インスリン感受性増強剤、血糖低下剤およびその他
の糖尿病合併症治療剤; 6)インスリン感受性増強剤および2種類の他の上記の
剤; 7)インスリン感受性増強剤およびインスリン製剤; 8)インスリン感受性増強剤およびインスリン分泌促進
剤(好ましくはスルホニルウレア剤); 9)インスリン感受性増強剤およびα−グルコシダーゼ
阻害剤;および 10)インスリン感受性増強剤およびビグアナイド剤。 本発明の結晶または医薬組成物が他の剤と組み合せて使
用される場合には、お互いの剤の量は、それらの剤の反
対効果を考えて安全な範囲内で低減できる。特に、イン
スリン感受性増強剤、インスリン分泌促進剤(好ましく
はスルホニルウレア剤)およびビグアナイド剤は通常の
投与量よりも低減できる。したがって、これらの剤によ
り引き起こされるであろう反対効果は安全に防止でき
る。それに加えて、糖尿病合併症剤、抗高脂血剤、降圧
剤の投与量は低減でき、その結果これらの剤により引き
起こされるであろう反対効果は効果的に防止できる。
【0037】
【発明の実施の形態】以下に、参考例、実施例、製剤例
および試験例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する
が、本発明はこれらにより限定されるものではない。ま
た、以下の参考例および実施例において、%は特記しな
い限り重量パーセントを示す。粉末X線結晶回折のデー
タは、線源としてCu−Kα1線(管電圧:40KV;
管電流:40mA)を用い、RINT1100型(理学
電機)を用いて測定した。
【0038】
【実施例】参考例1 4−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメ
トキシ)ベンズアルデヒド(33.42g)のメタノー
ル(150ml)−テトラヒドロフラン(30ml)溶
液に、0℃で水素化ホウ素ナトリウム(4.31g)を
徐々に加えた。室温で30分間かき混ぜた後、反応混合
物に水を加え、1時間かき混ぜた。析出した4−(5−
メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)ベ
ンジルアルコールの結晶(32.85g,収率98%)
をろ取した。酢酸エチル−ジエチルエーテルから再結晶
し、淡黄色結晶を得た。融点128〜129℃。
【0039】参考例2 4−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメ
トキシ)ベンジルアルコール(5.00g)のトルエン
(40ml)溶液に、塩化チオニル(1.85ml)を
加え、室温で30分間かき混ぜた。反応混合物に氷水を
加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層は、水洗、
乾燥(MgSO4)後、濃縮し、4−(4−クロロメチ
ルフェノキシメチル)−5−メチル−2−フェニルオキ
サゾールの結晶(5.23g,収率99%)を得た。酢
酸エチル−ヘキサンから再結晶し、無色結晶を得た。融
点108〜109℃。
【0040】参考例3 3−ベンゾイルプロピオン酸メチル(15.0g)、塩
酸ヒドロキシルアミン(6.50g)、酢酸ナトリウム
(9.60g)およびメタノール(150ml)の混合
物を8時間加熱還流した。反応混合物を濃縮し、残留物
に水を加え、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル層は、
水洗、乾燥(MgSO4)後、濃縮した。残留物をシリ
カゲルカラムクロマトグラフィーに付し、酢酸エチル−
ヘキサン(1:3,容積比)溶出部から、(E)−4−
ヒドロキシイミノ−4−フェニル酪酸メチル(14.7
g,収率91%)を油状物として得た。 NMR(CDCl3)δ: 2.58-2.67(2H, m), 3.09-3.17(2H, m),
3.66(3H, s), 7.35-7.44(3H, m), 7.56-7.67(2H, m),
8.00-8.80(1H, br s)。
【0041】参考例4 水素化ナトリウム(60%、油性、127mg)を、窒
素雰囲気下、(E)−4−ヒドロキシイミノ−4−フェ
ニル酪酸メチル(661mg)と4−(4−クロロメチ
ルフェノキシメチル)−5−メチル−2−フェニルオキ
サゾール(1.00g)のN,N−ジメチルホルムアミ
ド(10ml)溶液に室温で加え、1時間かき混ぜた。
1規定塩酸(5ml)を加えた後、重曹水を加え、酢酸
エチルで抽出した。酢酸エチル層は、飽和食塩水で洗
浄、乾燥(MgSO4)後、濃縮した。残留物をシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィーに付し、酢酸エチル−ヘ
キサン(1:3,容積比)溶出部から油状物を得た。こ
れをテトラヒドロフラン(10ml)−メタノール(5
ml)に溶解し、1規定水酸化ナトリウム水溶液(5m
l)を加え、室温で1.5時間かき混ぜた。反応混合物
に1規定塩酸(5.5ml)を加え、酢酸エチルで抽出
した。酢酸エチル層は、飽和食塩水で洗浄、乾燥(Mg
SO4)後、濃縮した。残留する結晶を酢酸エチル−ヘ
キサンから再結晶し、(E)−4−[4−(5−メチル
−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)ベンジル
オキシイミノ]−4−フェニル酪酸の無色結晶(907
mg,収率60%)を得た。粉末X線結晶回折パターン
を図1に示す。融点126〜127℃(分解)。 元素分析 理論値:C,71.47; H,5.57; N,5.95 実測値:C,71.51; H,5.55; N,5.88 粉末X線結晶回折のデータ 回折角:2θ(°) 面間隔:d値(オングストローム) 5.98 14.8 10.7 8.28 12.1 7.30 18.0 4.93 21.0 4.23 24.6 3.62
【0042】実施例1 水素化ナトリウム(60%、油性、3.00g)を、窒
素雰囲気下、(E)−4−ヒドロキシイミノ−4−フェ
ニル酪酸メチル(15.5g)と4−(4−クロロメチ
ルフェノキシメチル)−5−メチル−2−フェニルオキ
サゾール(23.5g)のN,N−ジメチルホルムアミ
ド(100ml)溶液に0℃で加え、2時間かき混ぜ
た。1規定塩酸を用いて中和後、重曹水を加え、酢酸エ
チルで抽出した。酢酸エチル層は、飽和食塩水で洗浄、
乾燥(MgSO4)後、濃縮した。残留物をシリカゲル
カラムクロマトグラフィーに付し、酢酸エチル−ヘキサ
ン(1:3,容積比)溶出部から油状物を得た。これを
テトラヒドロフラン(100ml)−メタノール(50
ml)に溶解し、2規定水酸化ナトリウム水溶液(50
ml)を加え、室温で2時間かき混ぜた。反応混合物を
1規定塩酸を用いて中和後、酢酸エチルで抽出した。酢
酸エチル層は、飽和食塩水で洗浄、乾燥(MgSO4
後、濃縮した。残留する結晶を酢酸エチル−ヘキサンか
ら再結晶し、(E)−4−[4−(5−メチル−2−フ
ェニル−4−オキサゾリルメトキシ)ベンジルオキシイ
ミノ]−4−フェニル酪酸の無色結晶(24.5g,収
率86%)を得た融点126〜127℃。この結晶の一
部(500mg)を、加熱下、エタノール(5ml)に
溶解し、0℃に冷却して、析出する結晶を回収し、図2
のような粉末X線結晶回折パターンを示す結晶(466
mg)を得た。融点137〜138℃。 元素分析 理論値:C,71.47; H,5.57; N,5.95 実測値:C,71.46; H,5.59; N,5.94 粉末X線結晶回折のデータ 回折角:2θ(°) 面間隔:d値(オングストローム) 5.04 17.5 9.92 8.91 11.3 7.81 14.8 5.98 19.1 4.65 20.7 4.29 21.7 4.09 25.1 3.54
【0043】 製剤例1(カプセルの製造) 1)実施例1の結晶 30 mg 2)微粉末セルロース 10 mg 3)乳糖 19 mg 4)ステアリン酸マグネシウム 1 mg 計 60 mg 1)、2)、3)および4)を混合して、ゼラチンカプ
セルに充填する。
【0044】 製剤例2(錠剤の製造) 1)実施例1の結晶 30 g 2)乳糖 50 g 3)トウモロコシデンプン 15 g 4)カルボキシメチルセルロースカルシウム 44 g 5)ステアリン酸マグネシウム 1 g 1000錠 計 140 g 1)、2)、3)の全量および30gの4)を水で練合
し、真空乾燥後、整粒を行う。この整粒末に14gの
4)および1gの5)を混合し、打錠機により打錠す
る。このようにして、1錠あたり実施例1の結晶30mg
を含有する錠剤1000錠を得る。
【0045】製剤例3(フィルム錠の製造) [被覆剤の製造]精製水4859.1gにヒドロキシプロピル
メチルセルロース2910(TC-5)403.4gおよびポリエチレ
ングリコール6000 81.0gを溶解した。得られる溶液に
酸化チタン54.0g、黄色三二酸化鉄1.620gを分散させ、
被覆剤を製造した。 [裸錠の製造]化合物A576.0g、乳糖2513g、トウモロ
コシデンプン356.4gおよびクロスカルメロースナトリウ
ム217.8gを流動層造粒乾燥機(パウレック社製)に入
れ、予熱混合し、ヒドロキシプロピルセルロース138.6g
を溶解した水溶液1963gを噴霧して造粒した。得られる
造粒末3590gをパワーミル(昭和化学機械工作所製)を
通し、整粒末とした。得られる整粒末3432g、トウモロ
コシデンプン125.1gおよびステアリン酸マグネシウム1
7.88gをタンブラー混合機(昭和化学機械工作所製)で
混合し、得られる混合末3410gを打錠機(菊水製作所
製)で打錠し、裸錠を得た。 [フィルムコーティング錠の製造]得られる裸錠27000
錠に、フィルムコーティング機(パウレック社製)中で
前記被覆剤を噴霧し、1錠当たり化合物A16.0mgを含有
する下記処方のフィルムコーティング錠27000錠を得
た。 錠剤処方(1錠当たりの組成): (裸錠) 1)化合物A 16.0mg 2)乳糖 69.8mg 3)トウモロコシデンプン 13.75mg 4)クロスカルメロースナトリウム 6.05mg 5)ヒドロキシプロピルセルロース 3.85mg6)ステアリン酸マグネシウム 0.55mg 合計 110.0mg (フィルム成分) 7)ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 2.988mg 8)ポリエチレングリコール6000 0.6mg 9)酸化チタン 0.4mg10)黄色三二酸化鉄 0.012mg 合計 114.0mg
【0046】製剤例4(フィルム錠の製造) [裸錠の製造]化合物Aおよび乳糖の使用量をそれぞれ
144.0gおよび2945gとする以外は製剤例3と同様にし
て、1錠当たり化合物A4.0mgを含有する下記処方のフ
ィルムコーティング錠27000錠を得た。 錠剤処方(1錠当たりの組成): (裸錠) 1)化合物A 4.0mg 2)乳糖 81.8mg 3)トウモロコシデンプン 13.75mg 4)クロスカルメロースナトリウム 6.05mg 5)ヒドロキシプロピルセルロース 3.85mg6)ステアリン酸マグネシウム 0.55mg 合計 110.0mg (フィルム成分) 7)ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 2.988mg 8)ポリエチレングリコール6000 0.6mg 9)酸化チタン 0.4mg10)黄色三二酸化鉄 0.012mg 合計 114.0mg
【0047】製剤例5(フィルム錠の製造) [裸錠の製造]化合物Aおよび乳糖の使用量をそれぞれ
36.0gおよび3053gとする以外は製剤例3と同様にして、
1錠当たり化合物A1.0mgを含有する下記処方のフィル
ムコーティング錠27000錠を得た。 錠剤処方(1錠当たりの組成): (裸錠) 1)化合物A 1.0mg 2)乳糖 84.8mg 3)トウモロコシデンプン 13.75mg 4)クロスカルメロースナトリウム 6.05mg 5)ヒドロキシプロピルセルロース 3.85mg6)ステアリン酸マグネシウム 0.55mg 合計 110.0mg (フィルム成分) 7)ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 2.988mg 8)ポリエチレングリコール6000 0.6mg 9)酸化チタン 0.4mg10)黄色三二酸化鉄 0.012mg 合計 114.0mg
【0048】製剤例6(フィルム錠の製造) [被覆剤の製造]精製水4859.1gにヒドロキシプロピル
メチルセルロース2910(TC-5)484.4gを溶解する。得ら
れる溶液に酸化チタン54.0g、黄色三二酸化鉄1.620gを
分散させ、被覆剤を製造する。 [フィルムコーティング錠の製造]製剤例3で得られる
裸錠27000錠に、フィルムコーティング機(パウレック
社製)中で前記被覆剤を噴霧し、1錠当たり化合物A1
6.0mgを含有する下記処方のフィルムコーティング錠270
00錠を得る。 錠剤処方(1錠当たりの組成): (裸錠) 1)化合物A 16.0mg 2)乳糖 69.8mg 3)トウモロコシデンプン 13.75mg 4)クロスカルメロースナトリウム 6.05mg 5)ヒドロキシプロピルセルロース 3.85mg6)ステアリン酸マグネシウム 0.55mg 合計 110.0mg (フィルム成分) 7)ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 3.588mg 8)酸化チタン 0.4mg9)黄色三二酸化鉄 0.012mg 合計 114.0mg
【0049】製剤例7(フィルム錠の製造) 製剤例6で得られる被覆剤を用いる以外は製剤例4と同
様にして、1錠当たり化合物A4.0mgを含有する下記処
方のフィルムコーティング錠27000錠を得る。 錠剤処方(1錠当たりの組成): (裸錠) 1)化合物A 4.0mg 2)乳糖 81.8mg 3)トウモロコシデンプン 13.75mg 4)クロスカルメロースナトリウム 6.05mg 5)ヒドロキシプロピルセルロース 3.85mg6)ステアリン酸マグネシウム 0.55mg 合計 110.0mg (フィルム成分) 7)ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 3.588mg 8)酸化チタン 0.4mg9)黄色三二酸化鉄 0.012mg 合計 114.0mg
【0050】製剤例8(フィルム錠の製造) 製剤例6で得られる被覆剤を用いる以外は製剤例5と同
様にして、1錠当たり化合物A1.0mgを含有する下記処
方のフィルムコーティング錠27000錠を得る。 錠剤処方(1錠当たりの組成): (裸錠) 1)化合物A 1.0mg 2)乳糖 84.8mg 3)トウモロコシデンプン 13.75mg 4)クロスカルメロースナトリウム 6.05mg 5)ヒドロキシプロピルセルロース 3.85mg6)ステアリン酸マグネシウム 0.55mg 合計 110.0mg (フィルム成分) 7)ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 3.588mg 8)酸化チタン 0.4mg9)黄色三二酸化鉄 0.012mg 合計 114.0mg
【0051】試験例1 マウスにおける血糖、血中中性脂肪(トリグリセリド)
低下作用 被検化合物の結晶を粉末飼料(CE−2、日本クレア)
に0.01%の割合で混合し、肥満・2型糖尿病モデル
であるKKAyマウス(11週齢、1群5匹)に自由に4日間
与えた。この間水は自由に与えた。血液を眼底静脈叢か
ら採取し、血漿を用いて成分測定を行った。グルコース
はLタイプワコーGlu2(和光純薬)、トリグリセリ
ドはイアトロ−MA701TGキット(ヤトロン)を用
いて定量した。被検化合物の結晶投与群の値は、被検化
合物の結晶非投与群に対する低下率(%)で表した。
【0052】
【表1】
【0053】試験例2 ラットにおける血糖および血中中性脂肪(トリグリセリ
ド)低下作用 被検化合物の結晶を1mg/5mlの割合で0.5%メチルセ
ルロース溶液に懸濁し、肥満・2型糖尿病モデルであるW
istar fattyラット(27-30週齢、1群5匹)に連日1mg/kg
/日の割合で7日間強制経口投与した。この間餌と水は自
由に与えた。血液を尾静脈から採取し、血漿を用いて成
分測定を行った。グルコースはLタイプワコーGlu2
(和光純薬)、トリグリセリドはLタイプワコーTG・
H(和光純薬)で定量した。被検化合物の結晶投与群の
値は、被検化合物の結晶非投与群に対する低下率(%)
で表した。
【0054】
【表2】
【0055】このように本発明の結晶は、優れた血糖低
下作用および血中脂質低下作用を有し、糖尿病、高脂血
症、耐糖能不全などの予防・治療剤として有用である。
【0056】試験例3 150cm2 tissue culture flaskにCOS-1細胞を5×106cell
s播種し、24時間、37℃ 5% CO2条件下で培養した。ト
ランスフェクションはリポフェクトアミン(ライフテッ
クオリエンタル)を用いて行った。すなわち、125μlの
リポフェクトアミン、100μlのPLUS Reagent、核内レセ
プター発現プラスミドhPPARγ発現プラスミドおよびhRX
Rα発現プラスミドを各2.5μg、レポータープラスミド
を5μg、pRL-CMV(Promega)を5μg、25mlのopti-MEM
(ライフテックオリエンタル)に混合してトランスフェ
クション混合液を作製した。COS-1細胞に25mlのトラン
スフェクション混合液を添加し、37℃、5% CO2条件下
で3時間培養した。次いで、0.1%のBSA(脂肪酸不含)(和
光純薬)を含むDMEM培地(日研生物医学研究所)を25ml
添加し、さらに、37℃、5% CO2条件下で24時間培養し
た。トランスフェクションした細胞を回収し、0.1%のBS
A(脂肪酸不含)(和光)を含むDMEM培地(日研生物医学
研究所)に懸濁後、96well white plate(コーニング)
の各ウェルへ90μl(2×104cells)分注した。続いて、10
μMピオグリタゾンの存在下もしくは非存在下に、化合
物A(最終濃度:1nM〜10μM)を10μl添加し、48時間、37
℃、5% CO 2条件下で培養した。96well white plate
(コーニング)より培地を除去後、ピッカジーンLT7.5
を40μl添加し、撹拌後、1420 ARVO Multilabel Counte
r(wallac社)を用いて、ルシフェラーゼ活性を測定し
た。得られたルシフェラーゼ活性から化合物を添加して
いないコントロール群のルシフェラーゼ活性を1とした
ときの誘導倍率(fold induction)を算出した。結果を
図3に示す。図中、●は化合物A処置群を、□は化合物
Aおよびピオグリタゾン処置群を示す。誘導倍率は、平
均値±標準誤差(SE)(n=3)を示す。図3に示さ
れるように、化合物Aの最大誘導倍率は、PPARγアゴニ
ストであるピオグリタゾンの最大誘導倍率の約45%であ
ることより、化合物AはPPARγの部分アゴニストであ
る。また、化合物Aは10μMピオグリタゾンによる活性
化を化合物Aの最大誘導倍率まで濃度依存的に抑制する
ことより、化合物Aは部分アンタゴニストである。
【0057】
【発明の効果】本発明の結晶は、安定で、優れた抗糖尿
病作用を有し、毒性は低く、医薬品として有用である。
また、本発明の結晶は、物理化学的性質(例、融点、溶
解度、安定性など)および生物学的性質(例、体内動態
(吸収性、分布、代謝、排泄)、薬効発現など)に優
れ、医薬として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は参考例4で得られた結晶の粉末X線結晶
回折パターンを示す。
【図2】図2は実施例1で得られた結晶の粉末X線結晶
回折パターンを示す。
【図3】図3はPPARγアゴニストであるピオグリタゾン
の存在下または非存在下での化合物AのhPPARγ誘導倍
率を示す濃度依存曲線である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C084 AA17 DC50 MA02 MA22 MA23 MA31 MA35 MA37 MA38 MA41 MA52 MA55 MA56 MA63 MA66 ZC352 4C086 AA01 BC69 MA02 MA04 MA22 MA23 MA31 MA35 MA37 MA38 MA41 MA43 MA52 MA55 MA56 MA66 ZC35

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (E)−4−[4−(5−メチル−2−
    フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)ベンジルオキシ
    イミノ]−4−フェニル酪酸の結晶(ただし、126−
    127℃の融点を有する結晶を除く)と糖尿病治療剤と
    を組み合わせてなる医薬。
  2. 【請求項2】 結晶が約136℃〜約139℃の融点を
    有する請求項1記載の医薬。
  3. 【請求項3】 粉末X線結晶回折により、面間隔(d
    値)約17.5、約6.0オングストロームに特徴的ピ
    ークを有する回折パターンを示す(E)−4−[4−
    (5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキ
    シ)ベンジルオキシイミノ]−4−フェニル酪酸の結晶
    と糖尿病治療剤とを組み合わせてなる医薬。
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