JP2002096268A - 塗装面の肌調整用研磨シート - Google Patents

塗装面の肌調整用研磨シート

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JP2002096268A
JP2002096268A JP2000273101A JP2000273101A JP2002096268A JP 2002096268 A JP2002096268 A JP 2002096268A JP 2000273101 A JP2000273101 A JP 2000273101A JP 2000273101 A JP2000273101 A JP 2000273101A JP 2002096268 A JP2002096268 A JP 2002096268A
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JP
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nonwoven fabric
polishing
abrasive grains
abrasive
polishing sheet
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JP2000273101A
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Inventor
Fujio Hara
不二雄 原
Kazuo Suzuki
一男 鈴木
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3M Innovative Properties Co
Original Assignee
3M Innovative Properties Co
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗装面の凹凸(柚肌)を維持して研磨可能で
あり、研磨作業中に塗装面に固着することなく肌調整を
効率良く行いうる研磨シートを提供すること。 【解決手段】 不織布と、不織布の一表面上に被覆され
たバインダーと、該バインダーにより不織布に接着され
た砥粒とを有する塗装面の肌調整用研磨シートにおい
て、該不織布が、繊維径0.05〜10デニール、目付
10〜60g/m2、厚さ0.2〜1.0mm、及び塗
装面の凹凸(柚肌)に沿って変形可能な程度の柔軟性を
有し、該不織布が複数の貫通孔又は畝でなる通過構造を
有し、該砥粒が不織布の各繊維上に単層にて接着されて
いることを特徴とする、研磨シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動車補修に使用す
るのに適した塗装面の肌調整用研磨シートに関し、特
に、研磨面から空気や水が通過可能な構造を有する塗装
面の肌調整用磨シートに関する。
【0002】
【従来の技術】自動車補修業界においては、自動車事故
等のために損傷した自動車のボンネットやドア等の外板
部を、顧客が満足する程度まですばやく且つ低価格にて
補修するために種々の技術を駆使している。現状におい
ては、自動車外板部の損傷の補修は、次のような工程を
経て行われている。
【0003】まず、損傷により凹んだ部分の叩き出しを
板金作業にて行う。その後に補修する部分に旧塗膜が残
っていれば、粗目の研磨布紙等で鋼板の出るまで削り取
る。その面を溶剤などで清潔にした後に車体パテを塗り
研磨できる程度に硬化したら粗目の研磨紙で面を平らに
する。次に、研磨紙等で車体パテの周囲の面をフェザー
エッジと足付でなだらかにする。
【0004】次に、プライマーサフェーサーをスプレー
ガンで吹き付ける。硬化後に細か目の研磨紙等で平らに
する。その後に上塗り塗料をスプレーガンで吹き付け
る。その後に、ゴミやブツを極く細かい耐水研磨紙で取
り除いたり肌調整を耐水研磨紙や細目コンパウンドのバ
フ研磨を行い、さらに極細・超微粒子コンパウンドによ
るポリッシングを行って仕上げのツヤ出しを行う。
【0005】現状においては、上塗り塗料をスプレーガ
ンで霧状にして塗面に吹き付けするので、硬化乾燥後の
塗面表面に必ず凹凸が生ずる。これは、霧状になった塗
料粒子が塗面で、再び他の粒子と一体になるときの塗料
の粘度、表面張力、流動性、溶剤の揮発速度とスプレー
ガンの口径、空気の圧力と流量、塗料の流量、塗面まで
の距離、噴射角度、そのときの気温、湿度など諸々の条
件で、さまざまな形状になる。かかる塗装面の凹凸は一
般に柚肌と呼ばれる。
【0006】補修工程では、新たに補修したところの柚
肌と旧来からの柚肌の状態が、塗面表面の凹凸のピッチ
及び高さについて一致していなければいけないが、前述
のようなさまざまな条件で異なることが多い。これを一
致させるために、補修部分を耐水研磨紙やコンパウンド
で研磨して、周辺部と近似させる。これを肌調整といっ
ている。
【0007】肌調整は、一般的に周辺より柚肌が粗い場
合は、1000番(P1000)〜3000番(P30
00)の耐水研磨紙で凸部を研磨して、塗面表面の凹凸
のピッチ、及び高さを周辺と一致させる。その後に、細
目コンパウンドでバフ研磨して、耐水研磨紙の研ぎ目を
消し、さらに極細コンパウンドのバフ研磨で細目コンパ
ウンドのバフ目を消しながら肌調整する。最終仕上げと
して超微粒子コンパウンドを用いてツヤを出す。
【0008】バフ研磨は、優れた仕上がりを提供する
が、遊離粒子で研磨するので効率が悪く、時間と労力を
要する。また、研磨布紙で研磨すると効率はよいが、研
ぎ目が粗く、また柚肌の凸部のみ研磨して凹部を研磨す
ることができない。
【0009】第2808261号特許掲載公報には、自
動車補修に使用するのに適した塗装面の肌調整用研磨シ
ートが記載されている。この研磨シートの構造は、柔軟
性のある薄い樹脂フィルムの表面にバインダーで砥粒を
接着したものである。それゆえ、この研磨シートは柔軟
性に富み、塗装面に存在する凹凸に沿って容易に変形
し、柚肌を維持して研磨できる。
【0010】しかしながら、この研磨シートはそれ自体
が柔軟性に富む薄い樹脂フィルムであり、通気性に欠け
る。そのため、この研磨シートを塗装面に押し付けて研
磨すると、研磨屑が接着剤のように作用して塗装面に容
易に吸着してしまう。
【0011】一般に、研磨作業においては、被研磨面に
水や研磨剤等の液体をのせてその上に研磨シートを押し
付けて動かす。すると研磨屑が生じて、研磨屑が液体と
混合する。研磨の進行につれて研磨屑の量は増え、ま
た、液体は蒸発するため、この混合物は次第に増粘し、
遂には流動性を失う。そうなると、研磨摩擦が増大し、
研磨シートに通気性がない場合には、研磨シートは被研
磨面に固着され、動かなくなってしまい、研磨作業が中
断される。
【0012】従って、ここに記載の研磨シートでは研磨
作業が短時間で中断され、塗装面の肌調整を効率良く行
なうことができない。
【0013】特開平7−237133号公報には、電子
部品や光学部品を精密研磨する用途に適した研磨シート
が記載されている。この研磨シートの構造は、平織りの
ポリエステル布、例えば帝人社製「テトロンタフタ」か
らなる基材の表面に、バインダーで接着された砥粒を設
けたものである。この研磨シートも柔軟性に富み、塗装
面に存在する凹凸に沿って容易に変形し、柚肌を維持し
て研磨できる。
【0014】しかしながら、テトロンタフタは密度の緻
密な平織物であり、通気性に乏しい。そのため、上記研
磨シートと同様研磨の進行につれて研磨摩擦が増大し、
研磨シートが塗装面に固着され、研磨作業が中断される
問題がある。
【0015】他方、ここに記載の研磨シートの製造は、
砥粒及びバインダーをテトロンタフタの表面上に塗布し
て行われる。テトロンはポリアミドであり、吸液性に乏
しい。吸液性が乏しい繊維に研磨塗液を塗布すると、繊
維の表面は研磨塗液を充分に吸収せず、繊維上に研磨塗
液の玉が生じ易い。
【0016】その結果、砥粒はテトロンタフタの繊維の
上に均一に被覆されず、砥粒の塊が形成される。このよ
うな砥粒の塊は、塗装面にスクラッチ等を生じさせ、仕
上がりを低下させる原因となる。
【0017】更に、繊維の交点では織物の厚さが厚くな
るため、織物を基材とする研磨シートを被削体に押し付
けた場合に繊維の交点部分にかかる力のみ散点的に強く
なり、塗装面の柚肌を乱し、仕上がりを低下させる原因
となる。
【0018】特表平10−508541号公報には織
り、又は編んだ糸から成る布の表面にバインダーで接着
された砥粒を形成した研磨シートが記載されている。こ
の研磨シートの用途は特に記載されていない。また、織
り、又は編んだ糸から成る布が塗装面の凹凸(柚肌)に
沿って変形可能な程度の柔軟性を有するか否かについて
も記載されていない。
【0019】また、この布は織るか編まれたものであ
り、規則的な織目を有する。そのため、繊維の交点部分
に砥粒の塊が発生し易く、塗装面に荒いスクラッチ等を
生じさせたり、繊維の交点部分の研磨力のみ散点的に強
くなり、塗装面の柚肌を乱す等の問題がある。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来の問
題を解決するものであり、その目的とするところは、塗
装面の凹凸(柚肌)を維持して研磨可能であり、研磨作
業中に研磨材料が塗装面に固着することなく肌調整を効
率良く行いうる耐水性の研磨シートを提供することにあ
る。尚、当該固着原因は、研磨屑の発生により、洗浄液
の粘度が増大することに起因するものである。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明は、不織布と、不
織布の一表面上に被覆されたバインダーと、該バインダ
ーにより不織布に接着された砥粒とを有する塗装面の肌
調整用研磨シートにおいて、該不織布が、繊維径0.0
5〜10デニール、目付10〜60g/m2、厚さ0.
2〜1.0mm、及び塗装面の凹凸(柚肌)に沿って変
形可能な程度の柔軟性を有し、該不織布が複数の貫通孔
又は畝でなる通過構造を有し、該砥粒が不織布の各繊維
上に単層にて接着されていることを特徴とする、研磨シ
ートを提供するものであり、そのことにより上記目的が
達成される。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の研磨シートは不織布と不
織布に接着された砥粒とを有する不織布研磨材である。
不織布はこの不織布研磨材の基材である。
【0023】不織布 不織布とは、規則的な織目を有しない繊維の集合体であ
り、独立して取扱いが可能な程度の強度を有する布状材
料をいう。繊維同士は接着剤又は熱融着等により相互に
接合するか、機械的に絡まることにより、布状材料とし
て独立して取扱いが可能な程度の強度を保持している。
【0024】本発明で用いるのに好ましい不織布は、エ
アレイ法、ウェットレイ法、流水交絡法(スパンレース
法)、メルトブロー法等で形成されたものである。当該
不織布は、研磨材料として加工後のものが塗装工程で塗
装面に形成される凹凸(柚肌)に沿って変形可能な程度
の柔軟性を有する必要がある。例えば、スポンジ状裏当
てパットをつけた研磨材料において、その表面硬度がシ
ョアA硬度において20以下であることを要する。
【0025】不織布を構成する繊維の寸法は、繊維径
0.05〜10デニール、好ましくは0.1〜5デニー
ル、より好ましくは0.5〜3デニールである。繊維径
が0.05デニールを下回ると研磨シートの強度が不十
分となり、10デニールを上回ると研磨シートの柔軟性
が不十分となる。
【0026】不織布の目付は10〜60g/m2、好ま
しくは20〜45g/m2である。目付が10g/m2
下回ると研磨シートの耐久性が不十分となり、60g/
2を上回るとクッション性が過剰となって研磨シート
の研磨性が低下する。これと同じ理由で不織布の厚さは
0.2〜1.0mm、好ましくは0.25〜0.75m
mである。不織布の引張強度は一般に2〜20kg/5
cm幅、好ましくは2.5〜13.0kg/5cm幅で
ある。
【0027】不織布の材質は吸液性に優れるものである
ことが好ましい。吸液性が乏しい繊維に砥粒及びバイン
ダーを塗布すると、砥粒及びバインダーが繊維上に均一
に被覆されず、砥粒の塊が形成され易いからである。吸
液性に優れる繊維材料としては、コットン、パルプ、レ
ーヨン、ポリエステル等が挙げられる。特に好ましいも
のはコットンである。
【0028】不織布は良好な通過構造を有する必要があ
る。通過構造とは、不織布の表面(研磨面)と被研磨面
との間に十分な隙間が形成され、不織布の表面から空気
や液体を通過させて逃がすことができる構造をいう。通
過構造は不織布の表面にメッシュパターンや凹凸を設け
ることで形成する(図1、図2)。このような不織布を
用いると、不織布の凸部(図1(b)、23;図2、3
3)に固着した砥粒が確実に被研磨面に当たるため研磨
能力に優れ、凹部(図1(b)、24;図2、34)に
は研磨時に水、分散液、空気の流れができ、研磨面と被
研磨面との間に隙間ができる。その結果、研磨作業中に
研磨シートが塗装面に吸着、固着することが防止され
る。
【0029】通過構造の例には、不織布の強度を損なわ
ない程度に複数の貫通孔を設けた構造、及び不織布自体
を規則的に折り曲げて畝状に固定した構造、等が含まれ
る。
【0030】図1(a)は、本発明で用いる不織布の一
例を示す拡大斜視図である。拡大率は約10倍である。
不織布21の全体に貫通孔22が規則的に設けられてい
る。図1(b)はその部分拡大図である。
【0031】貫通孔22の穴径は0.5〜3mm、穴数
は10〜40個/cm2である。この不織布は流水交絡
法(水流により、不織布のフィラメントを交絡させる不
織布の製造方法)により製造される。繊維の材質はコッ
トンである。レーヨンとポリエステルとの混紡を用いて
もよい。
【0032】このような不織布は市販されている。例え
ば、シンワ社製「Super Lace 7230-CG」、「Super Lace
7130-7P」等である。
【0033】図2は、本発明で用いる不織布の一例を示
す拡大斜視図である。拡大率は約10倍である。不織布
31自体が規則的に折り曲げられて畝を形成している。
畝の下部はポリマーフィルム32に接着固定されてい
る。
【0034】畝の幅は1〜4mm、高さは0.5〜4.
0mm、及び数は2〜10個/10mmである。この不
織布はメルトブロー法(溶融した樹脂材料を噴出させ
て、不織布のフィラメントをつくり、高温を維持したま
ま、当該フィラメントを交絡させシート化し不織布を製
造する方法。)により製造される。繊維の材質はポリオ
レフィンである。
【0035】このような不織布は市販されている。例え
ば、ミネソタ・マイニング・アンド・マニュファクチュ
アリング社製「EBL(Extrude Blown Laminated)」
等である。
【0036】砥粒 砥粒としては、塗装面の肌調整用研磨シートに通常用い
られるものを使用する。例えば、材質としては、炭化珪
素、ダイヤモンド、ジルコニア、溶融アルミナ、焼結ア
ルミナ、シリカ、ケイ酸アルミニウム、酸化セリウム、
CBN、金属粉等が挙げられる。大きさは、一般に粒径
0.1〜100μm、好ましくは粒径1〜10μm程度
である。
【0037】バインダー バインダーとしては、塗装面の肌調整用研磨シートに通
常用いられるものを使用する。例えば、材質としては、
フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹
脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、
スチロール樹脂、ビニル樹脂等が挙げられる。
【0038】これらの樹脂で砥粒と繊維、又は繊維同士
を固着し、砥粒の脱落や繊維の動き、摩耗が防止され
る。その結果、研磨性能に優れ、寿命が長い研磨シート
が得られる。特に、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、及
びウレタン樹脂のような強靱で可撓性を有する樹脂を使
用することで作業時に研磨材料からの脱粒がないので、
良好な研削性を維持できる、柔軟性に富む研磨シートが
得られ、柚肌に確実に沿った研磨を行なうことが可能と
なる。
【0039】研磨シートの製造 本発明の研磨シートは、不織布の一表面に砥粒及びバイ
ンダーを塗布することにより製造される。砥粒は不織布
を形成している繊維の表面に粒子がほぼ一列に並ぶよう
に、単層にて被覆されることが好ましい。研磨シートの
砥粒の保持力及び砥粒の利用効率が良好になるからであ
る。
【0040】砥粒は静電スプレー塗布法を用いて塗布す
ることが好ましい。図3は静電スプレー塗布法の原理を
示す模式断面図である。スプレーノズル44の正面に所
定の間隔をおいて被塗物46を対向させる。砥粒41や
バインダー(非表示)は直流高圧電源42により帯電さ
せられ、空気流43によりスプレーノズル44から吐出
される。
【0041】砥粒41やバインダーは、高電圧をかけた
ガン尖端針電極45から被塗物46に向かって流れるコ
ロナ放電流により、クーロン力によって被塗物に付着さ
せられる。この方法では、ガン尖端針電極45と被塗物
46の間に静電界47ができ、静電スプレー先端部でイ
オン化された砥粒41等は静電界47に沿って飛行し、
被塗物の表面に均一に付着する。
【0042】その結果、砥粒及びバインダーが繊維上に
均一に被覆され、砥粒の塊が形成され難くなる。また、
不織布繊維の表面における砥粒の配向がランダムとな
り、研磨シートの研磨力が向上する。更に、静電反発に
より付着した砥粒の上には新たな砥粒は付着せず、不織
布繊維の表面に砥粒がほぼ単層にて被覆され、研磨シー
トの砥粒の保持力及び砥粒の利用効率が向上する。図4
(a)は、不織布の繊維の表面に砥粒が単層にて被覆さ
れている状態を示す模式図である。尚、図4(b)に
は、電界を負荷せず、スプレー塗布した場合を示すが、
砥粒は塊状を呈することとなる。
【0043】バインダーと砥粒とは別々に塗布してもよ
いが、バインダーと砥粒との混合物(研磨塗液)を予め
調製し、これを静電スプレー塗布法により直接不織布に
塗布してもよい。また、まず不織布の表面にバインダー
を塗布しておき(プレバインダー)、その上に静電スプ
レー塗布法によりバインダーと砥粒との混合物を塗布し
てもよい。
【0044】不織布に砥粒及びバインダーを塗布した
後、バインダーを硬化させて研磨シートが得られる。バ
インダーの硬化は、一般に加熱により行なう。その後、
不織布の研磨面とは反対の面に粘着剤、フック材又はル
ープ材を取り付け、サンダーパッドに取り付ける。
【0045】
【実施例】以下の実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0046】実施例1 基材としてシンワ社製の貫通孔を有する不織布「Super
Lace 7230-CG」を準備した。この不織布はコットン10
0%であり、繊維径は約2デニール、目付は30g/m
2、厚さは0.32mmである。
【0047】まず、プレバインダー塗液として、武田薬
品工業(株)製ウレタン樹脂「タケラックE550」1
00gと同社製「タケネートD110N」15gとダウ
コーニング社製プロピレングリコールモノメチルエーテ
ル20gとを混合した樹脂溶液を用意し、これを静電ス
プレー塗布法により不織布の表面に塗布した。塗布量と
しては通常10g/m2であり、範囲的には5〜50g
/m2である。
【0048】次いで、砥粒とバインダーとの混合物(ス
ラリー)である研磨塗液として、南興セラミックス
(株)製粒度#1200の炭化ケイ素粒子100gと東
都化成(株)製エポキシ樹脂「エポトートYD128
R」20gとヘンケル白水(株)社製「バーサミド12
5」20gとダウコーニング社製プロピレングリコール
モノメチルエーテル75gとを混合したものを用意し、
これを静電スプレー塗布法により不織布の表面に塗布し
た。塗布量としては、通常30g/m2であり、範囲的
には15〜50g/m2である。
【0049】図5は静電スプレー塗布法に用いた塗布装
置の概要を示す模式図である。塗液はエアミキサー付き
ホールドタンク61からダイアフラムポンプ62に圧送
され、塗料レギュレーター63とバックプレッシャーレ
ギユレーター64の差圧で循環され、この差圧はゲージ
65、及び66の読みで0.15Mps以上にする。
【0050】静電スプレーガン67へ送られた塗液はガ
ン入り口にある精密塗料レギュレーター68により吐出
量が調整され空気によって霧化され、低電圧制御装置6
9によりガンの電極に電圧をかける事によりこの間に静
電界を作り、さらに電極先端部で空気をイオン化させこ
のイオン化圏域を通過した塗液の粒子は、負(−)に帯
電して静電界の方向の不織布70に塗布される。
【0051】塗布装置は、ランズバーグインダストリー
(株)製静電スプレーガン「75785溶剤系塗料用R
EA―90」、及び低電圧コントロールユニット「90
40カスケ―ド低電圧コントロールユニット」を用い
た。塗布条件は以下の通りとした。
【0052】
【表1】
【0053】次いで、被塗物を135℃で5分間保持し
てバインダーを硬化させた。
【0054】リン酸処理鋼板の表面に設けられた硬化皮
膜(日本ペイント(株)製二液アクリルウレタン塗料
「スペリオ」)を、研磨処理部分と未研磨部分に二分し
た。すなわち硬化皮膜の上部半分を、3M製空研ぎ仕上
げディスク#800と3M製PN5305仕上げサンダ
ーで30秒間研磨処理した。硬化皮膜の下部半分は未処
理のままとした。
【0055】得られた研磨シート及び3M製仕上げサン
ダー「PN5305」を用いて、水スプレーウェット研
磨法により硬化皮膜表面全体を研磨した。研磨条件は、
サンダーエア圧0.15Mpa、研磨時間1分間とし
た。研磨荷重は500paであった。
【0056】その後、得られた研磨シートを以下の評価
項目について評価した。評価結果を表2に示す。
【0057】研磨性 上述のように研磨した硬化皮膜の上部半分を、3M製超
微粒予コンパウンド「PN5985ハード2」と3M製
スポンジパフ「PN5725SBS」を用いて30秒間
ポリッシングした。研磨シートの研磨目が消え、残って
いた3M製空研ぎ仕上げディスク#800の粗い研磨目
が現れた。
【0058】#800の研磨目の残り具合を目視観察
し、無い場合を○、ほぼ無い場合を△、全面に残つてい
る場合を×とした。
【0059】表面粗さ (株)小坂研究所のサーフコーダ「SE−30D」を用
いて、硬化皮膜の下部半分の表面粗さRa(μm)を測
定した。
【0060】柔軟性 硬化皮膜の下部半分を目視観察し、硬化皮膜の柚肌に沿
って全面に均一に研磨されている場合を○、柚肌の凹部
分が未研磨部分として一部残っている場合を△、未研磨
部分が残っている場合を×とした。
【0061】操作性 研磨性試験のために硬化皮膜表面全体を1分間研磨する
際に、仕上げサンダーのパッドが1分間スムーズに動く
場合を○、途中でパッドの回転が止まったり振動が不規
則になったりする場合を×とした。
【0062】吸着性 新たにリン酸処理鋼板の表面に設けられた硬化皮膜(日
本ペイント(株)製二液アクリルウレタン塗料「スペリ
オ」)を用意した。得られた研磨シート及び3M製仕上
げサンダー「PN5305」を用いて、水スプレーウェ
ット研磨法により硬化皮膜表面全体を研磨した。研磨条
件は、水量1g、サンダーエア圧0.15Pa、研磨時
間5分間とした。研磨開始から仕上げサンダーのパッド
の回転が止まるまでの時間(分)を測定した。
【0063】実施例2 基材としてシンワ社製の貫通孔を有する不織布「Super
Lace 7130-7P」を準備した。この不織布はレーヨン85
%、ポリエステル15%であり、繊維径は約2デニー
ル、目付は30g/m2、厚さは0.26mmである。
【0064】この不織布を基材として用いること以外は
実施例1と同様にして研磨シートを調製し、研磨試験を
行い、評価した。評価結果を表2に示す。
【0065】実施例3 基材としてミネソタ・マイニング・アンド・マニュファ
クチュアリング社製の畝を有する不織布「EBL」を準
備した。この不織布はポリオレフィン100%であり、
繊維径は2デニール、厚さは1.0mmである。
【0066】この不織布を基材として用いること以外は
実施例1と同様にして研磨シートを調製し、研磨試験を
行い、評価した。評価結果を表2に示す。
【0067】比較例1 基材として帝人社製の「テトロンタフタ」(平織りポリ
エステル布)を準備した。この不織布はテトロン100
%であり、厚さは約0.1mmである。
【0068】この不織布を基材として用いること以外は
実施例1と同様にして研磨シートを調製し、研磨試験を
行い、評価した。評価結果を表2に示す。
【0069】比較例2 特開平7−237133記載の研磨シート レフライト社製の研磨シート「レフライトWA100
0」を準備した。この研磨シートの基材はテトロンタフ
タである。また、砥粒については、実施例で用いた粒度
#1200のものと同等品を選択した。この研磨シート
を用いて実施例1と同様にして研磨試験を行い、評価し
た。評価結果を表2に示す。
【0070】比較例3 第2808261号特許掲載公報記載の研磨シート コバックス社製の研磨シート「パフレックスブラック」
を準備した。この研磨シートの基材はポリウレタンフィ
ルムである。また、砥粒については、実施例で用いた粒
度#1200のものと同等品を選択した。この研磨シー
トを用いて実施例1と同様にして研磨試験を行い、評価
した。評価結果を表2に示す。
【0071】比較例4 特表平10−508541号公報記載の研磨シート ミルカ社製の研磨シート「アプラロン#2000」を準
備した。この研磨シートの基材は織り布であり、砥粒の
粒度は#2000である。この研磨シートを用いて実施
例1と同様にして研磨試験を行い、評価した。評価結果
を表2に示す。当該比較例においては、他の例に比し、
細めの砥粒を使用しているにもかかわらず、研削後にお
いて、十分な表面粗度は得られていない。又、細粒砥粒
を使用したことに起因して当然に研削効率も低下したも
のとなっている。
【0072】比較例5 基材としてユニチカ社製の貫通孔を有さない不織布「PO
403WTO」を準備した。この不織布はナイロン100%で
あり、繊維径は1.0デニール、目付は30g/m2
厚さは0.18mmである。
【0073】この不織布を基材として用いること以外は
実施例1と同様にして研磨シートを調製し、研磨試験を
行い、評価した。評価結果を表2に示す。
【0074】
【表2】
【0075】
【発明の効果】塗装面の凹凸(柚肌)を維持して研磨可
能であり、研磨作業中に塗装面に固着することなく肌調
整を効率的に行いうる研磨シートが提供された。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明で用いる不織布の一例を示す拡大斜視
図である。
【図2】 本発明で用いる不織布の一例を示す拡大斜視
図である。
【図3】 静電スプレー塗布法の原理を示す模式断面図
である。
【図4】 不織布の繊維の表面に砥粒が被覆されている
状態を示す模式図である。
【図5】 静電スプレー塗布法に用いた塗布装置の概要
を示す模式図である。
【符号の説明】
21…不織布、 22…貫通孔、 31…不織布、 32…ポリマーフィルム。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3C063 AA03 AB07 BC03 BG01 BG04 BG08 BG22 EE26

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不織布と、不織布の一表面上に被覆され
    たバインダーと、該バインダーにより不織布に接着され
    た砥粒とを有する塗装面の肌調整用研磨シートにおい
    て、 該不織布が、繊維径0.05〜10デニール、目付10
    〜60g/m2、厚さ0.2〜1.0mm、及び塗装面
    の凹凸(柚肌)に沿って変形可能な程度の柔軟性を有
    し、 該不織布が複数の貫通孔又は畝でなる通過構造を有し、 該砥粒が不織布の各繊維上に単層にて接着されているこ
    とを特徴とする、研磨シート。
  2. 【請求項2】 前記通過構造が規則的に配置された複数
    の貫通孔であり、該貫通孔の直径が0.5〜3mm、数
    が10〜40個/cm2である請求項1記載の研磨シー
    ト。
  3. 【請求項3】 前記通過構造が複数の畝であり、該畝の
    幅が1〜4mm、高さが0.5〜4.0mm、及び数が
    2〜10個/10mmである請求項1記載の研磨シー
    ト。
  4. 【請求項4】 前記不織布の繊維が良好な吸液性を有す
    るものである請求項1記載の研磨シート。
  5. 【請求項5】 前記砥粒が静電スプレー塗布法により不
    織布に設けられたものである請求項1記載の研磨シー
    ト。
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